JP6488620B2 - 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法 - Google Patents

複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6488620B2
JP6488620B2 JP2014202004A JP2014202004A JP6488620B2 JP 6488620 B2 JP6488620 B2 JP 6488620B2 JP 2014202004 A JP2014202004 A JP 2014202004A JP 2014202004 A JP2014202004 A JP 2014202004A JP 6488620 B2 JP6488620 B2 JP 6488620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
coating layer
multilayer
silicate
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014202004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016069568A (ja
Inventor
桃子 中村
桃子 中村
小林 恵太
恵太 小林
智紀 阪口
智紀 阪口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakai Chemical Industry Co Ltd filed Critical Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2014202004A priority Critical patent/JP6488620B2/ja
Publication of JP2016069568A publication Critical patent/JP2016069568A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6488620B2 publication Critical patent/JP6488620B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B20/00Energy efficient lighting technologies, e.g. halogen lamps or gas discharge lamps

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Description

本発明は、複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法に関する。
近年、白色光を発する半導体素子(白色LED)は、低消費電力、高効率、環境にやさしい、長寿命等の長所を兼ね備えているため、次世代光源として注目を浴びている。白色LEDにおいて、白色光を作り出す方法としては、青色光や紫外光を発するLEDとそれらの発光によって励起される蛍光体とを組み合わせる方法が一般的に用いられる。
アルカリ土類金属元素を有するシリケート蛍光体は、組成調整により広範囲な波長を得られることと、発光効率が高いこと等の特徴を有するため注目されている。なかでも、(Sr,Ba)SiO:Eu2+の構造を有するシリケート蛍光体では、SrとBaとの相対比を調整することで発光波長を調整することが可能である。
しかしながら、このようなアルカリ土類金属元素を有するシリケート蛍光体は、空気中の水蒸気や水分によって表面から分解劣化しやすいという問題があった。そのため、発光強度の低下や色度の変化が起こりやすく、蛍光体としての特性が低下するという問題があった。
特許文献1には、蛍光体の防湿力を高めるために蛍光体粒子の表面にシリコーン樹脂等からなる表層材を設けることが記載されている。
また、特許文献2には、脂肪酸系疎水性化合物(金属石鹸)層を有する防湿コーティング層を設けた蛍光体が開示されている。
特開2005−187797号公報 特開2002−322473号公報
白色LED用に用いられる蛍光体は、封止樹脂内に分散されるため、液体の水に直接接することは考えられないものの、樹脂を通じて水蒸気がある程度存在する環境下に置かれる。そして、LED素子の発光に伴い発生する熱により周囲温度が100℃以上にまで高まることがあるため、いわば水熱反応が促進されるような過酷な状況下に置かれているともいえる。そのため、蛍光体に求められる耐湿性の要求は厳しいものとなる。
特許文献1及び2には耐湿性を高めることを意識した蛍光体が開示されているのであるが、発明者らがその性能を検討したところ、上述した厳しい環境下で使用するには耐湿性が充分であるとはいえなかった。
そこで、本発明は、耐湿性が著しく改善された蛍光体及び蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、蛍光体の表面に、撥水性有機化合物からなる第一の被覆層を設け、続けてケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物からなる第二の被覆層を設けて、複層に被覆された複層被覆蛍光体とすることによって、蛍光体の耐湿性が著しく改善されることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の複層被覆蛍光体は、蛍光体の表面に、撥水性有機化合物からなる第一の被覆層、及び、上記第一の被覆層上に形成されたケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物からなる第二の被覆層を形成してなることを特徴とする。
本発明の複層被覆蛍光体には、第一の被覆層と第二の被覆層が形成されている。被覆層を複層構造とし、さらに、蛍光体の表面の第一の被覆層を撥水性有機化合物、その上の第二の被覆層をケイ酸化合物を含む層とした場合に、著しく耐湿性が改善される。
第一の被覆層と第二の被覆層の順序を逆にした場合は、耐湿性がそれほど高くならない。
また、第一の被覆層又は第二の被覆層のいずれか一方のみを設けた場合も、耐湿性はそれほど高くならない。
すなわち、本発明の複層被覆蛍光体は、第一の被覆層と第二の被覆層として特定の組み合わせを有する複層構造の被覆層が設けられているために、耐湿性の高い被覆蛍光体となり、白色LED用途といった過酷な環境下での使用に適した蛍光体となる。
