JP6496380B1 - 燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタック - Google Patents
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Abstract
【課題】金属セパレータの外周部に隙間腐食が発生することを抑えることができ、耐久性を向上させることができる燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタックを提供する。【解決手段】燃料電池スタック10の接合セパレータ33は、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とを接合ライン100で接合することによって構成される。接合ライン100は、連通孔接合ライン102と、第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の外周部に設けられた第1外周接合ライン104と、第1外周接合ライン104の外側を周回するように第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の外周部に設けられた第2外周接合ライン106とを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、2枚の金属セパレータを接合ラインで接合することによって構成された燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタックに関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備える。電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(単位燃料電池)が構成されている。発電セルは、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
互いに隣接する2枚の金属セパレータは、外周を溶接(外周接合ライン)により一体的に接合され、接合セパレータを構成する(例えば、特許文献1参照)。
上述した従来の接合セパレータでは、2枚の金属セパレータのうち外周接合ラインよりも外側の部位同士の間に隙間が形成されている。そのため、前記隙間に塩化物イオン等の隙間腐食の原因となるイオン(以下、「腐食原因イオン」という)が流入すると、金属セパレータの外周部に隙間腐食(酸素濃淡電池腐食)が発生するおそれがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、金属セパレータの外周部に隙間腐食が発生することを抑えることができ、耐久性を向上させることができる燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタックを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池用接合セパレータは、電極面に沿って反応ガスを流すための反応ガス流路と前記反応ガス流路に連通する反応ガス連通孔とが形成された2枚の金属セパレータを、これら前記金属セパレータの間に冷媒を流すための冷媒流路が形成されるように互いに積層するとともに接合ラインで接合することによって構成された燃料電池用接合セパレータであって、前記接合ラインは、前記反応ガス連通孔を周回するように設けられた連通孔接合ラインと、前記反応ガス流路、前記冷媒流路及び前記反応ガス連通孔を全体的に囲むように前記金属セパレータの外周部に設けられた第1外周接合ラインと、前記第1外周接合ラインよりも外側を周回するように前記金属セパレータの前記外周部に設けられた第2外周接合ラインと、を有することを特徴とする。
上記の燃料電池用接合セパレータにおいて、2枚の前記金属セパレータは、前記第1外周接合ラインと前記第2外周接合ラインとの間で互いに当接していることが好ましい。
上記の燃料電池用接合セパレータにおいて、前記第1外周接合ラインと前記第2外周接合ラインとの間における2枚の前記金属セパレータの当接面は、平坦に形成されていることが好ましい。
上記の燃料電池用接合セパレータにおいて、前記第2外周接合ラインは、前記金属セパレータの外周形状に沿って設けられていることが好ましい。
上記の燃料電池用接合セパレータにおいて、前記接合ラインは、レーザ溶接ビードであることが好ましい。
上記の燃料電池用接合セパレータにおいて、2枚の前記金属セパレータは、前記第2外周接合ラインよりも外側で互いに当接していることが好ましい。
本発明に係る燃料電池スタックは、電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体と前記電解質膜・電極構造体の両側に配設された金属セパレータとを有する発電セルが互いに積層された燃料電池スタックであって、互いに隣接する2枚の前記金属セパレータは、互いに接合されることにより、上述した燃料電池用接合セパレータを構成することを特徴とする。
本発明によれば、第1外周接合ラインよりも外側を周回するように金属セパレータの外周部に第2外周接合ラインを設けている。そのため、燃料電池用接合セパレータにおける第2外周接合ラインよりも内側に腐食原因イオンが流入することを抑制できる。これにより、燃料電池用接合セパレータにおける第1外周接合ラインと第2外周接合ラインとの間(金属セパレータの外周部)に隙間腐食が発生することを抑えることができるため、燃料電池用接合セパレータの耐久性を向上させることができる。また、第1外周接合ラインは、燃料電池用接合セパレータのビードシールが潰れる際の反力を受ける機能があるため、第1外周接合ラインの腐食許容量は第2外周接合ラインの腐食許容量よりも小さくなる。換言すれば、第1外周接合ラインは、第2外周接合ラインに比べて大きな荷重を受けるため、腐食し易い。しかしながら、燃料電池用接合セパレータにおける第1外周接合ラインと第2外周接合ラインとの間に隙間腐食が発生することが抑えられるため、腐食し易い第1外周接合ラインの腐食を好適に抑えることができる。