JP6485249B2 - アントラセン誘導体およびこれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

アントラセン誘導体およびこれを用いた有機電界発光素子

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Description

本発明は、アントラセン誘導体およびこれを用いた有機電界発光素子に関する。より詳しくは、真空蒸着法および湿式成膜法のいずれの方法でも成膜可能であり、有機電界発光素子の構成成分として用いた場合に優れた特性を与える、機能性官能基団を有するアントラセン誘導体に関する。
有機電界発光素子は低電力駆動で薄く軽い可撓性に富む表示素子および照明を作製可能であるために次世代の発光表示素子として活発に研究が行われている。
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層がある。これらの有機層の形成方法としては、真空蒸着法や湿式成膜法が用いられる。
真空蒸着法は、良質な膜を基板に対して均一に成膜できること、積層化が容易で優れた特性の発光素子が得やすいこと、作製プロセス由来の不純物の混入が極めて少ないこと、等の利点があり、現在実用化されている有機電界発光素子の多くは低分子材料を用いた真空蒸着法によるものである。一方で、真空蒸着法で用いる真空蒸着装置は一般的に高価であり、連続生産が難しく、全ての工程を真空中で行うと、製造コストが高いという問題がある。
これに対して、湿式成膜法は、真空プロセスを必要とせず高価な真空蒸着装置が不要なため、比較的安価に層形成が可能である。また、大面積化や連続生産が可能であり、1つの層(塗布液)に様々な機能を持った複数の材料を入れることが可能である等の利点がある。一方で、湿式成膜法は、積層化が難しく、作製プロセス由来(例えば、溶媒など)の不純物を含まない良質で均一な塗膜を得ることは難しい。
低分子材料は真空蒸着法による有機電界発光素子の作製を想定しているために、溶媒への溶解性は非常に低い。湿式成膜法を想定した分子設計がなされた低分子材料は、アルキル鎖および極性基を有するものがあるが、アルキル鎖や極性基を有する低分子材料はアルキル鎖や極性基の無い低分子材料に比べ発光素子特性が劣る。
高分子材料は低分子材料と比べて良質な塗膜を得られやすいために、湿式成膜法では高分子材料が使用されるが、高分子材料は重合度や分子量分布を制御することが困難であること、連続駆動時に末端残基による劣化が起こること、高分子材料自体の高純度化が困難で不純物を含むことなどの問題があり、実用化に耐えうる性能を得ることが困難である。
加えて、さらなる有機電界発光素子の特性向上のため、化合物の開発には様々な発想を取り入れ、化合物に様々な工夫がなされている。例えば、その一つが配向性の制御である。それらは剛直で直線的な構造を有しており、配向性の化合物を構成成分として含む有機電界発光素子は、効果的に特性を改善させている。
国際公開第2001/072673号 国際公開第2012/102333号 特開2006−045503公報 特開2013−168411公報 特開2013−247179公報 米国出願公開第2013/214259公報
しかしながら、低分子材料でありながら、溶媒への溶解性が優れ、かつ有機電界発光素子の構成成分として用いた場合に優れた特性を与える材料は従来存在しなかった。本発明は、機能性官能基団により、低分子化合物の溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱的安定性、よび配向性のうちの少なくとも1つが制御されたアントラセン誘導体、望ましくは、溶解性、成膜性、湿式塗布性および配向性(さらに望ましくは熱的安定性)が制御されたアントラセン誘導体を提供し、該化合物を有機電界発光素子の構成成分として用いることで、効率、寿命および駆動電圧のうちの少なくとも1つが優れた有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、以下に示すように、メタ位で連結したオリゴフェニレン骨格が結合したアントラセン誘導体(「機能性官能基団を有するアントラセン誘導体」と呼ぶ)により、この誘導体の溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱的安定性、配向性のうちの少なくとも1つを制御できることを見出した。加えて、該機能性官能基団を有するアントラセン誘導体を用いて作製した有機電界発光素子は、効率、寿命および駆動電圧のうちの少なくとも1つが優れることを見出した。
[1] 下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
Ar−An−L−FG (1)
(上記式(1)中、
Anは下記の構造式で表され、Qはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり、その9位および10位においてそれぞれArおよびLと結合し;
Arは炭素数6〜18のアリールであり、該アリールにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置き換えられていてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、前記アルキルにおける前記アリールに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく;
Lは2つ以上の環が縮合した炭素数7〜18のアリーレンであってAnとFGとを連結し、前記アリーレンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく;
FGは下記の構造式で表され、
Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく、
FGの隣り合う炭素に結合した2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、2つのR同士が結合して環を形成していてもよく、
mはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、
nは0〜5の整数であり、
pは1〜5の整数であるが、上記式(1)が下記式(X−1)であるときpは3〜5の整数であり、上記式(1)が下記式(X−2)であるときpは2〜5の整数であり、下記式(X−1)または下記式(X−2)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
[2] pが1〜2である、上記[1]に記載のアントラセン誘導体。
[3] 上記式(1)が下記式(1−1)〜(1−10)のいずれかで表される、上記[1]または[2]に記載のアントラセン誘導体。
上記式(1−1)〜(1−10)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
[4] 上記式(1)が上記式(1−1)で表され、Qが水素である、上記[3]に記載のアントラセン誘導体。
[5] 上記式(1−1)が下記式(1−1A)で表される、上記[4]に記載のアントラセン誘導体。
上記式(1−1A)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
[6] 上記式(1−1)が下記式(1−1B)で表される、上記[4]に記載のアントラセン誘導体。
上記式(1−1B)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
[7] Arが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、5−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、または4−ピレニルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置き換えられていてもよい、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
[8] Arが、フェニル、1−ナフチル、または2−ナフチルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルで置き換えられていてもよい、上記[7]に記載のアントラセン誘導体。
[9] Rが、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
mがそれぞれ独立して0〜2の整数であり、
nが0〜2の整数であり、
pが1または2である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を含むインク組成物。
[11] さらに下記一般式(S−1)で表される化合物を含む、上記[10]に記載のインク組成物。
(上記式(S−1)中、
hはr価のベンゼンまたはナフタレンであり、
jは、それぞれ独立して、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはアミド結合であり、
kは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、
rは1〜3の整数であり、
hにおいて隣接する炭素に結合する上記(j−k)同士が結合して環を形成していてもよい。)
[12] jが単結合またはエーテル結合であり、
kが、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数7〜12のアルキルアリールである、上記[11]に記載のインク組成物。
[13] rが1である、上記[11]または[12]に記載のインク組成物。
[14] hがr価のベンゼンであり、
kが、炭素数6〜12のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニルまたはトリメチルフェニルである、上記[11]〜[13]のいずれか一項に記載のインク組成物。
[15] 200℃〜300℃の沸点を有する化合物を含む、上記[11]〜[14]のいずれか一項に記載のインク組成物。
[16] アリールアミノ基が結合した縮合芳香族化合物、またはアリールアミノ基が結合したスチリル誘導体を含有する、上記[10]〜[15]のいずれか一項に記載のインク組成物。
[17] 上記[10]〜[16]のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて作製した有機層を含む有機電界発光素子。
本発明に係る機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、その機能性官能基団により溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱的安定性および配向性を制御することが可能である。また、機能性官能基団を有するアントラセン誘導体で有機電界発光素子の各層を形成することにより、素子の寿命を長くし、駆動中の電圧上昇を抑えたり駆動電圧を低下させることが可能となる。
機能性官能基団のフェニルまたはフェニレンの個数を多くすると、有機溶媒に対する高い溶解性が得られる傾向にある。本発明における機能性官能基団はm位でフェニレンが連結している構造であるために、機能性官能基団中のフェニル−フェニル間の複数の回転が組み合わさった時に、機能性官能基団は大きな回転体積を描くことができる。言い換えれば、機能性官能基団はm位のフェニレン連結構造のために非常に柔軟性に富む。加えて、ビフェニル構造は結晶中ではフェニル環同士の成す角が0°で平面構造を取ることが知られており、機能性官能基団についても同様であると予想される。つまり、機能性官能基団は溶液中では柔軟性を有するが、成膜後には機能性官能基団の柔軟性は抑えられ、膜中では分子どうしが十分に密に充填されると考えられる。これは、キャリア輸送のパスを膜中に生じさせるためにキャリア移動度の向上および駆動電圧の低下につながる。また、膜中での分子運動が制約されるために内的および外的な熱に対しての安定性の改善につながる。したがって、機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、真空蒸着法を用いて作製された有機電界発光素子の構成成分としてのみならず、湿式塗布法のためのインク組成物および湿式塗布法を用いた有機電界発光素子の作製にも好適である。
さらには、機能性官能基団の大きさと置換位置を制御して分子を棒状にすることで、配向性を向上させることができ、蒸着時および塗布乾燥時の分子配向によりキャリア移動度を制御することができる。
本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。 バンクを有する基板にインクジェット法を用いて有機電界発光素子を作製する方法を説明する図である。
1.一般式(1)で表される機能性官能基団を有するアントラセン誘導体
本発明は、下記一般式式(1)で表されるアントラセン誘導体であり、例えば有機電界発光素子用の有機半導体化合物として有用である。
Ar−An−L−FG (1)
(上記式(1)中、
Anは下記の構造式で表され、Qはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり、その9位および10位においてそれぞれArおよびLと結合し;
Arは炭素数6〜18のアリールであり、該アリールにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置き換えられていてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、前記アルキルにおける前記アリールに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく;
Lは2つ以上の環が縮合した炭素数7〜18のアリーレンであってAnとFGとを連結し、前記アリーレンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく;
FGは下記の構造式で表され、
Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく、
FGの隣り合う炭素に結合した2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、2つのR同士が結合して環を形成していてもよく、
mはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、
nは0〜5の整数であり、
pは1〜5の整数であるが、上記式(1)が下記式(X−1)であるときpは3〜5の整数であり、上記式(1)が下記式(X−2)であるときpは2〜5の整数である。
1−1.Anで表される構造
Anは下記の構造式、アントラセン−9,10−ジイルで表され、Anの9位および10位においてそれぞれArおよびLと結合している。
1−1−2.Anへの置換基Q
Qはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシである。作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点より、水素が特に好ましい。
「炭素数1〜24のアルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点より、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。
「炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびn−エイコシルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
「炭素数1〜24のアルコキシ」としては、例えば、作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点より、炭素数1〜15のアルコキシがあげられる。さらには炭素数1〜12のアルコキシが好ましく、炭素数1〜6のアルコキシがより好ましい。具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、およびオクチルオキシなどがあげられる。
1−2.Arで表される構造
Arは置換または無置換の炭素数6〜18のアリールである。この「炭素数6〜18のアリール」については、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点より、具体的なアリールとしては、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、5−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、2−p−ターフェニル、3−p−ターフェニル、4−p−ターフェニル、2−m−ターフェニル、3−m−ターフェニル、4−m−ターフェニル、2−o−ターフェニル、3−o−ターフェニル、4−o−ターフェニル、2’−p−ターフェニル、2’−m−ターフェニル、4’−m−ターフェニル、5’−m−ターフェニル、3’−o−ターフェニル、および4’−o−ターフェニルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。これらの中でも、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、2−p−ターフェニル、3−p−ターフェニル、4−p−ターフェニル、2−m−ターフェニル、3−m−ターフェニル、4−m−ターフェニル、2−o−ターフェニル、3−o−ターフェニル、4−o−ターフェニル、2’−p−ターフェニル、2’−m−ターフェニル、4’−m−ターフェニル、5’−m−ターフェニル、3’−o−ターフェニル、および4’−o−ターフェニルが好ましく、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルがより好ましい。
