JP6278775B2 - 表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、成形時の追従性に優れ、品位が良い内装材を調製可能な表皮材に関する。
従来から自動車など車両用の天井材やインシュレーター材などの各種内装材を調製可能な表皮材として、例えば、不織布あるいは織物や編物などの布帛に、アクリル系樹脂を含んだバインダを付与した表皮材が用いられている。そして、例えば金型などの加熱板や加熱ローラなどの加熱手段によって熱、あるいは、熱及び圧力を表皮材へ作用させることで、表皮材に含まれているバインダを加熱して融解あるいは軟化させ、表皮材を所望の形状に成形して各種内装材が調製される。
このような表皮材として、例えば、特開2012−102437号公報(以降、特許文献1と称する)には、ガラス転移温度の低いアクリル系樹脂(以降、低Tgアクリル系樹脂と称する)および低Tgアクリル系樹脂よりも高いガラス転移温度を有するアクリル系樹脂(以降、高Tgアクリル系樹脂と称する)を含んだバインダを繊維基材に付与してなる熱成形用表皮基材が開示されている。また、特許文献1には、低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダを備える熱成形用表皮基材は、成形時の追従性に優れることが開示されている。
特開2012−102437号公報(特許請求の範囲、0001、0040、0060−0073、0079、00833など)
本願発明者らは、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材について検討した。
上述の構成を備える表皮材は、熱、あるいは、熱及び圧力を作用させて表皮材を成形(以降、成形と省略し称することがある)して内装材を調製する時の追従性に優れるものの、内装材における表皮材側の表面(以降、内装材の表面と称することがある)にいわゆるアバタ状あるいは柚子肌状と称される凹凸が発生していることがあり、品位の良い内装材を提供することが困難であった。
特に、成形時の追従性に優れる表皮材を提供するため、バインダ中に含まれる低Tgアクリル系樹脂の固形分質量比率をバインダ中に含まれる高Tgアクリル系樹脂の固形分質量比以上にしたバインダや、バインダ成分としてガラス転移温度の低いアクリル系樹脂のみからなるバインダといった、より軟性に富むバインダを含んだ追従性に優れると考えられる表皮材について検討したところ、内装材の表面に凹凸が発生し易くなる傾向があった。
本発明では、成形時の追従性に優れ、品位が良い内装材を調製可能な表皮材の提供を目的とする。
本発明は、
「低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材であって、
前記バインダは前記布帛の表面に付与されており、
前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であり、
前記低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は、前記高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度および表皮材の成形温度よりも低く、
前記低Tgアクリル系樹脂は下記の測定で評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、表皮材。

1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cm2の圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
(i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
(ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である」
である。
本発明者らは検討を続けた結果、調製した内装材の表面に凹凸が発生するのは、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動して、調製した内装材の表面にバインダの存在量が多い部分と少ない部分が生じたためであることを見出した。
そして、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動し易いものか否かは、バインダのガラス転移温度やバインダに含まれる低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度のみに依存するものではなく、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の加熱を受けた際の流動性によって影響を受けるものであり、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を採用することで、成形により調製した内装材の表面に凹凸が発生し難くなることを見出した。
そして、上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂は、加熱を受けた際の流動性が低いものであることを見出した。
本発明の表皮材は、低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材であって、バインダが表皮材の成形温度よりも低いガラス転移温度を有する低Tgアクリル系樹脂を含んでいるため、表皮材は所望の形状に成形可能であると共に、バインダが低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んでいるため、表皮材は成形時の追従性に優れる。
また、布帛の表面にバインダが付与されてなる本発明の表皮材は、構成繊維同士がバインダによって結合しているため、成形時に布帛に亀裂や破断が生じるのを防いで、更に、品位が良い内装材を調製可能な表皮材であると共に、前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であるため、所望の形状に成形し易い表皮材である。
そして、バインダが上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を含んでいるため、表皮材の成形時に低Tgアクリル系樹脂が流動し難いことで、内装材の表面に凹凸が発生するのを防止して品位の良い内装材を調製可能な表皮材を提供できる。
本発明の表皮材は、低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダを備えている。
低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂はともにアクリル系樹脂であり、本発明の条件を満足する組み合わせであるならば低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂の種類は適宜選択するが、例えば、アクリル酸エステル樹脂(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなど)、メタクリル酸エステル樹脂(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなど)などを低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂として使用することができる。
