JP6486814B2 - 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質 - Google Patents

結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質 Download PDF

Info

Publication number
JP6486814B2
JP6486814B2 JP2015217018A JP2015217018A JP6486814B2 JP 6486814 B2 JP6486814 B2 JP 6486814B2 JP 2015217018 A JP2015217018 A JP 2015217018A JP 2015217018 A JP2015217018 A JP 2015217018A JP 6486814 B2 JP6486814 B2 JP 6486814B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
mixture
electrolyte
ion secondary
fluoride ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015217018A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017088427A (ja
Inventor
森田 善幸
善幸 森田
喜晴 内本
喜晴 内本
小久見 善八
善八 小久見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Kyoto University
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Kyoto University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Kyoto University filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2015217018A priority Critical patent/JP6486814B2/ja
Publication of JP2017088427A publication Critical patent/JP2017088427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6486814B2 publication Critical patent/JP6486814B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質に関する。
近年、電気自動車やハイブリット車の他、各電子機材の駆動源として、イオン伝導体を含むイオン移動型2次電池が多用されている。このイオン移動型2次電池は、正極と、負極と、イオン伝導体からなる固体電解質とを含んで構成され、電解質中のイオンが電気伝導の役割を担う。
ここで、イオン移動型2次電池の性能の評価指標としては、単位重量当たりのエネルギ蓄電量を表すエネルギ密度が一般的に利用されている。このエネルギ密度の高さは、固体電解質を形成する結晶体のイオン伝導率に依存する指標であり、従来から固体電解質にはイオン伝導率の優れたイオン伝導性の結晶体を適用することが望まれていた。
イオン伝導性の結晶体としては、大別して陽イオン伝導性の結晶体と陰イオン伝導性の結晶体の2種が存在しているが、これまでは専ら陽イオン伝導性の結晶体(特に、リチウムイオンの結晶体)についての検討が多く行われてきた。その一方で、陰イオン伝導性の結晶体を固体電解質に用いた2次電池への実用化に向けて、近年、フッ化物イオン伝導性の結晶体を固体電解質として使用する検討が開始されている。
フッ化物イオン伝導性の結晶体としては、α−PbSnF、β−PbSnF、γ−PbSnFが知られている。例えば特許文献1には、Pb及びSnを含むフッ化物イオン伝導体に、4価のカチオンであるジルコニウムをドープし、化合物の結晶格子中のフッ化物イオンを過剰な状態とする方法が提案されている。
特開平4−2388154号公報
しかしながら、従来のPb及びSnを含むフッ化物イオン伝導性の結晶体では、イオン伝導率が低く、イオン移動型2次電池の固体電解質として利用可能な結晶体は未だ見出されていないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、イオン伝導率に優れ、フッ化物イオン2次電池用電解質として十分な電気特性を示す結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質を提供することにある。
(1) 上記目的を達成するため本発明は、結晶体の製造方法であって、PbFとSnFとを混合することにより、混合物を得る混合工程と、前記混合物を、不活性雰囲気にて前記混合物の融点以上の焼成温度で焼成することにより、結晶体を得る焼成工程と、を有し、前記混合工程は、前記結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内となるような混合比率でPbFとSnFとを混合する結晶体の製造方法を提供する。
(1)の発明では、混合工程において、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内となるような混合比率で、PbFとSnFとを混合する。また、焼成工程において、不活性雰囲気下にて混合物の融点以上の焼成温度で混合物を焼成する。