本発明の複層被覆蛍光体において、上記蛍光体は、アルカリ土類金属元素を含有するシリケート蛍光体からなることが望ましい。
また、上記シリケート蛍光体は、下記一般式(1)で示される組成を有しており、波長450nmの光で励起した時の極大発光波長が507〜605nmであることが望ましい。
(Sr1−xSiO:Eu2+ (1)
[一般式(1)中、MはBa、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.0である。]
このようなシリケート蛍光体は、その極大発光波長が白色LED用途に適しており、また、第一の被覆層と第二の被覆層を設けることによって耐湿性が著しく向上するため好ましい。
本発明の複層被覆蛍光体において、上記撥水性有機化合物は、シリコーンオイル、アルキルシラン、アミノ酸、及び、アミノ酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることが望ましい。
本発明の複層被覆蛍光体では、複層被覆蛍光体の最外層として、撥水性有機化合物又は無機化合物からなる最外被覆層をさらに形成してなることが望ましい。
この場合、被覆層が少なくとも三層構造となる。
最外層は、耐湿性向上、耐光性向上、分散性向上等の必要とされる機能を発現させるために適宜好ましい被覆層を選択することができる。
とくに、最外被覆層として撥水性有機化合物からなる層を形成すると、耐湿性が極めて高い蛍光体とすることができる。
本発明の複層被覆蛍光体の製造方法は、蛍光体の表面を撥水性有機化合物で表面処理する工程と、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物を含むケイ酸化合物含有溶液を準備する工程と、上記撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を、上記ケイ酸化合物含有溶液中に分散させて表面処理する工程とを含むことを特徴とする。
このような工程によると、第一の被覆層と第二の被覆層が形成された、耐湿性の高い被覆蛍光体を製造することができる。
本発明の複層被覆蛍光体は、第一の被覆層と第二の被覆層として特定の組み合わせを有する複層構造の被覆層が設けられているために、耐湿性の高い被覆蛍光体となり、白色LED用途といった過酷な環境下での使用に適した蛍光体となる。
また、本発明の複層被覆蛍光体の製造方法では、第一の被覆層と第二の被覆層が形成された、耐湿性の高い被覆蛍光体を製造することができる。
図1は、実施例1で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。 図2は、実施例2で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。 図3は、比較例1で製造した被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。 図4は、比較例2で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。 図5は、実施例1で製造した複層被覆蛍光体の元素分析結果である。
以下、本発明の複層被覆蛍光体について説明する。
本発明の複層被覆蛍光体は、撥水性有機化合物からなる第一の被覆層、及び、上記第一の被覆層上に形成されたケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物からなる第二の被覆層を形成してなることを特徴とする。
本発明の複層被覆蛍光体において中心となる蛍光体は、アルカリ土類金属元素を含有するシリケート蛍光体からなることが望ましい。
具体的には、アルカリ土類金属としてMg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含み、アルカリ土類金属元素とSiのモル比が3:1である蛍光体、アルカリ土類金属元素とSiのモル比が2:1である蛍光体が挙げられる。
賦活剤としてはユーロピウムが用いられることが望ましい。
上記シリケート蛍光体を一般式で示すと、アルカリ土類金属元素とSiのモル比が3:1である蛍光体は、下記一般式(2)のようになる。
SiO:Eu2+ (2)
[一般式(2)中、Aはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素)である。]
また、アルカリ土類金属元素とSiのモル比が2:1である蛍光体は、下記一般式(3)のようになる。
SiO:Eu2+ (3)
[一般式(3)中、Aはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素)である。]
また、本発明の複層被覆蛍光体において中心となる蛍光体としては、シリケート蛍光体の他に、ガーネット系蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、バナジン酸塩蛍光体、タングステン酸塩蛍光体、バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、ホウ酸塩系蛍光体等の酸化物蛍光体、アルカリ土類チオガレート系蛍光体や酸硫化物イットリウム蛍光体等の硫化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体等、ハロリン酸塩蛍光体等であってもよい。
これらのなかでも、下記一般式(1)で示される組成を有しており、波長450nmの光で励起した時の極大発光波長が507〜605nmである蛍光体であることが望ましい。
(Sr1−xSiO:Eu2+ (1)
[一般式(1)中、MはBa、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.0である。]
ユーロピウムは、蛍光体中のアルカリ土類金属原子の一部を置換して添加され、蛍光体中のユーロピウムの量は蛍光体中のアルカリ土類金属原子1molに対し0.001〜0.05molの範囲であることが望ましい。より望ましくは0.005〜0.03molである。
ユーロピウムの量が少なすぎると充分な発光強度を達成することができず、また多すぎても発光強度は飽和する一方で、濃度消光による発光強度の低下等が生じる。
蛍光体には、ユーロピウム以外の共賦活剤をさらに含んでもよい。共賦活剤としては、特に限定されないが、ユーロピウム以外の希土類元素の化合物又はイオンが挙げられる。上記ユーロピウム以外の希土類元素の例としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素が挙げられる。また、上記希土類元素の化合物としては、上記元素の炭酸塩、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
