JP6498395B2 - 作業函及び作業函の止水方法 - Google Patents
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そこで、本発明は、水中構造物の周囲を部分的に仮締切する場合に容易に止水することのできる技術を提供する。
上記の構成において、閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、前記第1の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第3の止水パッキンの圧縮変形量の合計と、前記第2の止水パッキンの圧縮変形量の合計とが等しくなるように構成されていてもよい。
上記の構成において、前記第2の端部に設けられた前記第2の止水パッキンと、前記第4の端部に設けられた前記第2の止水パッキンとの間に挟まれ、外部から前記作業空間に向かう方向の移動が規制され、閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に当該2つの前記第2の止水パッキンのせん断変形を抑制する板状部材を備えていてもよい。
上記の構成において、閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、前記第1の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第3の止水パッキンの圧縮変形量の合計と、前記第2の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第4の止水パッキンの圧縮変形量の合計とが等しくなるように構成されていてもよい。
図4は、本実施形態の概略を示す平面図である。作業函10は、第1の函体11と第2の函体12とで構成され、第1の函体11と第2の函体12は、それぞれが中空構造となっている。閉合された状態の作業函10は、平面視において、矩形の一辺の中央部を切り欠いた形状となっている。第1の函体11と第2の函体12は、概ね、中央部が切り欠かれた一辺の垂直二等分線によって作業函10を二分割した形状となっている。
<1.位置決め部材の設置>
図11は、堰柱2に位置決め部材42を設置した図である。位置決め部材42は、第1の端部21と第3の端部23の堰柱2への接触位置を定める部材である。位置決め部材42を設置したならば、第1の函体11を固定した台船7と第2の函体12を固定した台船7とを堰柱2の近傍に待機させる。
図12は、移動中の作業函10を示す図である。具体的には、第1の函体11の第1の端部21側の側面と第2の函体12の第3の端部23側の側面を位置決め部材42に接触させながら堰柱2に接近させる。
図13は、移動後の作業函10を示す図である。図14は、移動後の作業函10の各端部の拡大図であり、(a)は、第1の端部21を示し、(b)は、第2の端部22と第4の端部24を示す。図14(a)に示すように、第1の端部21が堰柱2の側面に対向し、第1の止水パッキン31が堰柱2に接触する。同様に、第3の端部23が堰柱2の反対側の側面に対向し、第3の止水パッキン33が堰柱2に接触する(図示省略)。
チェーンブロック44を締め上げることにより、第1の函体11と第2の函体12とを互いに引き寄せ、第2の端部22に設けられた第2の止水パッキン32と第4の端部24に設けられた第2の止水パッキン32に圧縮方向の荷重を加える。このようにして、作業函10が閉合され、第2の止水パッキン32と板状部材41との接触面に面圧が発生する。続いて、閉合された作業函10を台船7から切り離して着底させ、作業函10の底部の止水を行う。このとき、作業函10の頂部は、水面よりも上に位置する。
図15は、排水後の作業函10を示す図である。図16は、排水後の作業函10の各端部の拡大図であり、(a)は、第1の端部21を示し、(b)は、第2の端部22と第4の端部24を示す。作業函10と堰柱2との間の水を排水すると、作業函10に外側から水圧がかかる。この水圧により、面圧を増加させる方向の荷重が各止水パッキンに作用し、止水に十分な水準まで各止水パッキンの面圧が増加するので、作業函10と堰柱2との間に乾燥した作業空間8が形成される。なお、面圧を増加させる方向の荷重とは、第1の止水パッキン31と堰柱2との接触面の面圧、第3の止水パッキン33と堰柱2との接触面の面圧、第2の止水パッキン32と板状部材41との接触面の面圧をそれぞれ増加させる方向の荷重である。
以上が、仮締切の手順である。
上記の実施形態を次のように変形してもよい。また、複数の変形例を組み合わせもよい。
<第1変形例>
図17は、第1変形例を示す図である。この例では、第2の端部22に第2の止水パッキン32を備え、第4の端部24には第2の止水パッキン32を備えない。なお、第2の端部22に第2の止水パッキン32を備えず、第4の端部24に第2の止水パッキン32を備えるようにしてもよい。要するに、第2の端部22と第4の端部24の少なくとも一方に第2の止水パッキン32を備え、第1の止水パッキン31の圧縮変形量と第3の止水パッキン33の圧縮変形量の合計が、第2の止水パッキン32の圧縮変形量の合計と等しければよい。
図18は、第2変形例を示す図である。この例では、第1の函体11と第2の函体12に加えて第3の函体13を備える。第3の函体13は、第2の端部22に接する第5の端部25と、第4の端部24に接する第6の端部26とを有する。第3の函体13は、単体の函体でもよいし、複数の函体をつなげたものでもよい。
このように、仮締切の対象の幅が広い場合、上記実施形態のように作業函を二分割すると、函体の移動時に重量のバランスが悪くなり、また、函体に歪みが発生するおそれがあるが、本変形例では、そのような事態を防ぐことができる。
図20は、第3変形例を示す図である。この例は、例えば、水門の端部を想定したものであり、堰柱2に岸壁60が隣接している。この場合、一端が岸壁60に接するように第3の函体13を設置した後、第1の函体11を閉合する。
上記の実施形態では、各止水パッキンのバネ定数が等しい例を示したが、第1の止水パッキン31の圧縮変形量及び第3の止水パッキン33の圧縮変形量の合計が、第2の止水パッキン32の圧縮変形量の合計との差が所定の範囲内にあるという条件を満たすように構成されていれば、各止水パッキンのバネ定数が等しくなくてもよい。
