JP6497288B2 - 合成スラブ - Google Patents

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Description

本発明は、建造物の床構造として設けられる合成スラブに関する。
従来から、合成スラブ用デッキプレートの形状、構造を利用して簡易な断熱空間を形成等することで、火災時に合成スラブ用デッキプレート等の温度上昇を抑制することを目的として、特許文献1、2に開示される合成床スラブの耐火構造等が提案されている。
ここで、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、合成スラブ用デッキプレートを梁上に架設して、その上にコンクリートを打設した合成床スラブ構造であり、合成スラブ用デッキプレートの下面に平坦な鋼製蓋板が張り付けられる。そして、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、合成スラブ用デッキプレートの凸型部の下部を鋼製蓋板で全面的に閉鎖した断熱空間が形成されることで、火災時における合成スラブ用デッキプレート及びコンクリートの温度上昇が抑制される。
また、特許文献2に開示される耐火性防音床は、デッキプレートとコンクリートとから構成されるデッキプレートコンクリート床のデッキプレート側に、熱膨張性耐火シートと不燃材又は準不燃材からなる面材との積層体として耐火防音材が積層されてなる。そして、特許文献2に開示される耐火性防音床の熱膨張性耐火シートは、熱膨張性無機物を含有する樹脂組成物、熱可塑性樹脂若しくはゴム物質を含有する樹脂組成物、又は、エポキシ系樹脂を含有する樹脂組成物から形成される。
特開2004−332244号公報 特開2002−173995号公報
しかし、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、接着、ビス止め、リベット止め、又はスポット溶接等の止着手段で、合成スラブ用デッキプレートの凹型部の下面に鋼製蓋板が固定点で止着される。そして、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、合成スラブ用デッキプレートの凸型部には断熱空間が形成されるものの、合成スラブ用デッキプレートの凹型部の下面を覆うようには鋼製蓋板が張り付けられていない。
このため、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、合成スラブ用デッキプレートの凹型部の下面に鋼製蓋板が止着されることで、火災時に鋼製蓋板が凹型部の下面から離間する方向にたわんだ状態とならないものとなる。また、特許文献1に開示される合成床スラブの耐火構造は、凹型部の下面を覆うように鋼製蓋板が張り付けられておらず、特に、凹型部と鋼製蓋板との間には断熱空間が形成されないものとなる。
また、特許文献2に開示される耐火性防音床は、耐火防音材自身の粘着性を利用してデッキプレートと接着する方法、接着剤や両面粘着テープを用いて耐火防音材とデッキプレートを接着する方法、耐火防音材を機械的にデッキプレートに固定する方法、デッキプレートの底面側に耐火防音材を構成する各層を順次積層していく方法、デッキプレートの底面側に耐火防音材を単に敷設する方法等で、デッキプレートに耐火防音材が貼着される。
このため、特許文献2に開示される耐火性防音床は、デッキプレートの下面に接着等の方法で耐火防音材が貼着されることで、火災時に耐火防音材がデッキプレートの下面から離間する方向にたわんだ状態とならないものとなる。また、特許文献2に開示される耐火性防音床は、高価な熱膨張性耐火シートを貼着させる面積が膨大となることから、材料費及び施工費等が嵩んでしまい、耐火性能に対する費用対効果が小さいものとなる。
このように、特許文献1、2に開示される合成床スラブの耐火構造等は、火災時に鋼製蓋板又は耐火防音材がデッキプレートの下面から離間する方向にたわんだ状態とならないことで、特に、デッキプレートの下面と鋼製蓋板又は耐火防音材との間に十分な空気層が形成されないものとなり、建造物の床構造としての耐火性能の向上が課題となっていた。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、材料費及び施工費の増大を抑制しながら、火災時の入熱を低減して温度上昇を遅延させることで、耐火性能を向上させた合成スラブを提供することにある。
