JP6494092B2 - 多価カルボン酸樹脂、それを用いた熱硬化性樹脂組成物、およびその熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した光半導体装置 - Google Patents

多価カルボン酸樹脂、それを用いた熱硬化性樹脂組成物、およびその熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、硬化物のガラス転移温度を十分高めることができ、成形性に優れ、低粘度であるLED反射材用熱硬化性樹脂用硬化剤、それを用いたLED反射材用熱硬化性樹脂組成物、および、かかる熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した光半導体装置に関する。
熱硬化性樹脂組成物を半導体用反射材として利用したりする場合、熱硬化性樹脂組成物が光半導体の発する光を吸収すると光半導体の照度が低下するため、熱硬化性樹脂組成物は高い透過率を有し、着色の少ないものが望ましい。したがって、熱硬化性樹脂組成物に配合される硬化剤にも、高い透過率と着色の少ないことが要求される。また、耐熱性、成型性、信頼性の観点から、硬化物のガラス転移温度が一定温度以上であること重要であり、成形性の観点から硬化剤の軟化点や粘度についても一定の範囲にあることが重要である。
熱硬化性樹脂用硬化剤として使用される酸無水物は、揮発性があること、また低融点であることから、金型成形には向かないことが問題となっていた。
テトラカルボン酸無水物については、高融点(150℃以上)であるため、液状樹脂組成物としては扱い難く、成形性に劣ることから、液状の樹脂を成形させる用途への使用の困難さを考慮すると、本発明の目的とする用途には向かない。
カルボン酸をエポキシ樹脂用硬化剤として使用する例も知られているが、比較的融点が高く(150℃以上)上記と同様の課題があり、それだけでなく加熱すると着色しやすいため高い透過率を確保することが極めて困難であることから本発明の目的とする用途には向かない。
同様に、ポリカルボン酸化合物についても、高融点(150℃以上)であること、結晶性が高く樹脂混練が難しいこと、また着色があることが問題となり本発明の目的とする用途では使用できない。
そのため、従来知られている材料として、上記課題を解決できる化合物を見出せていなかった。
国際公開第2005/049597号 国際公開第2005/121202号
硬化物のガラス転移温度を十分高めることができ、成形性に優れ、低粘度である多価カルボン酸樹脂、それを用いた熱硬化性樹脂組成物、および、かかる熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した半導体装置を提供する。
本発明により、硬化物の十分なガラス転移温度を有し、成形性に優れ、低粘度である多価カルボン酸樹脂、それを用いた熱硬化性樹脂組成物、およびその熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した光半導体装置を提供できる。さらに、軟化点を抑えることで取扱いが容易になるとともに、十分な混練が可能となり硬化物性に優れる硬化物を提供することが可能となる。また硬化物の強靭性、樹脂の反応性にも優れた熱硬化性樹脂組成物を提供できる。
本発明は、多価カルボン酸樹脂を含有させることで、硬化物とした際に十分なガラス転移温度を有し、成形性に優れ、低粘度であるLED反射材用熱硬化性樹脂組成物を見出したものである。
即ち、本願発明は下記(1)〜(9)に関する。
(1)水酸基当量が20〜170g/eq.であるアルコール化合物(A)と酸無水物化合物(B)を反応させて得られる多価カルボン酸樹脂を含有することを特徴とするLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(2)請求項1記載のアルコール化合物(A)が、トリシクロデカンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ジトリメチロールプロパン、スピログリコール、ジオキサングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、EO変性グリセロール、PO変性グリセロール、ジペンタエリスリトール、下記式(1)で表される多価アルコールからなる群から選択される1種類以上のアルコールである(1)記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(3)(1)記載の酸無水物化合物(B)が、下記式(5)および/または下記式(5A)
(式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、カルボキシル基を表す。)
(式(5A)中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはカルボキシル基を表す。)
で表される酸無水物化合物であることを特徴とするLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(4)(1)記載のアルコール化合物の融点が50℃〜250℃の範囲にあることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多価カルボン樹脂及び、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物とを含む熱硬化性樹脂用硬化剤であり、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸、ジエチルグルタル酸ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物の合計が、熱硬化性樹脂組成物に占める割合が1重量%〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(6)さらに熱硬化性樹脂を含有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(7)前記熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物のガラス転移温度(Tg)が30℃以上である、(6)に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
(8)(6)又は(7)のいずれかに記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなる硬化物。
(9)(8)に記載の硬化物を反射材として使用した光半導体装置。
本発明により得られる熱硬化性樹脂組成物を反射材として使用した場合の概略図である
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、多価カルボン酸樹脂として、水酸基当量が20〜170g/eq.であるアルコール化合物(A)と酸無水物化合物(B)を反応させて得られる多価カルボン酸樹脂を使用する。水酸基当量が20〜170g/eq.であるアルコール化合物であれば、公知のものを特に限定することなく使用することができるが、具体例としてはトリシクロデカンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ジトリメチロールプロパン、スピログリコール、ジオキサングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、EO変性グリセロール、PO変性グリセロール、ジペンタエリスリトール、下記式(1)で表される多価アルコール等が挙げられる。
水酸基の官能基当量が一定範囲であるアルコール化合物(A)として、水酸基当量は30〜100g/eq.であることが好ましく、50〜90g/eq.であることがより好ましく、70〜90であることが極めて好ましい。
このように、水酸基当量が一定範囲のアルコール(A)を使用することで、ガラス転移温度が高く、粘度が低い熱硬化性樹脂組成物を実現することが可能となる。
式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、イソヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられるが、得られる硬化物の耐熱透明性の観点からメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
式(1)中、複数存在するRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても構わない。
