以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置100の構成について説明する。なお、ヘッドアップディスプレイ装置100は、本発明の「プロジェクタ」の一例である。
本発明の第1実施形態によるHUD装置100は、図1に示すように、自動車600などの輸送用機器に搭載されるHUD装置である。
詳細には、HUD装置100は、カーナビゲーション情報および自動車600の速度情報などの運転に関する情報を含む画像を形成する光を、フロントガラスなどのスクリーン601に投影(照射)するように構成されている。これにより、ユーザ(運転者)は、HUD装置100により投影されて、スクリーン601において反射された画像を形成する光を視認して、自動車600の外側でスクリーン601の前方に画像の虚像を視認することが可能である。
次に、図2を参照して、HUD装置100の具体的な構成について説明する。
HUD装置100は、3つ(赤(R)、緑(G)、青(B))のレーザ光源11(11a、11bおよび11c)と、3つのプリズム12(12a、12bおよび12c)と、光走査部13とを備えている。また、HUD装置100は、画像処理部14と、光源制御部15と、LD(レーザダイオード)ドライバ16と、ミラー制御部17と、ミラードライバ18とを備えている。また、HUD装置100は、光検出部19と、温度検出部20と、記憶部21と、制御部22とを備えている。なお、レーザ光源11は、本発明の「光源部」の一例である。
レーザ光源11aは、赤色のレーザ光を3つのプリズム12a、12bおよび12cを通過させて光走査部13に照射するように構成されている。また、レーザ光源11bは、緑色のレーザ光をプリズム12b、12cを通過させて光走査部13に照射するように構成されている。また、レーザ光源11cは、青色のレーザ光をプリズム12cを通過させて光走査部13に照射するように構成されている。
3つのプリズム12(12a、12bおよび12c)は、それぞれ、3つのレーザ光(赤(R)、緑(G)、青(B))を合成して、3つのレーザ光の光軸を揃えるように構成されている。
光走査部13は、レーザ光源11からの光を水平走査方向に走査するための水平光走査部13aと、レーザ光源11からの光を垂直走査方向に走査するための垂直光走査部13bとを含んでいる。水平光走査部13aおよび垂直光走査部13bは、共に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーにより構成されている。
また、光走査部13は、1フレーム分の光を走査して、1枚の静止画像を形成するように構成されている。そして、光走査部13は、複数枚の静止画像を連続して形成することにより、動画像を投影可能なように構成されている。
光走査部13では、水平光走査部13aは、レーザ光源11からの光を反射させて、垂直光走査部13bを介して、自動車600(図1参照)のスクリーン601に対して水平走査方向に走査するように構成されている。また、垂直光走査部13bは、水平光走査部13aにおいて反射された光を反射させて、自動車600のスクリーン601に対して垂直走査方向に走査するように構成されている。これにより、光走査部13は、レーザ光源11からの光を、スクリーン601に対して水平走査方向および垂直走査方向に走査するように構成されている。その結果、静止画像または動画像が、スクリーン601に投影(形成)される。
また、図2および図3に示すように、光走査部13は、ユーザが視認可能な位置(領域)に加えて、ユーザが視認不可能な位置(領域)にも光を走査可能に構成されている。具体的には、ユーザが視認可能な位置(領域)とは、HUD装置100外部のスクリーン601に投影される画像の光が出射される出射窓100aに対応する位置(領域)であり、ユーザが視認不可能な位置(領域)とは、HUD装置100の内部で、かつ、出射窓100aの外側の位置(領域)である。
画像処理部14は、制御部22による制御に基づいて、制御部22に入力される映像信号のうちレーザ光源11の制御に関する情報および光走査部2の制御に関する情報を、それぞれ、光源制御部15およびミラー制御部17に出力するように構成されている。
光源制御部15は、入力されたレーザ光源11の制御に関する情報に基づいて、LDドライバ16を制御して、レーザ光源11(11a〜11c)によるレーザ光の照射を制御するように構成されている。具体的には、光源制御部15は、レーザ光走査部13が走査するタイミングに合わせて所定の出力によりレーザ光源11a〜11cから照射させる制御を行うように構成されている。
ミラー制御部17は、入力された光走査部13の制御に関する情報に基づいて、ミラードライバ18を制御して、光走査部13(水平光走査部13aおよび垂直光走査部13b)を共振周波数により駆動させる制御を行うように構成されている。
光検出部19は、OEIC(Optical Electrical Integrated Circuit)を含み、光走査部13により走査された光の垂直走査方向における輝度変化(図4に示す水平走査方向に沿う複数の帯状の縞模様)を検出するように構成されている。具体的には、図2および図3に示すように、光検出部19は、ユーザが視認不可能な位置(領域)に配置されるとともに、ユーザが視認不可能な位置(領域)において、光走査部13により走査される1フレーム分の光のうち一部の光の垂直走査方向における輝度変化(詳細は後述)を検出するように構成されている。
温度検出部20は、サーミスタを含み、HUD装置100内部の温度を検出するように構成されている。
記憶部21は、不揮発性のメモリであるROMおよび揮発性のメモリであるRAMを含んでいる。記憶部21は、制御部22により用いられる各種のデータおよびプログラムなどが格納されるように構成されている。詳細には、記憶部21は、後述する補正情報作成処理、輝度変化補正処理に対応するプログラムなどが格納されるように構成されている。
制御部22は、HUD装置100の各構成要素を制御するように構成されている。以下、HUD装置100の垂直走査方向における輝度変化、および、この輝度変化の補正に関する制御部22の構成について説明する。
