JP6489258B2 - 印刷システム、印刷制御装置、及び、印刷制御方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、印刷装置のフラッシングは、技術的に十分な知識を有する技術者以外に、一般的なユーザーまで広く知られているとはいえない。このため、ユーザーが、フラッシングによる印刷画質への影響を理解した上で、フラッシングの実行条件を適切に設定することは困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、技術的に十分な知識を有する技術者でなくても、印刷装置のフラッシングの実行条件を適切に設定できる印刷システム、印刷制御装置、及び、印刷制御方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ユーザーが印刷スループットを優先するかどうかを判断して入力を行うと、この入力に応じて、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合の実行条件が設定される。従って、ユーザーが、フラッシングの影響とフラッシング動作の実行条件に関する知識を有しているか否かにかかわらず、容易に、適切な設定ができる。
本発明によれば、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合のインク吐出量を多くするか否かの条件を、容易に、適切に設定できる。
本発明によれば、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合のインク吐出量を多くするか否かの条件を、容易に、適切に設定できる。
本発明によれば、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合のインク吐出量を多くすることにより、スループットを向上させることができる。
本発明によれば、印刷ヘッドが印刷媒体の搬送経路に位置したまま行うフラッシング動作を行う場合の実行条件を、ユーザーが、容易に設定できる。
本発明によれば、ユーザーが印刷スループットを優先するかどうかを判断して入力を行うと、この入力に応じて、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合の実行条件が設定される。従って、ユーザーが、フラッシングの影響とフラッシング動作の実行条件に関する知識を有しているか否かにかかわらず、容易に、適切な設定ができる。
本発明によれば、ユーザーが印刷スループットを優先するかどうかを判断して入力を行うと、この入力に応じて、印刷媒体の搬送経路でフラッシングを行う場合の実行条件が設定される。従って、ユーザーが、フラッシングの影響とフラッシング動作の実行条件に関する知識を有しているか否かにかかわらず、容易に、適切な設定ができる。
図1は、本発明を適用した印刷システム2を構成するインクジェットプリンター1(印刷装置)の内部構造を模式的に示す側面図である。図2は、インクジェットプリンター1の内部構造を模式的に示す平面図である。
インクジェットプリンター1は、ライン型のインクジェット式プリンターであり、搬送経路HK上で記録媒体を搬送しつつ、ライン型のインクジェットヘッド10(印刷ヘッド)からインクを吐出して、記録媒体に画像を印刷する。
以下の図1、2を用いた説明では、図中に矢印で示した方向に前後方向があるものとする。
ロール紙収納部12には、記録媒体(印刷媒体)としてのロール紙Rが収納される。ロール紙Rとは、ロール状に巻かれたシートであり、例えば、普通紙やファイン紙をロール状に巻いた用紙や、裏面に粘着剤が付された定型サイズのラベルを、剥離紙(台紙)に並べてロール状に巻いたラベル用紙等がある。
以下、ロール紙Rにおいて、ロール状に巻かれた円筒状の部位をロール紙本体R1と表現し、このロール紙本体R1から引き出されて搬送される部位を搬送ロール紙R2と表現する。図1では、搬送ロール紙R2を、破線で示す。
ロール紙収納部12には、ロール紙本体R1が収納される。その際、ロール紙本体R1の中心部に形成された筒状の芯R3には、ロール紙回転軸9が嵌め込まれる。ロール紙回転軸9は、後述する軸回転モーター64のモーター軸に図示せぬ減速機構を介して接続されており、軸回転モーター64の駆動に応じて回転する。ロール紙本体R1の芯R3に嵌め込まれたロール紙回転軸9の回転に連動して、ロール紙本体R1が回転する。
ロール紙収納部12に収納されたロール紙本体R1から搬送ロール紙R2が搬送方向Fへ向かって、上方に引き出される。ロール紙本体R1の軸の後方には、テンションレバー13が設けられる。上方へ向かって引き出された搬送ロール紙R2は、テンションレバー13に接触し、テンションレバー13によって屈曲された後、前方へ向かって延在する。
