JP6495702B2 - 表面処理方法および表面処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液によるアルミニウム材料の表面処理方法、その表面処理方法で用いられる表面処理装置に関する。その表面処理方法および表面処理装置により得られるアルミニウム表面処理材料は、自動車、船舶、航空機等の車両用、特に自動車用パネルに好適に使用される。
自動車産業では、近年、CO排出規制などの地球環境問題から、部材の軽量化による燃費の向上が求められている。アルミニウム材料は、比重が鉄材料の約1/3と軽いため、今まで鉄材料が使用されていた部分に軽量化が求められて置き換わる材料として注目されている。アルミニウム材料としては、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金がその特性に応じて使用されている。
特に、電食の抑制、接合の容易性または剛性の観点から、アルミニウム材料と鉄材料とを併用する場合、アルミニウム材料の接着耐久性を向上させる必要がある。従来、接着耐久性を向上させる技術としては、チタンおよびジルコウニムを含有する処理液によりアルミニウム材料の表面に皮膜を形成させる表面処理方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、金属材料の接着剤塗布前処理方法が提案されている。そして、特許文献1の接着剤塗布前処理方法は、アルミニウム系基材からなる被処理物をジルコニウムフッ素錯体および/またはチタンフッ素錯体を含有する化成処理液により処理する工程(I)と、シランカップリング剤の加水分解重縮合物を含有する表面処理液を塗布する工程(II)とからなる。
特許文献2には、化成処理層を形成するための、アルミニウム合金製の板または条の表面処理方法が提案されている。そして、特許文献2の表面処理方法は、板または条が、熱処理と、それに続く液体での冷却とを有する製造工程に由来し、金属Ti、Zr等を含有する冷却液を用いた化成処理が実施されるものである。
特許文献3には、アルミニウム若しくはアルミニウム含有合金からなる表面を有している部材、異形材、ストリップまたは/および線材の処理方法または前処理方法が提案されている。そして、特許文献3の方法は、アルミニウム若しくはアルミニウム含有合金からなる表面を有している部材等を酸洗い/リン酸塩処理した後に、フッ化チタン、フッ化ジルコニウム等をベースとする不動態化溶液で、すすぐまたは/および不動態化するものである。
また、特許文献1〜3で使用される従来の表面処理装置については、図示しないが、例えば、以下のとおりである。
従来の表面処理装置は、アルミニウム材料の表面に噴射ノズルから処理液が供給される供給装置と、処理液によってアルミニウム材料の表面に形成された皮膜を噴射ノズル等から供給される洗浄液で洗浄する洗浄装置と、洗浄された皮膜を乾燥する乾燥装置と、を備える。そして、アルミニウム材料に供給された処理液は、回収槽によって回収され、循環用流路を介して貯蓄槽に送られ、貯蓄槽から循環用流路を介して再び噴射ノズルに供給される。したがって、従来の表面処理装置では、噴射ノズルから供給される処理液には、供給装置内を循環させた処理液が使用される。
従来の表面処理装置においては、供給装置のすべての噴射ノズルから処理液がアルミニウム材料の表面に供給される。そして、アルミニウム材料は、処理液供給後、直ちに、絞りロールを介して洗浄装置に搬送される。
特開2006−152267号公報 特表2005−530047号公報 特表2003−535220号公報
しかしながら、特許文献1〜3の表面処理方法においては、チタンおよびジルコニウムを含有する処理液でアルミニウム材料の表面処理を行う場合、アルミニウム材料のエッチング反応を伴うため、処理液中にアルミニウムが蓄積される。特に、装置内を循環させた処理液では、蓄積されるアルミニウム量が多量なものとなる。蓄積されたアルミニウムは、アルミニウム材料の表面近傍の処理液のpH上昇を抑制するため、処理液の反応性を低下させる。したがって、アルミニウム蓄積量が高い処理液を使用する場合には、アルミニウム材料の表面にチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜が形成されにくくなり、十分な皮膜量が確保できなくなる。その結果、従来の表面処理方法では、皮膜の接着耐久性が低下するという問題がある。
また、特許文献1〜3の表面処理方法においては、アルミニウム材料の表面に処理液を供給する方法として噴霧または浸漬が使用される。噴霧または浸漬では、アルミニウム材料の表面近傍の処理液は、その一部が反応前の処理液によって置換される。そして、反応前の処理液によって置換されることによって、アルミニウム材料の表面近傍での処理液のpH上昇が抑制されるため、アルミニウム材料の表面にチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜が形成されにくくなる。さらに、前記したように、特許文献1〜3の表面処理方法に使用される表面処理装置では、アルミニウム材料は、処理液供給後、直ちに、洗浄装置に供給される。それゆえ、アルミニウム材料の表面に供給された処理液は、アルミニウム材料との反応が終了する前に洗浄されてしまうため、アルミニウム材料の表面にチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜が形成されにくくなる。その結果、皮膜の接着耐久性が低下するという問題がある。
