JP6501958B1 - 圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】全体として細長い線状の形態を有する圧電素子であって、柔軟性および耐屈曲性に優れた新規な圧電素子を提供する。【解決手段】樹脂線に少なくとも1層の金属箔が螺旋状に巻き付けられている芯線と、前記芯線を被覆する有機圧電体層と、前記有機圧電体層を被覆する導電体層とを含み、前記金属箔および前記導電体層が、それらの間に前記有機圧電体層が介挿された電極としてそれぞれ機能する、圧電素子。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子に関し、より詳細には、ケーブル状またはワイヤー状などと称され得る、全体として細長い線状の形態を有する圧電素子に関する。
圧電素子は、圧電体を使用した素子であり、例えば、圧電体の正圧電効果を利用する(圧電体に加えられた外力を電圧に変換する)ことによってセンサとして、また、圧電体の逆圧電効果を利用する(圧電体に印加された電圧を力に変換する)ことによってアクチュエータとして、さまざまな用途において使用されている。
かかる圧電素子のうち、全体として細長い線状の形態を有する圧電素子として、従来、同軸ケーブル状の圧電素子が知られている。例えば、非特許文献1には、芯線(内部導体)にPVDFピエゾフィルムテープ(圧電体)を螺旋状に巻き付け、これを銅の編み線(外部導体)で覆い、更に、ポリエチレンの外被で被覆した構成を有するピエゾケーブルが開示されている。また、特許文献1には、導電性ワイヤーと、導電性ワイヤーを被覆する高分子圧電体層と、高分子圧電体層の外側の表面に配置された導電体層を含む圧電ワイヤーであって、高分子圧電体層が、β型ポリフッ化ビニリデン共重合体を含み、導電性ワイヤーの線径が、1.0mm以下である圧電ワイヤーが開示されている。
特開2017−183570号公報
オンラインカタログ「PIEZO FILM PRODUCT INFORMATION」、p15、「ピエゾポリマー同軸ケーブル」、[online]、2012年4月、株式会社東京センサ、[平成30年8月23日検索]、インターネット<URL:http://www.t-sensor.co.jp/catalog/PIEZO2012.pdf>
しかしながら、非特許文献1に記載のピエゾケーブルは、芯線として、金属の撚り線(線径1.02mm)を用いており、ポリエチレンの外被まで含めたケーブル全体の線径が2.67mmとなっている。かかるピエゾケーブルは、可撓性ではあるが、未だ硬くて、小さな曲率半径で曲げると芯線に歪みが残留し得、また、繰り返し曲げると芯線が破断して導通が切断され得、このため圧電素子として機能しなくなり得る。また、特許文献1に記載の圧電ワイヤーは、可撓性ではあるが、芯線として、金属の単線または撚り線を用いており(特許文献1の第0045および0050段落)、柔軟性および耐屈曲性の点で必ずしも十分ではない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、全体として細長い線状の形態を有する圧電素子であって、柔軟性および耐屈曲性に優れた新規な圧電素子を提供することを目的とする。
本発明によれば、
樹脂線に少なくとも1層の金属箔が螺旋状に巻き付けられている芯線と、
前記芯線を被覆する有機圧電体層と、
前記有機圧電体層を被覆する導電体層と
を含み、前記金属箔および前記導電体層が、それらの間に前記有機圧電体層が介挿された電極としてそれぞれ機能する、圧電素子が提供される。
すなわち、本発明によれば、樹脂線に少なくとも1層の金属箔が螺旋状に巻き付けられている芯線を用いており、かかる芯線を有機圧電体層で被覆し、更に導電体層で被覆して、圧電素子が構成される。かかる本発明の圧電素子は、全体として細長い線状の形態を有する圧電素子とすることができる。本発明の圧電素子は、樹脂線に少なくとも1層の金属箔が螺旋状に巻き付けられている芯線を用いているので、小さな曲率半径で曲げても芯線に歪みが残り難く、よって、柔軟性に優れ、かつ、繰り返し曲げても芯線が破断して導通が切断され難く、よって、耐屈曲性に優れる。
本発明の1つの態様において、前記樹脂線に2層以上の金属箔が螺旋状に巻き付けられていてよい。
本発明の1つの態様において、前記樹脂線に前記少なくとも1層の前記金属箔が螺旋状にギャップ巻されていてよい。かかる態様において、前記金属箔の螺旋ピッチに対するギャップの割合は、0.4〜50%であり得る。
本発明の1つの態様において、前記樹脂線は、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、および炭素繊維からなる群より選択される少なくとも1種の材料から構成されていてよい。
本発明の1つの態様において、前記金属箔は、6〜100μmの厚さを有し得、および/または、0.02〜2mmの幅を有し得る。
本発明の1つの態様において、前記芯線は、0.05〜1.5mmの外形寸法を有し得る。
