JP6492575B2 - 堤防補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、堤外側と堤内側とを隔てた堤防に設けられる堤防補強構造に関する。
従来から、地震時や洪水時等の盛土を崩壊させようとする外力に対して盛土を補強するものとして、特許文献1に開示される盛土の補強構造が提案されており、また、高潮対策等のために港湾内に設置されるものとして、特許文献2に開示される起伏ゲートが提案されている。
特許文献1に開示された盛土の補強構造は、盛土を貫通して支持地盤に根入れされる深さを持つ少なくとも1列の矢板壁を、法尻を除く盛土の内部で盛土の長さ方向に連続的に設置して、矢板壁で締め切られた地盤と矢板壁とからなる構造骨格部を形成するものである。
特許文献2に開示された起伏ゲートは、水路の底部に配置される起伏自在な扉体と、扉体に設けられた浮き袋と、浮き袋への給排気用コンプレッサとを備えて、浮き袋の給気又は排気による浮力の増減によって、扉体を起立又は倒伏させるものである。
特開2003−13451号公報 特開2003−227125号公報
特許文献1に開示された盛土の補強構造は、津波や洪水等の越流で盛土の土砂が流出しても、支持地盤に根入れされた矢板壁で所定の高さを確保して、盛土の越流抑制機能を維持させるものとなる。しかし、特許文献1に開示された盛土の補強構造は、矢板壁の高さを増大させるものでないため、津波高さや洪水水位が矢板壁の高さを上回る場合に、越流水が堤内側へ浸入するものとなり、津波や洪水等の越流を十分に抑制できないという問題点があった。
また、特許文献2に開示された起伏ゲートは、浮き袋への給気による浮力の増大により扉体を起立させて、港湾内での扉体の高さを高くすることで、津波や洪水等により上昇する水位に扉体の高さを追随させるものとなる。しかし、特許文献2に開示された起伏ゲートは、浮き袋の浮力を利用することから、港湾内の水中での扉体の設置が必要となり、盛土の内部に扉体を設置できないため、盛土を補強することができないものとなるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、津波や洪水等により上昇する水位に追随して上部矢板の高さを増大させることで、津波や洪水等による越流を十分に抑制することのできる堤防補強構造を提供することにある。
第1発明に係る堤防補強構造は、堤外側と堤内側とを隔てた堤防に設けられる堤防補強構造であって、地盤内から堤防内部の下側まで埋め込まれる下部矢板と、前記下部矢板の上方で堤防内部の上側に埋め込まれる上部矢板とを備え、前記上部矢板は、前記下部矢板の上端部に前記上部矢板の下端部がヒンジ部材で連結されて、前記ヒンジ部材を回転軸として堤内側に回転するものとなるように、前記上部矢板の上端部を堤外側に向けて傾斜させて設けられ、外力の作用によって、前記ヒンジ部材は、前記上部矢板を傾倒させた状態から直立させた状態とするものとなることを特徴とする。
第2発明に係る堤防補強構造は、第1発明において、前記ヒンジ部材は、内挿鋼管に鋼板を取り付けた雄側部材と、外嵌鋼管に鋼板を取り付けた雌側部材とを有して、前記内挿鋼管を前記外嵌鋼管に嵌挿させることで、前記雄側部材と前記雌側部材とが連結されることを特徴とする。
第3発明に係る堤防補強構造は、第2発明において、前記ヒンジ部材は、前記外嵌鋼管を管周方向に切り欠いた切欠部が形成されることで、前記ヒンジ部材を回転軸として前記上部矢板が堤内側に回転するときに、前記外嵌鋼管の管周方向の一端部が前記雄側部材の鋼板に接触して、前記上部矢板の堤内側への回転が制限されることを特徴とする。
第4発明に係る堤防補強構造は、第3発明において、前記ヒンジ部材は、前記内挿鋼管の管周面に突出部材が設けられることで、前記外嵌鋼管の管周方向の一端部が前記雄側部材の鋼板に接触した後に、前記外嵌鋼管の管周方向の他端部が前記突出部材の突出面に接触して、前記上部矢板の堤外側への回転が制限されることを特徴とする。
第5発明に係る堤防補強構造は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記上部矢板は、堤防内部の堤内側に埋め込まれた補助鋼板が取り付けられるものであり、堤防の堤内側における天面、法肩又は法面に向けて、前記補助鋼板が延びて設けられることを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、津波や洪水による外力が作用することで、ヒンジ部材を回転軸として堤内側に上部矢板を回転させて、上部矢板の高さを津波や洪水により上昇する水位に追随して増大させて、津波や洪水による堤防の越流を上部矢板で遮断して、津波や洪水による堤防の越流を十分に抑制することができるものとなり、堤防の堤内側での浸水被害を防止することが可能となる。
