JP6496775B2 - 金属配線を備える導電基板、及び、該導電基板の製造方法 - Google Patents

金属配線を備える導電基板、及び、該導電基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材表面上に金属配線を備える導電基板に関する。詳しくは、金属配線からの光反射が抑制された導電基板に関する。また、本発明は、当該導電基板の製造方法であって、基材上に微細な金属配線パターンを低温で効率的に形成すると共に、形成された金属配線の光反射を抑制することができる方法に関する。
タッチパネル、ディスプレイ等の表示装置においては、透明な基材に透明電極材料からなる配線が形成された導電基板が用いられている。そして、配線には、ITO等の透明電極材料がこれまで適用されてきたが、パネル大型化の要求等によりITO等の酸化物材料では対応が困難な状況となっている。
ITO等の酸化物材料がパネル大型化に対応できない理由としては、まず、その電気抵抗値にある。即ち、パネル大型化のためには、配線長の増大に対応するために配線の抵抗値を下げる必要がある。ITOは、本来、電気抵抗の低い材料ではないため、抵抗値低減のためには膜厚を厚くする必要があるが、これにより透明度が低下する可能性があり透明電極として意味を成さなくなる。
また、パネルを大型化するといっても、その重量増は好ましいことではない。従って、パネル大型化は、その単位面積当たりの軽量化の必要性の要因となり、これにより基材の材質変更が必要となる。基材の構成材料としては、これまでガラスが主であったが、軽量化が容易な樹脂への材質変更が検討される。しかし、基材を樹脂にすると電極材料としてITO等を使用することはできない。ITO電極の形成工程では、基板塗布後に300℃程度で焼成する必要があり、樹脂基板はこの焼成温度に耐えることはできないからである。このように、パネルの軽量化の観点からもITOの使用には限界があることが指摘されている。
このような事情から、タッチパネル等の導電基板の配線材料として銅や銀等の金属をパターンニングして配線にすることが検討されている。これらの金属は、良好な導電体であり配線長の増大による抵抗値の要求に対し余裕を持って対応できる。また、これらの金属は微粒子化して適宜の溶媒に分散させたペースト・インクを塗布することで、自在な形状・パターンで配線を形成することができる。そして、塗布後は、比較的低温で加熱することで凝集・焼結して金属膜を形成することができる。そのため、基板材料も樹脂等の広範な範囲から選択できる。
更に、銅、銀等の金属は透明ではないが、人間の可視領域を超えたミクロンオーダーの細線にすることで、透明電極と同等に透光性を発揮する。近年、金属粒子を含むペースト・インクの塗布・印刷技術は進歩しており、高精細化された配線パターンを大面積で形成が可能となっている。例えば、本出願人は、フッ素含有樹脂を基材とし、銀粒子を含む所定の構成の金属粒子分散液を使用する導電基板の製造方法を開示している。尚、本願においては、この金属粒子が分散する液体について、金属インク或いは単にインクと称することがある。
上記した本出願人による導電基板の製造方法では、撥液性のあるフッ素含有樹脂からなる基材に対し、配線パターンを形成する部位に官能基(親水基)を形成する。そして、基材に金属インクを塗布して、インク中の金属粒子を官能基に接合させた後、金属粒子を焼結させてバルク状に近い金属配線を形成する。この方法では、基材表面に官能基を形成する方法として、微細なパターニングが可能な紫外線等の光照射を適用している。これにより、高精細な配線を効率的に製造できる。
また、上記の導電基板の製造方法では、インク中の金属粒子が比較的低温であっても焼結可能な状態にある。よって、基材の構成材料の選択範囲も広く、透明且つ軽量な樹脂材料を適用することができる。そして、幅1μm以下の極細の金属配線であっても高密度で形成することができ、透明電極を適用する導電基板と同等の透光性を有する導電基板を製造することができる。
しかしながら、本願発明者等の検討では、上記のようにして製造される導電基板は、見る角度によって金属配線からの反射光によって配線パターンが識別されることがある。上記方法で形成される金属配線はバルク状の金属であり、銀のような反射率が比較的高い金属が採用されることが多い。そのため、ある角度では金属配線の実体(線幅)が視認できない場合でも、角度が変わると室内照明等からの光を正反射してしまう事により、配線の存在が肉眼でも視認されることが有ると考えられる。
このような金属配線の反射の問題への対応として、金属配線表面を反射性のない材質で被覆することが考えられる。例えば、特許文献2では、銀粒子とバインダー樹脂を含む導電性パターン層(配線)が形成された透明基材について、テルル(Te)が溶解された塩酸溶液で処理する透明導電材の製造方法が記載されている。この方法によれば、導電性パターン層表面に一定厚さの黒化層が形成され、金属配線の反射の問題対応できるとされている。
金属配線の反射の問題への対応としては、上記の他、特許文献3のように、金属配線の表面形態を調整することで配線表面に防眩性を付与する手法もある。この手法は、基材(支持体)上に金属配線を形成した後、カレンダ処理により金属配線表面を加工する技術を基本としている。カレンダ処理とは、ロール圧延によって金属配線を圧縮加工して、金属配線の金属体積率を上昇させる処理である。そして、特許文献3の方法では、カレンダ処理時のロールの押し面の材質及び表面形態を調整して、基材上の配線表面に所定の間隔・高さの凹凸を形成し、配線表面に防眩性を付与している。
特開2016−48601号公報 特開2011−82211号公報 特開2015−5495号公報
上記特許文献2、3記載の先行技術は、金属配線の形成方法及び形態・構成という基本的事項は相違するが、対象となる金属配線の反射抑制の手法としては有用である。しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記した本願出願人による導電基板においては、これらの先行技術の有用性はさほど高くないことが確認されている。
即ち、特許文献2記載の導電基板では、金属配線に塩酸を接触させることで表面を変質させて黒化層としている。この黒化層は、金属の塩化物、酸化物等であり、もとの金属に対しては不純物ともいえる。金属配線を、一部とはいえ、そのような不純物に変質させて被覆することで配線の抵抗値は増大する。抵抗値の増大は、金属配線にとって致命的な問題である。
また、特許文献3記載の導電基板は、配線の抵抗値上昇の問題を考慮して開発された技術であるので、特許文献2記載の発明のような問題はない。特許文献3記載の導電基板では、金属配線の金属体積率を上昇させるカレンダ処理を基本工程として含むので、金属配線の低抵抗化が期待されている。その上で特許文献3では、金属配線表面に凹凸を形成し、防眩性を付与している。しかしながら、金属配線の線幅を微小としたときに、表面に凹凸を加工することは困難といえる。上記した本願出願人による導電基板は、肉眼による可視領域を超える線幅の金属配線が形成されるものであり、これを特許文献3のカレンダ処理のような通常の加工技術で加工することは現実的ではない。
そこで、本発明は、上記した本願出願人による導電基板及び金属配線の形成方法(特許文献1)に関し、金属配線の光反射を抑制されたもの、及び、高精細な金属配線を効率的に形成すると共に、金属配線の反射を抑制する導電基板の製造方法について明らかにする。
