JP2020025503A - 眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメント - Google Patents
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Abstract
【課題】老化による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を防止、抑制することができ、眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができる、眼の老化予防剤を提供すること。【解決手段】ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を有効成分として含有する眼の老化予防剤を提供する。【選択図】図2
Description
本発明は、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を用いる、眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントに関する。
老化による眼の疾患、視力低下は加齢による眼に関するQOLを大きく損なう。代表的な眼の疾患である加齢黄斑変性症は、原因不明の難病であり、世界的に主要な失明原因の1つとされている。病態は、網膜色素上皮細胞の機能異常であるが、網膜の黄斑部が変性することにより、視野の中心部分がぼけたり、歪んで見えたり、中心が見えなくなったり、暗くなる等の症状を引き起こす疾患である。
網膜色素上皮細胞の機能異常は、加齢すなわち老化によるものであるため、多くの場合、加齢黄斑変性症は高齢者に見られる疾患である。網膜色素上皮細胞の老化のメカニズムについては未だに不明な部分が多く、現在の医療技術では、発症してしまった患者に対して進行を遅らせる以外に治療手段はなく、一度発症してしまうと根本的に治療する方法がない疾患である。従って、加齢黄斑変性症は発症させないこと、予防が重要な疾患である。
また、加齢黄斑変性症は、紫外線が網膜色素上皮細胞を細胞死させる、若しくは網膜厚の減少を促進するため、引き起こされる眼病であるともいわれている。紫外線の特定の波長が、眼の水晶体や網膜にダメージを与え、結果として、眼疾患や眼の老化を促進させると考えられている。
網膜色素上皮細胞の機能異常は、加齢すなわち老化によるものであるため、多くの場合、加齢黄斑変性症は高齢者に見られる疾患である。網膜色素上皮細胞の老化のメカニズムについては未だに不明な部分が多く、現在の医療技術では、発症してしまった患者に対して進行を遅らせる以外に治療手段はなく、一度発症してしまうと根本的に治療する方法がない疾患である。従って、加齢黄斑変性症は発症させないこと、予防が重要な疾患である。
また、加齢黄斑変性症は、紫外線が網膜色素上皮細胞を細胞死させる、若しくは網膜厚の減少を促進するため、引き起こされる眼病であるともいわれている。紫外線の特定の波長が、眼の水晶体や網膜にダメージを与え、結果として、眼疾患や眼の老化を促進させると考えられている。
この加齢黄斑変性症については、多くの薬剤や治療法が提案されている。例えば、特許文献1には、イソキノリン骨格を有する化合物が、スペルミジンにより誘発される網膜色素上皮細胞死を抑制することが記載されており、当該化合物を有効成分とする網膜色素上皮細胞保護剤が提案されている。さらに、特許文献2には、S−アリル−L−システインが、網膜色素上皮細胞内に蓄積し、光により酸化して網膜色素上皮細胞を損傷させる物質の酸化を抑制する機能を有することが記載されており、S−アリル−L−システインを有効成分とする、眼疾患予防または治療組成物が提案されている。
一方、加齢黄斑変性症は予防が重要であることからも、不快な症状が発現する以前の健康な状態から、手軽に摂取できる予防剤が望まれている。
一方、加齢黄斑変性症は予防が重要であることからも、不快な症状が発現する以前の健康な状態から、手軽に摂取できる予防剤が望まれている。
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、老化による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を防止、抑制することができ、眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができる、眼の老化予防剤を提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物に、老化による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を防止、抑制または改善する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
2.1.に記載の有効成分にルテオリニジンが含まれることを特徴とする、眼の老化予防剤。
3.ルテオリニジンを有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
4.1.〜3.いずれか1項に記載の眼の老化予防剤を含有する、眼の老化予防用サプリメント。
1.ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
2.1.に記載の有効成分にルテオリニジンが含まれることを特徴とする、眼の老化予防剤。
3.ルテオリニジンを有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
4.1.〜3.いずれか1項に記載の眼の老化予防剤を含有する、眼の老化予防用サプリメント。
