JP6492368B2 - 重合性紫外線吸収色素の製造方法 - Google Patents
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Description
ところが、本来の水晶体は紫外線を透過させない性質を有するのに対し、従前の眼内レンズ用ポリマーは紫外線を透過するため、網膜を損傷する危険性がある。
そこで、眼内レンズ用材料には紫外線吸収能や黄色系色素による着色が求められるようになり、近年は安全性の観点から多くの眼内レンズ用ポリマーには紫外線吸収剤モノマーや黄色系色素モノマーが共重合されている。これまでにそのようなモノマー化合物が種々開発されており(特許文献1〜4)、一分子内にアゾ基等の発色団とベンゾフェノン骨格等の紫外線吸収部とを有する、他の眼内レンズ材料用モノマーとの共重合可能なモノマー化合物も開発されている(特許文献5、6)。
そこで、本発明は、アルカリ条件下でも安定な重合性紫外線吸収色素モノマーを得ることを課題とする。
すなわち、本発明の第一の実施態様は以下の通りである。
下記一般式(3)で表される化合物を出発物質又は中間体として用いる、製造方法である。
一般式(1)で表される化合物の製造方法であって、
下記一般式(4)で表される化合物を出発物質又は中間体として用いる、製造方法。
また、前記ジアゾカップリングステップにおいて、触媒に弱塩基を用いることが好ましく、前記弱塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムから選択されることが好ましい。
<1>本発明の製造方法により製造される色素化合物
本発明の製造方法により製造される色素化合物は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)中、R2は水素原子、ヒドロキシ基、または炭素数1〜4のアルコキシ基である。これらのうち、製造における反応効率の観点から、水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、またはエトキシ基が好ましく、光線吸収特性の観点からヒドロキシ基が特に好ましい。
一般式(1)に示されるように、本発明の色素化合物はベンゾフェノン骨格及びアゾベンゼン骨格を有し、これらが色素部位である。
一般式(1)中、R3は、下記式(2)で表される。
一般式(2)中、R5は単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基であり、好ましくは置換基を有さない炭素数1〜4のアルキレン基である。炭素数1〜4のアルキレン基とは、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基を意味する。かかるアルキレン基は置換基を有さなくても有していてもよく、置換基を有する場合はアルキレン基の炭素に炭素数1〜2のアルキル基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボキシ炭素数1〜2のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基、アミノ基、炭素数1〜2のアミノアルキル基等の置換基が結合している態様が挙げられる。
このように、置換基R3は重合性基である(メタ)アクリロイルアミノ基にスペーサーが結合した基であり、本発明の色素化合物において共重合に関与する部位である。一般式(2)で表される構造であることにより、本発明の色素化合物は他の重合性モノマーとの反応効率が高いという性質を有する。
なお、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
また、一般式(1)において置換基R3はアゾフェニル基の3位又は4位に結合していることが好ましい。
また一般式(1)で表される色素化合物は、一分子中に紫外線吸収部及び発色団(ひとまとめに色素部位ともいう)が存在するため、発色団が紫外線によりダメージを受けて色素が経時退色してしまうということが生じにくい。
そして、一般式(1)で表される色素化合物において重合性基と色素部位とはアミド結合でつながっている。かかる結合はアルカリ条件下でも安定であるため、後述する本発明のポリマーから色素部位が脱離することがない。その結果、従来のエステル結合を有する色素化合物やそれを用いた共重合体では乏しかった、アルカリ条件下での安定性が実現される。
本発明の製造方法に係る第一の実施態様では、一般式(3)で表されるニトロアリール化合物を出発物質又は中間体として使用し、これにアクリル酸化合物又はメタクリル酸化合物等をアミド化反応により反応させて重合性基を導入するアミド化工程、得られた重合性ニトロアリール化合物のニトロ基をアミノ基に還元する還元工程、得られた重合性アミノアリール化合物をジアゾ化してジアゾニウム塩を得るジアゾ化工程、及び得られたジアゾニウム塩をベンゾフェノン化合物とジアゾカップリングして一般式(1)で表される色素化合物を得るジアゾカップリング工程を含み得る。
また、本発明の製造方法に係る第二の実施態様では、一般式(4)で表される重合性ニトロアリール化合物を出発物質又は中間体として使用し、該重合性ニトロアリール化合物のニトロ基をアミノ基に還元する還元工程、得られた重合性アミノアリール化合物をジアゾ化してジアゾニウム塩を得るジアゾ化工程、及び得られたジアゾニウム塩をベンゾフェノン化合物とジアゾカップリングして一般式(1)で表される色素化合物を得るジアゾカップリング工程を含み得る。
