JP7349258B2 - 内装用表面材 - Google Patents

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Description

本発明は、各種内装材の表面材、特に、天井、ドアーサイド、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージなどの車両用内装材の表面材として使用できる、内装用表面材に関する。
従来から自動車などの車両用内装材を調製可能な内装用表面材として、装飾性に優れる内装材を提供できるよう、プリントを備える内装用表面材が提案されている。
このような内装用表面材として本願出願人はこれまで、例えば、特開2014-214395号公報(特許文献1)に開示されているように、模様に対応する開口を繰り返し有するシリンダを用いて模様を捺染した内装用表面材を提案した。なお、特許文献1には、0.3mmの幅を有する線で構成された模様をプリントできたことが開示されている。
特開2014-214395号公報(特許請求の範囲、0048など)
また、更に装飾性に優れる内装材を提供できるよう、幅の狭い線(以降、細線と称することがある)で構成されているなど、繊細な模様を感じ取れるプリントを備える内装用表面材が求められている。
しかしながら、基材の主面上に繊細な模様のプリントを施すためには、プリント液の濃度や表面張力、基材へ付与するプリント液の量やプリント速度などを精密に制御する必要があった。さもなければ、付与したプリント液が基材の主面上で、意図せず広がったり滲むことで幅の広い線(以降、太線と称することがある)となり、繊細な模様を感じ取れるプリントを備える内装用表面材を提供できないという問題が発生した。特にこの問題は、空隙を有する繊維シートなどの基材へプリントを施した時や、捺染技術を用いてプリントを施した時に、発生し易い傾向があった。
その結果、装飾性に優れる内装材を提供することは、なおも困難であった。
第一の本発明は「基材の少なくとも一方の主面上に第一プリント部分と複数の第二プリント部分を備える、内装用表面材であって、
前記第一プリント部分は、前記基材の主面および前記第二プリント部分と異なる色を有しており、
前記基材の主面と前記第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は3.2以下であり、
輪郭を接触させることなく隣接して存在する二つの第二プリント部分が、前記第一プリント部分と重なる部分を有しており、
前記二つの第二プリント部分に挟まれた領域に、前記二つの第二プリント部分の輪郭間にわたり前記第一プリント部分が存在しており、
前記第一プリント部分上における、前記領域を形成している前記二つの第二プリント部分の輪郭間を結ぶ最短距離の長さは、333μm未満である、
内装用表面材。」である。
第二の本発明は「請求項1に記載の内装用表面材の製造方法であって、
(1)基材を用意する工程、
(2)第一プリント液および第二プリント液を用意する工程、
(3)前記基材の主面上に前記第一プリント液を付与して、前記基材の主面と異なる色を有する第一プリント部分を形成する工程、
(4)前記基材の主面上に前記第二プリント液を付与することで、輪郭を接触させることなく隣接して存在する二つの第二プリント部分が、前記第一プリント部分と重なる部分を有していると共に、以下の構成を満足する第二プリント部分を形成する工程、
・前記第二プリント部分は、前記第一プリント部分と異なる色を有する、
・前記第二プリント部分と、前記基材の主面との色差(ΔE*ab)が3.2以下である、
・前記二つの第二プリント部分に挟まれた領域に、前記二つの第二プリント部分の輪郭間にわたり前記第一プリント部分が存在する、
前記第一プリント部分上における、前記領域を形成している前記二つの第二プリント部分の輪郭間を結ぶ最短距離の長さは、333μm未満である、
という工程を有する、請求項1に記載の内装用表面材の製造方法。」である。
本願出願人は、本発明にかかる構成を満足する内装用表面材であることによって、例え、幅の広さが333μm以上の太線で構成されたプリントを備える内装用表面材であっても、幅の広さが333μm未満の細線で構成された繊細な模様がプリントされたかのように見える、内装用表面材を実現できることを見出した。
つまり、主面上に、基材と異なる色を有する第一プリント部分を備える基材に対し、基材の主面との色差(ΔEab)が3.2以下であるため人が基材の主面と同色であると認識し得る第二プリント部分を、第一プリント部分と重なる部分を有すると共に、第二プリント部分に挟まれた領域が形成されるように備えている。なお、第一プリント部分は第二プリント部分とも異なる色を有している。
そして、第二プリント部分が第一プリント部分に部分的に重なり存在していることによって、当該領域に存在する第一プリント部分の輪郭長さが333μm未満となっている。
つまり、当該領域はあたかも、基材の主面上に細線(幅の広さが333μm未満の線)からなる第一プリント部分がプリントされているかのように見える。
そのため、本発明によって、細線からなる第一プリント部分を備え構成されているかのように見えることで、繊細な模様を感じ取れるプリントがなされた内装用表面材を提供できる。その結果、容易に、装飾性に優れる内装材を提供できる。
更に、本願出願人は、本発明にかかる構成を満足する内装用表面材の製造方法によって、繊細な模様を感じ取れるプリントがなされた内装用表面材を提供できることを見出した。
その結果、容易に、装飾性に優れる内装材を提供できる。
