JP6497285B2 - 電解設備の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解設備の操業方法に関する。さらに詳しくは、例えば電解採取により電気ニッケルを製造するための電解設備の操業方法に関する。
ニッケルの電解採取においては、ニッケルとは別種の金属であって繰り返し使用できる材質(例えば、ステンレスやチタン等)の母板をカソードとして用い、ニッケルを電着させ、電着物を剥ぎ取って電気ニッケルを得る。この電気ニッケルは母板とほぼ同じ形状であり、縦横の寸法が約1m、厚みが数mmの板状である。電気ニッケルを板状のまま出荷することもあるが、短冊状やブロック状に切断して出荷することもある。
めっき用のアノードとして電気ニッケルを用いる場合、電気ニッケルはめっき装置のチタン製アノードボックス等に充填される。角形の電気ニッケル製品は角部が鋭いため、アノードボックスへの投入時に作業員が手を切らないように気をつける必要がある。また、電気ニッケル製品の角部がアノードボックスの網目に引っかかる、いわゆる棚張りを起こすと、均一に充填できず、めっきむらの一因となる。
このような問題を解消するために、鋭い角部のない円形状などの特殊形状の電気ニッケル製品が実用化されている。特殊形状の電気ニッケルは、母板の表面を絶縁物でマスキングして任意の形状(例えば円形)の電着部を形成し、その母板をカソードとして用いて電解採取することで得られる(例えば、特許文献1)。
特殊形状の電気ニッケルの製造においては、カソードにマスキングを施すため、カソードの有効電着面積が減少し、電着部の電流密度が高くなる。電流密度が高いと水が電気分解して水素ガスが発生しやすくなる。発生した水素ガスの気泡を巻き込んで電着が起こると、表面に穴が空いた電気ニッケルが得られる。電気ニッケルの表面の穴はガスホールと呼ばれ、外観不良の一種である。そのため、ガスホールが発生すると、製品の歩留まりが低下する。
特許文献2には、カソード電流密度を400〜480A/m2の範囲内とするとともに、電解液のニッケル濃度を60〜95g/L、pHを3.1〜4.0の範囲とすることで、水素ガスの発生を抑制することが開示されている。
特開平10−317196号公報 特開2002−302787号公報
定常的な操業であれば、特許文献2に記載の条件とすることで、水素ガスの発生を抑制できる。そのため、ガスホールの発生を低減できることが期待される。しかし、操業立ち上げ時の非定常的な操業では、特許文献2に記載の条件を満たすことが困難であり、水素ガスが発生し、ガスホールが発生するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、非定常操業期間でもガスホールの発生を低減できる電解設備の操業方法を提供することを目的とする。
第1発明の電解設備の操業方法は、複数組の電解槽を有する電解設備の操業方法であって、電解液が貯留されていない前記複数組の電解槽への電解液の供給開始から、前記電解槽への通電を組ごとに順次開始し、最終組の電解槽への通電開始までの期間である非定常操業期間において、前記電解槽に供給される電解液のpHを、予め定められた給液pH範囲に調整し、前記非定常操業期間後の定常操業期間において、前記電解槽に供給される電解液のpHを、予め定められた槽内pH範囲の下限値よりも低く調整することで、前記電解槽内の電解液のpHを前記槽内pH範囲とし、前記槽内pH範囲は、下限値が水素ガスの発生を抑制できるpHに設定され、上限値が水酸化物の生成を抑制できるpHに設定されており、前記給液pH範囲は、下限値が前記槽内pH範囲の下限値以上に設定され、上限値が前記槽内pH範囲の中央値以下に設定されていることを特徴とする。
第2発明の電解設備の操業方法は、第1発明において、特殊形状の電気ニッケルが得られるように表面を絶縁物でマスキングしたカソードを用いた電解設備の操業方法であって、前記槽内pH範囲は、pH3.1以上4.0以下であり、前記給液pH範囲は、pH3.1以上3.4以下であることを特徴とする。
本発明の電解設備の操業方法は、給液pH範囲の下限値が槽内pH範囲の下限値以上に設定されているので、通電開始時点での電解槽内の電解液のpHが槽内pH範囲の下限値以上であり、水素ガスの発生を抑制できる。その結果、非定常操業期間でもガスホールの発生を低減できる。また、給液pH範囲の上限値が槽内pH範囲の中央値以下に設定されているので、通電により電解槽内の電解液のpHが上昇しても槽内pH範囲の上限値を超えることがなく、水酸化物の生成を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る電解設備1の説明図である。 電解設備1のタイムチャートである。 槽内電解液のpHの時間変化の一例を示すグラフである。 本実施形態における槽内電解液のpHの時間変化を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(電解設備1)
