JP6486262B2 - Fe基非晶質合金、磁性金属粉末、磁性部材、磁性部品、および電気・電子機器 - Google Patents

Fe基非晶質合金、磁性金属粉末、磁性部材、磁性部品、および電気・電子機器 Download PDF

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本発明は、Fe基非晶質合金、当該Fe非晶質合金からなる磁性金属粉末、当該磁性金属粉末を含む成形体を備える磁性部材、当該磁性部材を備える磁性部品および当該磁性部品を備える電気・電子機器に関する。
近年、電子機器の小型化が進み、電子部品の実装スペースは小さくなる傾向がある。その一方で、電子機器に求められる性能は、高速化、多機能化、省電力化など多様化している。これらの要求に応えられるように、電子機器に実装されるべき電子部品の数は増大する傾向にある。それゆえ、電子部品を小型化することに対する要求は、近時、特に高まっている。
このような要求に適切に応えるべく、電子部品が小型化されることによって機能低下しないように、電子部品を構成する材料の見直しが積極的に行われている。例えば、電子部品の一種であるインダクタンス素子が備える磁性部材に含まれる磁性材料として、従来、フェライト焼結コアが用いられてきたが、最近は、フェライト焼結コアに比較して飽和磁束密度が大きく、直流重畳特性が高磁界まで保たれる磁性金属粉末を成形したダストコアが用いられているようになってきた。
このような磁性金属粉末として、Fe基非晶質合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Si系合金粉末、純鉄粉末(高純度鉄粉)等の軟磁性合金粉末が例示される。具体例として、特許文献1には、組成式が、Fe100-a-b-c-x-y-z-tNiaCrcxyzSitで示され、0at%≦a≦10at%、0at%<c≦3at%、6.8at%≦x≦10.8at%、2.2at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦4at%、0at%≦t≦1at%であり、(Bの添加量z+Siの添加量t)は、1at%〜4at%の範囲内であり、ガラス遷移温度(Tg)が710K以下であるFe基非晶質合金が開示されている。また、特許文献2には、Ni:41wt%以上45wt%未満、添加物A:1wt%以上5wt%以下、残部:Feおよび不可避的不純物の組成を有し、前記添加物Aは、Al,Si,Mn,Mo,Cr,Cuのうち少なくとも1種であるFe−Ni系軟磁性合金粉末が開示されている。
特許第5419302号公報 特開2007−254814号公報
上記の特許文献に開示されるような磁性金属粉末を含む成形体を有する磁性部材を備える磁性部品の一例として、かかる磁性部材および導電性の接続端部を磁性部材の表面に複数備えるインダクタンス素子は、これらの接続端部間で短絡が生じないように、磁性部材の表面が適切な絶縁性を有していることが求められる。
磁性部材が適切な絶縁性を有するように、固化可能であって絶縁性の液状組成物を成形体の外側から含浸させる外装コート処理が施される場合がある。このような外装コート処理は、絶縁性を高める観点からは有効な手段であるが、インダクタンス素子を製造する際に外装コート処理の工程が追加されることになる。また、液状組成物が固化する際に磁性部材に応力が生じる場合があり、この応力が磁性部材の磁気特性に影響を与えてしまうことがあった。具体的には、透磁率が低下する可能性が高まることや、コアロスが増大する可能性が高まることがあった。こうした問題は、電子部品のみならず、電気機器に設置される電気部品についても生じうる。すなわち、上記の磁気特性を維持しつつ絶縁性を高めることが容易でないという問題は、電気・電子機器に実装されたり組み込まれたりする磁性部品について生じうる問題である。
かかる現状を鑑み、本発明は、磁性部材の磁気特性を維持しつつ絶縁性を高めることを容易とする磁性金属粉末を与える金属系材料を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の金属材料からなる磁性金属粉末、上記の磁性金属粉末を含む成形体を備える磁性部材、上記の磁性部材を備える磁性部品、および上記の磁性部品を備える電気・電子機器を提供することを目的とする。
本発明者らが検討した結果、P,C等の非金属元素を含有し、必要に応じてさらにNi等の金属元素を含有するFe基非晶質合金において、適切な量のSiを含有させることにより、そのFe基非晶質合金からなる磁性金属粉末を含有して形成された成形体の絶縁性を向上させることができるとの新たな知見を得た。