1−2−1.Arへの置換基
Arにおける少なくとも1つの水素は置き換えられていていてもよく、この置換基としては、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキル、Arに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキル、少なくとも1つの水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル、または少なくとも1つの水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルが挙げられる。
「炭素数1〜24のアルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。
これらのアルキルにおける、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、また、任意の−CH−(Arに直結している−CH−を除く)は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられていてもよい。このアリーレンとしては、例えば、Arの具体例として上述したアリールの2価のものが挙げられるが、それだけに限定されない。
「炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびn−エイコシルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
「任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、2−プロポキシエトキシ、2−ブトキシエトキシ、2−エトキシ−(2−エトキシエトキシ)、および2−エトキシ−(2−エトキシ−(2−エトキシエトキシ))などが挙げられるが、それだけに限定されない。
「Arに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、メチルベンジル、エチルベンジル、およびプロピルベンジルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
「炭素数3〜24のシクロアルキル」としては、炭素数3〜12のシクロアルキルが好ましく、炭素数3〜10のシクロアルキルがより好ましく、炭素数3〜8のシクロアルキルがさらに好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキルが特に好ましい。
炭素数3〜24のシクロアルキルとしては、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどがあげられるが、それだけに限定されない。
「少なくとも1つの水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル」または「少なくとも1つの水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル」としては、具体的には、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、フェニルシクロヘキシル、およびナフチルシクロヘキシルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点から、Arへの置換基としては炭素数が少ない方が好ましく、例えば、炭素数が1〜12のものが好ましく、炭素数が1〜8のものがより好ましく、炭素数が1〜4のものがさらに好ましい。
1−3.Lで表される構造
Lは、2つ以上の環が縮合した炭素数7〜18のアリーレンであって、このアリーレンにおける任意の2つの水素がFGおよびAnで置き換えられている(LはAnとFGとを連結する)。この「炭素数7〜18のアリーレン」としては、炭素数7〜16のアリーレンが好ましく、炭素数7〜14のアリーレンがより好ましく、炭素数7〜10のアリーレンがさらに好ましい。
具体的には、例えば、下記一般式(1―1)〜(1−10)で表される構造中に示されるアリーレンが挙げられる。下記式(1−1)〜(1−10)において、AnはLにおける任意の1つの水素原子と置き換えられ、FGはLにおけるAnが置き換えられた水素原子を除く任意の1つの水素原子と置き換えられる。
なお、上記式(1−1)〜(1−10)ではAnおよびFG以外の置換基がないアリーレンを示しているが、上記式中のアリーレンにおけるAnおよびFGと置き換えられた水素原子を除く少なくとも1つの水素は、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよい。
Lは、作製された有機電界発光素子の発光特性および寿命の観点より、AnおよびFG以外の置換基がない式(1−1)〜(1−10)中のアリーレンが好ましく、特にAnおよびFG以外の置換基がない式(1−1)中のアリーレンが好ましい。
1−3−1.Lへの置換基
LにおけるAnおよびFGと置き換えられた水素原子を除く少なくとも1つの水素は置き換えられていてもよく、この置換基としては、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールが挙げられる。
「炭素数1〜12のアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたもののうち炭素数1〜12のものを引用することができる。
「炭素数3〜24のシクロアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたものを引用することができる。
「炭素数6〜12のアリール」としては、具体的には、Arで表される構造の説明で挙げたもののうち炭素数6〜12のものを引用することができる。
1−4.FGで表される構造
FGは下記の構造式で表されるアリールである。
1−4−1.フェニレンの連結数p
フェニレンの連結数pは、機能性官能基団を有するアントラセン誘導体の溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱的安定性、配向性の観点から、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
1−4−2.置換基Rの置換数mおよびn
置換基Rの置換数mおよびnについては、mについては、0〜4が好ましく、0〜2がより好ましく、0〜1がさらに好ましく、0が特に好ましく、nについては、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましく、0〜1がさらに好ましく、0が特に好ましい。
1−4−3.FGへの置換基R
FGへの置換基Rついては、機能性官能基団の柔軟性と成膜時の充填性の観点から、フェニル−フェニル結合に対して(隣接するフェニル基同士の結合位置を基準として)o位以外に置換基Rを有することが好ましく、フェニル−フェニル結合に対してより離れた位置に置換基Rを有することがより好ましい。
Rとしては、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキル、フェニルまたはフェニレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキル、少なくとも1つの水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル、または少なくとも1つの水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルが挙げられる。
「炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたものを引用することができる。
「炭素数3〜24のシクロアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたものを引用することができる。
「任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたものを引用することができる。
「フェニルまたはフェニレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基で挙げた「Arに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキル」の説明を引用することができる。
「少なくとも1つの水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル」または「少なくとも1つの水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキル」としては、具体的には、Arへの置換基の説明で挙げたものを引用することができる。
1−5.機能性官能基団を有するアントラセン誘導体の構造と発現する特性
本発明に係る機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、分子の適当な位置に、適当な長さおよび構造の機能性官能基団を配置することによって、この誘導体の溶媒への溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱的安定性、および配向性などを制御することが可能である。
1−5−1.溶媒への溶解性の制御
溶解性制御の分子設計指針の一つとして、分子への柔軟性付与がある。これは、固体分子間の凝集力を低減させ、溶解時に速やかな溶媒の浸潤を促すことによって、溶解性を改善または制御することができると考えている。一般的には、アルキル鎖が分子中へ導入されるが、有機電界発光素子として用いる場合は、アルキル鎖が分子同士の集積を阻害しキャリアパスを破壊することがあるため、有機電界発光素子の駆動電圧の上昇や移動度の低下などを招く場合もある。
このような状況において、本発明者は、m位でフェニレンが連結した構造の機能性官能基団を導入することにより、有機電界発光素子の特性を悪化させずに高い溶解性を付与できることを見出した。機能性官能基団中のフェニル−フェニル間の複数の回転が組み合わさった時に、機能性官能基団は大きな回転体積を描くことができ非常に柔軟性に富むため、機能性官能基団を付与した誘導体は高い溶解性を有することができると考えられる。溶解性の観点から言えば、機能性官能基団が長い方が高い柔軟性を有し分子に溶解性を付与できるために好ましい。また、分子全体で機能性官能基団の柔軟性を邪魔しない構造を取る方が、機能性官能基団の柔軟性は最大限に生かされ十分な溶解性が付与されるために、好ましい。
加えて、ビフェニル構造は結晶中ではフェニル環同士の成す角が0°で平面構造を取ることが知られており、機能性官能基団についても同様に固体中で平面構造をとりうる。機能性官能基団は溶液中では柔軟性を有するが、成膜後には機能性官能基団の柔軟性は抑えられ、膜中では分子どうしが十分に密に充填されると考えられる。これは、キャリア輸送のパスを膜中に生じさせるためにキャリア移動度の向上および駆動電圧の低下につながる。キャリア輸送のパスの観点から言えば、機能性官能基団が短い方が、パスを担う機能性官能基団以外の構造の密度を増加させることができるために好ましい。
1−5−2.成膜性の制御
本明細書において「成膜性」とは、真空蒸着法で成膜した膜の平滑性および均一性の尺度を示す。真空蒸着法による成膜時に、化合物の結晶性が高いと成膜直後から結晶化が進むため、膜の平滑性と均一性が得られない。
本発明における機能性官能基団によれば、分子に柔軟性を与え結晶性を減少させることができる。したがって、この機能性官能基団の付与により真空蒸着時の成膜性が改善される。
1−5−3.湿式塗布性の制御
本明細書において「湿式塗布性」とは、湿式塗布性で成膜した膜の平滑性および均一性の尺度を示す。湿式成膜時に、溶解性が低いと膜にならず結晶が析出し、一方で、溶解性が高いとピンホールや弾きなどの膜欠陥が発生する場合もある。また、厳密に言えば、他成分の溶解性と差がありすぎると成分の分離が発生したり、さらには、溶媒との相性や組成、成膜・乾燥・焼成の工程が膜質に影響し、良質な膜を得るためには各要素の緻密な調整が必要となる場合もある。したがって、分子のHOMOおよびLUMOを変えることなく溶解性を制御することが、湿式塗布性の制御につながると考えられる。
本発明における機能性官能基団によれば、HOMOやLUMOを担う機能性官能基団以外の構造に大きな影響を与えずに、溶解性の制御が可能である。また、この機能性官能基団によれば、溶解性に幅を与えることができ、インク組成物の柔軟な調整が可能となる。
1−5−4.熱的安定性の制御
有機電界発光素子の駆動時の安定性は熱的安定性(ガラス転移点)によって見積もられ、ガラス転移点を高くするためには、一つには、分子の凝集力を大きくするとよいと考えられる。つまり、溶解性を改善すればするほど、分子は柔軟になり、ガラス転移点が低くなり、熱的安定性も低くなる場合がある。
本発明における機能性官能基団によれば、分子に柔軟性を付与することができる一方で、膜中で密な充填が期待できる結果、分子運動を制約できるため、内的および外的な熱に対しての安定性の改善につながる。熱的安定性の観点から言えば、機能性官能基団が長い方が、分子を大きくすることができ、Tgを上昇させることができる。
1−5−5.配向性の制御
有機電界発光素子に用いられる化合物の特性向上を目指して、剛直な構造を分子中に持たせることで配向性を付与する検討がなされている。一般的に配向性を有する化合物は、p−ターフェニルなど剛直で直線性の高い構造を有するために、溶解性は乏しい。
しかし、本発明者らは、従来の技術常識に反して、機能性官能基団を長く、分子が棒状になるように置換することで、剛直な分子でなくとも高い配向性を与えられることを発見した。この場合、剛直で直線性の高い構造ではないため、溶解性が低下することもない。配向性の観点から言えば、機能性官能基団が長く、および、分子を棒状にすることが好ましい。また、機能性官能基団が十分に長い場合は分子が屈曲を持っていても高い配向性を発現させることが可能である。
1−6.具体的な構造
一般式(1)で表される機能性官能基団を有するアントラセン誘導体の具体例を以下に示すが、以下の誘導体に限定されるものではない。下記誘導体の中でも、下記式(1−1A−*#1)、(1−1B−*#1)、(1−1A−*#2)および(1−1B−*#2)(いずれも*はアルファベット、#は数字)で表される誘導体が好ましく、下記式(1−1A−P#1)、(1−1B−P#1)、(1−1A−P#2)および(1−1B−P#2)(いずれも#は数字)で表される誘導体がより好ましく、下記式(1−1B−P#1)および(1−1B−P#2)(いずれも#は数字)で表される誘導体がさらに好ましい。
2.一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の合成方法
一般式(1)で表される機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、公知の方法によりハロゲン化アリール誘導体とアントラセン誘導体ボロン酸を出発原料として、またはハロゲン化アリールボロン酸誘導体とハロゲン化アントラセンを出発物質として、鈴木・宮浦カップリング、熊田・玉尾・コリューカップリング、根岸カップリング、ハロゲン化反応、またはホウ酸化反応を適宜組み合わせて合成することができる。
鈴木−宮浦カップリングにおけるハロゲン化物とボロン酸誘導体は、その反応性官能基は適宜入れ替わってもよく、熊田・玉尾・コリューカップリングや根岸カップリングにおいても同様にそれらの反応に関わる官能基は入れ替わっていてもよい。またGrignard試薬に変換する場合には金属マグネシウムとイソプロピルグリニア試薬は適宜入れ替えてもよい。ボロン酸エステルはそのまま使用してもよく、あるいは酸で加水分解してボロン酸として使用してもよい。ボロン酸エステルとして用いる場合には、そのエステル部分のアルキル基は例示した以外のアルキル基も用いることができる。
反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(t−BuP)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II):Pd(dppf)Cl、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1:1):Pd(dppf)Cl・CHCl、PdCl{P(t−Bu)−(p−NMe−Ph)}:(A−taPhos)PdCl、パラジウム ビス(ジベンジリデン)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、PdCl[P(t−Bu)−(p−NMe−Ph)]:(A−taPhos)PdCl(Pd−132:商標;ジョンソン・マッセイ社製)があげられる。
また、反応を促進させるため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルがあげられる。
反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸三カリウム、またはフッ化カリウムがあげられる。
