JP6502603B2 - 眼科用組成物及び機能性食品 - Google Patents

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Description

本発明は、近視若しくは眼疾患の予防又は処置のために用いられる組成物及び機能性食品に関する。さらに詳しくは、近視が発症したり近視が進行したりする年齢層、特に成長期の子供や若年層に効果的な組成物、眼疾患のリスクが高まる中高年層にも効果的な組成物、及びその組成物を含む機能性食品に関する。
近視の頻度には人種差がある。特にアジア人に多く、中でも日本人は近視の多い人種であり、−5D以上の強度近視の割合も高い。また近年、近視は世界的に増加の一途をたどっており、日本でも裸眼視力1.0未満の児童の割合が年々増加している。また近視は7歳から12歳の学童期に急激に進行することも知られている(非特許文献1を参照)。
近視はその発症機序により屈折性近視、調節性近視(仮性近視)及び軸性近視に分類されるが、学童期における近視進行は主として軸性近視である。人間の眼は、誕生直後は遠視であり、成長期の眼軸伸展により遠視の程度が小さくなり、学童期に入ると正視化する。この正視化現象後の眼軸伸展はそのまま近視化に繋がり、そして一度伸展した眼軸長をもとに戻すことはできない。したがって、成長期から学童期に渡る期間の眼軸伸展の抑制が近視予防又は処置のために有効であると考えられている(非特許文献2を参照)。また、成長期だけでなく成人においても眼軸は伸展し、成人の眼軸伸展は様々な眼疾患のリスクファクターであると言われており、過度の眼軸伸展の結果である強度近視は、合併症として白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の眼疾患の危険性を高める(非特許文献2を参照)。したがって、眼軸伸展の抑制は近視予防によるQOL改善をもたらすだけでなく、失明に至る重篤な眼疾患の予防に繋がり得る。
この近視進行(過度の眼軸伸展)に対する抑制について、様々な方法が検討されている。これらの眼軸伸展抑制に関する過去の臨床研究結果をメタ解析したところ、アトロピン点眼、ピレンゼピン眼軟膏、オルソケラトロジー、周辺部デフォーカス型ソフトコンタクトレンズ、累進多焦点眼鏡の順で眼軸長において統計的に有意な抑制効果を示した。しかしながら、アトロピン点眼にみられる副作用や、オルソケラトロジー等における費用負担の問題や手段の煩雑さ、そして眼鏡装用では効果が限定的である等、解決しなければいけない点が残されている(非特許文献3を参照)。
また、この近視進行(眼軸伸展)のリスクファクターに関する研究が進んでおり、年齢、性別、遺伝、社会・生活環境等が眼軸伸展と相関があると言われている(非特許文献4を参照)。特に近業作業(読み書き、VDT(Visual Display Terminals)作業)の増加とそれに伴う日光(特に360〜400nmのバイオレットライト)暴露不足が、眼軸伸展のリスクファクターとして注目されつつある(非特許文献5を参照)。とは言え、現代日本社会において、勉強、読書、VDT作業等の屋内が主のライフスタイルを改めさせることは非現実的であり、そのような近業作業が多く、バイオレットライト暴露に乏しい生活環境下でも近視進行を抑制する方法が求められている。
一方、近視に関する研究として、動物を用いた眼軸伸展のメカニズムを解明する試みは1970年代より始まり、WieselとRaviolaは近視と眼軸伸展との関連をrhesus monkeyで実証した(非特許文献6を参照)。その後、tree shrew, chicken等の他の動物でも行われ、近視動物モデルが検討されてきた(非特許文献7,8を参照)。眼軸伸展、近視発症に関わる遺伝子は多数報告されており、EGR−1/ZENK1もその一つである。EGR−1ノックアウトマウスにおいて眼軸伸展と近視化が認められ、EGR−1が眼軸伸展に関与していることが示唆されている(非特許文献9を参照)。しかしながら、EGR−1がノックアウトされたマウスで眼軸伸展と近視の進行が認められたとは言え、複数存在する近視関連遺伝子の一つに過ぎないEGR−1について、in vitroでその発現を増強する薬剤がin vivoで実際に眼軸伸展を抑制し近視進行を抑制できるか否かは確かめられていない。
医学のあゆみ、Vol.253、No.2、2015年. 眼科、第58巻6号、635−641、2016年. 医学のあゆみ、Vol.245、No.10、2013年. Ophthalmologica,Vol.235,78−86,2016. 坪田一男著、「あなたのこども、そのままだと近視になります。」ISBN978−4−7993−2041−9(出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン、発行年月:2017年2月). Nature,Vol.266,66−68,March 1977. Brain Res,Vol.124,154−157,1977. Science,Vol.201,1249−1251,1978. Investigative Ophthalmology & Visual Science,Vol.48,11−17,January 2007. Nat Neurosci、Vo.2,705−712,1999.
