<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、搬送装置115を備えたインクジェットプリンタ100の構造を示す前方斜視図である。図2は、搬送装置115を備えたインクジェットプリンタ100の構造を示す後方斜視図である。図3は、図1のI−I線に沿う断面図である。
本明細書において「メディア」とは、普通紙などの紙類、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料および、アルミ、鉄、木材のような各種材料からなる各種の記録媒体が含まれる。
本明細書においては、メディア300の幅方向を「主走査方向」と適宜に称することとする。また、主走査方向と直交する方向を「副走査方向」と適宜に称することとする。
本明細書において「インクジェット方式」とは、従来より公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などのオンデマンド方式を含む。
以下の説明では、左、右、上、下とは、インクジェットプリンタ100の正面にいる利用者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、インクジェットプリンタ100から上記利用者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Xは、X軸を示し、主走査方向を表す。本実施形態では、主走査方向は左右方向である。図面中の符号Yは、Y軸を示し、副走査方向を表す。副走査方向は主走査方向に対し垂直な方向である。本実施形態では、副走査方向は前後方向である。図面中の符号Zは、Z軸を示し、上下方向を表す。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、左右一対の側方部材102L、102Rと、支持部材104と、本体部106と、支持台114と、インクヘッド130と、搬送装置115とを備えている。
インクジェットプリンタ100は、マイクロコンピュータ60に接続されている。インクジェットプリンタ100は、マイクロコンピュータ60によって制御される。
支持部材104は、側方部材102Lと側方部材102Rとの間に配置されている。支持部材104は、側方部材102Lと側方部材102Rとを連結する。支持部材104は、X軸方向に延びる。
図2に示すように、支持台114は、側方部材102L、102Rの下方部に配置されている。
図1に示すように、本体部106は、側方部材102Lおよび側方部材102Rの上方に配置されている。本体部106には、プラテン122が設けられている。
インクヘッド130は、本体部106に設けられている。インクヘッド130は、後述のプラテン122と対向する位置に配置されている。インクヘッド130は、プラテン122より上方に配置されている。インクヘッド130は、主走査方向(X軸方向)に移動する。インクヘッド130は、プラテン122上を副走査方向に搬送される後述のメディア300に対してインクを吐出する。
搬送装置115は、ロールメディア配置部108と、巻取り装置113と、搬送部127と、第1棒状部材12と、第2棒状部材14とを備えている。
ロールメディア配置部108は、支持部材104の後方に配置されている。ロールメディア配置部108には、ロール状に巻き回されたメディア(以下、「ロール状に巻き回されたメディア」を、「ロールメディアRM」と称する。)が配置される。ロールメディアRMは、その中心軸RO(図3参照)がX軸と平行に配置される。なお、ロールメディアRMの中心軸とは、ロールメディアRMが回転してメディア300が繰り出されるときの回転中心軸である。
巻取り装置113は、巻取り部110と、ダンサローラ112とを備えている。巻取り装置113は、メディア300に対して所定のテンションを付加しながら、メディア300を巻き取る。
巻取り部110は、側方部材102Lおよび側方部材102Rの前方に配置されている。巻取り部110は、支持台114に回転自在に設けられている。巻取り部110は、X軸方向に延びる。巻取り部110は、その中心軸LOがX軸に平行に配置される。巻取り部110は、図示しない駆動装置によってX軸回りに回転する。巻取り部110は、搬送されたメディア300を固定することができる。巻取り部110は、搬送されたメディア300を巻き取る。巻取り部110は、ダンサローラ112に設けられた図示しないセンサによってダンサローラ112が所定の傾きになったことが検知されると、図示しない駆動装置によって、X軸回りに回転する。
ダンサローラ112は、巻取り部110より前方に回動自在に配置されている。ダンサローラ112は、支持台114に設けられた支軸112aと、支軸112aに設けられた棒部材112bとを備えている。支軸112aには、図示しないセンサが設けられている。センサは、支軸112aの傾き(即ちダンサローラ112の傾き)を検知する。支軸112aは、棒部材112bをX軸方向に平行な状態でX軸回りに回転させる。搬送されるメディア300が巻取り部110に巻き取られるとき、棒部材112bがメディア300の裏面に接触し、ダンサローラ112の傾きが制限されるように、ダンサローラ112と本体部106と巻取り部110との配置関係が設定されている。
ダンサローラ112は、巻取り部110に巻き取られながら搬送されるメディア300の裏面(即ちインクが吐出されていない面)に接触し、ダンサローラ112の自重によってメディア300に所定のテンションを付加する。搬送されるメディア300には、ダンサローラ112(即ち支軸112aおよび棒部材112b)の自重によって、前斜め下方に常に一定のテンションが付加される。
搬送部127は、プラテン122に設けられたグリッドロール124と、本体部106に設けられ、グリッドロール124と接触するピンチロール126とを備えている。グリッドロール124およびピンチロール126は、X軸方向に沿って複数設けられている。グリッドロール124とピンチロール126とにメディア300を挟んだ状態でグリッドロール124を駆動することにより、ロールメディアRMから巻解かれたメディア300が副走査方向に搬送される。搬送部127は、グリッドロール124とピンチロール126とで挟まれたメディア300を副走査方向に搬送する。搬送部127は、メディア300を前方および後方に搬送する。
図3に示すように、第1棒状部材12は、本体部106とロールメディア配置部108との間に配置されている。第1棒状部材12は、X軸方向(主走査方向)に延びる。
図2に示すように、第1棒状部材12は、支軸12aと、支軸12bと、棒部材12cとを備えている。支軸12aは、側方部材102Rに設けられた板状部材16Rの後部に取り付けられている。支軸12aは側方部材102Rに直接取り付けられていてもよい。支軸12aは、水平面(XZ平面)に対して、例えば、45±2度だけ傾斜して配置されている。支軸12bは、側方部材102Lに設けられた板状部材16Lの後部に取り付けられている。支軸12bは側方部材102Lに直接取り付けられていてもよい。支軸12bは、支軸12aと同じ角度だけ傾斜して配置されている。棒部材12cの一方の端部12cx(図5A参照)は、支軸12aに接続している。棒部材12cの他方の端部12cy(図5A参照)は、支軸12bに接続している。棒部材12cは、X軸方向(主走査方向)に延びる。
第1棒状部材12は、ロールメディアRMから繰り出されたメディア300がプラテン122に搬送されるまでの間に、棒部材12cがメディア300の裏面に接触して、メディア300を裏面から押圧するように構成されている。第1棒状部材12は、メディア300を後斜め上方に押し上げる。第1棒状部材12は、メディア300を後斜め上方に押し上げることにより、メディア300の搬送経路を変更する。
図4に示すように、支軸12aは、可動部18と、バネ20とを備えている。可動部18は、支軸12aの内部に配置されている。可動部18は、支軸12aの内部を支軸12aの延長方向に沿って移動する。可動部18には、棒部材12cの一方の端部12cxが接続されている。
可動部18は、略箱形状に形成されている。可動部18には、凹部18aが形成されている。凹部18aは、棒部材12cの一方の端部12cxを挿入することが可能な形状に形成されている。可動部18には、可動部18の側面18dの略中央部分に開放部18aaが形成されている。
可動部18の側面18bは、バネ20に接続されている。バネ20は、支軸12aに形成された凸部23に設けられている。側面18bは、前斜め下方を向く面である。側面18bと対向する側面18cには、ネジ穴18caが形成されている。ネジ穴18caには、支軸12aから挿入された第1調整機構であるネジ22が結合されている。ネジ穴18caにネジ22を結合すると、バネ20は、可動部18を常に前斜め下方に付勢する。
側面18dには、開放部18aaを挟んで一対のネジ穴18daが形成されている。一対のネジ穴18daにはそれぞれ、支軸12aに形成された長孔12abに挿入されたネジ24が結合されている。長孔12abはそれぞれ、支軸12aの延長方向に長径を有している。側面18dと対向する側面18eには、長孔18eaが形成されている。長孔18eaには、支軸12aに固定されたピン26が挿入されている。長孔18eaは、支軸12aの延長方向に長径を有している。
ネジ24を緩めた状態でネジ22を図4の矢印Aの方向に回転すると、可動部18は、バネ20の付勢力に抗して図4の矢印Bの方向に移動する。一方、ネジ24を緩めた状態でネジ22を図4の矢印Cの方向に回転すると、可動部18は、バネ20の付勢力および可動部18の自重によって図4の矢印Dの方向に移動する。可動部18は、長孔12abの長径および長孔18eaの長径の範囲内において移動可能である。なお、可動部18が最も下方に位置するときであっても、棒部材12cがメディア300を上方に押し上げるように、長孔12abおよび長孔18eaの形成位置が設定されている。
支軸12a内の移動可能な範囲内において任意の位置に移動した可動部18は、ネジ24が締められることによって支軸12aに固定される。これにより、棒部材12cの一方の端部12cxは、可動部18と支軸12aの内面12xとにより挟持される。この結果、棒部材12cの一方の端部12cxが支軸12aに固定される。
