JP6492584B2 - 短繊維集合体 - Google Patents

短繊維集合体 Download PDF

Info

Publication number
JP6492584B2
JP6492584B2 JP2014241688A JP2014241688A JP6492584B2 JP 6492584 B2 JP6492584 B2 JP 6492584B2 JP 2014241688 A JP2014241688 A JP 2014241688A JP 2014241688 A JP2014241688 A JP 2014241688A JP 6492584 B2 JP6492584 B2 JP 6492584B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
short fiber
short
texture
cross
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014241688A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016101361A (ja
Inventor
博文 山中
博文 山中
木代 明
明 木代
正人 増田
正人 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2014241688A priority Critical patent/JP6492584B2/ja
Publication of JP2016101361A publication Critical patent/JP2016101361A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6492584B2 publication Critical patent/JP6492584B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mattresses And Other Support Structures For Chairs And Beds (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、優れた嵩高性を有するだけでなく、柔らかくかつ羽毛に近似した風合いに富み軽量で体に沿いやすく、保温性に優れた長期圧縮後の嵩高性が高い短繊維集合体に関するものである。
布団や枕などの寝装寝具や防寒具等の衣料品の詰め綿の一種として、羽毛が従来から用いられている。この羽毛は、一般的に水鳥から採取されており、胸部より採取されるダウンと羽根にあたるフェザーに分類され、これらを混合したものが羽毛製品として広く使用されている。
羽毛はケラチンからなる扁平断面繊維が枝状に分岐した構造体であり、優れた嵩高性を有するため、その構造内部に多くの空気層を含むことができる。このため、詰め綿として使用した際に、優れた保温性を発揮する。加えて、その特徴的な構造により、体に沿いやすく、柔軟性に富む風合いであり、かつ圧縮後の回復性が高い特徴を有することから、羽毛は世界的に需要の高い詰め綿素材となっている。
しかしながら、詰め綿に使用する目的で羽毛を得るためには、多量の水鳥が必要であり、自然保護の観点から野生の水鳥の捕獲量は制限する必要があり、羽毛採取量には限界がある。また、水鳥を多量に飼育する場合でも、自然条件や鳥インフルエンザ等の疫病の影響によって、供給量が大きく変動するため、安定供給可能な合成繊維による中綿素材に注目が集まっている。
オーソドックスな詰め綿素材としては、合成短繊維原綿を未加工のまま使用する場合がある。これは、鋸状の部材からなるクリンパーを使用して繊維を挟み込む方法や、サイドバイサイド型の断面で収縮率の異なるポリマーを貼り合せて、その収縮差を利用し、合成短繊維原綿に捲縮を付与して、良好な嵩高性を持たせている。しかしながら、羽毛と比較して圧縮回復性が低いという課題や柔軟性に劣り、体に沿いにくいという課題があった。
そこで、合成短繊維原綿において、優れた詰め綿素材である羽毛の特徴を付与するべく、上記の課題克服に向けた取り組みがなされている。
特許文献1では、羽毛の形状を模倣し、少なくとも任意の1点で複数本の短繊維を接着した詰め綿が提案されている。この詰め綿は確かに柔軟性および嵩高性には優れているものの、単に短繊維を接着したものであるため、外力に対する耐久性が低く、良好な圧縮回復性を発揮するには至っておらず、風合いはもとより保温性等の機能面でも羽毛同等には至っていない。
また、特許文献2では、捲縮を付与した合成短繊維と熱融着性のバインダー繊維とを混合し、熱接着させた玉状の詰め綿素材が提案されている。この詰め綿素材は、嵩高性に優れ、弾性に富むことから圧縮回復性が高いものとなっているが、柔軟性に乏しく、羽毛とはかけ離れた風合いのものであった。
以上の観点から、嵩高性および圧縮回復性に優れ、かつ羽毛のように柔軟性に富んだしなやかな風合いを有する合成繊維からなる短繊維集合体が求められていた。
特開昭61−154691号公報(特許請求の範囲) 特開平8−229255号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の短繊維集合体では、空気を多く取り込む嵩高性や体に沿う柔軟性に優れており、羽毛と非常に近いしなやかな風合いを有する短繊維集合体を提供することにある。
上記目的は以下の手段により達成される。すなわち、
(1)短繊維が単成分のポリマーからなり、単糸繊度が0.01〜4.30dtex、捲縮数が5〜15山/25mmであって、この短繊維で構成される集合体の直径が5〜20mm、嵩高性が90cm/g以上である短繊維集合体。
(2)短繊維の繊維長が5〜200mmある(1)記載の短繊維集合体。
(3)短繊維の繊維断面の異形度が2.0以上である(1)または(2)に記載の短繊維集合体。
(4)短繊維の繊維断面形状が扁平であって、その断面の短軸長をa、長軸長をbとしたときに扁平率b/aが3.0以上である(3)に記載の短繊維集合体。
(5)短繊維が中空断面繊維であって、その中空率が10〜80%である短中空断面繊維で少なくとも一部が構成される(1)または(2)に記載の短繊維集合体。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の短繊維集合体が少なくとも一部を構成する繊維製品。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の短繊維集合体が少なくとも一部を構成する詰め綿。
である。
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の短繊維集合体は空気を多く取り込むことのできる嵩高性や体に沿う柔軟性に優れ、しなやかな風合いを有する短繊維集合体を提供できる。