また、反応で用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、アニソール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルまたはイソプロピルアルコールがあげられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
3.インク組成物
本発明の機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、有機電界発光素子を塗布形成するためのインク組成物の構成成分として用いることができる。該インク組成物は、第1成分として一般式(1)で表される機能性官能基団を有するアントラセン誘導体を少なくとも一種、第2成分として有機溶媒の少なくとも一種、を含有する。
3−1.有機溶媒
インク組成物は、第2成分として、有機溶媒の少なくとも一種を含む。第2成分は、成膜時に溶剤の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善する。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善する。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該インク組成物より得られる発光層を有する有機電界発光素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
上記有機溶媒の沸点は、130℃〜300℃が好ましく、140℃〜270℃や150℃〜300℃がより好ましく、150℃〜250℃や200℃〜300℃がさらに好ましい。沸点が130℃より高い場合、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が300℃より低い場合、塗膜の欠陥、表面粗さ、残留溶媒および平滑性の観点から好ましい。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、第1成分のガラス転移温度(Tg)以下で行うことが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、複数の乾燥方法を併用してもよい。
有機溶媒は、例えば下記一般式(S−1)で表される化合物を用いることができる。
(上記式(S−1)中、
hはr価のベンゼンまたはナフタレンであり、
jは、それぞれ独立して、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはアミド結合であり、
kは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、
rは1〜3の整数であり、
hにおいて隣接する炭素に結合する上記(j−k)同士が結合して環を形成していてもよい。)
kにおけるアルキルとしては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。中でも、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。
kにおけるアルキルとしては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびn−エイコシルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
kにおけるシクロアルキルとしては、例えば、炭素数3〜24のシクロアルキルが挙げられる。中でも、炭素数3〜12のシクロアルキルが好ましく、炭素数3〜10のシクロアルキルがより好ましく、炭素数3〜8のシクロアルキルがさらに好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキルが特に好ましい。
kにおけるシクロアルキルとしては、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
kにおけるアリールとしては、例えば、炭素数6〜18のアリールが挙げられる。中でも、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
kにおけるアリールとしては、具体的には、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、5−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、2−p−ターフェニル、3−p−ターフェニル、4−p−ターフェニル、2−m−ターフェニル、3−m−ターフェニル、4−m−ターフェニル、2−o−ターフェニル、3−o−ターフェニル、4−o−ターフェニル、2’−p−ターフェニル、2’−m−ターフェニル、4’−m−ターフェニル、5’−m−ターフェニル、3’−o−ターフェニル、および4’−o−ターフェニルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
これらの中でも、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、2−p−ターフェニル、3−p−ターフェニル、4−p−ターフェニル、2−m−ターフェニル、3−m−ターフェニル、4−m−ターフェニル、2−o−ターフェニル、3−o−ターフェニル、4−o−ターフェニル、2’−p−ターフェニル、2’−m−ターフェニル、4’−m−ターフェニル、5’−m−ターフェニル、3’−o−ターフェニル、および4’−o−ターフェニルが好ましく、フェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルがより好ましい。
kにおけるアルキルアリール(アルキル置換アリール)としては、kとして説明したアリール基に対して、同じくkとして説明したアルキル基が置換したものが挙げられる。具体的には、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、およびトリメチルナフチルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。
rは1〜3の整数であり、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
hにおいて隣接する炭素に結合する上記(j−k)同士は、結合して環を形成していてもよい。このようにして形成された環は脂肪族環でも芳香族環でもよく、例えば、kとして説明したシクロアルキルやアリールと同じ環構造が挙げられ、h(ベンゼン環またはナフタレン環)に対してはこれらの環構造が縮合した形態となる。
3−1−1.有機溶媒の具体例
インク組成物に用いられる有機溶媒としては、具体例として、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサン−2−オール、ヘプタン−2−オール、オクタン−2−オール、デカン−2−オール、ドデカン−2−オール、シクロヘキサノール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、テルピネオール(混合物)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、クメン、トルエン、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、s−ブチルベンゼン、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、シメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、n−ブチルベンゼン、3−フルオロベンゾニトリル、デカリン(デカヒドロナフタレン)、ネオペンチルベンゼン、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、イソペンチルベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、n−アミルベンゼン、ベラトロール、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、n−ヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼン、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、n−ウンデシルベンゼン、n−ドデシルベンゼン、安息香酸プロピル、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、安息香酸ブチル、ビフェニル、2−メチルビフェニル、ジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン、2,2’−ビトリルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
3−1−2.任意成分
インク組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等が挙げられる。
3−1−2−1.バインダー
インク組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、成膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、該インク組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。さらに、半導体ポリマーをバインダーとして用いてもよい。半導体ポリマーはインク組成物より得られる膜の光学的または電気的特性を制御する役割を果たす。
インク組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
また、バインダーとして用いてもよい半導体ポリマーとしては、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられ、さらには、フルオレン、トリフェニルアミン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、フェナントレン、クリセン、トリフェニレン、ピレン、ベンゾフラン、カルバゾール、アクリジン、およびフェノチアジンなどを構造単位とする共重合体などが挙げられるが、それだけに限定されない。
インク組成物に用いられるバインダーは、一種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
3−1−2−2.界面活性剤
インク組成物は、例えば、インク組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、二種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。該インク組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−553、メガファックF−554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は一種で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
4.インク組成物の組成および物性
本発明の機能性官能基団を有するアントラセン誘導体を含む有機電界発光素子形成用のインク組成物は、第1成分と、任意成分が均一に溶解している有機溶媒(第2成分)とを含むインク組成物である。
インク組成物における各成分の含有量は、インク組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該インク組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された発光層を有する有機電界発光素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点から、第1成分がインク組成物の全重量に対して、0.01重量%〜10.0重量%、第2成分がインク組成物の全重量に対して、90.0重量%〜99.99重量%が好ましく、第1成分がインク組成物の全重量に対して、0.05重量%〜5.0重量%、第2成分がインク組成物の全重量に対して、95.0重量%〜99.95重量%がより好ましく、第1成分がインク組成物の全重量に対して、0.1重量%〜3.0重量%、第2成分がインク組成物の全重量に対して、99.9重量%〜97.0重量%がさらに好ましい。
インク組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
インク組成物の粘度としては、高粘度である方が、良好な成膜性とインクジェット法を用いた場合の良好な吐出性が得られる。一方、低粘度である方が薄い膜を作りやすい。このことから、該インク組成物の粘度は、25℃における粘度が通常は0.3mPa・s〜30mPa・sであり、0.3mPa・s〜3mPa・sや1mPa・s〜10mPa・sであることが好ましく、1mPa・s〜3mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
インク組成物の表面張力としては、低い方が良好な成膜性および欠陥のない塗膜が得られる。一方、高い方が良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、該インク組成物の粘度は、25℃における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましく、20mN/m〜30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
5.有機電界発光素子
本発明に係る上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
5−1.有機電界発光素子の構造
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
5−2.有機電界発光素子における基板
基板101は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
5−3.有機電界発光素子における陽極
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
5−4.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を使用することができる。また、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005-167175号公報)。
5−5.有機電界発光素子における発光層
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは80〜99.95重量%であり、さらに好ましくは90〜99.9重量%である。上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体はホスト材料としても使用することもできる。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体はドーパント材料としても使用することもできる
上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
また、上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体と併用することができるドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などがあげられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などがあげられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などあげられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
当該式中、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレ、スチルベニル、ジスチリルフェニル、ジスチリルビフェニリル、ジスチリルフルオレニルなどが挙げられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などがあげられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどがあげられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
特に、Arがアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArがそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンなどが挙げられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミンなどが挙げられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニル−1,8−ピレン−1,6−ジアミン、N−ビフェニル−4イル−N−ビフェニル−1,8−ピレン−1,6−ジアミン、N,N−ジフェニル−N,N−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどが挙げられる。