本発明の1つの態様において、前記有機圧電体層は、1〜200μmの厚さを有し得る。
本発明の1つの態様において、前記有機圧電体層は、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体、およびフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体から成る群より選択される少なくとも1種を含むものであり得る。
本発明の1つの態様において、前記圧電素子は、前記導電体層を被覆する絶縁体層を更に含んでいてよい。
本発明の圧電素子は、例えばセンサおよびアクチュエータのいずれかまたは双方として使用され得る。
本発明によれば、全体として細長い線状の形態を有する圧電素子であって、柔軟性および耐屈曲性に優れた新規な圧電素子が提供される。
本発明の1つの実施形態における圧電素子を示す概略図であって、(a)は圧電素子の部分切除側面図を示し、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図を示し、(c)は(b)の改変例を示す。 本発明の1つの実施形態における圧電素子に使用可能な芯線を示す概略図であって、(a)は芯線の側面図を示し、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図を示し、(c)は(b)の改変例を示す。 本発明の実施例における圧電素子からの出力の一例を示す、電圧信号の経時変化グラフである。 本発明の実施例における圧電素子からの出力の別の例を示す、電圧信号の経時変化グラフである。 本発明の実施例における圧電素子からの出力の更に別の例を示す、電圧信号の経時変化グラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述する。なお、添付の図面中、電極端子を黒丸にて模式的に示す。
図1を参照して、本実施形態の圧電素子20は、樹脂線1に少なくとも1層の金属箔3が螺旋状に巻き付けられている芯線5と、芯線5を被覆する有機圧電体層7と、有機圧電体層7を被覆する導電体層9とを有し、場合により、導電体層9を被覆する絶縁体層11を更に有する。圧電素子20において、金属箔3および導電体層9が、それらの間に有機圧電体層7が介挿された電極としてそれぞれ機能する(図1(b)参照)。かかる圧電素子20は、ケーブル状またはワイヤー状などと称され得る、全体として細長い線状の形態を有し、圧電素子全体として柔軟性を有するように構成される。圧電素子20において、芯線5、有機圧電層7、導電体層9、および存在する場合には絶縁体層11は、略同軸上に配置され得るが、本発明はかかる構成に限定されない。
本実施形態の圧電素子20は以下のようにして製造され得る。
図2に示すように、本実施形態に使用可能な芯線5は、樹脂線1に少なくとも1層の金属箔3が螺旋状に巻き付けられた構成を有するものであればよい。芯線5は、かかる構成を有することにより、引っ張った場合に引張り応力が主として樹脂線1に作用して芯線5全体が伸長し得、好ましくは3%以上の引張伸度を示し得、比較的小さな曲率半径で曲げた場合(例えば、後述する柔軟性試験に付した場合)にも、芯線5に歪みが残留せず、優れた柔軟性を示す。また、芯線5は、かかる構成を有することにより、繰り返し曲げても導通が切断され難く(例えば、後述する耐屈曲性試験において5000回以上の繰り返し曲げに付しても導通を維持でき)、優れた耐屈曲性を示す。従って、かかる芯線5を用いた本実施形態の圧電素子20は、柔軟性および耐屈曲性に優れるという効果を奏し得る。
樹脂線1は、樹脂材料から構成される全体として線状の部材であればよい。かかる樹脂材料の例としては、芳香族ポリアミド(アラミド、例えばパラ型アラミド、メタ型アラミド等)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、および炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ(CNT)等)からなる群より選択される少なくとも1種の材料が挙げられる。
樹脂線1は、実質的に円形、楕円、矩形、多角形などの任意の断面形状を有し得、中空および中実のいずれであってもよく、単線、撚り線および編み線などであってもよい。樹脂線1の外形寸法D(非円形断面を有する場合は断面の最大の外形寸法、円形断面を有する場合は外径、以下同様)は、特に限定されず、芯線5に所望される外形寸法および樹脂線1に巻き付けられる金属箔3の厚さ(2層以上の金属箔の場合には、それらの総厚さ)等を考慮して適宜選択され得る。樹脂線1の外形寸法Dは、例えば0.05〜2mmであり得、特に1mm以下、より特に0.5mm以下であり得る。