第1発明に係る合成スラブは、建造物の床構造として設けられる合成スラブであって、山部及び谷部が形成されたデッキプレートと、前記デッキプレートの下方に設けられた金属板と、前記デッキプレートの上方に設けられたコンクリートとを備え、前記金属板は、火災時に前記デッキプレートの下面から離間する方向にたわんで熱変形した状態となるとともに、前記デッキプレートとの間に空気層が形成されることを特徴とする。
第2発明に係る合成スラブは、第1発明において、前記金属板は、常温時に前記デッキプレートの下面に当接されて、火災時に前記デッキプレートの下面から離間する方向にたわんで熱変形した状態となることを特徴とする。
第3発明に係る合成スラブは、第1発明又は第2発明において、前記金属板は、前記デッキプレートの面外方向で上側に形成された前記山部から下側に形成された前記谷部まで面内方向に連続させて、前記デッキプレートの前記谷部の下面を覆うように設けられることを特徴とする。
第4発明に係る合成スラブは、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記金属板は、略平板状に形成されて、又は、面内方向で前記山部と略同一位置に配置される凸部及び前記谷部と略同一位置に配置される凹部が形成されることを特徴とする。
第5発明に係る合成スラブは、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記金属板は、鋼材が用いられることを特徴とする。
第6発明に係る合成スラブは、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記金属板は、面内方向の側端部のみが鉄骨梁に下方から支持されることを特徴とする。
第1発明〜第6発明によれば、火災時にデッキプレートの下面から離間する方向に金属板がたわんで熱変形した状態となり、金属板とデッキプレートとの間に空気層が形成されることで、耐火認定試験における加熱裏面温度及びたわみ量が制限値を超えないものとして、合成スラブの耐火性能を向上させることが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、特に、火災時の入熱により金属板のたわみ量が増大することで、金属板とデッキプレートとの間に空気層が形成されて、金属板への入熱が増大するにしたがって、断熱層として機能する空気層の厚さが増大することで、デッキプレート及びコンクリートへの入熱を低減する効果が向上することが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、火災時の入熱により金属板のたわみ量は増大するものの、デッキプレート及びコンクリートのたわみ量は制限値を超えないものとなり、デッキプレート及びコンクリートのたわみ量が抑制されることで、デッキプレートとコンクリートとの一体性を維持することが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、デッキプレートに高価な熱膨張性耐火シート等を貼着させることなく、デッキプレート及びコンクリートへの火災時の入熱が、空気層の断熱効果により低減されるため、高価な熱膨張性耐火シート等を必要とすることなく、安価な材料で施工が容易な金属板が用いられて、材料費及び施工費の増大を抑制しながら耐火性能を向上させることが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、デッキプレート及びコンクリートへの火災時の入熱が、空気層の断熱効果により低減されて、湿式の耐火被覆を削減することができるため、湿式の耐火被覆を施工するための工期を短縮することが可能となるとともに、耐火被覆による天井懐高さの増大を抑制して、室内有効空間を拡大することが可能となる。
第2発明〜第6発明によれば、デッキプレートの下方から金属板が当接されて、デッキプレートの剛性が向上することで、常温時のデッキプレート及びコンクリートのたわみ量が抑制されるだけでなく、合成スラブの遮音性能を向上させることが可能となるとともに、コンクリートを打設するときに型枠材となるデッキプレートの支保工を省略又は削減して、コンクリートを打設するための工期を短縮することが可能となる。