第一プリント部分を備える基材の主面を表した、模式図である。 本発明にかかる内装用表面材の主面に施された、第二プリント部分のみを抽出し表わした、模式図である。 本発明にかかる内装用表面材の主面を表した、模式図である。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、各下限値と各上限値は、所望により任意に組み合わせることができる。本発明の内装用表面材について、図1~図3を用いて説明する。
図1は、少なくとも一方の主面上に、基材(10)および後述する第二プリント部分(図1では図示されていない)と異なる色を有する第一プリント部分(1)を備えた、基材(10)の主面を図示している。図1では、灰色の基材(10)主面に、黒色のθ文字形状の模様の第一プリント部分(1)を備えた態様を図示している。
なお、本発明でいう主面とは、最も広い面積を有する面を指す。
また、本発明でいう異なる色とは、色を比較する部分同士(例えば、基材(10)主面と第一プリント部分(1)、基材(10)主面と第二プリント部分(2)、第一プリント部分(1)と第二プリント部分(2))を、「人が目視で離間比較した際に、印象レベルでは同じ色として扱えるレベル(一般的には同じ色だと思われているレベル)」よりも相違した色であることを指す。詳細については後述するが、具体的には、比較対象となる部分同士の色差(ΔEab)が3.2より大きいことを意味する。
図2は、本発明にかかる内装用表面材から抽出した、第二プリント部分(2)のみを図示している。図2では第二プリント部分(2)により形成されている模様として、灰色の半円模様の第二プリント部分(2)を備えた態様を図示している。
なお、本図示例では、第二プリント部分(2)の大きさは、図1における黒色のθ文字形状の第一プリント部分(1)内に存在する、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)よりも大きい。
図3は、図1で説明した基材(10)の主面に備えられた第一プリント部分(1)上に、図2で紹介した、第二プリント部分(2)を備えてなる内装用表面材(100)を図示している。そして、黒色のθ文字形状の第一プリント部分(1)内に存在する、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)上に、灰色の半円模様の第二プリント部分(2)が存在している。
そして、基材(10)の主面と第二プリント部分(2)の色差(ΔEab)は3.2以下であり、「人が目視で離間比較した際に、印象レベルでは同じ色として扱えるレベル(一般的には同じ色だと思われているレベル)」である。
本発明でいう色差は、以下の方法で確認できる。
[1]内装用表面材(100)の主面上から、基材(10)の主面部分(第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)が存在していない部分)、第一プリント部分(1)、第二プリント部分(2)を選出した。選出の際には、スキャナーやカメラなどを用いることができ、必要であればスキャニングしたデータや撮影した写真データを拡大したものを、後述の工程へ供することができる。あるいは、第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)を備えていない基材(10)、第一プリント部分(1)を備えた当該基材(10)、第二プリント部分(2)を備えた当該基材(10)の各試料を用意し、各試料の主面部分を測定対象としてもよい。
[2]各部分間における色差(ΔEab)の測定を複数か所で行い、各部分間の色差(ΔEab)の測定で得られた測定結果のうち最も大きな値を、当該基材(10)の主面部分と第一プリント部分(1)の色差(ΔEab)、当該基材(10)の主面部分と第二プリント部分(2)の色差(ΔEab)、第一プリント部分(1)と第二プリント部分(2)の色差(ΔEab)とした。
なお、本発明でいう色差とは、CIE1976L*a*b*表色系で表される色差であり、次の式から算出される値である。具体的には、JIS Z8722(2009)の分光測色方法に準じた積分球分光光度計(エックスライト(株)製、Color i5、光源:D65光源、測定方式:SCI方式)を用い、反射測定径25mmの測定範囲において、測定対象となった両部分の測定結果の差(各ΔL、Δa、Δbの値の差)を、次の式から算出した値である。
ここで、ΔEabは色差、ΔLは明度差、Δaは赤み差、Δb黄み差、をそれぞれ意味する。
ΔEab=√[(ΔL)+(Δa)+(Δb)
なお、D65光源を用いたSCI方式による本測定条件は、日中に人が目視により観察する環境を再現したものといえる。
本願出願人は検討の結果、色差が3.2以下、より好ましくは3.2未満であるとき、人は比較する両部分の差(色の差)を認識し難いものであることに着目した。
人の目と色差との関係をまとめた資料として、日本電色工業株式会社のウエブページに開示されていた資料(https://www.nippondenshoku.co.jp/web/japanese/colorstory/08_allowance_by_color.htm)、および、国際公開公報WO2015/076340中に開示されている資料が知られている。
参考までに、表1にこれら資料の一部抜粋を示す。
Figure 0007349258000001
なお、より繊細な模様を感じ取れるプリントがなされた内装用表皮材(100)を実現できるよう、基材(10)の主面と第二プリント部分(2)の色差(ΔEab)は3.2未満であるのが好ましい。
そして、第二プリント部分(2)の大きさは、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)よりも大きいため、第一プリント部分(1)の一部分上に第二プリント部分(2)が重なり存在している。