金属箔3は、金属材料から構成される箔状(または層状)の部材であればよい。金属材料としては、電極として機能するのに適した高い導電性を示す(従って、圧電素子全体として低い抵抗値を示すのに寄与する)任意の適切な金属材料を使用でき、単一の金属材料が使用されていても、複数の金属材料が使用されていても(例えば、ある金属材料の母材に他の金属材料のメッキが施されていても)よい。かかる金属材料の好ましい例としては、銅および銅含有合金(例えば銅錫合金、銅銀合金等)が挙げられ、例えば錫等のメッキを有していても、有していなくてもよい。これらは、高い導電性を示すうえ、銅が高い延性を示すことから機械的強度に優れ、圧電素子20の柔軟性および耐屈曲性を一層高めることができる。
金属箔3は、金属箔の単層であっても、2層以上の金属箔が重ね合わされたもの(即ち、2層以上の金属箔の積層体)であってよい。後者の場合、樹脂線1に2層以上の金属箔が螺旋状に巻き付けられる。例えば、図2(c)に示すように、金属箔3aおよび金属箔3bが重ね合わされて、樹脂線1に螺旋状に巻き付けられ得る。互いに隣接する二層の金属箔は、少なくとも部分的に重ね合わさっていればよく(図2(c)参照)、例えば金属箔の幅の20%以上、特に40%以上で重ね合わさっていればよい。
金属箔3として、2層以上の金属箔の積層体を使用する場合、例えば繰り返し曲げ等により、2層以上の金属箔のうちいずれかが破断しても、金属箔の積層体全体では導通が切断されることを回避できるため、圧電素子20が故障することをより効果的に防止できる。金属箔の層数は、例えば2〜4層であり得、特に3層以下、より特に2層であり得る。
金属箔3の厚さおよび幅は、芯線5に所望される外形寸法、柔軟性および耐屈曲性等を考慮して適宜選択され得る。樹脂線1の外形寸法Dに対する金属箔3の厚さの割合は、例えば0.4〜100%であり得、金属箔3の厚さは、例えば6〜100μmであり得、特に30μm以下、より特に15μm以下であり得る。金属箔3の幅は、例えば0.02〜2mmであり得、特に1mm以下、より特に0.5mm以下であり得る。なお、金属箔3の厚さは、1層の金属箔が使用される場合には、その厚さを言い、2層以上の金属箔が重ね合わされて使用される場合には、それらの総厚さを言うものとする。金属箔3の幅は、樹脂線1に螺旋状に巻き付けられ得る金属箔3の長手方向に沿った中心線に対して垂直な方向における寸法(または金属箔3の長手方向に沿った両側部間の最短距離)を言うものとする。2層以上の金属箔が重ね合わされて使用される場合、各金属箔の厚さおよび幅は互いに同じであっても、異なっていてもよいが、典型的には同じであり得る。
芯線5において、樹脂線1に少なくとも1層の金属箔3が螺旋状に、好ましくは一定の螺旋ピッチPで巻き付けられ、重ね巻きされていない。螺旋ピッチPの寸法は、金属箔3の幅より大きければよく、特に限定されない。芯線5(または圧電素子20)に応力が作用していない状態において、樹脂線1の外形寸法Dに対する螺旋ピッチPの割合は、例えば2〜4700%、特に100〜500%であり得、かかる範囲において、芯線5ひいては圧電素子20の柔軟性および耐屈曲性を一層高めることができる。螺旋ピッチPは、例えば0.03mm〜2.35mm、特に0.05〜0.6mmであり得る。
芯線5において、樹脂線1に少なくとも1層の金属箔3が螺旋状にギャップ巻されていることが好ましい。「ギャップ巻」とは、間隔巻きとも呼ばれ、図1〜2に示すように、樹脂線1に金属箔3を螺旋状に巻き付ける際に、金属箔3にギャップG(図2(a)参照)を設けて巻き付けることを意味する。ギャップGは、樹脂線1の露出部に一致し、ギャップGの寸法は樹脂線1の露出部に基づいて計測され得る(特に、2層以上の金属箔が重ね合わされて使用され、かつこれら金属箔が互いにずれている場合に、かかる計測方法が適用される)。芯線5(または圧電素子20)に応力が作用していない状態において、螺旋ピッチPに対するギャップGの割合は、例えば0.4〜50%、特に5〜40%であり得、かかる範囲において、芯線5ひいては圧電素子20の柔軟性および耐屈曲性を一層高めることができる。ギャップGは、例えば0.01〜0.35mm、特に0.1mm以下であり得る。
芯線5の外形寸法D(図2(b)に示すように非円形断面を有する場合は断面の最大の外形寸法、円形断面を有する場合は外径、以下同様)は、特に限定されず、圧電素子20に求められる仕様に応じて様々であり得る。芯線5は、極めて細くすることが可能であり、その外径寸法Dは、例えば0.05〜1.5mmであり得、特に1.0mm以下、より特に0.5mm以下、より一層特に0.3mm以下であり得る。
再び図1を参照して、芯線5を有機圧電体層7により被覆する。有機圧電体層7は、芯線5の金属箔3と導電体層9との間に、これらが互いに接触しないように設けられ、かつ、好ましくは金属箔3と密着して設けられる。