また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどがあげられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などがあげられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどがあげられる。
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
5−6.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たすものである。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を使用することができる。また、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香環もしくは複素芳香環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体またはボラン誘導体が好ましい。
キノリノール系金属錯体は、下記一般式(E−1)で表される化合物である。
式中、R〜Rは水素または置換基であり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
ビピリジン誘導体は、下記一般式(E−2)で表される化合物である。
式中、Gは単なる結合手またはn価の連結基を表し、nは2〜8の整数である。また、ピリジン−ピリジンまたはピリジン−Gの結合に用いられない炭素は置換されていてもよい。
一般式(E−2)のGとしては、例えば、以下の構造式のものがあげられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
ピリジン誘導体の具体例としては、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)チオフェン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,4”:2”,2”’−クアテルピリジンなどがあげられる。
フェナントロリン誘導体は、下記一般式(E−3−1)または(E−3−2)で表される化合物である。
式中、R〜Rは水素または置換基であり、隣接する基は互いに結合して縮合環を形成してもよく、Gは単なる結合手またはn価の連結基を表し、nは2〜8の整数である。また、一般式(E−3−2)のGとしては、例えば、ビピリジン誘導体の欄で説明したものと同じものがあげられる。
フェナントロリン誘導体の具体例としては、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオロ−ビ(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどがあげられる。
特に、フェナントロリン誘導体を電子輸送層、電子注入層に用いた場合について説明する。長時間にわたって安定な発光を得るには、熱的安定性や薄膜形成性に優れた材料が望まれ、フェナントロリン誘導体の中でも、置換基自身が三次元的立体構造を有するか、フェナントロリン骨格とのあるいは隣接置換基との立体反発により三次元的立体構造を有するもの、あるいは複数のフェナントロリン骨格を連結したものが好ましい。さらに、複数のフェナントロリン骨格を連結する場合、連結ユニット中に共役結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素、置換もしくは無置換の芳香複素環を含んでいる化合物がより好ましい。
ボラン誘導体は、下記一般式(E−4)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−1)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−1−1)〜(E−4−1−4)で表される化合物が好ましい。具体例としては、9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)フェニル]カルバゾール、9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)ナフタレン−1−イル]カルバゾールなどがあげられる。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。
各式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−2)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−2−1)で表される化合物が好ましい。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−3)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−3−1)または(E−4−3−2)で表される化合物が好ましい。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数14以下のアリールであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
各式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
ベンゾイミダゾール誘導体は、下記一般式(E−5)で表される化合物である。
式中、Ar〜Arはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。特に、Arが置換されてもよいアントリルであるベンゾイミダゾール誘導体が好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチレン−1−イル、アセナフチレン−3−イル、アセナフチレン−4−イル、アセナフチレン−5−イル、フルオレン−1−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−3−イル、フルオレン−4−イル、フルオレン−9−イル、フェナレン−1−イル、フェナレン−2−イル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル,9−フェナントリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、フルオランテン−1−イル、フルオランテン−2−イル、フルオランテン−3−イル、フルオランテン−7−イル、フルオランテン−8−イル、トリフェニレン−1−イル、トリフェニレン−2−イル、ピレン−1−イル、ピレン−2−イル、ピレン−4−イル、クリセン−1−イル、クリセン−2−イル、クリセン−3−イル、クリセン−4−イル、クリセン−5−イル、クリセン−6−イル、ナフタセン−1−イル、ナフタセン−2−イル、ナフタセン−5−イル、ペリレン−1−イル、ペリレン−2−イル、ペリレン−3−イル、ペンタセン−1−イル、ペンタセン−2−イル、ペンタセン−5−イル、ペンタセン−6−イルである。
ベンゾイミダゾール誘導体の具体例は、1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら二種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
5−7.有機電界発光素子における陰極
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
5−8.各層で用いてもよい結着剤
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
5−9.有機電界発光素子の作製方法
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法、レーザー加熱描画法(LITI)などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。
5−9−1.真空蒸着法
真空蒸着法は、真空中においてボートやルツボに入れた材料を加熱により気化・飛散させ、基板上に堆積させることで成膜する。真空蒸着法は、良質な膜を基板に対して均一に成膜できること、積層化が容易で優れた特性の発光素子が得やすいこと、作製プロセス由来の不純物の混入が極めて少ないこと等の利点があり、現在実用化されている有機電界発光素子の多くは低分子材料を用いた真空蒸着法によるものである。一方で、真空蒸着法で用いる真空蒸着装置は一般的に高価である等の理由から、後述する湿式成膜法の方が連続生産性や製造コストが優れている。
真空蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度160〜130Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。なお、膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。
5−9−2.湿式成膜法
本発明の機能性官能基団を有するアントラセン誘導体を用いて成膜する場合、湿式成膜法を用いることができる。
湿式成膜法は、一般的には、基板にインク組成物を塗布する塗布工程および塗布されたインク組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いるものをスピンコート法、インクジェットプリンタを用いるものをインクジェット法と呼ぶ。乾燥工程には、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で成膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、真空蒸着法と比較した場合には、湿式成膜法は積層化が難しい。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(Orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい場合がある。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機電界発光素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機電界発光素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による成膜
(手順2)正孔注入層の湿式成膜法による成膜
(手順3)正孔輸送層の湿式成膜法による成膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含むインク組成物の湿式成膜法による成膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による成膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による成膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による成膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子が得られる。
5−9−3.その他成膜法
本明細書に記載のインク組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料にインク組成物を用いることができる。
5−9−4.任意の工程
成膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等が挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
5−9−4−1.バンク(隔壁材料)
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料を用いることができる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。
バンクに用いられる材料としては、多糖類およびその誘導体、ヒドロキシルを有するエチレン性モノマーの単独重合体および共重合体、生体高分子化合物、ポリアクリロイル化合物、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー(ABS)、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン−ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマー、が挙げられるが、それだけに限定されない。
5−10.有機電界発光素子の作製例
次に、真空蒸着法およびインクジェットを用いた湿式成膜法による有機電界発光素子を作製する方法の例を示す。
5−10−1.真空蒸着法による有機電界発光素子の作製例
真空蒸着法による有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
5−10−2.インクジェットによる有機電界発光素子の作製例
図2を参考にして、バンクを有する基板にインクジェット法を用いて有機電界発光素子を作製する方法を説明する。まず、バンク(200)は基板(110)上の電極(120)の上に設けられている。この場合、インクジェットヘッド(300)より、バンク(200)間にインクの液滴(310)を滴下し、乾燥させることで塗膜(130)を作製することができる。これを繰り返し、次の塗膜(140)、さらに発光層(150)まで作製し、真空蒸着法を用い電子輸送層、電子注入層および電極を成膜すれば、バンク材で発光部位が区切られた有機電界発光素子を作製することができる。
5−11.有機電界発光素子の電気特性および発光特性の確認
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
5−12.有機電界発光素子の応用例
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平13035066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281806号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例で用いた誘導体の合成>
以下、合成例1〜18において実施例で用いた誘導体の合成について説明する。
<合成例1:誘導体(1−1B−P72)の合成>
<P3Brの合成>
1−ブロモ−3−ヨードベンゼン 42.44g(150mmol、1.0eq.)、ビフェニル−3−イルボロン酸 29.70g(1.0eq.)、炭酸ナトリウム 31.80g(2.0eq.)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 3.47g(0.02eq.)を1L三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 360mL、エタノール 90mLおよび水 90mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。透明オイルとして目的物「P3Br」が得られた(収量:26.60g、収率:57.3%)。
<P3Bpinの合成>
P3Br 26.60g(86.03mmol、1.0eq.)、ビスピナコレートジボロン 103.23g(1.2eq.)、酢酸カリウム 25.33g(3eq.)およびビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体 2.11g(0.03eq.)を1L三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でシクロペンチルメチルエーテル 300mLを加え、100℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた黄色オイルを熱メタノールに溶解させ、室温放置後に氷冷した。析出した針状結晶の目的物「P3Bpin」を回収した(収量:28.48g、収率:92.9%)。
<P4Brの合成>
1−ブロモ−3−ヨードベンゼン 3.57g(12.6mmol、1.0eq.)、P3Bpin 4.55g(1.0eq.)、炭酸ナトリウム 4.01g(3.0eq.)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.44g(0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 40mL、エタノール 10mLおよび水 10mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエン(9:1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。透明オイルとして目的物「P4Br」が得られた(収量:3.97g、収率:80.8%)。
<P4Bpinの合成>
P4Br 3.97g(10.20mmol、1.0eq.)、ビスピナコレートジボロン 3.11g(1.2eq.)、酢酸カリウム 3.00g(3eq.)およびビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体 0.25g(0.03eq.)を200mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でシクロペンチルメチルエーテル 40mLを加え、100℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。透明オイルとして目的物「P4Bpin」が得られた(収量:4.30g、収率:95.1%)。