式(1)で表される化合物の中でも、下記式(2)〜(4)で表される化合物が、硬化物の透明性、ガスバリア性の観点から好ましい。
本発明においては、使用するアルコール化合物(A)は、液状であっても固形であってもよい。アルコールが固形の場合には、軟化点が180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。軟化点が180℃より高いと、混練の際に硬化反応が急速に進んでしまい、十分に均一な組成物が得られないためである。
また、アルコール化合物(A)の融点としては50〜250℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、100〜140℃が特に好ましく、120〜140℃が極めて好ましい。
さらに、アルコール化合物(A)は3官能以上であることが好ましく、3官能又は4官能であることがより好ましく、3官能であることが特に好ましい。
次に本発明の多価カルボン酸樹脂においては、酸無水物化合物(B)を反応させる。反応させる酸無水物化合物(B)は、官能基当量が250g/eq.以下であることが好ましく、240g/eq.以下であることがより好ましい。このような範囲であることで、耐熱性に優れた硬化物を得ることが可能となる。
好適な酸無水物化合物としては、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられる。
無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が存在すると架橋密度の高い硬化物が得られるため、高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。
無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸のうち、着色しにくさの点で、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸がさらに好ましい。
シクロヘキサントリカルボン酸無水物としては、シクロヘキサン‐1、2、4‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が、シクロヘキサン‐1、2、3‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が挙げられる。本発明では、これらの酸無水物を組み合わせて使用することもできるが、シクロヘキサン‐1、2、4‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が好ましい。
さらに、中でも、下記式(5)または下記式(5A)で表される化合物が好ましい。
式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はカルボキシル基を表す。
式(5)で表される化合物のうち、下記(6)〜(8)で表される化合物が特に好ましい。
式(5A)中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはカルボキシル基を表す。)
式(5A)で表される化合物のうち、下記(9)〜(10)で表される化合物が特に好ましい。
本発明の多価カルボン酸樹脂の製造は、溶媒中でも無溶剤でも行うことができる。溶剤としては、前述の水酸基当量が50〜250g/eq.のアルコール化合物(A)と酸無水物化合物(B)と反応しない溶剤であれば特に制限なく使用できる。使用しうる溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルの様な非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が挙げられ、これらの中で、芳香族炭化水素やケトン類が好ましい。
これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。溶剤を用いる場合の使用量は、前述の水酸基当量が50〜250g/eq.のアルコール化合物(A)と酸無水物化合物(B)の合計100質量部に対して、0.5〜300質量部が好ましい。
本発明の多価カルボン酸樹脂は室温(25℃)にて固体であることが多いため、溶剤中で合成することが作業性の観点から好ましい。
本発明の多価カルボン酸樹脂は無触媒でも、触媒を用いても製造する事ができる。触媒を用いる場合、用い得る触媒は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラメチル等のオルトチタン酸類、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム等の金属石鹸類が挙げられる。
触媒を用いる場合、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
触媒を用いる場合の使用量は、前述の水酸基当量が50〜250g/eq.のアルコール化合物(A)と酸無水物化合物の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましい。
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。この際、メタノール、エタノール等のアルコール性の溶媒や水を用いることは、未反応の、酸無水物化合物と反応してしまうため、避けることが好ましい。
本発明においては、得られる熱硬化性樹脂組成物(C)の硬化物において、透明性、耐熱透明性を向上させる観点からはオクチル酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛を触媒として好ましく使用することができ、得られる多価カルボン酸樹脂又は熱硬化性樹脂組成物(C)の着色を低減させる観点からは無触媒で反応を行うことが好ましい。
中でも、透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸カルシウム、カルボン酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物が好ましく使用できる。
本発明の多価カルボン酸樹脂の製造時の反応温度は、触媒量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜145℃である。又、反応時間の総計は通常1〜20時間、好ましくは3〜18時間である。反応は2段階以上で行なっても良く、例えば20〜100℃で1〜8時間反応させた後に、100〜160℃で1〜12時間などで反応させても良い。これは特に無水物化合物は揮発性の高いものが多く、そのようなものを用いる場合、あらかじめ20〜100℃で反応させた後に、100〜160℃で反応させることで、揮発を抑えることができる。これにより、大気中への有害物質の拡散を抑制するだけでなく、設計どおりの多価カルボン酸樹脂を得ることができる。
触媒を用いて製造を行なった場合は必要に応じてクエンチ、および/又は水洗を行なうことで触媒を除くことができるが、そのまま残存させ、多価カルボン酸樹脂および/又は熱硬化性樹脂組成物(C)を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として利用することもできる。
水洗工程を行なう場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。
反応や水洗に溶剤を用いた場合、減圧濃縮などによって除くことができる。
製造された本発明の多価カルボン酸樹脂の酸価(JIS K−2501に記載の方法で測定)は150〜415mgKOH/gのものが好ましく、185〜375mgKOH/gのものがより好ましく、特に200〜320mgKOH/gのものが好ましい。酸価が150mgKOH/g以上であれば硬化物の機械特性が向上するため好ましく、415mgKOH/g以下であれば、その硬化物が硬くなり過ぎず、弾性率が適度なものとなり好ましい。
また、本発明の多価カルボン酸樹脂の官能基当量は、135〜312g/eqのものが好ましく、150〜300g/eqのものがより好ましく、特に180〜280g/eqが好ましい。
本発明の多価カルボン酸樹脂を用いることで、優れた耐久性を実現することができるとともに、混練に適した熱硬化性樹脂組成物を得ることが可能となる。本発明の熱硬化性樹脂組成物はICIコーンプレート粘度が100〜200℃の範囲で、0.01〜10Pa・sであること、および室温で固形であることから、液状の場合にはプレポリマー化などの前処理なしでは不可能であった混練が、前処理なしで可能となる。また固形であるため、タブレットとして成形しやすい点にも特徴を有している。
本発明の熱硬化性樹脂組成物組成物においては、通常ICIコーンプレート粘度が100〜200℃の範囲で、0.01〜10Pa・sである。