図4に示すように、支軸12bは、可動部18と、バネ20とを備えている。可動部18は、支軸12bの内部に配置されている。可動部18は、支軸12bの内部を支軸12bの延長方向に沿って移動する。可動部18には、棒部材12cの他方の端部12cyが接続されている。なお、支軸12bは、支軸12aに対して凡そ左右対称である。このため、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、支軸12bの詳細な説明は省略する。
第1棒状部材12では、支軸12aのネジ22および支軸12bのネジ22を回転させることによって、棒部材12cの一方の端部12cxおよび他方の端部12cyの位置を調整することができる。これにより、棒部材12cをX軸に対して一定の範囲内の角度だけ傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cをロールメディアRMの中心軸ROに対して一定の範囲内の角度だけ傾斜させて固定することができる。
以下、図5A〜図5Hを参照しながら、棒部材12cの移動の形態について説明する。図5A〜図5H中、実線は、棒部材12cの第1初期位置を表し、破線は、棒部材12cの移動後の位置を表す。ここで、図4に示すように、ピン26が長孔18eaの中心に位置し、ネジ24がそれぞれ長孔12abの中心に位置し、かつ、棒部材12cがX軸と平行な状態のときの支軸12aの可動部18、支軸12bの可動部18および棒部材12cの位置を第1初期位置とする。
図5Aに示すように、第1初期位置から支軸12aおよび支軸12bの可動部18を図4の矢印Bの方向に同じ長さだけ移動した場合には、棒部材12cをX軸に平行な状態で後斜め上方に移動させて固定することができる。
図5Bに示すように、第1初期位置から支軸12aおよび支軸12bの可動部18を図4の矢印Dの方向に同じ長さだけ移動した場合には、棒部材12cをX軸に平行な状態で前斜め下方に移動させて固定することができる。
図5Cに示すように、第1初期位置から支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの一方の端部12cxは、後斜め上方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って前斜め下方に傾斜するように固定される。
図5Dに示すように、第1初期位置から支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの一方の端部12cxは、前斜め下方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って後斜め上方に傾斜するように固定される。
図5Eに示すように、第1初期位置から支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの他方の端部12cyが後斜め上方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って後斜め上方に傾斜するように固定される。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動した場合と比較して、棒部材12cが後斜め上方に位置する。
図5Fに示すように、第1初期位置から支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの他方の端部12cyが前斜め下方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って前斜め下方に傾斜するように固定される。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動した場合と比較して、棒部材12cが前斜め下方に位置する。
図5Gに示すように、第1初期位置から支軸12aの可動部18を図4の矢印Bの方向に移動するとともに、支軸12bの可動部18を図4の矢印Dの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの一方の端部12cxが後斜め上方に移動するとともに棒部材12cの他方の端部12cyが前斜め下方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って前斜め下方に傾斜するように固定される。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動させた場合、または支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動させた場合と比較して、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を大きくすることができる。
図5Hに示すように、第1初期位置から支軸12aの可動部18を図4の矢印Dの方向に移動するとともに、支軸12bの可動部18を図4の矢印Bの方向に移動した場合には、棒部材12cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材12cの一方の端部12cxを前斜め下方に移動するとともに棒部材12cの他方の端部12cyを後斜め上方に移動して固定される。棒部材12cは、一方の端部12cxから他方の端部12cyに向かうに従って前斜め上方に傾斜するように固定される。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動させた場合、または支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動した場合と比較して、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を大きくすることができる。
なお、支軸12aおよび支軸12bの可動部18の移動方向および移動量は、ネジ22により無段階で調整することができる。従って、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度は、ネジ22の調整により適宜に決定することができる。
図3に示すように、第2棒状部材14は、本体部106とダンサローラ112との間に配置されている。第2棒状部材14は、X軸方向(主走査方向)に延びる。
図1に示すように、第2棒状部材14は、支軸14aと、支軸14bと、棒部材14cとを備えている。支軸14aは、側方部材102Rに設けられた板状部材16Rの前部に取り付けられている。支軸14aは側方部材102Rに直接取り付けられていてもよい。支軸14aは、副走査方向に延びる。支軸14bは、側方部材102Lに設けられた板状部材16Lの前部に取り付けられている。支軸14aは側方部材102Lに直接取り付けられていてもよい。支軸14bは、副走査方向に延長して設けられている。棒部材14cの一方の端部14cx(図7A参照)は、支軸14aに接続している。棒部材14cの他方の端部14cy(図7A参照)は、支軸14bに接続している。棒部材14cは、X軸方向(主走査方向)に延びる。
第2棒状部材14は、プラテン122から搬送されたメディア300がダンサローラ112に接触するまでの間に、棒部材14cがメディア300の裏面に接触して、メディア300を裏面から押圧するように構成されている。第2棒状部材14は、メディア300を前方に押し出す。第2棒状部材14は、メディア300を前方に押し出すことにより、メディア300の搬送経路を変更する。
図5に示すように、支軸14aは、可動部38と、バネ40とを備えている。可動部38は、支軸14aの内部に配置されている。可動部38は、支軸14aの内部を支軸14aの延長方向に沿って移動する。可動部38には、棒部材14cの一方の端部14cxが接続されている。
可動部38は、略箱形状に形成されている。可動部38には、凹部38aが形成されている。凹部38aは、棒部材14cの一方の端部14cxを挿入することが可能な形状に形成されている。可動部38には、可動部38の側面38dの略中央部分に開放部38aaが形成されている。
可動部38の側面38bは、バネ40に接続されている。バネ40は、支軸14aに形成された凸部43に設けられている。側面38bは、後方を向く面である。側面38bと対向する側面38cには、ネジ穴38caが形成されている。ネジ穴38caには、支軸14aから挿入された第2調整機構であるネジ42が結合されている。ネジ穴38caにネジ42を結合すると、バネ40は、可動部38を常に後方に付勢する。
側面38dには、開放部38aaを挟んで一対のネジ穴38daが形成されている。一対のネジ穴38daにはそれぞれ、支軸14aに形成された長孔14abに挿入されたネジ44が結合されている。長孔14abはそれぞれ、支軸14aの延長方向に長径を有している。側面38dと対向する側面38eには、長孔38eaが形成されている。長孔38eaには、支軸14aに固定されたピン46が挿入されている。長孔38eaは、支軸14aの延長方向に長径を有している。
ネジ44を緩めた状態でネジ42を図6の矢印Eの方向に回転すると、可動部38は、バネ40の付勢力に抗して図6の矢印Fの方向に移動する。一方、ねじ44を緩めた状態でネジ42を図6の矢印Gの方向に回転すると、可動部38は、バネ40の付勢力によって図6の矢印Hの方向に移動する。可動部38は、長孔14abの長径および長孔38eaの長径の範囲内において移動可能である。なお、可動部38が最も後方に位置するときであっても、棒部材14cがメディア300前方に押し出すように、長孔14abおよび長孔38eaの形成位置が設定されている。
支軸14a内の移動可能な範囲内において任意の位置に移動した可動部38は、ネジ44が締められることによって支軸14aに固定される。これにより、棒部材14cの一方の端部14cxは、可動部38と支軸14aの内面14xとにより挟持される。この結果、棒部材14cの一方の端部14cxが支軸14aに固定される。
図6に示すように、支軸14bは、可動部38と、バネ40とを備えている。可動部38は、支軸14bの内部に配置されている。可動部38は、支軸14bの内部を支軸14bの延長方向に沿って移動する。可動部38には、棒部材14cの他方の端部14cyが接続されている。なお、支軸14bは、支軸14aに対して凡そ左右対称である。このため、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、支軸14bの詳細な説明は省略する。