テンションレバー13は、搬送ロール紙R2に張りを与えて弛みを防止する。テンションレバー13は、軸14を中心として、搬送ロール紙R2に張りを与える方向(矢印Y1で示す方向)に回転するよう付勢される。
紙案内部16の後部には、用紙検出器19(図1)が設けられる。用紙検出器19は、上方紙案内部18側に発光部を備え、下方紙案内部17側に受光部を備えた透過型の光センサーである。用紙検出器19の受光部の受光量を示す検出値は、後述するプリンター制御部50に出力される。用紙検出器19の検出値は、用紙検出器19の位置における搬送ロール紙R2の有無により異なる。プリンター制御部50は、用紙検出器19の検出値に基づいて、用紙検出器19が設けられた位置に、搬送ロール紙R2の先端が至ったこと、及び、搬送ロール紙R2の後端が至ったことを検出する。
紙案内部16の前部には、ブラックマーク検出器20が設けられる。ブラックマーク検出器20は、搬送ロール紙R2の裏面に光を投射する発光部、及び、発光部が投射した光の反射光を受光する受光部を備えた反射型の光センサーである。ブラックマーク検出器20は、対応する検出位置T1(図2参照)に後述するブラックマークBMが至ったことの検出に利用できる。すなわち、ブラックマーク検出器20の受光部の受光量を示す検出値は、後述するプリンター制御部50に出力される。ブラックマーク検出器20の検出値は、検出位置T1にブラックマークBMが位置する場合と、位置しない場合とで異なる。プリンター制御部50は、ブラックマーク検出器20の検出値に基づいて、検出位置T1にブラックマークBMが達したことを検出する。
本実施形態のインクジェットヘッド10は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(黒、ブラック)の4色のインクを吐出して、搬送ロール紙R2の印刷面にドットを形成する。インクジェットヘッド10は、ブラックインクを吐出するブラックヘッドユニット24、シアンインクを吐出するシアンヘッドユニット25、マゼンダインクを吐出するマゼンダヘッドユニット26、及び、イエローインクを吐出するイエローヘッドユニット27を備える。
プラテン22の平面上には搬送ベルト30(図1)が配置される。搬送ベルト30は幅広の無端形状のベルトであり、プラテン22の平面上を通り、プラテン22の下方に回り込むように配置される。搬送ベルト30の表面のうち、少なくともプラテン22の平面上で上を向く面は、摩擦係数の高い粗面となっている。搬送ベルト30はゴムや合成樹脂等の弾性材料により構成されることが好ましい。プラテン22の下方には、搬送モーター31(図4)、及び、搬送モーター31の回転力により搬送ベルト30を動かす駆動機構を有する搬送部32が配置される。搬送部32に設けられた駆動機構は、搬送モーター31の出力軸とかみ合うギアや搬送ベルト30を動かすローラー等により構成され、搬送モーター31の回転に応じて搬送ベルト30が動いて、搬送ロール紙R2を搬送方向Fに搬送する。
紙案内部16の、前方へ向かって右側には、制御基板44が設けられる。制御基板44には、後述するプリンター制御部50のCPUや、RAM、その他の回路が実装される。
印刷ポジションPPとは、プラテン22に対向する位置であって、搬送ロール紙R2に対してインクを吐出して印刷面に画像を印刷可能な位置である。画像を印刷する際は、印刷ポジションPPにおいて、インクジェットヘッド10が所定の機構により下方へ移動して適切な位置に配置される。
ホームポジションHPは、上述した印刷ポジションPPを避けた場所に設けられたインクジェットヘッド10の退避位置である。ホームポジションHPには、インクジェットヘッド10のノズル形成面を覆うキャップ(図示略)を備えたメンテナンスユニット90(インク受け部)が配置される。メンテナンスユニット90は、キャップを上下方向に移動させてノズル形成面に密着および離隔させる駆動部(図示略)を備え、ホームポジションHPに移動したインクジェットヘッド10のノズル形成面をキャップで封止する。また、メンテナンスユニット90は、キャップ内を減圧してインクジェットヘッド10のノズルからインクを吸い出すポンプユニット69(図4)、ポンプユニット69により吸い出されたインクを貯留する廃インクタンク(図示略)等を備えている。
また、ホームポジションHPでは、フラッシング、及び、クリーニングが行われる。