本発明者等は、上記課題を解決するため、まず、本願出願人の先行技術である、所定の金属インクを適用する金属配線の形成方法の改良について検討した。例えば、本願出願人の先行技術において、特許文献2のように形成した金属配線を所定の処理液で処理することは、金属の反射率(光沢)を低下させる上で一定の効果がある。もっとも、そのような処理を、本願出願人による金属配線に適用すると、配線の表面が全面的に変質し抵抗値を上昇させることとなる。
ここで、本発明者等は、この金属配線の形成方法では、金属粒子からなる金属インクを利用していることに着目した。この金属インクは、ナノオーダー(5〜100nm)の金属粒子を含み、基材に塗布し必要に応じて加熱することでバルク状(金属状)の配線となる。本発明者等は、そのようにして形成された金属配線の表面に、金属インクを追加的に塗布しつつ、配線上に適度な粒径の金属粒子を分散させることで、金属配線の反射の抑制が可能となると考察した。
金属粒子は、粒径がナノオーダー〜サブミクロンオーダーにあるとき、光の吸収・散乱特性において特徴的な傾向を有する。例えば、銀、金等の貴金属においては、表面プラズモン共鳴の影響が大きく、特異な吸収・散乱特性が発揮される。本発明者等の考察は、この原理に基づくものであるが、バルク状の金属配線に金属粒子を分散させ、この金属粒子により光を吸収・散乱させて反射を抑制できるとするものである。そして、本発明者は、上記した本願出願人による方法で形成される金属線について、好適な金属粒子の分散状態を検討することとし、本発明に想到した。
即ち、本発明は、基材と、前記基材の少なくとも片面に形成され、銀又は銅の少なくともいずれかよりなる金属配線とを備える導電基板において、前記金属配線の表面上に、銀若しくは銅、又は、それら金属の化合物の少なくともいずれかよりなる粗化粒子が分散されてなる反射防止領域が形成されており、前記反射防止領域表面の中心線平均粗さが15nm以上50nm以下であることを特徴とする導電基板である。以下、この本発明について詳細に説明する。
(I)本発明に係る導電基板の構成
本発明に関し、まず、導電基板の構成について説明する。上記のとおり本発明に係る導電基板は、基材と、基材上に形成された金属配線と、金属配線上に分散する粗化粒子からなる反射防止領域と、を基本的な構成とする。以下、各構成について説明する。
A.基材
本発明に適用される基材は、特に限定する必要はなく、金属、セラミックからなる基材が適用でき、更に、樹脂、プラスチック製の基材も適用可能である。また、重量の制限がなければガラスを使用することも可能である。基材は、透明体からなるものが好ましい。本発明は、タッチパネル、ディスプレイ等の表示装置に好適に使用可能だからである。
上記した本願出願人による金属配線の形成方法(特許文献1)による導電基板とするためには、基材は、金属配線を形成する面の表面にフッ素含有樹脂層を有するものが好ましい。この金属配線の形成方法は、後に詳述するが、配線を形成する際に基材表面に撥液性を付与するためにフッ素含有樹脂層が適用される。フッ素含有樹脂層は、金属配線が形成される領域を包含していれば、基材全面に形成されていても良く基盤表面の一部に形成されていても良い。フッ素含有樹脂層の厚さについては特に制限はない。0.01μm以上あれば発液性が発揮される。また、透明性が要求される場合においては、フッ素含有樹脂層の上限は5μmとするのが好ましい。
フッ素含有樹脂は、フッ素原子を含むフッ素含有単量体に基づく繰り返し単位を1種又は2種以上有する重合体であるフッ素含有樹脂が適用できる。また、フッ素含有単量体に基づく繰り返し単位と、フッ素原子を含まないフッ素非含有単量体に基づく繰り返し単位とを、それぞれ1種又は2種以上有する重合体であるフッ素含有樹脂であっても良い。更に、本発明におけるフッ素含有樹脂は、その一部に酸素、窒素、塩素等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
このようなフッ素含有樹脂の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体(TFE/PDD)、環状パーフルオロアルキル構造又は環状パーフルオロアルキルエーテル構造を有するフッ素含有樹脂等が挙げられる。
また、撥液性の観点から好ましいフッ素含有樹脂は、重合体を構成するフッ素含有単量体に基づく繰り返し単位に関して、フッ素原子数と炭素原子数との比(F/C)が1.0以上である繰り返し単位を少なくとも1種有する重合体からなるフッ素含有樹脂である。このフッ素含有単量体に基づく繰り返し単位のF/Cは、1.5以上であるものがより好ましい。尚、F/Cの上限については、撥液性、入手容易性の理由からF/Cは2.0を上限とするのが好ましい。また、この要件に関連して特に好ましいフッ素含有樹脂は、パーフルオロ化合物の単量体に基づく繰り返し単位を有するパーフルオロ樹脂であって、当該繰り返し単位におけるF/Cが1.5以上であるパーフルオロ樹脂である。
更に、撥液性に加え、他の特性を考慮して好適なフッ素含有樹脂を選択できる。例えば、基材にフッ素含有樹脂を塗布するための溶媒への可溶性を考慮する場合、フッ素含有樹脂としては、主鎖に環状構造を有するパーフルオロ樹脂が好ましい。このとき、フッ素含有樹脂層に透明性が要求される場合には、非晶質のパーフルオロ樹脂を適用するのがより好ましい。また、後述するフッ素含有樹脂層に対する官能基形成の際の露光操作において、好適なフッ素含有樹脂として、その重合体を構成するフッ素含有単量体に基づく繰り返し単位に少なくとも1つの酸素原子を含むフッ素含有樹脂が好ましい。
これらの特性を考慮した好ましいフッ素含有樹脂としては、パーフルオロブテニルビニルエーテル重合体(CYTOP(登録商標):旭硝子株式会社)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロジオキソール共重合体(TFE−PDD)、テフロン(登録商標)AF:三井・デュポン フロロケミカル株式会社)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、パーフルオロアルコキシ重合体(アルゴフロン(登録商標):ソルベイジャパン株式会社)等が挙げられる。
B.金属配線
本発明は、金属配線として銀又は銅の少なくともいずれかよりなる金属配線を備える。これらの金属は、導電性に優れ配線材料として機能し得るからである。金属配線は、銀又は銅のいずれかの金属のみよりなるものの他、銀及び銅の双方からなるものであっても良い。後者においては、銀と銅との合金であっても良いが、金属銀と金属銅との混合体であっても良い。特に、導電線の観点から銀を適用するのが好ましい。また、金属配線は、単層構造であっても良いが、多層構造を有するものでも良い。例えば、銀よりなる金属配線の上に銅よりなる金属配線を重ねた2層構造の金属配線を適用することができる。
金属配線の寸法(厚さ、線幅)について限定されることはない。但し、タッチパネル等の用途を考慮し、可視領域を超えたミクロンオーダーの細線が好ましことから、金属配線の幅は、0.5μm以上5.0μm以下のものが好ましい。
また、本発明における金属配線は、上記した本願出願人による金属配線の形成方法(特許文献1)により形成されたものが好ましい。ここで、この方法では、金属粒子が溶媒に分散したインクを塗布後、金属粒子同士を焼結させることで金属配線が形成される。この金属配線は、金属の粒子を前駆体としつつも、焼結により空隙のない緻密なバルク状の薄膜からなる。このとき、金属配線を構成する金属(銀及び銅)の純度は、99質量%以上である。
C.反射防止領域
本発明に係る導電基板の特徴は、上記金属配線上に反射防止領域を備える点にある。この反射防止領域は、銀又は銅の少なくともいずれかの金属又はそれらの化合物よりなる粗化粒子を配線上に分散させることで形成される。粗化粒子とは、反射防止領域を構成する粒子であって、導電基板に入射する光を吸収・散乱させることで金属配線から反射を抑制する作用を有する粒子である。
