JP6486095B2 - 不織布の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熱伸長性繊維を原料として用いた不織布の製造方法に関する。
熱伸長性繊維を原料として用いた不織布に関する従来の技術としては、例えば特許文献1及び2に記載のものが知られている。特許文献1には、熱伸長性繊維を含むウェブにエアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウェブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウェブを形成し、次いで周面に凹凸を有するエンボスロールと周面が平滑なフラットロールとを備えたエンボス装置によって結合ウェブをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法が記載されている。同文献においては、ウェブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定している。また、エンボス加工において、結合ウェブにおける熱風の吹き付け面をエンボスロールに当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をフラットロールに当接させている。
特許文献2には、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部及び凹部を有する不織布が記載されている。凸部を構成する繊維は、その熱伸長率が、凸部の下部よりも上部の方が高くなっている。この不織布においては、凸部の上部側が、熱伸長性原料繊維を用いて形成され、凸部の下部側が、非熱伸長性原料繊維を用いて形成されている。そして、この不織布を吸収性物品の表面シートとして用いると、表面シートの液の透過性が高くなり、透過した液の逆戻りが起こりづらくなることが同文献には記載されている。
特開2011−137249号公報 特開2011−252252号公報
特許文献1及び2に記載の技術によれば、嵩高い不織布が得られる。しかし、これらの文献に記載の技術を用いて、不織布の嵩高さを更に高めること、また、不織布を吸収性物品に用いた場合の吸収性能を改善することは容易でない。
したがって本発明の課題は、不織布の製造方法の改良にあり、更に詳細には、熱伸長性繊維を原料として用いた不織布の特性を向上させ得る製造方法を提供することにある。
本発明は、80℃での収縮率が0%以上であり、かつ136℃での伸長率が8%以上である熱融着性芯鞘型複合繊維を含むウェブを製造するウェブ製造工程、
前記ウェブ製造工程で製造された前記ウェブにエンボス加工を施し、それによって形成された複数のエンボス部において該ウェブの構成繊維どうしを固定してエンボスウェブを得るエンボス加工工程、及び
前記エンボスウェブにエアスルー方式で熱風を吹き付けるエアスルー工程を有する不織布の製造方法であって、
エンボス加工前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上に、かつ熱伸長開始温度未満の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させ、
エアスルー方式での前記熱風の吹き付けを、前記熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度以上の温度で行い、該熱融着性芯鞘型複合繊維を伸長させる、不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、嵩高く、また、吸収性物品の表面シートとして用いた場合の液拡がりを小さくし得る不織布を容易に製造することができる。
本発明の製造方法で用いられる、加熱された熱融着性芯鞘型複合繊維の温度と繊維長との関係を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の不織布の製造方法は、特定の性質を有する熱伸長性繊維を原料繊維として用いる点に特徴の一つを有する。そして本発明の製造方法では、そのような特定の熱伸長性繊維を用い、以下の(イ)ないし(ハ)の工程が行われる。
(イ)ウェブ製造工程
(ロ)ウェブのエンボス加工工程
(ハ)エアスルー工程
本発明において用いられる熱伸長性繊維は、80℃での収縮率が0%以上であり、かつ136℃での伸長率が6%以上である熱融着性芯鞘型複合繊維からなる。以下、簡便のため、この繊維のことを「熱伸長性複合繊維」という。この熱伸長性複合繊維は、これを室温から加熱していくと、80℃又はそれよりも低い温度でその長さが減少、すなわち収縮する。加熱を更に行い温度を更に上昇させると収縮が停止し、収縮から伸長に転じる。そして少なくとも136℃においては、加熱前の状態と比較して長さが長くなっている。この変化をグラフに表すと、例えば図1に示すとおりとなる。図1中、横軸は、熱伸長性複合繊維の加熱温度である。昇温速度は一定としている。縦軸は、加熱前の状態の長さからの伸長又は収縮の割合を示している。同図に示すとおり、加熱を開始すると、熱伸長性複合繊維の収縮率は増加していき、長さが短くなっていくことが判る。そして80℃付近にて収縮率は最大になる。つまり、繊維の長さが最短になる。この最大値よりも更に温度が上昇すると、収縮率が減少していく。つまり、最大収縮率の状態と比較して、長さが長くなっていく。換言すれば、収縮から伸長へと転じる。そして、90℃付近にて、熱伸長性複合繊維の伸長率はゼロとなり、加熱前の状態の長さまで復帰する。更に温度が上昇すると、熱伸長性複合繊維は加熱前の状態の長さよりも伸長する。熱伸長性複合繊維は芯成分及び鞘成分を含む。以下の説明においては、芯成分のことを繊維形成性樹脂成分、高融点成分又は第1樹脂成分とも言う。また、鞘成分のことを熱接着性樹脂成分、低融点成分又は第2樹脂成分とも言う。