フラッシング時には、プリンター制御部50は、メンテナンスユニット90のキャップがノズル形成面を封止していない状態で、キャップに対して、ノズルから所定回数、所定量のインクを吐出させ、ノズルの内部に留まっているインクを新たなインクに置き換える。クリーニング時には、プリンター制御部50は、メンテナンスユニット90のキャップによりノズル形成面を封止させて、ポンプユニット69を駆動し、ノズル内に留まっているインクを吸い出す。
また、プリンター制御部50は、インクジェットヘッド10を印刷ポジションPPに位置させたまま、すなわち搬送ロール紙R2の上に位置させたままで、フラッシングを行うことができる。このフラッシング動作を、紙上フラッシング(媒体上フラッシング動作)と呼ぶ。紙上フラッシングでは、インクジェットヘッド10により画像(文字や図形を含んでもよい)を印刷する際に、印刷する画像とは無関係のドットを形成する。これにより、長時間使用されないノズルにおけるインク増粘を防止できる。
紙上フラッシングでは、搬送ロール紙R2で画像が印刷されない領域にインクを吐出する。このため、紙上フラッシングで吐出するインクの量が多いと、汚れのようなものに視認されて印刷品質に影響する。従って、インクジェットプリンター1では、紙上フラッシングのインク量について複数段階のレベルを設定可能となっている。本実施形態では、レベル1とレベル2の2段階の設定ができ、レベル1(第1実行条件)はインク量が多く、レベル2(第2実行条件)はレベル1よりインク量が少ない。例えば、レベル1と2では、紙上フラッシングで形成される印刷画像とは無関係のドットの数、及び/または、ドットのサイズ(1ドットあたりのインク量)が異なる。
インクジェットヘッド10は、ブラックヘッドユニット24と、シアンヘッドユニット25と、マゼンダヘッドユニット26と、イエローヘッドユニット27と、を備える。インクジェットヘッド10において、各ヘッドユニットは、搬送方向Fへ向かって、ブラックヘッドユニット24、シアンヘッドユニット25、マゼンダヘッドユニット26、イエローヘッドユニット27の順番に配置される。
ブラックヘッドユニット24には、4つのブラックヘッド24aが千鳥状に配置される。各ブラックヘッド24aには、ブラックノズル列24bが設けられる。ブラックノズル列24bは、インクを微細なインク粒として吐出するノズル孔(不図示)が、搬送方向Fと交わる方向に延在して形成されたノズル列である。ブラックヘッド24aには、ブラックのインクカートリッジからインクが供給される。
ブラックヘッド24aは、例えばピエゾ素子を用いて構成されるアクチュエーターによって、ブラックのインクを搬送ロール紙R2へ向かって押し出して、所定のノズル孔から微細なインク粒を吐出する。これにより、搬送ロール紙R2の印刷面にドットが形成される。
同様に、シアンヘッドユニット25には、4つのシアンヘッド25aが千鳥状に配置されている。各シアンヘッド25aには、ノズル孔からシアンのインク粒を吐出するシアンノズル列25bが形成される。また、マゼンダヘッドユニット26には、4つのマゼンダヘッド26aが千鳥状に配置される。各マゼンダヘッド26aには、ノズル孔からマゼンダのインク粒を吐出するマゼンダノズル列26bが形成される。また、イエローヘッドユニット27には、4つのイエローヘッド27aが千鳥状に配置される。各イエローヘッド27aには、ノズル孔からイエローのインク粒を吐出するイエローノズル列27bが形成されている。
なお、図3では、説明の便宜のため、各ヘッド、及び、各ヘッドが備えるノズル列を明示しているが、実際は、ノズル列を構成するノズル孔から鉛直下方へ向かってインクが吐出される構成となっており、当該構成を実現するように各部材が配置される。
図4に示すように、インクジェットプリンター1は、ホストPC5(印刷制御装置)とデータ通信可能に接続され、インクジェットプリンター1及びホストPC5が印刷システム2を構成する。印刷システム2は、オペレーターの操作によりホストPC5が印刷対象のデータをインクジェットプリンター1に出力し、インクジェットプリンター1が印刷対象のデータに基づいて印刷媒体に印刷するシステムである。
ホストPC5は、インクジェットプリンター1の制御に係るアプリケーションプログラム、プリンタードライバープログラムがインストールされ、これらプログラムの機能により、インクジェットプリンター1にコマンドを送信して、インクジェットプリンター1を制御する。
なお、プリンタードライバー実行部102が実行するデバイスドライバープログラムは、インクジェットプリンター1に最適化されたプログラムに限らず、汎用のデバイスドライバープログラムであってもよい。また、他の機種のプリンター向けのデバイスドライバープログラムであってもよい。この場合、インクジェットプリンター1は、他の機種のプリンターに対応したプリンタードライバー実行部102が出力するコマンドやデータ等を処理可能であればよい。