本発明の短繊維集合体を模式的に示した図であり、図1(a)は短繊維集合体の形態例、図1(b)は短繊維集合体を構成する、捲縮が付与された短繊維の形態例である。 海島複合繊維の島成分の一例の概要図である。 本発明の極細繊維の製造方法を模式的に説明するための説明図であり、複合口金の一例であって、図3(a)は複合口金を構成する主要部分の正断面図であり、図3(b)は分配プレートの一部の横断面図、図3(c)は吐出プレートの横断面図である。 分配プレートの一例の一部である。 分配プレートにおける分配溝および分配孔配置の一例である。 最終分配プレートにおける分配孔配置の実施形態例である。
以下、本発明を望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の短繊維集合体とは図1(a)にその形態例を示すように、捲縮が付与された短繊維(図1(b))が絡み合って、球状の形態をなすものであり、その内部に多くの空気層を含む、嵩高性に優れた構造体である。
本発明の短繊維集合体は直径が5〜20mmである必要がある。かかる範囲であれば、例えば、布団や衣類等に充填する工程においても、短繊維集合体同士が絡み合うことなく、独立した球状体として形成される。このため、充填装置内での詰まりを引き起こさず、良好な工程通過性を示す。さらに詰め綿として使用した場合に、短繊維集合体内部に多くの空気層を取り込め、更には短繊維集合体が絡み合うことなく単独で存在するため、該集合体同士が反発しあう。このため、十分な嵩高性が得られることで、優れた保温性を発揮するとともに、中綿の偏りを予防し、優れた圧縮回復性を長期間保持することができる。特に寝装寝具や衣料用途の詰め綿とする場合、保温性が要求されるが、短繊維集合体の直径を大きくすることで、嵩高性が大きくなり、保温性が向上する。このため、嵩高性短繊維集合体の直径は10〜20mmとすることがさらに好ましく、詰め綿とした場合の風合い、加工通過性を考慮すると、15〜20mmとすることが特に好ましい。なお、直径が20mmを超える場合には、充填装置を通る際に、短繊維集合体同士が絡み合ってしまい、独立した球状体にならず、風合いを損なってしまう。一方、直径が5mm未満の場合には、短繊維集合体内の短繊維密度が高くなり、硬い球状体となる。このため、充填装置を通す際に、短繊維集合体同士での衝突による衝撃が強くなることで、球状構造が崩れ、短繊維の脱落が発生してしまう。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維の捲縮数は5〜15山/25mmである必要がある。この捲縮構造により、短繊維がばねのような挙動を示し、集合体としたときに嵩高性および圧縮回復性を発揮する。かかる範囲であれば、短繊維の捲縮数が適度であり、短繊維集合体の嵩高性が良好となり、十分な反発力が得られるために、圧縮回復性が高く、へたりなども起こりにくくなる。また、繊維捲縮による反発力も適度なため、得られる短繊維集合体は柔軟性に優れるものとなる。このため、この捲縮数は中綿素材として重要な要件であり、本発明の構造体においては、嵩高性、柔軟性、圧縮回復性の相反する特性を両立することが可能になるのである。以上の観点を推し進めると、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維は、短繊維の捲縮数が7〜15山/25mmがより好ましく、短繊維同士の絡み合いを適度なものとし、圧縮変形を繰り返した場合のヘタリ等を抑制するという観点では、10〜15山/25mmが特に好ましい。
本発明の短繊維集合体は嵩高性が90cm/g以上である必要がある。嵩高性が小さくなると、集合体内部に含むことのできる空気層の体積も小さくなるため、空気層による断熱効果が低減してしまい、保温性が低下することとなる。嵩高性が90cm/g以上であれば、集合体内部に十分な体積の空気層を確保できるため優れた保温性を得ることができる。嵩高性が大きいほど、空気層確保による保温性が向上する観点から、本発明の短繊維集合体の嵩高性は100cm/g以上がより好ましいが、本発明において達成可能な上限としては160cm/g程度である。
短繊維を球状の集合体とし、かつ柔軟な風合いを損なう原因となる集合体同士での絡み合いを防止する観点から、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維長は、5〜200mmであることが好ましい。短繊維集合体を構成する短繊維長が長いほど、短繊維同士での絡み合いが形成されやすくなることで、球状の構造を安定して維持することが可能となるものの、短繊維集合体内部での絡み合いに寄与しない集合体表面の繊維が、他の短繊維集合体表面の繊維と絡み合いを生じて結合し、フェルト状となることで、風合いを損なってしまう。一方、短繊維集合体を構成する短繊維長が短いほど、他の短繊維集合体との結合が生じにくいものの、短繊維同士での絡み合いが生じにくくなって、集合体から短繊維が脱落してしまい、球状構造を維持できないため、十分な嵩高性および圧縮回復性を得ることができない。短繊維集合体を構成する短繊維長に関し、鋭意検討した結果、短繊維長が上記範囲であれば、球状の構造を安定的に維持し、短繊維集合体同士での結合の抑制を両立できることを見出したのである。以上の観点を推し進めると、本願発明の短繊維は、10〜100mmであることがより好ましく、20〜80mmであることが特に好ましい。
短繊維集合体の柔軟性に富む風合いと反発力による圧縮回復性とを両立する観点から、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維の単糸繊度は、0.01〜4.30dtexが好ましい。短繊維集合体の風合いは、構成短繊維の断面二次モーメントに影響を受ける。断面二次モーメントは、物体の外力による変形のしにくさを表す指標であり、構成短繊維の断面の形状とサイズによって決定される。断面形状が同一の場合、サイズが大きくなるほど、断面二次モーメントは大きくなるため、外力に対して変形しにくくなり、反発力による圧縮回復性が高くなるものの、柔軟性には乏しくなる。一方、サイズが小さくなる場合には、断面二次モーメントが小さくなり、柔軟性に富む風合いとなるものの、圧縮回復性に乏しいものとなるのである。上記の範囲であれば、断面二次モーメントが適切な値となり、柔軟性と、詰め綿をはじめとする用途で使用するのに十分な圧縮回復性とを両立することが可能である。このため、0.05〜4.00dtexがより好ましく、0.10〜3.00dtexが特に好ましい。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維は異形断面としてもよい。構成短繊維の断面二次モーメントは、断面の形状を例えば、三角、Yなどの形状とすることによっても変化するため、丸断面とは異なる風合いを呈することなる。こうした観点から、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維断面の異形度は2.0以上であることが好ましい。短繊維断面の異形度が2.0以上あれば、丸断面とは明確に異なる風合いを呈するようになる。なお、本発明において達成可能な異形度の上限は10.0程度である。ここで言う異形度とは、次のように求めるものである。短繊維の断面を2次元的に撮影し、その画像から、短繊維断面に外接する真円の径を外接円径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、異形度=外接円径÷内接円径から、小数点以下2桁目を四捨五入し、小数点以下1桁目まで求めたものを異形度とした。ここで言う外接円とは、図2中3の部分であり、内接円とは図2中5の部分を示している。この異形度を無作為に抽出した10本の短繊維について測定し、それぞれの画像での測定値の単純な数平均値を求め、異形度とした。