第2棒状部材14では、支軸14aのネジ42および支軸14bのネジ42を回転させることによって、棒部材14cの一方の端部14cxおよび他方の端部14cyの位置を調整することができる。これにより、棒部材14cをX軸に対して一定の範囲内の角度だけ傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cを巻取り部110の中心軸LOに対して一定の範囲内の角度だけ傾斜させて固定することができる。
以下、図7A〜図7Hを参照しながら、棒部材14cの移動の形態について説明する。図7A〜図7H中、実線は、棒部材14cの第2初期位置を表し、破線は、棒部材14cの異動後の位置を表す。ここで、図6に示すように、ピン46が長孔38eaの中心に位置し、ネジ44がそれぞれ長孔14abの中心に位置し、かつ、棒部材14cがX軸と平行な状態のときの支軸14aの可動部38、支軸14bの可動部38および棒部材14cの位置を第2初期位置とする。
図7Aに示すように、第2初期位置から支軸14aおよび支軸14bの可動部38を図6の矢印Fの方向に同じ長さだけ移動した場合には、棒部材14cをX軸に平行な状態で前方に移動させて固定することができる。
図7Bに示すように、第2初期位置から支軸14aおよび支軸14bの可動部38を図6の矢印Hの方向に同じ長さだけ移動した場合には、棒部材14cをX軸に平行な状態で後方に移動させて固定することができる。
図7Cに示すように、第2初期位置から支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの一方の端部14cxは、前方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って後方に傾斜するよう固定される。
図7Dに示すように、第2初期位置から支軸14aの可動部38のみを図6のHの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの一方の端部14cxが後方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って前方に傾斜するように固定される。
図7Eに示すように、第2初期位置から支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの他方の端部14cxが前方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って前方に傾斜するように固定される。なお、支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Hの方向に移動した場合と比較して、棒部材14cが前方に位置する。
図7Fに示すように、第2初期位置から支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Hの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの他方の端部14cyが後方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って後方に傾斜するように固定されることとなる。なお、支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動した場合と比較して、棒部材14cが後方に位置する。
図7Gに示すように、第2初期位置から支軸14aの可動部38を図6の矢印Fの方向に移動するとともに、支軸14bの可動部38を図6の矢印Hの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの一方の端部14cxを前方に移動するとともに棒部材14cの他方の端部14cyを後方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って後方に傾斜するように固定される。なお、支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動させた場合、または支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Hの方向に移動させた場合と比較して、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度を大きくすることができる。
図7Hに示すように、第2初期位置から支軸14aの可動部38を図6の矢印Hの方向に移動するとともに、支軸14bの可動部38を図6の矢印Fの方向に移動した場合には、棒部材14cをX軸に対して傾斜させて固定することができる。即ち、棒部材14cの一方の端部14cxを後方に移動するとともに棒部材14cの他方の端部14cyを前方に移動して固定される。棒部材14cは、一方の端部14cxから他方の端部14cyに向かうに従って前方に傾斜するように固定される。なお、支軸14aの可動部38を図6の矢印Hの方向に移動させた場合、または支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動させた場合と比較して、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度を大きくすることができる。
なお、支軸14aおよび支軸14bの可動部38の移動方向および移動量は、ネジ42により無段階で調整することができる。従って、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度は、ネジ42の調整により適宜に決定することができる。
以上の構成のインクジェットプリンタ100を用いてメディア300上に印刷を行う場合まず、メディア300を搬送可能な状態とするとともに、搬送したメディア300を巻き取ることが可能な状態とする。その後、マイクロコンピュータ60に入力された印刷画像のデータに基づいて、インクヘッド130をX軸方向に移動させるとともに、メディア300を副走査方向に搬送して、インクヘッド130からメディア300上にインクを吐出し、メディア300に所定の印刷を行う。
より詳細には、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMから巻解かれたメディア300を、グリッドロール124およびピンチロール126で挟む。グリッドロール124を駆動させることによってメディア300を副走査方向に搬送する。
次に、巻取り部110に巻取り可能な位置まで搬送されたメディア300を、巻取り部110に固定する。巻取り部110の回転を制御する図示しない駆動装置を駆動させてメディア300を巻取り部110に巻き取る。その後、ダンサローラ112を回動させて、棒部材112bをメディア300の裏面に接触させる。
こうした状態で、グリッドロール124を駆動させてメディア300を一定量だけ搬送しながら、巻取り部110にメディア300を巻き取る。なお、このときのダンサローラ112の位置をダンサローラ112の初期状態とする。初期状態は支軸112aの傾きにより管理される。
メディア300に所定の印刷を行うとき、メディア300が副走査方向に搬送されることにより、ダンサローラ112は、自重で前斜め下方に傾く。ダンサローラ112の支軸112aの傾きが、設定された所定の傾きになると、支軸112aに設けられたセンサがその傾きを検知する。センサ検知結果に基づいて、巻取り部110の回転を制御する図示しない駆動装置が所定の時間だけ駆動する。これにより、巻取り部110が回転して、搬送されたメディア300を巻き取る。このとき、ダンサローラ112の支軸112aは、後斜め上方に向けて移動して、初期状態に復帰する。
ここで、インクジェットプリンタ100では、工場出荷時などの所定のタイミングで、メディア300の搬送経路の修正処理が行われる。即ち、第1棒状部材12および第2棒状部材14を用いて、搬送されるメディア300の右方側のエッジ300aの長さと左方側のエッジ300bの長さとが同じになるように調整される。棒部材12cおよび棒部材14cの移動方向、移動量および移動角度を調整することによって、ロールメディアRMから巻取り部110の範囲に位置するメディア300の右方側のエッジ300aの長さと左方側のエッジ300bの長さとが同じになるよう調整する。
以下、メディア300の搬送経路の修正処理について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS10では、ロールメディアRMをロールメディア配置部108に配置する。
ステップS12では、ロールメディアRMから巻解かれたメディア300をグリッドロール124およびピンチロール126に挟む。そして、グリッドロール124によって、メディア300を所定の量(例えば500mm)だけ搬送する。なお、ステップS12では、棒部材12cが上記第1初期位置に位置する状態でメディア300の搬送が行われる。
ここで、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMの中心軸ROがX軸と平行でない場合には、メディア300と棒部材12cとの間に隙間が発生する。
例えば、図9Aに示すように、ロールメディアRMの中心軸ROがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aと棒部材12cとの間に隙間は生じず、メディア300の左方側のエッジ300bと棒部材12cとの間に隙間が生じる。この場合には、メディア300は前斜め右方に斜行して搬送される。
また、例えば、図9Bに示すように、ロールメディアRMの中心軸ROがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aと棒部材12cとの間に隙間が生じ、メディア300の左方側のエッジ300bと棒部材12cとの間に隙間は生じない。この場合には、メディア300は前斜め左方に斜行して搬送される。
ステップS14では、メディア300と棒部材12cとの間に隙間が生じている場合、メディア300の右方側のエッジ300aおよび左方側のエッジ300bと、棒部材12cとの間に隙間が生じなくなるように、支軸12aおよび支軸12bの可動部18の位置を調整し、棒部材12cを移動させる。即ち、棒部材12cを移動させることにより、メディア300の搬送経路を変更する。