当該範囲に調整することにより、常温(25℃)で固型となり、成形が容易となり、ボイド等の不具合を効果的に防止することができるようになるためである。また、このような低粘度の熱硬化性樹脂組成物に設定することで、従来結晶性を有するため軟化点あるいは融点が高く、混練が困難であった各成分が硬化剤に十分に溶融・分散するため、結晶が崩れ、主剤となるエポキシ樹脂と十分混練されることとなり、各成分が効果的に配列し、優れた物性を有する硬化物を得ることができる。軟化点においては、40〜130℃であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましく、特には70〜100℃であることが好ましい。このような軟化点にあることで、十分な混練を行うことが可能となる。
また、本発明の多価カルボン酸組成物は、軟化点が20〜150℃であることが好ましく、50〜130℃であることがより好ましい。
当該範囲に調整することにより、各種成分をミキサー等によって容易に撹拌、混合することができ、それをされにミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等によって混練または溶融混練し、冷却、粉砕することが可能となる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(C)を含有させることができる熱硬化性樹脂(C)としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、本発明においては、エポキシ樹脂を使用することが望ましい。
エポキシ樹脂としては、従来の熱硬化性樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物として通常配合されているものであれば、特に制限されることなく用いることができる。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物等が挙げられ、これらは単独でも二種以上併用してもよい。これらエポキシ樹脂のうち、高い耐熱性を有するものが好ましいことから、具体的には、溶融粘度、得られる硬化物の着色およびガラス転移温度等の観点から、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン誘導体エポキシ樹脂が好ましい。
本発明においては、エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物を使用することが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、いずれのエポキシ樹脂であっても使用できるが、耐熱性や耐光性の面から望ましくは芳香族環を含有しない、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物が好ましい。
脂環式エポキシ樹脂としては1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の分子内に少なくとも1個の4〜7員環の環状脂肪族基と分子内に少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物等が挙げられる。このような脂環式エポキシ樹脂としては、分子内に2以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂が好ましい。分子内に2以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂は、市販品として入手が可能で、例えば、セロキサイド8000、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、EHPE 3150(いずれも(株)ダイセル製)等があげられる。
また、トリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリス(オキシラニルメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。これらのトリアジン誘導体エポキシ樹脂は市販品として入手が可能で、例えば、TEPIC-S、TEPIC-L、TEPIC-VL、TEPIC-PAS B22、TEPIC-UC(いずれも日産化学製)があげられる。
また、使用し得るエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物としては、分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物が好ましい。分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物としては、特に骨格は限定されないが、例えば鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物の具体例としては、例えば、例えば、特開2005−263869に記載のエポキシ環を有する籠型シルセスキオキサン、特開2008−248169号公報に記載の脂環エポキシ基含有シリコーン樹脂、特開2008−19422号公報に記載の一分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂などを使用することができる。これらの分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物は市販品として入手が可能で、分子内に2以上のエポキシ基を有する環状シロキサンである、商品名「X−40−2670」(信越化学工業(株)製)などがあげられる。
エポキシ樹脂と本発明の多価カルボン酸樹脂の配合比は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、本発明の多価カルボン酸樹脂のカルボキシル基が0.5〜1.5当量の比になるよう反応させることが好ましく、特に好ましくは0.5〜1.2当量になるよう反応させることである。エポキシ基1当量に対して、カルボキシル基が0.5当量に満たない場合、あるいはカルボキシル基が1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがあるほか、着色しやすくなる問題もある。
また、熱硬化性樹脂組成物にはその他の成分として、種々の成分を含有させることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の多価カルボン酸樹脂とその他の成分を含む樹脂組成物である。本発明の多価カルボン酸組成物においては、熱硬化性樹脂用硬化剤を含有させることができる。好適な熱硬化性樹脂用硬化剤としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられる。
トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が存在すると架橋密度の高い硬化物が得られるため、高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。しかしながら、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、および水添ピロメリット酸無水物などのカルボン酸あるいは酸無水物は、結晶性を有するため軟化点あるいは融点が高く、具体的な融点は150℃〜300℃であるため、成型する際に問題となることがある。一方、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸については、融点が室温以下であるため、成形する際に問題となる。トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸のうち、着色しにくさの点で、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物、水添ピロメリット酸、水添ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸がさらに好ましい。
シクロヘキサントリカルボン酸無水物としては、シクロヘキサン‐1、2、4‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が、シクロヘキサン‐1、2、3‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が挙げられる。本発明では、これらの酸無水物を組み合わせて使用することもできるが、シクロヘキサン‐1、2、4‐トリカルボン酸‐1、2‐無水物が好ましい。
トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物の合計が、熱硬化性樹脂組成物に占める割合が1重量%〜90重量%であることを特徴とする。1重量%より低いとガラス転移温度が十分に高くならず、90重量%より高いと融点が高くなり、取扱いが困難になる。より好ましくは10〜60重量%であり、さらに好ましくは20〜50重量%である。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物に含有させることができる末端カルボン酸のオリゴエステルは、下記式(9A)で表される。
具体的な構造式としては、下記式(9A)
(式中、複数存在するPは0〜6の酸素原子、窒素原子、リン原子を含んでもよい、炭素数2〜20の多価アルコールの残基を、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を示す。複数存在するn、kは独立して存在し、平均で1〜6を示す。またnの総計は2以上12未満である。)
の構造を有し、分子内にエステル構造(好ましくは2つのエステル構造)を有する化合物である。また末端に複数のカルボキシル基を有する化合物である。
中でも、前記式(9A)の末端カルボン酸のオリゴエステルが炭素数6以上の2〜6官能の多価アルコールと飽和脂肪族環状酸無水物とのエステル化反応により得られた化合物であることが好ましい。
より具体的には、前記式(9A)に記載の末端カルボン酸のオリゴエステルにおいて、連結基Rは炭素数4〜10のシクロアルカン骨格、もしくはノルボルナン骨格が好ましく、シクロアルカン骨格においては置換、もしくは無置換のシクロヘキサン構造、特にメチル基を具備するメチルシクロヘキサン構造がその硬化物における光学特性から好ましい。またノルボルナン骨格としてはノルボルナン、メチルノルボルナン構造が好ましい。ここで、置換されたものにおいて適用できる置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基等が挙げられる。
連結基Pは炭素数2〜10の多価アルコールの残基(反応に用いた多価アルコールから水酸基を除いた残基)であるが、分岐鎖状の架橋基、もしくはシクロアルキル基が好ましく、特にPは下記(a)又は(b)で定義される2価の架橋基であることが好ましい。
(a)炭素数6〜20の分岐構造を有する鎖状アルキル鎖であり、該鎖状アルキル鎖が炭素数3〜12の直鎖の主鎖と、2〜4個の側鎖を有し、かつその側鎖の少なくとも1つが炭素数2〜10である架橋基、
又は、
(b)シクロ環上にメチル基を有してもよい、トリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノール、から選ばれる少なくとも1種の架橋多環ジオールから、2つの水酸基を取り除いた2価の架橋基
但し、Pが(b)の場合、好ましいものは連結基Rが炭素数4〜10のシクロアルカン骨格又はノルボルナン骨格のときは、後述する式(2A)において置換基Rが水素原子以外の基を表すことがより好ましい。
尚、上記オリゴエステルの軟化点は通常50℃以上であるが、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。上限値に特に制限はないが通常500℃以下であり、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
本発明における上記特に好ましい末端カルボン酸のオリゴエステルは、炭素数6以上の2〜6官能の多価アルコールと飽和脂肪族環状酸無水物とを、付加反応させることにより得ることができる。
本発明における末端カルボン酸のオリゴエステルは、2種の末端カルボン酸のオリゴエステルを含む組成物であってもよい。末端カルボン酸のオリゴエステルを少なくとも2種含む末端カルボン酸のオリゴエステル組成物を得る方法としては、上記方法で得られた単一の末端カルボン酸のオリゴエステルを少なくとも2種を混合する方法、または、上記の末端カルボン酸のオリゴエステルを合成する際に、上記飽和脂肪族環状酸無水物として、下記で選ばれる飽和脂肪族環状酸無水物から少なくとも2種の混合物を使用するか、前記多価アルコールを2種使用して、付加反応を行う方法がある。
末端カルボン酸のオリゴエステルの合成に用いる飽和脂肪族環状酸無水物としては、シクロヘキサン構造を有し、該シクロヘキサン環上にメチル基置換又はカルボキシル基置換を有し、又は無置換であり、シクロヘキサン環に結合した酸無水物基を分子内に1つ以上(好ましくは1つ)有する化合物を挙げることができる。
具体的にはヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、およびシクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、および水添ピロメリット酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸無水物が挙げられる。
本発明における末端カルボン酸のオリゴエステルの合成に用いる炭素数6以上の2〜6官能の多価アルコールとしては、具体的には、前記式(9)中の架橋基Pの末端に水酸基を付けた末端カルボン酸のオリゴエステルを挙げることができる。
前記式(9)において、Pで表される架橋基は、好ましくは前記(a)または(b)で定義される2価の架橋基であり、それらについて以下に具体的に説明する。
前記(a)で定義される2価の架橋基は、炭素数6〜20の分岐構造を有する2価のアルコール(ジオール)から、水酸基を除いた2価の鎖状アルキル鎖であり、ジオールの2個のアルコール性水酸基に挟まれたアルキル鎖を主鎖とし、該アルキル鎖から分岐したアルキル鎖(側鎖という)を有する構造である。該側鎖は、主鎖を構成するいずれの炭素原子から分岐していてもよく、例えばアルコール性水酸基が結合していた炭素原子(主鎖の末端炭素原子)から分岐している場合も含む。該構造を有する架橋基であれば何れでもよく、このような架橋基の具体例を下記式(a1)に示す。
前記式中、*印で式(9)におけるPの両側の酸素原子と結合する。
上記(a)で定義されるアルキレン架橋基は、主鎖アルキレン基に対し、アルキル分岐鎖(側鎖)を有する構造であれば特に制限はないが、主鎖の炭素数が3以上の主鎖であり、少なくとも1個のアルキル側鎖を有するものが好ましく、またアルキル側鎖を2つ以上有するものが特に好ましい。より好ましいものとしては、炭素数3〜12の直鎖の主鎖と、2〜4個の側鎖を有し、かつその側鎖の少なくとも1つが炭素数2〜10である架橋基を挙げることができる。この場合、側鎖の少なくとも2つが炭素数2〜10である架橋基は更に好ましい。また、2〜4個の側鎖は主鎖の異なる炭素原子から分岐していることが好ましい。
より具体的な化合物としては前記式(a1)に記載した架橋基において、*印の位置にヒドロキシル基が結合した化合物を挙げることができる。
原料として使用する多価アルコールの中では、少なくとも2個の側鎖を有し、該側鎖の中で少なくとも2個が炭素数2〜4の側鎖である多価アルコールが好ましい。
このような骨格の中で特に好ましい多価アルコールとしては2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられ、特に2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。
前記(b)で定義される架橋基としては、下記式(b1)で表される2価の基を挙げることができる。
前記(b)で定義される架橋基の場合の、架橋多環ジオール残基としては、トリシクロデカン構造、ペンタシクロペンタデカン構造を主骨格とするジオール残基であり、下記式(b2)で表される。
式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、もしくはメチル基を表す。これらの中で、Rが全て水素原子である架橋基が好ましい。
具体的にはトリシクロデカンジメタノール、メチルトリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。
酸無水物と多価アルコールの反応としては一般に酸や塩基を触媒とする付加反応であるが、本発明においては特に無触媒での反応が好ましい。
触媒を用いる場合、使用しうる触媒としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。これらの中で、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンが好ましい。
触媒の使用量には、特に制限はないが、原料の総重量100重量部に対して、通常0.001〜5重量部を、必要により使用するのが好ましい。