特に断面形状を扁平とした場合、その扁平率が大きくなるほど、長軸に対して垂直な方向での断面二次モーメントが小さくなるため、丸断面の繊維に比べて柔軟性に富み、しなやかな風合いを呈することとなる。一方、短軸に対して垂直な方向での断面二次モーメントは大きくなり、短繊維に付与されている捲縮構造による反発力も組み合わさることで、しなやかな風合いと高い圧縮回復性を両立することが可能となるのである。こうした観点から、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維の断面形状が扁平であって、その断面の短軸長をa、長軸長をbとしたときに扁平率b/aが3.0以上であることが好ましい。扁平率が3.0以上であれば、扁平断面に由来するしなやかな風合いを明確に呈することとなり、5.0以上がより好ましく、7.0以上であることがさらに好ましいが、本発明において達成可能な上限は10.0程度である。
また、嵩高性の増大によって、保温性を向上させる目的として、短繊維集合体を構成する短繊維断面を中空とすることも好適である。中空断面とすることで、中空部分の伝熱効率が繊維を構成するポリマー部分と比較して低いことから、紡糸時に冷却風を片側から当てることにより、繊維に非対称な冷却を加えることが可能となる。その非対称冷却の結果、繊維内で構造差が生じることで、構造差捲縮を発現し、嵩高性が増加する。中空率を高くするほど、中空部分の低伝熱効果によって、非対称冷却による構造差捲縮が顕著となり、嵩高性が増大することとなり、短繊維集合体とした場合、その内部に多くの空気層を溜め込むことができるため、高い保温性を発揮する。一方、中空率を高くしすぎると、中空の構成繊維の剛性が外力に耐えられないほど低下し、中空構造が破壊されてしまう。このため、短繊維集合体の嵩高性と耐久性を両立する観点から、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維を中空断面とする場合には、その中空率が10〜80%であることが好ましく、15〜70%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましい。かかる範囲であれば、短繊維の中空構造を安定的に維持しつつ、詰め綿をはじめとする用途での保温性を十分に発揮する嵩高性を示すこととなる。
短繊維集合体の風合いについては、圧縮率および圧縮回復率に大きく影響を受ける。両性能が共に優れる場合には、優れたしなやかさを呈するが、いずれか一方でも性能が低い場合には、圧縮率または圧縮回復率のいずれか低い方の性能の影響を受けてしまい、しなやかさが低下した風合いとなってしまう。
以下に、本発明の短繊維集合体の製造方法の一例を以下に述べる。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維に使用するポリマーとしては、一般的な合成繊維の製造に用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル等が挙げられるが、中でもポリエステルが好ましい。用いるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびその共重合体等が挙げられる。
なお、ポリエステル以外のポリマーとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイドおよびこれらの共重合体等が挙げられる。
また、廃棄処分時の環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーを使用してもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートサクシネートまたはこれらの共重合体等が挙げられる。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維の製造方法としては、前記した範囲における所望の単糸繊度や所望の断面形状となるような条件を採用すれば、溶融紡糸法や湿式および乾湿式などの溶液紡糸法など、一般的な製糸方法を用いることが可能である。しかしながら、異形および扁平断面の繊維を得ようとする場合には、2成分らなる複合繊維を製糸し、この複合繊維を構成する成分を目的の断面形状とし、他方の成分を易溶解成分からなる部分として、この易溶解部分を溶剤等により除去する方法が好ましい方法として挙げられる。この複合繊維の紡糸に使用する口金については、2成分以上のポリマーを複合できるものであれば、特に限定されるものではないが、用途展開に応じて異形度または扁平率を大きくする必要がある場合には、特開2011−174215号公報に記載の図3〜5に示す部材で構成される複合口金が好適に用いられる。この複合紡糸口金を利用することで断面形状を精度良く形成できるため、異形度および扁平率を大きくすることが可能である。
本発明に用いる複合口金の一例として、図3〜5に示す部材で構成される複合口金が挙げられる。図3(a)〜(c)は、複合口金の一例を模式的に説明するための説明図であって、図3(a)は複合口金を構成する主要部分の正断面図であり、図3(b)は分配プレートの一部の横断面図、図3(c)は吐出プレートの一部の横断面図である。図3(b)および図3(c)は図3(a)を構成する分配プレート、および吐出プレートであって、図4は分配プレートの平面図、図5は本発明に係る分配プレートの一部の拡大図であり、それぞれが一つの吐出孔に関わる溝および孔として記載したものである。
以下、複合ポリマー流が計量プレート、分配プレートを経て形成され、吐出プレートの吐出孔から吐出されるまでの過程を説明する。
紡糸パック上流からポリマーA(難溶解成分)とポリマーB(易溶解成分)とが、図3の計量プレートのポリマーA用計量孔(9−(a))およびポリマーB用計量孔(9−(b))に流入し、下端に穿設された孔絞りによって、計量された後、分配プレートに流入される。分配プレートでは、計量孔9から流入したポリマーを合流するための分配溝10(図4 10−(a)および10−(b))とこの分配溝の下面にはポリマーを下流に流すための分配孔11(図5 11−(a)および11−(b))が穿設されている。また、複合ポリマー流の最外層に海成分であるポリマーBから構成される層を形成するため、図4に示すような分配孔を底面に穿設した環状溝15が設置される。これら分配孔は目的とする断面に応じて配置が設計されている。
この分配プレートから吐出されたポリマーAおよびポリマーBによって構成された複合ポリマー流は、吐出導入孔12から吐出プレート8に流入される。次に、複合ポリマー流は、所望の径を有した吐出孔に導入する間に縮小孔13によって、ポリマー流に沿って断面方向に縮小され、分配プレートで形成された断面形態を維持して、吐出孔14から紡糸線に吐出される。