<誘導体(1−1B−P72)の合成>
P4Bpin 2.11g(4.74mmol、1.0eq.)、7−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート 2.51g(1.0eq)、リン酸カリウム 2.01g(2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.16g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエン(3:1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P72)が得られた(収量:1.20g、収率:37.0%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例2:誘導体(1−1A−P32)および(1−1B−P42)の混合物の合成>
<14NpOTf2の合成>
1,4−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物12.6mL(74.9mmol、2.4eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタン(1:4(容量比))を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「14NpOTf2」を白色固体として得た(収量:9.23g、収率:69.6%、純度:99.8%(HPLC))。
<PA3OTfおよびPB4OTfの合成>
9−フェニルアントリル−10−ボロン酸(9PA10BA) 1.40g(4.7mmol、1.0eq.)、14NpOTf2 2.00g(4.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 1.30g(9.4mmol、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.11g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PA3OTf」および「PB4OTf」(混合物)を白色粉末としてが得た(収量:0.80g、収率:32.2%、純度:99.0%(HPLC))。
<誘導体(1−1A−P32)および(1−1B−P42)の合成>
P4Bpin 1.73g(4.00mmol、1.0eq.)、PA3OTfおよびPB4OTfの混合物 2.11g(1.0eq)、リン酸カリウム 2.54g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.14g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 12mL、エタノール 3mLおよび水 3mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P32)および(1−1B−P42)の混合物が得られた。誘導体(1−1A−P32)および(1−1B−P42)の含有量は1:4(重量)だった(収量:0.83g、収率:30.3%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例3:誘導体(1−1A−P31)の合成>
<1Np3OTfおよび3Np1OTfの合成>
1,3−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン 80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物 5.8mL(34.3mmol、1.1eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「1Np3OTf」および「3Np1OTf」を共に白色固体として得た。
1Np3OTf 収量:2.56g、収率:28.1%、純度:98.0%(HPLC)
3Np1OTf 収量:2.10g、収率:23.0%、純度:97.0%(HPLC)
<PA3OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、3Np1OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PA3OH」を白色粉末として得た(収量:1.04g、収率:39.1%、純度:98.0%(HPLC))。
<PA3OTfの合成>
PA3OH 1.04g(2.62mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.5mL(2.97mmol、1.1eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PA3OTf」を白色固体として得た(収量:0.95g、収率:68.6%、純度:98.7%(HPLC))。
<誘導体(1−1A−P31)の合成>
PA3OTf 0.95g(1.80mmol、1.0eq.)、P3Bpin 0.64g(1.0eq)、リン酸カリウム 1.15g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.06g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 5.3mL、エタノール 1.3mLおよび水 1.3mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P31)が得られた(収量:0.40g、収率:36.5%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例4:誘導体(1−1A−P32)の合成>
PA3OTf 2.11g(4.00mmol、1.0eq.)、P4Bpin 1.73g(1.0eq)、リン酸カリウム 2.54g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 12mL、エタノール 3mLおよび水 3mLを加え、還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P32)が得られた(収量:0.95g、収率:34.7%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例5:誘導体(1−1B−P41)の合成>
<PB4OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、1Np3OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PB4OH」を白色粉末として得た(収量:1.20g、収率:45.1%、純度:98.0%(HPLC))。
<PB4OTfの合成>
PB4OH 1.20g(3.03mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.6mL(3.57mmol、1.2eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PB4OTf」を白色固体として得た(収量:1.22g、収率:76.3%、純度:98.5%(HPLC))。
<誘導体(1−1B−P41)の合成>
PB4OTf 1.22g(2.31mmol、1.0eq.)、P3Bpin 0.82g(1.0eq)、リン酸カリウム 1.47g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.08g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 5.3mL、エタノール 1.3mLおよび水 1.3mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P41)が得られた(収量:0.54g、収率:38.4%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例6:誘導体(1−1B−P42)の合成>
PB4OTf 2.11g(4.00mmol、1.0eq.)、P4Bpin 1.73g(1.0eq)、リン酸カリウム 2.54g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 12mL、エタノール 3mLおよび水 3mLを加え、還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P42)が得られた(収量:1.10g、収率:40.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例7:誘導体(1−1B−P31)の合成>
<23NpOTf2の合成>
2,3−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物12.6mL(74.9mmol、2.4eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタン(1:4(容量比))を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「23NpOTf2」を白色固体として得た(収量:9.23g、収率:69.6%、純度:99.8%(HPLC))。
<PB3OTfの合成>
9PA10BA 3.00g(10.1mmol、1.0eq.)、23NpOTf2 4.26g(10.1mmol、1eq.)、炭酸カリウム 4.17g(30.2mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.35g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 24mL、エタノール 6mLおよび水 6mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PB3OTf」を白色粉末として得た(収量:1.60g、収率:30.1%、純度:97.6%以上(HPLC))。
<誘導体(1−1B−P31)の合成>
PB3OTf 1.48g(2.80mmol、1.0eq)、P3Bpin 1.00g(2.80mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 1.78g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.10g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 8mL、エタノール 2mLおよび水 2mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P31)が得られた(収量:0.58g、収率:34.0%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例8:誘導体(1−1B−P32)の合成>
PB4OTf 1.74g(3.29mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.42g(3.29mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.10g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.11g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 8mL、エタノール 2mLおよび水 2mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P32)が得られた(収量:0.74g、収率:32.8%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例9:誘導体(1−1B−P51)の合成>
<1Np6OTfおよび6Np1OTfの合成>
1,6−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン 80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物 5.8mL(34.5mmol、1.1eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「1Np6OTf」および「6Np1OTf」を共に白色固体として得た。
1Np6OTf 収量:2.67g、収率:29.3%、純度:98.4%(HPLC)
6Np1OTf 収量:2.58g、収率:28.3%、純度:99.0%(HPLC)
<PB5OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、1Np6OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PB5OH」を白色粉末として得た(収量:0.93g、収率:35.0%、純度:98.0%(HPLC))。
<PB5OTfの合成>
PB5OH 0.93g(2.35mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.5mL(2.97mmol、1.3eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PB5OTf」を白色固体として得た(収量:0.91g、収率:73.5%、純度:98.9%(HPLC))。
<誘導体(1−1B−P51)の合成>
PB5OTf 0.91g(1.72mmol、1.0eq)、P3Bpin 0.61g(1.72mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 1.10g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.06g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 4mL、エタノール 1mLおよび水 1mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P51)が得られた。収量:0.36g 収率:34.3% 純度:99.9%以上(HPLC)
<合成例10:誘導体(1−1B−P52)の合成>
<誘導体(1−1B−P52)の合成>
PB5OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 10mL、エタノール 2.5mLおよび水 2.5mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P52)が得られた(収量:1.05g、収率:40.5%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例11:誘導体(1−1A−P61)の合成>
<PA6OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、6Np1OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PA6OH」を白色粉末としてが得た(収量:1.11g、収率:41.7%、純度:98.6%(HPLC))。
<PA6OTfの合成>
PA6OH 1.11g(2.80mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.6mL(35.7mmol、1.3eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PA6OTf」を白色固体として得た(収量:0.99g、収率:67.0%、純度:99.0%(HPLC))。
<誘導体(1−1A−P61)の合成>
PA6OTf 0.99g(1.87mmol、1.0eq)、P3Bpin 0.67g(1.87mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 1.19g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.06g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 4mL、エタノール 1mLおよび水 1mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P61)が得られた(収量:0.36g、収率:31.5%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例12:誘導体(1−1A−P62)の合成>
PA6OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 10mL、エタノール 2.5mLおよび水 2.5mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P62)が得られた(収量:0.96g、収率:37.0%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例13:誘導体(1−1B−P11)の合成>