さらに、特許文献1〜3で使用される従来の表面処理装置においては、貯留槽から噴射ノズルへの処理液の供給にオーバーフロー方式を採用していない場合、装置内を循環させて再使用する処理液ではアルミニウムの蓄積が進み易く、処理液の反応性は急激に低下する。従来の表面処理装置では、処理液の温度を従来よりも高くすること、または、処理液の供給を従来よりも長時間行うことにより皮膜の形成を確保することは可能であるが、生産性およびエネルギーコストおよび環境負荷の観点から適切ではない。
そして、従来の表面処理装置においてオーバーフロー方式を採用している場合であっても、装置内を循環させて再使用する処理液のアルミニウム蓄積量の上昇を抑制する必要がある。そのためには、処理液の更新頻度を従来よりも多くしたり、処理液の置換速度を従来よりも高くする必要があり、生産性およびコストの観点から適正でない。
そこで、本発明は、前記問題を解決すべく創案されたもので、その課題は、装置内を循環させて再使用するアルミニウム蓄積量の高い処理液を使用した場合にも、生産性等を損なうことがなく、優れた接着耐久性を有する皮膜をアルミニウム材料の表面に形成できる表面処理方法および表面処理装置を提供することにある
前記課題を解決するため、本発明に係る表面処理方法は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に供給して接触させる処理液供給工程と、前記処理液の供給を停止して、前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を保持させる処理液保持工程と、前記処理液供給工程および前記処理液保持工程において前記アルミニウム材料の表面に形成された皮膜を水洗する水洗工程と、を含み、前記処理液供給工程における前記処理液が、金属チタン換算量が30〜1000ppmおよび金属ジルコニウム換算量が30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が1600ppm以下であり、前記処理液保持工程における保持時間が、〜10秒であり、前記水洗工程において水洗された前記皮膜は、金属チタン換算量が1〜10mg/m 2 および金属ジルコニウム換算量が1〜10mg/m 2 の少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/m 2 であることを特徴とする。
本発明の表面処理方法は、所定のチタン濃度およびジルコニウム濃度の処理液をアルミニウム材料の表面に供給する処理液供給工程の後に、処理液の供給を停止して、アルミニウム材料の表面に処理液を所定時間保持させる処理液保持工程を含むことによって、アルミニウム材料の表面近傍で処理液の一部が反応前の処理液で置換されることがないため、処理液のpHが上昇し、反応性が向上する。それにより、アルミニウム材料表面での皮膜形成が促進され、形成された皮膜によって接着耐久性が向上する。また、本発明の表面処理方法は、アルミニウム材料の表面に形成された皮膜が、所定の金属チタン換算量および金属ジルコニウム換算量であることによって、皮膜の接着耐久性が向上する。
また、処理液の反応性の向上により、処理液のアルミニウム蓄積量の限度を高くすることが可能となるため、処理液の更新頻度を少なくできる。また、処理液供給工程における処理液の置換速度、具体的には、噴霧によって処理液を供給する場合には処理液の流量を下げることができ、浸漬によって処理液を供給する場合には処理液中でのアルミニウム材料の移動速度を上げることができる。それにより、アルミニウム材料の表面処理における生産性が向上し、製造コストを下げることができる。
本発明に係る表面処理装置は、アルミニウム材料の表面にチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜を形成する処理装置と、前記処理装置で形成される前記皮膜を水洗する水洗装置と、を備え、前記処理装置は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液を前記アルミニウム材料の表面に供給して接触させる供給部と、前記処理液を、その供給が停止された状態で、前記アルミニウム材料の表面に保持させる保持部と、を備え、前記供給部における前記処理液が、金属チタン換算量が30〜1000ppmおよび金属ジルコニウム換算量が30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が1600ppm以下であり、前記保持部における保持時間が、〜10秒であり、前記水洗装置において水洗された前記皮膜は、金属チタン換算量が1〜10mg/m 2 および金属ジルコニウム換算量が1〜10mg/m 2 の少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/m 2 であることを特徴とする。また、本発明の表面処理装置は、前記アルミニウム材料がアルミニウム板であり、前記アルミニウム板を通板させながら前記処理装置および前記水洗装置による処理が行われることが好ましい。