従来のPbSnF結晶体では、PbとSnのモル比率は50:50であったところ、本発明の製造方法によれば、PbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内で従来よりもPbの比率が高いPbSnF結晶体が得られる。
また、後段で詳述するように、本発明の製造方法により得られる結晶体は、X線回折測定の結果、従来のPbSnF結晶体では見られない位置に回折ピークが認められ、新規な構造を有する結晶体であることが分かっている。
そして、本発明の製造方法により得られる結晶体は、従来よりも高いイオン伝導率を有する。加えて、本発明の製造方法により得られる結晶体をフッ化物イオン2次電池用電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率が得られるうえ、過電圧が減少して高いエネルギ密度が得られる。
従って、本発明によれば、イオン伝導率に優れ、フッ化物イオン2次電池用電解質として十分な電気特性を示す結晶体を製造できる。
(2) (1)の発明における焼成温度は、394℃〜460℃であることが好ましい。
(2)の発明では、焼成工程における焼成温度を、394℃〜460℃の範囲内とする。ここで、PbFとSnFの混合物の融点は、382.3℃〜393.7℃であることが分かっている。また、混合物の重量減少が顕著に開始される温度は、460℃であることが分かっている。即ち、本発明によれば、焼成温度の下限値を、混合物の融点よりも僅かに高い394℃とするとともに、焼成温度の上限値を、混合物の重量減少が顕著に開始される温度である460℃とすることにより、(1)の発明により製造される新規な結晶体をより確実に得ることができ、(1)の発明の効果がより確実に奏される。
(3) また本発明は、PbFとSnFとの混合物を不活性雰囲気にて焼成することにより得られる結晶体であって、前記結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内であり、前記結晶体についてX線回折測定(計測波長λ=1.54Å)を実施して得られるX線回折スペクトルにおいて、2θ=6.5°〜7.0°の位置に回折ピークが存在する結晶体を提供する。
(3)の発明では、PbFとSnFとの混合物を不活性雰囲気にて焼成することにより得られる結晶体であって、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内である。また、結晶体についてX線回折測定(計測波長λ=1.54Å)を実施して得られるX線回折スペクトルにおいて、2θ=6.5°〜7.0°の位置に回折ピークが存在する新規な結晶体である。
本発明の結晶体によれば、上述したように、従来よりも高いイオン伝導率が得られ、フッ化物イオン2次電池用電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率が得られるうえ、過電圧が減少して高いエネルギ密度が得られる。
(4) また本発明は、(3)の発明に係る結晶体からなるフッ化物イオン2次電池用電解質を提供する。
(4)の発明によれば、高いイオン伝導率を示す結晶体をフッ化物イオン2次電池の電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率を有し、高いエネルギ密度を有するフッ化物イオン2次電池を提供できる。
本発明によれば、イオン伝導率に優れ、フッ化物イオン2次電池用電解質として十分な電気特性を示す結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質を提供できる。
本実施形態の混合物のTG/DTAチャート図である。 実施例1〜4及び比較例1〜3の結晶体のX線回折スペクトル図である。 実施例3及び比較例1の結晶体のX線回折スペクトル図である。 実施例1〜5及び比較例1の結晶体におけるPbの比率とイオン伝導率との関係を示す図である。 実施例3及び比較例1の結晶体の充放電曲線図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<結晶体の製造方法>
本実施形態に係る結晶体の製造方法は、混合工程と、焼成工程と、を有する。以下、各工程について詳しく説明する。
[混合工程]
本実施形態の混合工程では、PbFと、SnFとを混合することにより、混合物を得る。
具体的には、例えば所定量で秤量したPbFとSnFとを、ボールミルにより撹拌(例えば粉砕)して混合することにより、混合物を得る。ボールミル等の本混合の前に、より緩やかな混合条件での予備混合を行ってもよい。
また、本実施形態の混合工程では、後述の焼成工程により得られる結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲となるような混合比率で混合する。より詳しくは、予め実験により求めた、焼成して得られる結晶体中のPbとSnのモル比率と、試薬投入モル比率との関係に基づいて、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=68:32となるような比率で、PbFとSnFを混合する(後述の表1参照)。
これにより、従来のPbSnF結晶体ではPbとSnのモル比率は50:50であったところ、PbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内で従来よりもPbの比率が高いPbSnF結晶体が得られる。
[焼成工程]
本実施形態の焼成工程では、上記混合工程で得られた混合物を、不活性雰囲気にて混合物の融点以上の温度で焼成することにより、結晶体を得る。
不活性雰囲気としては、例えばアルゴンガス等の希ガス雰囲気が例示される。