例えば、図9Aの場合には、支軸12aの可動部18を図4の矢印Dの方向に移動させかつ支軸12bの可動部18を図4の矢印Bの方向に移動させる。このとき、移動後の位置において支軸12aの可動部18および支軸12bの可動部18を一時的にネジ24により固定する。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動させてもよいし、支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動させてもよい。
また、例えば、図9Bの場合には、支軸12aの可動部18を図4の矢印Bの方向に移動させかつ支軸12bの可動部18を図4の矢印Dの方向に移動させる。このとき、移動後の位置において支軸12aの可動部18および支軸12bの可動部18を一時的にネジ24により固定する。なお、支軸12aの可動部18のみを図4の矢印Bの方向に移動させてもよいし、支軸12bの可動部18のみを図4の矢印Dの方向に移動させてもよい。
ステップS16では、棒部材12cとメディア300との間に隙間が発生しなくなるまで、ステップS12〜S14の処理を所定の回数(例えば3回)繰り返す。
ステップS18では、ネジ24によって支軸12aの可動部18および支軸12bの可動部18を固定する。これにより、棒部材12cを固定する。
ステップS20では、プラテン122から搬送されたメディア300を、巻取り部110で折り返して、メディア300同士を重ね合わせる。即ち、図10に示すように、第2棒状部材14を介して搬送されたメディア300を、巻取り部110で折返し、折り返した部分のメディア300trを折り返す前のメディア300に重ね合わせる。メディア300の先端部300tをプラテン122上に配置させる。このとき、メディア300およびメディア300trには、ダンサローラ112によって所定のテンションが付加されている。なお、ステップS20では、棒部材14cが上記第2初期位置に位置する状態でメディア300の搬送が行われる。
ここで、巻取り部110がX軸と平行でない場合には、メディア300は、折返し部分のメディア300trと完全に重なり合わない。
例えば、図11Aに示すように、巻取り部110の中心軸LOがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aと棒部材12cとの間に隙間が生じ、メディア300の左方側のエッジ300bと棒部材12cとの間に隙間は生じない。また、折り返す前のメディア300の右方側のエッジ300aおよび左方側のエッジ300bと、折り返した部分のメディア300trの右方側のエッジ300traおよび左方側のエッジ300trbとがそれぞれ重なり合わない。エッジ300traは、エッジ300aの左方に位置し、エッジ300trbは、エッジ300bの左方に位置する。即ち、メディア300は、巻取り部110において前斜め左方に斜行して搬送される。
また、例えば、図11Bに示すように、巻取り部110の中心軸LOがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aと棒部材12cとの間に隙間は生じず、メディア300の左方側のエッジ300bと棒部材12cとの間に隙間が生じる。また、折り返す前のメディア300の右方側のエッジ300aおよび左方側のエッジ300bと、折り返した部分のメディア300trの右方側のエッジ300traおよび左方側のエッジ300trbとが重なり合わない。エッジ300traは、エッジ300aの右方に位置し、エッジ300trbは、エッジ300bの右方に位置する。即ち、メディア300は、巻取り部110において前斜め右方に斜行して搬送される。
ステップS22では、折り返す前のメディア300と折り返した部分のメディア300trとが重なり合わない場合、エッジ300aとエッジ300traとを左右にずれることなく重なり合わせ、左方側のエッジ300bとエッジ300trbとを左右にずれることなく重なり合わせるように、支軸14aおよび支軸14bの可動部38の位置を調整し、棒部材14cを移動させる。即ち、棒部材14cを移動させることにより、メディア300の搬送経路を変更する。
例えば、図11Aの場合には、支軸14aの可動部38を図6の矢印Fの方向に移動させかつ支軸14bの可動部38を図6の矢印Hの方向に移動させる。このとき、移動後の位置において支軸14aの可動部38および支軸14bの可動部38を一時的にネジ44により固定する。なお、支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動させてもよいし、支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Hの方向に移動させてもよい。
また、例えば、図11Bの場合には、支軸14aの可動部38を図6の矢印Hの方向に移動させかつ支軸14bの可動部38を図6の矢印Fの方向に移動させる。このとき、移動後の位置において支軸14aの可動部38および支軸14bの可動部38を一時的にネジ44により固定する。なお、支軸14aの可動部38のみを図6の矢印Hの方向に移動させてもよいし、支軸14bの可動部38のみを図6の矢印Fの方向に移動させてもよい。
ステップS24では、ネジ44によって支軸14aの可動部38および支軸14bの可動部38を固定する。これにより、棒部材14cを固定する。
本実施形態の搬送装置115を備えたインクジェットプリンタ100によれば、搬送されるメディア300に接触して、メディア300を押圧する棒部材12cをロールメディアRMの中心軸ROに対して傾斜させかつメディア300を押圧する棒部材14cを巻取り部110の中心軸LOに対して傾斜させて固定することができる。このため、ロールメディアRMから巻取り部110までの範囲に位置するメディア300の搬送経路を変更して、メディア300の右方側のエッジ300aの長さと左方側のエッジ300bの長さとを等しくすることができる。従って、搬送装置115の配置状態や各部品における精度誤差などにより、ロールメディアRMの中心軸がX軸と平行でない場合や、巻取り部110がX軸に平行に配置されていない場合であっても、メディア300の斜行を解消し、巻取り部110においてメディア300を斜行することなく巻き取ることができる。
<第2実施形態>
図12に示すように、インクジェットプリンタ100は、さらに、センサ58を備えている。センサ58は、インクヘッド130の左側面に設けられている。センサ58は、インクヘッド130とともにX軸方向に移動する。センサ58は、インクヘッド130の移動によりX軸方向を移動する際に、プラテン122上に位置するメディア300のX軸方向(主走査方向)における端部のX座標値を取得する。なお、センサ58は、インクヘッド130の右側面に設けてもよい。
図13に示すように、マイクロコンピュータ60は、入力された印刷画像のデータなどの各種のデータを記憶する記憶部62と、印刷画像のデータに基づいてメディア300に所定の印刷を行う第1印刷部64と、記憶部62に記憶された設定値を用いてメディア300を調整するための目盛りを印刷する第2印刷部66とを備えている。
記憶部62は、印刷画像のデータおよび調整用目盛りの印刷を行うためのデータなどの各種のデータを記憶する。印刷画像のデータは第1印刷部64に出力される。調整用目盛りの印刷を行うためのデータは第2印刷部66に出力される。
第1印刷部64は、記憶部62に記憶された印刷画像のデータに基づいて、インクヘッド130、グリッドロール124および巻取り部110を制御し、メディア300上に所定の印刷を行う。
第2印刷部66は、目盛り作成部67と、読み取り部68と、移動部70と、目盛り印刷部72とを備えている。目盛り作成部67は、メディア300を調整するための目盛りを作成する。読み取り部68は、メディア300の主走査方向の一方のエッジを読み取る。移動部70は、搬送部127を制御し、メディア300を所定量だけ搬送する。目盛り印刷部72は、読み取り部68において読み取られたメディア300のエッジからX軸方向(主走査方向)に沿って所定の距離だけ離れた位置を中心位置として、目盛り作成部67で作成された目盛りを印刷するようにインクヘッド130を制御する。
目盛り作成部67は、メディア300上に印刷される基準目盛りS0および調整用目盛りS1、S2を作成する。作成された基準目盛りS0および調整用目盛りS1、S2は、記憶部62に記憶される。基準目盛りS0は、調整用目盛りS1、S2の印刷において共通して用いられる。
図14A〜図14Cに示すように、基準目盛りS0は、X軸方向(主走査方向)に延びるラインLLと、ラインLLから後方に向かって延びる複数の目盛りとを含む。基準目盛りS0は、中心位置O1から左方および右方に同数の目盛りを含む。基準目盛りS0において、各目盛りには、各目盛りの後方に、左方および右方を表す記号と中心位置O1から順に付される数字とにより構成された記号が付されている。中心位置O1には、「0」が付されている。
中心位置O1の左方に位置する各目盛りには、中心位置O1の左方を表す「L」と、中心位置O1から左方に数えてn番目(nは正の整数である。)にあることを表す「n」とにより構成された記号「Ln」が付される。例えば、中心位置O1の左隣に位置する目盛りには、中心位置O1の左方を表す「L」と、中心位置O1から左方に数えて1番目にあることを表す「1」とにより構成された記号「L1」が付される。
中心位置O1の右方に位置する各目盛りには、中心位置O1の右方を表す「R」と、中心位置O1から右方に数えてn番目(nは正の整数である。)にあることを表す「n」とにより構成された記号「Rn」が付される。例えば、中心位置O1の右隣に位置する目盛りには、中心位置O1の右方を表す「R」と、中心位置O1から右方に数えて1番目にあることを表す「1」とにより構成された記号「R1」が付される。
調整用目盛りS1は、第1棒状部材12を調整する際に用いる調整用目盛りである。調整用目盛りS1は、棒部材12cのX軸に対する傾斜角度を調整するための調整用の目盛りである。即ち、調整用目盛りS1は、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整するための調整用の目盛りである。図14Aに示すように、調整用目盛りS1は、基準目盛りS0のラインLLから前方に向かって延びる複数の目盛りを含む。調整用目盛りS1は、中心位置O2から左方および右方に同数の目盛りを含む。