有機圧電体層7は、有機圧電体として既知の任意の材料から構成され得る。有機圧電体は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックスで代表される無機圧電体に比べて高い耐衝撃性および耐屈曲性を有する。有機圧電体層7を成す材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン系共重合体(フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体(P(VDF/TrFE))、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体(P(VDF/TeFE))を包含する)などを使用してよい。このうち、有機圧電体層7は、P(VDF/TrFE)およびP(VDF/TeFE)から成る群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
有機圧電体層7の厚さは、特に限定されず、圧電素子20に所望される圧電特性(正圧電効果および/または逆圧電効果)、柔軟性および耐屈曲性等を考慮して適宜選択され得る。有機圧電体層7の厚さは、例えば1〜200μmであり得、特に100μm以下、より特に50μm以下であり得る。
有機圧電体層7を成す材料は、実際に使用する材料に応じて、圧電性を発現するために必要な処理、例えば延伸および/または分極処理などが、芯線5を被覆する前、被覆形成している間およびその後の任意の適切なタイミングで施され得る。
例えば、有機圧電体層7を成す材料としてPVDFを用いる場合、有機圧電体層7は次のようにして形成され得る。PVDFは、α、β、γの3種の結晶構造をとり得、通常は、エネルギー的に最も安定なα型であり得るが、α型の結晶構造を多く含むPVDFを、例えば一軸延伸することにより、β型の結晶構造を多く含むPVDFに変換することができる。β型の結晶構造を多く含むPVDFは、強誘電性を示し、これを分極処理に付すことによって、双極子が整列し、圧電性を示すものとなる。よって、PVDFフィルムを一軸延伸して成る延伸PVDFフィルムを芯線5の周囲に隙間無く巻き付け(好ましくは重ね巻きし)、その後、例えばコロナ放電などの分極処理に付すことによって、圧電性を示すPVDF層を得ることができ、この結果、芯線5を有機圧電体層(より詳細にはPVDF層)7で被覆することができる。
また例えば、有機圧電体層7を成す材料としてフッ化ビニリデン系共重合体を用いる場合、有機圧電体層7は次のようにして形成され得る。フッ化ビニリデン系共重合体、特にP(VDF/TrFE)およびP(VDF/TeFE)は、PVDFよりもβ型結晶構造を多く含み得る。よって、かかるフッ化ビニリデン系共重合体は、延伸なしに、分極処理を施すだけで、芯線5を有機圧電体層7で被覆した巻線7を容易に作製することができる。具体的には、下記の溶媒コーティング法または溶融押出法により有機圧電体層7を形成することができる。
溶媒コーティング法では、まず、フッ化ビニリデン系共重合体を溶媒に溶解または分散させた樹脂液を調製し、この樹脂液を芯線5の表面に適用(例えば塗布)し、これを加熱して溶媒を実質的に除去してフッ化ビニリデン系共重合体層を得、その後、例えばコロナ放電などの分極処理に付すことによって、圧電性を示すフッ化ビニリデン系共重合体層を得ることができ、この結果、芯線5を有機圧電体層(より詳細にはフッ化ビニリデン系共重合体層)7で被覆することができる。溶媒には、ケトン系溶媒(例えばメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル)、エーテル系溶媒(例えばテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン)、アミド系溶媒(例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド)、ピロリドン系溶媒(例えばN−メチルピロリドン)などを使用できる。加熱温度は、使用する溶媒に応じて様々であり得るが、例えば80〜180℃であり得る。
溶融押出法では、まず、例えばペレット状のフッ化ビニリデン共重合体を加熱溶融して溶融樹脂を得る。加熱温度は、使用するフッ化ビニリデン共重合体の融点以上であればよいが、例えば120〜250℃であり得る。この溶融樹脂を芯線5の表面に適用(例えばその周囲に押出被覆)してフッ化ビニリデン系共重合体層を得、その後、例えばコロナ放電などの分極処理に付すことによって、圧電性を示すフッ化ビニリデン系共重合体層を得ることができ、この結果、芯線5を有機圧電体層(より詳細にはフッ化ビニリデン系共重合体層)7で被覆することができる。
PVDFおよび/またはフッ化ビニリデン系共重合体を用いた有機圧電体層7は、例えば85℃以上の高い耐熱性を示すので好ましい。PVDFおよびフッ化ビニリデン系共重合体の分子量は特に限定されない。フッ化ビニリデン系共重合体は、フッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデンと共重合可能な1種またはそれ以上のフッ素系モノマー(以下、単に他のフッ素系モノマーとも言う)との共重合体である。他のフッ素系モノマーは、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンの一方または双方であり得る。フッ化ビニリデン系共重合体において、フッ化ビニリデンに由来するユニットは、50モル%以上であり得、好ましくは60モル%以上であり、他のフッ素系モノマーに由来するユニットとフッ化ビニリデンに由来するユニットとのモル比は、適宜選択され得る。