本実施形態の焼成工程では、混合工程で得られた混合物を焼成炉内において、394℃〜460℃の温度で焼成することが好ましい。焼成温度が394℃以上であることにより、PbF及びSnFからなる混合物の融解温度が382.3℃〜393.7℃よりも高い温度で焼成でき、新規な結晶体が得られるようになる。また、焼成温度が460℃以下であることにより、混合物が顕著に揮発するのを回避できる。
なお、混合物の融点温度付近である400℃で焼成することがより好ましい。
ここで、本実施形態の混合物を焼成したときの熱重量変化及び熱量変化について、TG/DTA測定を実施して確認した結果について説明する。
図1は、本実施形態の混合物のTG/DTAチャート図である。図1中、横軸は温度を示しており、左縦軸はTG(熱重量)損失量、右縦軸はDTA(示差熱量)値を示している。ここで、図1中に示す(A)では、DTA曲線が大きく下降しており、また、TG重量損失が、約0.1%観測されていることから、この(A)は混合物の揮発による吸熱反応が開始された温度領域を示している。また、図1中に示す(B)では、TG重量損失をともなわずに、DTA吸熱ピークが観測されていることから、この(B)は焼成温度が混合物の融点に達した相転移点を示している。この図1から、PbF及びSnFからなる混合物の融点が382.3℃〜393.7℃であることが分かる。また、焼成時の温度を460℃以上に上げることで混合物の揮発が顕著にみられるようになることが分かる。
本実施形態に係る結晶体の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、混合工程において、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内となるような混合比率で、PbFとSnFとを混合する。また、焼成工程において、不活性雰囲気下にて混合物の融点以上の焼成温度で混合物を焼成する。
従来のPbSnF結晶体では、PbとSnのモル比率は50:50であったところ、本実施形態の製造方法によれば、PbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内で従来よりもPbの比率が高いPbSnF結晶体が得られる。
また、後段で詳述するように、本実施形態の製造方法により得られる結晶体は、X線回折測定の結果、従来のPbSnF結晶体では見られない位置に回折ピークが認められ、新規な構造を有する結晶体であることが分かっている。
そして、本実施形態の製造方法により得られる結晶体は、従来よりも高いイオン伝導率を有する。加えて、本実施形態の製造方法により得られる結晶体をフッ化物イオン2次電池用電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率が得られるうえ、過電圧が減少して高いエネルギ密度が得られる。
従って、本実施形態によれば、イオン伝導率に優れ、フッ化物イオン2次電池用電解質として十分な電気特性を示す結晶体を製造できる。
また本実施形態では、焼成工程における焼成温度を、394℃〜460℃の範囲内とする。ここで、PbFとSnFの混合物の融点は、382.3℃〜393.7℃であることが分かっている。また、混合物の重量減少が顕著に開始される温度は、460℃であることが分かっている。即ち、本実施形態によれば、焼成温度の下限値を、混合物の融点よりも僅かに高い394℃とするとともに、焼成温度の上限値を、混合物の重量減少が顕著に開始される温度である460℃とすることにより、上述の新規な結晶体をより確実に得ることができ、上述の効果がより確実に奏される。
<結晶体>
本実施形態の結晶体は、PbFとSnFとの混合物を、不活性雰囲気にて焼成することにより得られる結晶体である。好ましくは、上述の製造方法により製造される結晶体である。
また本実施形態の結晶体は、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率が、Pb:Sn=53:47〜68:32の範囲内である。即ち、従来のPbSnF結晶体ではPbとSnのモル比率は50:50であったところ、従来よりもPbの比率が高い、新規な結晶体である。
また、本実施形態に係る結晶体は、X線回折測定(計測波長λ=1.54Å)を実施したX線回折スペクトルにおいて、2θ=6.5°〜7.0°の位置に従来にはない回折ピークが存在する。
即ち、本実施形態に係る結晶体は、従来のPbSnFからなる結晶体とは、異なる新規な結晶構造を有している。
本実施形態の結晶体によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、PbFとSnFとの混合物を不活性雰囲気にて焼成することにより得られる結晶体であって、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内である。また、結晶体についてX線回折測定(計測波長λ=1.54Å)を実施して得られるX線回折スペクトルにおいて、2θ=6.5°〜7.0°の位置に回折ピークが存在する新規な結晶体である。
本実施形態の結晶体によれば、上述したように、従来よりも高いイオン伝導率が得られ、フッ化物イオン2次電池用電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率が得られるうえ、過電圧が減少して高いエネルギ密度が得られる。
<フッ化物イオン2次電池用電解質>
本実施形態のフッ化物イオン2次電池用電解質は、上述の新規な結晶体からなる。
これにより、本実施形態のフッ化物イオン2次電池用電解質によれば、高いイオン伝導率を示す上述の新規な結晶体をフッ化物イオン2次電池の電解質として用いることにより、従来よりも優れた充放電効率を有し、高いエネルギ密度を有するフッ化物イオン2次電池を提供できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