まず、図4および図5を参照して、HUD装置100の垂直走査方向における輝度変化について説明する。
図4に示すように、HUD装置100では、垂直光走査部13bの共振周波数に駆動信号の高調波成分が干渉することにより、MEMSミラー(垂直光走査部13b)の走査速度にムラが生じた場合に、この垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様が発生する。すなわち、MEMSミラーの走査速度が小さくなった走査位置では相対的に輝度が大きくなるとともに、MEMSミラーの走査速度が大きくなった走査位置では相対的に輝度が小さくなることによって、縞模様が発生する。この状態では、垂直走査方向における輝度変化が水平方向に沿って延びる複数の帯状の縞模様として現れる。図4では、相対的に輝度の大きい(明るい)帯を白により示し、相対的に輝度の小さい(暗い)帯をハッチングにより示している。
図5では、図4のA線に沿った制御部22による補正前の輝度変化の検出波形を示す。図5に示すように、垂直走査方向における輝度変化は、所定の周期を有する振動波として光検出部19により検出される。以降、検出波形の輝度の大きい側の頂部と輝度の小さい側の頂部との平均を通る線を中心線50として、中心線50よりも輝度の大きい側を相対的に輝度の大きい明部と呼び、中心線50よりも輝度の小さい側を相対的に輝度の小さい暗部と呼ぶ。この輝度変化における明部と暗部との輝度差が大きいほど、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに明瞭に視認されることになる。
そこで、第1実施形態では、制御部22は、図6に示すように、この垂直走査方向における輝度変化を光検出部19から取得する制御を行うとともに、取得された輝度変化に基づいて、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、垂直走査方向の走査速度(すなわち、垂直光走査部13bの走査速度)を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部22は、取得された輝度変化に基づいて、輝度変化の明部に対応する位置(図4の白の帯の位置)を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を大きくする制御を行うとともに、輝度変化の暗部に対応する位置(図4のハッチングの帯の位置)を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正する制御を行うように構成されている。
より具体的には、制御部22は、取得された輝度変化に基づいて、垂直走査方向の走査速度の速度補正テーブル(図7参照)を作成する制御を行うとともに、作成された速度補正テーブルに基づいて、垂直光走査部13bを上記のように駆動させることにより、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行うように構成されている。
また、第1実施形態では、制御部22は、光走査部13により走査される1フレーム分の光のうち光検出部19により検出された一部の光の輝度変化(すなわち、図5に示す輝度変化)に基づいて、静止画像全体の輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、垂直光走査部13bの走査速度を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。具体的には、水平走査方向の一部分のみにおける垂直走査方向の1フレーム分の光の輝度変化に基づいて、静止画像全体の輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、垂直光走査部13bの走査速度を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。
ここで、図7を参照して、制御部22により作成される速度補正テーブルの一例について説明する。ここでは、光走査部13の水平ライン(水平走査方向の走査ライン)毎の垂直走査方向の走査速度が設定される例について説明する。なお、走査速度の最大値を255として説明する。また、図7では、説明の容易のため、速度補正テーブルの一部(水平ラインの1番目〜25番目に対応する部分)のみを示している。
図7では、1番目および25番目の水平ラインが明部の最も輝度の大きい部分として検出されるとともに、13番目の水平ラインが暗部の最も輝度の小さい部分として検出された場合について示している。すなわち、1番目および25番目の水平ライン近傍の水平ラインが輝度変化の明部に対応する位置であり、13番目の水平ライン近傍の水平ラインが輝度変化の暗部に対応する位置である。そして、図7の速度補正テーブルでは、明部の最も輝度の大きい部分である1番目および25番目の水平ラインを走査する際の垂直光走査部13bの走査速度が最も早くなるように設定されているとともに、暗部の最も輝度の小さい部分である13番目の水平ラインを走査する際の垂直光走査部13bの走査速度が最も小さくなるように設定されている。
そして、1番目〜13番目(13番目〜25番目)の水平ラインが明部から暗部に向かう区間に対応しており、この区間では、垂直走査方向の走査速度が1番目(25番目)の水平ラインを走査する際の走査速度から徐々に小さくなるように設定されている。また、図7では、13番目〜25番目の水平ラインが暗部から明部に向かう区間に対応しており、この区間では、垂直走査方向の走査速度が13番目の水平ラインを走査する際の走査速度から徐々に早くなるように設定されている。そして、この速度補正テーブルに基づいて、垂直光走査部13bを駆動させることにより、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正することが可能である。なお、図7の速度補正テーブルは一例であり、その他いずれの速度補正テーブルが用いられてもよい。