低Tgアクリル系樹脂は、高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有するアクリル系樹脂である。低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度と高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度との温度差は適宜調整するが、所望の形状に成形し易い表皮材を提供できるように、温度差は10℃以上であるのが好ましく、15℃以上であるのがより好ましい。
そして、低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は表皮材の成形温度よりも低い。低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度と表皮材の成形温度との温度差は適宜調整するが、所望の形状に成形し易い表皮材を提供できるように、温度差は120℃以上であるのが好ましい。
また、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は本発明の構成を満足するように適宜調整するが、例えば、低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は−75℃以上0℃未満であることができる。また、高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は0℃以上75℃以下であることができる。
なお、本発明でいうガラス転移温度とは、非晶質固体状態にガラス転移を起こす温度であり、JIS K7121−1987に則って描いたDSC曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)をいう。そして、成形温度とは表皮材を用いて内装材を調製する過程において、表皮材が最も高い温度に加熱された際の温度を指す。
更に、低Tgアクリル系樹脂は以下に記載する測定方法へ供することで評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足するアクリル系樹脂である。
1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cmの圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
(i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
(ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である。
なお、上述した測定方法へ供する樹脂として、低Tgアクリル系樹脂のみ、高Tgアクリル系樹脂のみ、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂を含んだ樹脂を用いて測定を行うことができる。
プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生しているか否か、また、前記波うちが発生している場合の前記波うちの高さは、以下の方法で判断および算出できる。
1.プレスを施した後の、平滑な板−アルミホイル−プレスを施した後の試験片の順に積層してなる積層体を、アルミホイルの主面と平行を成す方向から見る。
2.前記方向から見た際のプレスを施した後の試験片において、露出している主面における最もアルミホイルに近い部分に存在する主面部分と、最もアルミホイルから離れた部分に存在する主面部分を見つける。
3.アルミホイルの主面と垂直を成す方向における前記両主面部分間の長さを、ノギスを用いて測定し、前記長さが0.1mmよりも小さい場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に波うちが発生しなかったと判断し、前記長さが0.1mm以上の場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に波うちが発生したと判断する。また、前記長さが2mm以上の場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に、高さが2mm以上の波うちが発生したと判断する。
なお、バインダ溶液やバインダディスパージョンなどのバインダ液から試験片を調製する場合には、バインダ液に含まれている溶媒や分散媒を自然乾燥などによって除去し、得られた樹脂を軟化あるいは融解させ成形することで試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を調製できる。
本発明者らは検討を続けた結果、調製した内装材の表面に凹凸が発生するのは、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動して、調製した内装材の表面にバインダの存在量が多い部分と少ない部分が生じたためであることを見出した。
そして、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動し易いものか否かは、バインダのガラス転移温度やバインダに含まれる低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度のみに依存するものではなく、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の加熱を受けた際の流動性によって影響を受けるものであり、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を採用することで、成形により調製した内装材の表面に凹凸が発生し難くなることを見出した。
そして、上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂は、加熱を受けた際の流動性が低いものであることを見出した。
この理由は完全には明らかになっていないが、バインダが上述の(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂を含んでいると、表皮材を成形した際にバインダが意図せず変形(流動)し難い。そのため、表皮材を成形することで調製した内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供できると考えられる。
また、低Tgアクリル系樹脂のみならず、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂を含んだ樹脂(バインダ)も、上述した測定で評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足すると、更に、内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