特に、第2発明、第3発明によれば、ヒンジ部材を回転軸として堤内側に上部矢板が回転するときに、外嵌鋼管の管周方向の一端部が雄側部材の鋼板の側面に接触して、上部矢板の堤内側に向けた必要以上の回転が制限されることで、上部矢板が直立した状態から堤内側に傾倒した状態となることを防止して、上部矢板の高さを最大限に増大させた状態を維持させることが可能となる。
特に、第4発明によれば、外嵌鋼管の管周方向の一端部が雄側部材の鋼板の側面に接触した後に、外嵌鋼管の管周方向の他端部が突出部材の突出面に接触して、上部矢板の堤外側に向けた回転が制限されることで、津波や洪水による越流が解消した後に、上部矢板が直立した状態から堤外側に急激に傾倒することを防止して、上部矢板の急激な傾倒による事故を未然に防ぐことが可能となる。
特に、第5発明によれば、上部矢板から堤内側の天面、法肩又は法面に向けて延びる補助鋼板が設けられることで、堤防の天面を乗り越える越流により、上部矢板の上端部のみならず、上部矢板に取り付けられた補助鋼板に対しても、越流による外力が作用するものとなるため、上部矢板の堤内側への回転を促進させることができるものとして、上部矢板を傾倒した状態から円滑に直立させることが可能となる。
本発明を適用した堤防補強構造が設けられた堤防を示す斜視図である。 本発明を適用した堤防補強構造が設けられた堤防を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造を示す平面図である。 本発明を適用した堤防補強構造を示す側面図である。 本発明を適用した堤防補強構造を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で上部矢板に取り付けられた補助鋼板を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で上部矢板に取り付けられた補助鋼板を示す斜視図である。 本発明を適用した堤防補強構造を示す斜視図である。 本発明を適用した堤防補強構造のヒンジ部材を示す拡大正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で堤防を掘削して下部矢板を埋め込む工程を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で下部矢板に上部矢板をヒンジ部材で連結させる工程を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で上部矢板を堤外側に傾斜させて堤防の掘削箇所を埋め戻す工程を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造で越流により天面が洗掘されて上部矢板に外力が作用する過程を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造でヒンジ部材を回転軸として上部矢板が堤内側に回転する過程を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した堤防補強構造で雌側部材の堤内側への回転を示す拡大正面図であり、(b)は、雌側部材の回転が制限された状態を示す拡大正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造でヒンジ部材を回転軸として補助鋼板が設けられた上部矢板が堤内側に回転する過程を示す正面図である。 本発明を適用した堤防補強構造の変形例を示す平面図である。
以下、本発明を適用した堤防補強構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した堤防補強構造1は、図1に示すように、津波又は洪水等による越流を抑制するために、堤外側Aと堤内側Bとを隔てた堤防7に設けられるものであり、複数の鋼矢板2等が延長方向Zに並べられることで、堤防内部70に鋼矢板壁3が設けられるものとなる。
堤防7は、幅方向Xにおいて、河川域又は海洋域となる堤外側Aと、陸上域となる堤内側Bとを隔てるように、地盤8上に土砂等が積み上げられる。堤防7は、高さ方向Yに所定の高さを有して、堤外側Aと堤内側Bとを隔てて延長方向Zに連続させて構築されるものとなる。
堤防7は、図2に示すように、上部に形成される天面71と、下部に形成される底面72と、天面71から底面72まで傾斜して連続する法面73とを備える。堤防7は、堤外側A及び堤内側Bの各々で、天面71と法面73との境界に法肩74が形成されるとともに、法面73と底面72との境界に法尻75が形成されて、断面略台形状等に形成されるものとなる。