以上の新たな知見に基づき提供される本発明の一態様は、組成式が、Fe100at%−a−b−x−y−z−tNiCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦6at%、6.8at%≦x≦13.0at%、2.2at%≦y≦13.0at%、0at%≦z≦9.0at%、0.26at%<t≦0.69at%であることを特徴とするFe基非晶質合金であり、Feの含有量は66.80at%以上71.11at%以下である。Fe基非晶質合金におけるSiの添加量tを0.26at%<t≦0.69at%とすることにより、かかるFe基非晶質合金からなる磁性金属粉末を含有する成形物を備える磁性部材について、その磁気特性を維持しつつ、その絶縁性を高めることが可能である。
上記のFe基非晶質合金におけるSiの添加量tは、0.27at%≦t≦0.69at%の範囲内であることが好ましい。
本発明の他の一態様は、上記の本発明に係るFe基非晶質合金からなることを特徴とする磁性金属粉末である。
上記の本発明に係る磁性金属粉末をレーザー回折・散乱法にて測定して得られたメジアン径(D50、単位:μm)は、2μm以上15μm以下であってもよい。
本発明の別の一態様は、上記の本発明に係る磁性金属粉末および結着成分を含む混合体の成形体を備えることを特徴とする磁性部材である。
上記の本発明に係る磁性部材において、前記結着成分は、アクリル系樹脂を含んでいてもよく、アクリル系樹脂からなるものであってもよい。
本発明のまた別の一態様は、上記の本発明に係る磁性部材を備えることを特徴とする磁性部品である。
本発明のまた別の一態様は、上記の本発明に係る磁性部品を備えることを特徴とする電気・電子機器である。
上記の発明によれば、磁性部材の磁気特性を維持しつつ絶縁性を高めることを容易とする磁性金属粉末を与えるFe基非晶質合金が提供される。また、本発明によれば、上記のFe基非晶質合金からなる磁性金属粉末、上記の磁性金属粉末を含む成形体を備える磁性部材、上記の磁性部材を備える磁性部品、および上記の磁性部品を備える電気・電子機器も提供される。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。 実施例1により製造された磁性部材の抵抗値を測定した結果を示すグラフである。 実施例2により製造された磁性部材の抵抗値を測定した結果を示すグラフである。 実施例1により製造された磁性部材の比透磁率を測定した結果を示すグラフである。 実施例2により製造された磁性部材の比透磁率を測定した結果を示すグラフである。 実施例2および実施例3により製造された磁性部材の抵抗値を測定した結果を示すグラフである。 実施例2および実施例3により製造された磁性部材の比透磁率を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.Fe基非晶質合金
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金は、組成式が、Fe100at%−a−b−x−y−z−tNiCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦6at%、6.8at%≦x≦13.0at%、2.2at%≦y≦13.0at%、0at%≦z≦9.0at%、0.26at%<t≦2.0at%である。
Siの添加量tが0.26at%<t≦2.0at%であることにより、Fe基非晶質合金からなる磁性金属粉末と、結着成分と、を含む混合体の成形体を備える磁性部材の絶縁性を向上させることができる。Si添加量tが上記の範囲内であることにより、Si添加量tが上記の範囲内である場合には、磁性部材が備える成形体において、磁性金属粉末と結着成分とが適切に接触して、強磁性粉末同士の接触が生じにくくなっていると推測される。上記の磁性部材が備える成形体の絶縁性をより安定的に向上させる観点から、Siの添加量tは、0.26at%<t≦1.3at%の範囲内であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金のガラス遷移温度(Tg)を低く抑える観点から、Niの添加量aは、0at%以上6at%以下の範囲内であることが好ましく、4at%以上6at%以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金の磁化を高める観点、および耐食性を高める観点から、Crの添加量bは、0at%以上2at%以下の範囲内であることが好ましく、1at%以上2at%以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金の融点(Tm)を低く抑えることを容易にする観点から、Pの添加量xは、8.8at%以上10.8at%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金の融点(Tm)を低く抑えることを容易にする観点から、Cの添加量yは、5.8at%以上8.8at%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金のガラス遷移温度(Tg)を低く抑えることを容易にする観点から、Bの添加量zは、0at%以上2at%以下の範囲内であることが好ましく、1at%以上2at%以下の範囲内であることがより好ましい。
2.磁性金属粉末