先ず、美和製作所製のアルゴンガス精製機付きグローブボックス「DBO−1.5B」内で、株式会社高純度化学研究所製のPbFと、同じく株式会社高純度化学研究所製のSnFとを混合し、混合物を得た。
より詳しくは、予め実験により求めた、焼成して得られる結晶体中のPbとSnのモル比率と試薬投入モル比率との関係に基づいて、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=68:32となるようにPbFとSnFをそれぞれ秤量した。具体的には、表1に示すように、PbF:SnF=68mol%:32mol%の比率でメノウ乳鉢内に投入し、5〜10分間、予備混合した。
次いで、この予備混合物をボールミルポット内に投入し、以下の混合条件で混合することにより、混合物を得た。
[混合条件]
装置:フリッチュ株式会社製の遊星型ボールミル装置「プレミアムライン−P7」
回転数:600rpm
時間:6時間
次いで、上記混合物を、上記グローブボックス内でアルミナるつぼに移した。その後、グローブボックス直結の焼成炉「KANS−1300」にて、アルゴンガス雰囲気下で以下の焼成条件で焼成した。これにより、実施例1の結晶体を得た。
[焼成条件]
焼成温度:400℃
焼成時間:1時間
降温速度:室温まで50℃/分
<実施例2>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=63:37となるように、PbF:SnF=64mol%:36mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、実施例2の結晶体を得た。
<実施例3>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=60:40となるように、PbF:SnF=62mol%:38mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、実施例3の結晶体を得た。
<実施例4>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=57:43となるように、PbF:SnF=60mol%:40mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、実施例4の結晶体を得た。
<実施例5>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:46となるように、PbF:SnF=56mol%:44mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、実施例5の結晶体を得た。
<比較例1>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=48:52となるように、PbF:SnF=54mol%:46mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例1の結晶体を得た。
<比較例2>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=48:52となるように、PbF:SnF=52mol%:48mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例2の結晶体を得た。
<比較例3>
結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=46:54となるように、PbF:SnF=50mol%:50mol%の投入比率(表1参照)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例3の結晶体を得た。
<元素分析>
上述の実施例1〜5及び比較例1〜3で得た各結晶体について、以下の条件で元素分析を実施し、各結晶体中に含まれるPb及びSnの重量%を測定した。結果を表1に示す。
[元素分析条件]
装置:島津製作所株式会社製のICP発光分光分析装置「ICP−8000」
Figure 0006486814
<X線回折測定>
実施例1〜4及び比較例1〜3で得た各結晶体について、以下の条件1でX線回折測定を実施し、X線回折スペクトルを得た。得られた回折スペクトルパターンを図2に示す。
なお、実施例2〜4については格子定数の決定を実施した。その結果を表2に示す。
[X線回折測定条件1]
装置:Spring8−BL02B2
線源:放射光(波長λ=0.500Å)
Figure 0006486814
更に、実施例3及び比較例1で得た結晶体については、下記の条件2でもX線回折測定を実施し、X線回折スペクトルを得た。得られた回折スペクトルパターンを図3に示す。
[X線回折測定条件2]
装置:リガク株式会社製のXRD測定装置「SmartLab」
線源:Cu−kα(波長λ=1.5418nm)
<イオン伝導率測定>
実施例1〜5及び比較例1で得た各結晶体について、それぞれ300mgを秤量後、直径10mmφのペレット状に成形した。その後、該成形体の両面に金属膜をスパッタしたものについて、以下の条件でイオン伝導率測定を実施した。測定結果を図4に示す。
[イオン伝導率測定条件]
装置:ソーラトロン社製「SI1287インターフェース−1255FRA」
方法:交流インピーダンス法
温度:25℃
<評価結果>