なお、低Tgアクリル系樹脂が上述した測定で評価した(i)および(ii)の2項目以外にも、
(iii)アルミホイルからプレスを施した後の試験片を、アルミホイルに破れを発生させることなく剥離できる、
(iv)プレスを施した後の試験片に破れや亀裂が発生していない、あるいは、発生した破れや亀裂の長さが5mm未満である、
という(iii)および(iv)の2項目をいずれも満足する場合には、更に、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
なお、プレスを施した後の試験片に破れや亀裂が発生していた場合、前記破れや亀裂の端部間を結ぶ線分を複数引き、各線分の長さをノギスを用いて測定する。そして、最も長い線分の長さが5mm未満である場合に、プレスを施した後の試験片に発生した破れや亀裂の長さが5mm未満であると判断する。
この理由は完全には明らかになっていないが、次の作用効果が発揮されるためだと考えられる。
表皮材に加熱手段を接触させることで表皮材を成形した後、内装材における表皮材側の表面から加熱手段を離す際にバインダが加熱手段に接着していると、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに対して加熱手段が離れる方向へ力がかかり、内装材における表皮材側の表面からバインダが剥離する、あるいは、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに破れや亀裂が生じることがある。その結果、調製した内装材の表面にバインダの剥離した部分が存在することに起因する凹凸や、バインダに破れや亀裂が生じた部分が存在することに起因する凹凸が発生して、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供することが困難になる。
それに対し、バインダが上述の(iii)および(iv)の2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂を含んでいると、バインダが加熱手段に接着するのを防止できるため、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに対して加熱手段が離れる方向へ力がかかり難くなり、内装材における表皮材側の表面からバインダが剥離する、あるいは、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに破れや亀裂が生じるのを防止できるため、更に、内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供できると考えられる。
そのため、表皮材の成形温度において上述した測定で評価した(i)〜(iv)の4項目を全て満足する低Tgアクリル系樹脂を使用するのがより好ましい。
また、低Tgアクリル系樹脂のみならず、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂を含んだ樹脂(バインダ)も、上述した測定で評価した(i)〜(iv)の4項目を全て満足すると、更に、内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂の質量比率は適宜調整するが、(低Tgアクリル系樹脂の質量:高Tgアクリル系樹脂の質量=10質量%:90質量%〜90質量%:10質量%)であることができる。特に、所望の形状に成形し易い表皮材を提供できることから、バインダ中に含まれる低Tgアクリル系樹脂の質量はバインダ中に含まれる高Tgアクリル系樹脂の質量以上であるのが好ましい。この時、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であることができる。
本発明のバインダは、成形時の追従性に優れ、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供できるのであれば、低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂以外にも他の有機ポリマー(以降、非アクリル系樹脂と称することがある)を含有しても良い。
非アクリル系樹脂の種類は適宜調整できるが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂など、公知の有機ポリマーを使用できる。
特に、バインダがメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでいると、成形時にバインダが加熱手段に接着するのを防止でき、加熱手段からの離型性やトリミング性に優れる表皮材を提供でき好ましい。
なお、非アクリル系樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。更には、多成分の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良い。
また、バインダは上述したアクリル系樹脂や非アクリル系樹脂以外にも、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤や抗黴剤、光触媒などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明でいう布帛とは、例えば、不織布あるいは織物や編物などの繊維構造体を指す。本発明の表皮材は布帛を備えているため、柔軟で成形時の追従性に優れる。特に、本発明の表皮材を構成する布帛が不織布であると、更に柔軟で成形時の追従性に優れ好ましい。
布帛の構成繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂、またはこれらにシリコーンやフッ素等を共重合した樹脂)など、公知の有機ポリマーを用いて構成できる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。更には、多成分の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良い。
なお、難燃性が求められる用途に使用できる表皮材が必要な場合には、布帛の構成繊維が難燃性の有機ポリマーを含んでいるのが好ましい。このような難燃性の有機ポリマーとして、例えば、モダアクリル樹脂、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、リン化合物を共重合したポリエステル樹脂、ハロゲン含有モノマーを共重合したアクリル樹脂、アラミド樹脂、ハロゲン系やリン系又は金属化合物系の難燃剤を練り込んだ樹脂などを挙げることができる。
構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009−287138号公報に開示の方法)など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
構成繊維は、一種類の有機ポリマーから構成されてなるものでも、複数種類の有機ポリマーから構成されてなるものでも構わない。複数種類の有機ポリマーから構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