本発明を適用した合成スラブが床構造として設けられる建造物を示す斜視図である。 本発明を適用した合成スラブと鉄骨梁を示す斜視図である。 本発明を適用した合成スラブのデッキプレートと類似する断面形状の金属板を示す正面図である。 本発明を適用した合成スラブのデッキプレート及び金属板を示す拡大正面図である。 本発明を適用した合成スラブの略平板状に形成された金属板を示す正面図である。 本発明を適用した合成スラブのデッキプレートと略同一の断面形状の金属板を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した合成スラブの面内方向の側端部のみが鉄骨梁に支持される金属板を示す正面図であり、(b)は、その側面図である。 本発明を適用した合成スラブの火災時に面内方向の中間部がデッキプレートの下面から離間する方向にたわんで熱変形した状態の金属板を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した合成スラブの火災時にデッキプレートと類似する断面形状の金属板がたわんで熱変形した状態を示す正面図であり、(b)は、その略平板状に形成された金属板がたわんで熱変形した状態を示す正面図である。 本発明を適用した合成スラブの耐火認定試験概要を示す正面図である。 本発明を適用した合成スラブで空気層の断熱効果を検証する熱伝導解析の各解析モデルで加熱開始120分後における温度分布を示す拡大正面図である。 熱伝導解析の各解析モデルで熱伝導解析より得られる加熱裏面温度の履歴を示すグラフである。 熱伝導解析の各解析モデルで空気層の厚さと加熱裏面温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した合成スラブ1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した合成スラブ1は、図1に示すように、主に、住宅、学校、事務所又は病院施設等の建造物8において、建造物8の床構造として設けられる。
本発明を適用した合成スラブ1は、建造物8の各階層で略矩形状等に形成されるとともに、略矩形状等に形成された各側端辺1aが四方に配置されて、各階層の略水平方向に延びる複数のH形鋼等の鉄骨梁7に、四方に配置された各側端辺1aが接合されて支持される。
本発明を適用した合成スラブ1は、図2に示すように、山部21及び谷部22が交互に形成されたデッキプレート2と、デッキプレート2の下方に設けられた金属製の金属板3と、デッキプレート2の上方に設けられたコンクリート4とを備える。
デッキプレート2は、例えば、JIS G 3352の規格に適合した1.2mm厚の薄鋼板等の鋼材が用いられる。デッキプレート2は、必要に応じて、溶融亜鉛メッキ等の防錆処理が施されて、又は、耐候性鋼、ステンレス鋼等の薄鋼板等が用いられてもよい。
デッキプレート2は、図3に示すように、複数の山部21及び複数の谷部22が、面内方向Xで交互に連続させて形成される。デッキプレート2は、面外方向Yに屈曲加工した薄鋼板等が用いられることで、面外方向Yの上側に複数の山部21が形成されるとともに、面外方向Yの下側に複数の谷部22が形成される。
デッキプレート2は、面外方向Yの上側に形成された山部21と下側に形成された谷部22とが、面外方向Yに傾斜等して延びる連結部23で連結される。デッキプレート2は、山部21と谷部22との面外方向Yの離間距離Dが、例えば、50mm程度となるものであるが、これに限らず、75mm程度、120mm程度等のものが用いられてもよい。
デッキプレート2は、図4に示すように、必要に応じて、面内方向Xで各々の山部21の略中央にV形溝21aが形成されるとともに、面外方向Yで各々の連結部23の上側に屈曲溝23a、面内方向Xで各々の谷部22の略中央に台形溝22aが形成される。
デッキプレート2は、V形溝21a、屈曲溝23a及び台形溝22aが形成されることで、面外方向Yの曲げ剛性を向上させたものとなる。また、デッキプレート2は、V形溝21a、屈曲溝23a及び台形溝22aとコンクリート4とを係合させることで、コンクリート4との一体性を向上させたものとなる。
デッキプレート2は、面外方向Yの上方にコンクリート4が設けられるとともに、面外方向Yの下方に金属板3が設けられる。このとき、デッキプレート2は、山部21、谷部22及び連結部23の各々で、コンクリート4が設けられるコンクリート4側の面が上面2bとなるとともに、コンクリート4が設けられない金属板3側の面が下面2aとなる。