この第一プリント部分(1)の一部分上に第二プリント部分(2)が重なり存在していることで、第二プリント部分(2)に挟まれた領域が形成されており、当該領域に第一プリント部分(1)が存在している。そして、当該領域に存在する第一プリント部分(1)の輪郭長さは、0μmより大きく333μm未満である。
なお、本発明でいう、第二プリント部分(2)に挟まれた領域とは、以下の方法により作成された範囲を意味する。
[1]第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)の形状(輪郭)が判断できるよう、内装用表面材(100)の主面の写真を撮影した。
[2]当該写真において、輪郭を接触させることなく隣接して存在する二つの第二プリント部分(2)を各々選出した。
[3]写真上に、選出した二つの第二プリント部分(2)の輪郭と接点を有すると共に当該選出した二つの第二プリント部分(2)の輪郭を上下あるいは左右から挟み込む、二本の接線を作成した。
[4]作成した接線、および、当該二つの第二プリント部分(2)の輪郭により形成される領域を第二プリント部分(2)に挟まれた領域とした。
そして、本発明でいう上述した領域に存在する、第一プリント部分(1)の輪郭長さとは、
1.当該領域を構成している当該二つの第二プリント部分(2)の輪郭間にわたり、第一プリント部分(1)が存在している場合には、当該第一プリント部分(1)上における、当該領域を形成している二つの第二プリント部分(2)の輪郭間を結ぶ最短距離の長さを指し、
2.当該領域を構成している当該二つの第二プリント部分(2)の輪郭間にわたり、第一プリント部分(1)が存在していない場合には、当該領域を形成している二つの第二プリント部分(2)の輪郭を最短距離で結ぶ線分を作成し、当該第一プリント部分(1)上における、当該線分と第二プリント部分(2)の輪郭の交点と当該線分と第一プリント部分(1)の輪郭の交点を結ぶ長さを指す。
本発明の構成を有する内装用表面材(100)では、幅の広さが333μm以上の太線で構成されたプリントを備える内装用表面材であっても、第一プリント部分(1)と重なる部分を有する第二プリント部分(2、基材(10)の主面(第一プリント部分(1)と第二プリント部分(2)が存在していない部分、以降、非プリント部分と称することがある)と同じ色だと人に認識させる第二プリント部分(2))を備えていることによって、本発明にかかる領域に存在する第一プリント部分(1)の輪郭長さが333μm未満になり得る。
そのため、本発明によって、細線からなる第一プリント部分を備え構成されているかのように見えることで、繊細な模様を感じ取れるプリントがなされた内装用表面材を提供できる。その結果、容易に、装飾性に優れる内装材を提供できる。
本発明にかかる内装用表面材(100)を構成可能な基材(10)はシート状の部材であって、一例として、フィルム(多孔フィルムあるいは無孔フィルム)や布帛(例えば、繊維ウエブや不織布、あるいは、織物や編み物など)を備えることができる。特に、布帛(特に、不織布)を備える基材であることによって、柔軟であり、ソフトな風合と優れた外観を有する内装材を提供できると共に、柔軟で金型への追従性に優れる内装用表面材(100)および内装材を提供でき好ましい。
基材(10)は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機樹脂を用いて構成できる。
なお、これらの有機樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の有機樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
なお、内装用表面材(100)に難燃性が求められる場合には、基材(10)が難燃性の有機樹脂を含んでいるのが好ましい。このような難燃性の有機樹脂として、例えば、モダアクリル樹脂、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、リン化合物を共重合したポリエステル樹脂、ハロゲン含有モノマーを共重合したアクリル樹脂、アラミド樹脂、ハロゲン系やリン系又は金属化合物系の難燃剤を練り込んだ樹脂などが挙げられる。
布帛の構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
構成繊維は、一種類の有機樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の有機樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の有機樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
また、構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
布帛が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって布帛に強度と形態安定性を付与でき、更に、毛羽立ちや繊維の飛散を抑制して、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)となり好ましい。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維の熱融着性を発揮する成分の種類は適宜選択するが、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂などを使用できる。
布帛が捲縮性繊維を含んでいる場合には、伸縮性が増して金型への追従性に優れ、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)となり好ましい。このような捲縮性繊維として、例えば、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現した捲縮性繊維やクリンプを有する繊維などを使用できる。
布帛の構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)であるように、0.1デニール以上であることができ、1デニール以上であることができ、2デニール以上であることができる。他方、均質な地合いであることで優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)であるように、100デニール以下であることができ、50デニール以下であることができ、30デニール以下であることができ、10デニール以下であることができる。
また、布帛の構成繊維の平均繊維長も特に限定するものではないが、均質な地合いであることで優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)であるように、1mm以上であるのが好ましく、10mm以上であるのがより好ましく、30mm以上であるのが更に好ましい。他方、平均繊維長が110mmを超えると、布帛の調製時に繊維塊が形成される傾向があり地合が均質とならず、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)を提供できなくなる恐れがあることから、110mm以下であるのが好ましく、60mm以下であるのがより好ましい。
なお、「平均繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
布帛が繊維ウエブや不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を分散媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法)など)などによって調製できる。
上述のようにして調製した繊維ウエブの構成繊維を、絡合および/または一体化させることで不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流あるいは水蒸気流などの気体流によって絡合する方法、バインダあるいは接着繊維によって繊維ウエブの構成繊維同士を接着により一体化させる方法などを挙げることができる。
加熱処理によってバインダや接着繊維の一部あるいは全てを溶融させて、構成繊維同士を溶融接着により一体化させてもよい。その際の加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている有機樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
使用可能なバインダの種類は適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体などのエチレン-アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)など]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)、アクリル系樹脂などを使用できる。特に、バインダがアクリル系樹脂を含有していると、金型を用いたヒートプレス等の熱成型時に適度に軟化するため、金型への追従性に優れ、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)となり好ましい。
また、バインダには上述した樹脂以外にも、例えば、難燃剤、香料、顔料(無機顔料および/または有機系顔料)、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、増粘剤、消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。
基材(10)に含まれるバインダ量は適宜選択するが、バインダ量が多いほど主面が平滑であるなど、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)となり好ましいことから、基材(10)に含まれるバインダ量は、2g/m以上であるのが好ましい。一方、バインダ量が過剰に多い場合には、基材(10)の柔軟性が劣ることで、金型への追従性に劣り、優れた外観を有する内装材を提供可能な内装用表面材(100)を提供し難くなる恐れがあることから、バインダ量は、30g/m以下であるのが好ましく、20g/m以下であるのが好ましい。
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウエブ以外にも不織布あるいは織物や編物などを、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
フィルムの調製方法は適宜選択でき、上述したバインダや添加剤を備えていても良い。
基材(10)の、例えば厚さや目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜選択するが、厚さは、0.5~5mmであることができ、1~3mmであることができ、1.1~1.9mmであることができる。また、目付は、50~500g/mであることができ、80~300g/mであることができ、100~250g/mであることができる。
なお、本発明において厚さとは、測定対象物の最も広い面積を有する面(主面)と垂直をなす方向へ20g/cm圧縮荷重をかけた時の、測定対象物における該垂直方向の長さをいい、目付とは測定対象物の主面における1mあたりに換算した質量をいう。