粗化粒子は、銀又は銅の少なくともいずれかの金属又はそれらの化合物よりなる。粗化粒子は金属配線表面に結合しており金属配線の一部といえる。従って、粗化粒子も、導電性の観点から銀又は銅を含む材料で構成される。粗化粒子を構成する金属は、金属配線を構成する金属と相違する金属でも良いし、同じ金属でも良い。また、粗化粒子は、銀、銅のいずれかの金属よりなる場合の他、それらの化合物からなっていても良い。具体的には、粗化粒子は、銀又は銅の塩化物、酸化物、硫化物よりなる場合がある。塩化物等の化合物が粗化粒子になる理由としては、後述するように、反射防止領域形成の際に使用される処理液として、塩素を含む溶液が使用されることがあるからである。尚、金属配線上に、粗化粒子として銀又は銅の化合物が分散しているとしても、全ての粗化粒子が化合物である必要はなく、配線上に金属粒子と化合物粒子が混在していても良い。また、金属と化合物とが混合した状態で1個の粗化粒子を構成しても良い。更に、銀粒子と銅粒子の2種の金属粒子或いは合金粒子を、粗化粒子として金属配線上に分散させても良い。
そして、本発明では、反射防止領域を形成する粗化粒子の分散状態を表面粗さによって規定する。粗化粒子の分散状態の指標としては、通常、粒子の平均粒径、粒度分布、粒子間距離等の各種パラメータが挙げられる。しかし、本発明者等の検討によれば、本発明の場合、それらを個々に規定しても、好適な光吸収・散乱の作用を有する反射防止領域を定義し難い。平均粗さは、粒径等の各種パラメータが総合的に関与することで定められ、本発明者等によれば、本発明の反射防止領域を適切かつ簡便に規定するには、表面粗さが最適である。
本発明で規定される反射防止領域の表面粗さは、中心線平均粗さである。中心線平均粗さは、反射防止領域が形成された金属配線の任意の部位(線)について測定される。本発明において中心線平均粗さは、JIS B 0601に基づき、原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡を用いることで、配線表面の高さ方向の凹凸を測定して得られるデータに基づき定めることができる。
そして、本発明では、金属配線の反射防止領域表面の中心線平均粗さを15nm以上50nm以下とする。15nm未満では光反射の抑制がなされず、反射光により配線が視認されることとなる。一方、中心線平均粗さが50nmを超えてくると粗化粒子自身の金属光沢が発生し反射防止領域としての機能が損なわれるおそれが生じる。
また、上記のとおり、本発明で金属配線上に分散する粗化粒子の状態については、基本として中心線平均粗さの値が最優先される。但し、配線上の粗化粒子の平均粒径が50nm以上250nmであることが好ましい。上記のとおり、本発明では粗化粒子の粒径が揃っていることは要求されない。もっとも、過度に粗大な粗化粒子が存在していると、粗化粒子自身の金属光沢による影響や金属配線の抵抗値が変化した状態にある可能性が生じする。
以上説明した粗化粒子よりなる反射防止領域は、基材上の反射防止を必要とする金属配線に対して全面的に形成されていなくても良い。反射防止領域が全面的でなくても、基板表面全体の反射が弱ければ金属配線が視認されることはないからである。但し、反射防止が必要な金属配線の面積に対して、50%以上(より好ましくは70%以上)の面積の反射防止領域が形成されており、表面粗さが15nm以上50nm以下となっていることが好ましい。尚、反射により金属配線が視認されても問題がないような部位においては反射防止領域を形成する必要はない。
D.本発明に係る導電基板のその他の構成
以上説明した本発明に係る導電基板は、基材及び反射防止領域が形成された金属配線で構成されるが、タッチパネル、ディスプレイ等の具体的用途に供することを考慮した付加的構成を含んでいても良い。例えば、反射防止領域の形成後、導電基板表面にコーティング樹脂層を備えていても良い。このコーティング樹脂層は、金属配線のマイグレーション防止、金属配線の防湿及び酸化防止、更に、傷防止、剥離防止、他フィルムとの接着等を目的として形成される。また、コーティング樹脂層の材質は、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。また、反射防止領域形成後、粗化粒子が化学的、熱的に不安定である場合、その表面に単分子膜を形成し、金属表面を安定化させても良い。単分子膜としては、チオール化合物、脂肪酸が挙げられる。以上のコーティング樹脂層及び単分子膜は、複数種類を組み合わせて適用することができる
(II)本発明に係る導電基板の製造方法
次に、本発明に係る導電基板の製造方法について説明する。上記のとおり、本発明に係る導電基板は、基材及び基材上に形成された金属配線と、反射防止領域となる粗化粒子とで構成される。従って、導電基板の製造方法は、基材に金属配線を形成する工程、及び、形成した金属配線上に反射防止領域を形成する工程を基本的工程として含む。以下、各工程について説明する。
a.金属配線の形成工程
本発明に係る導電基板の製造方法は、基材上の一部又は全部の領域に設定されたパターン形成部に金属配線を形成する工程を含む。ここで、本発明においては、上記した本願出願人による金属配線の形成方法(特許文献1)を適用して金属配線を形成することが好ましい。この金属配線の形成方法に従い、本発明では、基材として、少なくともパターン形成部を含む表面上にフッ素含有樹脂層を備えるものを適用し、まず、このフッ素含有樹脂層表面のパターン形成部に官能基を形成する。そして、その後、第1の保護剤を含み銀又は銅の少なくともいずれかの第1金属粒子が溶媒に分散してなる第1金属インクを前記基材表面に塗布し、第1金属粒子をパターン形成部に接合すると共に第1金属粒子同士を結合・焼結させることにより金属配線を形成する。
上記の金属配線の形成工程においては、(1)撥液性のあるフッ素含有樹脂層を有する基材を選択し、(2)この基材表面に対して所定の処理を行いフッ素含有樹脂表面のパターン形成部を変質させて官能基を形成した後、(3)保護剤を含む金属インクを使用して、インク中の金属粒子をフッ素含有樹脂表面の変質した部位に選択的に固定させることにより高精細な配線パターンを形成可能としている。これら各工程について、より詳細に説明する。
基材のパターン形成部を含む表面にフッ素含有樹脂層を備えるものとしたのは、配線を形成する際に基材表面に撥液性を付与するためである。基材表面に撥液性を付与した上で、その一部に官能基を形成することで、官能基のない部位でインクが弾かれるようにしている。フッ素含有樹脂層の構成については、上記のとおりである。フッ素含有樹脂層は、基材に予め形成されたものを用いても良く、金属配線形成の一工程として、フッ素含有樹脂層のない基材に塗布等により形成しても良い。
フッ素含有樹脂層を基材に形成する際には、フッ素含有樹脂を適宜の溶媒に溶解させたものを塗布することで対応できる。塗布後は焼成することでフッ素含有樹脂層が形成される。フッ素含有樹脂の塗布方法としては、ディッピング、スピンコート、ロールコーター等特に限定されない。フッ素含有樹脂を塗布した後は、樹脂の種類に応じた後処理(乾燥処理、焼成処理)を行い、フッ素含有樹脂層を形成する。
次に、基材上のフッ素含有樹脂層表面に官能基を形成する。この官能基とは、フッ素含有樹脂の共有結合を切断することで形成される官能基である。具体的には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基が形成される。