しかしながら、有機圧電体層7を成す材料は、上記で詳述した材料に限定されず、任意の適切な他の成分(例えば圧電セラミックス等の添加剤)を例えば比較的少量で更に含んでいてもよく、あるいは、他の既知の圧電性を示す有機材料を用いてもよい。
かかる有機圧電体層7を導電体層9により被覆する。導電体層9は、有機圧電体層7を少なくとも部分的に被覆するように設けられ、好ましくは有機圧電体層7と密着して設けられる。
導電体層9は、少なくとも有機圧電体層7に接触する表面が導電性を示す材料から構成される可撓性部材であればよい。導電体層9には、シールドとして既知の導電体層を利用してよく、例えば金属素線の編組シールドおよび横巻きシールドを使用できる。また、導電体層9は、有機圧電体層7に螺旋状に巻き付けられた少なくとも1層の金属箔であってもよい。この場合、有機圧電体層7に少なくとも1層の金属箔9’が螺旋状に、好ましくは一定の螺旋ピッチPで巻き付けられ、重ね巻きされていても、重ね巻きされていなくてもよく、更に、例えば図1(c)に示すように、ギャップ巻されていてもよい。2層以上の金属箔が重ね合わされて使用される場合、互いに隣接する二層の金属箔は、少なくとも部分的に重ね合わさっていればよく、例えば金属箔の幅の20%以上、特に40%以上で重ね合わさっていればよい。金属素線や金属箔を構成する金属材料の好ましい例としては、銅および銅含有合金(例えば銅錫合金、銅銀合金等)が挙げられ、例えば錫等のメッキを有していても、有していなくてもよい。これらは、高い導電性を示すうえ、銅が高い延性を示すことから機械的強度に優れ、圧電素子20の柔軟性および耐屈曲性を一層高めることができる。
導電体層9の厚さは、特に限定されず、圧電素子20に所望される柔軟性および耐屈曲性等を考慮して適宜選択され得る。導電体層9の厚さは、例えば5〜500μmであり得、特に200μm以下、より特に100μm以下であり得る。
導電体層9の外形寸法は、圧電素子20が絶縁体層11を有しない場合の圧電素子20の外形寸法に一致し得、特に限定されないが、例えば0.05〜2.2mmであり得、特に1.5mm以下、より特に1mm以下であり得る。
更に、本実施形態に必須ではないが、かかる導電体層9を絶縁体層11により被覆してよい。絶縁体層11は、圧電素子20を電気的および/または物理的に保護するために設けられ得る。かかる絶縁体層11は、シース(または外被)としても理解され得る。
絶縁体層11は、少なくとも表面が絶縁性を示す材料から構成される可撓性部材であればよい。絶縁体層11は、例えば、絶縁性素線(例えばナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ゴム、シリコーン、ウレタン、ポリアリレート、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド等の絶縁性材料から成る素線)の組紐であってよい。また、絶縁体層11は、導電体層9の周囲に絶縁性材料(例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリオレフィン、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、PVDF等)、ゴム等)を押出被覆することにより形成してもよい。
絶縁体層11の厚さは、特に限定されず、圧電素子20に所望される柔軟性および耐屈曲性等を考慮して適宜選択され得る。絶縁体層11の厚さは、例えば10〜1000μmであり得、特に700μm以下、より特に400μm以下であり得る。
絶縁体層11の外形寸法は、圧電素子20が絶縁体層11を有する場合の圧電素子20の外形寸法に一致し得、特に限定されないが、例えば0.07〜4.2mmであり得、特に1.5mm以下、より特に1mm以下であり得る。
導電体層9と絶縁体層11との間には空気層が少なくとも部分的に存在していてよく、この場合、絶縁体層11を、ワイヤーストリッパー等で容易に除去して導電体層9を露出させて電極端子を取り出すことができる。
以上のようにして本実施形態の圧電素子20を得ることができる。本実施形態の圧電素子20は、柔軟性および耐屈曲性に優れる。金属箔3および導電体層9は、電極として機能する(添付の図面中、電極端子を黒丸にて模式的に示す)。導電体層9は、グランドであってよく、その場合、シールドとしても機能し得る。
本実施形態の圧電素子20は、各種のセンサおよび/またはアクチュエータとして利用可能である。