蛍光体は、その粒子径(D50)が1〜100μmであることが望ましい。蛍光体のD50は、個数基準粒度分布曲線から得ることができる。個数基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により粒度分布を測定し得られるもので、具体的には、例えば以下のように測定することができる。
(1)レーザー回折型粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社 マイクロトラック MT3000)により粒度分布を測定し、粒度分布曲線を得る。まず、測定対象の粉末を、透過率が0.7〜0.99になるように投入し、流速60%にて、超音波分散、及び、循環させながら測定を行う。測定時の装置循環水は、最外層が撥水性化合物の場合はエタノールで、それ以外の場合は水として、測定を行う。
(2)この個数基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を平均粒子径D50と表記する。
この方法により得られるD50は、1次粒子径又は2次粒子径を示す値であり、数値のみから1次粒子径であるか2次粒子径であるかを区別することは難しい。しかしながら、顕微鏡観察写真(図1等参照)の結果を踏まえると、本発明の複層被覆蛍光体において中心となる蛍光体について得られるD50は、1次粒子径のD50であると考えられる。
なお、より1次粒子径が小さい粒子(数nm〜数十nmオーダー)について粒度分布を測定すると、2次粒子径のD50としてμmオーダーの測定値が得られることがある。
本発明の複層被覆蛍光体は、蛍光体の表面に被覆層が形成されてなる。被覆層は、蛍光体の表面に形成された第一の被覆層、及び、第一の被覆層上に形成された第二の被覆層を含む層である。
第一の被覆層は、撥水性有機化合物からなる。
撥水性有機化合物の具体例としては、シリコーンオイル、アルキルシラン、ポリオレフィン、ポリエステル、アミノ酸、アミノ酸塩などが挙げられる。なかでも、化学的な安定性からシリコーンオイルが好ましい。このシリコーンオイルの具体例としては、ジメチルポリシロキサン(例えば、信越化学工業製KF−96A−100cs、旭化成ワッカーシリコーン製DM10)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(例えば、信越化学工業製KF−99P、東レ・ダウコーニング製SH1107C)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー(例えば、信越化学工業製KF−9901)、メチルフェニルシリコーン(例えば、信越化学工業製KF−50−100cs)、アミノ変性シリコーン(例えば、信越化学工業製KF−8015、東レ・ダウコーニング製JP−8500 Conditioning Agent、旭化成ワッカーシリコーン製ADM6060)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(例えば、信越化学工業製KF−9908)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(例えば、信越化学工業製KF−9909)などが挙げられる。この中でも、特に構造が単純なために安価で安定性も高く、強い撥水性を持つという観点から、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンや、この両者のモノマーのコポリマーである(ジメチコン/メチコン)コポリマーが特に好ましい。また、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を使用することもできる。
これらの撥水性有機化合物は、1種類のみを用いてもよく、複数種類が併用されていても良い。
なお、本明細書において、撥水性有機化合物とは、金属石鹸(ステアリン酸カルシウム等)は含まない概念である。
第二の被覆層は、第一の被覆層上に形成された層であり、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物からなる。
ケイ酸化合物としては、ケイ素酸化物、ケイ酸のアルカリ金属塩(メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム等)、ケイ酸のアルカリ土類金属塩(ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等)、その他のケイ酸塩(ケイ酸亜鉛等)などが挙げられる。ケイ酸化合物の水和物は、上記ケイ酸化合物の水和物である。具体例としては、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸ナトリウム五水和物等が挙げられる。
また、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)も第二の被覆層を形成するためのケイ酸化合物として使用することができる。
本発明の複層被覆蛍光体には、複層被覆蛍光体の最外層として撥水性有機化合物又は無機化合物からなる最外被覆層がさらに設けられていてもよい。最外層は、被覆層のうちの最も外側の層であればよく、第二の被覆層上に形成された三番目の被覆層(第三の被覆層)であってもよいし、四層目の被覆層、五層目の被覆層といったさらに多層の被覆層のうちの最も外側の層であってもよい。
最外被覆層は、上述した撥水性有機化合物であってもよい。また、特に制限されないが、例えば、ケイ素、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、フッ素等の酸化物あるいは水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の無機化合物であってもよい。
この場合、被覆層が少なくとも三層構造となる。
最外層は、耐湿性向上、耐光性向上、分散性向上等の必要とされる機能を発現させるために適宜好ましい被覆層を選択することができる。
最外被覆層として撥水性有機化合物からなる層を形成すると、耐湿性が極めて高い蛍光体とすることができる。
また、耐湿性向上、耐光性向上、分散性向上等の必要とされる機能を発現させるために、上述した無機化合物の中から好ましい材料を選択して、好ましい被覆層を形成することができる。