堤防7は、例えば、天面71が幅方向Xに5m〜10m程度の幅寸法を有して、また、底面72が幅方向Xに20m〜60m程度の幅寸法を有するものであり、天面71と底面72との間で高さ方向Yに3m〜10m程度の高さ寸法を有するものとなる。堤防7は、例えば、水平方向から40°程度以下の角度で傾斜させた法面73が形成される。
本発明を適用した堤防補強構造1は、堤防内部70の下側70aに設けられる下部矢板31と、下部矢板31の上方で堤防内部70の上側70bに設けられる上部矢板32とを備えて、下部矢板31と上部矢板32とがヒンジ部材4で連結される。
下部矢板31及び上部矢板32の各々は、図3に示すように、断面略ハット形状のハット形鋼矢板等の鋼矢板2が用いられる。下部矢板31及び上部矢板32の各々は、これに限らず、断面略U形状のU形鋼矢板、断面略Z形状のZ形鋼矢板等の鋼矢板2等が用いられてもよい。
下部矢板31及び上部矢板32の各々は、フランジ部21と、一対のウェブ部22と、一対のアーム部23と、一対の継手部24とを有する。下部矢板31及び上部矢板32の各々は、延長方向Zに並べられた複数の鋼矢板2が、互いの継手部24を嵌合させて連結される。
鋼矢板2は、延長方向Zに延びる略平板状等のフランジ部21が形成されて、延長方向Zでフランジ部21の両端の各々に、各々のウェブ部22が幅方向Xに傾斜して形成される。また、鋼矢板2は、延長方向Zで各々のウェブ部22の片端に、各々のアーム部23が形成されて、延長方向Zで各々のアーム部23の先端に、各々の継手部24が形成される。
下部矢板31は、図4、図5に示すように、例えば、高さ方向Yの下端部31aが強固な地盤等まで到達するように根入れされて、また、高さ方向Yの上端部31bが堤内側Bの法面73の近傍に配置されて、地盤8内から堤防内部70の下側70aまで連続して埋め込まれる。
上部矢板32は、堤防内部70の上側70bに埋め込まれて、下部矢板31の上端部31bに上部矢板32の下端部32aがヒンジ部材4で連結される。上部矢板32は、ヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに回転するものとなるように、上部矢板32の上端部32bを堤外側Aに向けて傾斜させて設けられる。
上部矢板32は、必要に応じて、図6に示すように、1m〜2m程度の長さ寸法の補助鋼板33が取り付けられる。補助鋼板33は、堤防内部70の堤内側Bに埋め込まれるものであり、上部矢板32から堤内側Bの天面71、法肩74又は法面73に向けて延びて設けられる。
補助鋼板33は、図7に示すように、例えば、上部矢板32のフランジ部21に端部33aが溶接等で取り付けられる。補助鋼板33は、これに限らず、端部33aに図示しないベースプレートが設けられて、上部矢板32のフランジ部21にベースプレートをボルト接合させて、上部矢板32のフランジ部21に取り付けられてもよい。
ヒンジ部材4は、図8に示すように、断面略円形状の内挿鋼管50に鋼板51を取り付けた雄側部材5と、断面略円形状の外嵌鋼管60に鋼板61を取り付けた雌側部材6とを有する。ヒンジ部材4は、雄側部材5の内挿鋼管50を雌側部材6の外嵌鋼管60の内側に挿入して、内挿鋼管50を外嵌鋼管60に嵌挿させることで、雄側部材5と雌側部材6とが連結される。
ヒンジ部材4は、下部矢板31の上端部31bのフランジ部21に雄側部材5の鋼板51をボルト接合させるととともに、上部矢板32の下端部32aのフランジ部21に雌側部材6の鋼板61をボルト接合させて、下部矢板31及び上部矢板32の各々に固定される。
ヒンジ部材4は、これに限らず、下部矢板31及び上部矢板32の各々に溶接等により固定されてもよく、また、雄側部材5の鋼板51が上部矢板32にボルト接合等により固定されるととともに、雌側部材6の鋼板61が下部矢板31にボルト接合等により固定されてもよい。
ヒンジ部材4は、雄側部材5の内挿鋼管50及び鋼板51が、延長方向Zで所定の奥行寸法を有する。ヒンジ部材4は、雌側部材6の外嵌鋼管60及び鋼板61が、延長方向Zで所定の奥行寸法を有して、雄側部材5の内挿鋼管50及び鋼板51と略同一の奥行寸法となる。
雄側部材5は、例えば、図9に示すように、内挿鋼管50の板厚t1が、10mm〜50mm程度で、内挿鋼管50の外径D1が、10cm〜50cm程度となり、また、鋼板51の板厚t3が、5mm〜50mm程度となる。雄側部材5は、内挿鋼管50の管周面50aで、内挿鋼管50の高さ方向Yの下端に、鋼板51の上端が溶接等で取り付けられる。