本実施形態の圧電素子20は、圧電体の正圧電効果を利用してセンサとして利用可能である。圧電素子20は、例えば、被検知対象物に取付および/または埋込等して、圧電素子20に外力が加えられたときにこれを検知することが可能な感圧センサとして、あるいは、被検知対象物の内部疲労を検知するセンサとして利用され得る。また、複数の圧電素子20を用いて編物または織物を構成して、繊維状圧電センサや振動型発電素子として利用することもできる。その他にも、例えば防犯センサ、介護/見守りセンサ、衝撃センサ、ウェアラブルセンサ、生体信号センサ(呼吸/脈拍)、車両用挟み込み防止センサ、車両用バンパー衝突センサ、車両用エア流量センサ、気象検知センサ(雨/雪)、火災検知センサ、水中音響センサ、ロボット用触覚センサ、医療機器用触覚センサ、繊維シート状圧力分布センサ、環境振動用発電ワイヤーなどの種々の用途に利用することができる。
本実施形態の圧電素子20は、上記に代えて/加えて、圧電体の逆圧電効果を利用してアクチュエータとして利用可能である。圧電素子20は、例えば、圧電素子20に対して駆動電圧を加えた際に、振動を励振するアクチュエータとして利用され得、また更に、その振動をセンサとして利用したアクチュエータ駆動センサとしても利用され得る。その他にも、例えばロボット関節駆動アクチュエータ、人工筋肉アクチュエータ、医療機器操作ワイヤー用駆動アクチュエータ、ファイバースコープ用駆動アクチュエータ、超音波モーター、圧電モーターなどの種々の用途に利用することができる。
以上、本発明の1つの実施形態における圧電素子について詳述したが、本実施形態は種々の改変が可能である。
(実施例1)
実施形態1にて図1〜2を参照して詳述した構成を有する圧電素子を下記の通り作製した。
樹脂線1として、パラ型アラミド繊維からなる直径約15μmの素線50本を撚って構成されている直径約0.15mmの撚り線を使用し、この樹脂線1に、金属箔3として、錫メッキが施された銅錫合金から成る箔が2層積層された積層体であって、各箔の幅約0.17mmであり、積層体の総厚さ約0.012mmであるものをギャップ巻きして、芯線5を準備した。芯線5の外径は約0.17mmであり、ピッチPは約0.27mmであり、ギャップGは約0.08mmであった(G/P=約30%)。
他方、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体33gをメチルエチルケトン67gに70℃に加温しながら溶解し、日本エマソン社製の超音波ホモジナイザー“BRANSON Digital Sonifire”で30分間攪拌して樹脂液を調製した。
上記で準備した芯線5に、上記樹脂液をディップコーティング法で塗工し、150℃で2分間加熱して、メチルエチルケトンを気化させて除去して、芯線5の表面にフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体層を形成した。このフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体層を、芯線5をグランド電極として、直流高圧安定化電源(エレメント有限会社製)により直流電圧12kVを30秒間コロナ放電することにより、分極処理を施して、有機圧電体層7を得た。有機圧電体層7の厚さは、約40μmであった。
次に、この有機圧電体層7の周囲を、導電体層9として、錫メッキが施された錫銅合金から成る箔の単層を螺旋状に巻き付けて(ギャップなしで)被覆した。導電体層9の厚さは、約0.012mmであった。
そして、この導電体層9の周囲を低密度ポリエチレンにより押出被覆し、絶縁体層11を形成した。絶縁体層11の厚さは約200μmであった。絶縁体層11の外径(すなわち、圧電素子20の外径)は、約0.67mmであった。
以上のようにして本実施例の圧電素子20を作製した。
(実施例2)
樹脂線1として、パラ型アラミド繊維からなる直径約14μmの素線50本を撚って構成されている直径約0.14mmの撚り線を使用し、この樹脂線1に、金属箔3として、銅銀合金から成る箔が2層積層された積層体であって、各箔の幅約0.17mmであり、積層体の総厚さ約0.012mmであるものをギャップ巻きして、芯線5を準備した。芯線5の外径は約0.16mmであり、ピッチPは約0.34mmであり、ギャップGは約0.04mmであった(G/P=約12%)。
上記で準備した芯線を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(実施例3)
樹脂線1として、ポリエステルからなる直径約15μmの素線50本を撚って構成されている直径約0.15mmの撚り線を使用し、この樹脂線1に、金属箔3として、銅錫合金から成る箔の単層であって、箔の幅約0.27mmであり、厚さ約0.019mmであるものをギャップ巻きして、芯線5を準備した。芯線5の外径は約0.19mmであり、ピッチPは約0.23mmであり、ギャップGは約0.02mmであった(G/P=約9%)。
