JP6488854B2 - 半導体積層体および受光素子 - Google Patents

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本発明は、半導体積層体および受光素子に関するものである。
III−V族化合物半導体からなる基板上に、III−V族化合物半導体からなる半導体層を形成した構造を含む半導体積層体は、赤外域の光に対応した受光素子の製造に用いることができる。具体的には、たとえばIII−V族化合物半導体からなる基板上に、III−V族化合物半導体からなるバッファ層、量子井戸受光層、コンタクト層を順次積層し、さらに適切な電極を形成することにより赤外線用の受光素子を得ることができる。このような受光素子に関して、カットオフ波長が2μm以上であるフォトダイオードについての報告がある(たとえば、非特許文献1参照)。また、感度の向上等を目的として、量子井戸受光層から見て基板とは反対側にn型層を配置してn型層に接触する第1電極を形成するとともに、基板側にp型層を配置してp型層に接触する第2電極を形成する構造(nip構造)が提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
特開2011−192838号公報 特開2002−314118号公報 特開2006−245163号公報 R.Sidhu,et al.、"A Long−Wavelength Photodiode on InP Using Lattice−Matched GaInAs−GaAsSb Type−II Quantum Wells"、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.17,NO.12、DECEMBER 2005、p.2715−2717
しかし、上記nip構造を採用した場合でも、受光素子の感度が十分に向上せず、かつ暗電流が増加するという問題がある。そこで、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することが可能な半導体積層体および受光素子を提供することを目的の1つとする。
本発明に従った半導体積層体は、III−V族化合物半導体からなる基板と、III−V族化合物半導体からなり、導電型がp型であるp型層と、III−V族化合物半導体からなる量子井戸受光層と、III−V族化合物半導体からなり、導電型がn型であるn型層と、を備える。上記基板、上記p型層、上記量子井戸受光層および上記n型層は、この順に積層される。そして、量子井戸受光層内におけるp型不純物の濃度は5×1015cm−3以下である。
上記半導体積層体によれば、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することができる。
実施の形態1における半導体積層体の構造を示す概略断面図である。 実施の形態1における受光素子の構造を示す概略断面図である。 実施の形態1における半導体積層体および受光素子の製造方法の概略を示すフローチャートである。 実施の形態1における半導体積層体および受光素子の製造方法を説明するための概略断面図である。 実施の形態1における半導体積層体および受光素子の製造方法を説明するための概略断面図である。 実施の形態1における半導体積層体および受光素子の製造方法を説明するための概略断面図である。 実施の形態1における半導体積層体および受光素子の製造方法を説明するための概略断面図である。 実施の形態2における半導体積層体の構造を示す概略断面図である。 実施の形態2における受光素子の構造を示す概略断面図である。 実施の形態3における受光素子およびセンサの構造を示す概略断面図である。 量子井戸受光層におけるp型不純物濃度と感度との関係を示す図である。 量子井戸受光層におけるp型不純物濃度と暗電流密度との関係を示す図である。 p型層と量子井戸受光層との界面付近におけるCの濃度分布を示す図である。 p型層と量子井戸受光層との界面付近におけるCの濃度分布を示す図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願の半導体積層体は、III−V族化合物半導体からなる基板と、III−V族化合物半導体からなり、導電型がp型であるp型層と、III−V族化合物半導体からなる量子井戸受光層と、III−V族化合物半導体からなり、導電型がn型であるn型層と、を備える。上記基板、上記p型層、上記量子井戸受光層および上記n型層は、この順に積層される。そして、量子井戸受光層内におけるp型不純物の濃度は5×1015cm−3以下である。
本発明者らは、nip構造において感度が十分に向上せず、かつ暗電流が増加する原因について検討を行った。その結果、本発明者らは以下のような知見を得た。nip構造に対応する半導体積層体を製造する場合、基板上にp型層を形成した後、量子井戸受光層を形成することとなる。p型層および量子井戸受光層の形成は、同一の炉内において原料ガスを変更することにより引き続いて実施することができる。そして、p型層に添加する目的でp型層形成時に導入されたp型不純物が炉内に残存し、量子井戸受光層形成時に量子井戸受光層に取り込まれる。その結果、量子井戸受光層にp型不純物が混入する。また、量子井戸受光層の形成後には、引き続きn型層が形成される。このとき、p型層上に量子井戸受光層が形成された積層体がn型層の形成に適した温度に加熱される。その結果、p型層から量子井戸受光層にp型不純物が拡散し、量子井戸受光層にp型不純物が混入する。このようにして量子井戸受光層に混入したp型不純物の影響により、nip構造を有する受光素子において感度が十分に向上せず、かつ暗電流が増加するという問題が生じていたことが明らかとなった。すなわち、nip構造を有する受光素子の製造においては、量子井戸受光層内のp型不純物濃度を低減することが重要である。そして、本発明者らの検討によれば、量子井戸受光層内のp型不純物の濃度を5×1015cm−3以下とすることにより、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することが可能となる。