コンクリート4は、図3に示すように、セメント、細骨材、粗骨材、水及び混和材等を混合して用いられて、必要に応じて、モルタル等が用いられてもよい。コンクリート4は、デッキプレート2の上面2b側に打設されて、デッキプレート2の上面2b側で所定時間の経過後に硬化して、デッキプレート2の谷部22まで充填させて設けられる。
コンクリート4は、デッキプレート2の山部21から上方に向けて、例えば、厚さTが70mm程度となる。コンクリート4は、必要に応じて、デッキプレート2の山部21の上方で、例えば、30mm以上の被り厚を確保して、溶接金網40が内部に設けられる。溶接金網40は、引張力を負担してコンクリート4のひび割れ等を防止するものとなる。
金属板3は、例えば、JIS G 3352の規格に適合した1.2mm厚の薄鋼板等の鋼材が用いられる。金属板3は、火災時にたわんで熱変形するものであれば、如何なる金属が材質となってもよい。金属板3は、必要に応じて、溶融亜鉛メッキ等の防錆処理が施されて、又は、耐候性鋼、ステンレス鋼等の薄鋼板等が用いられてもよい。
金属板3は、デッキプレート2と類似する断面形状となる薄鋼板等が用いられて、複数の凸部31及び複数の凹部32が、面内方向Xで交互に連続させて形成される。金属板3は、面外方向Yに屈曲加工した薄鋼板等が用いられることで、面外方向Yの上側に複数の凸部31が形成されるとともに、面外方向Yの下側に複数の凹部32が形成される。
金属板3は、特に、デッキプレート2と類似する断面形状となる薄鋼板等が用いられる場合に、図4に示すように、面外方向Yの上側に形成された凸部31と下側に形成された凹部32とが、面外方向Yに傾斜等して延びる傾斜部33で連結される。このとき、金属板3は、デッキプレート2のようなV形溝21a、屈曲溝23a及び台形溝22aが形成されることなく、凸部31、凹部32及び傾斜部33の各々が略平坦状に形成される。
金属板3は、デッキプレート2と類似する断面形状となる薄鋼板等が用いられるものであるが、これに限らず、図5に示すように、略平板状に形成された薄鋼板等が用いられてもよい。また、金属板3は、図6に示すように、デッキプレート2と同様のV形溝21a、屈曲溝23a及び台形溝22aが、金属板3の凸部31、凹部32及び傾斜部33にも形成されて、デッキプレート2と略同一の断面形状となる薄鋼板等が用いられてもよい。
金属板3は、図3に示すように、デッキプレート2と類似する断面形状となる場合、又は、図6に示すように、デッキプレート2と略同一の断面形状となる場合の何れでも、デッキプレート2の山部21に下方から金属板3の凸部31が嵌め込まれる。このとき、金属板3は、面内方向Xでデッキプレート2の山部21と略同一位置に凸部31が配置されて、面内方向Xでデッキプレート2の谷部22と略同一位置に凹部32が配置される。
金属板3は、図3、図5、図6に示すように、特に、デッキプレート2の山部21から谷部22まで面内方向Xに連続させて、デッキプレート2の下面2aを全面に亘って下方から覆うように設けられる。このとき、金属板3は、デッキプレート2の山部21の下面2aのみならず、デッキプレート2の谷部22の下面2aをも覆うように設けられることで、面内方向Xの全面に亘って連続的に設けられるものとなる。
金属板3は、図3、図5に示すように、デッキプレート2と類似する断面形状となる場合、又は、略平板状に形成される場合の何れでも、デッキプレート2の谷部22における全部の下面2aに当接されて当接面30が形成される。また、金属板3は、図6に示すように、デッキプレート2と略同一の断面形状となる場合に、デッキプレート2の谷部22及び連結部23における一部の下面2aに当接されて部分的に当接面30が形成される。
金属板3は、図7に示すように、合成スラブ1が鉄骨梁7に接合される箇所で、焼抜き栓溶接よる接合、打込み鋲による接合、又は、頭付きスタッドによる接合等の接合方法で、面内方向Xの側端部3aが鉄骨梁7に接合されて支持される。金属板3は、面内方向Xで中央側の中間部3bが鉄骨梁7に支持されることなく、面内方向Xの側端部3aのみがデッキプレート2との間に挟まれた状態で鉄骨梁7に下方から支持される。
金属板3は、図3に示すように、特に、面内方向Xの中間部3bでは、デッキプレート2の山部21、谷部22及び連結部23の何れの下面2aにも止着又は貼着等により接合されることなく、デッキプレート2の下面2aに当接される。金属板3は、これに限らず、デッキプレート2の下面2aに当接されることなく、デッキプレート2の下面2aから離間させた状態で、デッキプレート2に接合されないものとして設けられてもよい。