本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を有効成分として含有する眼の老化予防剤は、網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少を防止または抑制することが出来るため、加齢黄斑変性症などの眼病予防効果を発揮する。また、本発明の眼の老化予防用サプリメントは、角膜や水晶体を通過した紫外線による網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少に起因する、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができる。
特に、最近では加齢による目の老化だけではなく、パソコン、スマートフォン、ゲーム機など紫外線を発生する機器の画面を長時間凝視することによる、紫外線による眼の障害が問題となっている。本発明の眼の老化予防用サプリメントは、角膜や水晶体を通過した紫外線による網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少に起因する、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができる。
一方、本発明の有効成分であるソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、食用色素として食品添加物として認められており、ヒトに対して安全であり、長期間摂取しても弊害が想定しにくい。したがって、健康な人はもとより、老齢者や若齢者の年齢を問わず日常生活において摂取し得るサプリメントとしても有用である。
これまで、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物が、ヒトの網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少を防止または抑制することに有用であることは知られておらず、このソルガム(Sorghum nervosum)抽出物が有する効果を見出したのは本発明者が初めてである。さらに、本発明者は、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物に含まれるルテオリニジンが、紫外線によるヒトの網膜色素上皮細胞死を抑制する効果を発揮することも見出した。これらは、本発明者により初めて明らかにされたことであり、格別顕著な効果である。
特に、最近では加齢による目の老化だけではなく、パソコン、スマートフォン、ゲーム機など紫外線を発生する機器の画面を長時間凝視することによる、紫外線による眼の障害が問題となっている。本発明の眼の老化予防用サプリメントは、角膜や水晶体を通過した紫外線による網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少に起因する、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができる。
一方、本発明の有効成分であるソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、食用色素として食品添加物として認められており、ヒトに対して安全であり、長期間摂取しても弊害が想定しにくい。したがって、健康な人はもとより、老齢者や若齢者の年齢を問わず日常生活において摂取し得るサプリメントとしても有用である。
これまで、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物が、ヒトの網膜色素上皮細胞死や網膜厚の減少を防止または抑制することに有用であることは知られておらず、このソルガム(Sorghum nervosum)抽出物が有する効果を見出したのは本発明者が初めてである。さらに、本発明者は、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物に含まれるルテオリニジンが、紫外線によるヒトの網膜色素上皮細胞死を抑制する効果を発揮することも見出した。これらは、本発明者により初めて明らかにされたことであり、格別顕著な効果である。
以下、本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントについて詳細に説明する。なお、本明細書において「眼」とは光を受容する感覚器全体を意味する。
また、本発明において「眼の老化」とは、年齢の増加に伴う光を受容する感覚器全体の変化や機能の低下に加え、年齢に関係なく紫外線により引き起こされる網膜色素上皮細胞の障害、いわゆる紫外線による眼細胞の老化を意味する。年齢や紫外線への暴露頻度とともに、細胞の再生補充が減少してくるため、視覚機能の異常や維持能力が低下する。特に、視神経細胞は再生できないため、加齢による現象が顕著である。本発明における「眼の老化」の中でも、網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少は眼細胞の老化に伴い顕著に生じるものであり、解決すべき課題の1つである。
また、本発明において「眼の老化」とは、年齢の増加に伴う光を受容する感覚器全体の変化や機能の低下に加え、年齢に関係なく紫外線により引き起こされる網膜色素上皮細胞の障害、いわゆる紫外線による眼細胞の老化を意味する。年齢や紫外線への暴露頻度とともに、細胞の再生補充が減少してくるため、視覚機能の異常や維持能力が低下する。特に、視神経細胞は再生できないため、加齢による現象が顕著である。本発明における「眼の老化」の中でも、網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少は眼細胞の老化に伴い顕著に生じるものであり、解決すべき課題の1つである。