具体的には、プリントモニター部103はプリンタードライバー実行部102が出力するコマンドを順次取得して、インクジェットプリンター1に送信する。また、プリントモニター部103は、複数のコマンドをインクジェットプリンター1に送信する場合、所定の順序でインクジェットプリンター1にコマンドを実行させるために、コマンドの送信順序や送信タイミングを調整する。この場合、プリントモニター部103は、例えばインクジェットプリンター1にコマンドを送信し、このコマンドに対する応答を受信してから、次のコマンドを送信する等の制御を行う。
また、プリントモニター部103は、アプリケーション実行部101がコマンドを出力した場合には、このコマンドを取得して、プリンタードライバー実行部102が出力するコマンドと同様に、送信制御を行う。
さらに、プリントモニター部103は、アプリケーション実行部101またはプリンタードライバー実行部102が生成したコマンドをインクジェットプリンター1に送信し、インクジェットプリンター1から応答を受信した場合、受信した応答を、もとのコマンドの生成元に返す。このため、アプリケーション実行部101及びプリンタードライバー実行部102は、生成したコマンドに対する応答を取得できる。プリントモニター部103が受信する応答の形式は限定されない。例えば、コマンド形式の応答コマンドであってもよいし、ステータスの通知の形式であってもよいし、他の形式のデータであってもよく、これらを含む表現として応答と記載する。
プリントモニター部103は、一般に、LM(Language Monitor)やポートモニターと呼ばれるプログラムモジュールを実行し、上記の制御を行う。プリントモニター部103は、ホストPC5のオペレーティングシステムまたはプリンタードライバー実行部102の一部を構成するモジュールであってもよい。
プリンター制御部50は、図示しない演算実行部としてのCPUや、ROM、RAM等を備える。プリンター制御部50のROMには、CPUによって実行可能なファームウェア、ファームウェアに係るデータ等が記憶される。また、RAMにはCPUが実行するファームウェアに係るデータ等が一時的に記憶される。
本実施形態のプリンター記憶部52は、上述した定期フラッシング及び紙上フラッシングの実行条件に関するフラッシング設定データ52a、及び、紙上フラッシングで使用される基準フラッシングパターン52bを記憶する。
また、プリンター制御部50には、用紙検出器19の検出値を取得するセンサー駆動部56が接続される。
センサー駆動部56は、用紙検出器19の検出値をプリンター制御部50に出力する。プリンター制御部50は、用紙検出器19の検出値に基づいて、用紙検出器19が設けられた位置に、搬送ロール紙R2の先端、又は、後端が至ったことを検出する。
また、センサー駆動部56は、ブラックマーク検出器20の検出値をプリンター制御部50に出力する。プリンター制御部50は、ブラックマーク検出器20の検出値に基づいて、検出位置T1にブラックマークBMが至ったことを検出する。
また、センサー駆動部56は、温度センサー71の検出値をプリンター制御部50に出力する。温度センサー71は、インクジェットヘッド10の所定の位置に設けられた温度センサーであり、インクジェットヘッド10の温度を検出する。プリンター制御部50は、温度センサー71の検出値に基づいて、インクジェットヘッド10の温度を検出する。
搬送モーター31は、例えばブラシレスDCモーターにより構成され、搬送ベルト30を移動させることにより記録媒体を搬送する。プリンター制御部50は、モータードライバー67を制御して、モータードライバー67から搬送モーター31に駆動電流を供給し、搬送モーター31を駆動する。
軸回転モーター64は、ロール紙本体R1の芯R3に嵌め込まれたロール紙回転軸9を回転させることにより、ロール紙本体R1を回転させる。ロール紙本体R1が搬送方向Fに準じる方向に回転した場合、ロール紙本体R1から搬送ロール紙R2が引き出される。一方、ロール紙本体R1が搬送方向Fに準じる方向と逆方向に回転した場合、搬送ロール紙R2がロール紙本体R1に引き込まれる。軸回転モーター64は、ブラシレスDCモーターにより構成される。プリンター制御部50は、モータードライバー67を制御して、モータードライバー67から軸回転モーター64に駆動電流を供給し、軸回転モーター64を駆動する。