合成方法1及び2の概略を以下の反応式に示す。なお、式中、R´はヒドロキシ基又はハロゲン原子を表し、R1〜R8は前述と同様の置換基を表す。
ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸ナトリウム水溶液、亜硝酸カリウム又は亜硝酸カリウム水溶液、亜硝酸イソアミル、及び/又はニトロシル硫酸(硫酸溶液)等を用いることができる。ジアゾ化剤の使用量は特に制限はないが、重合性基含有アミノアリール化合物1モルあたり1.00〜1.20モルであることが好ましく、1.02〜1.10モルであることがより好ましい。またジアゾ化工程での反応温度は、−78℃〜50℃の範囲であり、−20℃〜20℃の範囲であることが好ましく、−20℃〜10℃の範囲であることがより好ましい。またジアゾ化工程は中性〜酸性の条件で行うことが好ましく、反応溶媒に適宜塩酸等の酸を添加することができる。
ここで用いられる弱塩基は、強アルカリと弱酸とからなる塩でかつその水溶液が1atm、0℃〜25℃でアミド結合を加水分解せず、ビニル基の重合反応を惹起しないものであれば特に制限されず、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム又は酢酸カリウム等の弱塩基を用いることが好ましい。弱塩基の使用量はナトリウム当量換算でジアゾニウム塩1モルあたり4.0〜10.0モルであることが好ましく、6.0〜8.0モルであることがより好ましい。また、ジアゾカップリング工程における反応温度は−10℃〜10℃の範囲であり、−5℃〜5℃の範囲であることがより好ましい。
前記アミノ置換芳香族化合物は、そのアミノ基がt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等の保護基で置換されているものを使用することができる。
また、前記重合性ニトロアリール化合物としては、N−(4−ニトロフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−[(4−ニトロフェニル)メチル](メタ)アクリルアミド、N−[2−(4−ニトロフェニル)エチル](メタ)アクリルアミド、N−[3−(4−ニトロフェニル)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−[4−(4−ニトロフェニル)ブチル](メタ)アクリルアミド、N−[(3−ニトロフェニル)メチル](メタ)アクリルアミド、N−[2−(3−ニトロフェニル)エチル](メタ)アクリルアミド、N−[3−(3−ニトロフェニル)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−[4−(3−ニトロフェニル)ブチル](メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
合成方法1で出発物質として使用するニトロアリール化合物は、アミノアリール化合物より安価である。さらに、アミド化反応では通常、重合性基を導入する際に、アミノ基に対して二分子の重合性基が導入された副生物が生成するが、ニトロアリール化合物をアミド化した場合に生じるこの副生物の除去は、例えばアミノアリール化合物をアミド化した場合よりも容易である。よって、このような経済性や操作の簡便性の観点も考慮すると、本発明の製造方法は、従来方法に比較して有利である。
本発明の製造方法により一般式(1)で表される化合物の工業的生産が可能となり、有用な色素又は重合性紫外線吸収色素モノマーとして使用されうる。
一般式(1)で表される色素化合物は、他の共重合モノマー一種又は二種以上と共重合させ、ポリマーにすることができる。
一般式(1)で表される色素化合物は、発色団と重合性基が立体的に離れているので、重合を阻害することがない。そのため他の共重合モノマーとの反応性のよい共重合モノマーとして使用することができる。
前記他の共重合モノマーとしては、通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば以下のものが挙げられる。
ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ(メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ)ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ(メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ)ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキサニルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート等のシリコン含有(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ−tert−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ−tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシオクタフルオロ−6−トリフルオロメチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシドデカフルオロ−8−トリフルオロメチルノニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキサデカフルオロ−10−トリフルオロメチルウンデシル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート類;