本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、有効成分としてソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を含有するものである。
ソルガム(Sorghum nervosum)とは、イネ科モロコシ属の一年草で、茎は直立し草丈は1〜4mを超えるものもあり、古くから食料や飼料として利用されてきた植物である。世界5大穀物の1つでもあり、米国ではとうもろこし、大豆、小麦に続く重要な農作物として注目されている。日本では「たかきび(高黍)」、中国では「コウリャン(高粱)」と呼称される植物である。その栄養素は、食物繊維、ミネラルを豊富に含み、最近では抗酸化作用を持つタンニンの存在についても研究され、ヘルシー雑穀として健康志向の食生活に期待の食材であり、例えば、有色ソルガムきび品種は、抗酸化作用に富み、すべての品種においてグルテンを含まないため、グルテンフリー食材としても注目されている。
ソルガム(Sorghum nervosum)は種子の部分が白いもの(ホワイトソルガム)と有色のもの(有色ソルガム)に分かれ、有色ソルガムには、ブラックソルガム、ブラウンソルガム、レッドソルガム、イエローソルガムがある。本発明におけるソルガム(Sorghum nervosum)は、種子の部分が白い/有色何れに関わらず、全ての種子部分を意味する。
ソルガム(Sorghum nervosum)とは、イネ科モロコシ属の一年草で、茎は直立し草丈は1〜4mを超えるものもあり、古くから食料や飼料として利用されてきた植物である。世界5大穀物の1つでもあり、米国ではとうもろこし、大豆、小麦に続く重要な農作物として注目されている。日本では「たかきび(高黍)」、中国では「コウリャン(高粱)」と呼称される植物である。その栄養素は、食物繊維、ミネラルを豊富に含み、最近では抗酸化作用を持つタンニンの存在についても研究され、ヘルシー雑穀として健康志向の食生活に期待の食材であり、例えば、有色ソルガムきび品種は、抗酸化作用に富み、すべての品種においてグルテンを含まないため、グルテンフリー食材としても注目されている。
ソルガム(Sorghum nervosum)は種子の部分が白いもの(ホワイトソルガム)と有色のもの(有色ソルガム)に分かれ、有色ソルガムには、ブラックソルガム、ブラウンソルガム、レッドソルガム、イエローソルガムがある。本発明におけるソルガム(Sorghum nervosum)は、種子の部分が白い/有色何れに関わらず、全ての種子部分を意味する。
本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、ソルガムの種子を水または水溶性溶媒(例えば、エタノールなど)または酸性/アルカリ性水溶性溶媒等により、室温から100℃程度の加温状態において抽出されたものを意味する。抽出物は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物として、食品添加物として市販されている「コウリャン色素」を使用しても良い。コウリャン色素は、ソルガム(Sorghum nervosum)の種子および殻より、温時〜熱時水、含水エタノールもしくは酸性含水エタノールで抽出して得られたもの、または、室温時〜温時アルカリ性水溶液で抽出して得られたものである。主色素は、ルテオリニジンとアピゲニニジンである。本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物も、ルテオリニジンとアピゲニニジンを含有する。
ルテオリニジンの化学名は、5,7−ジヒドロキシ−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1−ベンゾピランであり、アピゲニニジンの化学名は5,7−ジヒドロキシ−2−(4’−ヒドロキシフェニル)−1−ベンゾピランである。ルテオリニジンとアピゲニニジンは下記に化学構造を示すとおり、ベンゾピラン環に結合するベンゼン環上のヒドロキシ基が、ルテオリニジンは2つであるのに対して、アピゲニニジンは1つである点でのみ相違する化合物である。
本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物として、食品添加物として市販されている「コウリャン色素」を使用しても良い。コウリャン色素は、ソルガム(Sorghum nervosum)の種子および殻より、温時〜熱時水、含水エタノールもしくは酸性含水エタノールで抽出して得られたもの、または、室温時〜温時アルカリ性水溶液で抽出して得られたものである。主色素は、ルテオリニジンとアピゲニニジンである。本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物も、ルテオリニジンとアピゲニニジンを含有する。
ルテオリニジンの化学名は、5,7−ジヒドロキシ−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1−ベンゾピランであり、アピゲニニジンの化学名は5,7−ジヒドロキシ−2−(4’−ヒドロキシフェニル)−1−ベンゾピランである。ルテオリニジンとアピゲニニジンは下記に化学構造を示すとおり、ベンゾピラン環に結合するベンゼン環上のヒドロキシ基が、ルテオリニジンは2つであるのに対して、アピゲニニジンは1つである点でのみ相違する化合物である。