本反応においては無溶剤での反応が好ましいが、有機溶剤を使用しても構わない。有機溶剤の使用量としては、反応基質である前記酸無水物と前記多価アルコールの総量1部に対し、重量比で0.005〜1部であり、好ましくは0.005〜0.7部、より好ましくは0.005〜0.5部(すなわち50重量%以下)である。有機溶剤の使用量が上記反応基質1重量部に対して、重量比で1部を超える場合、反応の進行が極度に遅くなることから好ましくない。使用できる有機溶剤の具体的な例としてはヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチルなどのエステル化合物などが使用できる。
本反応は20℃程度の温度でも十分に反応は進行する。反応時間の問題から反応温度は30〜200℃が好ましく、より好ましくは40〜200℃、特に好ましくは40〜150℃である。特に本反応を無溶剤で行う場合は、酸無水物の揮発があるため、100℃以下での反応が好ましく、30〜100℃または40〜100℃での反応が特に好ましい。
前記酸無水物と前記多価アルコールとの反応比率は理論的には等モルでの反応が好ましいが、必要に応じて変更可能である。
反応させる際の具体的な両者の仕込み比率としては、その官能基当量で、該酸無水物基1当量に対して、該多価アルコールを、その水酸基当量で、0.001〜2当量、より好ましくは0.01〜1.5当量、さらに好ましくは0.1〜1.2当量となる割合で仕込むのが好ましい。
本発明においては得られる末端カルボン酸のオリゴエステルが固形であることが好ましく、固形の樹脂状末端カルボン酸のオリゴエステルを得るためには、理想的には等モル当量以上の多価アルコールを使用することが好ましいが、フィラーを添加するため流動性が重要となり、この流動性を確保する為に、その粘度バランスから、固形を保つ範囲(軟化点50℃以上)で多少のバランスを崩しても構わない。
具体的には、酸無水物当量に対し、アルコール性水酸基の当量比において0.85〜1.20モル当量が好ましく、特に0.90〜1.1.0モル当量が好ましい。
反応時間は反応温度、触媒量等にもよるが、工業生産という観点から、長時間の反応は多大なエネルギーを消費することになるため好ましくはない。また短すぎる反応時間はその反応が急激であることを意味し、安全性の面から好ましく無い。好ましい範囲としては1〜48時間、好ましくは1〜36時間、より好ましくは1〜24時間、更に好ましくは2〜10時間程度である。
反応終了後、触媒を用いた場合は、それぞれ中和、水洗、吸着などによって触媒の除去を行い、溶剤を留去することで目的とする末端カルボン酸のオリゴエステルが得られる。一方、無触媒で反応を行った場合は必要に応じて溶剤を留去することで目的とする末端カルボン酸のオリゴエステルが得られる。また、溶剤を使用した場合には、溶剤を除去することで目的とする末端カルボン酸のオリゴエステルが得られる。さらに無溶剤、無触媒の場合はそのまま取り出すことで製品とすることができる。
最も好適な製造方法としては、前記酸無水物、前記多価アルコールを、無触媒の条件下、40〜150℃で反応させ、溶剤を除去したのち取り出すという手法である。
このようにして得られる前記末端カルボン酸のオリゴエステルまたは該末端カルボン酸のオリゴエステルを含む組成物は、通常、無色〜淡黄色の固形の樹脂状を示す(場合によっては結晶化する)。該末端カルボン酸のオリゴエステルの軟化点は50〜190℃であることが好ましく、55〜150℃であることがより好ましく、60〜120℃であることが特に好ましい。このような軟化点を有する末端カルボン酸のオリゴエステルを液状とすることなく直接熱硬化性樹脂組成物中に混ぜることで、極めて高い反射率保持率を有することとなり、耐熱試験にかけた際にも反射率が低下し難い反射部材を提供することが可能となる。
通常、架橋基が、(a)で定義される側鎖を有するアルキレン基である場合、無色〜淡黄色の固形の樹脂状を示す。
本発明においては、末端カルボン酸のオリゴエステルを含む熱硬化性樹脂組成物を使用する最適な方法が、トランスファーで成形であることから、末端カルボン酸のオリゴエステルは固形の樹脂状である。
架橋基が(b)で定義される架橋基の場合、脂肪族炭化水素基が炭素数4〜10のシクロアルカン骨格又はノルボルナン骨格であるとき、脂環式の置換基の全てが水素原子の末端カルボン酸のオリゴエステルは、硬化時の着色が見られ、特に厳しい光学用途には好適ではない。脂肪族炭化水素基が炭素数4〜10のシクロアルカン骨格又はノルボルナン骨格であるとき、置換基がメチル基またはカルボキシル基の化合物ではそのような着色は少なく、その光学特性が向上する。
前記(a)で定義される架橋基の化合物においても、脂肪族炭化水素基が炭素数4〜10のシクロアルカン骨格又はノルボルナン骨格であるとき、置換基がメチル基またはカルボキシル基の化合物の場合の方が、光学特性が向上し、好ましい。
すなわち、本発明の末端カルボン酸のオリゴエステル組成物として、炭素数4〜10のシクロアルカン骨格又はノルボルナン骨格であるとき、置換基は好ましくはメチル基もしくはカルボキシル基、又は両者を有する式(9)の末端カルボン酸のオリゴエステルを含む組成物が好ましい。該末端カルボン酸のオリゴエステルを2種以上含む末端カルボン酸のオリゴエステル組成物の場合、少なくとも当該置換基が水素原子でない式(1)の末端カルボン酸のオリゴエステル(当該置換基が前記アルキル基、好ましくはメチル基、又はカルボキシル基の末端カルボン酸のオリゴエステル)、を、末端カルボン酸のオリゴエステルの総量に対して、50モル%以上含む組成物が好ましい。より好ましくは、当該置換基が水素原子でない式(9)の末端カルボン酸のオリゴエステルを70モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含む末端カルボン酸のオリゴエステル組成物が好ましい。残部が、Rが水素原子である下記式(2A)の末端カルボン酸のオリゴエステルである。
本発明において好適な末端カルボン酸のオリゴエステルとしては、下記式(2A)で表される末端カルボン酸のオリゴエステルが用いられる。
(上記式中、Pは上記と同じ意味を表し、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはカルボキシル基を表す。)
ここで、上記式(2A)においては、上記に記載の通りの理由により、Rが炭素数1〜3のアルキル基またはカルボキシル基を好適に使用できる。
末端カルボン酸オリゴエステルは、数平均分子量Mnが300以上である末端カルボン酸のオリゴエステルであることが好ましい。
さらに、併用しうる別の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、不飽和環構造を有する酸無水物系化合物、オルガノシロキサン骨格を有する酸無水物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の末端カルボン酸のオリゴエステルとの塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記末端カルボン酸のオリゴエステル類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩(好ましくはC1〜C20アルキルアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ、オクタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト等の金属化合物等、及びこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤、カルボニル化合物亜鉛錯体等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば耐熱性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。本発明において好ましいものとしては、ホスホニウム化合物(より好ましくは4級ホスホニウム)またはステアリン酸亜鉛が挙げられる。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し通常0.001〜15重量部、好ましくは0.01〜5重量部の範囲で使用される。
必要に応じて、上述した添加剤以外の添加剤として、一般によく使用されるエポキシ樹脂用添加剤、例えば、顔料、染料、蛍光増白剤、補強材、充填剤、白色顔料、核剤、界面活性剤、可塑剤、粘度調整剤、流動性調整剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤を添加してもよい。
上述した充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