熱伸長性複合繊維の熱収縮率は、次の方法で測定される。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、繊維長さが10mm以上の繊維を、繊維長さ10mmあたりの合計質量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意する。その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態で5℃/minの昇温速度で昇温させる。そのときの繊維の伸び量を測定し、そのときの温度での伸び量を読み取る。その伸び量 をBXmmとすると、熱伸長率は、次の式で表される。
(BX/10)×100(%)
この熱伸長率が0未満の時の値の絶対値を、そのときの温度の熱収縮率とする。
一方、熱伸長性複合繊維の熱伸長率は、次の方法で測定される。熱収縮率と同じ方法で測定され、熱伸長率は、次の式で表される。
(BX/10)×100(%)
この値が0以上の時の値の絶対値を、そのときの温度の熱伸長率とする。
図1に示すとおりの熱収縮・熱伸長挙動を示す熱伸長性複合繊維は、公知の方法、例えば特開2007―303035号公報の実施例1に基づき、繊維の伸縮が起こらないよう繊維の切断前に行う乾燥は常温で処理することで製造することができる。この方法においては、前記の繊維形成性樹脂成分として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレンを用いることが好ましい。一方、前記の熱接着性樹脂成分としては、繊維形成性樹脂成分よりも20℃以上低い融点を持つ結晶性熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の好ましい例としては、ポリオレフィン系樹脂や結晶性共重合ポリエステル等が挙げられる。
前記のポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、若しくはプロピレンと他のα−オレフィンからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくはペンテン−1等のα−オレフィンと、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、若しくはハイミック酸等の不飽和カルボン酸あるいはこれらのエステル、若しくは酸無水物等の極性基を有する不飽和化合物等の少なくとも1種のコモノマーとの共重合体からなる変性ポリオレフィン類等が挙げられる。
前記の結晶性共重合ポリエステルの例としては、酸成分として、主たるジカルボン酸成分をテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体とし、主たるジオール成分をエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールから1〜3種の組合せにより得られるアルキレンテレフタレートに、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸塩等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサメチレンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、ε−ヒドロキシカルボン酸、ω−ヒドロキシカルボン酸等を、ジオール成分は前述の例の他、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサメチレンジメタノール等の脂環族ジオール等を、目的の融点を呈するように共重合させたものが挙げられる。共重合率は目的の融点を呈するように共重合成分により種々調節することが望ましいが、5〜50モル%が好ましい。
本発明で用いられる熱伸長性複合繊維は、上述の熱収縮・熱伸長挙動を示すことに加えて、破断伸度(JIS L−1015:2005 8.7.1法)が130%以上、特に170%以上であることが好ましく、1200%以下、特に900%以下であることが好ましい。具体的には、130%以上1200%以下であることが好ましく、特に170%以上900%以下であることが好ましい。また、120℃乾熱収縮率(JIS L−1015:2005 8.15 b)が−1%より小さいことが好ましい。
以上のとおりの熱収縮・熱伸長挙動を示し、また以上のとおりの機械的物性値を有する熱伸長性複合繊維としては、例えば特開2007−303035号公報に記載のものを好適に用いることができる。