また、構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
布帛が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって、布帛に強度と形態安定性を付与し毛羽立ちを抑制でき好ましい。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような態様の一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維において熱融着性を発揮する成分(有機ポリマー)として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用することができる。
また、布帛が捲縮性繊維を含んでいる場合には、伸縮性が増して成形時の追従性に優れ好ましい。このような捲縮性繊維として、例えば、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維やクリンプを有する繊維などを使用することができる。
なお、布帛が織物や編物である場合、上述の繊維を織るあるいは編むことで調製できる。
布帛が不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009−287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法などによって調製できる。
また、繊維ウェブや不織布における繊維の絡合の程度を調整するため、繊維ウェブをニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することができる。また、繊維ウェブへバインダを付与することで繊維同士を一体化してなる不織布を調製してもよい。
布帛の構成繊維の繊度は適宜調整するが、補強効果を高める上では1dtex以上であるのが好ましく、1.5dtex以上であるのがより好ましい。他方、均質な地合いであることで主面が平滑な内装材を調製可能な表皮材となるように、100dtex以下であるのが好ましく、50dtex以下であるのがより好ましく、30dtex以下であるのがより好ましく、10dtex以下であるのが更に好ましい。また、布帛の構成繊維の繊維長も適宜調整するが、補強効果を高める上では、20mm以上であるのが好ましく、25mm以上であるのがより好ましく、30mm以上であるのが更に好ましい。他方、繊維長が110mmを超えると、布帛の調製時に繊維塊が形成される傾向があり主面が平滑な内装材を調製可能な表皮材の提供が困難となるおそれがあることから、110mm以下であるのが好ましく、60mm以下であるのがより好ましい。
布帛の、例えば厚さや目付などの諸構成は適宜調整する。布帛の厚さは、0.5〜5mmであるのが好ましく、1〜3mmであるのがより好ましく、1.1〜1.9mmであるのが最も好ましい。また、布帛の目付は、例えば、50〜500g/mであるのが好ましく、80〜300g/mであるのがより好ましく、100〜250g/mであるのが最も好ましい。
なお、本発明において厚さとは20g/cm圧縮荷重時の厚みをいい、目付とは測定対象物の一番広い面(主面)における1mあたりの質量をいう。
布帛にバインダを付与して表皮材を調製する方法は適宜調整するが、例えば、
1.布帛をバインダ溶液やバインダ分散液(以降、合わせてバインダ液と称することがある)中に浸漬した後、バインダ液から引き上げた布帛を乾燥してバインダ液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
2.布帛にバインダ液あるいは泡立てたバインダ液を付与した後、バインダ液を付与した布帛を乾燥してバインダ液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
3.布帛に粒子状や繊維状あるいはウェブ状のバインダを付与し、バインダを付与した布帛をバインダの融点やガラス転移温度以上の温度に加熱して、布帛にバインダを一体化させる方法、
4.顔料を含有したバインダ液をプリント液として用意し、布帛の表面に模様が形成されるように印刷した後、プリント液を付与した布帛を乾燥してプリント液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
などを採用できる。また、上述した方法を一種類だけ使用して表皮材を調製しても、上述した方法を複数種類組み合わせて表皮材を調製してもよい。
なお、乾燥に際し加熱することでバインダ液やプリント液中の溶媒や分散媒を除去すると共に、バインダを融解あるいは軟化させて布帛を構成する繊維同士をバインダによって接着してもよい。
このとき、加熱する方法や温度は適宜選択あるいは調整する。加熱する方法としては、例えば、ヒートロールやテンターにより加熱する方法、熱風乾燥機へ供するなど加熱雰囲気下へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを、一種類あるいは複数種類組み合わせて用いることができる。加熱温度は適宜調整するが、150〜220℃であることができ、180℃〜200℃であることができる。
このようにして調製した表皮材では、構成繊維同士がバインダによって結合しているため、成形時に布帛に亀裂や破断が生じるのを防いで、更に、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供できる。
また、バインダ及び顔料がプリントされ模様が印刷されてなる本発明の表皮材は、成形時にバインダの意図しない流動が発生し難いため、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりするのを防止できる。そのため、意匠性に優れた内装材を調製可能な表皮材である。
なお、プリント液を用いて布帛の表面に模様を印刷した後、プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度は、表皮材を調製する過程において布帛およびバインダが加熱される温度のうち、最も高い温度となるようにするのが好ましい。このようにすることで、更に、品位が良い内装材を調製可能であると共に意匠性に優れた内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
この理由は完全には明らかになっていないが、プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度を前記最も高い温度にすることによって、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の架橋を促進でき、低Tgアクリル系樹脂における加熱を受けた際の流動性をより低くできるためだと考えられる。
プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度は適宜調整するが、プリント液を付与する前の布帛の調製過程において処理した加熱温度よりも、20℃以上高い温度であるのが好ましい。
プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度は適宜調整するが、180℃以上であるのが好ましく、200℃以上であるのがより好ましい。一方、上限値は適宜調整するが、プリント液を付与した布帛の乾燥により布帛の構成繊維が融解して意図せず変形するのを防止できるように、布帛を構成する繊維に含まれている有機ポリマーのうち最も高い融点を有する有機ポリマーの融点よりも低い温度で加熱するのが好ましい。具体的には、布帛がポリエステル繊維(融点:260℃)を含んでいる場合、成形温度は260℃未満であるのが好ましい。
布帛へ付与するバインダの質量は適宜調整するが、例えば、1g/m〜200g/m、5g/m〜100g/m、10g/m〜80g/m付与することができる。
上述したようにして調製した表皮材は、そのまま成形処理へ供して内装材を調製しても良いが、耐久性や剛性あるいは意匠性や難燃性の付与を目的として、例えば、別途用意した布帛、フィルムや発泡体シートなどの基材を用意し、基材と表皮材を積層した状態で成形処理へ供して内装材を調製しても良い。
なお、積層方法は適宜選択するが、例えば、ただ重ね合わせる方法、構成成分の有機ポリマーを軟化あるいは融解させることで積層一体化する方法、バインダを介して積層一体化する方法、ニードルパンチ処理や水流絡合処理などに供することで繊維の絡合により積層一体化する方法などを採用できる。
表皮材の形状は適宜調整できるものであり、求める形状の内装材を調製可能なように、切り抜きや打ち抜き、凹凸の形成、部分的に切れ込みを入れるなどして所望する形状に加工してもよい。
表皮材を成形して内装材を調製する際の、成形方法や成形温度は適宜選択あるいは調整する。成形方法として、例えば、上下一対の金型に挟み込み熱と圧力を作用させる方法や加熱ローラなどの加熱手段を使用する方法を挙げることができる。成形温度は低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度よりも高い温度であれば適宜調整するが、130℃以上であることができ、140℃以上であることができ、160℃以上であることができる。上限値は適宜調整するが、成形により布帛の構成繊維が融解して意図せず変形するのを防止できるように、布帛を構成する繊維に含まれている有機ポリマーのうち最も高い融点を有する有機ポリマーの融点よりも低い温度で加熱するのが好ましい。具体的には、布帛がポリエステル繊維(融点:260℃)を含んでいる場合、成形温度は260℃未満であるのが好ましい。
また、剛性や保形性あるいは意匠性に優れた内装材を提供するため、調製した内装材に例えば布帛やフィルムあるいは発泡体など別途用意した部材を積層してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(アクリル系樹脂の用意)
以下に挙げたアクリル系樹脂エマルジョンから分散媒を除去して、各種アクリル系樹脂を取得した。そして、取得したアクリル系樹脂を軟化させ成形することで試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を調製した。

・アクリル系樹脂A(ガラス転移温度:−40℃):
アクリル系樹脂エマルジョンA(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)AB−886、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:50質量%)より取得。
・アクリル系樹脂B(ガラス転移温度:30℃):
アクリル系樹脂エマルジョンB(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)AN−1190S、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
・アクリル系樹脂C(ガラス転移温度:−28.7℃):
バインダ混合液a(アクリル系樹脂エマルジョンA:80質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:20質量%を混合して調製)より取得。
・アクリル系樹脂D(ガラス転移温度:−22.6℃):
バインダ混合液b(アクリル系樹脂エマルジョンA:70質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:30質量%を混合して調製)より取得。
・アクリル系樹脂E(ガラス転移温度:−15℃):
アクリル系樹脂エマルジョンC(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)DS−23、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
・アクリル系樹脂F(ガラス転移温度:−5℃):
アクリル系樹脂エマルジョンD(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)E−240N、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
そして、調製した試験片を本発明に係る測定へ供し、各試験片が上述した(i)〜(iv)の項目を満足するものか否か評価し、表1にまとめた。
Figure 0006278775
○・・・項目を満足した。×・・・項目を満足しなかった。
(実施例1)
(プリント液の調製)
次の割合で配合したプリント液を調製した。
(1)増粘剤(日本ルーブリゾール株式会社製、カーボポール(登録商標)940):0.45質量%
(2)消泡剤(信越化学工業株式会社製、シンエツシリコーン(登録商標)KM−73):0.5質量%
(3)バインダ混合液b(アクリル系樹脂エマルジョンA:70質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:30質量%を混合して調製):20質量%
(4)白色顔料(DIC株式会社製、R.W.WHITE PASTE69:1.5質量%
(5)添加剤(大盛化工株式会社製、アンモニア水25%):1.0質量%
(6)増粘剤(日本カーバイド工業株式会社製、ニカゾール(登録商標)VT−253):1.0質量%
(7)水:75.55質量%
(表皮材の調製方法)
ポリエステル繊維(融点:260℃、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)をカード機へ供することで、繊維ウェブを調製した。その後、繊維ウェブにおける一方の主面からニードルパンチ処理(針密度:400本/m)を施して不織布(目付:145g/m、厚さ:2.5mm)を調製した。
そして、不織布におけるニードルパンチ処理を施した主面とは反対の主面に泡立てたバインダ混合液a(アクリル系樹脂エマルジョンA:80質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:20質量%を混合して調製)を塗布し、加熱温度を180℃に調整したヒートローラーへ供する事で加熱乾燥(一次加熱乾燥)した後、バインダ混合液aを塗布した主面に対しプリント液を用いて模様を印刷し加熱温度を180℃に調整した雰囲気下で加熱乾燥(二次加熱乾燥)することで、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製した。