無機充填剤の配合量は、硬化性樹脂組成物の合計量100重量部に対して、1〜1000重量部であることが好ましく、1〜800重量部であることがより好ましい。
上述した白色顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、カオリン、炭酸カルシウム等を用いることがでる。なお、白色顔料は中空粒子であってもよい。また、白色顔料に対して、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、有機物等で適宜表面処理をしてもよい。これらは単独でも2種以上を併用しても構わない。また、上記白色顔料の平均粒径は、0.01〜50μmの範囲にあることが好ましい。0.01μm未満であると粒子が凝集しやすく分散性が悪くなる傾向にあり、50μmを超えると硬化物の反射特性が十分に得られない傾向にある。上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。本発明においては酸化チタン、特に二酸化チタンの粉末を使用することが好ましい。白色度、光反射性、および隠蔽力が高く、分散性安定性に優れ、入手が容易なためである。酸化チタンの結晶形は特に限定されず、ルチル型であってもよいし、アナターゼ型であってもよいし、両者が混在していてもよいが、アナターゼ型は光触媒機能を有するため樹脂を劣化させる懸念があるので、本発明においてはルチル型が好ましい。
また、白色顔料の含有量は、樹脂組成物全体に対して、10重量%〜95重量%、より
好ましくは50〜95%の範囲である。合計含有量が10重量%未満であると硬化物の光反射特性が十分得られない傾向にあり、95重量%を超えると樹脂組成物の成型性が悪くなり、基板の作製が困難となる傾向にある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、通常ICIコーンプレート粘度が100〜200℃の範囲で、0.01〜10Pa・sである。0.01Pa・sより小さいと、バリが生じやすい。一方、10Pa・sより大きいと生産性が低下する。本実施形態においては、150℃における熱硬化性樹脂組成物のICI粘度が0.01Pa・s〜10Pa・sであることが好ましく、0.05Pa・s〜5Pa・sであることがより好ましい。本発明の熱硬化性樹脂組成物はICIコーンプレート粘度が100〜200℃の範囲で、0.01〜10Pa・sであること、および室温で高粘度液状または固形であることから、従来の酸無水物硬化剤の場合にはプレポリマー化などの前処理なしでは不可能であった混練が、前処理なしで可能となる。また混練後の熱硬化性樹脂組成物は、室温で固形になるため、タブレットとして成形しやすい点にも特徴を有している。また、当該範囲に調整することにより、無機フィラー等の充填剤を配合した場合に組成物は常温(25℃)で固形となるため成形が容易となり、揮発分が少ないことからボイド等の不具合を効果的に防止することができるようになるためである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、通常の酸無水物を使用した場合より、ボイド等の不具合を効果的に防止することができるようになるため、成形が容易となる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、軟化点は20℃〜150℃の範囲にあることが望ましい。より具体的には、30℃〜130℃の範囲にあることが好ましく、40℃〜120℃の範囲にあることがより好ましい。当該範囲に調整することにより、各種成分をミキサー等によって容易に撹拌、混合することができ、それをされにミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等によって混練または溶融混練し、冷却、粉砕することが可能となる。
硬化物のガラス転移温度は、成形温度よりも高いことが望ましい。硬化物のガラス転移温度が成形温度以下であると、金型の中にある硬化物は低弾性のゴム状態であるため、ゴム状硬化物を金型から取り出すことになり、イジェクターを押し込む際に、変形するなどして不具合が生じるおそれがある。具体的には、ガラス転移温度は30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。
ここで、本願発明において、硬化物のガラス転移温度は、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記した各種成分を均一に分散混合することで得られる。その方法については特に限定されないが、各種成分をミキサー等によって十分均一に撹拌、混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等によって混練または溶融混練し、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。混練または溶融混練の条件は、成分の種類や配合量により決定すればよく、特に限定されないが、20〜200℃の範囲で5〜40分間混練することがより好ましい。混練温度が20℃未満であると、各成分の分散性が低下し、十分に混練させることが困難であり、200℃よりも高温であると、樹脂組成物の架橋反応が急激に進行し、樹脂組成物が硬化してしまう恐れがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱成型前、0〜30℃の室温において加圧(タブレット)成型可能であることが望ましい。加圧成型は、例えば、0.01〜10MPa、1〜5秒程度の条件下で行う方法が挙げられる。また、加圧(タブレット)成型時に用いる金型は、特に限定されないが、例えば、セラミックス系材料やフッ素系樹脂材料等からなる杵型(上金型)と臼型(下金型)とで構成されるものを用いることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、高いガラス転移温度および高い透過率を必要とする光半導体封止材料、光半導体用反射材などの用途において有用である。
光反射用として使用する場合において、製造方法は特に限定されないが、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成型によって製造することが好ましい。本発明の熱硬化性樹脂組成物を金型に注入し、例えば、金型温度150〜190℃、成形圧力2〜20MPaの条件下で、60〜800秒間硬化させた後に金型から取り出し、アフターキュア温度150℃〜180℃で1〜3時間にわたって熱硬化させる。
(半導体装置)
本発明の半導体装置は、代表的な構造について具体例を例示すると、国際公開第2012−124147号に記載の通り、基板上に円筒状の中空部を有する光反射防止部材を配置し、円筒状の中空部の内部空間において基板上に光半導体素子を配置する。そして、光半導体素子の一端部と基板をワイヤーで繋げ、上記中空部に封止樹脂が封入された構成を有している。
本発明の樹脂組成物に好適に適用される反射材について、より詳細に説明する。成形によって得た反射材は、熱劣化による変色が抑制される。反射材は、LED電球等のLED照明器具用のLEDリフレクターとして使用することができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物から得られる反射材は、寿命が長い安価なLEDリフレクターを構成することができる。
図1に、熱硬化性樹脂組成物を成形して得た反射材を用いたLED照明装置の一例を示す。この反射材はLEDリフレクター1である。反射材は枠状に形成されており、中央部に凹部2と穴部3とを有している。凹部2は、壁面が傾斜した面となって設けられている。凹部2の壁面が光を反射させる反射面となる。穴部3は、凹部2の底部においてLEDリフレクター1を貫通するように設けられている。この穴部3には、発光素子であるLED5が搭載されたリードフレーム4が嵌め込まれている。リードフレーム4には、LED5に電気を供給するための配線が設けられていてよい。凹部2の発光面側(図の上部)は、透明なカバー6により覆われている。それにより、LED5が保護される。カバー6は凹部2の開口縁部においてLEDリフレクター1に接合されている。LEDリフレクター1は、LED5の発光を効率よく反射するための反射板として機能する。LEDリフレクター1の形状は、図1の形状に限られるものではなく、実装されるLED5の光量や色、指向性特性等を考慮して適宜設計することができる。上記の光反射体用熱硬化性樹脂組成物では、成形性が良好なため目的とする形状の成形体を容易に得ることができる。