熱伸長性複合繊維は、芯成分である第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有する鞘成分としての第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在しているものである。熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。
熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点を持たない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での熱伸長率が0.5%以上、特に3%以上、とりわけ5%以上であることが好ましく、また20%以下であることが好ましい。具体的には、0.5%以上20%以下であることが好ましく、3%以上20%以下であることが更に好ましく、5%以上20%以下であることが一層好ましい。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。
上述した(イ)のウェブ製造工程においては、上述した熱伸長性複合繊維を含むウェブを製造する。このウェブは、この熱伸長性複合繊維のみから構成されていてもよく、あるいはこの熱伸長性複合繊維及び他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維などを用いることができる。この複合繊維は非熱伸長性繊維であることが好ましい。また、この複合繊維は熱融着性繊維であることが好ましい。この複合繊維の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの様々な形態があり、いずれの形態であっても用いることができる。複合繊維が熱融着性繊維である場合、該繊維は原料の段階で延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。ウェブが他の繊維を含む場合、該他の繊維の割合は、ウェブの質量に対して10質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、また90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。他の繊維の割合は、ウェブの質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることが更に好ましい。
ウェブの製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば熱伸長性複合繊維を含む原料繊維全体が短繊維である場合には、カード機を用いてウェブを製造するカード法を用いることができる。この場合、原料繊維の長さは、カード機の通過特性を考慮すると、例えば30mm以上70mm以下であることが好ましい。短繊維として、この長さ範囲よりも短いものを用いる場合には、ウェブの製造方法としてエアレイド法を用いることができる。これらのウェブ形成方法以外にも、ニードルパンチ法などを用いることができる。
熱伸長性複合繊維の繊度に関しては、ウェブの形成方法や、目的とする不織布の具体的な用途に応じて適切な値が選択される。例えばカード機によってウェブを製造し、かつ目的とする不織布を吸収性物品の構成材料として用いる場合には、熱伸長性複合繊維の繊度は、0.5dtex以上であることが好ましく、1.0dtex以上であることが更に好ましく、また7.0dtex以下であることが好ましく、5.0dtex以下であることが更に好ましい。熱伸長性複合繊維の繊度は、0.5dtex以上7.0dtex以下であることが好ましく、1.0dtex以上5.0dtex以下であることが更に好ましい。ここでいう繊度とは、熱の付与を受ける前の状態(すなわち、収縮及び伸長が発現する前の状態)での熱伸長性複合繊維の繊度のことである。
ウェブの坪量に関しても同様であり、目的とする不織布の具体的な用途に応じて適切な値が選択される。例えば、目的とする不織布を吸収性物品の構成材料として用いる場合には、ウェブの坪量は、10g/m以上とすることが好ましく、15g/m以上とすることが更に好ましく、また60g/m以下とすることが好ましく、40g/m以下とすることが更に好ましい。ウェブの坪量は、10g/m以上60g/m以下とすることが好ましく、15g/m以上40g/m以下とすることが更に好ましい。
ウェブは、単層構造でもよく、あるいは多層構造でもよい。ウェブが単層構造である場合、該単層構造中に熱伸長性複合繊維が含まれている。ウェブが多層構造である場合、多層構造中の少なくとも一層に熱伸長性複合繊維が含まれていればよい。当該一層は、熱伸長性複合繊維のみから構成されていてもよく、あるいは熱伸長性複合繊維及び他の繊維を含んで構成されていてもよい。ウェブが多層構造である場合には、例えば層数に対応した数のカード機を用意し、各カード機を用いてウェブを積層し、各ウェブを重ね合わせることで、目的とする構造のウェブが得られる。