スチレン、ペンタフルオロスチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、(ペンタメチル−3,3−ビス(トリメチルシロキシ)トリシロキサニル)スチレン、(ヘキサメチル−3−トリメチルシロキシトリシロキサニル)スチレン、ジメチルアミノスチレン等のスチレン誘導体類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;
アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のアルキル基、フッ素含有アルキル基、シロキサニルアルキル基で置換されていても良いアルキルエステル類;
グリシジル(メタ)アクリレート;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;
4−ビニルピリジン;
ビニルイミダゾール、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルサクシンイミド等のヘテロ環式N−ビニルモノマー;
N−(メタ)アクリロイルピペリジン;
N−(メタ)アクリロイルモルホリン。
また、上記の共重合モノマーを一種又は二種以上選択して重合してマクロモノマーとし、それをポリマー製造用の共重合モノマーの1つとして用いることもできる。
一般式(1)で表される色素化合物のポリマーの共重合の際に、一般式(1)で表される色素化合物を配合する割合は、ポリマーの用途、例えば眼内レンズであればその厚みにも影響されるが、全ての共重合モノマー混合物100重量部に対して、0.001〜5重量部であることが好ましく、0.005〜2重量部であることがより好ましく、0.01〜0.06重量部であることがさらに好ましい。0.001重量部未満ではポリマーの発色が悪くなるおそれがある。また、5重量部を超えると、ポリマーの着色が濃くなりすぎて透明性が低下したり、ポリマーの物性(たとえば、強度等)が低下したり、本発明の色素化合物がポリマーから溶出しやすくなったりするおそれがある。
添加量としては、全ての共重合モノマー混合物100重量部に対して好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上となるように調整し、また十分な重合速度や重合度を確保するために全ての共重合モノマー100重量部に対して好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下となるように調整する。
重合性アゾ系色素の具体例としては、例えば、1−フェニルアゾ−4−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−フェニルアゾ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−ナフチルアゾ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(α−アントリルアゾ)−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−((4'−(フェニルアゾ)−フェニル)アゾ)−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(2',4'−キシリルアゾ)−2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(o−トリルアゾ)−2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、2−(m−(メタ)アクリロイルアミド−アニリノ)−4,6−ビス(1'−(o−トリルアゾ)−2'−ナフチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2−(m−ビニルアニリノ)−4−(4'−ニトロフェニルアゾ)−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(1'−(o−トリルアゾ)−2'−ナフチルオキシ)−4−(m−ビニルアニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(p−ビニルアニリノ)−4−(1'−(o−トリルアゾ)−2'ナフチルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、N−(1'−(o−トリルアゾ)−2'−ナフチル)−3−ビニルフタル酸モノアミド、N−(1'−(o−トリルアゾ)−2'−ナフチル)−6−ビニルフタル酸モノアミド、3−ビニルフタル酸−(4'−(p−スルホフェニルアゾ)−1'−ナフチル)モノエステル、6−ビニルフタル酸−(4'−(p−スルホフェニルアゾ)−1'−ナフチル)モノエステル、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−フェニルアゾフェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(8'−ヒドロキシ−3',6'−ジスルホ−1'−ナフチルアゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(1'−フェニルアゾ−2'−ナフチルアゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(p−トリルアゾ)フェノール、