よって、燃料電池用接合セパレータの耐久性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明に係る燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタックについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示す単位燃料電池を構成する発電セル12は、樹脂フィルム付きMEA28と、樹脂フィルム付きMEA28の一方面側に配置された第1金属セパレータ30と、樹脂フィルム付きMEA28の他方面側に配置された第2金属セパレータ32とを備える。複数の発電セル12が、例えば、矢印A方向(水平方向)又は矢印C方向(重力方向)に積層されるとともに、積層方向の締付荷重(圧縮荷重)が付与されて、燃料電池スタック10が構成される。燃料電池スタック10は、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。互いに隣接する発電セル12における一方の発電セル12の第1金属セパレータ30と、他方の発電セル12の第2金属セパレータ32とは、一体に接合され、燃料電池用接合セパレータ33(以下、「接合セパレータ33」という)を構成する。
発電セル12の長辺方向である水平方向の一端縁部(矢印B1方向側の一端縁部)には、積層方向(矢印A方向)に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bは、鉛直方向(矢印C方向)に配列して設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。冷却媒体入口連通孔36aは、冷却媒体、例えば、水を供給する。燃料ガス出口連通孔38bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の長辺方向他端縁部(矢印B2方向の他端縁部)には、積層方向に互いに連通して、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bは、鉛直方向に配列して設けられる。燃料ガス入口連通孔38aは、燃料ガスを供給する。冷却媒体出口連通孔36bは、冷却媒体を排出する。酸化剤ガス出口連通孔34bは、酸化剤ガスを排出する。反応ガス連通孔としての酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bと燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bの配置、形状、個数は、本実施形態に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
図2に示すように、樹脂フィルム付きMEA28は、電解質膜・電極構造体28aと、電解質膜・電極構造体28aの外周部に設けられた枠形状の樹脂フィルム46とを備える。電解質膜・電極構造体28aは、電解質膜40と、電解質膜40を挟持するアノード電極42及びカソード電極44とを有する。
電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40は、アノード電極42及びカソード電極44に挟持される。電解質膜40は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。
カソード電極44は、電解質膜40の一方の面に接合される第1電極触媒層44aと、第1電極触媒層44aに積層される第1ガス拡散層44bとを有する。アノード電極42は、電解質膜40の他方の面に接合される第2電極触媒層42aと、第2電極触媒層42aに積層される第2ガス拡散層42bとを有する。
樹脂フィルム46の内周端面は、電解質膜40の外周端面に近接、重なる又は当接する。図1に示すように、樹脂フィルム46の矢印B1方向側の端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。樹脂フィルム46の矢印B2方向の端縁部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。
樹脂フィルム46は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はm−PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又は変性ポリオレフィンで構成される。なお、樹脂フィルム46を用いることなく、電解質膜40を外方に突出させてもよい。また、外方に突出した電解質膜40の両側に枠形状のフィルムを設けてもよい。
図3に示すように、第1金属セパレータ30の樹脂フィルム付きMEA28に向かう面30a(以下、「表面30a」という)には、例えば、矢印B方向に延在する反応ガス流路としての酸化剤ガス流路48が設けられる。
酸化剤ガス流路48は、酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bに流体的に連通する。酸化剤ガス流路48は、矢印B方向に延在する複数本の凸部48a間に直線状流路溝48bを有する。複数の直線状流路溝48bに代えて、複数の波状流路溝が設けられてもよい。
第1金属セパレータ30の表面30aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガス流路48との間には、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部50aからなるエンボス列を複数有する入口バッファ部50Aが設けられる。また、第1金属セパレータ30の表面30aにおいて、酸化剤ガス出口連通孔34bと酸化剤ガス流路48との間には、複数個のエンボス部50bからなるエンボス列を複数有する出口バッファ部50Bが設けられる。