本願の半導体積層体においては、nip構造に対応した順で基板、p型層、量子井戸受光層およびn型層が積層されている。そして、量子井戸受光層内のp型不純物の濃度が5×1015cm−3以下に制限されている。そのため、本願の半導体積層体によれば、これを用いて受光素子を製造することにより、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することができる。
上記半導体積層体においてp型層の量子井戸受光層側の主面である第1主面を含む領域には、p型不純物の濃度が5×1017cm−3以下である低p型濃度領域が形成されており、低p型濃度領域の厚みは50nm以上であってもよい。厚み50nm以上の上記低p型濃度領域を形成することにより、量子井戸受光層内のp型不純物の濃度を5×1015cm−3以下にすることが容易となる。
上記半導体積層体において、p型層に含まれるp型不純物は、C(炭素)、Be(ベリリウム)、Zn(亜鉛)およびMg(マグネシウム)からなる群から選択される1種以上の元素であってもよい。p型層に含まれるp型不純物としてこれらの元素を採用することにより、量子井戸受光層内のp型不純物の濃度を5×1015cm−3以下にすることが容易となる。
上記半導体積層体において、量子井戸受光層はSbを含んでいてもよい。Sbを含む量子井戸受光層を形成する場合、量子井戸受光層の成長温度を比較的低く設定する必要がある。この場合、量子井戸受光層へのp型不純物の混入が発生しやすい。このような半導体積層体において量子井戸受光層内のp型不純物の濃度を低く設定する本願の半導体積層体の構成を採用することは有効である。
上記半導体積層体において、上記量子井戸受光層は、InGa1−xAs(xは0.38以上1以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)層とのペア、またはGa1−uInAs1−v(uは0.4以上0.8以下、vは0を超え0.2以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上0.62以下)層とのペアを含む多重量子井戸構造であってもよい。このような量子井戸受光層を採用することにより、波長1〜2.5μmの赤外線の検知に適した受光素子の製造に使用可能な半導体積層体を得ることができる。
上記半導体積層体において、上記量子井戸受光層は、InAs層とGaSb層とのペアを含む多重量子井戸構造であってもよい。このような量子井戸受光層を採用することにより、波長4〜12μmの赤外線の検知に適した受光素子の製造に使用可能な半導体積層体を得ることができる。
上記半導体積層体において、上記基板は、GaAs(ガリウム砒素)、GaP(ガリウムリン)、GaSb(ガリウムアンチモン)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウム砒素)、InSb(インジウムアンチモン)、AlSb(アルミニウムアンチモン)、またはAlAs(アルミニウム砒素)からなっていてもよい。これにより、波長1〜2.5μmまたは波長4〜12μmの赤外線の検知に適した上記多重量子井戸構造を量子井戸受光層として採用することが容易となる。
上記半導体積層体において、上記p型層、上記量子井戸受光層および上記n型層が再成長界面を形成することなく上記基板上に積層されていてもよい。これにより、暗電流をより確実に抑制することができる。なお、再成長界面は、酸素、水素および炭素から選択される少なくとも一種の元素が1×1017cm−3以上の濃度で含まれる界面である。酸素、水素および炭素の濃度は、たとえば二次イオン質量分析、またはグロー放電質量分析により確認することができる。
p型層と量子井戸受光層との界面、および量子井戸受光層とn型層との界面における、酸素の濃度、炭素の濃度および水素の濃度は、いずれも1×1017cm−3以下であってもよい。これにより、暗電流をより確実に抑制することができる。
上記半導体積層体において、上記p型層、上記量子井戸受光層および上記n型層は有機金属気相成長法により形成されていてもよい。これにより、高品質な結晶からなる半導体積層体を得ることが容易となる。
本願の受光素子は、上記半導体積層体と、半導体積層体上に形成された電極と、を備える。本願の受光素子は、p型不純物の濃度が抑制された量子井戸受光層を有する上記半導体積層体を含んでいる。そのため、本願の受光素子によれば、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
(実施の形態1)
次に、本発明にかかる半導体積層体の一実施の形態である実施の形態1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態における半導体積層体10は、基板20と、p型層としてのバッファ層30と、量子井戸受光層としての量子井戸構造40と、n型層としてのコンタクト層50とを備えている。