ところで、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様は、垂直光走査部13bの周波数特性に関連した位置に発生すると考えられる。そして、垂直光走査部13bの周波数特性が温度に応じて変化するため、縞模様の発生する位置も温度に応じて変化すると考えられる。一方、HUD装置100では、各部の駆動の際に発生する熱により、HUD装置100の起動時からHUD装置100内部の温度が上昇する方向に変化する。したがって、HUD装置100内部の温度が変化した場合に、垂直光走査部13bの温度が変化して、縞模様の発生する位置も変化すると考えられる。
第1実施形態では、制御部22は、温度検出部20からHUD装置100内部の温度の検出結果を取得する制御を行うとともに、取得された温度の検出結果に基づいて、HUD装置100内部の温度変化量を取得する制御を行うように構成されている。そして、制御部22は、取得された温度変化量が第1しきい値以上の場合に、光走査部13により走査された光の垂直走査方向における輝度変化を光検出部19から改めて取得する制御を行うように構成されている。そして、制御部22は、改めて取得された輝度変化に基づいて、改めて取得された輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、垂直光走査部13bの走査速度を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。なお、第1しきい値は、輝度変化を改めて取得するか否かを判定するためのしきい値であり、設計の際実験などにより適宜決定される値である。また、第1しきい値は、本発明の「所定のしきい値」の一例である。第1実施形態では、第1しきい値として、1℃を用いる。
また、第1実施形態では、制御部22は、HUD装置100が起動された際に、輝度変化を取得する制御を行うとともに、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行うように構成されている。また、制御部22は、HUD装置100が起動された後、HUD装置100内部の温度が定常状態(温度変化がほとんどなくなった状態)になったか否かを判定する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部22は、HUD装置100内部の温度変化量が第2しきい値以上であるか否かを判定することによって、HUD装置100内部の温度が定常状態になったか否かを判定する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部22は、HUD装置100内部の温度変化量が第2しきい値以上である場合には、定常状態ではないと判定する制御を行い、第2しきい値以上ではない場合には、定常状態であると判定する制御を行うように構成されている。なお、第2しきい値は、HUD装置100内部の温度が定常状態になったか否かを判定するためのしきい値であり、設計の際実験などにより適宜決定される値である。第1実施形態では、第2しきい値として、3℃を用いる。
また、制御部22は、HUD装置100内部の温度が定常状態ではない場合には、第1回数のフレーム毎に輝度変化を取得する制御を行うとともに、輝度を補正する制御を行うように構成されている。これにより、温度上昇が比較的急激なHUD装置100の起動から定常状態になるまでの間に、縞模様の位置が温度に応じて随時変化したとしても、迅速に輝度を補正することが可能である。なお、第1回数は、設計の際実験などにより適宜決定される値である。
また、制御部22は、HUD装置100内部の温度が定常状態である場合には、第1回数よりも多い第2回数のフレーム毎で、かつ、温度変化量が第1しきい値以上である場合に、輝度変化を取得する制御を行うとともに、輝度を補正する制御を行うように構成されている。これにより、温度変化がほとんどなくなった定常状態では、輝度変化を取得して輝度を補正する制御を行う頻度を減らすことができるので、頻度を減らした分、制御部22の処理負荷を軽減することが可能である。また、定常状態では、縞模様の位置がほとんど変化しないと考えられるので、頻度を減らしたとしても、十分に、縞模様がユーザに視認されるのを抑制することが可能である。なお、第2回数は、設計の際実験などにより適宜決定される値である。
次に、図8および図9を参照して、HUD装置100における上記した輝度変化における補正に関する制御について詳細に説明する。まず、図8を参照して、HUD装置100における補正情報作成処理についてフローチャートに基づいて説明する。
まず、図8に示すように、ステップS1において、垂直走査方向における輝度変化を取得する制御が制御部22(図2参照)により行われる。具体的には、ユーザが視認不可能な領域において光検出部19(図2参照)により検出された垂直走査方向における輝度変化を取得する制御が制御部22により行われる。これにより、垂直方向における輝度変化に起因する横縞が静止画像全体のいずれの位置に生じているかを判別することが可能である。
そして、ステップS2において、垂直走査方向の走査速度の速度補正テーブルを作成する制御が制御部22により行われる。具体的には、ステップS1において取得された輝度変化に基づいて、静止画像全体の輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正するように、垂直走査方向における走査速度(すなわち、垂直光走査部13bの走査速度)を補正するための速度補正テーブルを作成する制御が制御部22により行われる。そして、作成された速度補正テーブルに基づいて、垂直光走査部13b(図2参照)が駆動されることにより、垂直走査方向における輝度変化の明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度が補正される。そして、ステップS2の処理の実行後、この補正情報作成処理が終了される。
次に、図9を参照して、HUD装置100における輝度変化補正処理についてフローチャートに基づいて説明する。