このようにしてウェブが得られたら(ロ)のエンボス加工工程を行う。本工程は、例えば一対のロールを備えたエンボス加工装置を用いて行うことができる。一対のロールのうち、少なくとも一方は、周面に凹凸が形成された彫刻ロールである。他方のロールは、周面が平滑になっているアンビルロールであるか、又は前記一方のロールと噛み合い形状の凹凸が周面に形成された彫刻ロール若しくは前記一方のロールの凸部とチップ・ツー・チップで当接する凹凸が周面に形成された彫刻ロールである。各ロールは金属製、ゴム製又は紙製等であり得る。
エンボス加工装置においては、一対のロール間をウェブが通過するときに、熱及び圧力の作用によって、該ウェブに複数のエンボス部が形成され、該ウェブの構成繊維どうしが該エンボス部において固定される。その結果、ウェブは保形性を獲得して不織布の形態となる。エンボス部の形状は、目的とする不織布の具体的な用途や、該不織布に求められる特性等に応じて適切に選択される。例えば、ウェブの搬送方向に沿って連続して形成された格子状のエンボス部や、ウェブの搬送方向に対して傾斜した斜め格子状のエンボス部を形成することができる。あるいは、小さなドットや矩形などの小エンボス部が千鳥格子状等の種々のパターンで配置されるように、エンボス部を形成することができる。
エンボス加工装置においてウェブに付与される熱は、ウェブ中に含まれる熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度未満であることが好ましい。こうすることで、後述する(ハ)のエアスルー工程で、熱伸長性複合繊維を充分に伸長させることができる。
熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度は次の方法により測定される。測定装置として、セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、長さが10mm以上の繊維を、繊維長さ10mmあたりの合計質量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意する。その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態下に、5℃/minの昇温速度で、芯を構成する樹脂の融点MPC(℃)及び鞘を構成する樹脂の融点MPS(℃)のうち、高い方の融点−10℃まで昇温させる。雰囲気は、窒素とする。その際、繊維が1%の伸び量を示した温度を読み取り、その温度を熱伸長開始温度とする。
エンボス加工装置によってウェブに複数のエンボス部が形成されたら、次に(ハ)のエアスルー工程を行う。エアスルー工程では、エンボス加工後のウェブ(以下、この状態のウェブのことを「エンボスウェブ」という。)にエアスルー方式で熱風を吹き付ける。この熱風の吹き付けによってエンボスウェブに含まれる熱伸長性複合繊維を伸長させる。この目的のために、エンボスウェブに吹き付ける熱風の温度は熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度以上に設定することが好ましい。特に、熱風の吹き付け温度は、低融点成分である鞘成分の融点以上で、かつ高融点成分である芯成分の融点未満とすることが好ましく、低融点成分の融点以上〜低融点成分の融点+20℃以下で、かつ高融点成分の融点未満とすることが更に好ましい。
熱風の吹き付け速度は、エンボスウェブの坪量や厚み等にもよるが、例えば0.2m/sec以上とすることが好ましく、0.3m/sec以上とすることが更に好ましく、20m/sec以下とすることが好ましく、15m/sec以下とすることが更に好ましい。熱風の吹き付け速度は、0.2m/sec以上20m/sec以下とすることが好ましく、0.3m/sec以上15m/sec以下とすることが更に好ましい。熱風の吹き付け速度は、エンボスウェブから10cm上方の位置において、日本カノマックス株式会社製のANEMOMASTERのMODEL6162及びMODEL0203を用いて測定された値である。熱風の吹き付け時間は、熱風の温度及び風速が上述した範囲内であることを条件として、1秒以上であることが好ましく、特に5秒以上であることが好ましく、そして、40秒以下であることが好ましく、特に30秒以下であることが好ましい。
熱風の吹き付けによって熱伸長性複合繊維が伸長する。熱伸長性複合繊維はその一部が、先の(ロ)の工程で形成されたエンボス部によって固定されているので、伸長するのはエンボス部間の部分である。そして、熱伸長性繊維はその一部がエンボス部によって固定されていることによって、伸長した繊維の伸び分は、エンボスウェブの平面方向への行き場を失い、該エンボスウェブの厚み方向へ移動する。これによって、エンボス部間が隆起して凸部が形成され、目的とする不織布が嵩高になる。
以上のようにして、嵩高で厚みがあり、風合いの良好な柔らかい不織布が得られる。これらの特性を一層顕著なものとする観点から、本発明に製造方法においては、上述した(ロ)のエンボス加工工程前に、次の工程(ニ)、すなわち熱伸長性複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点Tg以上で、かつ該熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度で熱処理して、該熱伸長性複合繊維を一旦収縮させる工程を行うことが有利である。この(ニ)の工程を行うことで不織布の嵩が一層高くなる理由を、先に述べた図1を参照しながら説明する。