図2は、実施例1〜4及び比較例1〜3の結晶体のX線回折スペクトル図である。図2中、横軸は2θ回折角度を示しており、縦軸は回折ピーク強度を示している。この図2によれば、本実施例1〜4に係る結晶体の回折スペクトル中には、比較例1〜3には表れていない回折ピークを低角側に有していることが分かった。この結果と、表2に示した結果とから、本実施例中のc軸上の格子定数が大きく変化していることから、c軸上かつ長周期に渡った構造の変化が起きているものと推察された。即ち、Pb層とSn層の積層周期が従来とは異なる新規の結晶体が得られていることが確認された。
図3は、実施例3及び比較例1の結晶体のX線回折スペクトル図である。図3中の横軸と縦軸は、図2と同様である。実施例3に係る結晶体は、低角側2θ=6.5〜7.0°の位置に回折ピークを有することが確認された。この結果からも、本実施例によれば、従来とは異なる新規の結晶体が得られることが確認された。
図4は、実施例1〜5及び比較例1の結晶体におけるPbの比率とイオン伝導率との関係を示す図である。図4中、横軸は焼成後の結晶体中のPbの比率を示しており、縦軸はイオン伝導率を示している。図4に示すように、Pbの含有比率が高い実施例1〜5は、比較例1よりも高いイオン伝導率を有していることが分かった。この結果から、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内であれば、高いイオン伝導率が得られることが確認された。
また、実施例1〜5の中でも、実施例2〜4は特に高いイオン伝導率を有していることが分かった。この結果から、結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=57:43〜63:37の範囲内であれば、より高いイオン伝導率が得られることが確認された。
次に、実施例3の結晶体を電解質として用いて、フッ化物イオン2次電池を作製した。
具体的には、平均粒子径1μmのCu粒子、実施例3で作成した結晶体及びアセチレンブラックを、それぞれの重量比が10:80:10となるように混合し、正極を得た。
次いで、実施例3で得た結晶体400mgを秤量し、固体電解質とした。該固体電解質に20μm厚さ、直径10mmφのPb箔を圧着し、集電体付きの固体電解質を得た。
上述のようにして得られた正極及び固体電解質を、金型中で4トン/cmの圧力で成形した後、錫メッキ導線をカーボンペーストにより接着し、フッ化物イオン2次電池を作製した。
比較例1で得た結晶体を電解質として用いた以外は、実施例3と同様の操作を実施した。これにより、比較例1のフッ化物イオン2次電池を得た。
<充放電試験>
実施例3及び比較例1で得たフッ化物イオン2次電池に対して、以下の条件で定電流充放電試験を実施した。測定結果を図5に示す。
[充放電試験条件]
電流値:(充電時)0.02mA、(放電時)0.01mA
電圧値:(上限電圧)1.25V、(下限電圧)0.3V
<評価結果>
図5は、実施例3及び比較例1の結晶体の充放電曲線図である。図5中、横軸は充放電容量を示しており、縦軸は電池の電圧を示している。実施例3の正極中のCu粒子重量1グラムあたりの放電電気量(最大376mAh/g)及び正極中のCu粒子重量1グラムあたりの充電電気量(最大525mAh/g)は、共に比較例1よりも高いことが分かった。また、放電電気量を充電電気量で割った値である充放電効率は、実施例6が71.6%であり、比較例4の59.3%よりも高いことが分かった。
この結果から、本実施例の結晶体を電解質として用いたフッ化物イオン2次電池によれば、従来よりも優れた充放電効率が得られることが確認された。
また、実施例3の放電曲線の形状は、比較例1のそれと比べて、電圧が高く維持されており、充放電時の過電圧が減少していることが分かった。
この結果から、本実施例の結晶体を電解質として用いたフッ化物イオン2次電池によれば、従来よりも高いエネルギ密度が得られることが確認された。

Claims (3)

  1. 結晶体の製造方法であって、
    PbFとSnFとを混合することにより、混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を、不活性雰囲気にて前記混合物の融点以上の焼成温度で焼成することにより、結晶体を得る焼成工程と、を有し、
    前記混合工程は、前記結晶体中に含まれるPbとSnのモル比率がPb:Sn=53:47〜68:32の範囲内となるような混合比率でPbFとSnFとを混合する結晶体の製造方法。
  2. 前記焼成温度は、394℃〜460℃であることを特徴する請求項1に記載の結晶体の製造方法。
  3. 記結晶体についてX線回折測定(計測波長λ=1.54Å)を実施して得られるX線回折スペクトルにおいて、2θ=6.5°〜7.0°の位置に回折ピークが存在することを特徴する請求項1又は2に記載の結晶体の製造方法
JP2015217018A 2015-11-04 2015-11-04 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質 Active JP6486814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015217018A JP6486814B2 (ja) 2015-11-04 2015-11-04 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015217018A JP6486814B2 (ja) 2015-11-04 2015-11-04 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017088427A JP2017088427A (ja) 2017-05-25
JP6486814B2 true JP6486814B2 (ja) 2019-03-20