<1Np2OTfおよび2Np1OTfの合成>
1,2−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン 80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物 5.8mL(34.5mmol、1.1eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「1Np2OTf」および「2Np1OTf」を共に白色固体として得た。
1Np2OTf 収量:2.74g、収率:30.0%、純度:97.7%(HPLC)
2Np1OTf 収量:2.60g、収率:28.5%、純度:97.6%(HPLC)
<PB1OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、1Np2OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PB1OH」を白色粉末として得た(収量:1.17g、収率:44.0%、純度:98.8%(HPLC))。
<PB1OTfの合成>
PB1OH 1.17g(2.95mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.6mL(35.7mmol、1.2eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを濾去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PB1OTf」を白色固体として得た(収量:0.83g、収率:53.3%、純度:99.2%(HPLC))。
<誘導体(1−1B−P11)の合成>
PB1OTf 0.83g(1.57mmol、1.0eq)、P3Bpin 0.56g(1.57mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 1.00g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.05g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 4mL、エタノール 1mLおよび水 1mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P11)が得られた(収量:0.39g、収率:40.8%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例14:誘導体(1−1B−P12)の合成>
PB1OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 10mL、エタノール 2.5mLおよび水 2.5mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1B−P12)が得られた(収量:0.88g、収率:33.9%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例15:誘導体(1−1A−P21)の合成>
<PA2OHの合成>
9PA10BA 2.00g(6.7mmol、1.0eq.)、2Np1OTf 1.96g(6.7mmol、1eq.)、炭酸カリウム 2.78g(20.1mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.23g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PA2OH」を白色粉末として得た(収量:1.10g、収率:41.4%、純度:98.8%(HPLC))。
<PA2OTfの合成>
PA2OH 1.10g(2.77mmol、1.0eq.)をピリジン30mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物0.6mL(35.7mmol、1.3eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタンを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「PA2OTf」を白色固体として得た(収量:0.83g、収率:56.6%、純度:99.0%(HPLC))。
<誘導体(1−1A−P21)の合成>
PA2OTf 0.83g(1.57mmol、1.0eq)、P3Bpin 0.56g(1.57mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 1.00g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.06g(0.03eq.)を50mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 4mL、エタノール 1mLおよび水 1mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P21)が得られた(収量:0.33g、収率:34.5%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例16:誘導体(1−1A−P22)の合成>
PA2OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 15mL、エタノール 2.5mLおよび水 2.5mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、340℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P22)が得られた(収量:0.80g、収率:30.9%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例17:誘導体(1−1A−P41)の合成>
<14NpOTf2の合成>
1,4−ジヒドロキシナフタレン 5.00g(31.2mmol、1.0eq.)をピリジン80mLに溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物12.6mL(74.9mmol、2.4eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層は無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン−ヘプタン(1:4(容量比))を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、目的物「14NpOTf2」を白色固体として得た(収量:9.61g、収率:72.6%(HPLC)、純度:99.5%)。
<PB4OTfの合成>
9PA10BA 3.00g(10.1mmol、1.0eq.)、14NpOTf2 4.26g(10.1mmol、1eq.)、炭酸カリウム 4.17g(30.2mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.35g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 24mL、エタノール 6mLおよび水 6mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物「PB4OTf」を白色粉末として得た(収量:2.67g、収率:50.2%、純度:98.8%(HPLC))。
<誘導体(1−1A−P41)の合成>
PA4OTf 2.67g(5.06mmol、1.0eq)、P3Bpin 1.80g(5.06mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 3.22g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.18g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P41)が得られた(収量:1.09g、収率:35.4%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例18:誘導体(1−1A−P42)の合成>
PA4OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、P4Bpin 1.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 12mL、エタノール 3mLおよび水 3mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、330℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として誘導体(1−1A−P42)が得られた(収量:0.87g、収率:33.6%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考例および比較例で用いた化合物の合成>
以下、合成例19〜28において参考例および比較例で用いた化合物の合成について説明する。
<合成例19:化合物(RC−1A)の合成>
9PA10BA 2.00g(6.71mmol、1.0eq)、1−ブロモナフタレン 1.39g(6.71mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 3.22g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.18g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として化合物(RC−1A)が得られた(収量:0.97g、収率:38.0%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例20:化合物(RC−1B)の合成>
9PA10BA 2.00g(6.71mmol、1.0eq)、2−ブロモナフタレン 1.39g(6.71mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 3.22g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.18g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 16mL、エタノール 4mLおよび水 4mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として化合物(RC−1B)が得られた(収量:1.02g、収率:40.0%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例21:化合物(CH−BP72)の合成>
特許第4788202号公報を参考に合成した。
<合成例22:化合物(CH−BP41)の合成>
韓国公開特許公報KR2014−058290を参考に合成した。
<合成例23:化合物(CH−BP42)の合成>
韓国公開特許公報KR2014−058290を参考に合成した。
<合成例24:化合物(CH−AP31)の合成>
国際公開第2013/109030号公報を参考に合成した。
<合成例25:化合物(CH−AP32)の合成>
国際公開第2013/109030号公報を参考に合成した。
<合成例26:化合物(CH−BP32)の合成>
韓国公開特許公報KR2014−095727を参考に合成した。
<合成例27:化合物(CH−BP12)の合成>
韓国公開特許公報KR2014−095727を参考に合成した。
<合成例28:化合物(CH−AP22)の合成>
PA2OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、ビフェニル−3−イルボロン酸 0.75g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 15mL、エタノール 2.5mLおよび水 2.5mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた透明オイルを良溶媒にトルエン、貧溶媒にメタノール、または、ヘプタンを用いて再結晶を行い、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として化合物(CH−AP22)が得られた(収量:0.65g、収率:32.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
以下、合成例29および30において比較例で用いた化合物の合成について説明する。
<合成例29:化合物(CH−BP62)の合成>
特許第4788202号公報を参考に合成した。
<合成例30:化合物(CH−AP41)の合成>
PA4OTf 2.00g(3.79mmol、1.0eq)、フェニルボロン酸 0.64g(3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム 2.41g(3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.13g(0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン 12mL、エタノール 3mLおよび水 3mLを加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ減圧濃縮した。溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にヘプタン−トルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮し、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、黄緑色ガラス状固体として化合物(CH−AP41)が得られた(収量:0.70g、収率:40.6%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<誘導体の物性評価>
上述した合成例1〜18の誘導体の溶解性、ガラス転移温度およびイオン化ポテンシャルを評価した。また、機能性官能基団を有さない以下に示す化合物(RC−1A)および(RC−1B)を比較化合物(それぞれ、参考例1および参考例2)として用いた。
(1)溶解性試験
誘導体及び化合物10mgを量り取り、室温で撹拌しながら溶媒(トルエン、アニソール、安息香酸メチル)を加え、溶解した液量の重量を量ることで溶解度を求めた。
(2)ガラス転移温度
誘導体及び化合物2.5〜3.5mgをアルミニウムパンに量り取り、封をしサンプルを作製した。サンプルを示差走査熱量計(PerkinElmer社製、Diamond DSC)にセットし、一旦融点まで温度上昇した後急冷し、再度10K/minの昇温速度で加熱した。再加熱時に表れたピークをガラス転移温度とした。
誘導体(1−1A−P##)(##は所定の数字)シリーズについては、参考例1の化合物(RC−1A)に対するガラス転移温度の差を表1に記載した。誘導体(1−1B−P##)(##は所定の数字)シリーズについては、参考例2の化合物(RC−1B)に対するガラス転移温度の差を表2に記載した。
(3)イオン化ポテンシャル
真空蒸着法およびインク組成物から作製される単層膜のイオン化ポテンシャルを光電子分光計(住友重機械工業社製、PYS-202)を用いて測定した。
誘導体(1−1A−P##)(##は所定の数字)シリーズについては、参考例1の化合物(RC−1A)に対するイオン化ポテンシャルの差を表1に記載した。誘導体(1−1B−P##)(##は所定の数字)シリーズについては、参考例2の化合物(RC−1B)に対するイオン化ポテンシャルの差を表2に記載した。
参考例1および2の化合物と比較して、合成例1〜18の誘導体は良好な溶解性を有しており、かつ、高いガラス転移温度を有する。また、イオン化ポテンシャルは参考例1および2と比較して同程度であり、機能性官能基団を有することでイオン化ポテンシャルが大きな変化することはなかった。
<有機電界発光素子の評価(真空蒸着法)>
実施例1〜5および比較例1〜3に係る有機電界発光素子を作製し、それぞれ1000cd/m発光時の駆動電圧(V)および外部量子効率(%)を測定した後、電流密度37.5mA/cmのときに得られる輝度を初期輝度として定電流駆動したときの輝度保持時間(LT80:初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間)を測定した。
なお、発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示したものが内部量子効率である。一方、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出されるものが外部量子効率であり、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷(Elementary charge)で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
作製した実施例1〜5および比較例1〜3に係る有機電界発光素子における、各層の材料構成を下記表3に示す。
表3における、HI1、IL、HT1、GPL1、ET1、およびLiqの構造を以下に示す。