2−アミノ−4−(m−(2'−ヒドロキシ−1'−ナフチルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(2'−ヒドロキシ−1'−ナフチルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(m−(4'−ヒドロキシ−1'−フェニルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(4'−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(m−(3'−メチル−1'−フェニル−5'−ヒドロキシ−4'−ピラゾリルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(3'−メチル−1'−フェニル−5'−ヒドロキシ−4'−ピラゾリルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(p−フェニルアゾアニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、4−フェニルアゾ−7−(メタ)アクリロイルアミド−1−ナフトール等が挙げられる。
重合性フタロシアニン系色素の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイル化テトラアミノ銅フタロシアニン、(メタ)アクリロイル化(ドデカノイル化テトラアミノ銅フタロシアニン)等が挙げられる。
架橋剤やマクロモノマーを配合する場合、その配合割合は全ての共重合モノマー混合物100重量部あたり、0.01〜10重量部の割合の範囲内で使用することが好ましい。0.01重量部未満ではその効果が得られにくく、また10重量部を超えると得られるポリマーが脆くなる傾向がある。
一般式(1)で表される色素化合物のポリマーに酸素透過性を付与する場合は、共重合モノマーとしてシリコン含有(メタ)アクリレート類、シリコン含有スチレン誘導体類等のシリコン含有モノマーやフッ素含有アルキル(メタ)アクリレート類等を選択すればよい。
ポリマーの強度を高めたり硬度を調節したりする場合は、共重合モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレート類やスチレンを含めたスチレン誘導体類または(メタ)アクリル酸等を選択すればよい。
共重合モノマーとしてフッ素含有アルキル(メタ)アクリレート類やフッ素含有スチレン誘導体類等のフッ素含有モノマーを選択すれば、後述のように本発明のポリマーを眼内レンズ用材料とする場合に抗脂質汚染機能が付与されたものとすることができる。
共重合モノマーとして芳香族環を含有するモノマー、例えば、スチレン系モノマーや芳香族環含有(メタ)アクリレート類等を選択すれば、本発明のポリマーを高屈折率のレンズ用材料とすることができる。
上記のように一般式(1)で表される色素化合物のポリマーに種々の機能性を付与するための共重合モノマーを選択して配合する場合は、全ての共重合モノマー混合物100重量部に対して好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上とし、また全ての共重合モノマー混合物100重量部に対して好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下となるように適宜調整する。
また、前述のように一般式(1)で表される色素化合物において、重合性基と色素部位とをつなぐアミド結合はアルカリ条件下(例えばpH12以上)でも安定であるため、一般式(1)で表される色素化合物のポリマーから色素部位が脱離することがない。その結果、従来のエステル結合を有する色素化合物を用いた共重合体では乏しかった、アルカリ条件下での安定性が実現され、アルカリ処理後のポリマーにおいても高い光線吸収特性を維持する。これは、4Nの水酸化ナトリウム水溶液に本発明のポリマーを室温下で4時間浸漬した後の、浸漬液における光線透過率が実質的に100%であることで確認することができる。
一般式(1)で表される色素化合物のポリマーは、眼内レンズ用材料とすることができる。
一般に色素化合物は、ポリマーに添加した場合にその硬度を上げてしまうところ、一般式(1)で表される色素化合物は柔軟性に優れるため、一般式(1)で表される色素化合物のポリマーを眼内レンズ用材料として用いて成形した眼内レンズは柔軟性を保持することが期待でき、施術時の取扱いが容易となる。
また、一般式(1)で表される色素化合物のポリマーは、光や化学薬剤に優れた耐性を示し、堅牢性も高く、ポリマーから色素部位が溶出することもないため、安全性が高く、脱色や変色のない、優れた眼内レンズを得ることができる。
その他に、一般式(1)で表される色素化合物はメガネ、サングラス、コンタクトレンズ等の材料とすることもでき、また、塗料や建材等にも使用できる。
また、一般式(1)で表される色素化合物のポリマーは、化学的に安定な色素部位を有しており、温度変化やpH変化が激しいことが予想される戸外や過酷な環境下でも劣化なく使用することができる。
また、眼内レンズの支持部を、眼内レンズとは別に作製して後から取り付けても良いし、眼内レンズと同時に(一体的に)成形しても差支えない。
δ:1.93(s,3H),2.99(t,2H,J=6.8Hz),3.60(q,2H,J=6.8Hz),5.32(t,1H,J=1.2Hz),5.61(s,1H),5.82(br.s,1H),7.37(d,2H,J=8.6Hz),8.17(d,2H,J=8.6Hz).