一般に、近視の発症には環境因子と遺伝的要因が関連することは広く知られている。最近では、屋外での生活や活動が減少し、室内での生活や活動が増えていることや、スマートフォン、ゲーム機、パーソナルコンピューター、液晶テレビ等の普及により子供から高齢者まで幅広い年齢層でそれらを長時間使用する生活環境になっており、近視化をもたらす近業作業の増加と屋内作業によるバイオレットライト暴露不足は悪化の一途を辿っている。このような背景から、近視予防に繋がる方法や組成物、あるいはそれらを探索できるスクリーニング方法が強く求められている。特に、上記EGR−1遺伝子が眼軸伸展に関与していることに鑑み、EGR−1遺伝子の発現を誘導する物質をスクリーニングし、当該物質を食品、医薬品、又はその他の方法で体内に取り込むことができれば、近視や眼疾患を有効に予防できることにつながる。
本発明の目的は、近視若しくは眼疾患の予防又は処置のために有効な組成物を提供することである。特に、近視が発症・進行する成長期の子供や若年層、さらには、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の眼疾患のリスクが高まる中高年層に効果的である眼科用組成物、その眼科用組成物を含む機能性食品、及びそれらを探索できるスクリーニング方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者等が種々検討した結果、眼軸伸展に関連するEGR−1遺伝子の発現を増強させる効果を有する成分を見出し、同時に、近視動物モデルにおいて眼軸伸展を抑制し、かつ近視進行を予防する成分を見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明に係る組成物は、眼軸伸展が関与する近視若しくは眼疾患の予防又は処置に好適に用いることができる。即ち、本発明の要旨は、以下に記載する通りである。
[1]近視若しくは眼疾患の予防又は処置のために用いられる、クロセチン及びその薬学的に許容される塩、並びにイチョウ葉エキスからなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、眼科用組成物。
[2]クロセチン及びその薬学的に許容される塩、並びにイチョウ葉エキス以外のカロテノイド類及び/又はポリフェノール類をさらに含有する、[1]に記載の眼科用組成物。
[3]前記近視が、軸性近視である、[1]又は[2]に記載の眼科用組成物。
[4]成長期の小児用である、[1]から[3]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[5]前記近視が、強度近視である、[1]から[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6]前記眼疾患が、加齢による眼疾患である、[1]又は[2]に記載の眼科用組成物。
[7]前記眼疾患が、強度近視による合併症である、[1]又は[2]に記載の眼科用組成物。
[8]前記眼疾患が、白内障及び後眼部疾患である、[6]又は[7]に記載の眼科用組成物。
[9]前記後眼部疾患が、緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、及び近視性神経障害からなる群より選択される少なくとも一種である、[8]に記載の眼科用組成物。
[10]眼軸伸展抑制用である、[1]から[9]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[11]EGR−1発現増強用である、[1]から[10]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[12]クロセチン及びその薬学的に許容される塩、並びにイチョウ葉エキスからなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、近視若しくは眼疾患の予防又は処置のための機能性食品。
[13][1]から[11]のいずれかに記載の眼科用組成物を含む、機能性食品。
[14]EGR−1発現の増強効果の有無を指標とすることを特徴とする、近視若しくは眼疾患の予防又は処置に有効な物質のスクリーニング方法。
[15]EGR−1発現増強剤を含有する、眼科用組成物。
[16]前記EGR−1発現増強剤が、抗酸化性植物エキスを含む、[15]に記載の眼科用組成物。
[17]眼軸伸展抑制用である、[15]又は[16]に記載の眼科用組成物。
[18]眼軸伸展抑制剤を含有する、眼科用組成物。
[19]眼軸伸展抑制剤が、抗酸化性植物エキスを含む、[18]に記載の眼科用組成物。
[20]近視若しくは眼疾患の予防又は処置用である、[15]から[19]に記載の眼科用組成物。
[21]近業作業者用及び/若しくは屋内作業者用である、クロセチン及びその薬学的に許容される塩、並びにイチョウ葉エキスからなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する眼科用組成物。
[22]小児用である、[21]に記載の眼科用組成物。
本発明によれば、近視若しくは眼疾患の予防又は処置のために有効な眼科用組成物、それを含む機能性食品、及びそれらを探索できるスクリーニング方法を提供することができる。特に、本発明の眼科用組成物は、近視が発症・進行し易い成長期の子供や若年層、さらには、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の眼疾患のリスクが高まる中高年層に対して、各症状・疾患の予防又は処置のために好適に用いられる。
また、本発明のスクリーニング方法は、眼軸伸展抑制効果又はEGR−1発現を向上させ得る物質の取得を可能とし、近視又は眼疾患を有効に改善できる眼科用組成物や機能性食品等の開発に有用である。
本発明の眼科用組成物に含まれる成分のEGR−1遺伝子発現に対する効果を示すグラフである。 本発明の眼科用組成物に含まれる試験試薬の含量を変えたときのEGR−1遺伝子発現に対する効果を示すグラフである。 実験2で得られた眼軸長測定の結果である。 実験2で得られた屈折測定の結果である。
本発明に係る眼科用組成物、機能性食品及びスクリーニング方法について、以下に詳しく説明する。本発明は、その要旨を含めば、以下の実施形態に限定されず、変形例や応用例を包含する。
<眼科用組成物/第1の実施形態>
本発明の眼科用組成物の第1の実施形態は、抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分、好ましくはカロテノイド類、ポリフェノール類を含有する。これらの成分は、軸性近視や種々の眼疾患の原因となり得る眼軸伸展に関与する遺伝子(EGR−1)発現を調節する機能を有する。そのため、これらの成分を含有する眼科用組成物は、視力を維持する効果を奏し、近視が発症・進行し易い年齢層(成長期の子供、若年層等)に特に効果的である。また、眼軸伸展が原因のひとつと考えられている白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の眼疾患に対しても効果的である。この眼科用組成物は、必須成分である抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでもよい。以下に、本発明の眼科用組成物が含有する成分について詳細に説明する。
本発明の眼科用組成物が含有するカロテノイド類としては、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、クチナシエキス(山梔子)、クチナシ色素、サフランエキス、発芽ブロッコリーエキス、ブロッコリースプラウトエキス、パプリカエキス、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、マリーゴールド抽出物、赤パプリカ、パプリカ色素、西洋人参エキス、トウガラシ抽出液、トチュウ葉エキス、ベニバナエキス、ラフマエキス等を挙げることができる。なお、括弧内は別名である。