被覆層の厚さは全体として0.05〜1.0μmであることが望ましい。
被覆層の厚さは電子顕微鏡写真から判断することができる。
なお、第一の被覆層と第二の被覆層の境界がはっきりしない場合、第一の被覆層と第二の被覆層のそれぞれの厚さを決めることが困難であって、被覆層の全体の厚さしか決めることができない場合もある。
また、複層被覆蛍光体は、その粒子径(D50)が1〜100μmであることが望ましい。
複層被覆蛍光体のD50は、上述した蛍光体のD50と同様に、レーザー回折型粒度分布測定装置により得られた個数基準粒度分布曲線から得ることができる。
また、蛍光体のD50の欄で説明したとおり、複層被覆蛍光体についても、得られるD50の値は1次粒子径のD50であると考えられる。
本発明の複層被覆蛍光体は、耐湿性の高い被覆蛍光体であり、耐湿試験後の相対強度維持率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
相対強度維持率は以下の方法により測定することができる。
シャーレに複層被覆蛍光体を1g入れ、温度110℃、湿度85%の恒温恒湿槽にて7h保管し、保管後の発光強度を測定する。
別途、被覆層を有していない、耐湿性試験を行う前の蛍光体をシャーレに1g入れて発光強度を測定する。
そして、被覆層を有していない、耐湿性試験を行う前の蛍光体の極大発光波長における発光強度を100(%)として、保管後の極大発光波長における発光強度を相対強度(%)で表すことにより、相対強度維持率(%)が測定される。
発光強度の測定は、分光蛍光光度計(例えば日本分光社製FP−6500)を用いて行うことができる。
蛍光積分球にはISF−513型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を400として、波長450nmの光で励起した時の極大発光波長及び発光強度を測定する。
続いて、本発明の複層被覆蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の複層被覆蛍光体の製造方法は、蛍光体の表面を撥水性有機化合物で表面処理する工程と、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物を含むケイ酸化合物含有溶液を準備する工程と、上記撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を、上記ケイ酸化合物含有溶液中に分散させて表面処理する工程とを含むことを特徴とする。
はじめに、蛍光体の表面を撥水性有機化合物で表面処理する工程を行う。
蛍光体及び撥水性有機化合物としては上述したものが使用できる。
蛍光体は市販のものを用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。合成方法は固相法、液相法、ゾル−ゲル法等があり、特に限定はされないが、例えば、蛍光体を構成する元素の前駆体化合物を混合し、焼成する方法が挙げられる。必要に応じて繰り返し焼成したり、粉砕、洗浄、分級等の工程を適宜適用して合成することができる。
表面処理は、例えば、撥水性有機化合物を溶媒と混合し、撹拌して撥水処理溶液を調製し、調製した撥水処理溶液と蛍光体粉末を混合して、乾燥により撥水処理溶液に含まれる溶媒を除去することによって行うことができる。
必要に応じて、乾燥後に焼成処理を行ってもよい。
撥水性有機化合物を混合する溶媒としては、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用いてもよい。これらの中ではメチルイソブチルケトンが望ましい。
混合の方法としては、特に限定されるものではないが、湿式混合、乾式混合、遊星ボールミルを用いた混合方法等が挙げられる。
乾燥方法としては、特に限定されるものではないが、加熱乾燥、真空乾燥等の乾燥方法が挙げられる。
加熱乾燥条件としては、例えば、100〜130℃で30分〜24時間とすることが望ましい。
また、焼成処理を行う場合の焼成条件は、例えば200〜400℃で0.5〜2時間とすることが望ましい。
上記工程により蛍光体の表面に撥水性有機化合物からなる第一の被覆層が形成される。
上記工程で用いる撥水性有機化合物の量は、蛍光体に対して2〜10重量%が好ましい。2重量%よりも低いと撥水性が不充分となり、耐湿性が高くならない場合がある。また、10重量%を超えると、コストが上昇するだけでなく効果も頭打ちとなるおそれがある。より好ましくは、4〜8重量%である。
次に、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物を含むケイ酸化合物含有溶液を準備する工程を行う。
ケイ酸化合物含有溶液の溶媒としては、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物が溶解する性質の溶媒を使用することができ、水又は有機溶媒を使用することができる。
水としては純水又はイオン交換水が望ましい。
ケイ酸化合物含有溶液は、ケイ酸化合物及び/又はケイ酸化合物の水和物を上記溶媒と混合して、溶解するまで撹拌することにより調製することができる。
また、分散剤を併用して使用してもよい。
分散剤を使用することによって、後に投入する撥水性処理を施した蛍光体を溶媒中に安定に分散させることができる。
この分散剤の種類としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸またはその塩、アルキルスルホン酸またはその塩、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、ナフタレンスルホン酸またはその塩、ポリエーテルアルキルスルホン酸またはその塩、アルキルベタイン、ポリエーテルまたはその誘導体、ポリエーテルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエーテルソルビタン脂肪酸エステル、ポリエーテル脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル硬化ヒマシ油、ポリエーテルアルキルアミン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アルコールなどが挙げられる。アニオン系、カチオン系、ノニオン系のどれを用いても構わないが、蛍光体との化学反応を予防するためにノニオン系のものが好ましい。また、2種以上の分散剤を併用してもよい。
なお、後の工程で加熱をする必要がある場合は、ポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。
