JP6495942B2 - 拘束部材 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前提部に従う乗り物のベルトシステムで子供を保持するための拘束部材に関する。

上記の種類の拘束部材は、欧州特許出願第２０６１１５９（Ａ１）号明細書により知られている。斯かる拘束部材は、特にチャイルドシートに座っている子供を、事故や急ブレーキの際にシートに保持するものである。拘束体システムは助手席又は後部席に使用でき、（慣用的な）３点ベルトと協働する。この場合、３点ベルトのラップベルト部分は通常は拘束体内で横断方向に延びる溝状の凹部を通るか、又は拘束体の外側に当接している。

一般にこの種類の拘束部材は、バックレストのある又はない、及びサイドレストのある又はないチャイルドシートと組み合わせて使用できる。拘束体は子供の大腿部の上及び／又はチャイルドシートの上に載ることができる。代替として拘束体は乗り物の座席に支持されてもよい。特に大きい子供の場合、拘束部材は付属のチャイルドシートなしでも使用される。この場合、（年齢の進んだ）子供は直接乗り物の座席に座り、座席若しくは乗り物に拘束部材が固定されている。

急ブレーキ、さらには乗り物の正面衝突の際には、子供の上体は拘束体の表面（内面）に押し付けられる。それゆえ負傷を避けるために、拘束体はしばしば発泡体又はクッションの詰め物が施される。

拘束部材自体がチャイルドシートに固定されている場合、このチャイルドシートはまた乗り物の座席若しくは乗り物に固定することができる。このためにしばしば従来の技術ではシートは、例えばＩＳＯＦＩＸ保持具を備えた支台に固定されており、ＩＳＯＦＩＸ保持具はシートに設けたＩＳＯＦＩＸ固定点、即ちクロスピンに固定可能である。

従来の技術で知られている拘束部材における基本的な問題は、例えば事故の場合に子供が拘束部材によって制動されるまで比較的長い移動距離を進むということにある。それどころか極端な場合には子供の頭部が前部座席又は装備に当たることがある。

それゆえ本発明の課題は、構造的に単純なやり方で、特に乗り物が転覆する際に子供を非常に安全にチャイルドシート若しくは乗り物の座席に保持する、特にチャイルドシートと組み合わせるための乗り物用の拘束部材を提供することである。

上記の課題は特許請求項１の特徴を有する拘束部材によって解決される。

拘束部材は、斜行ベルト部分と水平ベルト部分とを含む乗り物のベルトシステムで子供を保持する働きをし、特にチャイルドシートと組み合わせて使用するように構成されており、拘束部材は座面上に座る子供の大腿部の上でほぼ横断方向に延びている。拘束部材は、斜行ベルト部分に対する第１ベルトガイドを含み、水平ベルト部分は第２ベルトガイドと協働して、水平ベルト部分が子供の大腿部の直上をまたいで延びるようにされている。この場合、第２ベルトガイドは拘束部材か、又はシートに、特に拘束部材と協働するチャイルドシートに配置され得る。

それゆえ本発明の本質的な思想は、３点ベルトシステムの水平ベルト部分、即ちラップベルトも直接子供と接触していることである。そうすることによって子供は、特に転覆を伴う乗り物の事故において非常に安全に座席に保持される。なぜなら子供の上体が前方に動くと、ベルトの斜行ベルト部分がぴんと張るからである。前方に動いた斜行ベルト部分は、ベルトを乗り物に接続している領域で転向して水平ベルト部分を後方に引っ張る。そうすることによって水平ベルト部分（ラップベルト）は下方へ座面に向かって引っ張られる。これに従い、乗り物が転覆する際に子供が乗り物の天井に向かって動くことにより水平ベルト部分が動かされることによって、ベルト転向を介して斜行ベルト部分の緊張が引き起こされる。つまり水平ベルト部分が直に子供の上に載っており、そのためベルトの緊張が直接子供に作用することによって、子供はいかなる場合も座面若しくは背部支持面に安全に固定される。総じて本発明により、上体が斜行ベルト部分を引っ張るか、又は大腿部が水平ベルト部分を引っ張ると、子供の骨盤の確実な固定が引き起こされる。これにより本発明による拘束部材は、乗り物の事故の際に、特に転覆の場合に子供の安全性を高める働きをする。

第１ベルトガイド及び／又は第２ベルトガイドはスリット状開口部として形成され得る。第１ベルトガイドは、拘束部材の前側に配置され得る。第２ベルトガイドは、拘束部材の両側にそれぞれ配置された２個のガイド部分を含み、これらガイド部分の間で水平ベルト部分は自由に案内可能である。第２ベルトガイドの２個のガイド部分は、好ましくは第１ベルトガイドと（垂直方向の）間隔を置いて拘束部材の下側に配置されている。そうして、拘束部材の使用状態で水平ベルト部分が直に子供の上、及び特にその大腿部の上に載っていることが確保される。