まず、図9に示すように、ステップS11において、HUD装置100の起動を確認する制御が制御部22により行われる。すなわち、HUD装置100がオフ状態からオン状態に切り替わったことが制御部22により確認される。
そして、ステップS12において、第1回数分のフレームの画像を投影する制御が制御部22により行われる。具体的には、光走査部13により第1回数分のフレームの光を走査して、第1回数に相当する枚数の静止画像を形成(投影)する制御が制御部22により行われる。この際、輝度変化の補正が行われていないので、投影された静止画像には、図4に示す縞模様が発生する。
そして、ステップS13において、HUD装置100内部の温度を取得する制御が制御部22により行われる。
そして、ステップS14において、補正情報作成処理(図8参照)が制御部22により実行される。すなわち、ステップS12において投影された画像の垂直走査方向における輝度変化を取得する制御、および、取得された輝度変化に基づいて、速度補正テーブルを作成する制御が制御部22により行われる。
そして、ステップS15において、再び、第1回数分のフレームの画像を投影する制御が制御部22により行われる。この際、輝度変化の補正が行われているので、縞模様が抑制された状態で、静止画像が投影される。
そして、ステップS16において、再び、HUD装置100内部の温度を取得する制御が制御部22により行われる。
そして、ステップS17において、温度変化量が第2しきい値(3℃)以上であるか否かを判定する制御が制御部22により行われる。すなわち、ステップS17では、HUD装置100内部の温度が定常状態であるか否かを判定する制御が制御部22により行われる。初回の判定では、ステップS13において取得されたHUD装置100内部の温度と、ステップS16において取得されたHUD装置100内部の温度との差が、第2しきい値以上であるか否かが判定される。第2しきい値以上である場合には、定常状態ではないと判定されて、ステップS14に戻り、補正情報作成処理を実行する。2回目以降の判定では、前回ステップS16において取得されたHUD装置100内部の温度と、今回ステップS16において取得されたHUD装置100内部の温度との差が、第2しきい値以上であるか否かが判定される。そして、HUD装置100では、HUD装置100内部の温度が定常状態になるまで、ステップS14〜S17の処理が繰り返される。また、ステップS17において、温度変化量が第2しきい値以上ではない場合には、ステップS18に進む。
そして、ステップS18において、第1回数よりも多い第2回数分のフレームの画像を投影する制御が制御部22により行われる。
そして、ステップS19において、再び、HUD装置100内部の温度を取得する制御が制御部22により行われる。
そして、ステップS20において、温度変化量が第1しきい値(1℃)以上であるか否かを判定する制御が制御部22により行われる。すなわち、ステップS20では、定常状態で、輝度変化を改めて取得するか否かを判定する制御が制御部22により行われる。初回の判定では、ステップS18に進む直前のステップS16において取得されたHUD装置100内部の温度と、ステップS19において取得されたHUD装置100内部の温度との差が、第1しきい値以上であるか否かが判定される。第1しきい値以上ではない場合には、輝度変化を改めて取得する必要がないと判定されて、ステップS18に戻る。2回目以降の判定では、前回ステップS19において取得されたHUD装置100内部の温度と、今回ステップS19において取得されたHUD装置100内部の温度との差が、第2しきい値以上であるか否かが判定される。そして、HUD装置100では、HUD装置100内部の温度変化量が第1しきい値以上ではない場合には、ステップS18〜S20の処理が繰り返される。また、ステップS20において、温度変化量が第1しきい値以上である場合には、ステップS21に進む。
そして、ステップS21において、補正情報作成処理(図8参照)が制御部22により実行される。これにより、輝度変化を改めて取得する制御が行われるとともに、取得された輝度変化に基づいて、輝度を補正する制御が制御部22により行われる。その後、ステップS18に戻り、ステップS18〜S21の処理が繰り返される。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、垂直走査方向における輝度変化を検出する光検出部19を設けるとともに、光検出部19により検出された輝度変化に基づいて、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行う制御部22を設ける。これにより、光走査部13の垂直走査方向における走査速度が変化することに起因して、画像に垂直走査方向における輝度変化が発生したとしても、光検出部19により検出された輝度変化に基づいて制御部22により垂直走査方向における輝度変化を小さくする方向に輝度が補正されるので、輝度変化が小さくなった分、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに視認されるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に、光走査部13の垂直走査方向の走査速度(すなわち、垂直光走査部13bの走査速度)を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。これにより、レーザ光源11の光の出力を制御するだけで、容易に、輝度変化を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、1フレーム分の光を走査して、1枚の静止画像を形成するように光走査部13を構成する。そして、光走査部13により走査される1フレーム分の光のうち一部の光の垂直走査方向における輝度変化を検出するように光検出部19を構成する。そして、1フレーム分の光のうち一部の光の輝度変化に基づいて、静止画像全体の輝度変化における輝度差が小さくなる方向に、光走査部13の垂直走査方向の走査速度補正することによって、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。