なお、上記の分散剤は本発明の複層被覆蛍光体の性能に悪影響を及ぼさない限り、複層被覆蛍光体に残存していても構わない。
次に、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を、ケイ酸化合物含有溶液中に分散させて表面処理する工程を行う。
この工程では、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を、ケイ酸化合物含有溶液中に加えて混合分散させる。
第二の被覆層が形成されるのであれば、表面処理の手法は何ら限定されるものではないが、ケイ酸化合物含有溶液中において撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体上に第二の被覆層を形成させる方法が望ましい。
ケイ酸化合物含有溶液中のケイ酸化合物がアルカリ成分を含むケイ酸化合物の場合は、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を混合する前後でpHを調整することが望ましい。この場合、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などの酸を加えpHを調整する。
蛍光体の種類により好ましいpHの範囲は異なり、蛍光体の種類に応じて適宜調整することができるが、蛍光体がシリケート蛍光体である場合、蛍光体を加える前のケイ酸化合物含有溶液のpHは9以上とすることが望ましく、蛍光体の混合後、溶液のpHを7以下とすることが望ましい。蛍光体の混合後、ケイ酸化合物含有溶液のpHを7以下とする中和処理を行うと、ケイ酸化合物の加水分解が生じ、SiOが蛍光体の表面(第一の被覆層上)で析出しやすくなり、ケイ酸化合物及び/ケイ酸化合物の水和物からなる第二の被覆層が形成される。
ケイ酸化合物含有溶液中のケイ酸化合物が、アルカリ成分を含まないケイ酸化合物(例えば、テトラアルコキシシラン等)である場合は、加水分解を促進させるために微量の酸、アルカリを加えpHを調整することが望ましい。また、pH調整が必要でない場合もある。
また、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体と、ケイ酸化合物含有溶液の混合割合は、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体に対し、ケイ酸化合物含有溶液に含まれるケイ素の重量が2〜15重量%程度になるようにすることが望ましい。より好ましくは、4〜12重量%である。
このようにして得られた複層被覆蛍光体は、必要に応じて、熟成、濾過、水洗、乾燥等の後処理を行ってもよい。また、必要に応じて篩による分級を行うものであっても良い。篩による分級方法としては、湿式分級、乾式分級を挙げることができる。
熟成の条件は、10〜80℃で0.5〜2時間程度とすることが望ましく、乾燥の条件は80〜150℃で0.5〜24時間程度とすることが望ましい。
また、さらにボックス炉等を用いて焼成を行ってもよい。その場合の焼成条件は100〜350℃で0.5〜24時間程度とすることが望ましい。
また、複層被覆蛍光体の被覆層を三層以上にする場合は、第二の被覆層の形成後に、さらに上層の被覆層となる原料を含む溶液中に浸漬する処理等を行い三層以上の被覆層からなる被覆層を形成すればよい。
三層目以降の被覆層の形成方法は、例えば、被覆に用いる有機化合物を溶媒と混合し、撹拌して表面処理溶液を調製し、調製した表面処理溶液と第二の被覆層を形成した蛍光体粉末を混合して、乾燥により表面処理溶液に含まれる溶媒を除去し、さらに必要に応じて焼成処理することによって行う方法や、被覆に用いる無機化合物の水溶性塩の水溶液を調製し、調製した水溶液と第二の被覆層を形成した蛍光体粉末を混合して、pH調整して水溶液中の無機化合物の水酸化物を蛍光体表面へ沈着させる方法などを挙げることができる。
また四層目以降も同様にして表面処理することで、複数層の被覆層を形成できる。
上記工程により、少なくとも第一の被覆層と第二の被覆層が形成された、耐湿性の高い、本発明の複層被覆蛍光体を製造することができる。
本発明の複層被覆蛍光体は、LEDの封止樹脂中に配置されて使用することができる。封止樹脂としては例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が使用される。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げる。ただし本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
{[(Sr0.7Ba0.3SiO:Eu2+]で表される組成の蛍光体粉の製造}
炭酸ストロンチウム(堺化学工業製SW−K 純度99%)2094.8g、炭酸バリウム(堺化学工業製BW−K 純度99%)1362.2g、シリカ(堺化学工業製 純度98%)435.7g、酸化ユーロピウム(信越化学製 純度99%)38g、フッ化バリウム(和光純薬工業株式会社 純度100%)24.9gを秤量し、純水を用いて水性スラリーとした後、湿式メディアミルを用いて180rpmで90分間混合した。混合したスラリーをスプレードライヤーにて乾燥させ焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1100℃まで昇温し、そのまま6時間保持後、200℃/時で室温(27℃)まで降温した。次いで、5%H還元雰囲気中で200℃/時で1500℃まで昇温し、そのまま6時間保持後、200℃/時で室温(27℃)まで降温して、[(Sr0.7Ba0.3SiO:Eu2+]で表される組成の蛍光体粉を得た。粉末の粒子径(D50)は約50μmであった。
(実施例1)
ビーカーに、メチルイソブチルケトン(純度99.5%)50gとメチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99:信越化学工業製)0.5gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液と[(Sr0.7Ba0.3SiO:Eu2+]で表される組成の蛍光体粉(粉末の粒子径(D50)約50μm)10gをナスフラスコに入れ、エバポレーターにて蒸発乾燥させた。次いで、乾燥させた蛍光体粉をナスフラスコから回収し、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で300℃まで昇温した。300℃で1.5時間保持してから室温(27℃)まで放冷して、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体粉を得た。