第１ベルトガイドと第２ベルトガイドは、斜行ベルト部分と水平ベルト部分との互いに実質的に直角に位置合わせされた案内が生じるように整合されていることが好ましい。このようにすると拘束部材の最良可能な拘束機能が生み出される。好ましくはスリット状に形成された第２ベルトガイドは、拘束部材の使用状態で子供の大腿部に対して実質的に平行に位置合わせされていることが好都合である。このようにすると水平ベルト部分も子供の大腿部に対して実質的に平行に延びるので、事故の場合にベルトによる最適な拘束作用が達成される。水平ベルト部分を受容するための第２ベルトガイドは、拘束部材の前側に向かって開いている。そうすることによって水平ベルト部分は非常に簡単に拘束部材と、特に第１ベルトガイドと係合できる。

特に有利には、第１ベルトガイドは、拘束部材の両側面の間に延びており、実質的にアーチ形推移を有する。このようにすると乗り物内で拘束部材を左側に位置決めした場合も右側に位置決めした場合も、斜行ベルト部分を最適な、できるだけ対角線状に若しくは斜めの案内を実現できる。そうすることによって斜行ベルト部分の拘束作用はさらに改善され得る。

拘束部材が座面に対して相対的に、特にチャイルドシートの座面に対して相対的に調節可能に支持されていると非常に有利である。拘束部材は後方から前方に向かって増加する角度で調節可能であることが好ましい。さらに拘束部材は、無段階に又は代替として段階的に調節できる。

事故の場合に子供の負傷リスクをできるだけ減らすために、拘束部材は子供の胸部に向けられたクッションを含み、クッションは胸部支承領域を画定する。さらに拘束部材は、組み付けた位置で前方に向かって開いて第１スリット状ベルトガイドを画定するほぼＵ字形断面の中空体を含んでいる。

本発明の有利な構成において、拘束部材の下側は、拘束部材に付属する背部支持面と共に鋭角、即ち９０°より小さい角を包囲する。特に角度は６０°〜８５°、好ましくは７０°〜８５°の角度を包囲する。角度は、拘束部材を組み付けた状態で拘束部材に付属する座面の傾きにほぼ対応することが有利である。したがって座面に付属する背部支持面と共に同様に鋭角を包囲することが好ましい。この実施形態において座面と拘束部材の下側とは拘束部材の使用状態で実質的に互いに平行に位置合わせされている。

以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明する。

本発明による拘束部材の側面図である。 チャイルドシートと協働する本発明による拘束部材の斜視図である。 本発明の有利な拡張による拘束部材と付属の座面の模式的側面図である。

図１は、本発明による拘束部材１の模式的側面図である。拘束部材１は好ましくはその前側３、即ち子供と反対に向けられた側に向かって開いたほぼＵ字形断面の中空体若しくは発泡体と、３点ベルトシステムの斜行ベルト部分７、即ち胸部ベルトを受容して案内するための第１ベルトガイド５と、を含む。

図１に見られるように、第１ベルトガイド５はスリット状に形成されていて、斜行ベルト部分７は一方では簡単に第１ベルトガイド５に差し込むことができ、しかし他方ではできるだけその中でねじれないようになっている。

さらに拘束部材１の後側９、即ち拘束部材１の子供に向けられた側、及び特に子供のための腕置き面を形成する上側１１もクッションとして形成されていることが見て取れる。

拘束部材１の使用状態で子供の大腿部に向けられた下側１３の領域で、拘束部材１は第２ベルトガイド１５を有する。第２ベルトガイド１５は、３点ベルトシステムの水平ベルト部分１７、即ちラップベルトを受容する働きをする。第２ベルトガイド１５は必ずしも拘束部材１に直に配置されていなくてもよい。むしろ第２ベルトガイド１５を拘束部材１に付属するチャイルドシート又はこれに類するものに配置することも考えられる。

この実施形態において第２ベルトガイド１５も同様に実質的にスリット状に形成されており、水平ベルト部分１７は簡単にスリット状の第２ベルトガイドに差し込むことができるが、その中でねじれることはできない。

第２ベルトガイド１５は、ここでは互いに間隔を置いて向き合って配置された２個のガイド部分を含み、そのうち図１では単にガイド部分１９だけが図示されている。ガイド部分１９はそれ以外の拘束部材１と一体的に形成されており、拘束部材１の側面２０の領域で拘束部材１の下側１３に沿って延びている。第２ベルトガイド１５若しくはガイド部分１９は拘束部材１の前側３に向かって開いており、拘束部材１の使用者は水平ベルト部分１７を簡単に差し込むことができる。