調整用目盛りS2は、第2棒状部材14を調整する際に用いる調整用目盛りである。調整用目盛りS2は、棒部材14cのX軸に対する傾斜角度を調整するための調整用の目盛りである。即ち、調整用目盛りS2は、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度を調整するための調整用の目盛りである。図14Aに示すように、調整用目盛りS2は、基準目盛りS0のラインLLから前方に向かって延びる複数の目盛りを含む。調整用目盛りS2は、中心位置O3から左方および右方に同数の目盛りを含む。
なお、基準目盛りS0および調整用目盛りS1、S2の目盛りの数は、ネジ22および42が回転可能な数によって決定される。
例えば、棒部材12cの両端を固定する可動部18の長孔18eaに挿入されたピン26がそれぞれ長孔18eaの長径方向の一方の端部に位置し、棒部材14cの両端を固定する可動部38の長孔38eaに挿入されたピン46がそれぞれ長孔38eaの長径方向の一方の端部に位置する場合には、以下のように目盛りの数が決定される。
例えば、支軸12a、12b、14a、14bにおいて、ネジ22、42が回転可能な回数がそれぞれ19.8回である場合、部品の公差、組み付けなどを考慮して、必ず回転できる回数を16回とする。この回転数「16」を基準目盛りS0および調整用目盛りS1、S2の左右の目盛りの数とする。
図14Aに示すように、基準目盛りS0においては、中心位置O1から左方に16個の目盛り(L1〜L16)を作成し、右方に16個の目盛り(R1〜R16)を作成する。また、調整用目盛りS1、S2においては、それぞれ中心位置O2、O3から左方に16個の目盛り、右方に16個の目盛りを作成する。
なお、支軸12a、12bのネジ22の回転可能な回数と、支軸14a、14bのネジ42の回転可能な回数とが異なる場合には、基準目盛りS0の目盛りの数は、調整用目盛りS1、S2のうちの目盛りの数の多い方と同数とする。
即ち、支軸12a、12bのネジ22の回転可能な回数が、例えば、22.8回であり、支軸14a、14bのネジ42の回転可能な回数が、例えば、28.6回であるとすると、部品の公差、組み付けなどを考慮して、ネジ22が必ず回転できる回数を19とし、ネジ42が必ず回転できる回数を25とする。回転数「19」を調整用目盛りS1の左右の目盛りの数とし、回転数「25」を調整用目盛りS2の左右の目盛りの数とする。基準目盛りS0については、目盛り数の多い調整用目盛りS2の目盛りの数と合わせるため、左右の目盛り数を「25」とする。
また、例えば、棒部材12cが第1初期位置に位置し、棒部材14cが第1初期位置に位置する場合には、以下のように目盛りの数が決定される。
例えば、支軸12a、12b、14a、14bにおいて、ネジ22、42が回転可能な回数がそれぞれ22.8回である場合、部品の公差、組み付けなどを考慮して、必ず回転できる回数を19回とする。この回転数「19」の半数を基準目盛りS0および調整用目盛りS1、S2の左右の目盛りの数とする。回転数の半数とは、回転数が奇数の場合には、算出した値の小数点以下を切り上げた値とする。
基準目盛りS0においては、中心位置O1から左方に10個の目盛り(L1〜L10)を作成し、右方に10個の目盛り(R1〜R10)を作成する。また、調整用目盛りS1、S2においては、それぞれ中心位置O2、O3から左方に10個の目盛り、右方に10個の目盛りを作成する。
また、基準目盛りS0は、基準ピッチに基づいて作成される。調整用目盛りS1は、第1調整用ピッチに基づいて作成される。調整用目盛りS2は、第2調整用ピッチに基づいて作成される。基準ピッチ、第1調整用ピッチおよび第2調整用ピッチは作業者により入力される。
基準ピッチとは、基準目盛りS0における各目盛り間の間隔を表す値である。この値は、インクジェットプリンタ100の解像度(分解能)、印刷幅および基準目盛りS0の目盛り数などにより決定される。
具体的には、メディア300の主走査方向の長さから取得される印刷幅と、決定された基準目盛りS0における目盛りの数とから、基準目盛りS0における隣り合う目盛間の大まかな値を取得する。即ち、印刷幅を目盛りの数で割ることにより、目盛り間の大まかな値を取得する。取得した値をインクジェットプリンタ100の解像度に合わせ込むように、基準ピッチを得る。即ち、取得した値が解像度では変換できない場合には、解像度で変換できる直近の値に変換してそれを基準ピッチとする。
第1調整用ピッチとは、調整用目盛りS1における各目盛り間の間隔を表す値である。この値は、基準ピッチにネジ22を1回転したときの印刷結果のズレを加えた値である。ネジ22を1回転したときの印刷結果のズレは、予めCADにより算出される。例えば、基準ピッチが9.984mmであり、ネジ22が1回転したときの印刷結果のズレが0.07258mmのときには、第1調整用ピッチは10.056mm(小数点以下の桁数は、基準ピッチに合わせて切り捨てる。)となる。なお、ネジ22が1回転することは、ネジが1段階変更することを意味する。
第2調整用ピッチとは、調整用目盛りS2における各目盛り間の間隔を表す値である。この値は、基準ピッチにネジ42を1回転したときの印刷結果のズレを加えた値である。ネジ42を1回転したときの印刷結果のズレは、予めCADにより算出される。例えば、基準ピッチが9.984mmであり、ネジ42が1回転したときの印刷結果のズレが0.03382mmのときには、第2調整用ピッチは10.017mm(小数点以下の桁数は、基準ピッチに合わせて切り捨てる。)となる。なお、ネジ42が1回転することは、ネジが1段階変更することを意味する。
ここで、基準ピッチと第1調整用ピッチとは、それぞれ長さが異なる。このため、基準目盛りS0の目盛りと、調整用目盛りS1の目盛りとは、基準ピッチと第1調整用ピッチとの公倍数で一致する。従って、基準ピッチと第1調整用ピッチとの最小公倍数が整数で割り切ることができないこと、あるいは、基準目盛りS0の目盛りの数以上の目盛りで一致するよう基準ピッチと第1調整用ピッチとを設定する。
具体的には、目盛りの数が左方および右方に19個、基準ピッチが9.984mm、第1調整用ピッチが10.06mmとすると、最小公倍数は、100.44mmとなる。つまり、中心位置O1から100.44mmの位置で、基準目盛りS0の目盛りと調整用目盛りS1の目盛りとが一致する。なお、100.44mmは、基準ピッチまたは第1調整用ピッチのどちらでも整数で割り切ることはできない。従って、目盛りとして作成されないため、一致することはない。
また、基準目盛りS0の左方(または右方)の131個目の目盛りと、調整用目盛りS1の左方(または右方)の130個目の目盛りとが一致するが、印刷される目盛りの数は左方および右方に19個以上の位置で一致する。
なお、印刷後の滲みなどにより、複数の目盛りが一致してしまうように見えることがある。この場合には、基準目盛りS0の目盛りに付された記号の数値の中間値を読み取る。具体的には、例えば、基準目盛りS0において、記号L3が付された目盛りおよび記号L4が付された目盛りが、調整用目盛りS1の目盛りと一致していると見える場合には、左方に位置するネジを3.5回転すると読み取る。なお、基準ピッチと第1調整用ピッチとの関係について説明したが、基準ピッチと第2調整用ピッチとの関係も同様である。
読み取り部68は、センサ58を制御し、メディア300の主走査方向の右方側のエッジ(例えば、エッジのX座標値)を読み取る。図15Aに示すように、読み取り部68は、所定の位置Aにおけるメディア300の右方側のエッジPaを読み取る。読み取り部68は、所定の位置から所定量Lfだけ搬送された位置Bのメディア300の右方側のエッジPbを読み取る。
具体的には、所定の位置Aおよび移動部70によって搬送された後の搬送後の位置Bにおいて、インクヘッド130がプラテン122上に位置するメディア300の上方をX軸方向に移動する際に、インクヘッド130の左側面に設けられたセンサ58がメディア300の右方側のエッジPa、Pbを読み込む。なお、読み取り部68は、所定の位置Aおよび搬送部127によって搬送された後の搬送後の位置Bにおいて、メディア300の主走査方向の左方側のエッジを読み取ってもよい。
ここで、メディア300が斜行していなければ、位置Aにおけるメディア300の右方側のエッジPaと、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジPbとの主走査方向の位置は一致する。一方、図15Aに示すように、メディア300が斜行していれば、位置Aにおける右方側のエッジPaと、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジPbとの主走査方向の位置にズレが生じる
右方側のエッジPaと右方側のエッジPbとがズレたとき、即ち、メディア300が斜行するときの斜行角度は、下記の(1)式により表される。
傾斜角度≒atan(Pa−Pb)/Lf・・・(1)
Pa:位置Aにおけるメディアの右方側のエッジのX座標値
Pb:位置Bにおけるメディアの右方側のエッジのX座標値
Lf:位置Aから位置Bまでの距離
ところで、搬送される際にメディア300が斜行する理由としては、ロールメディアRMから巻解かれたメディア300が搬送可能に配置されるときに、ロールメディアRMの中心軸ROから搬送軸MOまでのメディア300の右方側のエッジ300aの長さLrと左方側のエッジ300bの長さLlが一致しないためである(図15B参照)。搬送軸MOとは、主走査方向に沿って設けられたグリッドロール124(図1参照)の中心を結ぶ軸である。
右方側のエッジ300aの長さLrと左方側のエッジ300bの長さLlとを用いてメディア300が斜行するときの斜行角度を表すと、下記の(2)式のようになる。
斜行角度≒atan(Lr−Ll)/Lh・・・(2)
Lr:ロールメディアの中心軸から搬送軸までのメディアの右方側のエッジの長さ
Ll:ロールメディアの中心軸から搬送軸までのメディアの左方側のエッジの長さ
Lh:搬送軸上のメディアの右方側のエッジから左方側のエッジまでの距離
従って、上記(1)式および上記(2)式から、次式が成り立つ。