まず、本発明の一実施形態に係る電解設備1の構成を説明する。
図1に示すように、電解設備1は複数組の電解槽10(11、・・・、15)を備えている。各組は1または複数の電解槽10からなる。図1に示す例では、電解設備1は5組の電解槽11〜15を備えており、各組は1つの電解槽10からなる。なお、符号11は第1組の電解槽、符号12は第2組の電解槽、符号13は第3組の電解槽、符号14は第4組の電解槽、符号15は第5組の電解槽を示している。組を区別せず、いずれかの電解槽を示す場合には電解槽10と称する。
電解設備1は給液調整設備20を備えている。給液調整設備20には前工程の設備から電解液が供給されている。給液調整設備20では、電解液に水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加したり、塩酸などの酸を添加したりすることで、電解液を所望のpHに調整する。
給液調整設備20でpH調整された電解液は電解槽10に供給される。電解槽10に供給される電解液(給液調整設備20から排出され、電解槽10に供給される前の電解液)を電解給液と称する。
電解給液の供給、停止は全ての組の電解槽11〜15に対して一元的に制御されている。すなわち、電解給液の供給を開始する場合には全ての組の電解槽11〜15への供給が同時に開始される。また、電解給液の供給を停止する場合には全ての組の電解槽11〜15への供給が同時に停止される。
電解設備1は電力供給設備30を備えている。各電解槽10には複数枚のアノードとカソードとが交互に挿入されている。アノード−カソード間に電流を流すことで電解製錬が行われる。電力供給設備30は各電解槽10に接続されており、アノード−カソード間に電流を供給する。電力供給設備30は、電解槽の組11〜15ごとに通電の開始と終了を制御できる。
電解設備1は移送クレーン40を備えている。移送クレーン40は、電解槽10へのカソードの挿入、抜去、移送ができるよう構成されている。所定時間の通電によりカソードには目的金属が電着する。移送クレーン40により、電着後のカソードを電解槽10から抜き出し、剥ぎ取り設備50に移送する。
剥ぎ取り設備50では、カソードに振動を与えるなどして、カソードから電着物を剥ぎ取る。得られた電着物は後工程により製品化される。
電着物が剥ぎ取られたカソードは曲がりなどの問題がないか確認される。曲がりがある場合には、曲がりを矯正する処理が行われる。その後、カソードは移送クレーン40により移送され、再び電解槽10に挿入される。
電解槽10からは電解製錬に用いられた後の電解液が排出される。電解槽10から排出された電解液を電解廃液と称する。電解廃液は図示しない廃液処理設備で脱塩素処理された後に、給液調整設備20に繰り返し装入される。
電解設備1の目的金属は特に限定されないがニッケルやコバルトが挙げられる。電解採取により電気ニッケルを得る場合には、電解液として塩化ニッケル水溶液が用いられ、カソードとしてステンレスやチタンなどのニッケルとは別種の金属の母板が用いられる。また、電解採取により電気コバルトを得る場合には、電解液として塩化コバルト水溶液が用いられ、カソードとしてステンレスやチタンなどのコバルトとは別種の母板が用いられる。
円形状などの特殊形状の電気ニッケルを製造してもよい。この場合には、表面を絶縁物でマスキングして任意の形状(例えば円形)の電着部を形成したカソードが用いられる。このカソードを用いて電解採取を行えば、電着部に特殊形状の電気ニッケルが電着する。
電気ニッケルの成分として、高純度のものと、硫黄入りのものとがある。めっき用のアノードとしては、硫黄品位が0.01〜0.1%の電気ニッケルが好適に用いられる。硫黄入りの電気ニッケルはめっき時に溶解性が高いからである。硫黄入りの電気ニッケルを製造するには、電解液にチオ硫酸ナトリウム(ハイポ)などの硫黄源を添加する。
(操業方法)
つぎに、電解設備1の操業方法を説明する。
図2に電解設備1のタイムチャートを示す。図2のタイムチャートには、定期補修などを実施した後の操業立ち上げ期間である非定常操業期間と、その後の定常操業期間とを示している。