ポリフェノール類は、カロテノイド類と同様に抗酸化作用を有し、植物に含まれる苦み、渋み、色素の成分を有する化合物の総称である。本発明の眼科用組成物が含有するポリフェノールとしては、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキス、ノビレチン、ブルーベリー葉エキス、メリンジョエキス、ブドウレスベラトロール、リンゴンベリーエキス、コケモモエキス、グネチンC、ε−ビニフェリン、レスベラトロール、ブドウ種子エキス、黒大豆種皮ポリフェノール、黒豆種皮ポリフェノール、カシスエキス、クルクミン、ホワイトクルクミノイド、ポリメトキシフラボノイド(PMF)、ジヒドロケルセチン、マリアアザミエキス、シリマリン、シリビニン、αGヘスペリジン、ヘスペリジン、メチルヘスペリジン、オレンジ由来ルチノシド、ヘスペレチン、ピクノジェノール、オリゴノール、アマニリグナン、パセリエキス、マキベリーエキス、キウイ種子エキス、シソの実エキス、アカジソエキス、紫蘇葉、アロニアエキス、ハスカップエキス、シアニジン−3−グルコシド、ウラジロガシ抽出エキス、アサイーエキス、カムカムエキス、マロンポリフェノール、大豆イソフラボン、柑橘フルーツエキス、海藻ポリフェノール、パミスエキス、オリーブ果実エキス、スダチ果皮エキス、レンコンエキス、ウコンエキス、エキナケア(エキナセア)、荷葉エキス(ハスの葉)、カンカニクジュヨウ、グアバ葉エキス、クワ葉エキス、ベニバナエキス、コーンシルクエキス、サラシアエキス、シャゼンソウエキス(オオバコ)、セイヨウサンザシエキス、チンピエキス、田七人参エキス、甜茶エキス、トウヒ抽出液、ドクダミエキス、ヤーコンエキス、ラフマエキス、緑茶エキス等を挙げることができる。なお、括弧内は別名である。
上記カロテノイド類やポリフェノール類としては、眼軸長の伸展を抑制する作用に優れると共に、付加的な特性(例えば保全性、安定性等)等を奏するものが好ましい。
上記観点から、カロテノイド類では、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、クチナシエキス(山梔子)、クチナシ色素、サフランエキス、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、マリーゴールド抽出物、赤パプリカ、パプリカ色素、ベニバナエキス、ラフマエキスが好ましく、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、クチナシエキス(山梔子)、クチナシ色素、サフランエキスがより好ましく、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩がさらに好ましい。
上記観点から、ポリフェノール類では、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキス、ノビレチン、ブルーベリー葉エキス、カシスエキス、クルクミン、ホワイトクルクミノイド、パセリエキス、マキベリーエキス、ポリメトキシフラボノイド(PMF)が好ましく、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキスがより好ましく、イチョウ葉エキスがさらに好ましい。
なお、本明細書において「近視」とは、軸性近視であり、眼軸伸展が原因となって起こる近視を指す。眼軸伸展は、調節麻痺剤や散瞳剤を用いて検出することができる。すなわち、ここで言う近視とは、水晶体や毛様体によってピント調節される分を除いた裸眼本来の焦点のズレによって起こるものであり、調節性近視(仮性近視)のように一時的な目の疲れ(毛様体筋の疲労)を除去すると元に戻る近視とは異なる。したがって、ここで言う近視は、“視機能の低下”、“見る力の低下”、“遠くを見る力の低下”、“遠くのものを見る力の低下”、“目の基本性能の低下”、“本来の視力の低下”あるいは“焦点のズレ”とも定義できる。また、本明細書において「眼疾患」とは、眼に関する疾患を言い、具体的には、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の疾患を含む。さらに、本明細書において「後眼部疾患」とは、硝子体、網膜、脈絡膜、強膜又は視神経における疾患を言い、具体的には、緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、近視性神経障害を含む。しかしながら、本実施形態はこれらの定義に制限されることはなく、広く眼軸伸展が関連する症状・疾患等に適用可能である。
また、ここで言う近視若しくは眼疾患の予防又は処置とは、近視進行(眼軸伸展)の抑制であり、乳児期から学童期にかけての正常な眼軸伸展(正常な正視化)とは異なる異常な眼軸伸展を抑制し、それに付随して発症する合併症を予防、治療することである。すなわち、ここで言う近視若しくは眼疾患の予防又は処置とは、前段落(第0022段落)に言う近視を予防又は処置するだけでなく、“眼軸伸展による屈折変化あるいは角膜曲率半径変化の正常化”、“健やかな目の成長サポート”、“成長期の目のサポート”、“視機能の維持”あるいは“目のアンチエージング”とも定義できる。
以下に、本発明の眼科用組成物の第1の実施形態が特に好ましく含有するクロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、イチョウ葉エキスについて詳細に説明する。
クロセチンは、天然色素の一群であり、カロテノイドに分類される成分の一つである。クロセチンは、強い抗酸化作用を持つ成分であり、クチナシ(アカネ科クチナシ属;Gardenia augusta MERRIL var.、grandiflora HORT.、Gardenia jasminoides ELLIS)の果実、サフラン(アヤメ科クロッカス属;Crocus sativus)の柱頭から高純度に抽出することができる。
このクロセチンは、通常、カロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲンチオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。クロシンは、クチナシの果実、サフランの柱頭の乾燥物等に含まれるが、クロシンを得るための工業的原料としてはクチナシの果実が好ましく用いられる。
植物基原からクロシンを抽出する方法は特に限定されず、例えば、粉砕されたクチナシの乾燥果実から水又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール等)、又はそれらの混合液を用いて抽出する等の公知の方法が用いられる。抽出条件は、例えば水・アルコール混合液を用いた場合、0〜50℃で1〜18時間が好ましく、30〜40℃で2〜4時間がより好ましい。抽出操作は通常複数回繰り返される。
工業的には、クロシンの加水分解はアルカリによる加水分解であるのが好ましい。また、加水分解は、攪拌及び/又は加熱下で行われてもよい。攪拌下、20〜70℃で加水分解を行うことが好ましく、40〜60℃で1〜24時間、好ましくは3〜5時間行われる。
クロシンの加水分解がアルカリによる加水分解である場合、通常、加水分解終了後、反応液に塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、又はクエン酸等の有機酸の水溶液を適量加え、pH4.0以下、好ましくはpH1.0〜3.0にすることで、クロセチンを析出させることができる。その後、クロセチンを析出させた混合液を、遠心分離、又はろ過することにより、クロセチンをペースト状の固形物として回収できる。
得られたクロセチンには、通常、酸、中和塩及び原料由来の不純物が固形物表面に付着しているため、該不純物を除去する目的で、洗浄処理が行われる。該処理は、例えば、ペースト状の固形物を十分量の水を用いて水洗する等、公知の方法を用いて行ってよい。次に、例えば棚式の通風乾燥機又は真空乾燥機等を用いて、好ましくは窒素ガスの雰囲気下約50℃を超えない温度で、例えば水洗した固形物を乾燥し、固形物に残留する水を除去することができる。
クロセチンは、純度50質量%以上であることが不純物が少ないという観点から好ましいが、有効性を発揮し得るクロセチン含量さえ得られるなら純度に限定されない。なお、クロセチンの純度は、純品のクロセチンの色価を基準として算出できる。色価は、常法に従って、「化学的合成品以外の食品添加物 自主規格(第二版)」、日本食品添加物協会編、「クチナシ黄色素」を参考にして算出することができる。
クロセチンとしては、上述のように植物等の天然物に含まれるクロシンを加水分解することによって得ることもできるし、化学的に合成したものを用いてもよい。また、クチナシ果実、クチナシエキス、サフランエキス等の天然物に含まれているものを用いてもよい。安全性や純度の観点からは、クロセチンをクチナシ黄色素(食品表示例)から得ることがより望ましい。
クロセチンの薬理学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩;ピリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン等の医薬的に許容される有機アミノ化合物の塩等が挙げられる。