第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)(以降、合わせてプリント部分と称することがある)を形成するプリント樹脂の種類は適宜選択でき、上述したバインダと同様の樹脂を採用することができる。特に、金型を用いたヒートプレス等の熱成型時に適度にプリント部分も軟化して、金型への追従性に優れる内装用表面材を提供できることから、プリント樹脂がアクリル系樹脂を含んでいるのが好ましい。
なお、プリント部分はプリント樹脂以外に、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、中空粒子、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を含有していてもよい。
また、基材(10)の主面上に存在するプリント部分の態様は適宜選択でき、第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)は、格子状などのパターンを有する柄や線状やドット状あるいは不定形状などの柄を形成するように該主面の一部分に存在する態様、あるいは、該主面の全体に分布し存在する態様であることができる。
また、プリント部分は、一種類あるいは複数種類のプリント樹脂を備えていても良く、具体例として柄あるいはプリント樹脂や含有物が同一あるいは異なるプリント部分を、複数備えていても良い。
なお、プリント部分は基材(10)の一方の主面上に存在するのであれば、基材(10)の両主面上に存在していても良い。また、プリント部分の一部が基材(10)を構成する構成繊維間隙に侵入している態様であってもよい。
基材(10)の主面上に存在するプリント部分の量は適宜選択するが、例えば、2~50g/mであることができ、10~30g/mであることができる。
本発明の内装用表面材(100)では、必要に応じてこれらのプリントが施されている部分の上に、トップコートとして樹脂層を設けても良い。このような樹脂層からなるトップコートが存在することによって、調製された内装材の表面からプリント由来の顔料やバインダあるいは添加剤などが剥落するのを防止でき好ましい。樹脂層を構成する樹脂の種類は上述した公知の有機樹脂を用いて構成でき、その付与態様や付与方法、形状などは、上述したプリントと同様に適宜選択できる。
なお、トップコートを備えた内装用表面材(100)において、色差はトップコートを備えている側の主面上から測定を行うことができる。
また、内装用表面材(100)は、上述した添加剤を含有していても良く、その含有量は適宜調整できる。
内装用表面材(100)の厚さは適宜選択するが、2.5mm以下であることができ、2mm以下であることができ、1.4mm以下であることができる。一方、厚さの下限値は適宜調整するが、0.5mm以上であるのが現実的である。
内装用表面材(100)の目付は適宜選択するが、300g/m以下であることができ、250g/m以下であることができる。一方、目付の下限値は適宜調整するが、10g/m以上であるのが現実的であり、100g/m以上であるのが好ましい。
内装用表面材(100)の通気度は適宜選択するが、効果的な吸音性を提供できるように、通気度は5cm/cm・s以上であるのが好ましい。上限値は適宜選択できるが、吸音効果に優れるよう、通気度は100cm/cm・s以下であるのが好ましい。なお、この「通気度」はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.8.1(フラジール形法)によって測定される値をいう。
本発明の内装用表面材(100)は、更に別の多孔体、フィルム、発泡体などの部材を備えていてもよい。これらの部材は内装用表面材(100)における、プリントやトップコートが存在する主面とは異なる主面側に積層して備えていてもよい。
更に、本発明の内装用表面材(100)をリライアントプレス処理などの、表面を平滑とするために加圧処理する工程へ供してもよい。
また、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜いた後に加熱成形するなどの、各種二次加工工程へ供してもよい。
本発明にかかる内装用表面材(100)を調製する方法は適宜選択できるが、例えば、
(1)基材を用意する工程、
(2)第一プリント液および第二プリント液を用意する工程、
(3)基材(10)の主面上に第一プリント液を付与することで、前記基材(10)の主面と異なる色を有する前記第一プリント部分(1)を形成する工程、
(4)前記第一プリント部分(1)と重なる部分を有するように、前記基材(10)の主面上に第二プリント液を付与して、以下の構成を満足する第二プリント部分(2)を形成する工程、
を備えており、
・前記第二プリント部分(2)は、前記第一プリント部分(1)と異なる色を有する、
・前記第二プリント部分(2)と、前記基材(10)の主面との色差(ΔEab)が3.2以下である、
・前記第二プリント部分(2)に挟まれた領域に、前記第一プリント部分(1)が存在する、
・前記領域に存在する前記第一プリント部分(1)の輪郭長さは、333μm未満である、
という構成を備えた内装用表面材(100)の製造方法であることができる。
工程(1)について、基材(10)として、例えば、フィルム(多孔フィルムあるいは無孔フィルム)や布帛(例えば、繊維ウエブや不織布、あるいは、織物や編み物など)を用意する。なお、布帛における構成繊維の繊度や繊維長、厚さや目付は上述した数値のものを採用することができる。
工程(2)について、第一プリント液は、プリント部分を構成可能な樹脂や顔料を、溶媒あるいは分散媒に混合して調製できる。