純水300mlにメタケイ酸ナトリウム9水和物(NaSiO・9HO:和光試薬製)4.654g(蛍光体粉に対してSiとして4.4wt%)を加え、溶解するまで攪拌してケイ酸化合物含有溶液を調製した。
ケイ酸化合物含有溶液に1.5%に調整した硫酸(純度95%)を滴下させ、溶液がpH9のとき、撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体粉10gを加えて混合分散させ、pH7まで中和した。中和終了後、1時間熟成させ、その後、ろ過、水洗した。ろ過は、伝導度が10mS/mになるまで洗浄を行なった。中和および熟成は室温(27℃)で行った。
最後に130℃の乾燥機中で1晩乾燥し、複層被覆蛍光体Aを得た。
(実施例2)
実施例1で得た複層被覆蛍光体Aを、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で300℃まで昇温した。300℃で1時間保持してから室温(27℃)まで放冷して、複層被覆蛍光体Bを得た。
(実施例3)
ビーカーに、メチルイソブチルケトン(純度99.5%)50gとメチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99:信越化学工業製)0.5gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液と実施例1で得られた複層被覆蛍光体A10gをナスフラスコに入れ、エバポレーターにて蒸発乾燥させた。次いで、乾燥させた蛍光体粉をナスフラスコから回収し、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で300℃まで昇温した。300℃で1.5時間保持してから室温(27℃)まで放冷して、三番目の被覆層として撥水性有機化合物層を設けた複層被覆蛍光体Cを得た。
(比較例1)
エタノール(純度99.5%)11.12gにテトラエトキシシラン(純度95%)10.95gをビーカーに入れ、コート液とした。アンモニア水(純度25%)47.98gをコート液とは別のビーカーに入れ、中和液とした。三口フラスコにエタノール44.476gと実施例1で用いた組成の蛍光体粉30gを入れ、攪拌しながら50℃に加熱後、上記調製したコート液と中和液を同時中和にて80分かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させ、その後、ろ過した。ろ過して得られた蛍光体を、130℃の乾燥機で1晩乾燥した。乾燥した蛍光体を、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で350℃まで昇温した。350℃で30分保持してから室温(27℃)まで放冷して、被覆蛍光体aを得た。
被覆蛍光体aは、蛍光体の表面に第二の被覆層のみが形成された被覆蛍光体に相当する。
(比較例2)
ビーカーに、メチルイソブチルケトン(純度99.5%)50gとメチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99:信越化学工業製)0.5gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液と比較例1で得た被覆蛍光体a10gをナスフラスコに入れ、エバポレーターにて蒸発乾燥させた。次いで、乾燥させた蛍光体粉をナスフラスコから回収し、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で300℃まで昇温した。300℃で1.5時間保持してから室温(27℃)まで放冷して、複層被覆蛍光体bを得た。
複層被覆蛍光体bは、蛍光体の表面に第二の被覆層が形成され、第二の被覆層上に第一の被覆層が形成された複層被覆蛍光体に相当する。
(比較例3)
ビーカーに、メチルイソブチルケトン(純度99.5%)50gとメチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99:信越化学工業製)0.5gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液と実施例1で用いた組成の蛍光体粉10gをナスフラスコに入れ、エバポレーターにて蒸発乾燥させた。次いで、乾燥させた蛍光体粉をナスフラスコから回収し、磁性るつぼへ入れ、ボックス炉を用いて、昇温速度200℃/時で300℃まで昇温した。300℃で1.5時間保持してから室温(27℃)まで放冷して、被覆蛍光体cを得た。
被覆蛍光体cは、蛍光体の表面に第一の被覆層のみが形成された被覆蛍光体に相当する。
(比較例4)
ビーカーに、イソプロピルアルコール(純度99.5%)15mlとステアリン酸カルシウム(堺化学工業製SC−100 純度98%以上)0.05gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液実施例1で用いた組成の蛍光体粉5gを入れ、15分攪拌させた。その後、磁性皿へ入れ、170℃にて一晩蒸発乾燥させ、被覆蛍光体dを得た。
被覆蛍光体dは、蛍光体の表面にステアリン酸カルシウムからなる被覆層のみが形成された被覆蛍光体に相当する。
(比較例5)
ビーカーに、イソプロピルアルコール(純度99.5%)15mlとステアリン酸カルシウム(堺化学工業製SC−100 純度98%以上)0.25gを入れ、スターラーで5分攪拌させ、撥水処理溶液とした。上記調製した撥水処理溶液実施例1で用いた組成の蛍光体粉5gを入れ、15分攪拌させた。その後、磁性皿へ入れ、170℃にて一晩蒸発乾燥させ、被覆蛍光体eを得た。
被覆蛍光体eは、蛍光体の表面にステアリン酸カルシウムからなる被覆層のみが形成された被覆蛍光体に相当する。
表1には、各実施例及び比較例で製造した被覆蛍光体の被覆層の構成をまとめて示した。
(評価例1)粉体のPL(フォトルミネッセンス)評価
各実施例及び比較例によって得られた被覆蛍光体について、分光蛍光光度計(日本分光社製FP−6500)を用いて発光測定を行った。
蛍光積分球にはISF−513型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を400とした。上記測定において波長450nmの光で励起した時の発光スペクトルを測定し、極大発光波長と発光強度を求めた。表1に極大発光波長を示した。
(評価例2)耐湿性試験