市販のクロセチン製剤としては、例えば理研ビタミン株式会社製のクロビット(登録商標)を例示できる。「クロビットP(商品名)」は、クロセチン含量75%以上の粉末性状であり、「クロビット2.5WD(商品名)」は、クロセチン含量2.5%以上の水分散性製剤である。
本発明の眼科用組成物中のクロセチン又はその薬学的に許容される塩の定性・定量方法は、科学的に妥当な方法であれば特に限定されないが、例えばODSカラムと濃度勾配移動相(TFA水溶液→TFA水−メタノール溶液)を用いた高速液体クロマトグラフィー法で試料を分離し、all-trans-クロセチンや13-cis-クロセチン等を標準物資とし、フォトダイオードアレイ検出器で被験物質を定性・定量することができる。
イチョウ葉エキスは、ケルセチンやケンフェロール、プロアントシアニジンといった多数のフラボノイドとギンコライドに代表されるテルペンラクトンを主成分とした植物エキスで、血流改善の効果を持つエキスであり、乾燥したイチョウの葉(Ginkgo biloba. L.)から常法により抽出することができる。
市販のイチョウ葉エキスとしては、例えば、イチョウハカンソウエキス(インデナジャパン株式会社製)、イチョウ抽出液BG−50(香栄興業株式会社製)、イチョウエキス−FM(タマ生化学株式会社製)、イチョウエキス−F(タマ生化学株式会社製)、イチョウ葉エキスC(丸善製薬株式会社製)を例示できる。
本発明の眼科用組成物が含有する、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、イチョウ葉エキス等の抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分の含有量は特に限定されないが、1日あたりの配合量として、0.001〜5000mg/dayであり、0.01〜1000mg/dayであることが好ましく、0.01〜500mg/dayであることがより好ましい。
本発明の眼科用組成物は、眼軸伸展抑制に関連するEGR−1遺伝子の発現を増強させる効果を有する上記成分を含有することから、EGR−1発現増強用として、また、眼軸伸展抑制用として好適に用いられる。さらに、本発明の眼科用組成物は、眼軸伸展が関与する近視(特に軸性近視)若しくは眼疾患(特に緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、及び近視性神経障害からなる群より選択される少なくとも一種である後眼部疾患)の予防又は処置のために好適に用いられる。このような眼科用組成物の好ましい実施形態である医薬及び食品について、以下に詳細に説明する。
<医薬>
本発明の眼科用組成物を医薬とする場合、薬学的に許容可能な賦形剤等を添加して医薬製剤とすることができる。本発明の医薬は、近視若しくは眼疾患の予防又は処置のために用いることができれば、特に限定されないが、点眼剤、経口剤(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、チュアブル、トローチ等の固形製剤や、液剤、シロップ剤等の液体製剤)、注射剤等とすることができる。これらのうち、本発明の効果を奏し易いという観点から、点眼剤、経口剤が好ましい。本発明の眼科用組成物は、それぞれの性状、用途等に合わせて、上述した成分以外のその他の添加剤を含むことができる。
本発明の眼科用組成物を医薬として用いる場合、対象とする症状・疾患は、眼軸伸展が原因のひとつと考えられるものであれば特に限定されないが、近視、眼疾患が好ましい。近視としては、軸性近視が好ましく、特に軸性近視の発症・進行が起こり易い成長期の小児、若年層の軸性近視がより好ましい。眼疾患としては、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症が好ましく、特に白内障、緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、近視性神経障害がより好ましい。
本発明の眼科用組成物を医薬として用いる場合、対象となるのは、近視若しくは眼疾患の予防又は処置を必要とする人であり、特に近視、中でも軸性近視の発症・進行が起こり易い成長期の小児や若年層、具体的には、主に20歳未満の小児及び20歳代〜30歳代の若年層、好ましくは2歳〜15歳、より好ましくは6歳〜12歳の成長期の小児である。また、白内障、緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、近視性神経障害等の加齢性の眼疾患リスクが高くなる中高年層に対しても、それぞれの症状に合わせて、好適に用いられる。
本発明の眼科用組成物を近業作業者用及び/若しくは屋内作業者用として用いる場合、眼軸伸展のリスクファクターを有する人であれば特に限定されないが、対象となるのは、主に屋内の近業作業が多い人、あるいは主に屋外でのバイオレットライト(360〜400nmの可視光)暴露が少ない人である。特に、勉強、読書、パーソナルコンピューター、テレビ、テレビゲームに費やす時間が比較的長い小児や学童が好ましく、屋外での活動が少なくなりがちな高齢者も好ましい。
(点眼剤)
本発明の眼科用組成物を点眼剤として用いる場合には、少なくともクロセチン又はその薬学的に許容される塩等の抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分の水に対する溶解性及び安定性が考慮され、水性点眼剤、用時溶解点眼剤、懸濁性点眼剤、油性点眼剤、眼軟膏剤等から選ばれる。例えばクロセチンは、水になじむ構造と油になじむ構造とを併せもつカロテノイド水溶性であるので、本発明の眼科用組成物の剤形は、通常、水性点眼剤又は懸濁性点眼剤とすることができる。
点眼剤には、上述の成分に加えて、その他の有効成分(薬理活性成分、生理活性成分等)を配合することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分、収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分、糖類、高分子化合物又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、局所麻酔薬成分、上記成分以外の緑内障治療成分、上記成分以外の白内障治療成分等が例示できる。
点眼剤には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種又はそれ以上を併用して含有させることができる。それらの成分又は添加物として、例えば、液剤等の調製に一般的に使用される担体、香料又は清涼化剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、キレート剤、安定化剤、等張化剤、緩衝剤、粘稠化剤等の各種添加剤を挙げることができる。以下に、点眼剤に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
担体としては、例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒が挙げられる。なお、各種成分が水性溶媒に溶けにくい場合には、可溶化剤を用いてもよい。可溶化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、ポビドン、ポリソルベート80等が挙げられる。
香料又は清涼化剤としては、例えば、テルペン類(具体的には、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウ等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)、精油(ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等)等が挙げられる。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤としては、例えば、塩化ポリドロニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩等)、グローキル(ローディア社製の商品名)等が挙げられる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム水和物、ポビドン、ポリソルベート80、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、濃グリセリン、ブドウ糖、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、炭酸水素ナトリウム、トロメタモール、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、グリセリン等が挙げられる。