本発明で用いる熱伸長性複合繊維の伸長は、(ロ)のエンボス加工工程で得られたエンボスウェブに対して行われるものである。したがって、エンボスウェブ中に存在する熱伸長性複合繊維は、その熱伸長の程度が最も大きくなるような状態になっていることが望ましい。ところで図1に示すとおり、本発明で用いる熱伸長性複合繊維は、比較的低温で収縮し、それよりも高温になると伸長する性質を有するものである。したがって熱伸長性複合繊維の熱伸長の程度が最も大きくなるようにするためには、エンボスウェブ中に存在する熱伸長性複合繊維が、図1中、符号Aで示す状態にあることが有利である。熱伸長性複合繊維がこの状態にある場合には、同図中、Eで表される程度に該繊維が伸長する。この目的のために、エンボスウェブが形成される前に、つまり(ロ)のエンボス加工工程前に、熱伸長性複合繊維に比較的低温の熱を付与してこれを熱収縮させておき、同図中、符号Aで示す状態にしておく。これが前記の(ニ)の工程に当たる。符号Aで示す状態にするためには、上述のとおり、熱伸長性複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点Tg以上で、かつ該熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度で熱処理することが有利であること、及びこの熱処理をトウではなく切断後の原綿に施すことで、繊維の摩擦による収縮の不均一や繊維どうしの重なりによる不均質な熱処理を防ぎ原綿全体がAの状態になることを本発明者は知見し、この知見に基づき本発明を完成させたものである。
これに対して、熱収縮させる前の状態の熱伸長性複合繊維をエンボスウェブ中に組み込むと、(ハ)の工程において該熱伸長性複合繊維は、図1中、E(<E)で表される程度にしか伸長しない。しかも、(ハ)の工程において、熱伸長性複合繊維が伸長するのに先だって該繊維の収縮が生じ、このことは嵩高な不織布の製造にマイナスに作用する。
熱伸長性複合繊維の熱伸長の程度が最も大きくなるようにするために、(ニ)の工程における熱処理の温度は、芯を構成する樹脂のガラス転移点Tg以上で、かつガラス転移点Tgプラス40℃以下の温度に設定することが更に好ましく、60℃以上120℃以下に設定することが一層好ましい。
上述のガラス転移点Tgは、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂のベースラインの変曲点の融解開始側のベースラインと変曲点の接線の交点をTgとする。
(ニ)の工程における熱処理は、エンボスウェブの形成前であればいずれの時点で行ってもよい。例えば、(I)前記の(イ)の工程であるウェブ製造工程の前に行うことができる。あるいは、(II)(イ)の工程の完了後であって、かつエンボス加工工程の前に行うことができる。(I)と(II)の双方の時点で行っても差し支えない。(I)と(II)とを比較した場合、(I)の時点で(ニ)の工程を行うことがより好ましい。この理由は、(I)の時点においては、熱伸長性複合繊維は互いにばらばらな状態にあり、相互に干渉する程度が低いので、その状態下に(ニ)の工程を行い繊維を収縮させ、その繊維を原料として(イ)の工程を行いウェブを製造すると、そのウェブはふっくらとした状態になるからである。これに対して(II)の時点で(ニ)の工程を行うと、熱伸長性複合繊維が収縮するときに、他の繊維との干渉、特に他の線にとの摩擦に起因して、繊維がウェブ中で直線的に配列しやすくなり、該ウェブの嵩が(I)の場合よりも高くなりにくい。
(I)の時点で(ニ)の工程を行う場合には、熱伸長性複合繊維を空気中に分散させた状態下に熱処理を行うことが、ふっくらとしたウェブを一層形成しやすいことから好ましい。特に、(ニ)の工程を、熱伸長性複合繊維を開繊するための開繊機の内部で行い、かつ開繊中に開繊機内に熱風を送り、熱伸長性複合繊維を分散させながら行うことが、一層ふっくらとしたウェブが得られる点から好ましい。熱風の温度は、上述した(ニ)の工程の温度範囲内とする。
このようにして製造された不織布は、その嵩高さ、風合いの良好さ、柔らかさなどの特性を利用して、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの各種吸収性物品の構成部材、例えば表面シートなどとして好適に用いられる。また、この用途以外に、例えばセカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更に対物用のワイパーなどとしても好適に用いることもできる。不織布を例えば生理用ナプキン等の吸収性物品に用いる場合には、該不織布における凸部を有する面が着用者の肌に臨むように吸収体の上に配することができる。また、本発明の製造方法によって製造された不織布は、厚みが大きくなることに起因して、繊維間距離も大きくなる。そのため、この不織布を液が通過しやすくなり、該不織布を吸収性物品の表面シートに用いた場合に吸収体への液の移行が速やかに行われるようになる。結果として、不織布上における液拡がり面積が狭くなり、吸収性物品の着用者に湿った感じを与えることが減じられ、該吸収性物品は着用感に優れたものとなる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明の製造方法によって得られた不織布をワインダーで捲回して捲回体の状態で保存する場合には、巻き締め力によって、該不織布の嵩高さが減じられることがあるが、そのような場合には捲回体から不織布を繰り出すときに、該不織布にエアスルー方式で熱風を吹き付け、減じられた嵩高さを回復させてもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の不織布の製造方法を開示する。