雄側部材5は、必要に応じて、内挿鋼管50の管周面50aに突出部材52が設けられる。突出部材52は、内挿鋼管50の管周面50aから外側に向けて所定の高さで突出した突出面52aを有して、内挿鋼管50の高さ方向Yの下端側に、溶接等で取り付けられる。
雌側部材6は、外嵌鋼管60の板厚t2が、20mm〜100mm程度で、外嵌鋼管60の内径D2が、内挿鋼管50の外径D1よりも大きく、11cm〜55cm程度となり、また、鋼板61の板厚t3が、10mm〜100mm程度となる。雌側部材6は、外嵌鋼管60の管周面60aで、外嵌鋼管60の高さ方向Yの上端側に、鋼板61の下端が溶接等で取り付けられる。
雌側部材6は、外嵌鋼管60の管軸方向及び管周方向Wに連続して、外嵌鋼管60の管周面60aを管周方向Wで部分的に切り欠いた切欠部62が形成される。雌側部材6は、外嵌鋼管60の断面方向の中心点Cに対して、切欠部62が管周方向Wに所定の角度θで形成される。
雌側部材6は、外嵌鋼管60の管周方向Wで角度θを30°以上、90°以下とした切欠部62が、外嵌鋼管60の管周面60aに連続して形成されて、外嵌鋼管60の管周面60aの一端部63と他端部64とを、外嵌鋼管60の管周方向Wで互いに離間させたものとなる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、図10〜図12に示すように、堤防7を掘削してから下部矢板31及び上部矢板32を堤防内部70に埋め込んで、掘削した堤防7の埋戻しをすることで、堤防7に設けられるものとなる。本発明を適用した堤防補強構造1は、既設の堤防7に設けられるものであるが、これに限らず、新設の堤防7に設けられてもよい。
最初に、堤防7を掘削する工程では、図10(a)に示すように、既設の堤防7の堤内側Bにおいて、天面71から法面73まで連続して堤防7を掘削することで、高さ方向Yに所定の深さとなるように、既設の堤防7に掘削箇所76を形成する。
次に、下部矢板31を埋め込む工程では、図10(b)に示すように、既設の堤防7の掘削箇所76の上方から下部矢板31を打設して、下部矢板31の下端部31aを地盤8内の支持地盤等まで根入れするとともに、下部矢板31の上端部31bを掘削箇所76で露出させる。
次に、下部矢板31に上部矢板32をヒンジ部材4で連結させる工程では、図11(a)に示すように、クレーン9等により下部矢板31の上方に上部矢板32を吊り下げるとともに、図11(b)に示すように、ヒンジ部材4の雄側部材5と雌側部材6とを連結させた状態で、下部矢板31に雄側部材5を固定するとともに、上部矢板32に雌側部材6を固定する。
次に、堤防7の掘削箇所76を埋め戻す工程では、図12(a)に示すように、ヒンジ部材4を回転軸として、堤防7の堤内側Bに上部矢板32が回転するものとなるように、上部矢板32の上端部32bを堤外側Aに向けて傾斜させた状態で、図12(b)に示すように、掘削箇所76を埋め戻して、下部矢板31及び上部矢板32が堤防内部70に埋め込まれる。
ここで、河川域又は海洋域では、津波又は洪水が発生することで、図13(a)に示すように、堤防7の堤外側Aで津波等により上昇した水位が、堤防7の天面71を乗り越えるものとなり、堤防7の堤外側Aから堤内側Bに向けた越流を発生させるものとなる。
このとき、堤防7の堤外側Aから堤内側Bへの越流は、堤防7の堤内側Bにおいて天面71及び法肩74を洗掘するものとなり、堤防7の天面71及び法肩74の土砂が流出することで、図13(b)に示すように、天面洗掘箇所71a及び法肩洗掘箇所74aが形成される。
本発明を適用した堤防補強構造1は、堤防7の天面71に天面洗掘箇所71aが形成されることで、上部矢板32の上端部32bが天面洗掘箇所71aで露出して、堤防7の天面71を乗り越える越流により、堤防7の堤外側Aから堤内側Bに向けて、上部矢板32の上端部32bに外力Fが作用する。
このとき、本発明を適用した堤防補強構造1は、越流による外力Fが上部矢板32の上端部32bに作用することで、図14(a)に示すように、上部矢板32がヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに回転するものとなり、上部矢板32を傾倒させた状態から直立させた状態とするものとなる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、上部矢板32を傾倒させた状態から直立させた状態とすることで、越流により洗掘される前における堤防7の天面71の高さより、直立させた状態の上部矢板32の高さの方が、所定の高さ上昇分Hだけ高さ方向Yに大きいものとなる