本発明の表面処理装置は、所定のチタン濃度およびジルコニウム濃度の処理液を、その供給が停止された状態で、前記アルミニウム材料の表面に所定時間保持させる保持部を備えることによって、アルミニウム材料の表面近傍での処理液の一部が反応前の処理液で置換されることがないため、処理液のpHが上昇し、反応性が向上する。それにより、アルミニウム材料表面での皮膜形成が促進され、形成された皮膜によって接着耐久性が向上する。また、本発明の表面処理装置は、アルミニウム材料の表面に形成された皮膜が、所定の金属チタン換算量および金属ジルコニウム換算量であることによって、皮膜の接着耐久性が向上する。また、処理液の反応性の向上により、処理液のアルミニウム蓄積量の限度を高くすることが可能となるため、アルミニウム材料の表面処理における生産性が向上し、製造コストを下げることができる。
本発明の表面処理方法および表面処理装置によれば、装置内を循環させて再使用するアルミニウム蓄積量の高い処理液を使用した場合にも、生産性等を損なうことがなく、優れた接着耐久性を有する皮膜をアルミニウム材料の表面に形成できる。なお、本発明の表面処理方法は、アルミニウム材料と処理液との局所的な反応を促進するものであり、形成される皮膜の結合形態は従来の表面処理方法と同様である。そのため、本発明の表面処理方法では、皮膜が本来持つ性能を損なうことなく、皮膜の接着耐久性を向上させることができる。
本発明のアルミニウム表面処理材料によれば、皮膜の接着耐久性が優れたものとなる。
本発明に係る表面処理方法の工程を模式的に示す図である。 本発明の表面処理方法で使用される表面処理装置を模式的に示す図である。 本発明に係るアルミニウム表面処理材料の構成を模式的に示す断面図である。 アルミニウム表面処理材料の接着性評価試験の手順を模式的に示す図である。
本発明に係る表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料の実施形態について説明する。
まず、本発明の表面処理方法で用いられる表面処理装置について、噴霧によって処理液を供給する表面処理装置を例に挙げて説明する。
図2に示すように、表面処理装置23は、処理装置11と、水洗装置19と、を備える。また、表面処理装置23は、さらに乾燥装置22を水洗装置19の後方に備えていてもよい。以下、各構成につて説明する。
(処理装置)
処理装置11は、搬入ロール20によって搬入されるアルミニウム材料1の表面に、チタンおよびジルコニウムを含有する皮膜2(図3参照)を形成する装置である。ここで、アルミニウム材料1はアルミニウム板であって、このアルミニウム板を通板させながら皮膜2を形成することが好ましい。処理装置11は、アルミニウム材料1の表面にフッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液5を供給する供給部11Aと、供給された処理液5をアルミニウム材料1の表面に保持させる保持部11Bとを備える。また、処理装置11は、供給部11Aにおける処理液が、チタン濃度が30〜1000ppmおよびジルコニウム濃度が30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、チタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が1600ppm以下であり、保持部11Bにおける保持時間が、1〜10秒である。なお、チタン濃度、ジルコニウム濃度および保持時間については、後記する本発明の表面処理方法で説明する。
供給部11Aは、アルミニウム材料1の表面に処理液5を噴霧する噴射ノズル4と、噴射ノズル4に送出する処理液5を貯留する貯留槽8と、アルミニウム材料1の表面に供給された処理液5を回収する回収槽6と、回収された処理液5を貯留槽8および噴射ノズル4に循環させる循環流路9およびポンプ7とを備える。
噴射ノズル4は、移動するアルミニウム材料1の上下に所定の空間を有するように配置される。そして、噴射ノズル4は、アルミニウム材料1の表面に処理液5を均一に噴霧するため、アルミニウム材料1の長さ方向、すなわち、移動方向に複数配置することが好ましい。また、噴射ノズル4は、移動方向だけでなく、アルミニウム材料1の幅方向にも複数配置することがさらに好ましい。また、噴射ノズル4は、移動するアルミニウム材料1の片面のみに皮膜2を形成する場合には、アルミニウム材料1の上方および下方のいずれか一方にのみ配置される。
なお、供給部11Aは、噴射ノズル4の前の循環流路9に、処理液5中に蓄積されたアルミニウムを除去するフィルタ10を備えてもよい。また、貯留槽8から循環流路9への処理液5の送出は、処理液5中のアルミニウム量を少なくするために、オーバーフロー形式を用いることが好ましい。
保持部11Bは、処理液5が供給されたアルミニウム材料1の状態を保持させる領域である。ここでは、保持部11Bは、供給部11Aと水洗装置19との間の間隔を空けるように形成された移動空間部Sとして構成されている。また、保持部11Bは、予め設定した時間の間、アルミニウム材料1に処理液5あるいは水洗装置19の水が供給されないように間隔が空けられた移動空間部Sとしている。なお、保持部11Bは、図面では、供給部11Aに連続して形成され、移動するアルミニウム材料1の上下に配置されて処理液5の噴射が停止された状態の噴射ノズル4と、噴射された処理液5を表面に保持したアルミニウム材料1が移動する移動空間部Sとを備える。この保持部11Bは、供給部11Aに連続して形成され、図示しないが、アルミニウム材料1の表面への処理液5の供給を停止するために、噴射ノズル4が配置されない形態、または、噴射ノズル4とアルミニウム材料1との間に遮蔽部を配置した形態であってもよい。
(水洗装置)