基板20は、III−V族化合物半導体からなっている。また、基板20の直径は50mm以上であり、たとえば3インチである。基板20を構成するIII−V族化合物半導体としては、たとえばGaAs、GaP、GaSb、InP、InAs、InSb、AlSb、AlAsなどを採用することができる。これらのIII−V族化合物半導体からなる基板20を採用することにより、赤外光用の受光素子の製造に適した半導体積層体10を得ることができる。具体的には、たとえば導電型がn型であるInP(n−InP)が、基板20を構成する化合物半導体として採用される。基板20に含まれるn型不純物としては、たとえばS(硫黄)などを採用することができる。基板20の直径は、半導体積層体10を用いた半導体装置(受光素子)の生産効率および歩留りの向上を目的として、80mm以上(たとえば4インチ)とすることができ、さらに105mm以上(たとえば5インチ)、さらに130mm以上(たとえば6インチ)とすることができる。
バッファ層30は、基板20の一方の主面20A上に接触するように配置された半導体層である。バッファ層30は、III−V族化合物半導体からなっている。バッファ層30を構成するIII−V族化合物半導体としては、たとえばGaSb、AlSb(アルミニウムアンチモン)、InSb(インジウムアンチモン)といった2元系、およびGaInSb(ガリウムインジウムアンチモン)、AlInSb(アルミニウムインジウムアンチモン)、AlGaSb(アルミニウムガリウムアンチモン)といった3元系の材料などを採用することができる。具体的には、たとえば導電型がp型であるInGaAs(インジウムガリウム砒素)(p−InGaAs)が、バッファ層30を構成する化合物半導体として採用される。バッファ層30に含まれるp型不純物としては、たとえばC(炭素)、Be(ベリリウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)などを採用することができる。
量子井戸構造40は、バッファ層30の、基板20に面する側とは反対側の第1主面30A上に接触するように配置されている。量子井戸構造40は、III−V族化合物半導体からなる2つの要素層が交互に積層された構造を有している。より具体的には、量子井戸構造40は、第1要素層41と第2要素層42とが交互に積層された構造を有している。第1要素層41を構成する材料としては、たとえばInGa1−xAs(xは0.38以上1以下)を採用することができる。また、第2要素層42を構成する材料としては、たとえばV族元素としてSbを含むGaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)(ガリウム砒素アンチモン)を採用することができる。半導体積層体10を受光素子の製造に使用することを考慮すると、量子井戸構造40の厚みは500nm以上とすることが好ましい。これにより、半導体積層体10を用いて製造される受光素子の受光感度を向上させることができる。なお、第1要素層41および第2要素層42を構成する材料は、上記材料に限られず、たとえば第1要素層41を構成する材料としては、Ga1−uInAs1−v(uは0.4以上0.8以下、vは0を超え0.2以下)(ガリウムインジウム窒素砒素)を採用し、第2要素層42を構成する材料としては、たとえばV族元素としてSbを含むGaAs1−ySb(yは0.36以上0.62以下)を採用することができる。
このように、量子井戸受光層としてInGa1−xAs(xは0.38以上1以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)層とのペア、またはGa1−uInAs1−v(uは0.4以上0.8以下、vは0を超え0.2以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上0.62以下)層とのペアを含む多重量子井戸構造を採用することにより、波長1〜2.5μmの赤外線の検知に適した受光素子の製造に使用可能な半導体積層体10を得ることができる。
また、第1要素層41を構成する材料としてInAsを採用し、第2要素層42を構成する材料としてGaSbを採用してもよい。このように量子井戸受光層としてInAs層とGaSb層とのペアを含む多重量子井戸構造を採用することにより、波長4〜12μmの赤外線の検知に適した受光素子の製造に使用可能な半導体積層体10を得ることができる。
第1要素層41および第2要素層42の厚みは、たとえばそれぞれ3nmとすることができる。そして、量子井戸構造40は、第1要素層41と第2要素層42とからなる単位構造が、たとえば100組積層されたものとすることができる。すなわち、量子井戸構造40の厚みは、たとえば600nmとすることができる。量子井戸構造40は、このような構造を有するタイプII量子井戸とすることができる。
なお、量子井戸構造40の歪を補償するために、量子井戸構造40を構成する単位構造を、第1要素層41および第2要素層42に歪補償層を加えたものとしてもよい。また、本実施の形態においては、量子井戸構造40は多重量子井戸構造であるが、これに代えて単一量子井戸構造を採用することもできる。
図1を参照して、コンタクト層50は、量子井戸構造40の、バッファ層30に面する側とは反対側の主面40A上に接触するように配置されている。コンタクト層50は、III−V族化合物半導体からなっている。
コンタクト層50を構成するIII−V族化合物半導体としては、たとえばInP、InAs、GaSb、GaAs、InGaAs(インジウムガリウム砒素)などを採用することができる。具体的には、たとえば導電型がn型であるInP(n−InP)が、コンタクト層50を構成する化合物半導体として採用される。コンタクト層50に含まれるn型不純物としては、たとえばSi(珪素)などを採用することができる。