<1>
80℃での収縮率が0%以上であり、かつ136℃での伸長率が8%以上である熱融着性芯鞘型複合繊維を含むウェブを製造するウェブ製造工程、
該ウェブ製造工程で製造された前記ウェブにエンボス加工を施し、それによって形成された複数のエンボス部において該ウェブの構成繊維どうしを固定してエンボスウェブを得るエンボス加工工程、及び
該エンボスウェブにエアスルー方式で熱風を吹き付けるエアスルー工程を有する不織布の製造方法であって、
エンボス加工前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上で、かつ該熱融着性芯鞘型複合繊維を熱伸長開始温度未満の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させ、
エアスルー方式での前記熱風の吹き付けを、前記熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度以上の温度で行い、該熱融着性芯鞘型複合繊維を伸長させる、不織布の製造方法。
<2>
前記ウェブ製造工程の前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上で、かつ該熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度で熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる前記<1>に記載の製造方法。
<3>
前記熱融着性芯鞘型複合繊維を空気中に分散させた状態下に、該熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上で、かつ該熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度で熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる前記<2>に記載の製造方法。
<4>
エンボス加工前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上で、かつガラス転移点プラス30℃以下の温度で熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の製造方法。
<5>
前記繊維形成性樹脂成分として、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンを用いる前記<4>に記載の製造方法。
<6>
前記熱接着性樹脂成分としては、前記繊維形成性樹脂成分よりも20℃以上低い融点を持つ結晶性熱可塑性樹脂を用いる前記<4>又は<5>に記載の製造方法。
<7>
前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂又は結晶性共重合ポリエステルからなる前記<4>ないし<6>のいずれか1に記載の製造方法。
<8>
前記熱融着性芯鞘型複合繊維は、破断伸度(JIS L−1015:2005 8.7.1法)が130%以上、特に170%以上であることが好ましく、1200%以下、特に900%以下であることが好ましい前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の製造方法。
<9>
前記熱融着性芯鞘型複合繊維は、120℃乾熱収縮率(JIS L−1015:2005 8.15 b)が−1%より小さい前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の製造方法。
<10>
前記熱融着性芯鞘型複合繊維は、第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有する第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在しており、
前記熱融着性芯鞘型複合繊維は、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点を持たない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での熱伸長率が0.5%以上20%以下である前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の製造方法。
<11>
前記ウェブは、前記熱融着性芯鞘型複合繊維のみから構成されている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の製造方法
<12>
前記ウェブは、前記熱融着性芯鞘型複合繊維及び他の繊維を含み、