本発明の点眼剤は、クロセチン又はその薬学的に許容される塩等の抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分を0.001〜1質量%含有することが好ましく、0.01〜0.1質量%含有することがより好ましい。また、その他の添加剤は、本発明の効果を期待して、又は本発明の効果を阻害しない範囲内で配合することができる。その含有量は特に限定されないが、組成物中の含有量で0.001〜1質量%程度であることが好ましい。
点眼剤のpHは、3〜10とすればよく、4〜9が使用感の観点から好ましく、5〜8.5が使用感の観点からより好ましい。
本発明の点眼剤を充填する容器としては、公知の点眼容器を制限なく使用できる。点眼容器としては、通常、眼に点眼剤を滴下できる形状、例えばノズルを備え、ノズルの先に容器口を備える形状のものを使用することができる。また、本発明の点眼剤を収容する点眼容器としては、容器にそれとは別成形されたノズルが装着されている構造のもの、及びノズル部(液の注出部)と容器本体とが一体成型された構造のもの(例えば、1回使い切りタイプの点眼剤等)のいずれであってもよい。
本発明の点眼剤を収容する容器は、通常プラスチック製とすればよい。該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドのいずれか1種、これらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が挙げられる。特に押出の加減等で本願発明の効果を発揮し易い点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート又はこれらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合体が好ましい。
本発明の点眼剤は、このような材料を主材料とする透明容器(異物を観察するのに差し支えない程度の透明性を備えた容器)に充填されてもよいし、遮光された容器に充填されてもよい。遮光は、例えば透明容器材料に着色剤を添加することにより行ってもよいし、容器をシュリンクフィルムや外箱等で覆うことにより、遮光してもよい。また、容器の容量は、押出の加減等で本発明の効果をより一層発揮し易くするために、0.5〜50mL程度が好ましく、3〜20mL程度がより好ましい。
また、本発明の点眼剤を収容する容器に備えられているノズルについても、その構造や構成素材については特に制限されるものではない。ノズルの構造については、点眼剤容器のノズルとして一般的に採用されている構造であればよく、またノズルの構成素材については、例えば、上記プラスチック容器の構成素材と同様のものが例示される。本発明の点眼剤の液切れを一層良好にさせ、滴下量のバラツキも抑えるという観点からは、ポリエチレン、又はポリプロピレンを構成素材として含むノズルが好適である。ポリエチレンの種類としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でも低密度ポリエチレンを構成素材として含むノズルが好適である。
(点眼剤の製造方法)
本発明の点眼剤は、当業者に慣用・公知の方法で調製できる。例えば、各成分を水等の担体に分散させた後、必要であれば可溶化剤を添加し、必要に応じて加温し、ホモジナイザー等を用いて均一化、溶解又は乳化させ、pH調整剤でpHを調整することにより調製すればよい。また、製剤の滅菌方法としては、オートクレーブ滅菌、ろ過滅菌等の方法を選択することができる。
(使用方法)
本発明の点眼剤の用法・用量は、患者の症状、年齢等により変動するが、通常、1日約1〜6回、1回約1〜2滴を点眼すればよい。
(経口剤:固形製剤)
本発明の眼科用組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤とすることができる。経口剤は、携帯性に優れ、口から容易に一定量を取ることができるという利点がある。経口剤の形状は、取り扱い易さや摂取のし易さを考慮して、形状、重さ、大きさ、色等が設計される。固形製剤には、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種又はそれ以上を併用して含有させることができる。それらの成分又は添加物として、例えば、上述のクロセチン又はその薬学的に許容される塩等の抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分、カロテノイド類、ポリフェノール類等の成分以外に、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を配合することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いることもできる。以下に、固形製剤に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖等の糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、β−シクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリン、オリーブ油等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ、サラシミツロウ等が挙げられる。
これらの添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で配合することができる。
(経口剤(固形製剤)の製造方法)
本発明の眼科用組成物を固形製剤とする場合、当業者に慣用・公知の方法で調製できる。例えば、組成物を練合し、スクリーンを通過させることで成型する押出造粒物を、粉砕し、整粒する方法、前記組成物に練合水を加えバーチカルグラニュレーターによって成型する攪拌造粒の後に、コーミルを用いて粉砕・篩過する方法、及び前記製剤組成物をローラーコンパクターで圧縮した後、ロールグラニュレーターで粉砕し篩過する方法、撹拌造粒の後に、流動層乾燥する方法が例示される。また、例えば、直打により製造する場合には、組成物を混合した後、直接、打錠機に投入して打錠すればよい。
(経口剤:液状製剤)
本発明の眼科用組成物は、例えば、シロップ剤、ドリンク剤等の液状製剤とすることもできる。液状製剤には、上述の成分以外に、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等を配合することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤甘味剤等の添加物を用いることもできる。これらの添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で配合することができる。
溶剤としては、例えば、水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤・乳化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;例えば、シェラックロウ、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、環状ラノリン、ラノリンワックス、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等ワックス類等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
本発明の眼科用組成物を液状製剤とする場合、通常の方法を使用することができる。液状製剤とする場合には、少なくともクロセチン又はその薬学的に許容し得る塩等の抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分の水に対する溶解性及び安定性が考慮される。例えばクロセチンは、水になじむ構造と油になじむ構造とを併せもつカロテノイド水溶性であるので、本発明の眼科用組成物の剤形は、通常、水性製剤又は懸濁性製剤とすることができる。
本発明の経口剤(固形製剤、液状製剤)の投与量は、対象疾患及び状態、疾患の程度、対象者の年齢、体重等に応じて適宜設定することができる。クロセチン量としては、1日当たり0.075〜75mg/dayであり、0.1〜25mg/dayがより好ましく、0.25〜10mg/dayがさらに好ましい。クロセチン以外のエキス量としては、1日当たり0.1〜5000mg/dayであり、1〜1000mg/dayがより好ましく、10〜300mg/dayがさらに好ましい。投与回数としては、1日あたり1回でもよいし、複数回でもよい。
<食品>