水洗装置19は、処理装置11から絞りロール21を介して搬入されるアルミニウム表面処理材料3を水洗する装置である。この水洗装置19は、保持部11Bに連続して設置されている。そして、水洗装置19では、処理装置11においてアルミニウム材料1の表面に形成された皮膜2(図3参照)が水洗される。ここで、アルミニウム材料1はアルミニウム板であって、このアルミニウム板を通板させながら皮膜2を水洗することが好ましい。水洗装置19は、従来公知の装置が用いられ、例えば、アルミニウム材料1の上下に配置された噴射ノズル(図示せず)から噴射される水によって皮膜2を洗浄する装置である。
(乾燥装置)
乾燥装置22は、水洗装置19に隣り合って、あるいは、所定の間隔を空けて設置され、洗浄された皮膜2を乾燥する装置である。この乾燥装置22は、従来公知の乾燥装置が用いられ、例えば、ドライヤ乾燥等の乾燥装置が用いられる。
以上のように構成された表面処理装置23は、アルミニウム材料1が搬入ロール20によって搬入される経路において、従来公知のアルカリ洗浄装置、水洗装置、酸洗装置、水洗装置を処理装置11の前方にさらに備えていてもよい(図示せず)。このアルカリ洗浄装置、水洗装置、酸洗装置、水洗装置は、アルミニウム材料1の作製時に、表面に残存する油分、アルミニウム材料1の表面に形成されるアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜を除去するための装置である。
表面処理装置23では、噴霧によって処理液を供給する表面処理装置について説明したが、浸漬によって処理液を供給する表面処理装置でも同様な構成を備える。図示しないが、浸漬による表面処理装置は、前記の表面処理装置23と同様に、処理装置、水洗装置、乾燥装置を備える。
浸漬による表面処理装置は、処理装置が、アルミニウム材料を浸漬するための処理液を貯留する処理槽からなる供給部と、浸漬によって付着した処理液を表面に保持したアルミニウム材料が移動する移動空間部からなる保持部とを備える点で前記表面処理装置23と相違する。しかしながら、浸漬による表面処理装置では、水洗装置および乾燥装置の構成は前記表面処理装置23と同様である。また、浸漬による表面処理装置は、従来公知のアルカリ洗浄装置、水洗装置、酸洗浄装置、水洗装置を、アルミニウム材料1の搬入経路において、処理装置の前方にさらに備えていてもよい。
次に、本発明に係る表面処理方法について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の表面処理方法は、処理液供給工程S5と、処理液保持工程S6と、水洗工程S7とを含むことを特徴とする。
また、本発明の表面処理方法は、処理液供給工程S5の前にアルカリ洗浄工程S1と、水洗工程S2と、酸洗浄工程S3と、水洗工程S4とを含み、水洗工程S7の後に乾燥工程S8を含むものであってもよい。以下、各工程について、具体的に説明する。なお、本発明の表面処理方法で得られるアルミニウム表面処理材料の構成については、一例として図3を参照する。
(アルカリ洗浄工程)
アルカリ洗浄工程S1は、アルミニウム材料1の表面をアルカリで洗浄することによって、アルミニウム材料1の表面に残存する油分を除去する工程である。ここで、油分は、アルミニウム材料1を作製する際に、アルミニウム材料1の表面に付着した潤滑油等である。また、アルカリ洗浄装置またはアルカリ洗浄条件については、アルミニウム材料1の搬入経路に沿って設けられる従来公知の装置、または、従来公知の条件が用いられる。なお、アルミニウム材料1の表面に残存する油分の付着量が無視できる場合には、アルカリ洗浄工程S1を省略することが可能である。
(水洗工程)
水洗工程S2は、アルミニウム材料1の表面を水洗することによって、アルミニウム材料1の表面に残存するアルカリを除去する工程である。また、水洗装置または水洗条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、前記アルカリ洗浄工程S1を省略した際には、水洗工程S2を省略することができる。
(酸洗浄工程)
酸洗浄工程S3は、アルミニウム材料1の表面を酸で洗浄することによって、アルミニウム材料1の表面に残存するアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜を除去する工程である。ここで、アルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜は、アルミニウム材料1を作製する際に、アルミニウム材料1の表面に形成される酸化皮膜である。また、酸洗浄装置または酸洗浄条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、アルミニウム材料1の表面に残存するアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜の皮膜量が無視できる場合には、酸洗浄工程S3を省略することが可能である。
(水洗工程)
水洗工程S4は、アルミニウム材料1の表面を水洗することによって、アルミニウム材料1の表面に残存する酸を除去する工程である。また、水洗装置または水洗条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、前記酸洗浄工程S3を省略した際には、水洗工程S4を省略することができる。
(処理液供給工程)