(Pa−Pb)/Lf≒(Lr−Ll)/Lh
このとき、LfおよびLhは、定数のため、Pa−Pb∽Lr−Llと見なすことができる。これにより、印刷結果のズレ(Pa−Pb)に基づいて、メディア300の右方側のエッジ300aの長さLrと左方側のエッジ300bの長さLlとの差を定量的に判断することができる。
また、第1棒状部材12および第2棒状部材14におけるネジ22、42の調整量と、メディア300の左右のエッジ300a、300bの長さLr、Llとの関係は、数値計算により算出することができる。即ち、ネジ22、42を1回転したとき(1段階変更したとき)のメディア300の左右のエッジ300a、300bの長さLr、Llの変化量を算出することができるため、ネジ22、42を1回転したときの主走査方向(X軸方向)における印刷結果のズレを取得することができる。
移動部70は、搬送部127を制御し、メディア300を所定量だけ搬送する。搬送量は、ネジ22、42の1回転したときの印刷結果のズレが担保された値となる。即ち、搬送量は、所定の位置Aにおけるメディア300の右方側のエッジPaと、所定の位置Aから一定量搬送された位置Bのメディア300の右方側のエッジPbとの主走査方向(X軸軸方向)のズレが、ネジ22、42を1回転したときの印刷結果のズレ以上となるように設定される。具体的には、第1棒状部材12を調整する際の搬送量Lf1(図16参照)は、ネジ22を1回転したときの印刷結果のズレ以上となるように設定される。また、第2棒状部材14を調整する際に用いる搬送量Lf2(図17参照)は、ネジ42を1回転したときの印刷結果のズレ以上となるように設定される。なお、搬送量は、作業者により予め設定され、記憶部62に記憶される。
目盛り印刷部72は、インクヘッド130を制御して、調整用目盛りS1をメディア300上に印刷する。目盛り印刷部72は、インクヘッド130を制御して、調整用目盛りS2をメディア300上に印刷する。
図15Aに示すように、搬送後の位置Bにおいて、読み取り部68において読み取った所定の位置Aにおけるメディア300の右方側のエッジ300aに対応する点Pa’から所定の距離lだけ離れた位置taを中心として、メディア300上に基準目盛りS0を印刷する。即ち、基準目盛りS0は、搬送後の位置Bにおいて、所定の位置Aにおけるメディア300の右方側のエッジ300aに対応する点Pa’から所定の距離lだけ離れた位置taに、基準目盛りS0の中心位置O1が位置するように印刷される。
図15Aに示すように、搬送後の位置Bにおいて、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジ300aに対応する点Pbから所定の距離lだけ離れた位置tbを中心として、メディア300上に印刷された基準目盛りS0の近傍に調整量目盛りS1を印刷する。即ち、調整用目盛りS1は、搬送後の位置Bにおいて、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジ300aから所定の距離lだけ離れた位置に、調整用目盛りS1の中心位置O2が位置するように印刷される。
図15Aに示すように、搬送後の位置Bにおいて、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジ300aに対応する点Pbから所定の距離lだけ離れた位置tbを中心として、メディア300上に印刷された基準目盛りS0の近傍に調整量目盛りS2を印刷する。即ち、調整用目盛りS2は、搬送後の位置Bにおいて、位置Bにおけるメディア300の右方側のエッジ300aから所定の距離lだけ離れた位置に、調整用目盛りS2の中心位置O3が位置するように印刷される。
なお、上記所定の距離lは、基準目盛りS0の目盛りの数、および隣接する目盛りの間隔(基準ピッチ)に基づいて決定される。所定の距離lは、記憶部62に記憶される。例えば、基準目盛りS0の右方側目盛りの数が19であり、基準ピッチが10mmのときには、所定の距離lは190mmより大きい値とする必要がある。さらに、メディア300の斜行を考慮すると、所定の距離lは、例えば、200mmと決定される。
以下、メディア300の搬送経路の修正処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS100では、ロールメディアRMをロールメディア配置部108に配置する。
ステップS110では、ロールメディアRMから巻解かれたメディア300を、グリッドロール124およびピンチロール126に挟み、メディア300を搬送可能な状態とする。即ち、メディア300は、棒部材12cにより押し上げられた状態で、グリッドロール124とピンチロール126とに挟持された状態となる。なお、ステップS110では、棒部材12cは上記第1初期位置に位置する。
なお、搬送可能な状態となったメディア300において、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMの中心軸ROがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aおよび左方側のエッジ300bのいずれか一方と棒部材12cとの間に隙間が生じる。この場合には、メディア300は斜行して搬送される。
ステップS120では、メディア300が斜行して搬送されることを修正するために、第1の調整目盛り印刷処理を行う。ここで、図19に示すフローチャートには、ステップS120の処理における第1の調整目盛り印刷処理の詳細な処理内容が示されている。
ステップS121では、メディア300が一定量だけ搬送され、搬送後の所定の位置PAにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP1が読み取られる(図16参照)。即ち、読み取り部68は、所定の位置PAにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP1のX座標値を読み取る。
ステップS122では、メディア300は、所定量だけ搬送される。即ち、移動部70は、記憶部62に予め記憶された搬送量Lf1だけメディア300を搬送する。
ステップS123では、搬送後の位置PBにおいて、所定の位置PAにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP1のX座標値を基準にして、基準目盛りS0を印刷する。即ち、図16に示すように、目盛り印刷部72は、搬送後の位置PBにおいて、所定の位置PAにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP1に対応する点RP1’から所定の距離l1だけ離れた位置t1に、基準目盛りS0の中心位置O1が位置するように基準目盛りS0を印刷する。
ステップS124では、搬送後の位置PBにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP2が読み取られる(図16参照)。即ち、読み取り部68は、搬送後の位置PBにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点PR2のX座標値を読み取る。
ステップS125では、搬送後の位置PBにおいて、搬送後の位置PBにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP2のX座標値を基準にして、調整用目盛りS1を印刷する。即ち、図16に示すように、目盛り印刷部72は、搬送後の位置PBにおいて、搬送後の位置PBにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP2から所定の距離l1だけ離れた位置t2に、調整用目盛りS1の中心位置O2が位置するように調整用目盛りS1を印刷する。調整用目盛りS1が印刷されると、ステップS130(図18参照)に進む。
ステップS130では、印刷された基準目盛りS0と調整用目盛りS1とに基づいて、支軸12aのネジ22および支軸12bのネジ22のどちらのネジを、どの程度回転する必要があるのかを判断し、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整する。
具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS1が図14Aに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS1の各目盛りとは、基準目盛りS0の「0」で表された目盛り、即ち中心位置O1で一致する。このとき、基準目盛りS0の中心位置O1と、調整用目盛りS1の中心位置O2とが一致する。このため、メディア300が斜行して搬送されないと判断される。即ち、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整する必要がないものと判断され、支軸12aおよび支軸12bのネジ22は回転されない。
また、具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS1が図14Bに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS1の各目盛りとは、基準目盛りS0の記号L4で表された目盛りで一致する。このとき、中心位置O1と、中心位置O2とが一致していない。このため、メディア300が斜行して搬送されると判断される。そして、記号L4に基づいて、支軸12bのネジ22を4回転して、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整する。
この場合、図20Aに示すように、中心位置O1が、中心位置O2より左方に位置している。このため、プラテン122上を搬送されるメディア300は、前斜め左方に向かって斜行する。これは、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMが、例えば、図9Bに示すような状態となっているためである。このため、棒部材12cを、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を強めた状態(例えば図5C参照)、あるいは、他方の端部12cyがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態(例えば図5F参照)とする必要がある。