後述する実施例において詳細に説明するが、本発明のソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制する効果を発揮するが、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物に含まれるルテオリニジンも、同様に紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制する効果を奏することが明らかとなった。一方、ベンゾピラン環に結合するベンゼン環上のヒドロキシ基の数のみがルテオリニジンと相違するアピゲニニジンは、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制する効果が認められなかった。このような、化学構造上の僅かな違いによるルテオリニジンとアピゲニニジンとの、網膜色素上皮細胞の細胞死に対する抑制効果の違いは、今回初めて明らかになったことであり、非常に興味深い結果である。
ルテオリニジンはそれ自体が眼の老化予防剤機能を有するため、ソルガム抽出物に含有されるものだけでなく、他の植物から抽出されるもの、精製された純粋な化合物や化学的な合成法によって製造されるものなど、ルテオリニジンが有するヒトの網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制する機能を阻害しない限り、その塩、誘導体、修飾体などの態様も含めて本発明の目的に使用することができる。
ルテオリニジンはそれ自体が眼の老化予防剤機能を有するため、ソルガム抽出物に含有されるものだけでなく、他の植物から抽出されるもの、精製された純粋な化合物や化学的な合成法によって製造されるものなど、ルテオリニジンが有するヒトの網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制する機能を阻害しない限り、その塩、誘導体、修飾体などの態様も含めて本発明の目的に使用することができる。
本発明における「眼の老化」の1つである、網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少は、疾患とまではいえないが視覚機能が低下した不快な状態を引き起こす。視覚機能が低下した不快な状態には、老化による眼の疲れ、紫外線などによる眼精疲労、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる等が含まれる。網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少は、悪化すると緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離、中途失明等の眼疾患をも引き起こす。
本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、このような網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を抑制するため、上述のような網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少が引き起こす、視覚機能が低下した不快な状態を防止または改善することができるだけでなく、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離、中途失明等の眼疾患をも防止することができるという、顕著な効果を発揮する。
網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少は、紫外線などの光刺激により誘発され得るものであり、本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を抑制することができる。
本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、このような網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を抑制するため、上述のような網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少が引き起こす、視覚機能が低下した不快な状態を防止または改善することができるだけでなく、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離、中途失明等の眼疾患をも防止することができるという、顕著な効果を発揮する。
網膜色素上皮細胞の細胞死および網膜厚の減少は、紫外線などの光刺激により誘発され得るものであり、本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を抑制することができる。
本発明の眼の老化予防剤は、ヒトを含む哺乳動物に投与あるいは摂取させることにより、その効果を発揮させることができる。例えば、本発明の眼の老化予防剤の投与または摂取により、紫外線などの光刺激による網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制することができる。また、本発明の眼の老化予防剤の投与または摂取により、紫外線などの光刺激による網膜厚の減少を抑制し、適正な網膜厚を維持することができる。
本発明の眼の老化予防剤は、ヒトのみならず、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等の家畜、さらに、イヌ、ネコ等のペットなどに対しても効果を発揮する。
本発明の眼の老化予防剤は、ヒトのみならず、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等の家畜、さらに、イヌ、ネコ等のペットなどに対しても効果を発揮する。