そして、本実施の形態の半導体積層体10の量子井戸受光層である量子井戸構造40内におけるp型不純物の濃度は5×1015cm−3以下である。そのため、本実施の形態の半導体積層体10を用いて受光素子を製造することにより、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することができる。
半導体積層体10において、バッファ層30、量子井戸構造40およびコンタクト層50が再成長界面を形成することなく基板20上に積層されていることが好ましい。これにより、暗電流をより確実に抑制することができる。
また、半導体積層体10において、バッファ層30、量子井戸構造40およびコンタクト層50は有機金属気相成長法により形成されていることが好ましい。これにより、高品質な結晶からなる半導体積層体10を得ることが容易となる。
次に、上記半導体積層体10を用いて作製される受光素子の一例である赤外線受光素子(フォトダイオード)について説明する。図2を参照して、本実施の形態における赤外線受光素子1は、上記本実施の形態の半導体積層体10を用いて作製されたものであって、半導体積層体10と同様に積層された基板20と、バッファ層30と、量子井戸構造40と、コンタクト層50とを備えている。そして、赤外線受光素子1には、コンタクト層50および量子井戸構造40を貫通し、バッファ層30に到達するトレンチ99が形成されている。すなわち、トレンチ99の側壁99Aにおいて、コンタクト層50および量子井戸構造40が露出している。また、トレンチ99の底壁99Bは、バッファ層30内に位置している。つまり、トレンチ99の底壁99Bにおいてバッファ層30が露出している。
さらに、赤外線受光素子1は、パッシベーション膜80と、p側電極91と、n側電極92とを備えている。パッシベーション膜80はトレンチ99の底壁99B、トレンチ99の側壁99Aおよびコンタクト層50において量子井戸構造40に面する側とは反対側の主面50Aを覆うように配置されている。パッシベーション膜80は、窒化珪素、酸化珪素などの絶縁体からなっている。
トレンチ99の底壁99Bを覆うパッシベーション膜80には、パッシベーション膜80を厚み方向に貫通するように開口部81が形成されている。そして、開口部81を充填するようにp側電極91が配置されている。p側電極91は、開口部81から露出するバッファ層30に接触するように配置されている。p側電極91は金属などの導電体からなっている。より具体的には、p側電極91は、たとえばTi(チタン)/Pt(白金)/Au(金)からなるものとすることができる。p側電極91は、バッファ層30に対してオーミック接触している。
コンタクト層50の主面50Aを覆うパッシベーション膜80には、パッシベーション膜80を厚み方向に貫通するように開口部82が形成されている。そして、開口部82を充填するようにn側電極92が配置されている。n側電極92は、開口部82から露出するコンタクト層50に接触するように配置されている。n側電極92は金属などの導電体からなっている。より具体的には、n側電極92は、たとえばTi/Pt/Auからなるものとすることができる。n側電極92は、コンタクト層50に対してオーミック接触している。
この赤外線受光素子1に赤外線が入射すると、量子井戸構造40内の量子準位間で赤外線が吸収され、電子と正孔とのペアが生成する。そして、生成した電子と正孔とが光電流信号として赤外線受光素子1から取り出されることにより、赤外線が検出される。
なお、上記n側電極92は画素電極である。そして、上記赤外線受光素子1は、図2に示すように画素電極であるn側電極92が1つだけ含まれるものであってもよいし、複数の画素電極(n側電極92)を含むものであってもよい。具体的には、赤外線受光素子1は、図2に示す構造を単位構造とし、当該単位構造が、図2において基板20の一方の主面20Aが延在する方向に複数繰り返される構造を有していてもよい。この場合、赤外線受光素子1は、画素に対応する複数のn側電極92を有する一方で、p側電極91については1つだけ配置される。このような構造については、後述の実施の形態3において説明する。
本実施の形態の赤外線受光素子1は、nip構造が採用され、かつp型不純物の濃度が抑制された量子井戸構造40を有している。そのため、赤外線受光素子1は、感度が向上するとともに暗電流が低減された受光素子となっている。
次に、本実施の形態における半導体積層体10および赤外線受光素子1の製造方法の概要について説明する。
図3を参照して、本実施の形態における半導体積層体10および赤外線受光素子1の製造方法では、まず工程(S10)として基板準備工程が実施される。この工程(S10)では、図4を参照して、たとえば直径2インチ(50.8mm)のInPからなる基板20が準備される。より具体的には、InPからなるインゴットをスライスすることにより、InPからなる基板20が得られる。この基板20の表面が研磨された後、洗浄等のプロセスを経て主面20Aの平坦性および清浄性が確保された基板20が準備される。
次に、工程(S20)として動作層形成工程が実施される。この工程(S20)では、工程(S10)において準備された基板20の主面20A上に、動作層であるバッファ層30、量子井戸構造40およびコンタクト層50が形成される。この動作層の形成は、たとえば有機金属気相成長により実施することができる。有機金属気相成長による動作層の形成は、たとえば基板加熱用のヒータを備えた回転テーブル上に基板20を載置し、基板20をヒータにより加熱しつつ基板上に原料ガスを供給することにより実施することができる。