前記他の繊維の割合は、前記ウェブの質量に対して10質量%以上90質量%以下である前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の製造方法。
<13>
前記熱融着性芯鞘型複合繊維は低融点成分及び高融点成分を含み、
前記熱風の吹き付け温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満とすることが好ましく、低融点成分の融点以上〜低融点成分の融点+20℃以下で、かつ高融点成分の融点未満とすることが更に好ましい前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の製造方法。
<14>
前記熱風の吹き付け速度は、0.2m/sec以上とすることが好ましく、0.3m/sec以上とすることが更に好ましく、20m/sec以下とすることが好ましく、15m/sec以下とすることが更に好ましい前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載の製造方法。
<15>
前記熱風の吹き付け時間は、1秒以上であることが好ましく、5秒以上であることが更に好ましく、40秒以下であることが好ましく、30秒以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の製造方法。
<16>
前記熱処理の温度は、前記熱融着性芯鞘型複合繊維の芯を構成する樹脂のガラス転移点以上で、かつガラス転移点プラス40℃以下の温度に設定することが好ましく、60℃以上120℃以下に設定することが更に好ましい前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載の製造方法。
<17>
前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の製造方法で製造された不織布。
<18>
吸収性物品の表面シートとして用いられる前記<17>に記載の不織布。
<19>
前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の製造方法で製造された不織布を備えた吸収性物品。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
(1)熱伸長性複合繊維の製造
特開2007−303035号公報の実施例1の記載に基づき、以下の方法で熱伸長性複合繊維を製造した。ただし本実施例においては、繊維の切断前に行う乾燥を、繊維の伸縮が起こらないようにするために常温で行った。芯成分(繊維形成性樹脂成分)にポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘成分(熱接着性樹脂成分)に高密度ポリエチレン(HDPE)を用い、芯:鞘=50:50の質量比率となるように溶融樹脂を吐出させて紡糸し、複合繊維を形成した。この操作によって得た未延伸糸を冷延伸した後、親水性繊維処理剤の水溶液に糸条を浸漬し、機械捲縮を付与した。次いで繊維長46mmに切断した。得られた熱伸長性複合繊維の単糸繊度は4.2dtex、80℃での熱収縮率は2.6%、136℃での熱伸長率は8.0%であった。
(2)不織布の製造
(1)で得られた熱伸長性複合繊維を開繊機内にて空気中で開繊した。このとき開繊機に送る熱風の温度は90℃とした。これによって熱伸長性複合繊維を熱収縮させた。
熱収縮後の繊維をカード機に供給して坪量40g/mのウェブを製造した。このウェブにエンボス加工を施し、線の幅が0.5mmである斜め格子状のエンボス部を形成した。ウェブの平面視でのエンボス部の形成面積率は14%であった。エンボス加工の温度は124℃であった。
このようにして得られたエンボスウェブに対してエアスルー方式で熱風を吹き付けた。熱風の温度は136℃、熱風の速度は0.5m/min、ウェブの搬送速度は10m/minとした。熱風の吹き付けによって熱伸長性複合繊維を熱伸長させ、目的とする不織布を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、ウェブの形成前の熱収縮を行わず、ウェブの形成後、エンボス加工の前に、該ウェブに85℃の熱風をエアスルー方式で吹き付けて、該ウェブ中の熱伸長性複合繊維を熱収縮させた。これ以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
〔比較例1〕
特開2007−303035号公報の実施例1の記載に基づき、PET/PE芯鞘型複合繊維を製造した。この繊維は、80℃での熱収縮率は−1%(つまり熱伸長率1%)、136℃での熱伸長率は8%であった。また、実施例1において、ウェブの形成前の熱処理を行わなかった。これ以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、ウェブの形成前の熱収縮を行わなかった。これ以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
〔比較例3〕