本発明の眼の老化予防剤は、医薬品、医薬部外品、食品、飼料(ペットフードを含む)などの形態で提供することができる。すなわち、本発明の眼の老化予防剤は医薬組成物を含む。本発明の眼の老化予防剤は、経口投与または点眼による投与が挙げられるが、経口投与する形態が好ましい。経口投与に適した製剤形としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される製剤助剤を用いて製剤化することができる。薬学上許容される製剤助剤としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
さらに、本発明の眼の老化予防剤は、食品組成物、すなわち飲食品を含む。該食品組成物は、眼の不快な状態の防止、抑制または改善に用いることができる。対象となる飲食品の種類は、本発明の眼の老化予防剤の有効成分の効果が阻害されないものであれば特に限定されない。また、食品組成物にはサプリメントが含まれ、サプリメントの製剤形は限定されず、他の機能性成分も含んでいてもよい。本発明の眼の老化予防剤としては、サプリメントとして用いる形態が好適である。
さらに、本発明の眼の老化予防剤は、食品組成物、すなわち飲食品を含む。該食品組成物は、眼の不快な状態の防止、抑制または改善に用いることができる。対象となる飲食品の種類は、本発明の眼の老化予防剤の有効成分の効果が阻害されないものであれば特に限定されない。また、食品組成物にはサプリメントが含まれ、サプリメントの製剤形は限定されず、他の機能性成分も含んでいてもよい。本発明の眼の老化予防剤としては、サプリメントとして用いる形態が好適である。
本発明の眼の老化予防用サプリメントの摂取量は、通常、有効成分であるソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を濃縮・凍結乾燥したものとして、1人1日あたり1〜1000mg、好ましくは5〜500mg、より好ましくは10〜100mgであり、適宜増減できる。摂取は、通常1日以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは1カ月以上継続することが適している。
本発明の眼の老化予防用サプリメントは、摂取開始時からの期間において、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができ有用である。
本発明の眼の老化予防用サプリメントは、摂取開始時からの期間において、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができ有用である。
以下、本発明の眼の老化予防剤の調整例や、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死抑制評価等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
<ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物の調整>
市販のブラックソルガムの実(300g)を、3,000mLの50%エタノール水溶液を使用して、還流条件により1時間の抽出作業を2回行い、200メッシュのスクリーンを通すことで濾別により固液分離した。得られた抽出液を減圧下に濃縮し、エタノールを除去した水溶液の段階で凍結乾燥して、抽出固形物12.3g(固形収率:4.1%)を得た。
この抽出物の色価を食品添加物公定書の試験方法に従って測定したところ239(E10%1センチ)であり、食品添加物コウリャン色素の規格に合致していた。
市販のブラックソルガムの実(300g)を、3,000mLの50%エタノール水溶液を使用して、還流条件により1時間の抽出作業を2回行い、200メッシュのスクリーンを通すことで濾別により固液分離した。得られた抽出液を減圧下に濃縮し、エタノールを除去した水溶液の段階で凍結乾燥して、抽出固形物12.3g(固形収率:4.1%)を得た。
この抽出物の色価を食品添加物公定書の試験方法に従って測定したところ239(E10%1センチ)であり、食品添加物コウリャン色素の規格に合致していた。
<予備試験:UV−B照射量の検討>
網膜色素上皮細胞に照射する紫外線量を決めるために、予備試験を行った。
使用した細胞と培地の詳細は以下のとおりである。
(1)使用細胞と培地について
使用した細胞と培地の詳細は以下のとおりである。
細胞:ヒト網膜色素上皮細胞株(ARPE−19)(ATCC CRL−2302)
培地:10%FBS(Fetal Bovine Serum)/1%PS(Penicillin、Streptomycin)添加DMEM/F−12
(2)予備試験方法について
細胞を、96穴プレートに播種し、二酸化炭素インキュベーター内(5%CO2、37℃)で100%コンフルエントになるまで培養し、新たな培地に交換して、さらに6時間培養した。次いで、UV−B照射装置を使用して、UV−B強度が約1500μW/cm2(紫外線強度計を使用した測定)を、0秒、20秒、100秒、200秒、1000秒間照射(UV−B照射量=0、30、150、300、1500mJ)した。24時間培養後の細胞の生存率について、生存細胞数測定試薬(SF:WST−8)を使用して吸光度を測定し、UV−B照射量が0mJの吸光度を基準(100%)として、相対性細胞数を算出した。試験は3回行い、吸光度はその平均値を使用した。
(3)予備試験結果データ
予備試験結果を、下記表1と図1に示す。
(4)予備試験結果からの結論