具体的には、図4を参照して、まず基板20の主面20A上に接触するように、たとえばIII−V族化合物半導体であるp−InGaSbからなるバッファ層30が有機金属気相成長により形成される。p−InGaSbからなるバッファ層30の形成では、Inの原料としてたとえばTMIn(トリメチルインジウム)、TEIn(トリエチルインジウム)などを用いることができ、Gaの原料としてたとえばTEGa(トリエチルガリウム)、TMGa(トリメチルガリウム)などを用いることができ、Sbの原料としてたとえばTMSb(トリメチルアンチモン)、TESb(トリエチルアンチモン)、TIPSb(トリイソプロピルアンチモン)、TDMASb(トリジメチルアミノアンチモン)、TTBSb(トリターシャリーブチルアンチモン)などを用いることができる。また、p型不純物としてCを添加する場合、たとえばCBr(四臭化炭素)、CCl(四塩化炭素)などを原料ガスに添加することができる。
次に、図4および図5を参照して、バッファ層30の、基板20に面する側とは反対側の第1主面30A上に接触するように、たとえばIII−V族化合物半導体であるInGa1−xAs(xは0.38以上1以下)からなる第1要素層41と、III−V族化合物半導体であるGaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)からなる第2要素層42とが交互に積層して形成されることにより、量子井戸構造40が形成される。量子井戸構造40の形成は、上記バッファ層30の形成に引き続いて有機金属気相成長により実施することができる。すなわち、量子井戸構造40の形成は、バッファ層30の形成の際に用いた装置内に基板20を配置した状態で、原料ガスを変更することにより実施することができる。
なお、上記バッファ層30の形成後であって量子井戸構造40の形成前に、上記装置内の温度を上昇させ、装置内に残存するバッファ層30の原料を除去する処理を実施してもよい。これにより、量子井戸構造40へのp型不純物の混入を抑制することができる。また、上記バッファ層30の形成後であって量子井戸構造40の形成前に、バッファ層30が形成された基板20を一旦上記装置内から取り出し、装置内に、たとえばGaAsの原料ガスを流して装置内をGaAsによりコーティングしてもよい。その後、バッファ層30が形成された基板20を装置内に再度装填し、量子井戸構造40を形成することにより量子井戸構造40へのp型不純物の混入を抑制することができる。また、上記バッファ層30の形成後であって量子井戸構造40の形成前に、バッファ層30が形成された基板20を一旦上記装置内から取り出し、装置内において原料ガスと接触する部材(サセプタ等)を王水等で洗浄、または高温でベーキングしたうえで部材を装置内に戻してもよい。その後、バッファ層30が形成された基板20を装置内に再度装填し、量子井戸構造40を形成することにより量子井戸構造40へのp型不純物の混入を抑制することができる。
InGa1−xAs(xは0.38以上1以下)からなる第1要素層41の形成では、Inの原料としてたとえばTMIn、TEInなどを用いることができ、Gaの原料としてたとえばTEGa、TMGaなどを用いることができ、Sbの原料としてたとえばTMSb、TESb、TIPSb、TDMASb、TTBSbなどを用いることができる。GaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)からなる第2要素層42の形成では、Gaの原料としてたとえばTEGa、TMGaなどを用いることができ、Asの原料としてたとえばTBAs(ターシャリーブチルアルシン)、TMAs(トリメチル砒素)などを用いることができ、Sbの原料としてたとえばTMSb、TESb、TIPSb、TDMASb、TTBSbなどを用いることができる。第1要素層41および第2要素層42は、たとえばそれぞれ厚みを3nmとし、第1要素層41と第2要素層42とからなる単位構造が、たとえば100組積層するように形成することができる。これにより、タイプII量子井戸である量子井戸構造40を形成することができる。
次に、図5および図1を参照して、量子井戸構造40の、バッファ層30に面する側とは反対側の主面40A上に接触するように、たとえばIII−V族化合物半導体であるn−InPからなるコンタクト層50が形成される。コンタクト層50の形成は、上記量子井戸構造40の形成に引き続いて有機金属気相成長により実施することができる。すなわち、コンタクト層50の形成は、量子井戸構造40の形成の際に用いた装置内に基板20を配置した状態で、原料ガスを変更することにより実施することができる。n型不純物としてSiを添加する場合、たとえばTeESiを原料ガスに添加することができる。
以上の手順により、本実施の形態における半導体積層体10が完成する。上述のように、工程(S20)を有機金属気相成長により実施することにより、半導体積層体10の生産効率を向上させることができる。なお、工程(S20)は有機金属原料のみを用いた有機金属気相成長法(全有機金属気相成長法)に限られず、たとえばAsの原料にAsH(アルシン)、Siの原料にSiH(シラン)などの水素化物を用いた有機金属気相成長法で実施してもよいが、全有機金属気相成長法を採用することにより、高品質な結晶からなる半導体積層体10を得ることができる。また、有機金属気相成長以外の方法により実施することも可能であって、たとえばMBE法を用いてもよい。