さらに図１から明らかなように、スリット状の第１ベルトガイド５と第２ベルトガイド１５は、水平ベルト部分７の面と斜行ベルト部分１７の面が互いに実質的に直角になるように位置合わせされている。そうすることによってベルトは子供の着座位置に最適に適合させられている。

図２はさらに拘束部材１の使用状態における模式的な斜視図を示す。図２に示された例では、拘束部材１が、乗り物、特に自動車の自動車シート２３上に位置決めされているチャイルドシート２１と協働する。さらに拘束部材１は、乗り物の斜行ベルト部分７（胸部ベルト部分）と水平ベルト部分１７（ラップベルト部分）を含む慣用的な３点ベルトシステムと協働する。

拘束部材１はチャイルドシート２１上に載せて、ベルトシステムによってこれに固定できる。ベルトシステムを用いてチャイルドシート２１も自動車シート２３に固定できる。しかしながら代替として、拘束部材１がチャイルドシート２１に調節可能に固定されているようにすることもできる。特に拘束部材１若しくはチャイルドシート２１は、拘束部材１を特に水平及び／又は垂直方向で調整可能にする相応の接続部材、例えばラッチエレメントを備えている。このようにすると拘束部材１は大きさの異なる子供に適合させることができる。

図２から明らかなように、拘束部材１を固定するために斜行ベルト部分７を第１ベルトガイド５に通し、一方で水平ベルト部分１７を第２ベルトガイド１５に通す。水平ベルト部分１７を受容するための第２ベルトガイド１５が、拘束部材１の下側１３の領域１に、したがって座面の近傍にあることによって、水平ベルト部分１７は拘束部材１の使用状態で子供２５と直に接触し、特にその大腿部の上に載るように位置決めされる。

両ベルトガイド５、１５は互いに垂直方向に適当な間隔を置いて配置されている。特に第１ベルトガイド５は有利には拘束部材１の上側１１の近傍に配置されており、第２ベルトガイドは拘束部材１の下側１３に付属している。

本発明の図示された実施形態において、第２ベルトガイド１５は互いに分離した２個のガイド部分１９を有しており、それぞれのガイド部分１９が拘束部材１の両側２０、２０´に配置されていることによって、水平ベルト部分１７は使用状態で両ガイド部分１９の間で実質的に自由に延びて、水平ベルト部分１７は子供２５の大腿部の上に載ることができる。

図３はさらに子供の高められた安全性に寄与する本発明の有利な拡張を示す。図示された実施形態において拘束部材１の下側１３は使用状態で、拘束部材１に付属する背部支持面２７若しくは子供の胸面３２と共に鋭角ａを包囲する。角度ａは、特に６０°〜８５°、特に７０°〜８５°であることができる。背部支持面２７は特に乗り物の座席のバックレスト又はチャイルドシートのバックレストであってよい。

図からさらに明らかなように、拘束部材１を組み付けた状態で角度ａは、拘束部材１に付属する座面２９の傾きにほぼ対応する。したがって座面２９は付属の背部支持面２７と共に好ましくは同様に鋭角ａを包囲する。この実施形態においては、拘束部材１の使用状態で座面２９と拘束部材１の下側１３は実質的に互いに平行に位置合わせされており、子供の大腿部３３はその間に配置されている。

さらに子供の拘束部材１の後側９にある胸部支持面３１は、拘束部材１の下側１３と共に鈍角ｂ＞９０°を包囲しており、その結果として拘束部材１の使用状態で胸部支持面３１は子供２５の胸面３２に向かって傾いている。その上、楔形シート３５は子供の大きさに応じてより短く又はより長く形成でき、したがって子供の大腿部３３の長さに適合させることができる。角度ａ及び角度ｂ、即ち座面２９と拘束部材１の傾きも子供の大きさに応じて変化できる。

乗り物用の慣用的な子供拘束装置ではシートユニット３５と拘束体１が床３７に対して平行に位置合わせされているのとは異なり、本発明ではシートユニット３５と拘束体１若しくは座面２９及び下側１３は子供に向かって傾いている。そうすることによってシートユニット３５と拘束体１との間の「すり抜け通路」は狭くなる。なぜなら子供の膝窩が大腿部３３の互いに向き合う端部よりも高い位置にあり、拘束体１の体に向けられた部分が子供の体と反対に向けられた部分より低い位置にあるからである。このようにすると乗り物が転覆した場合に、子供は矢印３９と矢印４１によって暗示されているように、相当な力を加えなければシートから抜け出ることがない。

本発明により有利には、事故の結果生じる力が子供２５の上体に掛かると、水平ベルト部分１７が締まり、その結果子供がチャイルドシート２１若しくは自動車シート２３に直接固定されることが保証される。したがって本発明による拘束部材１は、事故の際に子供の負傷リスクを明らかに低減するように働く。