実施例1において、ウェブの形成前の熱収縮を行わなかった。また、実施例1においてエンボス加工とエアスルー方式の熱風の吹き付けとの順序を入れ替えた。これ以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布について、50g/cm荷重下での厚みをカトーテック株式会社の自動化圧縮試験機(型式KES FB3−AUTO−A)によって測定した。また、得られた不織布を生理用ナプキンの表面材として用い、液拡がりの程度を以下の方法で測定した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔液拡がりの程度の測定方法〕
測定は、吸収性物品の一例としての生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ 肌キレイガード ふつうの日用 羽なし 2014年10月本販売品)を用いて行った。この生理用ナプキンから表面シートを取り除き、その代わりに、測定対象の不織布を、前記のナプキン吸収体における前記表面シートが存していた箇所(ナプキン吸収体の肌当接面上)に、凹凸面とは反対側の面が該ナプキンの吸収体と対向するよう固定した。これによって、測定対象の不織布を表面シートとして用いた評価用の生理用ナプキンを得た。なお、表面シートをナプキンから取り除く際には、ナプキンの前後端部を幅方向に切断後、吸収体が壊れないよう力を加減しながら表面シートをナプキンから手で剥がした。
次に、得られた生理用ナプキンに脱繊維馬血3gを注入した後、可動式女性腰部モデルに装着させ、その上からショーツをはかせた後、100歩/分(50m/分)の歩行速度で10分間歩行させた。その後、更に脱繊維馬血を3g注入し同じ速度で10分間歩行させた。その後ナプキンをモデルから取り外し、更にナプキンから表面シートを取り外し、表面シート上で馬血が拡がっている面積を測定し、その値を液拡がり値とした。面積の測定は次の方法で行った。透明なフィルムを表面シートに重ね、馬血が拡がっている部分を黒く塗りつぶした。その黒い部分をフィルムから切り抜き質量を測った。そして以下の式から馬血の拡がった面積を求めた。
馬血の拡がった面積=塗りつぶしたフィルムの質量÷透明なフィルム全体の質量×透明なフィルム全体の面積
脱繊維馬血としては、株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を用いた。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業(株)製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータLアダプタ)で、15mPa・S未満であった。
Figure 0006486095
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた不織布は、同坪量の比較例の不織布に比べて厚みが大きく、嵩高いものであることが判る。また各実施例で得られた不織布を用いた生理用ナプキンは、比較例の不織布を用いた生理用ナプキンに比べて液拡がりの程度が小さいものであることが判る。

Claims (4)

  1. 80℃での収縮率が0%以上であり、かつ136℃での伸長率が8%以上である熱融着性芯鞘型複合繊維を含むウェブを製造するウェブ製造工程、
    前記ウェブ製造工程で製造された前記ウェブにエンボス加工を施し、それによって形成された複数のエンボス部において該ウェブの構成繊維どうしを固定してエンボスウェブを得るエンボス加工工程、及び
    前記エンボスウェブにエアスルー方式で熱風を吹き付けるエアスルー工程を有する不織布の製造方法であって、
    前記熱融着性芯鞘型複合繊維として短繊維を用い、
    エンボス加工前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上に、かつ熱伸長開始温度未満の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させ、
    エアスルー方式での前記熱風の吹き付けを、前記熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度以上の温度で行い、該熱融着性芯鞘型複合繊維を伸長させる、不織布の製造方法。
  2. 前記ウェブ製造工程の前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上に、かつ該熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱融着性芯鞘型複合繊維を空気中に分散させた状態下に、該熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上に、かつ該熱融着性芯鞘型複合繊維の熱伸長開始温度未満の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる請求項2に記載の製造方法。
  4. エンボス加工前に、前記熱融着性芯鞘型複合繊維を、その芯を構成する樹脂のガラス転移点以上に、かつガラス転移点プラス30℃以下の温度に熱処理して、該熱融着性芯鞘型複合繊維を一旦収縮させる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
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