本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末は、上記の本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金からなる。
磁性金属粉末の形状は球状であってもよいし非球状であってもよい。非球状である場合には、鱗片状、楕円球状、液滴状、針状といった形状異方性を有する形状であってもよいし、特段の形状異方性を有しない不定形であってもよい。磁性金属粉末の形状は、磁性金属粉末を製造する段階で得られた形状であってもよいし、製造された磁性金属粉末を二次加工することにより得られた形状であってもよい。前者の形状としては、球状、楕円球状、液滴状、針状などが例示され、後者の形状としては、鱗片状が例示される。
本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金から磁性金属粉末を得る方法は限定されない。ガスアトマイズや水アトマイズなどのアトマイズ法でもよいし、単ロール法などにより作製した薄帯を粉砕してもよい。また、粉末形状を制御するために追加的な加工を行ってもよい。
本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末の粒径分布は限定されない。本発明の一実施形態に係るFe基非晶質合金を含有する成形体を備える磁性部材の絶縁性の向上を安定的に実現する観点から、本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末をレーザー回折・散乱法にて測定して得られたメジアン径(D50、単位:μm)は、2μm以上15μm以下であることが好ましい。上記の成形体を備える磁性部材の絶縁性の向上をより安定的に実現する観点から、上記の磁性金属粉末のメジアン径は、2μm以上12μm以下であることがより好ましく、2μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
3.磁性部材
本発明の一実施形態に係る磁性部材は、上記の本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末および結着成分を含む混合体の成形体を備える。本発明の一実施形態に係る磁性部材は、成形体のままであっても、すなわち、特段の外装コートを有しなくても、優れた絶縁性を有することができる。このような優れた絶縁性を成形体が有するのは、磁性金属粉末にSiが適量含有されていることにより、磁性金属粉末と結着成分との間で好ましい相互作用(磁性金属粉末表面に生成した極性基に結着成分中の極性基が引き寄せられていることが例示される。)を生じ、最近位の磁性金属粉末との間に絶縁性の結着成分が適切に存在することが実現されているためと推測される。
上記のSi含有の効果に関し、本発明の一実施形態に係る磁性部材が備える成形体の比抵抗は、成形体に含有されるFe基非晶質合金のSi添加量依存性を有する。
具体的には、Fe基非晶質合金であってSi添加量が0.2at%である第1のFe基非晶質合金からなる磁性金属粉末を含有して形成された成形体の比抵抗ρと、第1のFe基非晶質合金におけるFe添加量の0.3at%がSiに置き換えられた第2のFe基非晶質合金(すなわち、第2のFe基非晶質合金におけるSi添加量は0.5at%である。)を含有して形成された成形体の比抵抗ρとが、下記式(i)で示される関係を有する。
ρ/ρ≧10 (i)
ρのρに対する比が10以上となる理由は明らかでない。後述する実施例において示すように(図2および図3)、磁性金属粉末の粒径分布が異なっていても、Si添加量が0.5at%程度の場合に成形体の抵抗値が極大を有する傾向がみられる。
結着成分の組成は、本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末を固定することに寄与する材料である限り、限定されない。結着成分は、通常、絶縁性の材料が使用される。結着成分を構成する材料として、樹脂材料および樹脂材料の熱分解残渣などの有機系の材料、無機系の材料などが例示される。樹脂材料は水溶性樹脂であってもよいし、非水系(有機溶剤可溶性)樹脂であってもよい。水溶性樹脂の方が磁性金属粉末と樹脂材料との相互作用が促進されることが期待される。樹脂材料の具体例として、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂などが例示される。無機系の材料からなる結着成分は水ガラスなどガラス系材料が例示される。結着成分は一種類の材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。結着成分は有機系の材料と無機系の材料との混合物であってもよい。これらの中でも、結着成分は熱可塑性を有するアクリル系樹脂を含有することが好ましい。