次いで、N−[2−(4−ニトロフェニル)エチル]メタクリルアミド(1.20g)を、エタノール(15mL)と水(5mL)に溶解させた。塩化アンモニウム(364mg)と鉄粉(933mg)を加え80℃で4時間還流を行った。鉄粉をろ取し、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行った。水および酢酸エチルを加え、抽出操作を行い、水及び飽和食塩水で洗浄を行った。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、濃縮操作を行い、目的物を淡赤色の油状物として得た。収量は1.01g(97%)であった。得られた化合物について、1H−NMR(400MHz、CDCl3)のスペクトルデータを示す。
δ:1.91(s,3H),2.74(t,2H,J=6.8Hz),3.51(q,2H,J=6.8Hz),3.61(br.s,2H),5.27(t,1H,J=1.4Hz),5.59(s,1H),5.76(br.s,1H),6.64(d,2H,J=8.3Hz),6.98(d,2H,J=8.3Hz).
δ:2.01(s,3H),4.61(d,2H,J=6.0Hz),5.41(t,1H,J=1.0Hz),5.76(t,1H,J=1.0Hz),6.29(br.s,1H),7.45(d,2H,J=8.8Hz),8.17(d,2H,J=8.8Hz).
次いで、N−(4−ニトロベンジル)メタクリルアミド(811mg)を、エタノール(12mL)と水(4mL)に溶解させた。塩化アンモニウム(183mg)と鉄粉(573mg)を加え80℃で4時間還流を行った。鉄粉をろ取し、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行った。水および酢酸エチルを加え、抽出操作を行い、水及び飽和食塩水で洗浄を行った。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、濃縮操作を行い、目的物を淡赤色の油状物として得た。収量は580mg(89%)であった。得られた化合物について、1H−NMR(400MHz、CDCl3)のスペクトルデータを示す。
δ:1.97(t,3H,J=1.3Hz),3.67(br.s,2H),4.37(d,2H,J=5.6Hz),5.31(t,1H,J=1.4Hz),5.68(br.t,1H),5.92(br.s,1H),6.65(d,2H,J=8.3Hz),7.09(d,2H,J=8.3Hz).
上記のように合成した重合性アミノアリール化合物を用い、重合性紫外線吸収色素を合成した。以下、実施例1及び2として示す。
δ:1.93(t,3H,J=1.0Hz),2.94(t,2H,J=6.8Hz),3.61(q,2H,J=6.8Hz),5.31(t,1H,J=1.0Hz),5.61(t,1H,J=1.0Hz),5.81(br.t,1H),6.58(s,1H),7.33(d,2H,J=8.5Hz),7.56(t,2H,J=7.2Hz),7.64(tt,1H,J=7.2Hz,2.4Hz),7.72−7.76(m,4H),8.22(s,1H),12.89(s,1H),13.93(s,1H).
δ:2.00(t,3H,J=1.1Hz),4.57(d,2H,J=6.0Hz),5.38(t,1H,J=1.4Hz),5.73(br.t,1H),6.16(br.s,1H),6.57(s,1H),7.41(d,2H,J=8.5Hz),7.56(t,2H,J=7.4Hz),7.63(tt,1H,J=7.3Hz,2.4Hz),7.71−7.78(m,4H),8.22(s,1H),12.88(s,1H),13.89(s,1H).
