JP6278775B2 - 表皮材 - Google Patents
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Description
上述の構成を備える表皮材は、熱、あるいは、熱及び圧力を作用させて表皮材を成形(以降、成形と省略し称することがある)して内装材を調製する時の追従性に優れるものの、内装材における表皮材側の表面(以降、内装材の表面と称することがある)にいわゆるアバタ状あるいは柚子肌状と称される凹凸が発生していることがあり、品位の良い内装材を提供することが困難であった。
特に、成形時の追従性に優れる表皮材を提供するため、バインダ中に含まれる低Tgアクリル系樹脂の固形分質量比率をバインダ中に含まれる高Tgアクリル系樹脂の固形分質量比以上にしたバインダや、バインダ成分としてガラス転移温度の低いアクリル系樹脂のみからなるバインダといった、より軟性に富むバインダを含んだ追従性に優れると考えられる表皮材について検討したところ、内装材の表面に凹凸が発生し易くなる傾向があった。
「低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材であって、
前記バインダは前記布帛の表面に付与されており、
前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であり、
前記低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は、前記高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度および表皮材の成形温度よりも低く、
前記低Tgアクリル系樹脂は下記の測定で評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、表皮材。
記
1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cm2の圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
(i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
(ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である」
である。
そして、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動し易いものか否かは、バインダのガラス転移温度やバインダに含まれる低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度のみに依存するものではなく、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の加熱を受けた際の流動性によって影響を受けるものであり、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を採用することで、成形により調製した内装材の表面に凹凸が発生し難くなることを見出した。
そして、上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂は、加熱を受けた際の流動性が低いものであることを見出した。
また、布帛の表面にバインダが付与されてなる本発明の表皮材は、構成繊維同士がバインダによって結合しているため、成形時に布帛に亀裂や破断が生じるのを防いで、更に、品位が良い内装材を調製可能な表皮材であると共に、前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であるため、所望の形状に成形し易い表皮材である。
そして、バインダが上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を含んでいるため、表皮材の成形時に低Tgアクリル系樹脂が流動し難いことで、内装材の表面に凹凸が発生するのを防止して品位の良い内装材を調製可能な表皮材を提供できる。
低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂はともにアクリル系樹脂であり、本発明の条件を満足する組み合わせであるならば低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂の種類は適宜選択するが、例えば、アクリル酸エステル樹脂(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなど)、メタクリル酸エステル樹脂(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなど)などを低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂として使用することができる。
そして、低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は表皮材の成形温度よりも低い。低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度と表皮材の成形温度との温度差は適宜調整するが、所望の形状に成形し易い表皮材を提供できるように、温度差は120℃以上であるのが好ましい。
また、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は本発明の構成を満足するように適宜調整するが、例えば、低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は−75℃以上0℃未満であることができる。また、高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は0℃以上75℃以下であることができる。
なお、本発明でいうガラス転移温度とは、非晶質固体状態にガラス転移を起こす温度であり、JIS K7121−1987に則って描いたDSC曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)をいう。そして、成形温度とは表皮材を用いて内装材を調製する過程において、表皮材が最も高い温度に加熱された際の温度を指す。