フッ素含有樹脂層表面への官能基形成の処理方法としては、紫外線照射、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、エキシマレーザー照射による。これらの処理は、フッ素含有樹脂表面に光化学反応を生じさせて共有結合を切断するものであり、適度なエネルギーの印加処理であることが必要である。パターン形成部に対する印加エネルギー量は、1mJ/cm以上4000mJ/cm以下を目安とするのが好ましい。例えば、紫外線照射による場合、波長が10nm以上380nm以下の範囲の紫外線照射が好ましく、特に好ましくは、波長が100nm以上200nm以下の範囲の紫外線を照射する。
フッ素含有樹脂層表面への紫外線照射等においては、一般にフォトマスク(レチクル)を使用した露光処理がなされる。本発明では露光方式に関しては、非接触の露光方式(プロキシミティ露光、プロジェクション露光)と接触の露光方式(コンタクト露光)のいずれも適用できる。プロキシミティ露光においては、マスクとフッ素含有樹脂層表面との間隔は、10μm以下とするのが好ましく、3μm以下とするのがより好ましい。
以上のようにして、基材にフッ素含有樹脂層形成及びパターン形成部に対する官能基形成処理を行い、この基材を第1金属インクに接触させる。金属インクとは、保護剤と結合状態にある金属粒子を溶剤に分散させて構成する金属粒子分散液である。本発明において金属配線の形成を適切行うため、好適な金属インクの構成とは以下のようなものである。
第1金属インクにおいて、分散する第1金属粒子は、上記のとおり、銀又は銅の少なくともいずれかの金属よりなる。この金属粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下のものが好ましい。微細な配線パターンを形成するためには30nm以下の粒径とすることが好ましい。一方、過度に微細な金属粒子は凝集し易く取り扱い性に劣ることとなる。
金属インクで使用される保護剤とは、金属粒子が凝集・粗大化するのを抑制し、分散状態を安定させるための添加物である。金属粒子の凝集・粗大化は、分散液の保管や使用時の金属の沈殿の要因になるばかりでなく、基材に接合させた後の焼結特性に影響を及ぼすことから回避されなければならない。また、本発明においては、保護剤は、基材(フッ素含有樹脂層)表面の官能基と置換することで金属を固定するためのマーカーとしての作用も有する。
ここで、本発明で使用する金属インクの保護剤は、基本構造の相違する2系統の化合物を複合的に使用することが好ましい。具体的には、保護剤Aと保護剤Bの2種の保護剤を使用することとし、保護剤Aとしてアミンを、保護剤Bとして脂肪酸を適用するのが好ましい。
保護剤Aであるアミン化合物は、その炭素数の総和が4以上12以下であるものが好ましい。これは、アミンの炭素数が金属粒子の安定性、パターン形成時の焼結特性に影響を及ぼすからである。
また、アミン化合物中のアミノ基の数としては、アミノ基が1つである(モノ)アミンや、アミノ基を2つ有するジアミンを適用できる。また、アミノ基に結合する炭化水素基の数は、1つ又は2つが好ましく、すなわち、1級アミン(RNH)、又は2級アミン(RNH)が好ましい。そして、保護剤としてジアミンを適用する場合、少なくとも1以上のアミノ基が1級アミン又は2級アミンのものが好ましい。アミノ基に結合する炭化水素基は、直鎖構造又は分枝構造を有する鎖式炭化水素の他、環状構造の炭化水素基であっても良い。また、一部に酸素を含んでいても良い。
本発明で保護剤として適用されるアミン化合物の具体例としては、ブチルアミン(炭素数4)、1,4−ジアミノブタン(炭素数4)、3−メトキシプロピルアミン(炭素数4)、ペンチルアミン(炭素数5)、2,2−ジメチルプロピルアミン(炭素数5)、3−エトキシプロピルアミン(炭素数5)、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(炭素数5)、ヘキシルアミン(炭素数6)、ヘプチルアミン(炭素数7)、ベンジルアミン(炭素数7)、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン(炭素数7)、オクチルアミン(炭素数8)、2−エチルヘキシルアミン(炭素数8)、ノニルアミン(炭素数9)、デシルアミン(炭素数10)、ジアミノデカン(炭素数10)、ウンデシルアミン(炭素数11)、ドデシルアミン(炭素数12)、ジアミノドデカン(炭素数12)等が挙げられる。尚、保護剤Aであるアミン化合物は、分散液中での金属粒子の分散性や低温焼結性を調節する目的で複数種のアミン化合物を混合・組合せて使用しても良い。また、炭素数の総和が4以上12以下のアミン化合物を少なくとも1種含んでいればよく、そうであれば当該範囲外の炭素数のアミン化合物が存在していても良い。
一方、保護剤Bとして適用される脂肪酸は、分散液中ではアミン化合物の補助的な保護剤として作用し金属粒子の安定性を高める。そして、脂肪酸の作用が明確に現れるのは、金属粒子を基材に塗布した後であり、脂肪酸を添加することで均一な膜厚の金属パターンを形成することができる。この作用は脂肪酸の無い金属粒子を塗布した場合と対比することで顕著に理解でき、脂肪酸の無い金属粒子では安定した金属パターンを形成することができない。
脂肪酸は、好ましくは、炭素数4以上24以下の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸が好ましい。好ましい脂肪酸としては、具体的には、ブタン酸(炭素数4)、ペンタン酸(炭素数5)、ヘキサン酸(炭素数6)、ヘプタン酸(炭素数7)、オクタン酸(炭素数8)、ノナン酸(炭素数9)、デカン酸(別名:カプリン酸、炭素数10)、ウンデカン酸(別名:ウンデシル酸、炭素数11)、ドデカンサン酸(別名:ラウリン酸、炭素数12)、トリデカン酸(別名:トリデシル酸、炭素数13)、テトラデカン酸(別名:ミリスチン酸、炭素数14)、ペンタデカン酸(別名:ペンタデシル酸、炭素数15)、ヘキサデカン酸(別名:パルミチン酸、炭素数16)、ヘプタデカン酸(別名:マルガリン酸、炭素数17)、オクタデカン酸(別名:ステアリン酸、炭素数18)、ノナデカン酸(別名:ノナデシル酸、炭素数19)、エイコサン酸(別名:アラキジン酸、炭素数20)、ベヘン酸(別名:ドコサン酸、炭素数22)、リグノセリン酸(別名:テトラコセン酸、炭素数24)等の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、リノレン酸(炭素数18)、アラキドン酸(炭素数20)、エルカ酸(炭素数20)、ネルボン酸(別名:cis−15−テトラコセン酸、炭素数24)等の不飽和脂肪酸が挙げられる。特に好ましいのは、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ブタン酸、エルカ酸である。尚、以上説明した保護剤Bとなる脂肪酸に関しても、複数種のものを組合せて使用しても良い。また、炭素数が4以上24以下の不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸を少なくとも1種含んでいればよく、そうであればそれ以外の脂肪酸が存在していても良い。
上記した保護剤A及び保護剤Bにより保護された金属粒子を、溶媒に分散することで金属インクを構成される。ここで適用可能な溶媒は、有機溶媒であり、例えば、アルコール、ベンゼン、トルエン、アルカン等である。これらを混合しても良い。好ましい溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等のアルコールであり、より好ましくは、これらの中から選択される1種又は2種以上のアルコールと1種又は2種以上のアルカンとの混合溶媒である。