記録媒体への画像の印刷に伴う記録媒体の搬送中、プリンター制御部50は、ブラックマーク検出器20の検出値、及び、搬送モーター31の回転量に基づいて、搬送経路HKにおける記録媒体の位置を管理する。プリンター制御部50は、搬送モーター31の回転量を、搬送モーター31に対応して設けられた図示しないロータリーエンコーダーの検出値に基づいて検出する。
また、コマンド解析部50bは、解析したコマンドまたはデータが、印刷制御部50eにより実行すべきコマンドまたは印刷制御部50eで処理されるデータの場合、印刷制御部50eにコマンドまたはデータを渡す。例えば、コマンド解析部50bは印刷指示のコマンド及び印刷対象のデータを印刷制御部50eに渡す。また、コマンド解析部50bは、解析したコマンドまたはデータが、画像処理部50fにより実行すべきコマンドまたは画像処理部50fで処理されるデータの場合、画像処理部50fにコマンドまたはデータを渡す。
その後、フラッシング制御部50dはインクジェットヘッド10を印刷ポジションPPに移動させて、印刷制御部50eによる印刷を再開させる。また、フラッシング制御部50dは搬送モーター31を動作させて、搬送ロール紙R2を印刷開始位置まで搬送する頭出し動作を実行する。従って、定期フラッシング動作を行うと、インクジェットヘッド10を移動させる時間と、搬送ロール紙R2の印刷開始位置を合わせる搬送動作とを行うための時間が必要になる。
本実施形態の印刷システム2で使用されるコマンドは、<プレフィックス文字>、<コマンド識別子>、及び<パラメーター>で構成される。
プレフィックス文字は、例えば1文字のASCIIコードからなり、コマンドの分類を示す。印刷システム2では、フォーマットコマンドとコントロールコマンドの2種類のコマンドを使用できる。フォーマットコマンドは、インクジェットプリンター1が印刷する印刷態様を指定するコマンドや印刷指示コマンドである。コントロールコマンドは、インクジェットプリンター1の制御に関するコマンドである。ここでは、コントロールコマンドのプレフィックス文字を半角の「/」、コントロールコマンドのプレフィックス文字を半角の「*」とする。
/FDMP,(パラメーター) …(1)
*HDMP,(パラメーター) …(2)
例えば、コマンド群には、上述した紙上フラッシングのレベル設定コマンドの他に、印刷指示コマンド、印刷対象のデータを送信するコマンドを含めることができる。この場合、インクジェットプリンター1は、紙上フラッシングのレベル設定と、印刷とを実行する。
このように、印刷システム2では、フォーマットコマンドを用いることで印刷指示のコマンドとともに紙上フラッシングのレベルを設定できる。また、コントロールコマンドによって、印刷をさせるタイミングの制約を受けることなく、任意のタイミングで紙上フラッシングのレベルを設定できる。
ホストPC5は、ホスト入力部112に接続された入力デバイスの操作により、プリンターの設定が開始されると(ステップSA1)、プリンタードライバー実行部102の機能により、設定画面を表示してユーザーの入力を受け付ける(ステップSA2)。このステップSA2では、例えば、紙上フラッシングのレベルを設定する画面が表示される。
ここで、図6に示すユーザーインターフェースには、紙上フラッシングのレベルに関する記載はなく、「スループット優先モード」という動作モードをONにするかOFFにするかの入力が可能になっている。インクジェットプリンター1では、印刷時の動作モードとして、通常動作モードと、スループット優先モードという2種類の動作モードを排他的に選択可能であり、これら2つの動作モードを、設定画面200の入力により選択できる。スループット優先モードがOFFの場合は通常動作モードが選択される。
プリンタードライバー実行部102は、設定画面200においてボタン202が操作されると、チェックボックス201の指定に従って、紙上フラッシングのレベル設定コマンドを生成する。このコマンドは、例えば上述したコントロールコマンドとして生成できる。
ここで、プリンタードライバー実行部102が、紙上フラッシングのレベルを設定するコマンドとともに、フラッシング間隔を設定するコマンドを生成してもよい。すなわち、プリンタードライバー実行部102は、設定画面200によりスループット優先モードがONにされた場合に、紙上フラッシングのレベルをレベル1に指定するコマンドと、フラッシング間隔を標準より短い時間に設定するコマンドを生成してもよい。また、プリンタードライバー実行部102は、設定画面200によりスループット優先モードがOFFにされた場合に、紙上フラッシングのレベルをレベル2に指定するコマンドと、フラッシング間隔を標準の時間に設定するコマンドを生成してもよい。この場合、フラッシング設定データ52aにおいて紙上フラッシングのレベルとフラッシング間隔とを対応付ける必要がなく、ホストPC5の制御によってフラッシング間隔を変更できる。