1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cm2の圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
(i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
(ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である。
1.プレスを施した後の、平滑な板−アルミホイル−プレスを施した後の試験片の順に積層してなる積層体を、アルミホイルの主面と平行を成す方向から見る。
2.前記方向から見た際のプレスを施した後の試験片において、露出している主面における最もアルミホイルに近い部分に存在する主面部分と、最もアルミホイルから離れた部分に存在する主面部分を見つける。
3.アルミホイルの主面と垂直を成す方向における前記両主面部分間の長さを、ノギスを用いて測定し、前記長さが0.1mmよりも小さい場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に波うちが発生しなかったと判断し、前記長さが0.1mm以上の場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に波うちが発生したと判断する。また、前記長さが2mm以上の場合、プレスを施した後の試験片における露出している主面に、高さが2mm以上の波うちが発生したと判断する。
そして、表皮材の成形時にバインダが意図せず流動し易いものか否かは、バインダのガラス転移温度やバインダに含まれる低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度のみに依存するものではなく、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の加熱を受けた際の流動性によって影響を受けるものであり、加熱を受けた際の流動性が低い低Tgアクリル系樹脂を採用することで、成形により調製した内装材の表面に凹凸が発生し難くなることを見出した。
そして、上述した測定で評価した2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂は、加熱を受けた際の流動性が低いものであることを見出した。
(iii)アルミホイルからプレスを施した後の試験片を、アルミホイルに破れを発生させることなく剥離できる、
(iv)プレスを施した後の試験片に破れや亀裂が発生していない、あるいは、発生した破れや亀裂の長さが5mm未満である、
という(iii)および(iv)の2項目をいずれも満足する場合には、更に、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
なお、プレスを施した後の試験片に破れや亀裂が発生していた場合、前記破れや亀裂の端部間を結ぶ線分を複数引き、各線分の長さをノギスを用いて測定する。そして、最も長い線分の長さが5mm未満である場合に、プレスを施した後の試験片に発生した破れや亀裂の長さが5mm未満であると判断する。
表皮材に加熱手段を接触させることで表皮材を成形した後、内装材における表皮材側の表面から加熱手段を離す際にバインダが加熱手段に接着していると、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに対して加熱手段が離れる方向へ力がかかり、内装材における表皮材側の表面からバインダが剥離する、あるいは、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに破れや亀裂が生じることがある。その結果、調製した内装材の表面にバインダの剥離した部分が存在することに起因する凹凸や、バインダに破れや亀裂が生じた部分が存在することに起因する凹凸が発生して、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供することが困難になる。
それに対し、バインダが上述の(iii)および(iv)の2項目をいずれも満足する低Tgアクリル系樹脂を含んでいると、バインダが加熱手段に接着するのを防止できるため、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに対して加熱手段が離れる方向へ力がかかり難くなり、内装材における表皮材側の表面からバインダが剥離する、あるいは、内装材における表皮材側の表面に存在するバインダに破れや亀裂が生じるのを防止できるため、更に、内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供できると考えられる。
また、低Tgアクリル系樹脂のみならず、低Tgアクリル系樹脂と高Tgアクリル系樹脂を含んだ樹脂(バインダ)も、上述した測定で評価した(i)〜(iv)の4項目を全て満足すると、更に、内装材の表面に凹凸が発生し難くなり、品位が良い内装材を調製可能な表皮材を提供でき好ましい。
また、繊維ウェブや不織布における繊維の絡合の程度を調整するため、繊維ウェブをニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することができる。また、繊維ウェブへバインダを付与することで繊維同士を一体化してなる不織布を調製してもよい。
なお、本発明において厚さとは20g/cm2圧縮荷重時の厚みをいい、目付とは測定対象物の一番広い面(主面)における1m2あたりの質量をいう。
1.布帛をバインダ溶液やバインダ分散液(以降、合わせてバインダ液と称することがある)中に浸漬した後、バインダ液から引き上げた布帛を乾燥してバインダ液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
2.布帛にバインダ液あるいは泡立てたバインダ液を付与した後、バインダ液を付与した布帛を乾燥してバインダ液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
3.布帛に粒子状や繊維状あるいはウェブ状のバインダを付与し、バインダを付与した布帛をバインダの融点やガラス転移温度以上の温度に加熱して、布帛にバインダを一体化させる方法、