定期補修を行う際は、電解槽10から全ての電解液が排出されており、電解槽10は電解液が貯留されていない空の状態である。操業を立ち上げるには、まず、(1)空の電解槽10への電解液の供給を開始する。ここで、電解液の供給は全ての組の電解槽11〜15に対して一元的に制御されているため、全ての組の電解槽11〜15への供給が同時に開始される。
第1組の電解槽11が電解液で満たされたら、(2)第1組の電解槽11にカソードを挿入する。その後、(3)第1組の電解槽11への通電を開始して電解を行う。所定時間の通電によりカソードには目的金属が電着する。所定の通電時間が経過したら、通電を停止して、第1組の電解槽11から電着後のカソードを抜き出し、代わりに電着前のカソードを挿入する。カソードの入れ換えが完了したら再び通電を開始する。以降、この操作を繰り返し行う。
(2)第1組の電解槽11へのカソードの挿入が完了した後に、(4)第2組の電解槽12にカソードを挿入する。その後、(5)第2組の電解槽12への通電を開始して電解を行う。所定時間の通電の後、カソードの入れ換えを行い、再び通電を開始する。以降、この操作を繰り返し行う。
同様に、第3組の電解槽13、第4組の電解槽14の順に、カソードを挿入し、通電を開始する。最後に、最終組である第5組の電解槽15に、(6)カソードを挿入し、(7)通電を開始する。このように、電解槽11〜15への通電を、時間をずらして組ごとに順次開始する。
なお、各電解槽10へのカソードの挿入は通電開始の直前に行うことが好ましい。通電することなくカソードを電解液に長時間浸漬したままにすると、カソード自体の素材やマスキング用の樹脂が電解液によって腐食される恐れがあるからである。
例えば、第5組の電解槽15へのカソードの挿入は、第5組の電解槽15が電解液で満たされた直後ではなく、通電開始の直前に行われる。第5組の電解槽15への通電が開始されるまでの期間は、第5組の電解槽15に供給された電解液は、電解に用いられずそのまま排出される。
以上のように、カソードの挿入を電解槽の組11〜15ごとに順次行うことで、移送クレーン40および剥ぎ取り設備50の処理を平準化できる。その結果、少ない設備で効率のよい操業ができる。
本実施形態の電解設備1は5組の電解槽11〜15を有する。この場合、例えば、通電時間を5日間とし、1日ごとに順に1組の電解槽10への通電を開始するよう操業する。そうすると、1日ごとに1組の電解槽10に対してカソードを挿入することになる。その後のカソードの入れ換え作業も1日ごとに1組の電解槽10に対して行うことになる。このように、移送クレーン40および剥ぎ取り設備50の処理を平準化できる。
なお、電解設備1に備えられる電解槽10は5組に限られず、4組以下でもよいし、6組以上でもよい。また、組を構成する電解槽10の数は1槽に限られず、2槽以上でもよい。組ごとに電解槽10の数が異なってもよい。移送クレーン40および剥ぎ取り設備50の処理能力によって、最適な数を選択すればよい。
本明細書では、(1)電解液が貯留されていない電解槽10への電解液の供給開始から、(7)最終組の電解槽15への通電開始までの期間を「非定常操業期間」と称する。また、非定常操業期間の後の期間を「定常操業期間」と称する。定常操業期間では、全ての組の電解槽11〜15を用いて電解が行われる。
ところで、実操業では常に理想的な電解反応のみが進行するわけではい。目的金属の電着反応(式1)のほか、水素ガスが発生する反応(式2)も生じる。
(式1) Mn+ + en- = M (Mは目的金属)
(式2) 2H+ + 2e- = H2
発生した水素ガスの気泡を巻き込んで電着が起こると、表面に穴が空いた電着物が得られる。電着物の表面の穴はガスホールと呼ばれ、外観不良の一種である。そのため、ガスホールが発生すると、製品の歩留まりが低下する。特殊形状の電気ニッケルを製造する場合には、カソードにマスキングを施すため、カソードの有効電着面積が減少し、電着部の電流密度が高くなる。電流密度が高いと水素ガスが発生しやすくなり、ガスホールが発生しやすい。
電解液のpHが低いほど水素ガスが発生しやすいことが知られている。そこで、電解液のpHをある値以上に調整することで、水素ガスの発生を抑制でき、ガスホールの発生を低減できる。
また、水素ガスが発生すると、電解液中の水素イオンが消費されるため、電解液のpHが上昇する。電解液のpHが高くなりすぎると水酸化物が生成される。水酸化物が生成されると、水酸化物が巻き込まれて電着し、電着物の外観不良や不純物不良が発生するという問題がある。電解液のpHをある値以下に調整することで、水酸化物の発生を抑制できる。