ここで、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様は、水平走査方向に沿って複数帯状に発生する。したがって、上記のように構成することによって、1フレーム全てについて検出動作を行わなくとも、1フレーム分の光のうち一部の光(たとえば、図3に示すように、水平走査方向の一部分のみにおける垂直走査方向の1フレーム分の光)の輝度変化を検出するだけで、複数帯状に発生した縞模様の垂直走査方向の位置を推定することができるので、静止画像全体の輝度変化を小さくする方向に補正することができる。その結果、簡素な構成により、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに視認されるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ユーザが視認可能な位置に加えて、ユーザが視認不可能な位置にも光を走査可能に光走査部13を構成する。そして、ユーザが視認不可能な位置に配置されるとともに、ユーザが視認不可能な位置において、光走査部13により走査される1フレーム分の光のうち一部の光の垂直走査方向における輝度変化を検出するように光検出部19を構成する。これにより、ユーザが光走査部13により走査された光を視認不可能な位置に光検出部19を配置することにより、ユーザにより視認される光(画像を構成する光)を妨害することなく、光検出部19により垂直走査方向における輝度変化を検出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、HUD装置100が起動された際に、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に、光走査部13の垂直走査方向の走査速度を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。これにより、HUD装置100が起動された際に自動的に補正が行われるので、補正前の画像が投影される時間を最小限に抑えることができるとともに、補正後の画像を確実にユーザに提供することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、温度検出部20による温度の検出結果に基づいて、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に、光走査部13の垂直走査方向の走査速度を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。ここで、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様は、光走査部13の周波数特性に関連した位置に発生すると考えられる。そして、光走査部13の周波数特性が温度に応じて変化するため、縞模様の発生する位置も温度に応じて変化すると考えられる。したがって、上記のように構成することによって、HUD装置100内部の温度が変化した場合にも、輝度変化を取得して補正することができる。これにより、より確実に、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに視認されるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、温度検出部20による温度の検出結果に基づいて、HUD装置100内部の温度変化量を取得する制御を行うとともに、取得された温度変化量が所定のしきい値以上の場合に、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。これにより、温度の絶対値が所定のしきい値以上の場合に輝度変化を改めて取得する場合と異なり、温度変化量(すなわち、温度の相対値)が所定のしきい値以上の場合に輝度を補正するので、HUD装置100が設置される環境の温度が高い場合にも、温度変化に応じて確実に輝度を補正することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、輝度変化の明部に対応する位置を走査する際の垂直走査方向の走査速度を大きくする制御を行うとともに、輝度変化の暗部に対応する位置を走査する際の垂直走査方向の走査速度を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正する制御を行うように制御部22を構成する。これにより、輝度変化の明部に対応する位置を走査する際の垂直走査方向の走査速度を大きくする制御を行うことにより、走査速度が大きくする分、明部の輝度を小さくすることができる。また、輝度変化の暗部に対応する位置を走査する際の垂直走査方向の走査速度を小さくする制御を行うことにより、走査速度が小さくする分、暗部の輝度を大きくすることができる。これらの結果、確実に、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正することができる。
(第2実施形態)
次に、図1、図2、図8および図10を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、HUD装置100内部の温度が定常状態であるか否かの判定をHUD装置100内部の温度に基づいて行った上記第1実施形態とは異なり、HUD装置200内部の温度が定常状態であるか否かの判定を、HUD装置200の起動時からの経過時間に基づいて行う例について説明する。なお、HUD装置200は、本発明の「プロジェクタ」の一例である。
本発明の第2実施形態によるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置200は、図1に示すように、輸送用機器に搭載されている。また、HUD装置200は、図2に示すように、制御部122を備えている、なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