複合繊維を紡糸する際に用いるポリマーAおよびポリマーBの比率は、吐出量を基準にして、A/B比率で5/95〜95/5の範囲で選択することができる。生産性という観点から、難溶解成分であるポリマーAの比率を高めることが好ましいと言える。但し、複合断面の長期安定性という観点から、効率的に、かつ安定性を維持しつつ製造する範囲として、このA/B比率は、50/50〜90/10とすることが好ましい。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維の元となる長繊維を溶融紡糸する場合には、その紡糸温度を使用するポリマーが流動性を示す温度とし、また、複合繊維とする場合には、2種類以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度ポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度は、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解等することなく、分子量低下が抑制されるため、好ましい。
紡糸パック内を流れ、口金から吐出された複合ポリマー流は、冷却固化されて、油剤を付与されて周速が規定されたローラーによって引き取られることにより、長繊維が得られる。この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、安定して製造するためには引取速度100〜3000m/minの範囲とすることが好ましい。
短繊維を製造するための長繊維は結晶化して繊維構造を固定して寸法安定性を付与、また細繊度化するために、一旦巻き取った後に延伸しても良いし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行うことも良い。この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラーからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラーと結晶化温度相当とした第2ローラーの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取ることが可能である。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。ここで、延伸倍率を高める観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
本発明の短繊維集合体を構成する短繊維への捲縮付与の方法は、鋸状の部材で構成されたクリンパーで長繊維を挟み込んで長繊維をジグザグ形状に賦型する一般的な方法が採用できる。例えば短繊維集合体の前駆体である切断前の長繊維を編み機に通して編地化し、これを解くことで、編みによるジグザグ構造を付与することにより長繊維に捲縮を付与する、いわゆるニット・デニット法が好ましい方法として挙げられる。このニット・デニット法では、編地における編密度を変更することで、所望の捲縮数に制御することが可能である。この編密度は、編機における1インチ当たりの針の本数であるゲージによって決まるものであり、本発明の範囲において所望の捲縮数を得るという観点から、編機の設定を12〜54ゲージとすることが好ましい。また、特に所望の断面形状を得ようとする場合、前述の通り、易溶解成分と難溶解成分とを組合せた複合繊維を利用し、易溶解成分を溶剤等により溶解除去する方法が一般的に用いられる。この易溶解成分の除去効率を上げるために、高温の溶剤中で攪拌処理する方法が通常採用さられるが、クリンパー等の一般的な方法で捲縮付与した短繊維を処理する場合には、易溶解成分の除去時に捲縮が緩むといった問題や短繊維同士が絡んでしまい、後の工程通過性が不良になるという問題がある。一方、ニット・デニット法をこのような複合繊維に適用すると、編地状態で易溶解成分の除去を行うことができるため、繊維の動きを拘束することで、易溶解成分の除去処理後も編みによるジグザグ構造を維持することができ、異形または扁平断面繊維に所望の捲縮数を付与することができ、また繊維同士が絡み合うといった問題も生じないという利点が挙げられる。
以上のように捲縮を付与した長繊維を所望の繊維長に切断することにより、本発明の短繊維集合体を構成する短繊維を得ることができる。この切断方法については、特に限定されるものではないが、長繊維をトウまたはカセ等に引き揃え、ギロチンカッターやロータリーカッター等を使用して切断する方法が好適に用いられる。
前記した捲縮が付与された所望の長さの短繊維を攪拌機によって攪拌することにより、短繊維同士を絡み合わせ、球状の形態とする。攪拌方法としては特に限定されるものではないが、高速気流下で短繊維を攪拌する方法や攪拌羽を備えた水槽中で攪拌する方法等が好ましいものとして挙げられる。これをエジェクター等の気流を発生させる吸引ノズルと短繊維集合体を回収するボックスとを組み合わせた装置に投入することで、短繊維集合体を製造することが可能である。吸引ノズルには圧空が引き込まれており、そのノズル内部の形状によって気流に変化が生じる。攪拌・絡合させた短繊維を吸引ノズルに通すことで、ノズルによって生じた気流変化の影響を受けて、短繊維同士の絡合がより促進されることにより、球状の形態が安定化することとなる。さらに絡合させた短繊維が吸引ノズル後のボックス壁に衝突することで、短繊維の絡合が部分的に緩むことにより、嵩高性が付与された短繊維集合体が形成される。この吸引ノズルに引き込む圧空圧が高いほど、絡合された短繊維の回収ボックスへの衝突力が大きくなるため、嵩高性が向上する傾向にあるが、一方で球状形態の崩れが発生しやすくなり、形態の崩れた短繊維集合体同士で絡み合いが生じることで、風合いを損なってしまう。このため、短繊維集合体の嵩高性と形態の安定化を両立するという観点から、吸引ノズルに使用する圧空圧は0.6MPa以下とすることが好ましい。また、本発明範囲内における所望のサイズの短繊維集合体を得るという観点から、製造装置に投入する短繊維量を0.001〜0.01g/個とすることが好ましい。
本発明の短繊維集合体は、羽毛に類似する風合いを有しており、寝装寝具や防寒衣料等の詰め綿素材として好適に用いることができるものである。
以下実施例を挙げて、本発明の短繊維集合体について、具体的に説明する。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
A.短繊維集合体の直径
短繊維集合体1個をノギスに挟んで直径を測定した。これを無作為に抽出した10個の短繊維集合体について実施し、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を短繊維集合体の直径とした。
B.短繊維の捲縮数