なお、第1金属セパレータ30の、酸化剤ガス流路48とは反対側の面30bには、入口バッファ部50Aの上記エンボス列間に、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部67aからなるエンボス列が設けられるとともに、出口バッファ部50Bの上記エンボス列間に、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部67bからなるエンボス列が設けられる。エンボス部67a、67bは、冷媒面側のバッファ部を構成する。
第1金属セパレータ30の表面30aには、プレス成形により酸化剤ガスの外部への漏れを防止するための第1ビードシール52が樹脂フィルム付きMEA28(図1)に向かって(第1金属セパレータ30の厚さ方向に)突出成形される。図2に示すように、第1ビードシール52の凸部先端面には、樹脂材56が印刷又は塗布等により固着される。樹脂材56は、例えば、ポリエステル繊維が使用される。樹脂材56は、樹脂フィルム46側に設けられてもよい。樹脂材56は、不可欠ではなく、なくてもよい。
図3に示すように、第1ビードシール52は、複数の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)を個別に囲む複数の連通孔ビード部53と、酸化剤ガス流路48、入口バッファ部50A及び出口バッファ部50Bを囲む外周側ビード部54とを有する。
複数の連通孔ビード部53は、第1金属セパレータ30の表面30aからMEA28に向かって突出するとともに、酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b、冷却媒体入口連通孔36a及び冷却媒体出口連通孔36bの周囲をそれぞれ個別に周回する。
以下、複数の連通孔ビード部53のうち、酸化剤ガス入口連通孔34aを囲むものを「連通孔ビード部53a」と表記し、酸化剤ガス出口連通孔34bを囲むものを「連通孔ビード部53b」と表記する。また、複数の連通孔ビード部53のうち、燃料ガス入口連通孔38aを囲むものを「連通孔ビード部53c」と表記し、燃料ガス出口連通孔38bを囲むものを「連通孔ビード部53d」と表記する。
第1金属セパレータ30には、連通孔ビード部53a、53bの内側(酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b側)及び外側(酸化剤ガス流路48側)を連通するブリッジ部80、82が設けられる。酸化剤ガス入口連通孔34aを囲む連通孔ビード部53aの、酸化剤ガス流路48側の辺部に、ブリッジ部80が設けられる。酸化剤ガス出口連通孔34bを囲む連通孔ビード部53bの、酸化剤ガス流路48側の辺部に、ブリッジ部82が設けられる。
図1に示すように、第2金属セパレータ32の樹脂フィルム付きMEA28に向かう面32a(以下、「表面32a」という)には、例えば、矢印B方向に延在する反応ガス流路としての燃料ガス流路58が形成される。
図4に示すように、燃料ガス流路58は、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bに流体的に連通する。燃料ガス流路58は、矢印B方向に延在する複数本の凸部58a間に直線状流路溝58bを有する。複数の直線状流路溝58bに代えて、複数の波状流路溝が設けられてもよい。
第2金属セパレータ32の表面32aにおいて、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス流路58との間には、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部60aからなるエンボス列を複数有する入口バッファ部60Aが設けられる。また、第2金属セパレータ32の表面32aにおいて、燃料ガス出口連通孔38bと燃料ガス流路58との間には、複数個のエンボス部60bからなるエンボス列を複数有する出口バッファ部60Bが設けられる。
なお、第2金属セパレータ32の、燃料ガス流路58とは反対側の面32bには、入口バッファ部60Aの上記エンボス列間に、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部69aからなるエンボス列が設けられるとともに、出口バッファ部60Bの上記エンボス列間に、矢印C方向に並ぶ複数個のエンボス部69bからなるエンボス列が設けられる。エンボス部69a、69bは、冷媒面側のバッファ部を構成する。
第2金属セパレータ32の表面32aには、プレス成形により燃料ガスの外部への漏れを防止するための第2ビードシール62が樹脂フィルム付きMEA28(図1)に向かって(第2金属セパレータ32の厚さ方向に)突出成形される。図2に示すように、第2ビードシール62の凸部先端面には、樹脂材56が印刷又は塗布等により固着される。樹脂材56は、例えば、ポリエステル繊維が使用される。樹脂材56は、樹脂フィルム46側に設けられてもよい。樹脂材56は、不可欠ではなく、なくてもよい。
図4に示すように、第2ビードシール62は、複数の連通孔(燃料ガス入口連通孔38a等)を個別に囲む複数の連通孔ビード部63と、燃料ガス流路58、入口バッファ部60A及び出口バッファ部60Bを囲む外周側ビード部64とを有する。
複数の連通孔ビード部63は、第2金属セパレータ32の表面32aから突出するとともに、酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b、冷却媒体入口連通孔36a及び冷却媒体出口連通孔36bの周囲をそれぞれ個別に周回する。
以下、複数の連通孔ビード部63のうち、燃料ガス入口連通孔38aを囲むものを「連通孔ビード部63a」と表記し、燃料ガス出口連通孔38bを囲むものを「連通孔ビード部63b」と表記する。また、複数の連通孔ビード部63のうち、酸化剤ガス入口連通孔34aを囲むものを「連通孔ビード部63c」と表記し、酸化剤ガス出口連通孔34bを囲むものを「連通孔ビード部63d」と表記する。