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、例えば、上部矢板32がヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに回転するときの回転角度が60°で、高さ方向Yの延長が2〜4m程度の上部矢板32が用いられた場合に、高さ上昇分Hが1〜2m程度のものとなる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、下部矢板31を地盤8内に深く埋め込んで、下部矢板31の上端部31bを下方に配置させることで、上部矢板32がヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに回転するときの回転角度を大きくしなくても、上部矢板32の高さ方向Yの延長を大きくすることができるものとして、高さ上昇分Hをより大きくすることが可能となる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、ヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに上部矢板32を回転させて、所定の高さ上昇分Hだけ上部矢板32の高さが増大することで、図14(b)に示すように、津波や洪水により上昇する水位に上部矢板32の高さが追随して、津波や洪水による堤防7の越流を上部矢板32で遮断することができるものとなる。
これにより、本発明を適用した堤防補強構造1は、上部矢板32の高さを津波や洪水により上昇する水位に追随して増大させることで、津波や洪水による堤防7の越流を上部矢板32で遮断して、津波や洪水による堤防7の越流を十分に抑制することができるものとなり、堤防7の堤内側Bでの浸水被害を防止することが可能となる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、図15(a)に示すように、ヒンジ部材4の雌側部材6で外嵌鋼管60に切欠部62が形成されることで、ヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに上部矢板32が回転するときに、外嵌鋼管60の管周方向Wの一端部63が雄側部材5の鋼板51の側面に接触して、上部矢板32の堤内側Bへの回転が制限される。
本発明を適用した堤防補強構造1は、例えば、ヒンジ部材4の雄側部材5で内挿鋼管50に突出部材52が設けられる場合、ヒンジ部材4を回転軸として堤内側Bに上部矢板32が回転するときに、外嵌鋼管60の内周面60bが突出部材52に当接しながら摺動して、雌側部材6の外嵌鋼管60が管周方向Wに回転するものとなる。
このとき、本発明を適用した堤防補強構造1は、図15(b)に示すように、雄側部材5の内挿鋼管50に突出部材52が設けられることで、外嵌鋼管60の管周方向Wの一端部63が雄側部材5の鋼板51の側面に接触した後に、外嵌鋼管60の管周方向Wの他端部64が突出部材52の突出面52aに接触して、上部矢板32の堤外側Aへの回転が制限される。
これにより、本発明を適用した堤防補強構造1は、外嵌鋼管60の管周方向Wの一端部63が雄側部材5の鋼板51の側面に接触して、上部矢板32の堤内側Bに向けた必要以上の回転が制限されることで、上部矢板32が直立した状態から堤内側Bに傾倒した状態となることを防止して、上部矢板32の高さを最大限に増大させた状態を維持させることが可能となる。
また、本発明を適用した堤防補強構造1は、外嵌鋼管60の管周方向Wの他端部64が突出部材52の突出面52aに接触して、上部矢板32の堤外側Aに向けた回転が制限されることで、津波や洪水による越流が解消した後に、越流による外力Fが上部矢板32の上端部32bに作用しなくなった場合であっても、上部矢板32が直立した状態から堤外側Aに急激に傾倒することを防止して、上部矢板32の急激な傾倒による事故を未然に防ぐことが可能となる。
なお、本発明を適用した堤防補強構造1は、上部矢板32の高さ方向Yの延長を大きくした場合に、越流により上部矢板32に作用する外力Fが増大することが想定されるため、必要に応じて、外嵌鋼管60の板厚t2を厚いものとするか、又は、外嵌鋼管60の管周面60aに図示しない補強リブが設けられてもよい。
本発明を適用した堤防補強構造1は、図6に示すように、上部矢板32から堤内側Bの天面71、法肩74又は法面73に向けて延びる補助鋼板33が設けられることで、図16(a)に示すように、堤防7に形成された法肩洗掘箇所74aで補助鋼板33が露出して、堤防7の天面71を乗り越える越流により、堤防7の堤外側Aから堤内側Bに向けて、上部矢板32に取り付けられた補助鋼板33にも外力Fが作用する。