本発明の眼科用組成物は、食品に含有させて提供され得る。このような機能性食品としては、健康食品、機能性表示食品、健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保険用食品又は通常の食品等が挙げられる。これらの食品は、本発明の眼科用組成物を含むため、近視若しくは眼疾患の予防又は処置を必要とする人、特に近視、中でも軸性近視の発症・進行が起こり易い成長期の小児や若年層、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の加齢性の眼疾患のリスクが高くなる中高年層に対して、それぞれの症状に合わせて、好適に摂取され得る。また、これら以外であっても、眼軸伸展が原因で起こる症状・疾患に対して、眼軸伸展抑制用として改善効果等を期待して広く摂取され得る。
これらの食品の形状としては、ジュース、清涼飲料、ドリンク剤、茶等の液状、ビスケット、タブレット、顆粒粉末、粉末、カプセル等の固形、ペースト、ゼリー、スープ、調味料、ドレッシング等の半流動状等が挙げられる。
具体的には、米飯;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺、カップ麺を含む各種の麺類;清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等の飲料;カレールー、シチュー、各種スープ類;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;飴、クッキー、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、その他の焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、ドレッシング、味噌、醤油、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、ふりかけ、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品等が例示される。
さらに、本発明の眼科用組成物を含有させて提供され得る食品にはサプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等)も含まれる。
また、ペット等の動物用の餌に対して本発明の眼科用組成物を含有させることもできる。
これらの食品は、いずれも当業者に公知の方法によって、クロセチン又はその薬学的に許容される塩を添加して製造することができる。
食品には、必要に応じて、添加物が加えられる。このような添加物としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、マンニット、デキストリン、クエン酸、クエン酸ソーダ、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンC、ビタミンB類、ビタミンE、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、界面活性剤、色素、香料、保存剤等が挙げられる。
本発明における食品は、近視若しくは眼疾患(例えば、白内障、緑内障、網膜剥離、黄斑円孔、中心窩分離症、網膜浮腫、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、近視性黄斑変性、加齢黄斑変性、近視性神経障害等の後眼部疾患)の予防作用、同改善作用等を有する旨の表示を付したものであってもよい。また、本発明における食品は、近視(中でも軸性近視)の発症・進行が起こり易い、成長期の小児用;白内障、網膜剥離、緑内障、黄斑変性、脈絡膜新生血管等の加齢性の後眼部疾患のリスクが高くなる中高年層用;眼軸伸展が原因で起こる症状・疾患用;眼軸伸展抑制用等の表示を付したものであってもよい。
以上、本発明に係る眼科用組成物、医薬(点眼剤、経口剤等)、食品(機能性食品、特定保健用食品等)は、近視が発症したり近視が進行したりする年代、特に成長期の子供や若年層に対して効果的である。特に、視力低下(近視の発症、近視の進行)を抑制することができ、主に、20歳未満の小児及び20歳代〜30歳代の若年層、好ましくは2歳〜15歳、より好ましくは6歳〜12歳の成長期の子供で起こり易い眼軸長の伸展を抑える作用効果を奏する。また、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、黄斑症、脈絡膜新生血管、後部ぶどう腫及び視神経症等の加齢性の後眼部疾患のリスクが高くなる中高年層に対しても効果的である。
<眼科用組成物/第2の実施形態>
本発明の眼科用組成物の第2の実施形態は、EGR−1発現増強剤を含有する眼科用組成物である。ここで、EGR−1発現増強剤とは、眼軸伸展抑制に関与していることが知られているEGR−1遺伝子の発現強度を増強することができる物質をいう。本発明の眼科用組成物は、このEGR−1発現増強剤を含むことで、眼軸伸展が原因のひとつと考えられる近視や眼疾患の予防又は処置のために好適に用いることができる。本発明の眼科用組成物は、視力を維持する効果を奏し、特に近視が発症・進行し易い年齢層(成長期の子供、若年層等)に効果的である。また、眼軸伸展が原因のひとつと考えられている白内障、網膜剥離、緑内障、黄斑変性、脈絡膜新生血管等の後眼部疾患に対しても効果的である。
EGR−1発現増強剤は、抗酸化性植物エキスを含むことが好ましい。この抗酸化性植物エキスとしては、カロテノイド類、ポリフェノール類を含む植物エキスが好ましい例として挙げられる。なお、カロテノイド類、ポリフェノール類としては、本発明の第1の実施形態において例示したものをここでも同様に例示できる。
上記カロテノイド類のうち、EGR−1発現増強効果(眼軸長の伸展抑制効果)により優れるという観点から、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、クチナシエキス(山梔子)、クチナシ色素、サフランエキス、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、マリーゴールド抽出物、赤パプリカ、パプリカ色素、ベニバナエキス、ラフマエキスが好ましく、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、クチナシエキス(山梔子)、クチナシ色素、サフランエキスがより好ましく、クロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩がさらに好ましい。
ポリフェノール類では、EGR−1発現増強効果(眼軸長の伸展抑制効果)により優れるという観点から、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキス、ノビレチン、ブルーベリー葉エキス、カシスエキス、クルクミン、ホワイトクルクミノイド、パセリエキス、マキベリーエキス、ポリメトキシフラボノイド(PMF)が好ましく、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキスがより好ましく、イチョウ葉エキスがさらに好ましい。
本発明の眼科用組成物中のEGR−1発現増強剤の含有量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、例えば0.001〜20質量%であり、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
EGR−1発現増強剤を含有する本発明の眼科用組成物の好ましい実施形態としては医薬、食品が挙げられる。本発明の眼科用組成物を医薬、食品とする場合に含んでもよいその他の成分等の具体的な説明は、第1の実施形態における説明を適用できる。なお、第1の実施形態において抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分として記載されている箇所は「EGR−1発現増強剤」と置き換えて理解することができる。
<眼科用組成物/第3の実施形態>
本発明の眼科用組成物の第3の実施形態は、眼軸伸展抑制剤を含有する眼科用組成物である。ここで、眼軸伸展抑制剤とは、眼軸伸展を抑制する効果がある物質を言い、これを含有する眼科用組成物は、眼軸伸展が原因のひとつと考えられる近視や眼疾患の予防又は処置のために好適に用いることができる。本発明の眼科用組成物は、視力を維持する効果を奏し、特に近視が発症・進行し易い年齢層(成長期の子供、若年層等)に効果的である。また、眼軸伸展が原因のひとつと考えられている白内障、網膜剥離、緑内障、黄斑変性、脈絡膜新生血管等の後眼部疾患に対しても効果的である。