<比較例1>
スパッタリングにより180nmの厚さに成膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ILを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HT1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、CH−BP72を入れたモリブデン製蒸着用ボート、GPL1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HI1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにILが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成した。次いで、HT1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、CH−BP72が入った蒸着用ボートとGPL1が入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。CH−BP72とGPL1の重量比がおよそ95:5になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。次に、ET1が入った蒸着用ボートとLiqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。ET1とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とした。
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機電界発光素子を得た。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の駆動電圧および外部量子効率を測定した。また、輝度保持時間(LT80)を計測した。測定結果を表4に示す。
<実施例1>
化合物(CH−BP72)を誘導体(1−1B−P72)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<比較例2>
化合物(CH−BP72)を化合物(CH−BP41)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例2>
化合物(CH−BP72)を誘導体(1−1B−P41)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例3>
化合物(CH−BP72)を誘導体(1−1B−P42)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<比較例3>
化合物(CH−BP72)を化合物(CH−AP31)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例4>
化合物(CH−BP72)を誘導体(1−1A−P31)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例5>
化合物(CH−BP72)を誘導体(1−1A−P32)に替えた以外は比較例1に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、比較例1と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<発光層形成用インク組成物の溶解性の評価>
実施例6〜21および比較例4〜11に係る発光層形成用インク組成物を調製し、その濁りおよび沈殿を確認することで溶解性の評価を行った。濁りおよび沈殿のないものを「OK」、濁りまたは沈殿が起きたものを「NG」とした。
<比較例4>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP72) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<実施例6>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<実施例7>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
アニソール 99.00 重量%
<実施例8>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
安息香酸メチル 99.00 重量%
<実施例9>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.5 重量%
誘導体(1−1B−P72) 9.5 重量%
トルエン 90.0 重量%
<実施例10>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例11>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
アニソール 50.00 重量%
デカリン 49.00 重量%
<実施例12>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P72) 0.95 重量%
メシチレン 69.00 重量%
テルピネオール 30.00 重量%
<比較例5>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP41) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<比較例6>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP42) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<実施例13>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P41) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<実施例14>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P42) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<実施例15>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P42) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例16>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P42) 0.95 重量%
メシチレン 69.00 重量%
テルピネオール 30.00 重量%
<比較例7>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP31) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<比較例8>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP32) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例17>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1A−P31) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例18>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1A−P32) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<比較例9>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP32) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例19>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P32) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<比較例10>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP12) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例20>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1B−P12) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<比較例11>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP22) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
<実施例21>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
誘導体(1−1A−P22) 0.95 重量%
トルエン 69.00 重量%
デカリン 30.00 重量%
調製した発光層形成用インク組成物の溶解性評価結果をその濃度および組成と共に表7に示す。
<有機電界発光素子の評価(湿式成膜法)>
実施例22〜31および比較例12〜14に係る有機電界発光素子を作製し、それぞれ1000cd/m発光時の駆動電圧(V)および外部量子効率(%)を測定した後、電流密度37.5mA/cmのときに得られる輝度を初期輝度として定電流駆動したときの輝度保持時間(LT80:初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間)を測定した。
作製した実施例22〜31および比較例12〜14に係る有機電界発光素子における、各層の材料構成を表8に示す。
表8における、HI2、HT2およびHT3の構造を以下に示す。
<HI2溶液>
市販のHI2溶液(Clevios(TM) P VP AI4083、PEDOT:PSSの水分散液、Heraeus Holdings)を用いた。
<HT2溶液の調製>
HT2(LT−N159、OTPD、Luminescence Technology Corp製)およびIK−2(光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製)をトルエンに溶解させ、HT2濃度0.7wt%、IK−2濃度0.007wt%のHT2溶液を作製した。
<HT3溶液の調製>
HT3(ポリビニルカルバゾール)をジクロロベンゼンに溶解させ、0.7wt%HT3溶液を作製した。
<比較例12>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、HI2溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのHI2膜を成膜した(正孔注入層)。次いで、HT2溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥した。露光機で露光強度100mJ/cmで露光し、100℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの溶液に不溶なHT2膜を成膜した(正孔輸送層)。次いで、比較例4で調製した発光層形成用インク組成物をスピンコートした。
化合物(CH−BP72)は溶液に不溶であったため、HT2膜上に発光層を成膜することはできなかった。
<実施例22>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、HI2溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのHI2膜を成膜した(正孔注入層)。次いで、HT2溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥した。露光機で露光強度100mJ/cmで露光し、100℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの溶液に不溶なHT2膜を成膜した(正孔輸送層)。次いで、実施例6で調製した発光層形成用インク組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜した。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1が入った蒸着用ボートとLiqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。ET1とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とした。
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機電界発光素子を得た。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の駆動電圧および外部量子効率を測定した。また、輝度保持時間(LT80)を計測した。
<比較例13>
比較例4で調製した発光層形成用インク組成物を比較例5で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は比較例12に準じた方法で有機電界発光素子の作製を試みた。化合物(CH−BP41)は溶液に不溶であったため、HT2膜上に発光層を成膜することはできなかった。
<比較例14>
比較例4で調製した発光層形成用インク組成物を比較例6で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は比較例12に準じた方法で有機電界発光素子の作製を試みた。化合物(CH−BP42)は溶液に不溶であったため、HT2膜上に発光層を成膜することはできなかった。
<実施例23>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例13で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例24>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例14で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例25>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例17で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例26>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例18で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例27>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例19で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例28>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例20で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例29>
実施例6で調製した発光層形成用インク組成物を実施例21で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例22に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例22と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例30>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、HI2溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのHI2膜を成膜した(正孔注入層)。次いで、HT3溶液をスピンコートし、180℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚20nmのHT3膜を成膜した(正孔輸送層)。次いで、実施例12で調製した発光層形成用インク組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜した。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1が入った蒸着用ボートとLiqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。ET1とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とした。
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機電界発光素子を得た。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の駆動電圧および外部量子効率を測定した。また、輝度保持時間(LT80)を計測した。