これにより、本発明を適用した堤防補強構造1は、上部矢板32の上端部32bのみならず、上部矢板32に取り付けられた補助鋼板33に対しても、越流による外力Fが作用するものとなるため、図16(b)に示すように、上部矢板32の堤内側Bへの回転を促進させることができるものとして、上部矢板32を傾倒した状態から円滑に直立させることが可能となる。
本発明を適用した堤防補強構造1は、図3に示すように、各々の鋼矢板2のフランジ部21を堤防7の堤外側Aに配置して下部矢板31が埋め込まれる場合において、下部矢板31及び上部矢板32の各々のフランジ部21にヒンジ部材4が固定される。
本発明を適用した堤防補強構造1は、これに限らず、図17に示すように、各々の鋼矢板2のフランジ部21を堤防7の堤内側Bに配置して下部矢板31が埋め込まれる場合において、下部矢板31及び上部矢板32の各々で一対のアーム部23の何れか一方又は両方に、ヒンジ部材4が固定されてもよい。
本発明を適用した堤防補強構造1は、下部矢板31及び上部矢板32の各々で一対のアーム部23の何れか一方にのみヒンジ部材4が固定されることで、ヒンジ部材4の使用数量の増大を抑制して、また、上部矢板32をヒンジ部材4に固定するときの延長方向Zの位置合わせを容易に実施することが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :堤防補強構造
2 :鋼矢板
21 :フランジ部
22 :ウェブ部
23 :アーム部
24 :継手部
3 :鋼矢板壁
31 :下部矢板
31a :下端部(下部矢板)
31b :上端部(下部矢板)
32 :上部矢板
32a :下端部(上部矢板)
32b :上端部(上部矢板)
33 :補助鋼板
33a :端部(補助鋼板)
4 :ヒンジ部材
5 :雄側部材
50 :内挿鋼管
50a :管周面
51 :鋼板
52 :突出部材
52a :突出面
6 :雌側部材
60 :外嵌鋼管
60a :管周面
60b :内周面
61 :鋼板
62 :切欠部
63 :一端部
64 :他端部
7 :堤防
70 :堤防内部
70a :下側
70b :上側
71 :天面
71a :天面洗掘箇所
72 :底面
73 :法面
74 :法肩
74a :法肩洗掘箇所
75 :法尻
76 :掘削箇所
8 :地盤
9 :クレーン
A :堤外側
B :堤内側
W :管周方向
X :幅方向
Y :高さ方向
Z :延長方向

Claims (5)

  1. 堤外側と堤内側とを隔てた堤防に設けられる堤防補強構造であって、
    地盤内から堤防内部の下側まで埋め込まれる下部矢板と、前記下部矢板の上方で堤防内部の上側に埋め込まれる上部矢板とを備え、
    前記上部矢板は、前記下部矢板の上端部に前記上部矢板の下端部がヒンジ部材で連結されて、前記ヒンジ部材を回転軸として堤内側に回転するものとなるように、前記上部矢板の上端部を堤外側に向けて傾斜させて設けられ、
    外力の作用によって、前記ヒンジ部材は、前記上部矢板を傾倒させた状態から直立させた状態とするものとなること
    を特徴とする堤防補強構造。
  2. 前記ヒンジ部材は、内挿鋼管に鋼板を取り付けた雄側部材と、外嵌鋼管に鋼板を取り付けた雌側部材とを有して、前記内挿鋼管を前記外嵌鋼管に嵌挿させることで、前記雄側部材と前記雌側部材とが連結されること
    を特徴とする請求項1記載の堤防補強構造。
  3. 前記ヒンジ部材は、前記外嵌鋼管を管周方向に切り欠いた切欠部が形成されることで、前記ヒンジ部材を回転軸として前記上部矢板が堤内側に回転するときに、前記外嵌鋼管の管周方向の一端部が前記雄側部材の鋼板に接触して、前記上部矢板の堤内側への回転が制限されること
    を特徴とする請求項2記載の堤防補強構造。
  4. 前記ヒンジ部材は、前記内挿鋼管の管周面に突出部材が設けられることで、前記外嵌鋼管の管周方向の一端部が前記雄側部材の鋼板に接触した後に、前記外嵌鋼管の管周方向の他端部が前記突出部材の突出面に接触して、前記上部矢板の堤外側への回転が制限されること
    を特徴とする請求項3記載の堤防補強構造。
  5. 前記上部矢板は、堤防内部の堤内側に埋め込まれた補助鋼板が取り付けられるものであり、堤防の堤内側における天面、法肩又は法面に向けて、前記補助鋼板が延びて設けられること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の堤防補強構造。
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