上記の混合体における磁性金属粉末の含有量と結着成分の含有量との質量割合は限定されない。結着成分の含有量が過度に少ない場合には成形体が成形により形成された形状を維持することが容易でなくなること、および結着成分の含有量が過度に多い場合には透磁率など磁気特性が低下しやすくなることなどを考慮して、上記の質量割合は、適宜設定される。通常、磁性金属粉末100質量部に対して、結着成分の含有量は1質量部〜10質量部とされる。
上記の混合体は、磁性金属粉末および結着成分に加えて、絶縁性の無機系成分、カップリング剤、潤滑剤(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等が例示される。)などをさらに含んでいてもよい。混合体の調製方法も任意である。ボールミルなどを用いて混合してもよいし、各成分を含む分散液を調製して、この分散液を乾燥・粉砕して、磁性金属粉末を含む造粒粉として混合体を得てもよい。
成形条件も限定されない。0.1GPa〜10GPa程度の範囲で常温にて加圧することが例示される。成形金型のキャビティ内にコイルなどの導電性部材を配置して成形を行えば、成形体内に導電性部材を埋設させることも可能である。
混合体の成形により得られた成形体を、必要に応じてアニール処理してもよい。アニール処理をすることにより、成形において生じた磁性金属粉末内の歪が緩和されて、磁性部材の磁気特性を向上させることができる。アニール処理の条件は、磁性金属粉末内に生じた歪の程度や、結着成分の熱的特性を考慮して適宜設定される。一例を挙げれば、昇温速度20℃/分〜50℃/分程度で、室温から300℃〜500℃程度に加熱して、加熱温度にて0.5時間〜5時間程度保持することが挙げられる。
上記のアニール処理後の成形体は、特段の外装コートを有しなくても、優れた絶縁性を有するため、そのまま磁性部材として使用することが可能である。しかしながら、上記の成形体に対して含浸コーティング処理などを行って、外装コートを上記の成形体に形成してもよい。
含浸コーティング処理では、含浸コーティング組成物と成形体とを接触させることにより、当該組成物を成形体の表層に含浸させる。接触方法は限定されない。含浸コーティング組成物中に成形体を浸漬させてもよいし、含浸コーティング組成物を成形体に塗布してもよい。含浸コーティング組成物中に成形体を浸漬させる場合には、真空排気しながら浸漬させることにより、含浸コーティング組成物を成形体内に入り込みやすくすることができる。成形体の表層に含浸した含浸コーティング組成物を乾燥したり、必要に応じて加熱などの処理を行ったりすることにより、含浸コート層からなる外装コートが得られる。含浸コート層が形成されることにより、含浸コーティング組成物の組成は限定されない。シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ブチラールフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂など樹脂系材料を含有していてもよい。
外装コートは、含浸コーティング以外の方法により行ってもよい。そのような方法として、ドライプロセスによるコーティング、化成処理などが例示される。
本発明の一実施形態に係る磁性部材の形状は限定されない。本発明の一実施形態に係る磁性部材は、インダクタンス素子の圧粉コアや、磁性シートとして使用できるため、それぞれの目的に合わせた形状を有していればよい。
4.磁性部品
本発明の一実施形態に係る磁性部品は、上記の本発明の一実施形態に係る磁性部材を備える。磁性部品の種類は限定されない。磁性部品として、インダクタ、リアクトル、トランスなどのインダクタンス素子が例示される。インダクタンス素子は、本発明の一実施形態に係る磁性部材である圧粉コアとコイル状の形状を有する導電性部材とを備える。磁性部品の別の一例として磁性シートが挙げられる。磁性シートは、本発明の一実施形態に係る磁性部材の一例である磁性シートから構成されていてもよいし、磁性シートに加えて両面テープなど貼り付け用部材をさらに備えていてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁性部材を備える磁性部品の一例であるインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子10は、磁性部材1、導電性部材2および2つの接続端部3a,3bを備える。磁性部材1は、本発明の一実施形態に係る磁性金属粉末および結着成分を含む混合体の成形体からなる。導電性部材2は、磁性部材1の内部に位置する部分を有する。具体的には、図1に示されるインダクタンス素子10では、磁性部材1の成形体の内部にコイルが埋設されている。導電性の接続端部3a,3bは、導電性部材2に対して電気的に接続された状態で、磁性部材1の表面上に形成されたものである。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子10は磁性部材1が絶縁性に優れるため、図1に示されるように、接続端部3a,3bが磁性部材1の表面上に形成されても、接続端部3a,3b間での短絡が生じにくい。