次に、図3を参照して、工程(S30)としてトレンチ形成工程が実施される。この工程(S30)では、図1および図6を参照して、上記工程(S10)〜(S20)において作製された半導体積層体10に、コンタクト層50および量子井戸構造40を貫通し、バッファ層30に到達するトレンチ99が形成される。トレンチ99は、たとえばコンタクト層50の主面50A上にトレンチ99の形状に対応する開口を有するマスク層を形成した上で、エッチングを実施することにより形成することができる。
次に、工程(S40)としてパッシベーション膜形成工程が実施される。この工程(S40)では、図6および図7を参照して、工程(S30)においてトレンチ99が形成された半導体積層体10に対し、パッシベーション膜80が形成される。具体的には、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)により酸化珪素、窒化珪素などの絶縁体からなるパッシベーション膜80が形成される。パッシベーション膜80は、トレンチ99の底壁99B、トレンチ99の側壁99Aおよびコンタクト層50において量子井戸構造40に面する側とは反対側の主面50Aを覆うように形成される。
次に、工程(S50)として電極形成工程が実施される。この工程(S50)では、図7および図2を参照して、工程(S40)においてパッシベーション膜80が形成された半導体積層体10に、p側電極91およびn側電極92が形成される。具体的には、たとえばp側電極91およびn側電極92を形成すべき領域に対応する位置に開口を有するマスクをパッシベーション膜80上に形成し、当該マスクを用いてパッシベーション膜80に開口部81,82を形成する。その後、たとえば蒸着法により適切な導電体からなるp側電極91およびn側電極92を形成する。以上の工程により、本実施の形態における赤外線受光素子1が完成する。その後、たとえばダイシングにより各素子に分離される。
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる半導体積層体および受光素子の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図8は、実施の形態2における半導体積層体10の構造を示す概略断面図である。また、図9は、実施の形態2における赤外線受光素子1の構造を示す概略断面図である。図8および図9、ならびに図1および図2を参照して、本実施の形態の半導体積層体10および赤外線受光素子1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、本実施の形態の半導体積層体10および赤外線受光素子1は、バッファ層30の構造において実施の形態1の場合とは異なっている。
図8および図9を参照して、半導体積層体10および赤外線受光素子1において、バッファ層30の量子井戸構造40側の主面である第1主面30Aを含む領域には、p型不純物の濃度が5×1017cm−3以下である低p型濃度領域31が形成されており、低p型濃度領域31の厚みは50nm以上である。このように厚み50nm以上の上記低p型濃度領域31を形成することにより、量子井戸構造40内のp型不純物の濃度を5×1015cm−3以下にすることが容易となる。また、図9を参照して、トレンチ99は低p型濃度領域31を貫通している。別の観点から説明すると、低p型濃度領域31は、隣り合うトレンチ99に挟まれる領域に位置している。すなわち、トレンチ99の底壁99Bには低p型濃度領域31は露出しない。このようにすることにより、p側電極91とバッファ層30とのオーミックコンタクトの確保が容易となる。なお、低p型濃度領域31は、バッファ層30の形成の末期においてp型不純物を導入するための原料ガスの流量を低下させることにより形成することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる受光素子の他の実施の形態である実施の形態3における受光素子およびセンサについて説明する。図10および図2を参照して、実施の形態3の赤外線受光素子1は、図2に示す構造を単位構造とし、当該単位構造が、基板20の一方の主面20Aが延在する方向に複数繰り返される構造を有している。そして、赤外線受光素子1は、画素に対応する複数のn側電極92を有する。一方、p側電極91は1つだけ配置される。
より具体的には、図10を参照して、実施の形態3の赤外線受光素子1のp側電極91は、基板20が延在する方向における末端に位置するトレンチ99の底壁に形成されている。また、当該末端に位置するトレンチ99に隣接するコンタクト層50上のn側電極92は省略される。本実施の形態における赤外線センサ100は、このような構造を有する赤外線受光素子1と、赤外線受光素子1に電気的に接続された読み出し回路(Read−Out Integrated Circuit;ROIC)70とを含んでいる。読み出し回路70は、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路である。
読み出し回路70の本体71に設けられた複数の読み出し電極(図示しない)と赤外線受光素子1において画素電極として機能する複数のn側電極92とが、一対一の関係となるようにバンプ73を介して電気的に接続されている。また、赤外線受光素子1には、p側電極91に接触し、p側電極91が位置するトレンチ99の底壁および側壁に沿って延在するとともに、コンタクト層50上にまで到達する配線75が形成される。そして、配線75と読み出し回路70の本体71に設けられた接地電極(図示しない)とがバンプ72を介して電気的に接続されている。このような構造を有することにより、赤外線受光素子1の画素ごとの受光情報が各n側電極92(画素電極)から読み出し回路70の読み出し電極へと出力され、当該受光情報が読み出し回路70において集約されて、たとえば二次元の画像を得ることができる。