制御部122は、上記第1実施形態と同様に、垂直走査方向における輝度変化を光検出部19から取得する制御を行うとともに、取得された輝度変化に基づいて、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、垂直走査方向の走査速度(すなわち、垂直光走査部13bの走査速度)を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。また、制御部122は、HUD装置200が起動された際に、輝度変化を取得する制御を行うとともに、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行うように構成されている。また、制御部122は、HUD装置200が起動された後、HUD装置200内部の温度が定常状態になったか否かを判定する制御を行うように構成されている。
具体的には、第2実施形態では、制御部122は、HUD装置200が起動されてから経過した時間が所定の時間に達したか否かを判定することによって、HUD装置200内部の温度が定常状態になったか否かを判定する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部122は、HUD装置200が起動されてから経過した時間が所定の時間に達していない場合には、定常状態ではないと判定する制御を行い、所定の時間に達している場合には、定常状態であると判定する制御を行うように構成されている。なお、所定の時間は、HUD装置200内部の温度が定常状態になったか否かを判定するための時間であり、設計の際実験などにより適宜決定される値である。たとえば、HUD装置200について定常状態に達するまでの時間を測定しておき、この値を用いればよい。第2実施形態では、所定の時間として、60分を用いる。
次に、図10を参照して、HUD装置200における輝度変化補正処理についてフローチャートに基づいて説明する。なお、図9に示した上記第1実施形態と同一の処理については、同じ符号を付してその説明を省略する。
まず、ステップS11において、HUD装置200(図2参照)の起動が確認された後、ステップS31において、HUD装置200が起動されてから経過した時間を測定するためのタイマが起動される。
そして、ステップS32において、第1回数分のフレームの画像を投影する制御が制御部122(図2参照)により行われる。この際、輝度変化の補正が行われていないので、投影された静止画像には、縞模様が発生する。
そして、ステップS33において、補正情報作成処理(図8参照)が制御部22により実行される。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、HUD装置200内部の温度が定常状態であるか否かの判定を、HUD装置200の起動時からの経過時間に基づいて行うので、定常状態になる前のHUD装置200内部の温度を取得する制御は行われない。
そして、ステップS34において、再び、第1回数分のフレームの画像を投影する制御が制御部122により行われる。この際、輝度変化の補正が行われているので、縞模様が抑制された状態で、静止画像が投影される。
そして、ステップS35において、タイマにより測定されている時間が所定の時間(起動から60分)に達したか否かを判定する制御が制御部122により行われる。すなわち、ステップS35では、HUD装置200内部の温度が定常状態であるか否かを判定する制御が制御部122により行われる。所定の時間に達していない場合には、定常状態ではないと判定されて、ステップS33に戻り、補正情報作成処理を実行する。そして、HUD装置200では、タイマにより測定されている時間が所定の時間に達するまで、ステップS33〜S35の処理が繰り返される。そして、ステップS35において、タイマにより測定されている時間が所定の時間に達している場合には、ステップS18に進む。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、光検出部19により検出された輝度変化に基づいて、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行う制御部122を設ける。これにより、上記第1実施形態と同様に、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに視認されるのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、HUD装置200が起動されてから経過した時間が所定の時間に達したか否かを判定することによって、HUD装置200内部の温度が定常状態になったか否かを判定する制御を行うように制御部122を構成する。これにより、HUD装置200が起動されてから経過した時間を測定するだけで、簡便な構成により、HUD装置200内部の温度が定常状態になったか否かを判定することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図1、図2、図8、図11および図12を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、垂直光走査部13bの走査速度を補正することによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正した上記第1および第2実施形態とは異なり、レーザ光源11の光の出力を補正することによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する例について説明する。
本発明の第3実施形態によるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置300は、図1に示すように、輸送用機器に搭載されている。また、HUD装置300は、図2に示すように、制御部222を備えている、なお、上記第1および第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。また、ヘッドアップディスプレイ装置300は、本発明の「プロジェクタ」の一例である。