導電性部材2は、磁性部材1の内部に埋設可能であれば、その形状および組成は限定されない。図1に示されるインダクタンス素子10の場合には、導電性部材2はコイル形状の部分を有する。このコイルの具体的な形状は限定されない。例えば、コイルはエッジワイズコイルであってもよい。導電性部材2は、銅、アルミニウムなどを含有する導電率が高い材料から構成されていることが好ましい。
接続端部3a,3bは、導電性部材2の端部2a,2bに対して電気的に接続された状態で、磁性部材1の表面上に形成された導電性の部材である。接続端部3a,3bは、通常、磁性部材1の表面の複数の領域上に形成される。図1に示されるインダクタンス素子10では、2つの接続端部3a,3bを備える。接続端部3a,3bの形状および組成は、接続端部3a,3bが適切な導電性を有し、磁性部材1の表面上の複数の接続端部3a,3bが短絡しない限り、限定されない。
図1に示されるインダクタンス素子10では、接続端部3a,3bは、生産性に優れる観点から、銀ペーストなどの導電ペーストから形成されたメタライズ層とこのメタライズ層上に形成されためっき層とを備える。このめっき層を形成する材料は限定されない。当該材料が含有する金属元素として、銅、アルミ、亜鉛、ニッケル、鉄、スズなどが例示される。
接続端部3a,3bの厚さや大きさ(形状)は、適宜設定されるべきものである。上記のように、接続端部3a,3bがメタライズ層とめっき層とを備える場合には、メタライズ層を形成するための導電ペーストの塗布量として0.05g/cm程度が例示され、めっき層の厚さの範囲として3μm〜13μm程度が例示される。
インダクタンス素子のような磁性部品は、小型化すると、通常、これが備える磁性部材の絶縁性が低下しやすくなるため、磁性部材に外装コートを設けるなど絶縁性を高めるための処理が施される場合がある。しかしながら、外装コートを設けるための処理は、磁性部材が備える磁性金属粉末に歪を与えてしまう場合がある。このような歪は透磁率など磁気特性の低下をもたらすため、外装コートを設けたことによって磁性部材の絶縁性は向上したものの磁気特性が低下して、結果的に、磁性部品としての特性(透磁率やコアロスなど)が低下する可能性が高まることがある。これに対し、本発明の一実施形態に係る磁性部材は、磁気特性を低下させることなく、その絶縁性を向上させることが可能である。したがって、かかる磁性部品を備える本発明の一実施形態に係る磁性部品は、特性劣化が生じにくい。
5.電気・電子機器
本発明の一実施形態に係る電気・電子機器は、上記の本発明の一実施形態に係る磁性部品を備える。本発明の一実施形態に係る磁性部品がインダクタンス素子からなる場合には、かかるインダクタンス素子が実装された機器が本発明の一実施形態に係る電気・電子機器であり、本発明の一実施形態に係る磁性部品が磁性シートからなる場合には、かかる磁性シートが例えば筐体や基板に貼付された機器が本発明の一実施形態に係る電気・電子機器である。具体的には、電源スイッチング回路、電圧昇降回路、平滑回路等を備えた電源装置、インバータ装置、ノートパソコン、小型携帯通信機器などが例示される。こうした電気・電子機器は、本発明の一実施形態に係る、特性劣化が生じにくい磁性部品を備えるため、動作安定性に優れる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1)
水アトマイズ法を用いて、Fe(71.4−x)at%Cr2at%Ni6at%10.8at%7.8at%2at%Siで表され、Siの添加量(x、単位:at%)が表1に示される組成になるように秤量して得られた複数種類のFe基非晶質合金からなる粉末を、磁性金属粉末として作製した。得られた磁性金属粉末の粒度分布は、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて、レーザー回折・散乱法により体積分布で測定した。その結果、メジアン径(D50)は5.2μmであった。
上記の磁性金属粉末100質量部、水溶性アクリル系樹脂からなる結着成分2質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0.3質量部を混合して、スラリーを得た。
得られたスラリーを乾燥後に粉砕し、目開き300μmのふるいおよび850μmのふるいを用いて、300μm以下の微細な粉末および850μm以上の粗大な粉末を除去して、造粒粉を得た。
上記の方法により得られた造粒粉を、金型に充填し、金型温度23℃、面圧590MPaで加圧する条件にて加圧成形し、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのトロイダル形状を有する成形体を得た。
得られた成形体を、窒素気流雰囲気の炉内に載置し、炉内温度を、室温(25℃)から昇温速度40℃/分で370℃まで加熱し、この温度にて17分間保持し、その後、炉内で室温まで冷却する熱処理を行って、上記のトロイダル形状を有する成形体からなる磁性部材を得た。
(実施例2)