金属インク中の金属粒子の含有量は、液質量に対する金属質量で20質量%以上60質量%以下とするのが好ましい。金属粒子の含有量が20%未満の場合は、パターン形成部に、十分な導電性を確保するための均一な膜厚の金属パターンを形成することができず、金属パターンの抵抗値が高くなる。金属粒子の含有量が60%を超える場合は、金属粒子の凝集・肥大化により安定した金属パターンを形成することが困難となる。尚、銀と銅の双方の金属の合金又は混合体よりなる金属配線を形成する場合、銀粒子と銅粒子の双方を含む金属インクが適用できる。
金属インクの保護剤の含有量は、保護剤Aであるアミン化合物については、分散液中の金属のモル数(molmetal)に対するアミンのモル数(molアミン)の比(molアミン/molmetal)で、0.01以上0.32以下とするのが好ましい。また、保護剤Bである脂肪酸の含有量は、金属のモル数(molmetal)に対する脂肪酸のモル数(mol脂肪酸)の比(mol脂肪酸/molmetal)で、0.001以上0.05以下とするのが好ましい。分散液中の保護剤の含有量は、上記好適範囲を超えても金属粒子の分散性には影響が生じないが、過剰な保護剤は、金属粒子の低温焼結製や形成される金属パターンの抵抗値に影響を及ぼすことから上記範囲にするのが好ましい。尚、上記の保護剤のモル数については、複数種のアミン化合物、脂肪酸を使用する場合には、それぞれ、合計モル数を適用する。
金属配線の形成工程においては、以上説明した第1金属インクを、フッ素含有樹脂層を有する基材に塗布する。インクの塗布法は、ディッピング、スピンコート、ロールコーターが適用できるが、ブレード、スキージ、ヘラのような塗布部材を用いて、インクを滴下して塗り広げても良い。本発明は、予めパターン形成部に金属粒子を選択的に固定するための官能基が形成されており、一気に分散液を塗り広げることでパターン形成ができ効率的である。
金属インクは、官能基のないフッ素含有樹脂の素地面ではその撥液性により弾かれる。ブレード等の塗布部材を使用した場合、弾かれた分散液は基材表面から除去される。一方、官能基が形成されたパターン形成部では、金属粒子の保護剤と官能基との置換反応が生じ、第1金属粒子が基材に固定される。その後、分散液の溶剤が揮発すると共に、基材上の第1金属粒子同士が自己焼結して金属膜となり金属パターンが形成される。
この自己焼結は室温であっても生じる現象であるので、金属パターン形成に際して基材の加熱は必須の工程ではない。但し、自己焼結後の金属パターンを焼成することで、金属膜中に残存する保護剤(アミン化合物、脂肪酸)を完全に除去することができ、これにより抵抗値の低減を図ることができる。この焼成処理は、40℃以上250℃で行うことが好ましい。40℃未満では保護剤の脱離や揮発に長時間を要するため好ましくない。また、250℃を超えると樹脂基材等について変形の要因となる。焼成時間は、10分以上120分以下が好ましい。尚、焼成工程は、大気雰囲気で行っても良いし、真空雰囲気でも良い。
上記の第1金属インクの塗布及び第1金属粒子の焼結・結合により、金属配線が形成できる。これらの工程を少なくとも1回行うことで、1層以上の金属配線を形成することができる。金属インクの塗布及び金属粒子の結合を繰返し行うことで、多層構造の金属配線を形成することができる。例えば、銀の金属インクで下層の金属配線(銀配線)を形成し、銅の金属インクで上層の金属配線(銅配線)を形成し、2層構造の金属配線を形成することができる。
b.反射防止領域の形成工程
本発明では、上記のようにして形成した金属配線上に反射防止領域を形成する。この反射防止領域を形成する工程は、金属配線を形成した基材に、第2の保護剤を含み銀又は銅の少なくともいずれかよりなる第2金属粒子が溶媒に分散してなる第2金属インクを塗布し、金属配線上に第2金属粒子を分散させつつ結合して粗化粒子を形成する工程である。
この反射防止領域の形成工程で使用される第2金属インクとは、金属配線の形成工程で使用される第1金属インクと同様の保護剤と溶媒を含むものが好ましい。即ち、第2金属インクの第2の保護剤としては、第1金属インクと同様のアミン化合物(保護剤A)と脂肪酸(保護剤B)を適用し、これらの保護剤が第2金属粒子に結合し状態で溶媒に分散する金属インクを使用することが好ましい。また、保護剤の含有量に関しても、第1金属インクと同じ範囲内にあるものが好ましい。更に、溶媒に関しても第1金属インクと同様のものが好ましい。尚、第1、第2金属インクの保護剤は、上記したアミン化合物と脂肪酸の範囲内のものであれば、完全に同じでも良く、一部で重複しても良く、異なっても良い。そして、第2金属インク中の第2金属粒子は、銀、銅の少なくともいずれかとなる。第2金属インクにおける金属粒子の粒径やその含有量も、第1金属インクと同様とすることが好ましい。
また、上記のとおり、金属配線を構成する金属と、反射防止領域(粗化粒子)を構成する金属との組み合わせは、同じ金属を組み合わせても良いし相違する金属としても良い。よって、それぞれ金属を同一の金属とする場合、同一の金属インクを使用することが好ましい。例えば、銀粒子を含む銀インク(第1金属インク)で銀配線を製造し、この銀配線の上に同じ銀インクを第2金属インクとして使用することができる。
第2金属インクの塗布方法については、上記第1金属インクと同様の方法が採用できる。このとき、金属配線の形成後は、基材(有機樹脂層)の表面に官能基はないが、第2インク中の第2金属粒子は金属配線の表面上に分散しつつ結合する。ここでの結合とは、金属配線と第2金属粒子との間で生じる比較的弱い相互作用による吸着現象に基づく結合である。また、金属配線がない部位は有機樹脂層による撥液性が維持されているので、そこに第2金属粒子が結合することはない。
金属配線上に吸着した第2金属粒子は、反射防止領域を構成する粗化粒子の前駆体となる。このとき、第2金属粒子の種類によっては、第2金属インクの塗布後に、基板を乾燥処理するだけで第2金属粒子を粗化粒子とすることができる場合がある。例えば、粗化粒子として銅を選択したときには、第2金属インクを塗布・乾燥した段階で金属配線表面において粗化粒子となる傾向があり、この状態で金属配線の反射を抑制できる。
但し、粗化粒子の形成に関して好ましい態様は、前駆体となる第2金属粒子を処理液により粗粒化することである。第2金属インク中の第2の金属の金属粒子は、微細であること、及び、金属配線上で密集することがあるので、反射防止領域としての表面粗さを得ることができないことがある。そこで、金属配線に追加的に塗布した第2金属粒子に、処理液を接触させることで、第2金属粒子表面に吸着している保護剤を強制的に脱離させ、不安定化した金属粒子同士が自発的に配線上で凝集し、任意の大きさまで粒成長を起こす。これにより好適な粗化粒子の分散状態が発現し、本発明で規定した表面粗さを有する反射防止領域の形成が容易となる。
この反射防止領域を形成するための処理液としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、次亜塩素酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩の水溶液が好ましい。本発明者等の検討の結果、表面反射層形成効果はこれらの溶液の使用において発現する。具体的な例として、硫酸ナトリウム水溶液、硝酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液等が挙げられる。