上記で準備した芯線を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(比較例1)
芯線として、表面に銀メッキを施したナイロン糸(外径約0.11mm、ミツフジ株式会社製、商品名:AGposs(登録商標)銀メッキ繊維(フィラメント)、70d/34f、但し、dはデニール、fはフィラメント本数を意味する)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(比較例2)
芯線として、表面に銀メッキを施したナイロン糸(外径約0.16mm、ミツフジ株式会社製、商品名:AGposs(登録商標)銀メッキ繊維(フィラメント)、100d/34f)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(比較例3)
芯線として、表面に黄銅メッキを施した高張力ピアノ線の単線(外径約0.05mm、日鉄住金SGワイヤ株式会社製、品名:SPWH)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(比較例4)
芯線として、表面に銀メッキを施した銅錫合金からなる素線7本を撚って構成されている撚り線(外径約0.075mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(比較例5)
芯線として、SUS316(JIS G4309)の単線(外径約0.06mm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電素子を作製した。
(測定および評価)
実施例1〜3および比較例1〜5で作製した各圧電素子について、下記に従って、抵抗値および引張伸度を測定すると共に柔軟性試験および耐屈曲性試験に付して評価した。結果を表1に示す。
・抵抗値測定
圧電素子から、芯線の金属箔(実施例)または金属部分(比較例)と、導電体層とを、それぞれ露出させて電極とし、テスター(株式会社カスタム製、デジタルマルチメータCDM−11D)を使用して、これら電極間に電圧を印加して抵抗値を測定する。
圧電素子として実用に耐え得るには、抵抗値は低いほうがよく、具体的には、50Ω/m以下が好ましく、20Ω/m以下がより好ましい。
・引張伸度測定
引張試験機(島津製作所製、型番:AGS−H)を使用して、JIS Z2241に準拠して、長さ約100mmに切り出した圧電素子の長手方向両端部をつかみ具でつかんで、10mm/minで引っ張って、破断したときの圧電素子の長さを測定し、試験前の圧電素子の長さに対する、破断したときの圧電素子の伸びの割合(%)を求める(引張伸度は、破断伸度と同義である)。
圧電素子の柔軟性に寄与するには、引張伸度は大きいほうがよく、具体的には、3%以上が好ましい。
・柔軟性試験
長尺の圧電素子を、内径10mmの輪の形態に交差させて曲げ、その輪がほどけないように交差部をできるだけ維持しながら、輪が縮小するように圧電素子の長手方向両端部を反対方向に引っ張る。その後、圧電素子(より詳細には芯線)に歪みが残留しているか否かを目視により観察して判定する。
圧電素子として実用に耐え得るには、歪みが残留していないことが好ましい。
・耐屈曲性試験
耐久試験機(ユアサシステム機器株式会社製、型番:DMLHB−P150)を使用して、荷重100gおよび速度60rpmで、圧電素子を±90°繰り返し屈曲させて、圧電素子の電極間の導通が切断されるまでの回数を測定した。
圧電素子として実用に耐え得るには、5000回以上の繰り返し曲げに付しても導通を維持できることが好ましく、10000回以上の繰り返し曲げに付しても導通を維持できることがより好ましい。
Figure 0006501958
表1から理解されるように、実施例1〜3の圧電素子は、50Ω/m以下の低い抵抗値を示し、3%以上の引張伸度を示し、柔軟性試験に付した場合にも歪みが残留せず、優れた柔軟性を示した。これは、曲げ応力が主に芯線の樹脂線に作用し、金属箔には直接作用しなかったため、樹脂線の弾性変形により、変形が生じても、元の状態に戻ることができたためであると考えられる。また、実施例1〜3の圧電素子は、耐屈曲性試験において5000回以上の繰り返し曲げに付しても導通を維持でき、優れた耐屈曲性を示した。特に、実施例1〜2の圧電素子は、耐屈曲性試験において15000回以上の繰り返し曲げに付しても導通を維持でき、極めて優れた耐屈曲性を示した。これは、芯線に2層以上の金属箔の積層体を使用したため、繰り返し曲げにより、2層の金属箔のうちいずれかが破断しても、金属箔の積層体全体では導通が切断されることを回避できたためであると考えられる。他方、比較例1〜2の圧電素子は、抵抗値が高くて実用に適さなかった。比較例3〜5の圧電素子は、引張伸度が3%未満であり、柔軟性試験において芯線に歪みが残留した。歪みが残留したのは、曲げ応力が芯線の金属部分に直接作用し、金属の塑性変形が生じて、元の状態に戻れなくなったためであると考えられる。また、比較例3〜5の圧電素子は、耐屈曲性試験において、5000回未満の繰り返し曲げにより導通が切断された。これは、芯線の金属部分に曲げ応力が直接作用し、金属の塑性変形の蓄積により容易に破断されたためであると考えられる。