表1および図1の結果より、UV−B照射量300mJでヒト網膜色素上皮細胞の生存率が概ね50%に低下することが確認された。この結果より、ヒト網膜色素上皮細胞の細胞死抑制確認試験におけるUV−B照射量は、300mJとした。
網膜色素上皮細胞に照射する紫外線量を決めるために、予備試験を行った。
使用した細胞と培地の詳細は以下のとおりである。
(1)使用細胞と培地について
使用した細胞と培地の詳細は以下のとおりである。
細胞:ヒト網膜色素上皮細胞株(ARPE−19)(ATCC CRL−2302)
培地:10%FBS(Fetal Bovine Serum)/1%PS(Penicillin、Streptomycin)添加DMEM/F−12
(2)予備試験方法について
細胞を、96穴プレートに播種し、二酸化炭素インキュベーター内(5%CO2、37℃)で100%コンフルエントになるまで培養し、新たな培地に交換して、さらに6時間培養した。次いで、UV−B照射装置を使用して、UV−B強度が約1500μW/cm2(紫外線強度計を使用した測定)を、0秒、20秒、100秒、200秒、1000秒間照射(UV−B照射量=0、30、150、300、1500mJ)した。24時間培養後の細胞の生存率について、生存細胞数測定試薬(SF:WST−8)を使用して吸光度を測定し、UV−B照射量が0mJの吸光度を基準(100%)として、相対性細胞数を算出した。試験は3回行い、吸光度はその平均値を使用した。
(3)予備試験結果データ
予備試験結果を、下記表1と図1に示す。
表1および図1の結果より、UV−B照射量300mJでヒト網膜色素上皮細胞の生存率が概ね50%に低下することが確認された。この結果より、ヒト網膜色素上皮細胞の細胞死抑制確認試験におけるUV−B照射量は、300mJとした。
<ヒト網膜色素上皮細胞の細胞死抑制効果確認試験>
(1)試験検体について
ヒト網膜色素上皮細胞の細胞死抑制効果確認試験において、試験検体として以下の物質を使用した。
ソルガム抽出物:上記ブラックソルガム抽出固形物を使用
アピゲニニジン:アピゲニニジンクロライド(富士フイルム和光純薬製試薬)
ルテオリニジン:ルテオリニジンクロライド(富士フイルム和光純薬製試薬)
(2)試験方法について
上記予備試験と同じヒト網膜色素上皮細胞を、96穴プレートに播種し、二酸化炭素インキュベーター内(5%CO2、37℃)で100%コンフルエントになるまで培養し、上記試験検体(3濃度)添加培地および試験検体を添加しない培地(非添加)それぞれに交換し、6時間培養した。次いで、UV−B照射装置を使用して、UV−B照射量が300mJとなるように照射した。24時間培養後の細胞の生存率について、生存細胞数測定試薬(SF:WST−8)を使用して吸光度を測定し、試験検体を添加せず(非添加)にUV−B照射した検体の吸光度を基準とした相対比とダネット検定(Dunnett’s test)により、細胞死抑制効果について判断した。試験は5回行い、吸光度はその平均値を使用した。
なお、ヒト網膜色素上皮細胞が上記試験検体(3濃度)添加培地において細胞死しないことは、別途試験において確認した。
(1)試験検体について
ヒト網膜色素上皮細胞の細胞死抑制効果確認試験において、試験検体として以下の物質を使用した。
ソルガム抽出物:上記ブラックソルガム抽出固形物を使用
アピゲニニジン:アピゲニニジンクロライド(富士フイルム和光純薬製試薬)
ルテオリニジン:ルテオリニジンクロライド(富士フイルム和光純薬製試薬)
(2)試験方法について
上記予備試験と同じヒト網膜色素上皮細胞を、96穴プレートに播種し、二酸化炭素インキュベーター内(5%CO2、37℃)で100%コンフルエントになるまで培養し、上記試験検体(3濃度)添加培地および試験検体を添加しない培地(非添加)それぞれに交換し、6時間培養した。次いで、UV−B照射装置を使用して、UV−B照射量が300mJとなるように照射した。24時間培養後の細胞の生存率について、生存細胞数測定試薬(SF:WST−8)を使用して吸光度を測定し、試験検体を添加せず(非添加)にUV−B照射した検体の吸光度を基準とした相対比とダネット検定(Dunnett’s test)により、細胞死抑制効果について判断した。試験は5回行い、吸光度はその平均値を使用した。
なお、ヒト網膜色素上皮細胞が上記試験検体(3濃度)添加培地において細胞死しないことは、別途試験において確認した。
(3)細胞死抑制効果確認試験結果データについて
細胞死抑制効果確認試験結果を、下記表2と図2に示す。
ダネット検定値より、p<0.05は「*」、p<0.01は「**」、p<0.001は「***」とし、これを表2と図2に表記した。
細胞死抑制効果確認試験結果を、下記表2と図2に示す。
ダネット検定値より、p<0.05は「*」、p<0.01は「**」、p<0.001は「***」とし、これを表2と図2に表記した。
(4)細胞死抑制効果確認試験結果について
表2および図2の結果より、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物と、ソルガム抽出物に含まれるルテオリニジンは、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制し、ヒト網膜色素上皮細胞の細胞生存率を向上させ得ることが明らかとなった。また、ソルガム抽出物に含まれるアピゲニニジンは、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制し得ないことも確認された。ルテオリニジンとアピゲニニジンは、上述のとおり同じ基本骨格に結合するヒドロキシ基の数が1つだけ相違する化合物であるが、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死に対する抑制効果に、大きな相違があることが上記試験により明らかとなった。