金属板3は、図7に示すように、面内方向Xの側端部3aのみが、デッキプレート2との間で鉄骨梁7に下方から支持される。また、金属板3は、図8に示すように、面内方向Xの中間部3bでは、デッキプレート2の下面2aに接合されないものとなる。このとき、金属板3は、常温時にデッキプレート2の下面2aに当接等された状態となるが、特に、火災時にたわんでデッキプレート2の下面2aから離間した状態となる。
金属板3は、図9に示すように、常温時にデッキプレート2の下面2aに当接等された状態から、火災時にデッキプレート2の下面2aから離間する方向にたわんで熱変形した状態となる。金属板3は、火災時にたわんで熱変形した状態となるとともに、デッキプレート2の下面2aから離間して、デッキプレート2との間に空気層Sが形成される。
金属板3は、火災時に熱変形した状態となることで、図9(a)に示すように、特に、デッキプレート2の山部21及び谷部22の下方に、新たな空気層Sが形成される。また、金属板3は、火災時に熱変形した状態となることで、図9(b)に示すように、デッキプレート2の山部21の下方にあらかじめ形成された空気層Sの厚さを増大させて、デッキプレート2の谷部22の下方にのみ新たな空気層Sが形成されるものでもよい。
本発明を適用した合成スラブ1は、コンクリート4を打設するときに、デッキプレート2が型枠材として機能して、コンクリート4が硬化した後に、デッキプレート2が引張力を負担するとともにコンクリート4が圧縮力を負担する。そして、本発明を適用した合成スラブ1は、火災時においても、コンクリート4自体の熱容量が大きいだけでなく、コンクリート4の内部の水分が蒸発することで、合成スラブ1全体の温度上昇が遅延する。
ここで、合成スラブ1の耐火認定試験では、加熱裏面温度及びたわみ量の2項目が主な評価項目とされており、これらの2項目の値が、所定時間加熱終了まで制限値を超えないことが要求されている。そして、この耐火認定試験は、図10に示すように、合成スラブ1のスパン長、載荷点及び載荷重P等を設定して、30分、1時間、2時間等の所定時間、合成スラブ1を下方から加熱した後、加熱裏面温度及びたわみ量の2項目を測定する。
加熱裏面温度は、合成スラブ1が加熱される加熱面とは反対側の裏面の温度を測定するものであり、耐火認定試験において、合成スラブ1の積載荷重の大小又はスパン長の長短の影響をほとんど受けないものとなる。これに対して、たわみ量は、合成スラブ1の積載荷重の大小又はスパン長の長短の影響を受けるものであり、特に、積載荷重が大きい場合又はスパン長が長い場合であっても、たわみ量が制限値を超えないことが要求される。
本発明を適用した合成スラブ1は、図9に示すように、特に、火災時にデッキプレート2の下面2aから離間する方向に金属板3がたわんで熱変形した状態となり、金属板3とデッキプレート2との間に面外方向Yで所定の厚さdの空気層Sが形成される。このとき、本発明を適用した合成スラブ1は、金属板3とデッキプレート2との間の空気層Sが、火災時の入熱を低減する断熱層として機能するものとなる。
本発明を適用した合成スラブ1は、火災時の入熱により金属板3のたわみ量は増大するものの、金属板3とデッキプレート2との間の空気層Sが断熱層として機能して、デッキプレート2及びコンクリート4への入熱は低減される。本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2及びコンクリート4への火災時の入熱が、空気層Sの断熱効果により低減されることで、デッキプレート2及びコンクリート4の温度上昇が遅延する。
このとき、本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2及びコンクリート4の温度上昇が遅延することで、耐火認定試験における加熱裏面温度の増大が抑制されるものとなる。そして、本発明を適用した合成スラブ1は、耐火認定試験における加熱裏面温度の増大が抑制されることで、積載荷重が大きい場合又はスパン長が長い場合等であっても、デッキプレート2及びコンクリート4のたわみ量は制限値を超えないものとなる。