(動作確認)
実施例1で作製した圧電素子について、下記の操作により動作確認を行った。
圧電素子20のうち芯線5の金属箔3と導電体層9とからそれぞれ電極を取り出してインピーダンス変換回路に接続した。インピーダンス変換回路は、インピーダンスが高い圧電素子からの出力インピーダンスを下げることを目的としており、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、コンデンサおよび抵抗等で構成される回路であればよい。圧電素子20からインピーダンス変換回路を経て出力される電圧信号を、オシロスコープによって経時的に計測することができるように、動作確認システムを構成した。
上記のように圧電素子からの電圧信号を計測しながら、圧電素子を指先で強くタッチしたり、弱くタッチしたりした。このときの、電圧信号の経時変化グラフを図3に示す。図3に示すように、圧電素子にタッチして外力を加えたときにマイナスの電圧が発生しマイナス側の電圧値上昇が見られ、外力を除くと逆方向すなわちプラスの電圧が発生しプラス側の電圧値上昇が見られた。また加えた外力の大きさに応じて電圧値ピークの大きさが異なり、加えた外力が大きいと電圧値ピークが大きくなった。
更に、圧電素子を指で2カ所つまんで反対方向に繰り返し軽く引っ張ったときの電圧信号の経時変化グラフを図4に示す。また、圧電素子を指先で押さえて右に2回ねじり、次いで左に2回ねじったときの電圧信号の経時変化グラフを図5に示す。
図3〜5から理解されるように、いずれの場合にも指から加えられた外力を敏感に感知し、よって、圧電素子として実際に機能し得ることが確認された。なお、外力の加え方によって(タッチ、引っ張り、ねじり)、電圧信号の波形が異なっていたことにも留意されたい。
本発明の圧電素子は、各種のセンサおよび/またはアクチュエータとして利用可能である。本発明を限定するものではないが、本発明の圧電素子は、柔軟性および耐屈曲性に優れ、極めて細い外形寸法を有し得、例えば、圧電素子に外力が加えられたときにこれを検知することが可能な感圧センサ等として利用され得る。
1 樹脂線
3、3a、3b 金属箔
5 芯線
7 有機圧電体層
9 導電体層
11 絶縁体層
20 圧電素子
、D 外形寸法
P 螺旋ピッチ
G ギャップ

Claims (9)

  1. 樹脂線に少なくとも1層の金属箔が螺旋状に巻き付けられている芯線と、
    前記芯線を被覆する有機圧電体層と、
    前記有機圧電体層を被覆する導電体層と
    を含み、前記金属箔および前記導電体層が、それらの間に前記有機圧電体層が介挿された電極としてそれぞれ機能し、前記樹脂線に前記少なくとも1層の前記金属箔が螺旋状にギャップ巻され、前記金属箔の螺旋ピッチに対するギャップの割合が0.4〜50%である、圧電素子。
  2. 前記樹脂線に2層以上の金属箔が螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記樹脂線が、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、および炭素繊維からなる群より選択される少なくとも1種の材料から構成される、請求項1または2に記載の圧電素子。
  4. 前記金属箔が、6〜100μmの厚さおよび0.02〜2mmの幅を有する、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
  5. 前記芯線が、0.05〜1.5mmの外形寸法を有する、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
  6. 前記有機圧電体層が、1〜200μmの厚さを有する、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
  7. 前記有機圧電体層が、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体、およびフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体から成る群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
  8. 前記導電体層を被覆する絶縁体層を更に含む、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
  9. センサおよびアクチュエータのいずれかまたは双方として使用される、請求項1〜のいずれかに記載の圧電素子。
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