(内装材の調製方法)
ガラスシート−発泡ウレタン−ガラスシート−ポリエチレンテレフタレートフィルムの順で積層してなる基材を用意し、ポリエチレンテレフタレートフィルムが露出している側の主面上に、上述のようにして調製した主面が装飾された表皮材を積層した。この時、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、主面が装飾された表皮材における、プリント液を塗布した主面と反対側の主面を向かい合わせ接触させて積層した。
そして、主面が装飾された表皮材と基材を積層した状態で上下一対の金型に挟み込み、熱と圧力を作用させてヒートプレス(成形温度:130℃)することで成形を施した後、冷却して内装材を調製した。
(実施例2)
二次加熱乾燥の加熱温度を200℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
(実施例3)
バインダ混合液aの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンCを用いて、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
(比較例1)
バインダ混合液aの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンCを用いると共にヒートローラーの加熱温度を165℃に変更したこと、ならびに、バインダ混合液bの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンDを用いると共に二次加熱乾燥の温度を170℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
(比較例2)
二次加熱乾燥の加熱温度を150℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、比較例1と同様にして内装材を調製した。
(比較例3)
バインダ混合液aならびにバインダ混合液bの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンDを用いて、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
(比較例4)
二次加熱乾燥の加熱温度を200℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、比較例3と同様にして内装材を調製した。
(内装材における主面の品位の確認)
目視により、内装材における表皮材側の表面(プリント液により模様が印刷されている表面)に凹凸が存在しているか否か、また、前記表面の模様の明確さを評価した。
評価の結果、実施例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、凹凸の存在は認められなかった。一方、比較例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、凹凸の存在が認められた。
また、実施例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりすることなく保存されており、明確な模様を有する意匠性に優れた内装材であった。一方、比較例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形した状態で保存されており、明確な模様を有していない意匠性に劣る内装材であった。
この理由として、本発明の表皮材では、ヒートプレスなど内装材を調製する過程でバインダの意図しない流動が発生し難いため、凹凸の発生や表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりするのを防止できたと考えられた。
また、実施例1−2で調製した内装材は実施例3で調製した内装材よりも、内装材の表面が平滑さに優れるものであった。
この理由として、実施例1−2はプリント液により模様を印刷する前の段階の不織布が本発明にかかるバインダを有していたため、低Tgアクリル系樹脂の存在による作用効果が効果的に発揮されて、更に、平滑さが向上したと考えられた。
更に、実施例2で調製した内装材は実施例1および3で調製した内装材よりも、更に、内装材の表面が平滑さに優れるものであった。
この理由として、実施例2では、プリント液を付与した不織布を乾燥する際の温度(二次加熱乾燥の加熱温度)が一次加熱乾燥の加熱温度よりも高い温度であり、表皮材を調製する過程において布帛が加熱される温度のうち最も高い温度であったため、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の架橋を促進でき、低Tgアクリル系樹脂における加熱を受けた際の流動性をより低くできたため、更に、平滑さが向上したと考えられた。
本発明により、例えば車両用インシュレーターや車両用天井材などの内装材を調製可能な表皮材を提供できる。

Claims (1)

  1. 低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材であって、
    前記バインダは前記布帛の表面に付与されており、
    前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であり、
    前記低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は、前記高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度および表皮材の成形温度よりも低く、
    前記低Tgアクリル系樹脂は下記の測定で評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、表皮材。

    1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
    2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
    3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
    4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cm2の圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
    5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
    (i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
    (ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である
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