各実施例及び比較例によって得られた被覆蛍光体を用いて次の試験を行った。
シャーレに被覆蛍光体粉を1g入れ、温度110℃、湿度85%の恒温恒湿槽にて7h保管し、保管後の極大発光波長における発光強度を評価例1の方法で測定し、発光強度の変化量から蛍光体の耐湿性を評価した。
ここでは、被覆層を有していない、耐湿性評価前の蛍光体の極大発光波長における発光強度を100(%)としたときの相対強度維持率を評価した。
表1にその結果を示した。
(評価例3)透過型電子顕微鏡観察
透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−2100F)で実施例1〜2及び比較例1〜2によって得られた被覆蛍光体を観察した。
各被覆蛍光体の顕微鏡観察写真を、図1〜4に示す。
図1は、実施例1で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。
図2は、実施例2で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。
図3は、比較例1で製造した被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。
図4は、比較例2で製造した複層被覆蛍光体の顕微鏡観察写真である。
また、実施例1で製造した複層被覆蛍光体の元素組成分析の結果を図5に示す。
(評価例4)被覆層厚さの測定
評価例3で撮影した顕微鏡観察写真において、被覆蛍光体の被覆層の厚さを測定した。
具体的には、視野内の被覆蛍光体粒子10個につき被覆層の厚さを測定して、平均値を被覆層の厚さとした。
複層被覆蛍光体粒子の被覆層の厚さは、被覆層全体の厚さとして測定した。
その結果を表1に示した。
なお、比較例4では被覆層の厚さが薄すぎて厚さが測定できなかった。表1には「−」で示している。
(評価例5)被覆蛍光体の粒子径
各実施例及び比較例によって得られた被覆蛍光体について、レーザー回折型粒度分布測定装置(日機装株式会社 マイクロトラック MT3000)により粒度分布を測定し、粒度分布曲線を得た。そして、この個数基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を平均粒子径D50(μm)として得た。まず、測定対象の粉末を、透過率が0.7〜0.99になるように投入し、流速60%にて、超音波分散、及び、循環させながら測定を行った。測定時の装置循環水は、最外層が撥水性有機化合物又はステアリン酸カルシウムの場合はエタノールで、最外層がケイ酸化合物の場合は水として、測定を行った。
表1には、D50の値を「被覆蛍光体の粒子径(μm)」として示した。
実施例1のように、撥水性有機化合物を第一の被覆層とし、ケイ酸化合物を第二の被覆層として形成した複層被覆蛍光体は、相対強度維持率が高く、耐湿性に優れていることが明らかであった。
これに対し、ケイ酸化合物のみからなる被覆層を形成した比較例1、第一の被覆層と第二の被覆層の順序を入れ替えた比較例2、撥水性有機化合物のみからなる被覆層を形成した比較例3、ステアリン酸カルシウムのみからなる被覆層を形成した比較例4及び5では、相対強度維持率が低く、耐湿性に劣っていた。
また、得られた実施例1の複層被覆蛍光体について、元素組成分析を行ったところ、約0.5μmのSiを含む被覆層が確認できた(図5参照)。
図5において両矢印で示した層がSiを含む被覆層であり、この部分には元素としてSiが検出されている。Siを含む被覆層の内側はSiとBaが検出されており、中心となるシリケート蛍光体の部分である。
元素組成分析により確認した被覆層の厚さは顕微鏡観察写真から測定した被覆層の厚さと一致していた。

Claims (4)

  1. アルカリ土類金属元素を含有するシリケート蛍光体からなる蛍光体の表面に、シリコーンオイル、アルキルシラン、ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種の撥水性有機化合物からなる第一の被覆層、及び、前記第一の被覆層上に形成された、ケイ素酸化物、ケイ酸のアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ土類金属塩、ケイ酸亜鉛からなる群から選択されるケイ酸化合物及び/又は前記ケイ酸化合物の水和物からなる第二の被覆層を形成してなることを特徴とする複層被覆蛍光体。
  2. 前記シリケート蛍光体は、下記一般式(1)で示される組成を有しており、波長450nmの光で励起した時の極大発光波長が507〜605nmである請求項に記載の複層被覆蛍光体。
    (Sr1−xSiO:Eu2+ (1)
    [一般式(1)中、MはBa、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.0である。]
  3. 複層被覆蛍光体の最外層として、撥水性有機化合物又は無機化合物からなる最外被覆層をさらに形成してなる請求項1又は2に記載の複層被覆蛍光体。
  4. アルカリ土類金属元素を含有するシリケート蛍光体からなる蛍光体の表面をシリコーンオイル、アルキルシラン、ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種の撥水性有機化合物で表面処理する工程と、
    ケイ素酸化物、ケイ酸のアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ土類金属塩、ケイ酸亜鉛からなる群から選択されるケイ酸化合物及び/又は前記ケイ酸化合物の水和物を含むケイ酸化合物含有溶液を準備する工程と、
    前記撥水性有機化合物で表面処理した蛍光体を、前記ケイ酸化合物含有溶液中に分散させて表面処理する工程とを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の複層被覆蛍光体の製造方法。
JP2014202004A 2014-09-30 2014-09-30 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法 Active JP6488620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014202004A JP6488620B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014202004A JP6488620B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016069568A JP2016069568A (ja) 2016-05-09