水アトマイズ法を用いて、Fe(71.4−x)at%Cr2at%Ni6at%10.8at%7.8at%2at%Siで表され、Siの添加量(x、単位:at%)が表2に示される組成になるように秤量して得られた複数種類のFe基非晶質合金からなる粉末を、磁性金属粉末として作製した。複数種類のFe基非晶質合金からなる粉末を、磁性金属粉末として作製した。得られた磁性金属粉末の粒度分布は、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて、レーザー回折・散乱法により体積分布で測定した。その結果、メジアン径(D50)は12μmであった。
以下、実施例1と同様の作業を行って、磁性部材を得た。
(実施例3)
水アトマイズ法を用いて、Fe100at%−a−b−x−y−z−tNiCrSiで表され、各元素の添加量(単位:at%)が表3に示される組成になるように秤量して得られた複数種類のFe基非晶質合金からなる粉末を、磁性金属粉末として作製した。複数種類のFe基非晶質合金からなる粉末を、磁性金属粉末として作製した。得られた磁性金属粉末の粒度分布は、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて、レーザー回折・散乱法により体積分布で測定した。その結果、メジアン径(D50)は12μmであった。
以下、実施例1と同様の作業を行って、磁性部材を得た。

(試験例1)絶縁抵抗の測定
実施例により製造された成形体からなる磁性部材に対して、超絶縁計(HIOKI社製「SM−8213」)を用いて厚さ方向に100Vを印加して、抵抗測定を行い、その結果から比抵抗(単位:MΩ・m)を測定した。測定結果を表1から表3ならびに図2、図3および図6に示す。図6には、実施例2および実施例3の結果を示した。
これらの表や図に示されるように、磁性金属粉末の粒径分布が異なっていても、磁性金属粉末におけるSiの添加量を0.26at%超2.0at%以下とすることで、当該磁性金属粉末を含有する成形体からなる磁性部材の絶縁性を向上させることが可能である。また、図2、図3および図6から明らかなように、磁性金属粉末におけるSiの添加量が0.5at%の場合の成形体の比抵抗ρは、磁性金属粉末におけるSiの添加量が0.2at%の場合の成形体の比抵抗ρの10倍以上であった。図2、図3および図6から、磁性金属粉末におけるSiの添加量および磁性金属粉末の粒径は、コアの絶縁抵抗の変化に対して大きな影響を与えることが確認された。
(試験例2)比透磁率の測定
実施例により製造されたトロイダル形状を有する磁性部材をコアとして、このコアに銅線を巻き付けて、磁性部材の比透磁率を測定した(測定周波数:5MHz、アジレントテクノロジー社製「マテリアルアナライザ4291A」)。測定結果を表1から表3ならびに図4、図5および図7に示す。図7には、実施例2および実施例3の結果を示した。
これらの表および図に示されるように、磁性金属粉末におけるSiの添加量を変化させても、比透磁率には顕著な変化は認められなかった。すなわち、磁性金属粉末におけるSiの添加量を変化させることにより、かかる磁性金属粉末を含有する成形体からなる磁性部材について、その磁気特性を維持しつつ、その絶縁性を向上させることが可能であることが確認された。
本発明のFe基非晶質合金からなる磁性金属粉末を含む成形体を備える磁性部材を有する磁性部品(具体例としてインダクタンス素子が挙げられる。)は、電源装置、ノートパソコン、小型携帯通信機器などの電気・電子機器に実装される部品や組み込まれる部品として好適である。
10 インダクタンス素子
1 磁性部材
2 導電性部材
2a,2b 導電性部材2の端部
3a,3b 接続端部

Claims (8)

  1. 組成式が、Fe100at%−a−b−x−y−z−tNiCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦6at%、6.8at%≦x≦13.0at%、2.2at%≦y≦13.0at%、0at%≦z≦9.0at%、0.26at%<t≦0.69at%であり、Feの含有量が66.80at%以上71.11at%以下であることを特徴とするFe基非晶質合金。
  2. Siの添加量tは、0.27at%≦t≦0.69at%の範囲内である、請求項1記載のFe基非晶質合金。
  3. 請求項1または2に記載されるFe基非晶質合金からなることを特徴とする磁性金属粉末。
  4. 前記磁性金属粉末をレーザー回折・散乱法にて測定して得られたメジアン径(D50、単位:μm)が2μm以上15μm以下である、請求項3に記載の磁性金属粉末。
  5. 請求項3または4に記載される磁性金属粉末および結着成分を含む混合体の成形体を備えることを特徴とする磁性部材。
  6. 前記結着成分はアクリル系樹脂を含む、請求項5に記載の磁性部材。
  7. 請求項5または6に記載される磁性部材を備えることを特徴とする磁性部品。
  8. 請求項7に記載される磁性部品を備えることを特徴とする電気・電子機器。
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