処理液供給工程S5は、フッ化チタン化合物を含有する処理液、フッ化ジルコニウム化合物を含有する処理液、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物を含有する処理液の少なくとも1種の処理液を、アルミニウム材料1の表面に供給して接触させる工程である。また、処理液の供給は、例えば図2に示す噴射ノズル4による噴霧、または、図示しない浸漬によって行うことが好ましい。そして、供給された処理液はアルミニウム材料1と反応して、アルミニウム材料1の表面にチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜2を形成する。
ここで、フッ化チタン化合物とは、例えば、KTiF、(NHTiF等のフルオロチタネート、HTiF等のフルオロチタネート酸、TiF(フッ化チタン)等である。フッ化ジルコニウム化合物とは、例えば、KZrF、(NHZrF等のフルオロジルコネート、HZrF等のフルオロジルコネート酸、ZrF(フッ化ジルコニウム)等である。
処理液供給工程S5における供給装置および供給条件は、従来の表面処理装置および処理条件を用いることができる。しかしながら、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液は、チタン濃度が金属チタン換算量で30〜1000ppmおよびジルコニウム濃度が金属ジルコニウム換算量で30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、チタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が1600ppm以下の水溶液を用いる必要がある。このようなチタン濃度およびジルコニウム濃度を有する処理液を用いることによって、形成された皮膜2は、チタン皮膜量が金属チタン換算量で1〜10mg/mおよびジルコニウム皮膜量が金属ジルコニウム換算量で1〜10mg/mの少なくとも一方を満足し、かつ、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとなり、皮膜2の接着耐久性が向上する。
処理液のチタン濃度が30ppm未満であると、十分なチタン皮膜量が得られない。チタン濃度が1000ppmを超えると、チタン皮膜量が過剰になると共に、ジルコニウム皮膜量の減少につながり易くなる。また、処理液の製造コストアップにもつながる。処理液は、接着耐久性を向上させる観点から、チタン濃度の下限値が50ppm、チタン濃度の上限値が400ppmであることが好ましい。
処理液のジルコニウム濃度が30ppm未満であると、十分なジルコニウム皮膜量が得られない。ジルコニウム濃度が1000ppmを超えると、ジルコニウム皮膜量が過剰になると共に、チタン皮膜量の減少につながり易くなる。また、処理液の製造コストのアップにもつながる。処理液は、接着耐久性を向上させる観点から、ジルコニウム濃度の下限値が50ppm、ジルコニウム濃度の上限値が400ppmであることが好ましい。さらに、処理液のチタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が1600ppmを超えると、形成された皮膜2の再溶解反応が生じ、皮膜2が脆くなる。
本発明の表面処理方法においては、後記する処理液保持工程S6を行うことによって、処理液保持工程S6でも皮膜2が形成され、十分な皮膜量が確保される。したがって、処理液供給工程S5で供給される処理液として、装置内を循環させて再使用するアルミニウム蓄積量の高い処理液を用いることが可能となる。具体的には、アルミニウム蓄積量が1000ppmまでの処理液を用いることができる。
処理液のアルミニウム材料1への供給時間、具体的には処理液の供給が噴霧の場合、噴霧時間は、アルミニウム材料1の移動速度および処理液の流量によって異なるが、通常の移動速度(例えば、30m/分以上)および流量(例えば、100m/時間)においては1〜30秒であることが好ましい。処理液の供給が浸漬の場合、浸漬時間は、アルミニウム材料1の移動速度によって異なるが、通常の移動速度(例えば、30m/分以上)においては1〜30秒であることが好ましい。また、処理液のpHを2.0〜4.5に調整するために硝酸、アンモニア水溶液などを添加してもよい。さらに、処理液の処理温度は20〜70℃であることが好ましい。供給時間が下限値未満、pHが上限値超え、処理温度が下限値未満であると、アルミニウム材料1のエッチングが不十分となり、不均一な皮膜2を生じ易くなる。また、供給時間が上限値超え、pHが下限値未満、処理温度が上限値超えであると、アルミニウム材料1のエッチングが過剰となり、皮膜2の形成が促進されにくくなり、処理液の供給効果がなくなる。
(処理液保持工程)
処理液保持工程S6は、処理液の供給を停止して、アルミニウム材料1、または、処理液供給工程S5で形成された皮膜2の表面に処理液を保持させる工程である。そして、処理液を保持させることによって、アルミニウム材料1の表面に処理液が付着した状態が保持され、処理液とアルミニウム材料1または皮膜2との反応が完了して十分な皮膜量の皮膜2が確保される。具体的には、保持された結果、皮膜2は、チタン皮膜量が金属チタン換算量で1〜10mg/mおよびジルコニウム皮膜量が金属ジルコニウム換算量で1〜10mg/mの少なくとも一方を満足し、かつ、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとなる。その結果、皮膜2の接着耐久性が向上する。