表2および図2の結果より、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物と、ソルガム抽出物に含まれるルテオリニジンは、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制し、ヒト網膜色素上皮細胞の細胞生存率を向上させ得ることが明らかとなった。また、ソルガム抽出物に含まれるアピゲニニジンは、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死を抑制し得ないことも確認された。ルテオリニジンとアピゲニニジンは、上述のとおり同じ基本骨格に結合するヒドロキシ基の数が1つだけ相違する化合物であるが、紫外線によるヒト網膜色素上皮細胞の細胞死に対する抑制効果に、大きな相違があることが上記試験により明らかとなった。
本発明の眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメントは、紫外線による網膜色素上皮細胞の細胞死や網膜厚の減少を抑制することができるため、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜剥離、中途失明等の眼疾患をも防止するなどの眼病予防効果を発揮する。また、自覚的または客観的な眼の不快な状態を防止、抑制または改善することができ有用である。
本発明の有効成分であるソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、食用色素として食品添加物として認められており、ヒトに対して安全であり、長期間摂取しても弊害が想定しにくい。したがって、健康な人はもとより、老齢者や若齢者の年齢を問わず日常的に摂取し得るサプリメントとしても有用である。
本発明の有効成分であるソルガム(Sorghum nervosum)抽出物は、食用色素として食品添加物として認められており、ヒトに対して安全であり、長期間摂取しても弊害が想定しにくい。したがって、健康な人はもとより、老齢者や若齢者の年齢を問わず日常的に摂取し得るサプリメントとしても有用である。
Claims (4)
- ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
- 請求項1に記載の有効成分にルテオリニジンが含まれることを特徴とする、眼の老化予防剤。
- ルテオリニジンを有効成分として含有する、眼の老化予防剤。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の眼の老化予防剤を含有する、眼の老化予防用サプリメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018152200A JP2020025503A (ja) | 2018-08-13 | 2018-08-13 | 眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメント |
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JP2018152200A JP2020025503A (ja) | 2018-08-13 | 2018-08-13 | 眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメント |
Publications (1)
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ID=69619563
Family Applications (1)
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JP2018152200A Pending JP2020025503A (ja) | 2018-08-13 | 2018-08-13 | 眼の老化予防剤および眼の老化予防用サプリメント |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020025503A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021149442A1 (ja) * | 2020-01-20 | 2021-07-29 | 株式会社萌芽プランツ | フラボノイド組成物 |
-
2018
- 2018-08-13 JP JP2018152200A patent/JP2020025503A/ja active Pending
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WO2021149442A1 (ja) * | 2020-01-20 | 2021-07-29 | 株式会社萌芽プランツ | フラボノイド組成物 |
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Legal Events
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A711 | Notification of change in applicant |
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A521 | Written amendment |
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