眼軸伸展抑制剤としては、例えば上述したEGR−1発現増強剤、具体的には抗酸化性植物エキス、好ましくはカロテノイド類、ポリフェノール類等、より好ましくはクロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、イチョウ葉エキス、マンゴスチンエキス、イチゴ種子エキス、クルミポリフェノール、ガラナエキス、ジャワショウガエキス、さらに好ましくはクロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩、イチョウ葉エキスが挙げられ、特に好ましくはクロセチン、クロセチンの薬学的に許容される塩が挙げられる。眼軸伸展抑制剤を含有する眼科用組成物を医薬、食品とする場合も本発明に含まれる。その他の成分等の具体的説明は、第1の実施形態における説明を適用できる。なお、第1の実施形態において抗酸化性植物エキス又はそれ由来の成分として記載されている箇所は、「眼軸伸展抑制剤」と置き換えて理解することができる。
<近視若しくは眼疾患の予防又は処置に有効な物質のスクリーニング方法>
眼軸伸展に関与していることが知られているEGR−1遺伝子発現強度を指標として、近視若しくは眼疾患の予防又は処置に有効な物質をスクリーニングすることができる。EGR−1遺伝子は眼軸長の進展に関与することが知られており、この遺伝子発現を増強させる効果を有する物質は、眼軸伸展を抑制する効果があると言える。
本発明のスクリーニング方法は、(1)試験物質又は陰性対照物質で細胞、組織、個体等を処理する工程(以下、「処理工程」ともいう)、(2)細胞若しくは組織、又は被験体の細胞若しくは組織におけるEGR−1遺伝子の発現量を測定する工程(以下、「測定工程」ともいう)、を少なくとも含む。
上記試験物質としては、カロテノイド類、ポリフェノール類、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、カロテノイド類のうちクロセチン、ポリフェノール類のうちイチョウ葉エキスが好ましく用いられるが、これに限られるものではない。また、上記群より選択される2種以上の物質を試験物質とする場合には、そのうちの1種がクロセチン又はイチョウ葉エキスであることが好ましい。この場合、クロセチン又はイチョウ葉エキス以外の物質としては、クロセチン又はイチョウ葉エキスとの相乗効果でEGR−1の上昇を促す物質であることが好ましいが、これに限られるものではない。具体的には、試験物質をクロセチンのみとすることもできるし、クロセチン及びイチョウ葉エキスとすることも可能である。
上記処理工程において、細胞又は組織を試験物質等で処理する場合は、当業者に周知の方法により行うことができる。例えば、培養細胞の培地中に上記試験物質等を添加し、一定時間(例えば1〜72時間)培養してもよい。また、被験体(ヒト又はその他の動物)に試験物質等を含む組成物を1回又は複数回摂取させてもよい。
上記測定工程においては、細胞又は組織におけるEGR−1遺伝子発現を、当業者に周知の方法により測定することができる。例えば定量RT−PCR法により、細胞又は組織におけるEGR−1mRNAの発現を測定してもよい。また、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにより、常法に従ってEGR−1遺伝子発現レベルを測定してもよい。
すなわち、詳細には、本発明のスクリーニング方法は、カロテノイド類、ポリフェノール類、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有させることにより生じる眼軸伸展抑制効果又はEGR−1発現効果を有する物質をスクリーニングする方法であって、(a)カロテノイド類、ポリフェノール類、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の試験物質を添加した試験体を準備する工程((a)工程という。)、(b)上記試験体のEGR−1発現を測定する工程((b)工程という。)、及び(c)EGR−1発現効果が認められる試験体を選び、該試験体に含まれる試験物質を眼軸伸展抑制物質又はEGR−1発現増強物質として選択する工程((c)工程という。)、を含むスクリーニング方法と言える。
上記(a)工程において、EGR−1遺伝子が連結されたレポーター遺伝子を含む核酸が、スクリーニングに使用する細胞内に導入され、当該細胞に、カロテノイド類、ポリフェノール類、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の試験物質を導入して試験体とする。
レポーター遺伝子としては、例えば緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などが利用可能であり、当業者であれば容易に選択することが可能である。また、レポーター遺伝子を含む核酸は、本発明のスクリーニング方法を実施する細胞内において、レポーター遺伝子を発現させるものであればいかなるものであってもよく、例えばプラスミドベクター、ウイルスベクター、等を挙げることができる。
本発明のスクリーニングに使用する細胞は、EGR−1遺伝子が機能し、且つ上記レポーター遺伝子が発現可能な(機能しうる)細胞であればいかなる細胞であってもよく、また、いかなる種由来であってもよい。例えば、ほ乳類細胞(マウス、ラット、ヒトなど)や、鳥類の細胞(ニワトリ雛など)を使用してもよい。
ここで、試験体に添加する試験物質としては、その濃度を段階的に希釈しておき、複数の濃度の試験物質を含む試験体を調整してもよい。また、陰性対照物質を含む対照実験は、陰性対照物質を含む以外は、試験体と同様に準備することもできる。
このようにして調整した試験体を用いて、次の(b)工程に供する。
上記(b)工程は、上記試験体のEGR−1発現を測定する工程である。例えば、上記レポーター遺伝子の発現により、EGR−1発現を測定する工程である。この場合、レポーター遺伝子の発現の変化は当業者であれば容易に検出・測定することが可能である。例えば、GFPやルシフェラーゼのように発光性の蛋白質の遺伝子をレポーター遺伝子として使用する場合には、細胞を培養後、細胞を溶解し、発光を測定するのに適したプレートに溶解物を移し発光を測定してもよく、あるいは、培養した細胞からの発光を直接測定してもよい。測定に使用する機器としては、例えば公知のルミノメーター等を使用することができる。
上記(c)工程において、眼軸伸展抑制作用又はEGR−1発現させる作用が強い物質を選択するには、上記(b)工程において測定されたEGR−1発現量が対照実験よりも大きい試験体を選べばよい。すなわち、発光性の蛋白質の遺伝子をレポーター遺伝子として使用する場合には、発光量の大きい試験体を選べばよい。
本発明のスクリーニング方法により得られる眼軸伸展抑制物質又はEGR−1発現増強物質は、眼軸伸展抑制効果又はEGR−1上昇効果を向上させることを目的として、あるいは近視もしくは眼疾患を有効に改善することを目的として、眼科用組成物や機能性食品等に配合することができる。
本発明を実施例と比較例によりさらに詳しく説明する。
[実験1]
(安定発現株の作製)
EGR−1誘導効果の確認実験を行った。先ず、ヒト胎児腎細胞株(HEK293T)と、EGR−1遺伝子導入されたレンチウイルスベクター(製品名「Cignal Lenti EGR−1 Reporter(luc)」、Quiagen社)とを準備した。1日目、24ウエルプレートにヒト胎児腎細胞株を播き、5%COインキュベーター中で37℃で24時間増殖させた。2日目、レンチウイルス150μL/ウエルを形質導入し、さらに12μLのSureENTRY形質導入試薬(Quiagen社)を加え、5%COインキュベーター中で37℃で一晩置いた。その後、レンチウイルスをMedium(媒体)と一緒に除去し、ピューロマイシン(1μg/mL)を用いて選別した。こうした手順により、EGR−1活性依存的−Firefly−Luciferaseを遺伝子導入してなるHEK293T細胞株(安定発現株)を作製した。
(遺伝子発現解析)
次に、ルシフェラーゼを用いた遺伝子発現解析を行った。解析には、マルチモードプレートリーダー(製品名「Synergy HTX」、BioTek社)を用いた。EGR−1活性依存的−Firefly−Luciferaseを遺伝子導入してなるHEK293T細胞株を、96ウエルプレートへ1×10個/ウエルを播種した。細胞がプレート底面へ生着した後に、試験試薬を添加し、24時間後にPromega社製のLuciferase assay systemを用いて発光強度の測定を行なった。