水素ガスおよび水酸化物の発生を抑制するために、電解槽10内の電解液のpHを予め定められた管理範囲内に維持する。ここで、電解槽10内の電解液を「槽内電解液」と称し、槽内電解液のpHの管理範囲を「槽内pH範囲」と称する。
槽内pH範囲は、下限値が水素ガスの発生を抑制できるpHに設定され、上限値が水酸化物の生成を抑制できるpHに設定される。特殊形状の電気ニッケルを得る操業の場合、槽内pH範囲はpH3.1以上4.0以下とすることが好ましい。
なお、特殊形状の電気ニッケルを得る操業の場合、上記pH範囲とすることに加えて、カソード電流密度を400〜480A/m2とし、電解給液のニッケル濃度を60〜95g/Lとすることが好ましい。この条件とすれば、水素ガスの発生を抑制できるからである。
槽内電解液のpHの制御は、給液調整設備20において電解給液のpHを調整することにより行われる。前述のごとく、槽内電解液は通電により水素イオンが消費され、pHが上昇する。このpH上昇を見越して電解給液のpHを低く調整し、槽内電解液のpHが槽内pH範囲内を維持するように制御する。
特殊形状の電気ニッケルを製造する場合や、生産量を上げるために意図的に電流密度を高く設定した場合には、槽内電解液の水素イオンの消費量が多くなる。そこで、槽内電解液のpHが上昇しすぎないように、すなわち水酸化物が発生しないように、電解給液のpHをより低く調整する。このような場合、電解液のpHは槽内pH範囲の下限値よりも低い場合がある。
本願発明者は、上記のような操業の後、定期補修を挟んで再び操業を開始する際に、ガスホールの発生率が高くなるという知見を得た。これは以下の理由によるものと考えられる。
図3のグラフは槽内電解液のpHの時間変化を示す。図3のグラフは、横軸が時間、縦軸が槽内電解液のpHである。縦軸の上限、下限は、それぞれ槽内pH範囲の上限値、下限値を示す。定期補修前の操業が水素イオンの消費量が多い条件である場合、電解給液のpHは槽内pH範囲の下限値よりも低く設定されている。操業立ち上げ時には、定期補修前に調整されたpHの電解給液を供給する。そのため、電解槽10は槽内pH範囲の下限値よりも低いpHの電解液で満たされる。そうすると、初回の通電の初期は、槽内電解液のpHが槽内pH範囲の下限値よりも低いため、水素ガスが発生しやすく、ガスホールが発生しやすい。
通電により水素イオンが消費されるため、槽内電解液のpHは徐々に上昇する。そのため、定常操業期間では槽内電解液のpHは槽内pH範囲内に維持されており、ガスホールが発生しにくい。
そこで、本実施形態の操業方法は、非定常操業期間において、電解給液のpHを予め定められた管理範囲に調整する。ここで、電解給液のpHの管理範囲を「給液pH範囲」と称する。給液pH範囲は、下限値が槽内pH範囲の下限値以上に設定され、上限値が槽内pH範囲の中央値以下に設定される。
図4のグラフは本実施形態における槽内電解液のpHの時間変化を示す。図4に示すグラフは、横軸が時間、縦軸が槽内電解液のpHである。縦軸の上限、下限は、それぞれ槽内pH範囲の上限値、下限値を示す。本実施形態では、給液pH範囲の下限値が槽内pH範囲の下限値以上に設定されている。すなわち、非定常操業期間において、電解給液のpHが槽内pH範囲の下限値以上に設定されている。そのため、電解槽10は槽内pH範囲の下限値よりも高いpHの電解液で満たされる。図4から分かるように、いずれの組の電解槽11〜15においても、初回の通電開始時点での槽内電解液のpHが槽内pH範囲の下限値以上である。その結果、非定常操業期間でも水素ガスの発生を抑制できガスホールの発生を低減できる。
通電を開始すると、槽内電解液のpHが徐々に上昇する。これは、通電により槽内電解液中の水素イオンが消費されるからである。しかし、通電により槽内電解液のpHが上昇しても、槽内pH範囲の上限値を超えることがない。これは、給液pH範囲の上限値が槽内pH範囲の中央値以下に設定されているので、電解給液のpHがある程度低く調整されているからである。そのため、水酸化物の生成を抑制できる。
非定常操業期間では、通電中の電解槽10と未通電の電解槽10とが混在している。このような期間において、電解給液のpHを上記のごとく調整することで、いずれの組の電解槽11〜15においても、槽内電解液のpHを槽内pH範囲内に維持できる。その結果、ガスホールの発生を低減できるとともに、水酸化物の発生を抑制できる。
非定常操業期間後の定常操業期間は、槽内電解液のpHを槽内pH範囲に調整する。定常操業期間においては、操業条件によっては、電解液のpHを槽内pH範囲の下限値よりも低く調整してもよい。