・前記第一プリント部分(1)は、前記基材(10)の主面(非プリント部分)および基材(10)の主面上に備えられる第二プリント部分(2)と異なる色を有する、
・前記第二プリント部分(2)と、前記基材(10)の主面(非プリント部分)との色差(ΔEab)が3.2以下である、
という構成を満足する内装用表面材(100)を実現できるよう、第一プリント液および第二プリント液の調製を行う。
溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択できるが、好適に塗布できるよう、各プリント部分を構成可能な樹脂や顔料が、溶解または分散可能な溶媒を採用する。また、第一プリント液および第二プリント液は樹脂や顔料以外にも、添加剤を含有してもよい。
工程(3)について、基材(10)の一方の主面上に第一プリント液を付与する方法は適宜選択できるが、基材(10)の一方の主面に第一プリント液をプリントや捺染して付与する方法などを選択できる。第一プリント液が付与される形状(模様)は適宜選択でき、柄を形成するように、基材(10)における主面の一部分に存在する態様、あるいは、該主面の全体に分布し存在する態様であることができる。柄の大きさ、柄同士の間隔や柄同士の配置関係は、求める内装用表面材(100)を実現できるよう調整する。柄の具体例としては、半円形、円形、略円形、楕円形、ドーナツ形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、θ文字形状やアスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数組み合わされた形状などであることができる。また柄の配置関係については、千鳥状、格子状、ランダムなどであることができる。
主面上に第一プリント液が付与された基材(10)を自然乾燥によって、あるいは、加熱処理へ供することで、第一プリント液に含まれている溶媒や分散媒を除去することで、基材(10)の主面上に第一プリント部分(1)を形成して次の工程へ供することができる。なお、加熱処理へ供することで、バインダや接着繊維の一部あるいは全てを溶融させて、構成繊維同士を溶融接着により一体化させてもよい。加熱温度の上限は、基材(10)やプリント部分が意図せず変性しない温度となるよう調整するのが好ましい。
工程(4)について、基材(10)の一方の主面上に第二プリント液を付与する方法や態様は適宜選択でき、工程(3)において説明した態様のように調整できる。
なお、このとき、
・前記第二プリント部分(2)と、前記基材(10)の主面との色差(ΔEab)が3.2以下である、
・前記第二プリント部分(2)に挟まれた領域に、前記第一プリント部分(1)が存在する、
・前記領域に存在する前記第一プリント部分(1)の輪郭長さは、0μmより大きく333μm未満である、
という構成を満足する内装用表面材(100)を実現できるよう、第二プリント液の付与を行う。
前記第一プリント部分(1)と重なる部分を有するように、前記基材(10)の主面上に第二プリント液を付与するとは、基材(10)の主面を当該主面と垂直をなす方向から見た際に、第一プリント部分(1)に重なるように第二プリント液が付与されることを意味する。つまり、第二プリント液が付与されることで第一プリント部分(1)の一部が覆われていることで、基材(10)の主面を当該主面と垂直をなす方向から見た際に、第一プリント部分(1)の一部が、第二プリント部分(2)の存在によって見えない状態となる内装用表面材(100)を調製する。
なお、第二プリント液に含まれている溶媒や分散媒を除去する方法もまた、工程(3)に記載した方法と同様の方法を採用できる。なお、加熱処理へ供することで、バインダや接着繊維の一部あるいは全てを溶融させて、構成繊維同士を溶融接着により一体化させてもよい。加熱温度の上限は、基材(10)やプリント部分が意図せず変性しない温度となるよう調整するのが好ましい。
本発明にかかる内装用表面材(100)において、第一プリント部分(1)および第二プリント部分(2)の柄の態様例は、本発明の構成となるよう適宜調整するものであるが、具体例として、
・円形などの中実柄あるいはドーナツ形状などの中空柄の第一プリント部分(1)上に、当該形状の最大直径よりも小さな最大直径を有する、円形などの中実柄あるいはドーナツ形状などの中空柄の第二プリント部分(2)が存在する態様、
・θ文字形状の第一プリント部分(1)内に存在する、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)上に、当該部分(半円模様の部分、1´)の形状よりも大きい半円模様の第二プリント部分(2)が存在する態様、
・格子模様の第一プリント部分(1)における、多角形形状のプリントが存在していない部分上に、当該部分の形状よりも大きい多角形形状の第二プリント部分(2)が存在する態様、
などを例示できる。
また、上述の工程を経た後に、必要に応じてプリント部分上に、トップコートとして新たに樹脂層を形成する工程を設けても良い。トップコートを構成する樹脂の溶液や分散液をプリント部分上に付与し、当該溶液や分散液に含まれている溶媒や分散媒を除去することで、トップコートを設けることができる。
本発明の内装用表面材(100)は、更に別の多孔体、フィルム、発泡体などの部材を備えていてもよい。これらの部材は内装用表面材(100)における、プリントやトップコートが存在する主面とは異なる主面側に積層して備えていてもよい。
更に、本発明の内装用表面材(100)をリライアントプレス処理などの、表面を平滑とするために加圧処理する工程へ供してもよい。
また、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜いた後に加熱成形するなどの、各種二次加工工程へ供してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(バインダ接着不織布の調製)