ホストPC5のアプリケーション実行部101は、印刷対象のデータと印刷指示を生成し、プリンタードライバー実行部102に出力する(ステップSA11)。アプリケーション実行部101が生成するデータは、文字列の文字コードやバーコードのコード、或いは、画像データを含んでいてもよい。
プリンタードライバー実行部102は、アプリケーション実行部101から入力されたデータと印刷指示を取得し(ステップSA12)、印刷指示コマンドまたはコマンド群を生成する(ステップSA13)。プリンタードライバー実行部102は、ステップSA14またはSA15で生成したコマンドまたはコマンド群をプリントモニター部103に出力し、プリントモニター部103がインクジェットプリンター1に送信する(ステップSA14)。
基準フラッシングパターン52bは、インクジェットヘッド10のノズルからインクを吐出するノズルを選択するためのパターンであり、例えば、n列×m行(n,mは整数)のドットマトリクスパターンで構成される。このドットマトリクスパターンは空白ドット、およびフラッシングドットによって構成される。フラッシングドットはインクを吐出するノズルを示し、空白ドットはインクを吐出しないノズルを示す。フラッシング制御部50dは、ブラックヘッド24a、シアンヘッド25a、マゼンダヘッド26a、イエローヘッド27aのノズルについて、色毎に、n列×m行の基準フラッシングパターン52bを適用する。例えば、いずれかの色のヘッドがp列×q行(p、qは整数)のノズル列で構成される場合、n列×m行の基準フラッシングパターン52bをp列×q行に拡張する。これは、例えば、基準フラッシングパターン52bを縦方向にp/n倍し、横方向にq/m倍する演算を行い、端数を切り捨てることで実行できる。また、基準フラッシングパターン52bを複数並べて、p列×q行のパターンを切り出す方法でも実行できる。これらの処理により基準フラッシングパターン52bをノズルの配列に合わせて展開した後、フラッシング制御部50dは、フラッシングドットに重なるノズルを、インクを吐出するノズルとして選択する。以上の処理によって、ヘッドに配置された多数のノズルの中から、紙上フラッシングでインクを吐出するノズルが選択される。フラッシング制御部50dは、ブラックヘッド24a、シアンヘッド25a、マゼンダヘッド26a、イエローヘッド27aの全ノズルについて、各々のノズルのインクの吐出の有無を示す印刷フラッシングパターンを生成する。
また、ステップSB19で、印刷制御部50eは、搬送ロール紙R2の印刷対象領域から外れた位置では、印刷フラッシングパターンのドットは無視し、ノズルのインク吐出量をゼロにする。すなわち、搬送ロール紙R2において画像を印刷する範囲として指定された印刷対象領域でのみ、紙上フラッシングのインクを吐出する。これにより、搬送ロール紙R2において余白となる部分には紙上フラッシングのインクが付着しないので、紙上フラッシングの印刷品質への影響を抑えることができる。また、搬送ロール紙R2がラベル用紙である場合は印刷面に剥離紙が露出することがある。このように印刷面にインクを吸着しない部分がある場合、印刷対象領域外にインクを付着させると印刷後の汚損の要因になる可能性がある。本実施形態では印刷対象領域外にインクを吐出しないので、このような汚損を防止できる。
印刷完了後、プリンター制御部50は印刷が完了したことを示す応答コマンドをホストPC5に送信する(ステップSB21)。プリントモニター部103は、インクジェットプリンター1から送信された応答コマンドを受信する(ステップSA15)。この応答コマンドはプリンタードライバー実行部102が生成した印刷指示コマンドへの応答である。プリントモニター部103は、プリンタードライバー実行部102に印刷が完了したことを通知してもよい。
また、プリンタードライバー実行部102は、ユーザーインターフェースを用いて通常動作モードが指示された場合、デフォルトの値であるレベル2を指定するレベル設定コマンドを生成する。これにより、搬送ロール紙R2の搬送経路HKでフラッシングを行う場合のインク吐出量を多くするか否かの条件を、容易に、適切に設定できる。