滑らかな紙片上に25mmの空間距離を設けた区分線を作り、に捲縮が伸びきらないように短繊維の両端を接着剤で貼り付け、25mm空間内における捲縮数を測定した。捲縮数は山と谷を数えた値を2で除した値とした。なお捲縮状態で25mmに満たない短繊維については、紙片上に捲縮が伸びきらないように両端を接着剤で貼り付け、この短繊維の両端間距離内に存在する捲縮数を測定し、25mm間における捲縮数に換算した。これを無作為に抽出した20本の短繊維について実施し、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数値とした値を短繊維の捲縮数とした。
C.嵩高性
電子天秤を用いて繊維集合体を0.5g計量し、内径が30mmのメスシリンダーに入れて、この上にメスシリンダーの内径と同径の円状板(0.5g)を載せた。さらに円状板の上に分銅(1.5g)を載せ、短繊維集合体に計2.0gの荷重を加えたときの高さを測定した。この高さから下記の式より、短繊維集合体の単位重量当たりの体積(=嵩高性)を算出した。嵩高性は小数点以下1桁目を四捨五入して整数値とした。
嵩高性=(円筒の底面積)×(短繊維集合体の2g荷重時高さ)/(短繊維集合体の重量) 。
D.短繊維の繊維長
短繊維に0.2g/dtexの荷重をかけて、捲縮が伸びた状態の長さを定規によって測定した。これを無作為に抽出した20本の短繊維について実施し、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を短繊維の繊維長とした。
E.単糸繊度
短カット前の長繊維を検尺機によって100mカセ取りし、電子天秤を使用して重量を測定した。この測定重量を100倍することで繊度を算出し、構成される長繊維本数で除した。これを10回繰り返し、その平均の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁目まで求めた値を単糸繊度とした。
F.短繊維断面の異形度
短繊維集合体から短繊維を抜き出し、剃刀によって繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面をNikon製電子顕微鏡E−SEMにより撮影した。この画像から、切断面に外接する真円の径を外接円径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、下記の式から異形度を求めた。
異形度=(繊維断面の外接円径)/(繊維断面の内接円径)
これを無作為に抽出した10本の短繊維について求め、その平均の小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁目まで求めた値を異形度とした。
G.断面二次モーメント(M)
短繊維集合体から短繊維を抜き出し、剃刀によって繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面をNikon製電子顕微鏡E−SEMにより撮影した。この切断面画像から、丸断面については直径、正三角形断面については辺長および高さ、扁平断面については長軸長および短軸長、中空断面については、外径および内径(中空部の直径)を測定した。これら各断面形状について測定した値から、下記の式により断面二次モーメント(M)を算出した。
丸 : M=π×(断面直径)/64
正三角形 : M=断面の辺長×(高さ)/36
扁平 : M=断面の長軸長×(断面の短軸長)/12
中空 : M=π×{(断面の外径)−(断面の内径)}/64
これを無作為に抽出した10本の短繊維について求め、その平均値(有効数字3桁)を断面二次モーメント(M)とした。
H.短繊維断面の扁平率
短繊維集合体から短繊維を抜き出し、剃刀によって繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面をNikon製電子顕微鏡E−SEMにより撮影した。この画像から、扁平断面となっているものについて、切断面の長軸長と短軸長を測定し、下記の式により扁平率を算出した。
扁平率=(断面の長軸長)/(断面の短軸長)
これを無作為に抽出した10本の短繊維について求め、その平均の小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁目まで求めた値を扁平率とした。
I.短繊維の中空率
短繊維集合体から短繊維を抜き出し、剃刀によって繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面をNikon製電子顕微鏡E−SEMにより撮影した。この画像から、繊維断面の外径および内径(中空部の直径)を測定し、繊維の見かけ断面積および中空部の断面積を算出した。短繊維の中空率は、繊維の見かけ断面積に占める中空部の断面積の割合として、下記の式により算出した。
中空率(%)=(中空部の断面積)/(繊維の断面積(中空部を含む))
これを無作為に抽出した10本の短繊維について求め、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を中空率とした。
J.保温性(clo値)
短繊維集合体を50cm×50cmの側地に100g詰めた布団サンプルを作製し、JIS L1096(1999)に準じて、短繊維集合体のclo値を測定した。
K.圧縮率および圧縮回復率
電子天秤を用いて繊維集合体を0.5g計量し、内径が30mmのメスシリンダーに入れて、この上にメスシリンダーの内径と同径の円状板(0.5g)を載せた。さらに円状板の上に分銅(1.5g)を載せて、短繊維集合体に計2gの荷重を加えたときの高さを測定し、この高さを初期高さとした。次いで1.5gの分銅を外し、19.5gの分銅を載せて計20gの荷重を加えたときの高さを圧縮高さ、19.5g荷重を外して10分後に1.5gの分銅を載せて、計2gの荷重を加えたときの高さを圧縮回復高さとして、下記の式から短繊維集合体の圧縮率および圧縮回復率を算出した。圧縮率および圧縮回復率は小数点以下1桁目を四捨五入して整数値とした。
圧縮率(%)=(初期高さ−圧縮高さ)/(初期高さ)×100
圧縮回復率(%)=(圧縮回復高さ−圧縮高さ)/(初期高さ−圧縮高さ)×100 。
L.風合い評価
短繊維集合体を50cm×50cmの側地に100g詰めた布団サンプルを作製した。この布団サンプル面を、垂直方向に手で押したときの触感による風合いを判断し、以下のように4段階で評価した。
優 :しなやかさに優れた風合い
良 :しなやかさが良好な風合い
可 :しなやかさを感知できる風合い
不可 :しなやかさに乏しい風合い。
実施例1
島成分として、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、海成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%共重合したPET(共重合PET)を290℃で別々に溶融後、計量し、孔径0.3mmの丸断面吐出孔を15孔有する特開2011−174215号公報に記載の海島複合口金(1孔当たり島数:12)を使用して複合紡糸した。吐出プレート直上の分配プレート孔配列パターンを図5として、分配溝の長軸が短軸に対して3倍の長さであるものを使用し、海/島成分の複合比を30/70、総吐出量35g/分とした。吐出された複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与して、1500m/分の速度で巻取ることで、未延伸糸を得た。次いで、巻き取った未延伸糸を90℃と130℃に加熱したローラー間で延伸速度600m/minとし、3.0倍延伸を行い、78dtex−15フィラメントの延伸糸を得た。この海島複合繊維の延伸糸を27ゲージに設定した筒編機を使用して、編地化し、次いで、作製した編地を1%水酸化ナトリウム水溶液中で90℃、40分攪拌処理することで、海成分の共重合PETを除去した。この海成分除去後の編地を解編装置にて解いて得られた長繊維は単糸繊度が0.30dtexであり、繊維断面は扁平率が3.0の扁平形状であった。この長繊維をギロチンカッターで切断して、編目により捲縮(捲縮数:10山/25mm)が付与された繊維長50mmの短繊維を製造した。