処理液の濃度の好適な範囲は、処理液を構成する塩の種類による。次亜塩素酸カルシウム水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カリウム水溶液等の銀に対する腐食性の高い塩の溶液については、10ppm以上200ppm以下とするのが好ましい。一方、リン酸水素二ナトリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウ水溶液、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウム水溶液、リン酸二水素カリウム、リン酸三カリウム等の銀に対する腐食性の低い塩の溶液は、1ppm以上10000ppm以下とするのが好ましい。
処理液による反射防止領域形成の処理は、基材を処理液に浸漬するのが好ましい。このとき、処理液と金属配線との接触時間を5秒以上60秒以下とすることが好ましい。過剰に処理すると、表面粗さが規定上になる可能性や、金属配線の断線発生の可能性がある。尚、液温は、室温〜80℃が好ましい。
以上説明した処理液による処理工程後は、基材を適宜に洗浄・乾燥することで反射防止領域を備えた金属配線が形成され、本発明に係る導電基板とすることができる。
以上説明した本発明に係る導電基板は、金属配線上に粗化粒子を分散・結合させ表面粗さが規定された反射防止領域が形成されている。本発明では、反射防止領域の作用により入射光の反射が抑制され、金属配線が視認され難くなっている。従って、基材として透明体を適用することで、真に透明な導電基板を得ることができる。
また、本発明に係る導電基板の製造方法では、第1金属インクにより形成した金属配線の上に、類似する構成の第2金属インクを追加的に塗布・印刷した後に処理液で処理している。これにより、上記反射防止領域を金属配線に付与することができる。本発明で採用した、所定の金属インクによる金属配線の形成方法は、高精細の金属配線を効率的に形成することができる。そして、金属インクを使用することで、効率的に金属配線に反射防止処理を行うことができる。
第1実施形態で製造した導電基板の銀配線表面の光学顕微鏡による観察結果。 第1実施形態で製造した導電基板の銀配線表面のSEM写真。 第1実施形態で製造した導電基板の銀配線表面のAFMによる2次元像と測定ラインの断面プロファイル。 比較例で製造した導電基板の銀配線表面のSEM写真。
第1実施形態:以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、金属配線及び粗化粒子を構成する金属として、いずれも銀を適用した配線基板を製造することとした。即ち、フッ素含有樹脂を塗布した基材に第1金属インクとして銀インクを塗布・印刷して銀配線を形成した後、同じ銀インクを第2金属インクとして再度塗布し反射防止領域を形成して導電基板を製造した。また、製造した導電基板について、配線表面の表面粗さを測定すると共に、目視による銀配線の視認の有無を評価した。以下、本実施形態の内容を詳細に説明する。
[基材の用意、フッ素含有樹脂層の形成]
基材としてポリエチレンナフタレートからなる透明樹脂基板(寸法:20mm×20mm)を用意した。この樹脂基板にフッ素含有樹脂として非晶質性パーフルオロブテニルエーテル重合体(CYTOP(登録商標):旭硝子(株)製)をスピンコート法(回転数2000rpm、20sec)で塗布した後、50℃で10分、続いて80℃で10分加熱し、更にオーブンにて100℃で60分加熱して焼成した。これにより1μmのフッ素含有樹脂層が形成された。
[基材への前処理(官能基形成)]
次に、このフッ素含有樹脂層が形成された基板に、格子パターン(線幅2μm、線間隔300μm)のフォトマスクを密着し、ここに紫外線(VUV光)を照射した(マスク−基板間距離0のコンタクト露光)。VUV光は、波長172nm、11mW/cm−2で20秒照射した。
[銀インクの製造]
本実施形態では、第1金属インク及び第2金属として同一構成の銀インクを使用した。この銀インクは、熱分解法により製造された銀粒子を溶媒に分散させたものである。この熱分解法は、シュウ酸銀(Ag)等の熱分解性を有する銀化合物を出発原料とし、銀化合物と保護剤とを反応させて銀錯体を形成し、これを前駆体として加熱し分解することで銀粒子を得る方法である。
銀粒子の製造では、まず、出発原料であるシュウ酸銀1.519g(銀:1.079g)にメタノール0.651gを添加し湿らせた。そして、このシュウ酸銀に、保護剤となるアミン化合物と脂肪酸を添加した。具体的には、最初にN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(0.778g)を加えて暫く混練した後、更にヘキシルアミン(1.156g)、ドデシルアミン(0.176g)、オレイン酸(0.042g)を加えて混練し、その後110℃で加熱攪拌した。加熱攪拌中、クリーム色の銀錯体が徐々に褐色になりさらに黒色に変化した。この加熱・攪拌操作は、反応系からの気泡発生が出なくなるまで行った。反応終了後、反応系を放冷し室温にした後、メタノールを加えて十分に攪拌し、遠心分離を行うことで、過剰の保護剤を除去し、銀微粒子を精製した。このメタノール添加と遠心分離による銀微粒子の精製を再び行い、沈殿物として銀微粒子を得た。
そして、製造した銀微粒子に、オクタンとブタノールとの混合溶媒(オクタン:ブタノール=4:1(体積比))を添加し、銀インクを得た。この銀インクの銀濃度は40質量%とした。
[銀インク塗布と銀配線の形成]
以上で製造した銀インクを前処理した基材に塗布した。塗布は、基材とブレード(ガラス製)との接触部分に予め分散液を濡れ広がらせた後、ブレードを一方向に掃引した。ここでは、掃引速度を2mm/secとした。このブレードによる塗布により、基材の紫外線照射部(官能基形成部)のみにインクが付着しているのが確認された。そして、基材を120℃で熱風乾燥させて銀配線(線幅2μm)を形成した。この銀配線による格子パターン(L/S=2μm/300μm、長さ125mm、幅6mm)について、両端にデジタルテスターの端子を接触させ電気抵抗値を測定した結果、4kΩであった。
[反射防止領域の形成]
上記で形成した銀配線上に反射防止領域を形成した。銀配線形成で使用した銀インクと同じ銀インクを第2金属インクとして使用し、同様にしてブレードを用いて追加塗布した。そして、この基材を、処理液である次亜塩素酸カルシウム水溶液(塩濃度50ppm)に浸漬した。処理条件は、液温を室温とし、浸漬時間を20秒とした。処理後、基材を取り出し、洗浄、自然乾燥させた。以上の工程により、銀配線及び反射防止領域が形成された透明導電基板を製造した。
製造した透明導電基板について、反射光による銀配線視認の有無を評価した。この評価は、室内白色蛍光灯の下、作製した透明導電基板を真上から縦方向に±90°角度を変えて目視観察した。同様に真上から左右横方向にも90°角度を変えて目視観察し、銀配線のメッシュパターンが正反射により明確に視認された場合を反射有と判定した。その結果、本実施形態で製造した透明導電基板においては、反射光による銀配線の存在は確認できなかった。
また、本実施形態で製造した透明導電基板について、銀配線の電気抵抗値の測定を行ったところ4kΩであった。反射防止領域形成に伴う導電性の悪化は無かったことが確認された。
図1は、導電基板上の銀配線についての光学顕微鏡による観察結果である。反射防止処理前後の銀配線の状態を対比すると、配線表面に黒色の粒子が分散していることが観察された。図2は、銀配線表面のSEM写真であるが、配線表面に粗化粒子が観察されている。このSEM観察の結果を基に、反射防止領域を形成する粗化粒子の粒径を測定した。粒径の測定は、SEM像(10000倍)を基に、任意の粒子を10000個選定し二軸法にて粒径を算出した。その結果、本実施形態における粗化粒子の平均粒径は、164.1μmであった。