実施例1で得られた重合性紫外線吸収色素を他の重合性モノマーと共重合させた。
[製造例1]
実施例1にて得られた重合性紫外線吸収色素(HBZ−PHM)0.03質量部、アクリル酸2−フェノキシエチル60質量部、アクリル酸エチル40質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5質量部を均一に配合し、80℃で40分間重合させ、厚さ1mmのポリマーシートを作製した。得られたポリマーシートをサンプルとして、波長220〜800nmの光線透過率を測定した。結果を図1に示す。
さらに、このサンプルを40℃のエタノールに24時間浸漬して溶出処理を行った後、再度、光線透過率を測定したところ、溶出処理前後でスペクトルは変化しなかった。このことは、重合性紫外線吸収色素が材料中に化学的に結合していることを示しており、本発明の色素化合物を他の紫外線吸収剤と併用してポリマー合成に用いても、重合後に溶出することはないことが確認できた。なお、光線透過率の測定には紫外可視分光光度計を用いた(以降、同じ)。
実施例1にて得られた重合性紫外線吸収色素を他の重合性紫外線吸収剤とともに他の重合性モノマーと共重合性させた。
[製造例2]
紫外線吸収剤として2−[2´−ヒドロキシ−5´−(2´´−メタクリロイルオキシエトキシ)−3´−t−ブチルフェニル]−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールをさらに0.15質量部配合した以外は製造例1と同様にポリマーシートを作製した。得られたシートをサンプルとして、製造例1と同様に波長220〜800nmの光線透過率を測定した。その結果を図2に示す。溶出処理前後での光線透過率のスペクトルは変化せず、本発明の重合性紫外線吸収色素を他の重合性紫外線吸収剤と併用しても、共重合体成分として重合体中に取り込まれ、重合後に溶出することはないことが確認できた。
参考例1にて得られたHBZ−PHM(1重量部)とメタクリル酸メチル(26重量部)を、ジオキサン(52重量部)、N,N−ジメチルホルムアミド(22重量部)及び水(20重量部)の混合溶媒中に仕込み、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.4重量部を加え、アルゴン雰囲気下75℃で5時間重合して、HBZ−PHM共重合体を得た。
対照例として、HBZ−PHMに代えて特許文献6(特開2006−291006号公報)の合成例1に開示の手順に従い合成した2,4−ジヒドロキシ−5−(4−(2−(N−2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ)エチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン(BMAC)を用いて同様に重合反応を行い、BMAC共重合体を得た。
得られた各共重合体の粉末をエタノールで12時間ソクスレー抽出した後の、粉末ポリマー(200mg)をそれぞれエタノール(5mL)に懸濁し、4N−NaOH(5mL)を加えて室温で4時間攪拌した。なお、このときの試験溶液は、pH試験紙でpH12〜14であることを示していた。撹拌終了後、4N−HClで中和しさらにエタノール(15mL)を加えた。不溶物をろ去してろ液を観察したところ、HBZ−PHM共重合体では無色透明であった。一方、BMAC共重合体では、ろ液は黄色に着色した。さらに、それぞれのろ液の波長220〜800nmの光線透過率を測定した結果を図3に示す。BMAC共重合体のアルカリ処理後のろ液はBMAC共重合体と同様の透過率パターンを示した。このことは、BMACの色素部位がアルカリ処理により共重合体から脱離したことを強く示唆している。一方、HBZ−PHM共重合体のアルカリ処理後のろ液はいずれの波長の光線も透過し、アルカリ処理によってpH12以上の条件にした時でも共重合体から色素成分が遊離せず、すなわちBMAC共重合体よりもpH変化に対して安定であり、さらにpH変化に対してほとんど影響を受けないことが確認された。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物の製造方法であって、
下記一般式(3)で表される化合物にアクリル酸化合物又はメタクリル酸化合物をアミド化反応により反応させて重合性基を導入するアミド化工程、
前記アミド化工程で得られた重合性ニトロアリール化合物のニトロ基をアミノ基に還元する還元工程、
前記還元工程で得られた重合性アミノアリール化合物をジアゾ化するジアゾ化工程、及び
前記ジアゾ化工程で得られたジアゾニウム塩をベンゾフェノン化合物とジアゾカップリングするジアゾカップリング工程を含む、製造方法。
いてもよい炭素数1〜4のアルキレン基である。)
- 下記一般式(1)で表される化合物の製造方法であって、
下記一般式(4)で表される化合物のニトロ基をアミノ基に還元する還元工程、
前記還元工程で得られた重合性アミノアリール化合物をジアゾ化するジアゾ化工程、及び
前記ジアゾ化工程で得られたジアゾニウム塩をベンゾフェノン化合物とジアゾカップリングするジアゾカップリング工程を含む、製造方法。
- 前記ジアゾカップリング工程において、触媒に弱塩基を用いる、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記弱塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムから選択される一種以上を含む、請求項3に記載の製造方法。
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