この短繊維をカード機にて開繊処理した後、短繊維集合体が0.02g/個となるように電子天秤で計量して玉状綿加工機に投入し、空気圧2.0MPa、10m/秒の空気気流下で10分間攪拌して球状の形態とし、圧空圧0.2MPaで気流を引き込む吸引ノズルを通して回収ボックスに送り込むことにより、直径15mmの短繊維集合体を製造した。
該短繊維集合体の嵩高性は110cm/gであり、clo値が8.5と保温性に優れたものであった。圧縮率は73%、圧縮回復率は93%と圧縮性および圧縮回復性に優れたものであり、座布団に詰めた状態での触感による風合い評価において、しなやかさに優れた風合い(風合い評価:優)を呈した。結果を表1に示す。
実施例2〜4
短繊維集合体の加工時における気流下での攪拌速度を30m/秒(実施例2)、18m/秒(実施例3)、8m/秒に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例2の短繊維集合体は、直径が5mmで、良好な保温性を有し、圧縮回復性に優れ、十分な圧縮性を有しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
実施例3の短繊維集合体は、直径が10mmで、保温性と圧縮回復性に優れ、圧縮性も良好なものであり、風合い評価において、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例4の短繊維集合体は、直径が20mmで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。結果を表1に示す。
比較例1、2
短繊維集合体の加工時における気流下での攪拌速度を36m/秒(比較例1)、5m/秒(比較例2)に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
比較例1の短繊維集合体は、直径が3mmで、短繊維の脱落や短繊維集合体の球状構造に崩れがみられた。圧縮回復性には優れるものの、保温性および圧縮性が不十分なものであり、しなやかさに乏しい風合いであった(風合い評価:不可)。
比較例2の短繊維集合体は、直径が25mmで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであったが、吸引ノズルを通した際に短繊維集合体同士での絡み合いが発生しており、短繊維集合体が独立していることによって得られるしなやかな風合いが損なわれたものであった(風合い評価:不可)。結果を表1に示す。
Figure 0006492584
実施例5〜7
編地化に使用する筒編み機の設定を14ゲージ(実施例5)、20ゲージ(実施例6)、41ゲージに変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例5の短繊維集合体は、構成される短繊維の捲縮数が5山/25mmで、良好な保温性を有し、圧縮性に優れ、圧縮回復性も十分なものであり、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
実施例6の短繊維集合体は、構成される短繊維の捲縮数が7山/25mmで、保温性に優れ、優れた圧縮性と良好な圧縮回復性を有するものであった。風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例7の短繊維集合体は、構成される短繊維の捲縮数が15山/25mmで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価においては、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。結果を表2に示す。
比較例3、4
編地化に使用する筒編み機の設定を5ゲージ(比較例3)、30ゲージ(比較例4)に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
比較例3の短繊維集合体は、構成される短繊維の捲縮数が3山/25mmで、圧縮性には優れるものの、保温性および圧縮回復性が不十分なものであり、しなやかさに乏しい風合いであった(風合い評価:不可)。
比較例4の短繊維集合体は、構成される短繊維の捲縮数が20山/25mmであり、保温性および圧縮回復性には優れるものの、圧縮性が不十分であり、しなやかさに乏しい風合いを呈した(風合い評価:不可)。結果を表2に示す。
Figure 0006492584
実施例8〜13
編地を解編装置により解いた後の切断長を変更し、短繊維集合体を構成する短繊維の繊維長を5mm(実施例8)、10mm(実施例9)、20mm(実施例10)、80mm(実施例11)、100mm(実施例12)、200mm(実施例13)に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例8の短繊維集合体は、良好な保温性を有し、圧縮性に優れ、圧縮回復性が十分なものであり、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
実施例9の短繊維集合体は、良好な保温性を有し、圧縮性に優れ、圧縮回復性が良好なものであり、風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例10の短繊維集合体は、保温性、圧縮性に優れ、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例11の短繊維集合体は、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例12の短繊維集合体は、保温性、圧縮回復性に優れ、圧縮回復性が良好なものであり、風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例13の短繊維集合体は、保温性、圧縮回復性に優れ、十分な圧縮性を有しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。結果を表3に示す。
Figure 0006492584
実施例14、15