第2金属セパレータ32には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bをそれぞれ囲む連通孔ビード部63a、63bの内側(燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b側)及び外側(燃料ガス流路58側)を連通するブリッジ部90、92が設けられる。燃料ガス入口連通孔38aを囲む連通孔ビード部63aの、燃料ガス流路58側の辺部に、ブリッジ部90が設けられる。燃料ガス出口連通孔38bを囲む連通孔ビード部63bの、燃料ガス流路58側の辺部に、ブリッジ部92が間隔を置いて設けられる。
図1に示すように、互いに接合される第1金属セパレータ30の面30bと第2金属セパレータ32の面32bとの間には、冷却媒体入口連通孔36aと冷却媒体出口連通孔36bとに流体的に連通する冷媒流路66が形成される。冷媒流路66は、酸化剤ガス流路48が形成された第1金属セパレータ30の裏面形状と、燃料ガス流路58が形成された第2金属セパレータ32の裏面形状とが重なり合って形成される。
図3及び図4に示すように、接合セパレータ33を構成する第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とは、接合ライン100によって互いに接合されている。接合ライン100は、レーザ溶接によって形成されたレーザ溶接ビードである。ただし、接合ライン100は、レーザ溶接ビードに限定されず、レーザ溶接以外の溶接(例えば、TIG溶接、MIG溶接、シーム溶接等)によって形成された溶接ビードであってもよいし、摩擦撹拌接合やろう付け等によって形成された接合部であってもよい。
接合ライン100は、連通孔接合ライン102、第1外周接合ライン104及び第2外周接合ライン106を有する。連通孔接合ライン102は、4つの連通孔接合ライン102a〜102dを有する。
連通孔接合ライン102aは、酸化剤ガス入口連通孔34a、連通孔ビード部53a、連通孔ビード部63c及びブリッジ部80を全体的(一体的)に囲むように設けられる。連通孔接合ライン102bは、酸化剤ガス出口連通孔34b、連通孔ビード部53b、連通孔ビード部63d及びブリッジ部82を全体的(一体的)に囲むように設けられる。
連通孔接合ライン102cは、燃料ガス入口連通孔38a、連通孔ビード部53c、連通孔ビード部63a及びブリッジ部90を全体的に囲むように設けられる。連通孔接合ライン102dは、燃料ガス出口連通孔38b、連通孔ビード部53d、連通孔ビード部63b及びブリッジ部92を全体的に囲むように設けられる。
図2〜図4に示すように、第1外周接合ライン104は、酸化剤ガス流路48、燃料ガス流路58、冷媒流路66、酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a、燃料ガス出口連通孔38b、冷却媒体入口連通孔36a及び冷却媒体出口連通孔36bを全体的(一体的)に囲むように、接合セパレータ33の外周部に設けられる。換言すれば、第1外周接合ライン104は、連通孔ビード部53、63及び外周側ビード部54、64を全体的(一体的)に囲む。なお、第1外周接合ライン104は、外周側ビード部54、64に近接して設けるのが好ましい。この場合、第1外周接合ライン104は、外周側ビード部54、64が潰れる際の反力を効果的に受けることができる。
第2外周接合ライン106は、第1外周接合ライン104の外側を周回するように第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の外周部に設けられている。第2外周接合ライン106は、接合セパレータ33の外端縁部33e(第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の外周形状)に沿って設けられている。
すなわち、接合セパレータ33の外周部には、第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106とが2重に設けられている。第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106とは、接合セパレータ33の外端縁部33eに沿って並設されている。
図2に示すように、第1金属セパレータ30のうち第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間に位置する第1外周部位30e1と、第2金属セパレータ32のうち第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間に位置する第2外周部位32e1とは、互いに当接している。換言すれば、第1外周部位30e1と第2外周部位32e1とは、全周(略全面)に亘って互いに当接している。つまり、第1外周部位30e1と第2外周部位32e1との間には、隙間が実質的に形成されていない。
第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間における第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との当接面は、平坦に形成されている。換言すれば、第1外周部位30e1のうち第2外周部位32e1に対向する面は、平坦に形成されている。第2外周部位32e1のうち第1外周部位30e1に対向する面は、平坦に形成されている。
第1金属セパレータ30のうち第2外周接合ライン106よりも外側に位置する第1最外部位30e2と、第2金属セパレータ32のうち第2外周接合ライン106よりも外側に位置する第2最外部位32e2とは、互いに当接している。換言すれば、第1最外部位30e2と第2最外部位32e2とは、全周(略全面)に亘って互いに当接している。つまり、第1最外部位30e2と第2最外部位32e2との間には、隙間が実質的に形成されていない。
第2外周接合ライン106よりも外側における第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との当接面は、平坦に形成されている。換言すれば、第1最外部位30e2のうち第2最外部位32e2に対向する面は、平坦に形成されている。第2最外部位32e2のうち第1最外部位30e2に対向する面は、平坦に形成されている。