なお、特殊形状の電気ニッケルを得る操業(槽内pH範囲:3.1〜4.0)の場合、給液pH範囲はpH3.1以上3.4以下とすることが好ましい。電解給液のpHをこの範囲に調整することで、ガスホールの発生を低減でき、水酸化物の発生を抑制できるからである。また、給液pH範囲の下限値をpH3.2とすることがより好ましい。何らかの原因により電解給液のpHが変動したとしても、pH3.1を下回ることを防止できるからである。また、給液pH範囲の上限値をpH3.3とすることがより好ましい。槽内pH範囲の上限値(pH4.0)までの余裕をより大きくすることができ、槽内電解液のpHが槽内pH範囲の上限値を超えることを防止できるからである。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
以下の実施例1および比較例1、2の共通の条件は以下の通りである。
電解設備1を用いて特殊形状の電気ニッケルを製造する操業を行った。電解液は塩化ニッケル水溶液であり、硫黄源としてチオ硫酸ナトリウムを添加した。電解液のニッケル濃度は65g/Lであり、チオ硫酸ナトリウムの濃度は0.011g/Lである。
電解設備1は5組の電解槽11〜15を備えており、各組は2つの電解槽10からなる。カソードとして、縦1,000mm、横800mmのステンレス板を用いた。カソードの表面を絶縁物でマスキングして、直径15mmの円形の電着部を形成した。電着部の数はカソード片面につき2,021個(両面で4,042個)である。
非定常操業期間では、全ての電解槽10に電解液の供給を同時に開始した。また、1日1組のペースで、電解槽10への通電を組ごとに順に開始した。電解中のカソード電流密度は310A/m2とした。通電時間は7日間とした。槽内電解液の温度は60〜62℃に調整した。
電解後のカソードを抜き取り、電着物を剥ぎ取った。各電解槽10で得られた電気ニッケルを無作為に10kgずつ回収した。回収した電気ニッケルのうち、直径2mm以上のガスホールを有する電気ニッケルの割合を求め、それをガスホール発生率とした。
(実施例1)
非定常操業期間において、電解給液のpHを3.2に調整した。その結果、ガスホール発生率は0.0%であった。また、槽内電解液のpHは最大で3.9まで上昇したが、水酸化物は発生しなかった。
(比較例1)
非定常操業期間において、電解給液のpHを2.9に調整した。その結果、ガスホール発生率は5.2%であった。また、槽内電解液のpHは最大で3.6まで上昇したが、水酸化物は発生しなかった。
(比較例2)
非定常操業期間において、電解給液のpHを3.5に調整した。槽内電解液のpHが4.2以上に上昇したため、水酸化ニッケルの発生を防止するために、電解給液のpHを下げる必要があった。
以上より、特殊形状の電気ニッケルを得る操業の場合、非定常操業期間では、電解給液のpHを3.1〜3.4に調整すれば、ガスホールの発生を低減でき、水酸化物の発生を抑制できることが確認された。
1 電解設備
10(11〜15) 電解槽
20 給液調整設備
30 電力供給設備
40 移送クレーン
50 剥ぎ取り設備

Claims (2)

  1. 複数組の電解槽を有する電解設備の操業方法であって、
    電解液が貯留されていない前記複数組の電解槽への電解液の供給開始から、前記電解槽への通電を組ごとに順次開始し、最終組の電解槽への通電開始までの期間である非定常操業期間において、前記電解槽に供給される電解液のpHを、予め定められた給液pH範囲に調整し、
    前記非定常操業期間後の定常操業期間において、前記電解槽に供給される電解液のpHを、予め定められた槽内pH範囲の下限値よりも低く調整することで、前記電解槽内の電解液のpHを前記槽内pH範囲とし
    前記槽内pH範囲は、下限値が水素ガスの発生を抑制できるpHに設定され、上限値が水酸化物の生成を抑制できるpHに設定されており、
    前記給液pH範囲は、下限値が前記槽内pH範囲の下限値以上に設定され、上限値が前記槽内pH範囲の中央値以下に設定されている
    ことを特徴とする電解設備の操業方法。
  2. 特殊形状の電気ニッケルが得られるように表面を絶縁物でマスキングしたカソードを用いた電解設備の操業方法であって、
    前記槽内pH範囲は、pH3.1以上4.0以下であり、
    前記給液pH範囲は、pH3.1以上3.4以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の電解設備の操業方法。
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