海/島成分の複合比を60/40、総吐出量を16g/分とし、溶融紡糸に使用する複合口金の吐出孔数を18孔、総吐出1孔当たり島数を70(実施例14)、16(実施例15)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例14の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が0.01dtexで、良好な保温性を有し、優れた圧縮性と十分な圧縮回復性を示しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
実施例15の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が0.05dtexで、良好な保温性を有し、圧縮性に優れ、圧縮回復性が良好なものであった。風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例16
海/島成分の複合比を50/50、総吐出量を16g/分に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例16の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が0.10dtexで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価においては、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
結果を表4に示す。
実施例17〜18、参考実施例19
溶融紡糸に使用する複合口金の吐出孔数を4孔、1孔当たり島数を4とし、海/島成分の複合比を20/80とし、総吐出量を27g/分(実施例17)、36g/分(実施例18)、45g/分(参考実施例19)としたこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例17の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が3.00dtexで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例18の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が4.00dtexで、優れた保温性と圧縮回復性を有し、圧縮性が良好なものであった。風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
参考実施例19の短繊維集合体は、構成される短繊維の単糸繊度が5.00dtexであり、圧縮率が若干劣るものの、優れた保温性と圧縮回復性有しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。結果を表4に示す。
Figure 0006492584
実施例20
孔径0.3mmの丸断面吐出孔を15孔有するパイプ型海島複合口金(島数12)を使用したこと以外は、実施例1に従い実施し、脱海処理後の短繊維は断面形状が丸断面であった(異形度:1.0)。
該短繊維集合体は、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。結果を表5に示す。
実施例21
特開2011−174215号公報に記載の複合口金を使用し、吐出プレート直上の分配プレートの孔の配列パターンを図6の配列としたこと以外は、実施例1に従い実施し駄脱海処理後の短繊維は断面形状が正三角形であった(異形度:2.0)。
該短繊維集合体は、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。結果を表5に示す。
実施例22、23
特開2011−174215号公報に記載の複合口金を使用し、吐出プレート直上の分配プレート孔配列パターンを図5として、分配溝の長軸が短軸に対して5倍(実施例22)、8倍(実施例23)の長さであるものを使用したこと以外は、実施例1に従い実施し、いずれも脱海処理後の短繊維は断面形状が扁平であった。
実施例22の短繊維集合体は、構成される短繊維断面の扁平率が5.2で、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例23の短繊維集合体は、構成される短繊維断面の扁平率が8.1で、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価において、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
結果を表5に示す。
参考実施例24、実施例25〜29
口金を芯鞘複合口金(吐出孔数12)に変更して、芯成分を共重合PET、鞘成分をPETとし、短繊維集合体を構成する短繊維の断面形状を中空断面とし、実施例19の単糸繊度5dtexの丸断面における繊維径(16.6μm)と各芯鞘複合断面の外径とが一致するように、芯/鞘成分の複合比を10/90(参考実施例24)、15/85、(実施例25)、20/80(実施例26)、60/40(実施例27)、70/30(実施例28)、80/20(実施例29)に変更して、総吐出量33.8g/分で芯鞘複合紡糸を実施し、編地化した後に芯成分の共重合PETを除去して、中空断面繊維としたこと以外は、実施例1に従い実施した。
参考実施例24の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が10%、単糸繊度が4.50dtexで、圧縮率が若干劣るものの、優れた保温性と圧縮回復性有しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
実施例25の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が15%、単糸繊度が4.30dtexで、優れた保温性と圧縮回復性、良好な圧縮性を有しており、風合い評価において、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例26の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が20%、単糸繊度が4.00dtexで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価においては、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例27の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が60%、単糸繊度2.0d0texで、保温性、圧縮性、圧縮回復性のいずれも優れたものであり、風合い評価においては、しなやかさに優れた風合いを呈した(風合い評価:優)。
実施例28の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が70%、単糸繊度1.50dtexで、保温性、圧縮性に優れ、圧縮回復性も良好なものであった。風合い評価においては、しなやかさが良好な風合いを呈した(風合い評価:良)。
実施例29の短繊維集合体は、構成される短繊維の中空率が80%、単糸繊度1.00dtexで、保温性、圧縮性に優れ、十分な圧縮回復性を有しており、しなやかさを感知できる風合いであった(風合い評価:可)。