このように構成される発電セル12は、以下のように動作する。
まず、図1に示すように、酸素含有ガス等の酸化剤ガス、例えば、空気は、酸化剤ガス入口連通孔34aに供給される。水素含有ガス等の燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aに供給される。純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔36aに供給される。
酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔34aからブリッジ部80(図3)を介して第1金属セパレータ30の酸化剤ガス流路48に導入される。そして、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路48に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体28aのカソード電極44に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aからブリッジ部90を介して第2金属セパレータ32の燃料ガス流路58に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路58に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体28aのアノード電極42に供給される。
従って、各電解質膜・電極構造体28aでは、カソード電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード電極42に供給される燃料ガスとが、第1電極触媒層44a及び第2電極触媒層42a内で電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
次いで、カソード電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路48からブリッジ部82を介して酸化剤ガス出口連通孔34bへと流動し、酸化剤ガス出口連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極42に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス流路58からブリッジ部92を介して燃料ガス出口連通孔38bへと流動し、燃料ガス出口連通孔38bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔36aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との間に形成された冷媒流路66に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体28aを冷却した後、冷却媒体出口連通孔36bから排出される。
この場合、本実施形態に係る発電セル12は、以下の効果を奏する。
接合セパレータ33は、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との間に冷媒流路66が形成されるように第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とを互いに積層するとともに接合ライン100で接合することによって構成されている。
接合ライン100は、連通孔接合ライン102、第1外周接合ライン104及び第2外周接合ライン106を有する。連通孔接合ライン102は、反応ガス連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38b)を周回するように設けられている。
第1外周接合ライン104は、冷媒流路66及び上記の反応ガス連通孔を全体的に囲むように接合セパレータ33(第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32)の外周部に設けられている。第2外周接合ライン106は、第1外周接合ライン104よりも外側を周回するように接合セパレータ33(第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32)の外周部に設けられている。
これにより、接合セパレータ33における第2外周接合ライン106よりも内側(第1外周部位30e1と第2外周部位32e1との間)に腐食原因イオンが流入することを抑制できる。よって、接合セパレータ33にける第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間(第1外周部位30e1及び第2外周部位32e1の少なくともいずれか)に隙間腐食が発生することを抑えることができるため、接合セパレータ33の耐久性を向上させることができる。
また、第1外周接合ライン104は、接合セパレータ33のビードシール(外周側ビード部54、64)が潰れる際の反力を受ける機能があるため、第1外周接合ライン104の腐食許容量は第2外周接合ライン106の腐食許容量よりも小さくなる。換言すれば、第1外周接合ライン104は、第2外周接合ライン106に比べて大きな荷重を受けるため、腐食し易い。しかしながら、接合セパレータ33における第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間に隙間腐食が発生することが抑えられるため、腐食し易い第1外周接合ライン104の腐食を好適に抑えることができる。よって、接合セパレータ33の耐久性を大幅に向上させることができる。