合成例1(熱硬化性樹脂用硬化剤A−1)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール196.3部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)332.6部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)4.0部を加え、MEK532.9部を加え、60℃で1時間加熱撹拌したのち80℃で7時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMEK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は267g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.74Pa・sであった。軟化点は、91.3℃であった。
合成例2(熱硬化性樹脂用硬化剤A−2)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール160.3部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)336.4部を加え、MEK250.0部を加え、60℃で2時間加熱撹拌したのち80℃で6時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMEK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は253g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.06Pa・sであった。軟化点は、59.3℃であった。
合成例3(熱硬化性樹脂用硬化剤A−3)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジトリメチロールプロパン68.8部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)168.2部を加え、MIBK230.8部を加え、80℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMEK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は243g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において6.0Pa・sであった。軟化点は、106.5℃であった。
合成例4(熱硬化性樹脂用硬化剤A−4)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらスピログリコール243.5部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)215.0部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)63.4部を加え、MIBK300.0部を加え、60℃で1時間、70℃で1時間、80℃で1時間、90℃で1時間、さらに100℃で3時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は272g/eq.であった。軟化点は、115.8℃であった。
合成例5(熱硬化性樹脂用硬化剤A−5)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジオキサングリコール218.2部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)235.1部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)118.9部を加え、MIBK310.0部を加え、60℃で1時間、80℃で5時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。その後、165℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は220g/eq.であった。軟化点は、105.3℃であった。
合成例6(熱硬化性樹脂用硬化剤A−6)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)174.2部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)336.4部を加え、MEK300.0部を加え、60℃で2時間、80℃で5時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMEK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は255g/eq.であった。軟化点は、98.2℃であった。
合成例7(熱硬化性樹脂用硬化剤A−7)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール196.3部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)332.1部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)4.0部を加え、MEK532.9部を加え、60℃で1時間、80℃で7時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMEK溶液を得た。そこへ、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)136.0部を加え、80℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は196g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.53Pa・sであった。軟化点は、84.4℃であった。
合成例8(熱硬化性樹脂用硬化剤A−8)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)65.3部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)124.9部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)1.5部を加え、MIBK192部を加え、85℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。そこへ、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)38.4部を加え、85℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は200g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において2.2Pa・sであった。軟化点は、98.5℃であった。
合成例9(熱硬化性樹脂用硬化剤A−9)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン84.1部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)116.6部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)1.4部を加え、MIBK202.0部を加え、85℃で1時間、95℃で7時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。そこへ、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)40.4部を加え、95℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は213g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において5.8Pa・sであった。軟化点は、108.3℃であった。