次に、本実施形態で製造した透明導電基板について、銀配線(反射防止領域表面)表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、AFM(原子間力顕微鏡:日立ハイテクサイエンス製Nanocute使用)による観察結果(高さ方向6μm、分解能0.05nm)を基にした。AFM観察は、銀配線上の10μm×10μmの領域を任意に選択して観察を行った。
図3は、AFMによる銀配線の表面形態を示す2次元像である。図3のように、配線上に任意の線(長さ10μm)を画定し、この測定ラインにおける中心線平均粗さを測定した。図3の右図は、配線(反射防止領域)の測定ラインにおける断面プロファイルである。本実施形態の導電基板の銀配線の中心線平均粗さは、18.9nmであった。
比較例:第1実施形態と同様の工程で基材に銀配線を形成した後、第2金属として銀を選択すると共に、第2金属インクとして比較的の粒径が比較的大きい銀粒子を含む銀インクを使用して反射防止領域を形成した。
銀インクの製造方法は以下のとおりとした。まず、原料である炭酸銀102.2g(銀含有量80.0g)に、水37.3gを加えて湿潤状態(炭酸銀100質量部に対して36.4質量%)にした。次に、保護剤として3−メトキシプロピルアミンを、前記原料中の銀に対してモル比で6倍量加えて銀−アミン錯体を製造した。そして、この銀−アミン錯体を120℃で加熱して分解し、銀粒子を析出させた。加熱時には二酸化炭素の発生により気泡が確認され、この気泡発生が止まるまで加熱を続けた。加熱後は反応液を室温に戻して50gのメタノールを添加後、遠心分離して上澄みを除去し銀粒子を精製した。この銀粒子に溶媒としてブタノールを銀濃度60質量%となるように添加して銀インクとした。このインク中の粒子径をSEM観察により計測した結果、平均粒子径は120nmであった。
この比較例では、第1実施形態と同じ基板及び第1金属インクで形成した銀配線の上に、上記で製造した銀インクを第2金属インクとして塗布して反射防止領域を形成した。第2金属インクの塗布は、第1実施形態と同様にブレードを用いた。また、この比較例では処理液による処理は行わず、銀インクの塗布・乾燥のみで反射防止領域を形成した。
そして、この比較例で製造した透明導電基板について、第1実施形態と同様の方法により、銀配線視認の有無の評価、導電性の評価、配線表面の中心線平均粗さの測定を行った。
比較例の透明導電基板は、第2金属インク塗布前後における銀配線の状態を対比すると、配線表面が暗銀色に変化していた。しかし、第1実施形態と同様に、室内白色蛍光灯の下で角度を変えながら目視観察すると銀配線の存在が確認された。従って、反射防止効果は不十分であると判定された。一方、配線の電気抵抗値の測定を行ったところ4kΩであった。反射防止領域形成に伴う導電性の悪化は無かったことが確認された。
次に、この比較例について配線表面のSEM観察を行った。図4は、そのSEM写真である。図4から分かるように、比較例においては、粗化粒子である銀粒子が配線上で凝集していることが確認された。そこで、比較例の反射防止領域における配線表面の中心線平均粗さは、50.3nmと測定された。この配線表面の粗さが比較的高いのは、粗化粒子の凝集の影響によるものと考えられる。また、このように粗化粒子が凝集し、中心線平均粗さが大きくなった(50nm超)状態では、粒子同士が接触してプラズモンによる特異的な色味がなくなり、反射光で視認される金属光沢が発生したと考えられる。
第2実施形態:この実施形態では、基材に銀配線を形成した後、種々の条件で反射防止領域を形成し、配線の視認性について検討した。第1実施形態と同じ基材、銀インク(第1金属インク)を使用し、同じ条件で銀配線を形成した。そして、同じ銀インク(第2金属インク)を追加塗布した後、各種の処理液で処理した。処理液は、濃度50ppm、100ppmの次亜塩素酸カルシウム溶液と、濃度3.5ppm、35ppmのリン酸水素二ナトリウムについて検討した。また、処理の際の浸漬時間を変更しつつ処理を行った。そして、第1実施形態と同様、平均粒径の測定及び表面粗さ(中心線平均粗さ)の測定を行った。
表面粗さ測定後、目視にて銀配線の視認性を評価した。第1実施形態と同様の条件で基板を観察し、基板全面で銀配線が視認されない場合の評価を「○」とし、部分的に視認された場合を「△」とし、半分の面積以上で銀配線が視認された場合を「×」と評価した。また、第1実施形態と同様の方法で抵抗測定を行い、反射防止領域形成前と同じ(2倍未満)の状態を「○」と評価した。以上の測定結果、評価結果を表1に示す。
本実施形態の検討結果から、次亜塩素酸カルシウム水溶液に加えてリン酸水素二ナトリウム水溶液によっても有効な反射防止領域が形成可能であることが確認できた。また、これらの処理液によっても、浸漬時間(処理時間)が不足すると、表面粗さが低く、反射による配線が視認されることが分かった。従って、反射防止領域形成のためには、ある程度の処理時間を要することが確認された。
尚、次亜塩素酸カルシウム水溶液とリン酸水素二ナトリウム水溶液とを対比すると、反射防止領域が形成可能となる濃度・浸漬時間に相違がある。これは、それぞれの水溶液の銀に対する腐食性によるものである。銀に対して腐食性がある次亜塩素酸カルシウム水溶液は、高濃度・長時間処理により銀配線の断線が生じるおそれがある。一方、リン酸水素二ナトリウム水溶液は銀に対して腐食性がないので、長時間処理を行っても断線を生じさせることなく反射防止領域を形成することができる。
第3実施形態:本実施形態では、第1実施形態と同様の工程で基材に銀配線を形成した後、粗化粒子となる金属として銅を選択し、銅粒子を含む銅インクで反射防止領域を形成した。このとき、第1、2実施形態とは相違して、処理液による処理は行わず、銅インクの塗布・乾燥のみで反射防止領域を形成した。
本実施形態では、市販の銅インク(株式会社イオックス製、品名:INCu)を用意し、この銅インクについて保護剤置換処理を行ったものを第2金属インクとした。この市販の銅インクは、銅微粒子の平均粒子径は80nmであり、濃度70質量%程度であるが、保護剤の種類が明らかではない。そのため、このままの状態で銀配線上に結合(吸着)できるかが不明確であった。そこで、保護剤置換処理を行い、第2金属インクとして適切なものになるように保護剤及び溶媒を調整した。
この保護剤置換処理による第2金属インクの製造は、以下のとおりとした。まず、ヘキシルアミン15質量%、ドデシルアミン3質量%、オレイン酸3質量%になるように調整したシクロヘキサノン溶液を作製した。この溶液10gに対し、上記市販の銅インク1gを添加し、窒素雰囲気で70℃1時間加熱撹拌した。その後得られた溶液を遠心分離し、上澄みを分離除去した。得られた沈殿物に対し、再び上記のシクロヘキサノン溶液を10g添加し、過熱撹拌、遠心分離を同条件で行い、完全に保護剤を置換した。これにメタノールを加えて十分に攪拌し、遠心分離を行うことで、過剰の保護剤を除去し、銀微粒子を精製した。得られた沈殿にオクタンブタノール混合溶媒(4:1体積比)を添加して、銅粒子を溶解し、第2金属インクとなる保護剤置換銅インク(20質量%)とした。
そして、製造した銅インクを第1実施形態と同様の工程で塗布した。本実施形態では、第2金属インク塗布後に自然乾燥させて反射防止領域を形成した。そして、第1実施形態と同様の条件で観察した。