処理液の保持時間は1〜10秒である。ここで、保持時間とは、移動するアルミニウム材料1のある点が、処理液が供給される位置から次工程の水洗工程S7の直前の位置まで移動するのに要する時間である。保持時間は、アルミニウム材料1の移動速度によって異なるが、通常の移動速度(例えば、30m/分以上)においては1〜10秒である。
保持時間が1秒未満であると、保持による反応促進が十分に開始されず、処理液とアルミニウム材料1または皮膜2との反応が完了しないため、皮膜2の皮膜量が十分なものとならず、具体的には、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が3mg/m未満となる。その結果、皮膜2の接着耐久性が低下する。また、保持時間が10秒を超えると、保持による反応促進効果が低下すると共に、処理液とアルミニウム材料1または皮膜2との反応が過剰となり、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が17mg/m超えとなる。その結果、皮膜2の接着耐久性が低下する。通常の量産設備では意図的に保持時間を設けなければ、アルミニウム材料1の移動速度を約30m/分以下としなければ1秒の保持時間は確保されず、生産性に劣る。
(水洗工程)
水洗工程S7は、アルミニウム材料1の表面に形成された皮膜2を水洗することによって、皮膜2の表面に残存する処理液を除去する工程である。また、水洗装置または水洗条件については、シャワーあるいは浸漬槽等の従来公知の装置または条件が用いられる。
(乾燥工程)
乾燥工程S8は、水洗された皮膜2を乾燥する工程である。また、乾燥装置または乾燥条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。
次に、本発明の表面処理方法で得られるアルミニウム表面処理材料について説明する。
図3に示すように、アルミニウム表面処理材料は、アルミニウム材料1と、アルミニウム材料1の表面に形成された皮膜2とを備える。ここで、アルミニウム材料1の表面とは、アルミニウム材料1の少なくとも一面を意味し、いわゆる片面、両面または複数の面が含まれる。以下、各構成について説明する。
(アルミニウム材料)
アルミニウム材料1は、コイル状またはシート状のアルミニウム板、鋳物または押し出し加工材の形状で提供され、好ましくはアルミニウム板である。アルミニウム材料1を構成するアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金が好ましい。Al−Mg系合金はJIS規定の5000系合金であり、Al−Mg−Si系合金はJIS規定の6000系合金である。
アルミニウム材料1の厚さは、0.7〜3.0mmである。厚さが0.7mm未満であると強度不足になり、厚さ3.0mmを超えると製造コストアップにつながる。アルミニウム材料1の厚さは、強度の観点から0.8mm以上が好ましく、製造コストの観点から2.3mm以下が好ましい。
(皮膜)
皮膜2は、所定量のチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜である。そして、皮膜2におけるチタンは、チタン酸化物およびチタンフッ化物の少なくとも一方であることが好ましい。皮膜2におけるジルコニウムは、ジルコニウム酸化物およびジルコニウムフッ化物の少なくとも一方であることが好ましい。また、皮膜2は、チタンおよびジルコニウムのほかに、残部がアルミニウムおよび不純物からなる。ここで、残部のアルミニウムにはアルミニウム酸化物、アルミニウムフッ化物等が含まれる。
皮膜2は、チタン皮膜量が金属チタン換算量で1〜10mg/mおよびジルコニウム皮膜量が金属ジルコニウム換算量で1〜10mg/mの少なくとも一方を満足し、かつ、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとする。これにより、皮膜2の水、酸素、塩化物イオンなどの劣化因子に対する安定性が増し、湿潤環境におけるアルミニウム材料1の表面における水和が抑制される。その結果、皮膜2の接着耐久性が向上する。
皮膜2のチタン皮膜量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、チタン皮膜量が10mg/m超えであると前記の効果が飽和し製造コストアップとなり、また、接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和を抑制する観点からチタン皮膜量の下限値は2mg/mが好ましく、皮膜2の製造コストアップおよび皮膜内部の破壊を抑制する観点から、チタン皮膜量の上限値は8mg/mが好ましい。
皮膜2のジルコニウム皮膜量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、ジルコニウム皮膜量が10mg/m超えであると前記の効果が飽和し製造コストアップとなり、また、接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和を抑制する観点から、ジルコニウム皮膜量の下限値は2mg/mが好ましく、皮膜2の製造コストアップおよび皮膜内部の破壊を抑制する観点から、ジルコニウム皮膜量の上限値は8mg/mが好ましい。
皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量は、3mg/m未満では、アルミニウム材料1の表面における水和の抑制効果が十分でなく、17mg/mを超えると接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和抑制する観点から、皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量の下限値は5mg/mが好ましく、接着時の皮膜内部の破壊を抑制する観点から、皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量の上限値は15mg/mが好ましい。
皮膜2の厚さは、チタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量が所定量であれば特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。皮膜2の厚さが10nm未満であると接着耐久性が維持し難くなり、皮膜2の厚さが150nmを超えると接着耐久性が飽和し製造コストアップになり易い。
皮膜2のチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量は、蛍光X線(XRF:X−ray Fluorescence Analysis)によって測定することが可能である。また、皮膜2の厚さは、グロー放電発光分析装置(GD−OES:Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy)によって測定することが可能である。また、皮膜量および厚さの測定法は、XRF、GD−OESに限定されず、前記測定法と同精度を持つ測定法であればよい。
次に、本発明の表面処理方法およびアルミニウム表面処理材料について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
まず、JIS規定の6016系合金を用いて、厚さ1.0mmのアルミニウム板を作製した。このアルミニウム板をアルカリ脱脂、水洗し、次いで酸洗浄、水洗した。洗浄されたアルミニウム板に表1に示すアルミニウム濃度、チタン濃度およびジルコニウム濃度の処理液(温度50℃)を所定時間噴霧した。次いで、処理液の噴霧を停止して、板表面に処理液を所定時間保持した。その後、水洗および乾燥することによって、アルミニウム表面処理材料(No.1〜22)を作製した。
なお、処理液としては、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を含有するpH3の水溶液を使用した。また、処理液には、循環させて再使用する処理液を模擬するため、アルミニウム化合物として硝酸アルミニウムを含有させた。
作製したアルミニウム表面処理材の皮膜におけるチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量を、蛍光X線(XRF)により測定した。その結果を表1に示す。
次に、作製したアルミニウム表面処理材を用いて、図4に示すような下側試験片31と上側試験片33とを接着剤32を介して接合した接着試験体34を作製した。この接着試験体34を用いて、以下の接着耐久性試験を行った。接着試験体34の具体的な作製方法は、次のとおりである。
図4に示すように、下側試験片31と上側試験片33とを、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤32(サンスター技研株式会社製、ペンギンセメント#1086)によりラップ長10mm(接着面積:25mm×10mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。このとき、接着剤32の厚さが100μmとなるようにガラスビーズ(粒径100μm)を接着剤32に添加して調節した。その後、170℃×20分で焼付、硬化した。その後、室温で24時間静置して接着試験体34とした。
(接着耐久性試験)
作製した接着試験体34を中性塩水噴霧中で10日間保持した後、下側および上側試験片31、33の未接着の部位を掴み、10mm/minの速度でせん断引張り試験を行った。下側および上側試験片31、33が剥離した際の強度を接着強度とし、その結果を表1に示す。なお。各接着試験体34は2本ずつ作製し、接着強度は2本の平均値とした。
次に、引張り試験後の接着試験体34の剥離状態を観察し、接着剤32の内部での破壊を凝集破壊、下側試験片31と接着剤32との界面、および、上側試験片33と接着剤32との界面での剥離を界面破壊とし、下式(1)で破壊形態の指標としての凝集破壊率を算出した。
凝集破壊率(%)=100−{(下側試験片31の界面剥離面積/下側試験片31の接着面積)×100+(上側試験片33の界面剥離面積/上側試験片33の接着面積)×100)}・・・(1)
なお、各接着試験体34は2本ずつ作製し、凝集破壊率は2本の平均値とした。また、破壊形態の評価基準は、凝集破壊率が90%未満を不良「×」、90%以上を良好「○」とした。その結果を表1に示す。
Figure 0006495702
表1に示すように、参考例および実施例であるアルミニウム表面処理材料(No.1〜15)では、アルミニウム板への所定濃度の処理液の噴霧後に所定時間の保持を行っているため、処理液中にアルミニウムを800ppm含有していても、所定のチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量を確保できている。その結果、皮膜の接着耐久性が優れていた。