ここで、支軸12bのネジ22を調整するため、他方の端部12cyがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態とする。即ち、作業者は、支軸12bのネジ22を図4の矢印Cの方向に4回転させ、可動部18を図4の矢印Dの方向に移動させる。
また、具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS1が図14Cに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS1の各目盛りとは、基準目盛りS0の記号R8で表された目盛りで一致する。このとき、中心位置O1と、中心位置O2とが一致していない。このため、メディア300が斜行して搬送されると判断される。そして、記号R8に基づいて、支軸12aのネジ22を8回転して、棒部材12cのロールメディアRMの中心軸ROに対する傾斜角度を調整する。
この場合、図20Bに示すように、中心位置O1が、中心位置O2より右方に位置している。このため、プラテン122上を搬送されるメディア300は、前斜め右方に向かって斜行する。これは、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMが、例えば、図9Aに示すような状態となっているためである。このため、棒部材12cを、他方の端部12cyがメディア300を後斜め後方に押圧する力を強めた状態(例えば図5E参照)、あるいは、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態(例えば図5D参照)とする必要がある。
ここで、支軸12aのネジ22を調整するため、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態とする。即ち、作業者は、支軸12aのネジ22を図4の矢印Cの方向に8回転させ、可動部18を図4の矢印Dの方向に移動させる。
作業者は、調整用目盛りS1の目盛りと一致した基準目盛りS0の目盛りに付された記号を読み取り、記号のアルファベットが「L」であれば、支軸12bのネジ22を回転し、記号のアルファベットが「R」であれば、支軸12aのネジ22を回転する。さらに、上記読み取られた記号の数字「n」(nは正の整数である。)回だけ、支軸12aまたは支軸12bのネジ22を回転する。なお、支軸12aまたは支軸12bのネジ22を回転する回転方向は、棒部材12cの一方の端部12cxまたは他方の端部12cyがメディア300を押圧する力を弱める方向である図4の矢印Cの方向となる。
棒部材12cのX軸に対する角度調整が終了すると、ステップS140では、プラテン122上からメディア300を取り除き、ロールメディアRMをロールメディア配置部108から取り外す。そして、ロールメディアRMを巻取り部110に配置する。
ステップS150では、巻取り部110に配置されたロールメディアRMから巻解かれたメディア300をダンサローラ112および棒状部材14を介してグリッドロール124およびピンチロール126に挟み、メディア300を搬送可能な状態とする。即ち、巻取り部110に配置されたロールメディアRMから巻解かれたメディア300は、ダンサローラ112を介して、棒部材14cに押し出された状態で、グリッドロール124とピンチロール126とより挟持された状態となる。このとき、搬送部127の後方には、一定の長さのメディア300が位置する。この一定の長さは、後述するステップS162で搬送される長さより長い。なお、ステップS150では、棒部材14cは上記第2初期位置に位置する。
なお、副走査方向に搬送可能な状態となったメディア300において、巻取り部110に配置されたロールメディアRMの中心軸ROがX軸に対して傾斜している場合には、メディア300の右方側のエッジ300aおよび左方側のエッジ300bのいずれか一方と棒部材14cとの間に隙間が生じる。この場合には、メディア300が斜行して搬送される。
ステップS160では、メディア300が斜行して搬送されることを修正するために、第2の調整目盛り印刷処理を行う。ここで、図21に示すフローチャートには、ステップS160の処理における第2の調整目盛り印刷処理の詳細な処理内容が示されている。
ステップS161では、メディア300が一定量だけ搬送され、搬送後の所定の位置PCにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP3が読み取られる(図17参照)。即ち、読み取り部68は、所定の位置PCにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP3のX座標値を読み取る。
ステップS162では、メディア300は、所定量だけ搬送される。即ち、移動部70は、記憶部62に予め記憶された搬送量Lf2だけメディア300を搬送する。
ステップS163では、搬送後の位置PDにおいて、所定の位置PCにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP3のX座標値を基準にして、基準目盛りS0を印刷する。即ち、図17に示すように、目盛り印刷部72は、搬送後の位置PDにおいて、所定の位置PCにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP3に対応する点RP3’から所定の距離l1だけ離れた位置t3に、基準目盛りS0の中心位置O1が位置するように基準目盛りS0を印刷する。
ステップS164では、搬送後の位置PDにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点RP4が読み取られる(図17参照)。即ち、読み取り部68は、搬送後の位置PDにおけるメディア300の右方側のエッジ300aが位置する点PR4のX座標値を読み取る。
ステップS165では、搬送後の位置PDにおいて、搬送後の位置PDにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP4のX座標値を基準にして、調整用目盛りS2を印刷する。即ち、図17に示すように、目盛り印刷部72は、搬送後の位置PDにおいて、搬送後の位置PDにおける右方側のエッジ300aが位置する点RP4から所定の距離l1だけ離れた位置t4に、調整用目盛りS2の中心位置O3が位置するように調整用目盛りS2を印刷する。調整用目盛りS2が印刷されると、ステップS170(図18参照)に進む。
ステップS170では、印刷された基準目盛りS0と調整用目盛りS2とに基づいて、支軸14aのネジ42および支軸14bのネジ42のどちらのネジを、どの程度回転する必要があるのかを判断し、棒部材14cの巻取り部110の中心軸LOに対する傾斜角度を調整する。
具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS2が図14Aに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS2の各目盛りとは、中心位置O1で一致する。このとき、中心位置O1と、中心位置O3とが一致する。このため、メディア300が斜行して搬送されないと判断される。
また、具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS2が図14Bに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS2の各目盛りとは、基準目盛りS0の記号L4で表された目盛りで一致する。このとき、中心位置O1と、中心位置O3とが一致していない。このため、メディア300が斜行して搬送されると判断される。そして、記号L4に基づいて支軸14bのネジ42を、4回転して、棒部材14cの巻取り部110の中心軸LOに対する傾斜角度を調整する。
この場合、図22Aに示すように、中心位置O1が、中心位置O3より右方に位置している。このため、プラテン122上を搬送されるメディア300は、前斜め右方に向かって斜行する。これは、巻取り部110に配置されたロールメディアRMが、例えば、図11Aに示すような状態となっているためである。このため、棒部材14cを一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態(例えば図7C参照)、あるいは、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態(例えば図7F参照)とする必要がある。
ここで、支軸14bのネジ42を調整するため、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態とする。即ち、作業者は、支軸14bのネジ42を図6の矢印Gの方向に4回転させ、可動部38を図6の矢印Hの方向に移動させる。
また、具体的には、例えば、基準目盛りS0および調整用目盛りS2が図14Cに示すように印刷されている場合、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS2の各目盛りとは、基準目盛りS0の記号R8で表された目盛りで一致する。このとき、中心位置O1と、中心位置O3とが一致していない。このため、メディア300が斜行して搬送されると判断される。そして、記号R8に基づいて、支軸14aのネジ42を8回転して、棒部材14cの巻取り部110の中心軸LOに対する傾斜角度を調整する。
この場合、図22Bに示すように、中心位置O1が、中心位置O3より左方に位置している。このため、プラテン122上を搬送されるメディア300は、前斜め左方に向かって斜行する。これは、巻取り部110に配置されたロールメディアRMが、例えば、図11Bに示すような状態となっているためである。このため、棒部材14cを、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態(例えば図7E参照)、あるいは、一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態(例えば図7D参照)とする必要がある。