4.顔料を含有したバインダ液をプリント液として用意し、布帛の表面に模様が形成されるように印刷した後、プリント液を付与した布帛を乾燥してプリント液中の溶媒や分散媒を除去する方法、
などを採用できる。また、上述した方法を一種類だけ使用して表皮材を調製しても、上述した方法を複数種類組み合わせて表皮材を調製してもよい。
このとき、加熱する方法や温度は適宜選択あるいは調整する。加熱する方法としては、例えば、ヒートロールやテンターにより加熱する方法、熱風乾燥機へ供するなど加熱雰囲気下へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを、一種類あるいは複数種類組み合わせて用いることができる。加熱温度は適宜調整するが、150〜220℃であることができ、180℃〜200℃であることができる。
また、バインダ及び顔料がプリントされ模様が印刷されてなる本発明の表皮材は、成形時にバインダの意図しない流動が発生し難いため、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりするのを防止できる。そのため、意匠性に優れた内装材を調製可能な表皮材である。
この理由は完全には明らかになっていないが、プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度を前記最も高い温度にすることによって、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の架橋を促進でき、低Tgアクリル系樹脂における加熱を受けた際の流動性をより低くできるためだと考えられる。
プリント液を付与した布帛を乾燥する際の温度は適宜調整するが、プリント液を付与する前の布帛の調製過程において処理した加熱温度よりも、20℃以上高い温度であるのが好ましい。
なお、積層方法は適宜選択するが、例えば、ただ重ね合わせる方法、構成成分の有機ポリマーを軟化あるいは融解させることで積層一体化する方法、バインダを介して積層一体化する方法、ニードルパンチ処理や水流絡合処理などに供することで繊維の絡合により積層一体化する方法などを採用できる。
以下に挙げたアクリル系樹脂エマルジョンから分散媒を除去して、各種アクリル系樹脂を取得した。そして、取得したアクリル系樹脂を軟化させ成形することで試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を調製した。
・アクリル系樹脂A(ガラス転移温度:−40℃):
アクリル系樹脂エマルジョンA(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)AB−886、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:50質量%)より取得。
・アクリル系樹脂B(ガラス転移温度:30℃):
アクリル系樹脂エマルジョンB(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)AN−1190S、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
・アクリル系樹脂C(ガラス転移温度:−28.7℃):
バインダ混合液a(アクリル系樹脂エマルジョンA:80質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:20質量%を混合して調製)より取得。
・アクリル系樹脂D(ガラス転移温度:−22.6℃):
バインダ混合液b(アクリル系樹脂エマルジョンA:70質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:30質量%を混合して調製)より取得。
・アクリル系樹脂E(ガラス転移温度:−15℃):
アクリル系樹脂エマルジョンC(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)DS−23、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
・アクリル系樹脂F(ガラス転移温度:−5℃):
アクリル系樹脂エマルジョンD(DIC株式会社製、型番:ボンコート(登録商標)E−240N、エマルジョン質量に占めるアクリル系樹脂の質量:45質量%)より取得。
(プリント液の調製)
次の割合で配合したプリント液を調製した。
(1)増粘剤(日本ルーブリゾール株式会社製、カーボポール(登録商標)940):0.45質量%
(2)消泡剤(信越化学工業株式会社製、シンエツシリコーン(登録商標)KM−73):0.5質量%
(3)バインダ混合液b(アクリル系樹脂エマルジョンA:70質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:30質量%を混合して調製):20質量%
(4)白色顔料(DIC株式会社製、R.W.WHITE PASTE69:1.5質量%
(5)添加剤(大盛化工株式会社製、アンモニア水25%):1.0質量%
(6)増粘剤(日本カーバイド工業株式会社製、ニカゾール(登録商標)VT−253):1.0質量%
(7)水:75.55質量%
ポリエステル繊維(融点:260℃、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)をカード機へ供することで、繊維ウェブを調製した。その後、繊維ウェブにおける一方の主面からニードルパンチ処理(針密度:400本/m2)を施して不織布(目付:145g/m2、厚さ:2.5mm)を調製した。
そして、不織布におけるニードルパンチ処理を施した主面とは反対の主面に泡立てたバインダ混合液a(アクリル系樹脂エマルジョンA:80質量%とアクリル系樹脂エマルジョンB:20質量%を混合して調製)を塗布し、加熱温度を180℃に調整したヒートローラーへ供する事で加熱乾燥(一次加熱乾燥)した後、バインダ混合液aを塗布した主面に対しプリント液を用いて模様を印刷し加熱温度を180℃に調整した雰囲気下で加熱乾燥(二次加熱乾燥)することで、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製した。