第3実施形態では、制御部222は、垂直走査方向における輝度変化を光検出部19から取得する制御を行うとともに、取得された輝度変化に基づいて、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、レーザ光源11(11a、11bおよび11c)の光の出力を補正することによって、輝度を補正する制御を行うように構成されている。具体的には、図11に示すように、制御部222は、取得された輝度変化に基づいて、輝度変化の明部に対応する(光走査部13により明部が走査される際の)レーザ光源11の光の出力を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行うように構成されている。
より具体的には、第3実施形態では、制御部222は、取得された輝度変化に基づいて、レーザ光源11の光の出力の出力補正テーブルを作成する制御を行うとともに、作成された出力補正テーブルに基づいて、レーザ光源11(11a、11bおよび11c)からレーザ光を所定の出力により出射させることにより、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行うように構成されている。なお、出力補正テーブルは、図7に示した速度補正テーブルと同様に光走査部13の水平ライン毎のレーザ光源11の出力が設定される出力補正テーブルでもよいし、その他いずれの出力補正テーブルが用いられてもよい。
次に、図12を参照して、HUD装置300における補正情報作成処理についてフローチャートに基づいて説明する。なお、図8に示した上記第1実施形態と同一の処理については、同じ符号を付してその説明を省略する。
まず、図12に示すように、ステップS1において、垂直走査方向における輝度変化を取得する制御が行われた後、ステップS2aにおいて、レーザ光源11(図2参照)の光の出力の出力補正テーブルを作成する制御が制御部222(図2参照)により行われる。具体的には、ステップS1において取得された輝度変化に基づいて、静止画像全体の輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正するように、レーザ光源11の光の出力を補正するための出力補正テーブルを作成する制御が制御部22により行われる。そして、作成された出力補正テーブルに基づいて、レーザ光源11からレーザ光を所定の出力により出射させることにより、垂直走査方向における輝度変化の明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度が補正される。そして、ステップS2aの処理の実行後、この補正情報作成処理が終了される。そして、補正情報作成処理を含む輝度変化補正処理が、HUD装置300においても実行される。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、光検出部19により検出された輝度変化に基づいて、輝度変化における輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を行う制御部222を設ける。これにより、上記第1実施形態と同様に、垂直走査方向における輝度変化に起因する縞模様がユーザに視認されるのを抑制することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、輝度変化の明部に対応するレーザ光源11(11a、11bおよび11c)の光の出力を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正する制御を行うように制御部222を構成する。これにより、輝度変化の明部に対応するレーザ光源11の光の出力を小さくする制御を行うことにより、光の出力が小さくなる分、明部の輝度を小さくすることができる。これにより、確実に、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正することができる。また、輝度変化の明部に対応するレーザ光源11の光の出力を小さくする制御により補正するので、輝度変化の暗部に対応するレーザ光源11の光の出力を大きくする制御により補正する場合と異なり、補正前のレーザ光源11の光の出力が最大値であることに起因して補正が行われないのを防止することができる。その結果、確実に、輝度を補正することができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置100(200、300)としてのプロジェクタに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、HUD装置としてのプロジェクタ以外のプロジェクタにも適用可能である。たとえば、PCまたはテレビジョン装置などの外部機器からの映像を投影するプロジェクタに本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、輸送用機器に搭載されるHUD装置100(200、300)に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、輸送用機器に搭載されるHUD装置以外のHUD装置にも適用可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、光走査部13の垂直走査方向の走査速度を、第3実施形態では、レーザ光源11の光の出力を、各々補正することによって、輝度を補正した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光走査部の垂直走査方向の走査速度およびレーザ光源の光の出力の両方を補正することによって、輝度を補正してもよい。