ここで、支軸14aのネジ42を調整するため、一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態とする。即ち、作業者は、支軸14bのネジ42を図6の矢印Gの方向に8回転させ、可動部38を図6の矢印Hの方向に移動させる。
作業者は、調整用目盛りS2の目盛り一致した基準目盛りS0の目盛りに付された記号を読み取り、記号のアルファベットが「L」であれば、支軸14bのネジ42を回転し、記号のアルファベットが「R」であれば、支軸14aのネジ42を回転する。さらに、上記読み取られた記号の数字「n」(nは正の整数である。)回だけ、支軸14aまたは支軸14bのネジ42を回転する。このとき、支軸14aまたは支軸14bのネジ42を回転する回転方向は、棒部材14cの一方の端部14cxまたは他方の端部14cyがメディア300を押圧する力を弱める方向である図6の矢印Gの方向となる。
本実施形態のインクジェットプリンタ100によれば、基準目盛りS0と調整用目盛りS1、S2とが一致する箇所に基づいて、回転させるネジ22、42および当該ネジ22、42の回転回数を判断し、棒部材12c、14cのX軸に対する傾斜角度を調整することができる。このため、メディア300の斜行を容易に修正することができ。
上述の第2実施形態では、第1調整用ピッチは、基準ピッチにネジ22を1回転したときの印刷結果のズレを加えた値であったが、これに限定されない。第1調整用ピッチは、基準ピッチにネジ22を1回転したときの印刷結果のズレを減じた値でもよい。
第1調整用ピッチを、基準ピッチにネジ22を1回転したときの印刷結果のズレを減じた値とする場合、図18のステップS130の処理は、以下のように行われる。
図23Aに示すように、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS1の各目盛りとが、基準目盛りS0の記号L4で表された目盛りで一致する場合、記号L4に基づいて、支軸12bのネジ22を、4回転して、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整する。
この場合、図20Bに示すように、中心位置O1が、中心位置O2より右方に位置している。このため、メディア300は、前斜め右方に向かって斜行する。これは、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMが、例えば、図9Aに示すような状態となっているためである。このため、棒部材12cを他方の端部12cyがメディア300を後斜め上方に押圧する力を強めた状態(例えば図5E参照)、あるいは、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態(例えば図5D参照)とする必要がある。
ここで、支軸12bのネジ22を調整するため、他方の端部12cyがメディア300を後斜め上方に押圧する力を強めた状態とする。即ち、作業者は、支軸12bのネジ22を図4の矢印Aの方向に4回転させ、可動部18を図4の矢印Bの方向に移動させる。
また、図23Bに示すように、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS1の各目盛りとが、基準目盛りS0の記号R8で表された目盛りで一致する場合、記号R8に基づいて、支軸12aのネジ22を、8回転して、ロールメディアRMの中心軸ROに対する棒部材12cの傾斜角度を調整する。
この場合、図20Aに示すように、中心位置O1が、中心位置O2より左方に位置している。このため、メディア300は、前斜め左方に向かって斜行する。これは、ロールメディア配置部108に配置されたロールメディアRMが、例えば、図9Bに示すような状態となっているためである。このため、棒部材12cは、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を強めた状態(例えば、図5C参照)、あるいは、他方の端部12cyがメディア300を後斜め上方に押圧する力を弱めた状態(例えば図5F参照)とする必要がある。
ここで、支軸12aのネジ22を調整するため、一方の端部12cxがメディア300を後斜め上方に押圧する力を強めた状態とする。即ち、作業者は、支軸12aのネジ22を図4の矢印Aの方向に8回転させ、可動部18を図4の矢印Bの方向に移動させる。
なお、支軸12aおよび支軸12bのネジ22を回転する回転方向は、棒部材12cの一方の端部12cxまたは他方の端部12cyがメディア300を押圧する力を強める方向である図4の矢印Aの方向となる。
上述の第2実施形態では、第2調整用ピッチは、基準ピッチにネジ42を1回転したときの印刷結果のズレを加えた値であったが、これに限定されない。第2調整用ピッチは、基準ピッチにネジ42を1回転したときの印刷結果のズレを減じた値でもよい。
第2調整用ピッチを、基準ピッチにネジ42を1回転したときの印刷結果のズレを減じた値とする場合、図18のステップS170の処理は、以下のように行われる。
図23Aに示すように、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS2の各目盛りとが、基準目盛りS0の記号L4で表された目盛りで一致する場合、記号L4に基づいて、支軸14bのネジ42を、4回転して、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度を調整する。
この場合、図20Dに示すように、中心位置O1が、中心位置O3より左方に位置している。このため、メディア300は、前斜め左方に向かって斜行する。これは、巻取り部110に配置されたロールメディアRMが、例えば、図11Bに示すような状態となっているためである。このため、棒部材14cを、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態(例えば図7E参照)、あるいは、一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態(例えば図7D参照)とする必要がある。
ここで、支軸14bのネジ42を調整するため、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態とする。即ち、作業者は、支軸14bのネジ42を図6の矢印Eの方向に4回転させ、可動部38を図6の矢印Fの方向に移動させる。
また、図23Bに示すように、基準目盛りS0の各目盛りと、調整用目盛りS2の各目盛りとが、基準目盛りS0の記号R8で表された目盛りで一致する場合、記号R8に基づいて、支軸14aのネジ42を、8回転して、巻取り部110の中心軸LOに対する棒部材14cの傾斜角度を調整する。
この場合、図20Cに示すように、中心位置O1が、中心位置O3より右方に位置している。このため、メディア300は、前斜め右方に向かって斜行する。これは、巻取り部110に配置されたロールメディアRMが、例えば、11Aに示すような状態となっているためである。このため、棒部材14cは、一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態(例えば図7C参照)、あるいは、他方の端部14cyがメディア300を前方に押圧する力を弱めた状態(例えば図7F参照)とする必要がある。
ここで、支軸14aのネジ42を調整するため、一方の端部14cxがメディア300を前方に押圧する力を強めた状態とする。即ち、作業者は、支軸14bのネジ22を図6の矢印Eの方向に8回転させ、可動部38を図6の矢印Fの方向に移動させる。
なお、支軸14aおよび支軸14bのネジ42を回転する回転方向は、棒部材14cの一方の端部14cxまたは他方の端部14cyがメディア300を押圧する力を強める方向である図6の矢印Eの方向となる。
上述の第2実施形態では、基準目盛りS0は、X軸方向に延びるラインLLを備えているが、ラインLLを備えていなくてもよい。このとき、図24に示すように、調整用目盛りS1、S2の各目盛りの一部が、基準目盛りS0の各目盛りの一部と重なるように印刷するとよい。
上述の各実施形態では、インクジェットプリンタ100が搬送装置115を備えていたがこれに限定されない。例えば、ロールトゥロール方式によりメディアが搬送されて、メディアに対して所定の画像を切り抜く画像切り抜き装置が搬送装置115を備えていてもよい。
上述の各実施形態では、第1棒状部材12は、メディア300を後斜め上方に押し上げていたが、これに限定されない。例えば、図25に示すように、第1棒状部材12は、メディア300を前斜め下方に押し出すようにしてもよい。即ち、棒部材12cをメディア300の表面に接触させ、棒部材12cによって、メディア300を前斜め下方に引き下げてもよい。
上述の各実施形態では、第2棒状部材14は、メディア300を前方に押し出していたが、これに限定されない。例えば、図26に示すように、第2棒状部材14は、メディア300を後方に押し出すようにしてもよい。即ち、棒部材14cをメディア300の表面に接触させ、棒部材14cによって、メディア300を後方に引いてもよい。
上述の各実施形態では、棒部材12cの一方の端部12cxおよび他方の端部12cyをそれぞれ支軸12a、12bにおいて、移動自在に設けているが、いずれか一方を固定してもよい。また、棒部材14cの一方の端部14cxおよび他方の端部14cyをそれぞれ支軸14a、14bにおいて、移動自在に設けているが、いずれか一方を固定してもよい。
上述の各実施形態では、巻取り部110およびダンサローラ112はインクジェットプリンタ100と一体的に設けられているが、別体に設けてもよい。
上述の各実施形態では、支軸12aおよび支軸12bのネジ22によって、支軸12aおよび支軸12bの可動部18の移動方向および移動量を無段階に調整しているが、段階的に調整するようにしてもよい。同様に、支軸14aおよび支軸14bのネジ42によって、支軸14aおよび支軸14bの可動部38の移動方向および移動量を段階的に調整するようにしてもよい。
上述の各実施形態では、調整前の棒部材12cは第1初期位置に配置され、調整前の棒部材14cは第2初期位置に配置されているが、これに限定されない。例えば、ピン26が長孔18eaの長径方向の一方の端部または他方の端部に位置するよう、調整前の棒部材12cを配置してもよい。また、ピン46が長孔38eaの長径方向の一方の端部または他方の端部に位置するよう、調整前の棒部材14cを配置してもよい。