JP6488620B2 true JP6488620B2 (ja) 2019-03-27

Family

ID=55864092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014202004A Active JP6488620B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6488620B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102279781B1 (ko) * 2019-04-16 2021-07-20 한국광기술원 내습성이 뛰어난 형광체 및 형광체 제조 장치

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10195957T1 (de) * 2000-03-24 2003-04-17 World Properties Inc Polymerische organische Beschichtungen und Verfahren zu deren Herstellung
JP2006188700A (ja) * 2005-01-03 2006-07-20 Samsung Electro Mech Co Ltd 硫化物系蛍光体の被膜形成方法及び表面コーティング硫化物系蛍光体
JP5250520B2 (ja) * 2009-09-25 2013-07-31 パナソニック株式会社 被覆蛍光体及びled発光装置
JP6308368B2 (ja) * 2012-12-28 2018-04-11 宇部興産株式会社 被覆蛍光体粒子及びその製造方法
JP5915557B2 (ja) * 2013-01-30 2016-05-11 住友金属鉱山株式会社 被覆蛍光体粒子及びその製造方法、それを用いたled素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016069568A (ja) 2016-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI558788B (zh) 色彩穩定之磷光劑
US8125139B2 (en) Fluorescent substance and process for producing the same, and luminescent element using the same
JP5443662B2 (ja) 耐湿性蛍光体粒子粉末の製造方法及び該製造方法により得られた耐湿性蛍光体粒子粉末を用いたled素子または分散型el素子
JP6395701B2 (ja) 変換蛍光体および負の熱膨張係数を有する材料を含有する複合セラミック
KR20100009577A (ko) 형광체 및 그의 제조 방법, 및 그것을 사용한 발광 장치
TWI681930B (zh) 矽酸鎂懸浮液,其製造方法及其作為磷光體之用途
TW200835774A (en) Phosphor flakes for LEDs made from structured films
US9938459B2 (en) Alkaline earth metal silicate phosphor and method for producing same
KR20120023495A (ko) 표면 개질된 실리케이트 발광체
Huang et al. Preparation and luminescence of green-emitting ZnAl2O4: Mn2+ phosphor thin films
WO2012063707A1 (ja) 蛍光体材料の製造方法
WO2010119799A1 (ja) 赤色蛍光体、その製造方法及び発光素子
KR101529405B1 (ko) 코어-쉘 알루미네이트를 함유하는 조성물, 상기 조성물로부터 수득되는 인광체 및 제조 방법
Zhong et al. A simple way to prepare a hydrophobic Sr [LiAl3N4]: Eu2+ phosphor with improved moisture resistance
JP2010265448A (ja) 赤色蛍光体及びその製造方法
JP6488620B2 (ja) 複層被覆蛍光体及び複層被覆蛍光体の製造方法
Xiaojun et al. Hydrothermal synthesis and photoluminescent properties of Li2Sr0. 996SiO4: Pr3+ 0.004 phosphors for white-LED lightings
JP5729698B1 (ja) 発光体及びその製造方法
CN107267146B (zh) 一种Mn4+离子掺杂的钛铝酸盐红色纳米荧光粉及其制备方法
TW201109422A (en) Process for producing surface-treated fluorescent-substance particles, and surface-treated fluorescent-substance particles
CN109233826B (zh) 一种铕离子激活的钛铝酸盐荧光粉及其制备方法与应用
KR20170049858A (ko) 형광체 및 이의 제조방법
Dalal et al. Crystal structure investigation and photoluminescent aspects of green-emitting Tb3+ activated Ba2La4Zn2O10 nanocrystalline materials for solid-state illumination
JP2013053311A (ja) 窒化物蛍光体
Bisen et al. Structural, Photo-Luminescence, and Anti-Bacterial Properties of Advanced Novel Sky Bluish Phosphor

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180629

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6488620

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250