一方、比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.16)は、処理液のチタン濃度が上限値超え、ジルコニウム濃度が下限値未満であるため、チタン皮膜量が上限値超え、ジルコニウム皮膜量が下限値未満となった。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.17)は、処理液のチタン濃度が下限値未満、ジルコニウム濃度が上限値超えであるため、チタン皮膜量が下限値未満、ジルコニウム皮膜量が上限値超えとなった。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.18)は、処理液のチタン濃度が下限値未満、ジルコニウム濃度が下限値未満であるため、ジルコニウム皮膜量が下限値未満、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が下限値未満となった。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.19)は、処理液のチタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が上限値超えであるため、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が上限値超えとなった。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.20)は、アルミニウム板への処理液の噴霧後の保持時間が長いため、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が上限値を超えた。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.21、22)は、アルミニウム板への処理液の噴霧後に保持を行っていない、もしくは保持時間が短いため、チタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量が下限値未満であった。その結果、皮膜の接着耐久性が実施例と比較して劣っていた。
以上、本発明に係る表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
S1 アルカリ洗浄工程
S2 水洗工程
S3 酸洗浄工程
S4 水洗工程
S5 処理液供給工程
S6 処理液保持工程
S7 水洗工程
S8 乾燥工程
1 アルミニウム材料
2 皮膜
3 アルミニウム表面処理材料
11 処理装置
11A 供給部
11B 保持部
19 水洗装置
22 乾燥装置
23 表面処理装置

Claims (3)

  1. フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に供給して接触させる処理液供給工程と、
    前記処理液の供給を停止して、前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を保持させる処理液保持工程と、
    前記処理液供給工程および前記処理液保持工程において前記アルミニウム材料の表面に形成された皮膜を水洗する水洗工程と、を含み、
    前記処理液供給工程における前記処理液が、金属チタン換算量が30〜1000ppmおよび金属ジルコニウム換算量が30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が1600ppm以下であり、
    前記処理液保持工程における保持時間が、〜10秒であり、
    前記水洗工程において水洗された前記皮膜は、金属チタン換算量が1〜10mg/m 2 および金属ジルコニウム換算量が1〜10mg/m 2 の少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/m 2 であることを特徴とする表面処理方法。
  2. アルミニウム材料の表面にチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜を形成する処理装置と、前記処理装置で形成される前記皮膜を水洗する水洗装置と、を備え、
    前記処理装置は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液を前記アルミニウム材料の表面に供給して接触させる供給部と、前記処理液を、その供給が停止された状態で、前記アルミニウム材料の表面に保持させる保持部と、を備え、
    前記供給部における前記処理液が、金属チタン換算量が30〜1000ppmおよび金属ジルコニウム換算量が30〜1000ppmの少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が1600ppm以下であり、
    前記保持部における保持時間が、〜10秒であり、
    前記水洗装置において水洗された前記皮膜は、金属チタン換算量が1〜10mg/m 2 および金属ジルコニウム換算量が1〜10mg/m 2 の少なくとも一方を満足し、かつ、金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/m 2 であることを特徴とする表面処理装置。
  3. 前記アルミニウム材料がアルミニウム板であり、前記アルミニウム板を通板させながら前記処理装置および前記水洗装置による処理が行われることを特徴とする請求項2に記載の表面処理装置。
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