本発明を適用した合成スラブ1は、火災時にデッキプレート2の下面2aから離間する方向に金属板3がたわんで熱変形した状態となり、金属板3とデッキプレート2との間に空気層Sが形成されることで、耐火認定試験における加熱裏面温度及びたわみ量が制限値を超えないものとして、合成スラブ1の耐火性能を向上させることが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、特に、火災時の入熱により金属板3のみのたわみ量が増大することで、金属板3とデッキプレート2との間の空気層Sが増大する。このとき、本発明を適用した合成スラブ1は、金属板3への入熱が増大するにしたがって、断熱層として機能する空気層Sの厚さdが増大することで、デッキプレート2及びコンクリート4への入熱を低減する効果が向上することが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、火災時の入熱により金属板3のたわみ量は増大するものの、デッキプレート2及びコンクリート4のたわみ量は制限値を超えないものとなる。このとき、本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2及びコンクリート4のたわみ量が抑制されて、デッキプレート2とコンクリート4とが互いに離間し難いものとなり、デッキプレート2とコンクリート4との一体性を維持することが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2に高価な熱膨張性耐火シート等を貼着させることなく、デッキプレート2及びコンクリート4への火災時の入熱が、空気層Sの断熱効果により低減される。本発明を適用した合成スラブ1は、高価な熱膨張性耐火シート等を必要とすることなく、安価な材料で施工が容易な金属板3が用いられることで、材料費及び施工費の増大を抑制しながら耐火性能を向上させることが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2及びコンクリート4への火災時の入熱が、空気層Sの断熱効果により低減されて、湿式の耐火被覆を削減することができるため、湿式の耐火被覆を施工するための工期を短縮することが可能となる。また、本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2への耐火被覆を削減することで、耐火被覆による天井懐高さの増大を抑制して、室内有効空間を拡大することが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、デッキプレート2の下方から金属板3が当接されることで、デッキプレート2の剛性が向上するため、常温時のデッキプレート2及びコンクリート4のたわみ量が抑制されるとともに、合成スラブ1の遮音性能を向上させることが可能となる。また、本発明を適用した合成スラブ1は、コンクリート4を打設するときに型枠材となるデッキプレート2の剛性が向上するため、デッキプレート2の支保工を省略又は削減して、コンクリート4を打設するための工期を短縮することが可能となる。
本発明を適用した合成スラブ1は、火災時のデッキプレート2及びコンクリート4への入熱を低減して温度上昇を遅延させて、耐火性能を向上させることを目的とする。ここでは、火災時に金属板3がたわんで熱変形した状態となり、金属板3とデッキプレート2との間に形成された空気層Sの断熱効果を検討するために、熱伝導解析を実施した。
この熱伝導解析では、耐火認定試験を対象として、金属板3とデッキプレート2との間に形成される空気層Sが合成スラブ1の断面内温度に及ぼす影響を検証した。解析断面は、図6に示すデッキプレート2及び金属板3を2枚重ねて配置して、また、コンクリート4として普通コンクリートを厚さ70mmで打設することで、総厚120.0mmとなる合成スラブ1を対象とした。そして、この熱伝導解析では、空気層Sの厚さdを解析変数として、ISO834標準加熱曲線に準拠した2時間加熱の加熱条件とした。
この熱伝導解析では、図11に示すように、空気層Sの厚さdを変化させて、複数の解析モデルを設定した。各解析モデルにおいては、空気層Sの厚さdが時間の経過により変化しないものとして、空気の熱伝導率、比熱及び密度等を設定した要素を設けて空気層Sを模擬した。なお、解析に使用した各材料の熱物性値は、鋼構造耐火設計指針に掲載の値を使用した。
デッキプレート2の下方に金属板3が設けられない解析モデル(図11(a))、及び、デッキプレート2に金属板3が接合された解析モデル(図11(b))は、空気層Sが形成されない(厚さd=0)解析モデルとなる。また、図11(c)、図11(d)に示す解析モデルは、本発明を適用した合成スラブ1を対象とするものであり、空気層Sの厚さd=10mm(図11(c))、及び、空気層Sの厚さd=100mm(図11(d))となる。なお、温度表示は、図11の凡例に示す通りである。