量子井戸受光層(量子井戸構造)内におけるp型不純物の濃度と感度および暗電流密度との関係を確認する実験を行った。具体的には、上記実施の形態1と同様の構造の赤外線受光素子1を準備した。バッファ層30に含まれるp型不純物として、Cを採用した。このとき、赤外線受光素子1の量子井戸構造40内におけるp型不純物であるCの濃度を変化させ、各C濃度における感度および暗電流密度を確認した。p型不純物の濃度はSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry;二次イオン質量分析法)やGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry;グロー放電質量分析)により求めることができる。暗電流の測定は、電圧1V、測定温度−50℃の条件の下で実施し、これに基づいて暗電流密度を算出した。実験結果を図11および図12に示す。
図11および図12において、横軸は量子井戸構造40内におけるp型不純物であるCの濃度である。また、図11において縦軸は感度である。また、図12において縦軸は暗電流密度である。図11および図12を参照して、量子井戸構造40内におけるCの濃度を5×1015cm−3以下とすることにより、感度が急激に上昇するとともに、暗電流密度が急激に低減されている。具体的には、Cの濃度を5×1015cm−3以下とすることにより、感度は1A/W以上になるとともに、暗電流密度は3μA/cm以下にまで低減されている。このことから、本願の半導体積層体および受光素子によれば、nip構造を採用する受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することができることが確認される。
量子井戸受光層(量子井戸構造)へのp型不純物の混入状態に及ぼすp型層(バッファ層)に含まれるp型不純物の種類の影響を検討する実験を行った。具体的には、実施の形態1と同様の構造においてバッファ層30に含まれるp型不純物がCである赤外線受光素子1のサンプルを準備した。そして、当該サンプルにおけるバッファ層30と量子井戸構造40との界面付近におけるCの濃度を調査するとともに、サンプルの感度および暗電流密度を確認する実験を行った。感度の測定は、電圧1V、室温の条件の下、基板20側から2.2μmの光を入射させて実施した。実験結果を図13および表1に示す。
Figure 0006488854
図13において、横軸はバッファ層30および量子井戸構造40の積層方向における深さを示している。また、図13において、縦軸はCの濃度を示している。図13において破線はバッファ層30と量子井戸構造40との界面を示しており、破線よりも浅い側が量子井戸構造40、深い側がバッファ層30に対応する。
図13を参照して、バッファ層30に含まれるp型不純物がCである場合、界面においてその濃度は比較的急峻に変化しており、量子井戸構造40へのCの混入は僅かである。p型不純物がCの場合、感度は0.8A/Wという許容可能な値となるとともに、暗電流密度は2μA/cmにまで抑制されている。なお、本発明者は、バッファ層30に含まれるp型不純物がBeの場合、Znの場合およびMgの場合、p型不純物がCである場合と同様の傾向を示すことを確認している。以上の結果より、p型層に含まれるp型不純物としてC、Zn、BeおよびMgを採用することにより、量子井戸受光層(量子井戸構造40)内のp型不純物の濃度を低減し、感度の向上および暗電流の低減が容易となることが確認される。
低p型濃度領域31形成の効果について確認する実験を行った。具体的には、実施の形態2と同様の構造においてバッファ層30に含まれるp型不純物がCである赤外線受光素子1を準備した。このとき、低p型濃度領域31におけるCの濃度および低p型濃度領域31の厚みを変化させ、各条件における感度および暗電流密度を確認した(表2)。また、低p型濃度領域31のCの濃度を5×1017cm−3以下とし、かつ低p型濃度領域31の厚みを150nmとしたサンプルについて、バッファ層30と量子井戸構造40との界面付近におけるCの濃度分布を調査した(図14)。
Figure 0006488854
図14において横軸はバッファ層30および量子井戸構造40の積層方向における深さを示している。また、図14において、縦軸はCの濃度を示している。図14において破線はバッファ層30と量子井戸構造40との界面を示しており、破線よりも浅い側が量子井戸構造40、深い側がバッファ層30に対応する。図14を参照して、Cの濃度が5×1017cm−3以下である低p型濃度領域31を十分な厚み(50nm以上)で形成することにより、量子井戸構造40へのCの混入をさらに僅かなものとすることができることが分かる。また、表1および表2を参照して、低p型濃度領域31のCの濃度が5×1017cm−3を超える5×1018cm−3の場合、その厚みが200nmであっても感度の向上および暗電流の低減に対する効果は得られていない(感度0.8A/W、暗電流密度2μA/cm)。また、低p型濃度領域31のCの濃度が5×1017cm−3であっても、その厚みが50nm未満である25nmの場合、感度の向上および暗電流の低減に対する効果は十分であるとはいえない(感度0.8A/W、暗電流密度1μA/cm)。これに対し、低p型濃度領域31のCの濃度が5×1017cm−3であり、かつその厚みが50nmである場合、十分な感度と、低い暗電流が達成されている(感度1.2A/W、暗電流密度0.8μA/cm)。このことから、濃度5×1017cm−3以下かつ厚み50nm以上の低p型濃度領域31を形成することにより、受光素子の感度を向上させるとともに、暗電流を低減することが可能であることが確認される。