製造した透明導電基板について、銅インク塗布前後の銀配線の状態を対比すると、配線表面に暗赤銅色の粒子が分散していることが観察された。そして、本実施形態で製造した透明導電基板においても、反射光による銀配線の存在は確認できなかった。
また、配線の電気抵抗値の測定を行ったところ4kΩであった。反射防止領域形成に伴う導電性の悪化は無かったことが確認された。更に、配線表面の中心線平均粗さは、19.3nmであった。
第4実施形態:この実施形態では、2層構造の金属配線を形成し、反射防止領域を形成した。具体的には、第1金属インクとして銀インク、銅インクを使用し金属配線を形成した。その上に第2インクとして銀インクを塗布し、処理液で処理して粗化粒子を生成して反射防止領域を形成した。
金属配線の形成では、まず、第1実施形態と同じ銀インクを基板に塗布して、同条件で銀配線を形成した後、第3実施形態で使用した保護剤置処理した銅インクをさらに2回塗布して120℃で加熱した。これにより、銀配線上に銅配線を重ねた2層構造の金属配線が形成された。
次に、この金属配線に対し、第1実施形態と同じ銀インクを第2インクとして塗布した。その後、処理液として次亜塩素酸カルシウム水溶液(100ppm)に浸漬し、反射防止領域を形成した基板を作製した。次亜塩素酸カルシウム水溶液による処理は、60秒と120秒の処理を行い、2種の導電基板を製造した。
この実施形態で製造した2つの透明導電基板について、顕微鏡観察を行うと配線表面に黒色粒子が生成していることが確認された。そして、第1実施形態と同様に、室内白色蛍光灯の下で角度を変えながら目視観察したが、いずれにおいても金属配線の存在は視認されなかった。また、配線の電気抵抗値の測定を行ったところ、いずれも3kΩであった。反射防止領域形成に伴う導電性の悪化は無かったことが確認された。そして、金属配線表面の中心線平均粗さを測定した結果、60秒浸漬したものが41.7nm、120秒浸漬したサンプルでは48.2nmであった。
以上説明したように、本発明に係る導電基板は、極めて精細な金属配線を備えつつ、金属配線からの光反射の防止処理がなされている。本発明では、基材として透明体を適用することで、真に透明導電基板ということができる導電基板を得ることができる。本発明は、各種半導体デバイスの電極・配線形成に有用である他、透光性が要求されるタッチパネルのパネル面の配線形成にも有効に適用できる。

Claims (16)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも片面に形成され、銀又は銅の少なくともいずれかよりなる金属配線と、を備える導電基板において、
    前記金属配線の表面上に、銀若しくは銅、又は、それらの化合物の少なくともいずれかよりなる粗化粒子が分散されてなる反射防止領域が形成されており、
    前記反射防止領域表面の中心線平均粗さが15nm以上50nm以下であることを特徴とする導電基板。
  2. 粗化粒子は、銀若しくは銅、又は、それらの塩化物、酸化物、硫化物の少なくともいずれかよりなる請求項1記載の導電基板。
  3. 粗化粒子の平均粒径は、50nm以上250nm以下である請求項1又は請求項2記載の導電基板。
  4. 金属配線の幅は、0.5μm以上5.0μm以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電基板。
  5. 基材が透明体からなる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電基板。
  6. 基材は、少なくとも金属配線が形成される面がフッ素含有樹脂からなる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電基板。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の導電基板を製造する方法であって、
    基材上の一部又は全部の領域に設定されたパターン形成部に金属配線を形成する工程と、前記金属配線上に反射防止領域を形成する工程と、を含み、
    前記基材は、少なくとも前記パターン形成部を含む表面上にフッ素含有樹脂層を備えるものであり、
    前記金属配線を形成する工程は、前記フッ素含有樹脂層表面のパターン形成部に官能基を形成した後に、第1の保護剤を含み銀又は銅の少なくともいずれかの第1金属粒子が溶媒に分散してなる第1金属インクを前記基材表面に塗布し、前記第1金属粒子を前記パターン形成部に接合すると共に、前記第1金属粒子同士を結合させることにより金属配線とする工程を少なくとも1回行う工程であり、
    前記反射防止領域を形成する工程は、前記金属配線を形成した基材に、第2の保護剤を含み銀又は銅の少なくともいずれかの第2金属粒子が溶媒に分散してなる第2金属インクを塗布し、前記金属配線上に第2金属粒子を結合して粗化粒子を形成する工程を含む、
    導電基板の製造方法。
  8. 反射防止領域を形成する工程は、金属配線に第2金属インクを塗布した後、処理液を前記金属配線に接触させて第2金属粒子を粗化粒子にする工程を含む請求項7記載の導電基板の製造方法。
  9. フッ素含有樹脂層は、その重合体を構成するフッ素含有単量体に基づく繰り返し単位として、フッ素原子数と炭素原子数との比(F/C)が1.0以上の繰り返し単位を少なくとも1種有する重合体からなる請求項7又は請求項8記載の導電基板の製造方法。
  10. フッ素含有樹脂層表面に官能基を形成する工程は、フッ素含有樹脂層表面のパターン形成部に1mJ/cm以上4000mJ/cm以下のエネルギーを印加するものである請求項7〜請求項9のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  11. 官能基として、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基の少なくともいずれかを形成する請求項7〜請求項10のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  12. 第1金属インクの第1の保護剤及び第2金属インクの第2の保護剤は、炭素数4以上12以下のアミン化合物の少なくとも1種からなる保護剤Aと、炭素数4以上24以下の脂肪酸の少なくとも1種からなる保護剤Bとからなる請求項7〜請求項11のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  13. 第1金属粒子をパターン形成部に接合後、基材を40℃以上250℃以下に加熱することで第1金属粒子同士を結合し金属配線を形成する請求項7〜請求項12のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  14. 反射防止領域を形成するための処理液は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、次亜塩素酸塩、リン酸水素塩の水溶液である請求項8〜請求項13のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  15. 反射防止領域を形成するため、処理液と金属配線との接触時間を5秒以上60秒以下とする請求項8〜請求項14のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
  16. 第1金属インク及び第2金属インクの溶媒は、アルコール、ベンゼン、トルエン、アルカンのいずれか、又はこれらを混合したものである請求項7〜請求項15のいずれかに記載の導電基板の製造方法。
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