例えば、上述した実施形態では、紙上フラッシングにおけるインク吐出量をレベル別に異なる量にするため、基準フラッシングパターン52bと、基準フラッシングパターン52bから生成する調整フラッシングパターンとを使い分ける例を挙げて説明した。すなわち、紙上フラッシングのレベル1では、基準フラッシングパターン52bを使用し、レベル2では調整フラッシングパターンを生成する例を説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、調整フラッシングパターンを、予め、プリンター記憶部52に記憶していてもよい。この場合、調整フラッシングパターンを生成する処理が不要となり負荷を軽減できる。また、紙上フラッシングのインク吐出量を複数階調とすることも可能である。この場合、基準フラッシングパターン52b及び調整フラッシングパターンのフラッシングドットが、インク吐出量の階調データを有する構成とすればよい。また、調整フラッシングパターンを、基準フラッシングパターン52bとフラッシングドットが同じ位置にあり、インク吐出量が異なるデータとして生成できる。この場合、調整フラッシングパターンの生成および展開の処理が容易になるという利点がある。また、紙上フラッシングのレベルが3段階以上ある場合に、複数の調整フラッシングパターンを生成してもよいし、各レベルに対応する調整フラッシングパターンをプリンター記憶部52に記憶してもよいことは上記の通りである。
また、インクジェットプリンター1の印刷時の動作モードはスループット優先モードと通常動作モードに限定されず、設定画面200において、より多くの動作モードから1つの動作モードを指定できる構成としてもよい。また、設定画面200は、スループット優先モードのON/OFFだけでなく他の設定項目について設定可能なユーザーインターフェースであってもよい。この場合、プリンタードライバー実行部102は、設定画面200により設定された複数の項目に関するコマンドを、コマンド群として生成してもよい。
Claims (4)
- インクノズルを備える印刷ヘッドと、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷ヘッドのインクノズルからインクをインク受け部に吐出する第1フラッシング、及び、前記印刷ヘッドのインクノズルから前記印刷媒体上にインクを吐出する第2フラッシングと、を実行させる制御部と、
第1動作モード、または、前記第1動作モードよりも印刷スループットを優先する第2動作モードを指示する入力を受け付ける入力受付部と、を備え、
前記制御部は、前記入力受付部が受け付ける入力に従って、フラッシングに係る実行条件として、前記第1フラッシングを実行するフラッシング時間を設定し、設定されたフラッシング時間ごとに前記第1フラッシングを実行させることが可能であり、
前記制御部は、
前記入力受付部が、前記動作モードとして前記第2動作モードを指示する入力を受け付けた場合に、前記実行条件として第1実行条件を設定し、
前記入力受付部が、前記動作モードとして前記第1動作モードを指示する入力を受け付けた場合に、前記実行条件として第2実行条件を設定し、
前記第1実行条件として設定される前記第1フラッシングの前記フラッシング時間は、前記第2実行条件として設定される前記第1フラッシングの前記フラッシング時間より長い、印刷装置。 - 前記印刷装置の制御部は、前記実行条件として前記第2フラッシングのインク吐出量を設定し、異なる複数の設定された前記インク吐出量で、前記第2フラッシングを実行させることが可能であり、
前記第1実行条件として設定される前記第2フラッシングの前記インク吐出量は、前記第2実行条件として設定される前記第2フラッシングの前記インク吐出量より多い、請求項1に記載の印刷装置。 - 前記第1フラッシングは、前記印刷ヘッドを前記インク受け部の位置まで移動して前記印刷ヘッドのインクノズルからインクを前記インク受け部に吐出するフラッシングであり、
前記第2フラッシングは、前記印刷媒体の搬送経路に位置する前記印刷ヘッドのインクノズルからインクを前記印刷媒体上に吐出するフラッシングである、請求項1または2に記載の印刷装置。 - 印刷ヘッドのインクノズルからインクをインク受け部に吐出させる第1フラッシングを、設定されたフラッシング時間ごとに実行させ、前記印刷ヘッドのインクノズルから前記印刷媒体上にインクを吐出する第2フラッシング、及び印刷動作を実行させる印刷制御方法であって、
第1動作モード、または、前記第1動作モードよりも印刷動作のスループットを優先する第2動作モードを指示する入力を受け付け、
受け付けた前記入力により前記第2動作モードが指示された場合に前記フラッシングの実行条件として第1実行条件を設定し、
受け付けた前記入力により前記第1動作モードが指示された場合に前記実行条件として第2実行条件を設定し、
前記第1実行条件として設定される前記フラッシング時間が、前記第2実行条件として設定される前記フラッシング時間より長い、印刷制御方法。
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