熱伝導解析の結果によると、図11(a)、図11(b)の解析モデルでは、空気層Sの厚さd=0であるため、デッキプレート2及びその近傍のコンクリート4が、800℃〜1100℃程度と非常に高温となることがわかる。これに対して、図11(c)の解析モデルでは、断熱層となる空気層Sの厚さd=10mmであり、デッキプレート2及びその近傍のコンクリート4が、200℃〜300℃程度に保たれて、図11(d)の解析モデルでは、空気層Sの厚さd=100mmであり、デッキプレート2及びその近傍のコンクリート4が、100℃〜200℃程度に保たれる。
また、図12には、デッキプレート2の山部21の上方の加熱裏面温度を縦軸、時間を横軸として、熱伝導解析より得られる加熱裏面温度の履歴が示される。ここで、加熱裏面温度は、図12に示すように、加熱開始から120分後の時点において、空気層Sの厚さd=0のときに280℃程度となるのに対して、空気層Sの厚さd=10mmのときに70℃程度、空気層Sの厚さd=100mmのときに25℃程度となる。なお、この熱伝導解析の結果は、図13に示すように、空気層Sの厚さdと加熱裏面温度との関係として示されて、空気層Sの厚さdが大きいほど加熱裏面温度が低下する。
耐火認定試験においては、加熱裏面温度の制限値が、特に、初期温度+140℃として規定されており、本発明を適用した合成スラブ1は、図12、図13に示すように、所定の厚さdの空気層Sが形成されることで、空気層Sの厚さd=10mmのときには加熱裏面温度が210℃程度低下して、空気層Sの厚さd=100mmのときには加熱裏面温度が255℃程度低下するため、耐火認定試験における加熱裏面温度の制限値を超えないことがわかる。
このように、本発明を適用した合成スラブ1は、この熱伝導解析の結果からも、火災時に金属板3がたわんで熱変形した状態となり、金属板3とデッキプレート2との間に形成された空気層Sが断熱効果を発揮して、優れた耐火性能を実現できることが検証された。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :合成スラブ
1a :側端辺
2 :デッキプレート
2a :下面
2b :上面
21 :山部
21a :V形溝
22 :谷部
22a :台形溝
23 :連結部
23a :屈曲溝
3 :金属板
3a :側端部
3b :中間部
30 :当接面
31 :凸部
32 :凹部
33 :傾斜部
4 :コンクリート
40 :溶接金網
7 :鉄骨梁
8 :建造物
S :空気層
X :面内方向
Y :面外方向

Claims (6)

  1. 建造物の床構造として設けられる合成スラブであって、
    山部及び谷部が形成されたデッキプレートと、前記デッキプレートの下方に設けられた金属板と、前記デッキプレートの上方に設けられたコンクリートとを備え、
    前記金属板は、火災時に前記デッキプレートの下面から離間する方向にたわんで熱変形した状態となるとともに、前記デッキプレートとの間に空気層が形成されること
    を特徴とする合成スラブ。
  2. 前記金属板は、常温時に前記デッキプレートの下面に当接されて、火災時に前記デッキプレートの下面から離間する方向にたわんで熱変形した状態となること
    を特徴とする請求項1記載の合成スラブ。
  3. 前記金属板は、前記デッキプレートの面外方向で上側に形成された前記山部から下側に形成された前記谷部まで面内方向に連続させて、前記デッキプレートの前記谷部の下面を覆うように設けられること
    を特徴とする請求項1又は2記載の合成スラブ。
  4. 前記金属板は、略平板状に形成されて、又は、面内方向で前記山部と略同一位置に配置される凸部及び前記谷部と略同一位置に配置される凹部が形成されること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の合成スラブ。
  5. 前記金属板は、鋼材が用いられること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の合成スラブ。
  6. 前記金属板は、面内方向の側端部のみが鉄骨梁に下方から支持されること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の合成スラブ。
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