合成例10(熱硬化性樹脂用硬化剤A−10)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジトリメチロールプロパン62.6部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)166.5部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)2.0部を加え、MIBK231.0部を加え、85℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。そこへ、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)46.2部を加え、85℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は186g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において4.2Pa・sであった。軟化点は、101.8℃であった。
合成例11(熱硬化性樹脂用硬化剤A−11)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジオキサングリコール87.3部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)133.2部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製、H−TMAn)1.6部を加え、MIBK222.0部を加え、85℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。そこへ、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)44.4部を加え、85℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は213g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.9Pa・sであった。軟化点は、90.6℃であった。
合成例12(熱硬化性樹脂用硬化剤A−12)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)130.6部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)164.0部、グルタル酸無水物59.9部を加え、MIBK350.0部を加え、85℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は242g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.5Pa・sであった。軟化点は、77.6℃であった。
合成例13(熱硬化性樹脂用硬化剤A−13)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジトリメチロールプロパン62.6部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH‐T)109.3部、グルタル酸無水物39.9部を加え、MIBK211.8部を加え、85℃で9時間加熱撹拌を行うことで目的とする化合物のMIBK溶液を得た。その後、150℃1時間の条件で溶媒を除去し、熱硬化性樹脂用硬化剤を得た。
得られた硬化剤は無色、固形であった。また、官能基当量は212g/eq.であった。ICI粘度は、150℃において0.6Pa・sであった。軟化点は、75.0℃であった。

熱硬化性光反射用樹脂組成物の調製(実施例1〜13)
EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ樹脂)、合成例1〜13、ヒシコーリンPX−4MP(日本化学工業株式会社製硬化触媒)を使用して、表1および表2に示した配合表に従って各成分を配合し、実施例1〜実施例13の熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表1および表2中の各成分の配合量の単位は重量部であり、空欄は当該成分を使用していないことを表す。
熱硬化性樹脂組成物の評価
各実施例の樹脂組成物について、下記に示す方法により硬化物のDMA、TMAを測定した。その結果を表1に示す。
(a)示差熱-熱重量同時測定(TG/DTA)
示差熱-熱重量同時測定(TG/DTA)については、示差熱熱量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 Exstar TG/DTA7200)を使用して下記条件で測定した。
(測定条件)
測定温度:40℃〜150℃
昇温速度:20℃/分
保持時間:150℃1時間
フローガス:窒素ガス
流量:200ml/分
パン:アルミニウム製
サンプル量:4〜6mg











以上の結果から、本発明の熱硬化性樹脂用硬化剤は、成形性に優れ、前記熱硬化性樹脂用硬化剤を用いた熱硬化性樹脂組成物は、十分に高いガラス転移温度を有する硬化物を与えることがわかる。
本発明の熱硬化性樹脂用硬化剤は、成形性に優れ、前記熱硬化性樹脂用硬化剤を用いた熱硬化性樹脂組成物は、十分に高いガラス転移温度を有する硬化物を与えることから、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、光半導体の封止材あるいは光反射材の材料として有用である。ガラス転移温度が十分に高いことは、成形性および信頼性にとって重要である。また、反射材として使用した場合には、反射率を高めることができる。
1 LEDリフレクター、2 反射材、3 穴部、4 リードフレーム、5 LED、6 カバー

Claims (7)

  1. 水酸基当量が20〜170g/eq.であるアルコール化合物(A)と酸無水物化合物(B)を反応させて得られる官能基当量が135〜312g/eqである多価カルボン酸樹脂及び脂環式エポキシ樹脂を、脂環式エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、前記多価カルボン酸樹脂のカルボキシル基が0.5〜1.5当量の比になるように含有することを特徴とするLED反射材用熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物のガラス転移温度(Tg)が30℃以上であるLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のアルコール化合物(A)が、トリシクロデカンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ジトリメチロールプロパン、スピログリコール、ジオキサングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、EO変性グリセロール、PO変性グリセロール、ジペンタエリスリトール、下記式(1)で表される多価アルコールからなる群から選択される1種類以上のアルコールである請求項1記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の酸無水物化合物(B)が、下記式(5)および/または下記式(5A)
    (式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、カルボキシル基を表す。)
    (式(5A)中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはカルボキシル基を表す。)
    で表される酸無水物化合物であることを特徴とするLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1記載のアルコール化合物の融点が50℃〜250℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の多価カルボン樹脂及び、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物とを含む熱硬化性樹脂用硬化剤であり、トリメリット酸、無水トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、水添ピロメリット酸無水物、グルタル酸、ジエチルグルタル酸ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる1種または2種以上の化合物の合計が、熱硬化性樹脂組成物に占める割合が1重量%〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のLED反射材用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなる硬化物。
  7. 請求項に記載の硬化物を反射材として使用した光半導体装置。
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