Family

ID=58771219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015217018A Active JP6486814B2 (ja) 2015-11-04 2015-11-04 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6486814B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6536538B2 (ja) 2016-11-08 2019-07-03 トヨタ自動車株式会社 フッ化物イオン電池およびその製造方法
JP6638622B2 (ja) * 2016-11-08 2020-01-29 トヨタ自動車株式会社 フッ化物イオン電池およびその製造方法
JP6852701B2 (ja) * 2017-06-01 2021-03-31 トヨタ自動車株式会社 正極活物質およびフッ化物イオン電池
JP6863212B2 (ja) * 2017-10-05 2021-04-21 トヨタ自動車株式会社 固体電解質
JP7054445B2 (ja) * 2018-03-26 2022-04-14 トヨタ自動車株式会社 負極材料とこれを用いた電解液系電池
WO2019188358A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 本田技研工業株式会社 フッ化物イオン二次電池用電解質、および当該電解質を用いたフッ化物イオン二次電池

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4399204A (en) * 1981-06-30 1983-08-16 Union Carbide Corporation Solid cathode comprising a lead fluoride/tin fluoride compound
JP2005226993A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Kansai Tlo Kk 酸素センサ及びそれに適した固溶体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017088427A (ja) 2017-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6293383B1 (ja) リチウム二次電池用硫化物系固体電解質
JP6486814B2 (ja) 結晶体の製造方法、結晶体及びフッ化物イオン2次電池用電解質
JP5957144B2 (ja) リチウムイオン電池用硫化物系固体電解質
JP5873533B2 (ja) リチウムイオン電池用硫化物系固体電解質
JP5701741B2 (ja) 硫化物系固体電解質
JPWO2019135318A1 (ja) 固体電解質材料、および、電池
JP7329062B2 (ja) 固体電解質、電極合剤及び電池
WO2019187943A1 (ja) フッ化物イオン二次電池用負極活物質、当該活物質を用いた負極、およびフッ化物イオン二次電池、並びに当該活物質の製造方法
CN111446492B (zh) 硫化物固体电解质粒子及其制造方法和全固体电池
JP2012182115A (ja) 蓄電デバイス用負極活物質の製造方法
US20160248082A1 (en) All-Solid-State Cathode Materials, Cathodes, Batteries And Methods
CN114789993B (zh) 一种改性硫银锗矿型化物固态电解质及其制备方法和应用
JP2020167151A (ja) 硫化物固体電解質、硫化物固体電解質の前駆体、全固体電池および硫化物固体電解質の製造方法
JP2020161487A (ja) 結晶質スフェニシダイト物質、方法、電極物質、及び電気化学的電池
JP2011181495A (ja) 無機電解質とそれを用いたリチウム二次電池
KR20190022310A (ko) 전고체형 이차전지
JP2015187936A (ja) リチウム二次電池用活物質及びその製造方法並びにそれを用いたリチウム二次電池
US9812733B2 (en) Solid electrolyte and secondary battery
RU2558140C1 (ru) АНОДНЫЙ МАТЕРИАЛ ЛИТИЙ-ИОННОГО АККУМУЛЯТОРА НА ОСНОВЕ LiCrTiO4 СО СТРУКТУРОЙ ШПИНЕЛИ И СПОСОБ ЕГО ПОЛУЧЕНИЯ
JP6285317B2 (ja) 全固体電池システム
JP2017208324A (ja) 硫化物系固体電解質及びナトリウム電池
WO2011065307A1 (ja) 蓄電デバイス用負極材料及びそれを用いた蓄電デバイス用負極
JP2020119643A (ja) 全固体電池用正極層および全固体電池
JP6966308B2 (ja) リチウムイオン電池用正極活物質及びその製造方法、リチウムイオン電池、並びに、リチウムイオン電池システム
WO2024096101A1 (ja) イオン伝導性物質、電解質及び電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180406

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6486814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250