また、上記第1実施形態では、1フレーム分の光のうち一部の光の垂直走査方向における輝度変化に基づいて、輝度を補正した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1フレーム分の光のうち全部の光の垂直走査方向における輝度変化に基づいて、輝度を補正してもよい。
また、上記第1実施形態では、ユーザが視認不可能な位置に光検出部19を配置するとともに、この位置において、輝度変化を検出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユーザが視認可能な位置に光検出部を配置するとともに、この位置において、輝度変化を検出してもよい。
また、上記第1実施形態では、光検出部19により輝度変化を検出して、光検出部19により検出された輝度変化を制御部22が取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光検出部により輝度を検出して、光検出部により検出された輝度に基づいて、輝度変化を制御部22が取得(算出)してもよい。
また、上記第1実施形態では、HUD装置100が起動された際に、輝度変化を取得して、輝度を補正した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、HUD装置が起動された際に、輝度変化を取得して、輝度を補正しなくともよい。
また、上記第1および第2実施形態では、HUD装置100(200)内部の温度変化量が第1しきい値以上の場合に、輝度変化を改めて取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、HUD装置内部の温度が所定のしきい値以上の場合に、輝度変化を改めて取得してもよい。
また、上記第1実施形態では、水平光走査部13aにより水平走査方向に、垂直光走査部13bにより垂直走査方向に光を走査した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つの光走査部により水平走査方向および垂直走査方向に光を走査してもよい。この場合、この光走査部の垂直走査方向の走査速度を補正すればよい。
また、上記第1実施形態では、輝度変化の明部に対応する位置を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を大きくする制御を行うとともに、輝度変化の暗部に対応する位置を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正する制御を制御部22により行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、輝度変化の明部に対応する位置を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を大きくする制御、または、輝度変化の暗部に対応する位置を走査する際の垂直光走査部13bの走査速度を小さくする制御のいずれか一方のみを行うことにより、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に、輝度を補正する制御を制御部により行ってもよい。
また、上記第3実施形態では、輝度変化の明部に対応するレーザ光源11の光の出力を小さくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を制御部222により行った例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、輝度変化の暗部に対応するレーザ光源の光の出力を大きくする制御を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を制御部により行ってもよい。また、輝度変化の暗部に対応するレーザ光源11の光の出力を大きくする制御、および、輝度変化の明部に対応するレーザ光源11の光の出力を小さくする制御の両方を行うことによって、輝度変化における明部と暗部との輝度差が小さくなる方向に輝度を補正する制御を制御部により行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、HUD装置100(200)内部の温度が定常状態になったか否かを判定するとともに、定常状態であるか否かに応じて、補正情報作成処理を行う頻度を異ならせた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、HUD装置内部の温度が定常状態であるか否かに関わらず、同じ頻度で補正情報作成処理を行ってもよい。
たとえば、図13に示す変形例の輝度変化補正処理のように、HUD装置内部の温度が定常状態であるか否かに関わらず、温度変化量が第1しきい値以上である場合に、補正情報作成処理を改めて実行するようにしてもよい。図13の輝度変化補正処理では、ステップS41においてHUD装置の起動が制御部により確認された後、ステップS42において、第1回数分のフレームの画像が投影される。そして、ステップS43において、HUD装置内部の温度を取得する制御が行われるとともに、ステップS44において、補正情報作成処理が実行される。そして、ステップS45において、再び、第1回数分のフレームの画像が投影された後、ステップS46において、再び、HUD装置内部の温度を取得する制御が行われる。そして、ステップS47において、温度変化量が第1しきい値以上であるか否かを判定する制御が制御部により行われる。温度変化量が第1しきい値以上である場合には、ステップS44に進み、改めて補正情報作成処理が実行される。また、温度変化量が第1しきい値以上ではない場合には、ステップS45に進み、ステップS45〜S47の処理が繰り返される。
また、上記第1〜第3実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部22(122、222)の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部22(122、222)の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。