灰色に原着されたポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)を100%用いて、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、片面から針密度400本/mでニードルパンチ処理を施した。その後ニードルパンチ処理を施した繊維ウエブを、熱ロール間(ギャップ間隔:0.3mm、ロール加熱温度:180℃)へ供することで、ニードルパンチ不織布(目付:165g/m)を調製した。
次いで、ニードルパンチ不織布のニードリングを施した面とは反対の面から、以下に記載の割合で配合したバインダ液を泡立てた状態で塗布し、ロール間(ギャップ間隔:0.25mm)へ供した後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥することで、バインダ接着不織布(目付:180g/m、厚さ:1.4mm、全ての構成繊維がランダムに絡合してなる不織布)を調製した。
なお、バインダ接着不織布の主面上の色は灰色であった。
(バインダ液)
・アクリル酸エステル樹脂エマルジョンA(アクリル酸エステル樹脂のTg:-40℃、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:50質量%):18.0質量部
・増粘剤:0.2質量部
・界面活性剤:1.0質量部
・25%アンモニア水:0.1質量部
・水:80.7質量部
(第一プリント液および第二プリント液の調製)
表2に記載のようにして配合した第一プリント液および第二プリント液を調製した。
なお、各プリント液には、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンA(アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:50質量%)、または、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンB(アクリル酸エステル樹脂のTg:-5℃、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:45質量%)を配合した。
Figure 0007349258000002
(比較例1)
バインダ接着不織布のバインダ液を塗布した方の主面全体に対して、シリンダを用いて第一プリント液を塗布することで、バインダ接着不織布の一方の主面上に、千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様(図1)を捺染した。その後、温度160℃のドライヤーで乾燥することで、一方の主面上全面にわたり、第一プリント液由来の第一プリント部分(千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様)を備えた内装用表面材を調製した。
このとき、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第一プリント部分の色差(ΔE*ab)は、22.2であった。
なお、第一プリント部分を構成する黒色のθ文字形状の模様を構成する線のうち、最も幅の狭い箇所の太さ(最も細い線の太さ)は、333μmであった。
(比較例2)
シリンダを変更したこと以外は比較例1と同様にして、より細い線で構成された、第一プリント液由来の第一プリント部分(千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様)を備えた内装用表面材の調製を試みた。
このとき、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第一プリント部分の色差(ΔE*ab)は、22.2であった。
しかし、調製された内装用表面材では、第一プリント部分にプリントの滲みが発生するなどして、最も幅の狭い箇所の太さ(最も細い線の太さ)が333μmよりも細い線で構成された、第一プリント液由来の第一プリント部分(千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様、図1)を備えた内装用表面材を調製することができなかった。
(実施例1)
比較例1で調製した内装用表面材に対し、黒色のθ文字形状の第一プリント部分(1)内に存在する、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)上に、当該部分(半円模様の部分、1´)の形状よりも、大きい半円模様の第二プリント部分(2、図2、バインダ接着不織布の主面上の色よりも薄い灰色)を設けることができるよう調整したシリンダを用意した。
そして、当該シリンダを用いて、比較例1で調製した内装用表面材に対し、第二プリント液を塗布することで、比較例1で調製した内装用表面材の一方の主面上に、第一プリント部分(1)の一部分上に第二プリント部分(2)が重なるよう、千鳥状の配置で存在する灰色の半円模様を捺染した。その後、温度160℃のドライヤーで乾燥することで、一方の主面上全面にわたり、第一プリント部分(千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様)と、第二プリント液由来の第二プリント部分(千鳥状の配置で存在する薄い灰色の半円模様)を備えた内装用表面材(模様は、図3)を調製した。