結果を表5に示す。
Figure 0006492584
本発明の短繊維集合体は優れた嵩高性に加えて、柔軟性に富んだしなやかな風合い、圧縮後の回復性に優れた特性を有しているので、布団や枕などの寝装寝具や防寒具等の衣料品の詰め綿などに好適である。
1 短繊維集合体
2 捲縮が付与された短繊維
3 島成分の外接円
4 島成分
5 島成分の内接円
6 計量プレート
7 分配プレート
8 吐出プレート
9−(a) 計量孔1
9−(b) 計量孔2
10−(a) 分配溝1
10−(b) 分配溝2
11−(a) 分配孔1
11−(b) 分配孔2
12 吐出導入孔
13 縮小孔
14 吐出孔
15 環状溝

Claims (7)

  1. 短繊維が単成分のポリマーからなり、単糸繊度が0.01〜4.30dtex、捲縮数が5〜15山/25mmであって、この短繊維で構成される集合体の直径が5〜20mm、嵩高性が90cm/g以上である短繊維集合体。
  2. 短繊維の繊維長が5〜200mmある請求項1に記載の短繊維集合体。
  3. 短繊維の繊維断面の異形度が2.0以上である請求項1または2に記載の短繊維集合体。
  4. 短繊維の繊維断面形状が扁平であって、その断面の短軸長をa、長軸長をbとしたときに扁平率b/aが3.0以上である請求項3に記載の短繊維集合体。
  5. 短繊維が中空断面繊維であって、その中空率が10〜80%である短繊維で少なくとも一部が構成される請求項1または2に記載の短繊維集合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の短繊維集合体が少なくとも一部を構成する繊維製品。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の短繊維集合体が少なくとも一部を構成する詰め綿。
JP2014241688A 2014-11-28 2014-11-28 短繊維集合体 Active JP6492584B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014241688A JP6492584B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 短繊維集合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014241688A JP6492584B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 短繊維集合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016101361A JP2016101361A (ja) 2016-06-02
JP6492584B2 true JP6492584B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=56087992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014241688A Active JP6492584B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 短繊維集合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6492584B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH676358A5 (ja) * 1986-08-29 1991-01-15 Breveteam Sa
JPH06134150A (ja) * 1992-10-28 1994-05-17 Nippon Ester Co Ltd 詰物用玉状綿
JPH08229255A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Nippon Ester Co Ltd 詰綿用玉状綿
JP2001207360A (ja) * 2000-01-27 2001-08-03 Nippon Ester Co Ltd 玉状綿及び繊維構造体
JP4298484B2 (ja) * 2003-12-02 2009-07-22 ユニチカファイバー株式会社 玉状綿
JP2006345920A (ja) * 2005-06-13 2006-12-28 Toray Ind Inc 詰め物
JP2013027470A (ja) * 2011-07-27 2013-02-07 Toray International Inc ウォッシャブルで快適性・保温性を有する羽毛ライクな詰め綿体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016101361A (ja) 2016-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6651849B2 (ja) 海島複合繊維、複合極細繊維および繊維製品
JP5507479B2 (ja) 布帛帯及び補助布帛帯
KR102278861B1 (ko) 벌키사
TWI723972B (zh) 自我黏著性不織布
KR20180033171A (ko) 벌키사
CN107208321B (zh) 聚酯中空纤维球状体
JP2013256739A (ja) マスク用不織布およびマスク
TWI772368B (zh) 積層不織布及面膜
JP6278775B2 (ja) 表皮材
JP6492584B2 (ja) 短繊維集合体
JP2008095226A (ja) シート状物およびその製造方法
JP3725716B2 (ja) 極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シート
JP5578185B2 (ja) 混綿詰め綿
JP6728936B2 (ja) 嵩高構造糸
JP7140774B2 (ja) 繊維構造体およびその製造方法
JPS6037230B2 (ja) 人工皮革
JP5746493B2 (ja) 立体捲縮短繊維及び詰綿並びに繊維製品
JP4932888B2 (ja) カーペットのタフティング方法
JP2017166103A (ja) 海島型中空複合繊維および繊維球状体
JP6897085B2 (ja) 分割型複合繊維
JP3185098U (ja) 化粧用パフ
JP4728160B2 (ja) 分割型複合繊維、繊維集合物および不織布
JP6208549B2 (ja) セルロース繊維を用いた不織布
JPH01201566A (ja) 嵩高スパンボンド不織布
JPH11169401A (ja) 柄付きガーゼ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180619

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6492584

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151