１ 拘束部材
３ 前側
５ 第１ベルトガイド
７ 斜行ベルト部分
９ 後側
１１ 上側
１３ 下側
１５ 第２ベルトガイド
１７ 水平ベルト部分
１９ ガイド部分
２０ 側面
２１ チャイルドシート
２３ 自動車シート
２５ 子供
２７ 背部支持面
２９ 座面
３１ 胸部支持面
３２ 胸面
３３ 大腿部
３５ シート（ユニット）
３７ 床
３９ 矢印
４１ 矢印
ａ 鋭角
ｂ 鈍角

Claims (17)

1. 斜行ベルト部分（７）と水平ベルト部分（１７）とを含む乗り物のベルトシステムで子供（２５）を保持するための拘束部材（１）であって、該拘束部材（１）は座面（２９）の上に座る子供（２５）の大腿部の上でほぼ横断方向に延びている、拘束部材において、
   前記拘束部材（１）は斜行ベルト部分（７）に対する第１ベルトガイド（５）を有すること、及び前記水平ベルト部分（１７）は第２ベルトガイド（１５）と協働して該水平ベルト部分（１７）が子供（２５）の大腿部の直上をまたいで延びるようにされていることを特徴とする拘束部材。
2. 前記第２ベルトガイド（１５）は拘束部材（１）に、又はシートに配置されていることを特徴とする、請求項１に記載の拘束部材。
3. 前記第１ベルトガイド及び／又は第２ベルトガイド（５、１５）は、スロット状開口部として形成されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の拘束部材。
4. 前記第１ベルトガイド（５）は、拘束部材（１）の前側（３）に配置されていることを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項に記載の拘束部材。
5. 前記第２ベルトガイド（１５）は、拘束部材（１）の両側（２０、２０’）にそれぞれ配置された２個のガイド部分（１９）を含み、前記２個のガイド部分（１９）の間で前記水平ベルト部分（１７）が自由に案内可能であることを特徴とする、請求項１から４のいずれか１項に記載の拘束部材。
6. 前記第２ベルトガイド（１５）若しくはガイド部分（１９）は、前記第１ベルトガイド（５）と間隔を置いて拘束部材（１）の下側（１３）に配置されていることを特徴とする、請求項１から５のいずれか１項に記載の拘束部材。
7. 前記第１ベルトガイド（５）と前記第２ベルトガイド（１５）は、前記斜行ベルト部分（７）と前記水平ベルト部分（１７）との互いに直角に位置合わせされた案内を生じさせることを特徴とする、請求項１から６のいずれか１項に記載の拘束部材。
8. 前記第２ベルトガイド（１５）の前記スロット状開口部は、拘束部材（１）の使用状態で子供（２５）の大腿部に対して平行に位置合わせされていることを特徴とする、請求項３に記載の拘束部材。
9. 前記第２ベルトガイド（１５）の前記スロット状開口部は、拘束部材（１）の前側（３）に向かって開いていることを特徴とする、請求項３に記載の拘束部材。
10. 前記第１ベルトガイド（５）の前記スロット状開口部は、拘束部材（１）の使用状態で子供（２５）の胸部に対して平行に位置合わせされていることを特徴とする、請求項３に記載の拘束部材。
11. 前記第１ベルトガイド（５）は、拘束部材（１）の両側面（２０、２０’）の間でアーチ形推移を有することを特徴とする、請求項１から１０のいずれか１項に記載の拘束部材。
12. 拘束部材（１）は、座面に対して相対的に調節可能に支持されていることを特徴とする、請求項１から１１のいずれか１項に記載の拘束部材。
13. 拘束部材（１）は、無段階に又は代替として段階的に調節可能であることを特徴とする、請求項１から１２のいずれか１項に記載の拘束部材。
14. 拘束部材（１）は、子供（２５）の胸部に向けられて胸部支承領域を画定するクッションを含むことを特徴とする、請求項１から１３のいずれか１項に記載の拘束部材。
15. 拘束部材（１）は、組み付けた位置で前方に向かって開いた前記第１ベルトガイド（５）の前記スロット状開口部を画定するＵ字形断面の中空体を含むことを特徴とする、請求項３に記載の拘束部材。
16. 拘束部材（１）の下側（１３）は、拘束部材（１）に付属する背部支持面（２７）と共に鋭角（ａ）を包囲することを特徴とする、請求項１から１５のいずれか１項に記載の拘束部材。
17. 前記角度（ａ）は拘束部材（１）を組み付けた状態で拘束部材（１）に付属する座面（２９）の傾きに対応することを特徴とする、請求項１６に記載の拘束部材。

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