このとき、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第一プリント部分の色差(ΔE*ab)は22.2、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は3.0、第一プリント部分の色差(ΔE*ab)と第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は25.1であった。
なお、このようにして調製された内装用表面材には、第二プリント部分に挟まれた領域に、第一プリント部分が存在しているものであった。
そして、前記領域に存在する第一プリント部分の輪郭長さは、253μmであった。
(実施例2)
比較例1で調製した内装用表面材に対し、黒色のθ文字形状の第一プリント部分(1)内に存在する、プリントが存在していない部分(半円模様の部分、1´)上に、当該部分(半円模様の部分、1´)の形状よりも、より大きい半円模様の第二プリント部分(2、図2、バインダ接着不織布の主面上の色よりも薄い灰色)を設けることができるよう調整したシリンダを用意した。
そして、当該シリンダを用いて、比較例1で調製した内装用表面材に対し、第二プリント液を塗布することで、比較例1で調製した内装用表面材の一方の主面上に、第一プリント部分(1)の一部分上に第二プリント部分(2)が重なるよう、千鳥状の配置で存在する灰色の半円模様を捺染した。その後、温度160℃のドライヤーで乾燥することで、一方の主面上全面にわたり、第一プリント部分(千鳥状の配置で存在する黒色のθ文字形状の模様)と、第二プリント液由来の第二プリント部分(千鳥状の配置で存在する薄い灰色の半円模様)を備えた内装用表面材(模様は、図3)を調製した。
このとき、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第一プリント部分の色差(ΔE*ab)は22.2、バインダ接着不織布の主面(非プリント部分)と第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は3.0、第一プリント部分の色差(ΔE*ab)と第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は25.1であった。
なお、このようにして調製された内装用表面材には、第二プリント部分に挟まれた領域に、第一プリント部分が存在しているものであった。
そして、前記領域に存在する第一プリント部分の輪郭長さは、106μmであった。
比較例1~2の内装用表面材における、プリント柄を施した主面を目視で観察し評価したところ、当該プリント柄は、繊細な模様であるという印象を人に与えない内装用表面材であった。
一方、実施例1の内装用表面材のプリント柄は、繊細な模様であるという印象を人に与えるものであった。また、第一プリント部分の輪郭長さがより短い、実施例2の内装用表面材のプリント柄は、繊細な模様であるという印象をより人に与えるものであった。
以上から、本発明によって、細線からなる第一プリント部分を備え構成されているかのように見えることで、繊細な模様を感じ取れるプリントがなされた内装用表面材を提供できた。また、本発明の内装用表面材によって、容易に、装飾性に優れる内装材を提供できるものとなった。
本発明の内装用表面材は、各種内装材の表面材、特に、天井、ドアーサイド、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージなどの車両用内装材の表面材として使用できる。
100・・・内装用表面材
10・・・基材
1・・・第一プリント部分
1´・・・プリントが存在していない半円模様の部分
2・・・第二プリント部分

Claims (2)

  1. 基材の少なくとも一方の主面上に第一プリント部分と複数の第二プリント部分を備える、内装用表面材であって、
    前記第一プリント部分は、前記基材の主面および前記第二プリント部分と異なる色を有しており、
    前記基材の主面と前記第二プリント部分の色差(ΔE*ab)は3.2以下であり、
    輪郭を接触させることなく隣接して存在する二つの第二プリント部分が、前記第一プリント部分と重なる部分を有しており、
    前記二つの第二プリント部分に挟まれた領域に、前記二つの第二プリント部分の輪郭間にわたり前記第一プリント部分が存在しており、
    前記第一プリント部分上における、前記領域を形成している前記二つの第二プリント部分の輪郭間を結ぶ最短距離の長さは、333μm未満である、
    内装用表面材。
  2. 請求項1に記載の内装用表面材の製造方法であって、
    (1)基材を用意する工程、
    (2)第一プリント液および第二プリント液を用意する工程、
    (3)前記基材の主面上に前記第一プリント液を付与して、前記基材の主面と異なる色を有する第一プリント部分を形成する工程、
    (4)前記基材の主面上に前記第二プリント液を付与することで、輪郭を接触させることなく隣接して存在する二つの第二プリント部分が、前記第一プリント部分と重なる部分を有していると共に、以下の構成を満足する第二プリント部分を形成する工程、
    ・前記第二プリント部分は、前記第一プリント部分と異なる色を有する、
    ・前記第二プリント部分と、前記基材の主面との色差(ΔE*ab)が3.2以下である、
    ・前記二つの第二プリント部分に挟まれた領域に、前記二つの第二プリント部分の輪郭間にわたり前記第一プリント部分が存在する、
    前記第一プリント部分上における、前記領域を形成している前記二つの第二プリント部分の輪郭間を結ぶ最短距離の長さは、333μm未満である、
    という工程を有する、請求項1に記載の内装用表面材の製造方法。
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