図21は、第5変形例を示す図である。この例は、第1の函体11と第2の函体12にそれぞれ底版61、底版62を設けた例である。底版61は、第1の函体11と第2の函体12を閉合した場合に堰柱2に接触する縁部611を有する。底版62は、第1の函体11と第2の函体12を閉合した場合に堰柱2に接触する縁部621を有する。また、第1の函体11と第2の函体12を閉合した場合に、底版61の縁部612と、底版62の縁部622とが互いに接触する。縁部611と621には、止水パッキンが設けられている(図示省略)。縁部612と縁部622の少なくとも一方には、止水パッキンが設けられている(図示省略)。この構成によれば、作業函を着底させずに乾燥した作業空間を形成することができる。
上記の実施形態では、第2の端部22に設けられた第2の止水パッキン32と第4の端部24に設けられた第2の止水パッキン32にチェーンブロック44によって圧縮方向の荷重を加える例を示したが、第1の止水パッキン31と第3の止水パッキン33にもチェーンブロック44によって圧縮方向の荷重を加えるようにしてもよい。例えば、第1の函体11の第1の端部21近傍の側面と、第2の函体12の第3の端部23近傍の側面に、それぞれ突起45を設け、堰柱2の側面の第1の止水パッキン31と第3の止水パッキン33が接触する位置の近傍にそれぞれアンカーボルトを打ち込んでおく。そして、第1の端部21側と第3の端部23側のそれぞれにおいて、突起45とアンカーボルトをチェーンブロック44でつなぎ、チェーンブロック44を締め上げることにより、第1の止水パッキン31と第3の止水パッキン33に圧縮方向の荷重を加える。閉合された作業函から排水がなされた場合には、上記のようなチェーンブロック44の締め上げによる荷重も各止水パッキンに加わって圧縮変形するが、このときの圧縮変形量は、各止水パッキンの面圧が水圧以下とならないような所定の範囲内である。
Claims (6)
- 水中構造物の周囲を仮締切して作業空間を形成するための作業函であって、
前記水中構造物に接する第1の端部と、第2の端部とを有する第1の函体と、
前記水中構造物に接する第3の端部と、前記第2の端部に接する第4の端部とを有する第2の函体と、
前記第1の端部に設けられた第1の止水パッキンと、
前記第2の端部と前記第4の端部の少なくとも一方に設けられた第2の止水パッキンと、
前記第3の端部に設けられた第3の止水パッキンと、
前記第2の端部と前記第4の端部の接合を誘導するガイド部材と
を備え、
閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、当該排水により生じる荷重により前記第1乃至前記第3の止水パッキンの各々が圧縮変形するとともに、前記ガイド部材が前記第2の止水パッキンの圧縮変形に伴い生じる前記第2の端部と前記第4の端部の間隔の変化を許容する
作業函。 - 閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、前記第1の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第3の止水パッキンの圧縮変形量の合計と、前記第2の止水パッキンの圧縮変形量の合計とが等しい
請求項1に記載の作業函。 - 前記第2の端部に設けられた前記第2の止水パッキンと、前記第4の端部に設けられた前記第2の止水パッキンとの間に挟まれ、外部から前記作業空間に向かう方向の移動が規制され、閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に当該2つの前記第2の止水パッキンのせん断変形を抑制する板状部材を備える請求項1又は2に記載の作業函。
- 水中構造物の周囲を仮締切して作業空間を形成するための作業函であって、
前記水中構造物に接する第1の端部と、第2の端部とを有する第1の函体と、
前記水中構造物に接する第3の端部と、第4の端部とを有する第2の函体と、
前記第2の端部に接する第5の端部と、前記第4の端部に接する第6の端部とを有する第3の函体と、
前記第1の端部に設けられた第1の止水パッキンと、
前記第2の端部と前記第5の端部の少なくとも一方に設けられた第2の止水パッキンと、
前記第3の端部に設けられた第3の止水パッキンと、
前記第4の端部と前記第6の端部の少なくとも一方に設けられた第4の止水パッキンと、
前記第2の端部と前記第5の端部の接合を誘導する第1のガイド部材と、
前記第4の端部と前記第6の端部の接合を誘導する第2のガイド部材と
を備え、
閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、当該排水により生じる荷重により前記第1乃至前記第4の止水パッキンの各々が圧縮変形するとともに、前記第1のガイド部材が前記第2の止水パッキンの圧縮変形に伴い生じる前記第2の端部と前記第5の端部の間隔の変化を許容し、前記第2のガイド部材が前記第4の止水パッキンの圧縮変形に伴い生じる前記第4の端部と前記第6の端部の間隔の変化を許容する
作業函。 - 閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水が排水された場合に、前記第1の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第3の止水パッキンの圧縮変形量の合計と、前記第2の止水パッキンの圧縮変形量及び前記第4の止水パッキンの圧縮変形量の合計とが等しい
請求項4に記載の作業函。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の作業函の前記第1の端部と前記第3の端部の水平方向における水中構造物への接触位置を定める位置決め部材を前記水中構造物に設置する第1ステップと、
前記作業函を前記位置決め部材に基づいて前記水中構造物に接触させる第2ステップと、
前記作業函を閉合する第3ステップと、
閉合された前記作業函と前記水中構造物との間の水を排水する第4ステップと
を有する作業函の止水方法。
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