第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とは、第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間で互いに当接している。換言すれば、第1外周部位30e1と第2外周部位32e1とは互いに当接している。そのため、第1外周部位30e1と第2外周部位32e1との間に腐食原因イオンが流入することを効果的に抑えることができる。
第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間における第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との当接面は、平坦に形成されている。これにより、簡易な構成で第1外周部位30e1と第2外周部位32e1とを効率的に当接させることができる。
第2外周接合ライン106は、第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の外周形状に沿って設けられている。これにより、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との間に腐食原因イオンが流入することを一層効果的に抑えることができる。
接合ライン100は、レーザ溶接ビードであるため、第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32を効率的且つ確実に接合することができる。
第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とは、第2外周接合ライン106よりも外周側で互いに当接している。換言すれば、第1最外部位30e2と第2最外部位32e2とは互いに当接している。これにより、接合セパレータ33における第2外周接合ライン106よりも外側(第1最外部位30e2と第2最外部位32e2との間)に腐食原因イオンが流入することを抑制できる。
よって、接合セパレータ33における第2外周接合ライン106よりも外側(第1最外部位30e2及び第2最外部位32e2の少なくともいずれか)に隙間腐食が発生することを抑えることができるため、接合セパレータ33の耐久性を一層向上させることができる。
接合セパレータ33では、第2外周接合ライン106を周回するように第2外周接合ライン106よりも外側に1本又は複数本の接合ラインを設けてもよい。第1外周接合ライン104と第2外周接合ライン106との間隔は、全周に亘って一定でなくてもよく、周方向に向かって増減していてもよい。
本発明に係る燃料電池用接合セパレータ及び燃料電池スタックは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…燃料電池スタック 12…発電セル
30…第1金属セパレータ 32…第2金属セパレータ
33…接合セパレータ(燃料電池用接合セパレータ)
48…酸化剤ガス流路 58…燃料ガス流路
66…冷媒流路 100…接合ライン
102a〜102d…連通孔接合ライン
104…第1外周接合ライン 106…第2外周接合ライン
30…第1金属セパレータ 32…第2金属セパレータ
33…接合セパレータ(燃料電池用接合セパレータ)
48…酸化剤ガス流路 58…燃料ガス流路
66…冷媒流路 100…接合ライン
102a〜102d…連通孔接合ライン
104…第1外周接合ライン 106…第2外周接合ライン
Claims (7)
- 電極面に沿って反応ガスを流すための反応ガス流路と前記反応ガス流路に連通する反応ガス連通孔とが形成された2枚の金属セパレータを、これら前記金属セパレータの間に冷媒を流すための冷媒流路が形成されるように互いに積層するとともに接合ラインで接合することによって構成された燃料電池用接合セパレータであって、
前記接合ラインは、
前記反応ガス連通孔を周回するように設けられた連通孔接合ラインと、
前記反応ガス流路、前記冷媒流路及び前記反応ガス連通孔を全体的に囲むように前記金属セパレータの外周部に設けられた第1外周接合ラインと、
前記第1外周接合ラインよりも外側を周回するように前記金属セパレータの前記外周部に設けられた第2外周接合ラインと、を有する、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 請求項1記載の燃料電池用接合セパレータにおいて、
2枚の前記金属セパレータは、前記第1外周接合ラインと前記第2外周接合ラインとの間で互いに当接している、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 請求項2記載の燃料電池用接合セパレータにおいて、
前記第1外周接合ラインと前記第2外周接合ラインとの間における2枚の前記金属セパレータの当接面は、平坦に形成されている、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用接合セパレータにおいて、
前記第2外周接合ラインは、前記金属セパレータの外周形状に沿って設けられている、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用接合セパレータにおいて、
前記接合ラインは、レーザ溶接ビードである、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用接合セパレータにおいて、
2枚の前記金属セパレータは、前記第2外周接合ラインよりも外側で互いに当接している、
ことを特徴とする燃料電池用接合セパレータ。 - 電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体と前記電解質膜・電極構造体の両側に配設された金属セパレータとを有する発電セルが互いに積層された燃料電池スタックであって、
互いに隣接する2枚の前記金属セパレータは、互いに接合されることにより、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用接合セパレータを構成する、
ことを特徴とする燃料電池スタック。
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