ガラスシート−発泡ウレタン−ガラスシート−ポリエチレンテレフタレートフィルムの順で積層してなる基材を用意し、ポリエチレンテレフタレートフィルムが露出している側の主面上に、上述のようにして調製した主面が装飾された表皮材を積層した。この時、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、主面が装飾された表皮材における、プリント液を塗布した主面と反対側の主面を向かい合わせ接触させて積層した。
そして、主面が装飾された表皮材と基材を積層した状態で上下一対の金型に挟み込み、熱と圧力を作用させてヒートプレス(成形温度:130℃)することで成形を施した後、冷却して内装材を調製した。
二次加熱乾燥の加熱温度を200℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
バインダ混合液aの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンCを用いて、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
バインダ混合液aの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンCを用いると共にヒートローラーの加熱温度を165℃に変更したこと、ならびに、バインダ混合液bの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンDを用いると共に二次加熱乾燥の温度を170℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
二次加熱乾燥の加熱温度を150℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、比較例1と同様にして内装材を調製した。
バインダ混合液aならびにバインダ混合液bの代わりにアクリル系樹脂エマルジョンDを用いて、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして内装材を調製した。
二次加熱乾燥の加熱温度を200℃に変更して、主面が装飾された表皮材(目付:175g/m2、厚さ:1.3mm)を調製したこと以外は、比較例3と同様にして内装材を調製した。
目視により、内装材における表皮材側の表面(プリント液により模様が印刷されている表面)に凹凸が存在しているか否か、また、前記表面の模様の明確さを評価した。
評価の結果、実施例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、凹凸の存在は認められなかった。一方、比較例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、凹凸の存在が認められた。
また、実施例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりすることなく保存されており、明確な模様を有する意匠性に優れた内装材であった。一方、比較例の表皮材を用いて調製した内装材の表面には、表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形した状態で保存されており、明確な模様を有していない意匠性に劣る内装材であった。
この理由として、本発明の表皮材では、ヒートプレスなど内装材を調製する過程でバインダの意図しない流動が発生し難いため、凹凸の発生や表皮材に印刷された模様が意図せず滲んだり変形したりするのを防止できたと考えられた。
この理由として、実施例1−2はプリント液により模様を印刷する前の段階の不織布が本発明にかかるバインダを有していたため、低Tgアクリル系樹脂の存在による作用効果が効果的に発揮されて、更に、平滑さが向上したと考えられた。
この理由として、実施例2では、プリント液を付与した不織布を乾燥する際の温度(二次加熱乾燥の加熱温度)が一次加熱乾燥の加熱温度よりも高い温度であり、表皮材を調製する過程において布帛が加熱される温度のうち最も高い温度であったため、バインダに含まれている低Tgアクリル系樹脂の架橋を促進でき、低Tgアクリル系樹脂における加熱を受けた際の流動性をより低くできたため、更に、平滑さが向上したと考えられた。
Claims (1)
- 低Tgアクリル系樹脂および高Tgアクリル系樹脂を含んだバインダと、布帛を備える表皮材であって、
前記バインダは前記布帛の表面に付与されており、
前記布帛の表面に付与されているバインダ中に含まれている、前記低Tgアクリル系樹脂の質量比率は50質量%以上90質量%以下、前記高Tgアクリル系樹脂の質量比率は10質量%以上50質量%以下であり、
前記低Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度は、前記高Tgアクリル系樹脂のガラス転移温度および表皮材の成形温度よりも低く、
前記低Tgアクリル系樹脂は下記の測定で評価した(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、表皮材。
記
1.樹脂からなる試験片(短辺:5cm、長辺:7cm、厚さ:2mm)を用意する、
2.前記試験片を160℃雰囲気下に20分間静置して、前記試験片を加熱する、
3.140℃に加熱した平滑な板の主面上にアルミホイル(厚さ:0.05mm)を敷き、前記アルミホイルの主面上に前記加熱した試験片を積層する、このとき、前記アルミホイルの主面と前記加熱した試験片の主面を向かい合わせ接触させて積層する、
4.前記試験片における露出している主面側から前記試験片の厚さ方向へ向かい、加圧板を50kgf/cm2の圧力で3分間作用させプレス(前記平滑な板と前記加圧板のクリアランス:0.5mm)した後、前記加圧板を前記試験片から離して前記試験片を20℃に冷却する、
5.プレスを施した後の試験片の状態を、以下の(i)および(ii)の2項目で評価する、
(i)前記プレスを施した後の試験片における露出している主面に、波うちが発生していない、あるいは、発生した波うちの高さが2mm未満である、
(ii)前記プレスを施した後の試験片の大きさが、短辺:6cm以下、及び、長辺:8cm以下である
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