バッファ層30の形成後であって量子井戸構造40の形成前に結晶成長装置内をコーティングすることによる効果を確認する実験を行った。具体的には、実施の形態1の場合と同様の手順において、バッファ層30の形成後であって量子井戸構造40の形成前に、バッファ層30が形成された基板20を一旦上記装置内から取り出し、装置内に、GaAsの原料ガスを流して装置内をGaAsによりコーティングした。その後、バッファ層30が形成された基板20を装置内に再度装填し、実施の形態1と同様の手順で赤外線受光素子を作製し、量子井戸受光層(量子井戸構造40)内のp型不純物(C)の濃度を確認するとともに、感度および暗電流を確認した。また、比較のため、上記コーティングを省略して赤外線受光素子を作製し、同様に量子井戸受光層(量子井戸構造40)内のp型不純物(C)の濃度を確認するとともに、感度および暗電流を確認した。実験結果を表3に示す。
Figure 0006488854
表3を参照して、コーティングを実施しなかったものは量子井戸受光層(量子井戸構造40)内のp型不純物(C)の濃度が2×1015cm−3にまで上昇していたのに対し、コーティングを実施したものは量子井戸受光層(量子井戸構造40)内のp型不純物(C)の濃度が8×1014cm−3に抑制されている。このことから、装置内のコーティングが、量子井戸受光層へのp型不純物の混入を抑制する方策として有効であることが確認される。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の半導体積層体および受光素子は、nip構造を採用する受光素子に対応する半導体積層体およびnip構造を有する受光素子に、特に有利に適用され得る。
1 赤外線受光素子
10 半導体積層体
20 基板
20A 主面
30 バッファ層
30A 第1主面
31 低p型濃度領域
40 量子井戸構造
40A 主面
41 第1要素層
42 第2要素層
50 コンタクト層
50A 主面
70 読み出し回路
71 本体
72,73 バンプ
75 配線
80 パッシベーション膜
81 開口部
82 開口部
91 p側電極
92 n側電極
99 トレンチ
99A 側壁
99B 底壁
100 赤外線センサ

Claims (8)

  1. 半導体積層体と、
    前記半導体積層体上に形成された電極と、を備え、
    前記半導体積層体は、
    III−V族化合物半導体からなる基板と、
    III−V族化合物半導体からなり、導電型がp型であるp型層と、
    III−V族化合物半導体からなる量子井戸受光層と、
    III−V族化合物半導体からなり、導電型がn型であるn型層と、を含み
    前記基板、前記p型層、前記量子井戸受光層および前記n型層は、この順に積層され、
    前記量子井戸受光層内におけるp型不純物の濃度は5×1015cm−3以下であり、
    前記p型層の前記量子井戸受光層側の主面である第1主面を含む領域には、p型不純物の濃度が5×10 17 cm −3 以下である低p型濃度領域が形成されており、
    前記低p型濃度領域の厚みは50nm以上であり、
    前記半導体積層体には、前記n型層、前記量子井戸受光層および前記低p型濃度領域を貫通し、底壁が前記p型層内に位置するトレンチが形成されており、
    前記電極は、前記トレンチの底壁において露出する前記p型層に接触して配置される、受光素子
  2. 前記p型層に含まれるp型不純物は、C、Be、ZnおよびMgからなる群から選択される1種以上の元素である、請求項1に記載の受光素子
  3. 前記量子井戸受光層はSbを含む、請求項1または請求項2に記載の受光素子
  4. 前記量子井戸受光層は、InGa1−xAs(xは0.38以上1以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上1以下)層とのペア、またはGa1−uInAs1−v(uは0.4以上0.8以下、vは0を超え0.2以下)層とGaAs1−ySb(yは0.36以上0.62以下)層とのペアを含む多重量子井戸構造である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の受光素子
  5. 前記量子井戸受光層は、InAs層とGaSb層とのペアを含む多重量子井戸構造である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の受光素子
  6. 前記基板は、GaAs、GaP、GaSb、InP、InAs、InSb、AlSb、またはAlAsからなる、請求項または請求項5に記載の受光素子
  7. 前記p型層と前記量子井戸受光層との界面、および前記量子井戸受光層と前記n型層との界面における、酸素の濃度、炭素の濃度および水素の濃度は、いずれも1×1017cm−3以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の受光素子
  8. 前記p型層、前記量子井戸受光層および前記n型層は有機金属気相成長法により形成されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の受光素子
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