試験試薬としては、クロセチン(クロビットP、理研ビタミン株式会社製)、イチョウ葉エキス(イチョウハカンソウエキス、インデナジャパン株式会社製)、クルミポリフェノール(クルミポリフェノール−P10、オリザ油化株式会社製)、マンゴスチンエキス(マンゴスチンアクア、日本新薬株式会社製)、イチゴ種子エキス(イチゴ種子エキス−P、オリザ油化株式会社製)、ガラナエキス(ガラナエキスパウダー、日本粉末株式会社製)、ジャワショウガエキス(ジャワしょうがエキス粉末、株式会社ホソダSHC製)、またEGR−1発現の陽性対照であるPMA(12−ミリスタート 13−アセタート、abcam社製)を用いた。濃度が最終的に0.25mg/mLとなるように、上記の試験試薬をDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、一晩常温(約20℃)に放置し、その後、遠心して上清を細胞培養液に添加し、0.25mg/mLの試験試薬を得た。
なお、濃度を変えた試験では、クロビットPを用いた。クロビットPはクロセチン含量75%以上の粉末であり、そのクロビットPをDMSO(ジメチルスルホキシド)に100mg/mLとなるように溶解し、一晩常温(約20℃)に放置した。その後、遠心して上清を細胞培養液に添加して、0.125mg/mLの試験試薬と、0.25mg/mLの試験試薬を得た。
(結果)
図1は、上記した種々の試験試薬を添加した場合と添加しない場合のEGR−1発現誘導の結果を示すグラフである。図2は、試験試薬として用いたクロセチン(クロビットP)の濃度を変えた場合の結果を示すグラフである。図1からわかるように、試験試薬を含まないDMSOだけを添加した場合に比べ、クロセチン(クロビットP)を0.25mg/mL添加した場合の結果は、発光強度が5.7倍になり、陽性対照であるPMAと比較しても顕著な差が見られた。すなわち、クロセチンによる顕著なEGR−1誘導効果が確認された。また、イチョウ葉エキスの発光強度も3.8倍程度になっているとともに、他の試験試薬も陽性対照であるPMAと同等の発光強度になっているのが確認された。
また、図2からわかるように、クロビットPを0.125mg/mL添加した場合の結果と、クロビットPを0.25mg/mL添加した場合の結果は、試験試薬を含まないDMSOだけを添加した場合に比べ顕著に増強された。つまり、DMSOとのDunnett検定を実施したところ、0.125mg/mLで5.0倍(P<0.01)、倍濃度の0.25mg/mLで5.2倍(P<0.005)と、それぞれ高度に有意であり、in vitroにおいてクロセチンによりEGR−1発現が顕著に増強された。
非特許文献9、10は、EGR−1誘導効果と眼軸長との関係を報告している研究論文であり、EGR−1をノックアウトしたマウスで眼軸伸展が認められること(非特許文献9)と、眼軸伸展を人為的に抑制するとEGR−1発現が増強されること(非特許文献10)が検証されている。しかし、細胞レベルでEGR−1発現を増強できる薬剤が、個体レベルで眼軸伸展を抑制し、その結果として近視進行が抑制されるか否かは未だ検証されていない。そこで、次に、近視モデル動物における眼軸伸展の検証試験を実施した。
[実験2]
実験2では、近視モデル動物における眼軸伸展の検証試験を行った。マウスは、C57BL/6Jマウス(オス3週令)を使用した。マウスを光環境(12時間/12時間)下で、コントロール餌群(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)又は0.003%クロビットP混合餌(オリエンタル酵母工業株式会社)を3週令から6週令まで与え続けた。
(測定装置、測定手順)
測定装置として、スペクトラルドメイン光コヒーレンストモグラフィー(Envisu R4310、Leica社製)と、マウス用赤外線フォトリフレクター(Infrared photorefractor for miceと、Version 1.0.15b3、株式会社堀内電機製作所製)を用いた。なお、マウス用赤外線フォトリフレクターは、Prof.F Schaeffel氏(Steinbeis Transfer Center、Germany)作製のマウスの眼を認識可能に改良された装置であり、赤外線LEDを使ってマウスの目を照らし、それと同時に赤外線カメラを使って目からの赤外線反射光を感知し、反射光の形状と強度から近視度を判断する装置である。この装置は、近視研究領域において広く使われており、研究室を渡ってデータを比較することも可能である。屈折は、安定した値を得られてから100回を平均した値を採用した。各群について、welch−t検定を実施し、P値が0.05以下を有意(”*”としてグラフに表示)、0.01以下を高度に有意(”**”としてグラフに表示)とした。
試験試薬として、測定時瞳孔を安定させるためにミドリンP(登録商標、参天製薬株式会社)を使用した。また、三種混合麻酔(塩酸メデトミジン(ドミトール/登録商標、日本全薬工業株式会社)、ミタゾラム(ドルミカム/登録商標、アステラス製薬株式会社)、酒石酸ブトルファノール(ベトルファール/登録商標、Meiji Seika株式会社))、麻酔を覚ますために塩酸アチパメゾール(アンチセダン/登録商標、日本全薬工業株式会社)、ペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル/登録商標、共立製薬株式会社)を使用した。
試験は、先ず、眼パラメーターを測定した。この測定は、(1)ミドリンP(登録商標)を点眼して両眼散瞳し、(2)三種混合麻酔を腹腔内に投与して麻酔をかけ、(3)マウス用赤外線フォトリフレクターで屈折を測り、(4)スペクトラルドメイン光コヒーレンストモグラフィーで眼軸長を測定した。
次に、マウスに眼鏡を取り付けた。具体的には、頭頂部の皮膚を剪刀で切除し、歯科用スーパーボンド(4−META/MMA−TBBレジン)で頭蓋骨上に3Dプリンターで作成した眼鏡用支柱を接着し、左眼に0Diopterレンズ、右眼に−30Diopterレンズを取り付けた。
次いで、(a)アンチセダン(登録商標)を使って麻酔から覚まし、(b)各餌群に分けて飼育し(この際、眼鏡のレンズが汚れたときには随時クリーニングした)、(c)6週令になったら再度上記した眼パラメーターを測定した。
(結果)
図3は眼軸長測定の結果であり、図4は屈折測定の結果である。図3の結果より、in vitro[実験1]でEGR−1発現増強作用が確認されたクロビットPの0.003%混合餌を与えた近視誘導マウス(グラフ中の0.003%)において、コントロール餌を与えたマウス(グラフ中のcontrol)に比較して眼軸伸展が有意(p<0.05)に抑制された。また図4の結果より、近視誘導していないマウス(グラフ中の0Dのcontrol)と比較して近視誘導(グラフ中の−30Dのcontrol)により屈折(Diopter)が有意(P<0.01)に低下し、マウスに顕著な近視が誘導された。また、同様にクロビットP餌を与えた近視誘導マウス(グラフ中の−30Dの0.003%)において、コントロール餌を与えたマウス(グラフ中の−30Dのcontrol)に比較して屈折が有意(P<0.05)に高く、近視誘導がクロセチンにより顕著に抑制された。つまり、in vivoにおいてクロセチンが近視進行を顕著に予防した。また、in vitroでEGR−1発現増強作用を有する薬物をスクリーニングすることで、効率よく実際の生体における眼軸伸展抑制成分をスクリーニングできることが確認された。

Claims (8)

  1. 軸性近視予防又は処置のために用いられる、クロセチン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、眼科用組成物。
  2. 近視予防又は処置のために眼軸伸展抑制用として用いられる、クロセチン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、眼科用組成物。
  3. 成長期の小児用である、請求項1又は2に記載の眼科用組成物。
  4. 前記近視が、強度近視である、請求項1からのいずれか1項に記載の眼科用組成物。
  5. 近業作業者用及び/若しくは屋内作業者用である、請求項1からのいずれか1項に記載の眼科用組成物。
  6. EGR−1発現増強用である、請求項1からのいずれか1項に記載の眼科用組成物。
  7. クロセチン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、軸性近視予防又は処置のための機能性食品。
  8. クロセチン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する、近視予防又は処置のための眼軸伸展抑制用の機能性食品。
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