<実施例31>
実施例12で調製した発光層形成用インク組成物を実施例16で調製した発光層形成用インク組成物に替えた以外は実施例30に準じた方法で有機電界発光素子を得た。また、実施例30と同様にして、駆動電圧、外部量子効率および輝度保持時間(LT80)を計測した。
<インク組成物の溶解性の評価>
実施例32〜44および比較例15〜24に係る発光層形成用インク組成物を調製し、その濁りおよび沈殿を確認することで溶解性の評価を行った。濁りおよび沈殿のないものを「OK」、濁りまたは沈殿が起きたものを「NG」とした。
<成膜性の評価>
調製したインク組成物の溶解性の評価において「OK」であったインク組成物(実施例6、11、実施例32〜44、比較例15および22)に関して、以下のスピンコート成膜またはインクジェット成膜で得られた膜の成膜性を評価した。成膜後に、膜に、ピンホールまたは化合物の析出またはムラのあるものを「×」、ピンホール、化合物の析出およびムラのないものを「○」、ピンホール、化合物の析出およびムラがなく、平滑性が高いもの(Ra<5nm)を「◎」で示した。
<スピンコート成膜>
厚み0.5mm、サイズ28×26mmの清浄なガラス基板に、照射エネルギー1000mJ/cm(低圧水銀灯(254nm))を照射することでUV−O処理を行った。次いで、0.3〜0.6mLのインク組成物をガラス上に滴下し、スピンコート(スロープ、5秒間を経て、500〜5000rpmで10秒間の後に、スロープ、5秒間)を行った。さらに、120℃のホットプレート上で10分間乾燥させた。
<インクジェット成膜>
200μm×30μmのバンクを形成させたガラス基板に、照射エネルギー1000mJ/cm(低圧水銀灯(254nm))を照射することでUV−O処理を行った。次いで、インクジェット装置を用いて、バンク内に滴下した。さらに、120℃のホットプレート上で10分間乾燥させた。
<インクジェット吐出安定性の評価>
調製したインク組成物のインクジェットの製膜性の評価において「◎」または「○」であったインク組成物(実施例6、11、および実施例32〜44)に関して、インクジェット吐出安定性の評価を行った。初期および24時間の静置後において、インクジェット吐出時のインクの液滴がまっすぐ飛翔し、且つ、吐出孔付近に飛沫が残らないものを「◎」、インクジェット吐出時のインクの液滴がまっすぐ飛翔したが、吐出孔付近に飛沫が残ったものを「○」、吐出が困難だったものを「×」で示した。
<比較例15>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<比較例16>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
キシレン 99.00 重量%
<比較例17>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
シクロヘキシルベンゼン 50.00 重量%
<比較例18>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
オクチルベンゼン 50.00 重量%
<比較例19>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
ジフェニルエーテル 50.00 重量%
<比較例20>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
1−メチルナフタレン 50.00 重量%
<比較例21>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−BP62) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 49.00 重量%
3−フェノキシトルエン 50.00 重量%
<比較例22>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP41) 0.95 重量%
トルエン 99.00 重量%
<比較例23>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP41) 0.95 重量%
キシレン 99.00 重量%
<比較例24>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(CH−AP42) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
シクロヘキシルベンゼン 50.00 重量%
<実施例32>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
キシレン 99.00 重量%
<実施例33>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
シクロヘキシルベンゼン 50.00 重量%
<実施例34>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
オクチルベンゼン 50.00 重量%
<実施例35>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
ジフェニルエーテル 50.00 重量%
<実施例36>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
キシレン 49.00 重量%
1−メチルナフタレン 50.00 重量%
<実施例37>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 49.00 重量%
3−フェノキシトルエン 50.00 重量%
<実施例38>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.30 重量%
<実施例39>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.15 重量%
化合物(1−1B−P72) 2.85 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.10 重量%
3−フェノキシトルエン 67.90 重量%
<実施例40>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.025 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.475 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.850 重量%
3−フェノキシトルエン 69.650 重量%
<実施例41>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
オクチルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.30 重量%
<実施例42>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
ジフェニルエーテル 69.30 重量%
<実施例43>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.05 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.95 重量%
オクチルベンゼン 29.70 重量%
ジフェニルエーテル 69.30 重量%
<実施例44>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(GPL1) 0.025 重量%
化合物(1−1B−P72) 0.475 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.554 重量%
3−フェノキシトルエン 68.961 重量%
4−フルオロアニソール 0.985 重量%
調製したインク組成物の溶解性評価結果を表11に示す。なお、測定を行っていないものは「−」で示した。表11中の「濃度」は固形分濃度(wt%)、「SC」はスピンコート成膜、「IJ」はインクジェット成膜、「吐出安定性」はインクジェット吐出安定性である。
<有機電界発光素子の評価(インクジェット成膜法)>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、バンク材を塗布・焼成する。次いで、フォトリソグラフィを用いて素子部位を溶解除去することでバンクを形成し、バンク付きガラス基板を作製する。
バンク付きガラス基板に、照射エネルギー1000mJ/cm(低圧水銀灯(254nm))を照射することでUV−O処理を行う。まず、HI2をインクジェットでバンク内部に塗布、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのHI2膜を成膜する(正孔注入層)。次に、HT3溶液をインクジェットでバンク内部に塗布、180℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚20nmのHT3膜を成膜する(正孔輸送層)。さらに、実施例33で調製した発光層形成用インク組成物をインクジェットでバンク内部に塗布、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1が入った蒸着用ボートとLiqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように蒸着する。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成する。最後に、ガラス製の封止缶を素子を覆うように封止し、有機電界発光素子を得る。
本発明の好ましい態様によれば、溶解性、成膜性、湿式塗布性および配向性(さらに望ましくは熱的安定性)が制御されたアントラセン誘導体を提供し、該誘導体を有機電界発光素子の構成成分として用いることで、効率、寿命および駆動電圧のうちの少なくとも1つが優れた有機電界発光素子を提供することができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極
110 基板
120 電極
130 塗膜
140 塗膜
150 発光層
200 バンク
300 インクジェットヘッド
310 インクの液滴

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
    Ar−An−L−FG (1)
    (上記式(1)中、
    Anは下記の構造式で表され、Qはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数1〜4のアルコキシであり、その9位および10位においてそれぞれArおよびLと結合し;
    Arはフェニルまたはナフチルであり、Arにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4アルキルで置き換えられていてもよく;
    LはナフチレンであってAnとFGとを連結し、前記ナフチレンにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく、ただし、前記ナフチレンの2位にAnが結合し、かつ8位にFGが結合することはなく
    FGは下記の構造式で表され、
    Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4アルキルで置き換えられていてもよく、
    mはそれぞれ独立して0〜2の整数であり、
    nは0〜3の整数であり、
    pは1〜3の整数であるが、上記式(1)が下記式(X−1)であるときpはであり、上記式(1)が下記式(X−2)であるときpは2または3であり、下記式(X−1)または下記式(X−2)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
  2. pが1〜2の整数である、請求項1に記載のアントラセン誘導体。
  3. Qが水素である、請求項1または2に記載のアントラセン誘導体。
  4. 上記式(1)が下記式(1−1A)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
    上記式(1−1A)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
  5. 上記式(1)が下記式(1−1B)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
    上記式(1−1B)中のAr、AnおよびFGは上記式(1)における定義と同じである。
  6. Arが、フェニル、1−ナフチル、または2−ナフチルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルで置き換えられていてもよい、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
  7. Rが、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
    mがそれぞれ独立して0〜2の整数であり、
    nが0〜2の整数であり、
    pが1または2である、請求項1〜のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を含むインク組成物。
  9. さらに下記一般式(S−1)で表される化合物を含み下記一般式(A)で表される多環芳香族化合物または下記一般式(A)で表される構造を複数有する多環芳香族多量体化合物を含まない、請求項に記載のインク組成物。
    (上記式(S−1)中、
    hはrの結合価を有するベンゼン環またはナフタレン環であり、
    jは、それぞれ独立して、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはアミド結合であり、
    kは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、
    rは1〜3の整数であり、
    hにおいて隣接する炭素に結合する上記(j−k)同士が結合して環を形成していてもよい。)
    (上記式(A)において、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    は、Bであり、
    およびX はそれぞれ独立してOまたはN−Rであり、だだしX およびX の少なくとも1つはN−Rであり、前記N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、また、前記N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、そして、
    上記式(A)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、下記一般式(FG−1)で表される基、下記一般式(FG−2)で表される基、炭素数1〜24のアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、当該アルキルにおける任意の−CH −は−O−または−Si(CH −で置換されていてもよく、当該アルキルにおける上記式(A)で表される化合物または構造に直結している−CH −を除く任意の−CH −は炭素数6〜24のアリーレンで置換されていてもよく、当該アルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。)
    (上記式(FG−1)において、
    Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH −は−O−で置換されていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している−CH −を除く任意の−CH −は炭素数6〜24のアリーレンで置換されていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置換されていてもよく、
    隣接する2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、これらは結合して環を形成していてもよく、
    mはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、
    nは0〜5の整数であり、
    pは1〜5の整数である。)
    (上記式(FG−2)において、
    Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであり、前記アルキルにおける任意の−CH −は−O−で置換されていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している−CH −を除く任意の−CH −は炭素数6〜24のアリーレンで置換されていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置換されていてもよく、前記アリールにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜24のアルキルで置換されていてもよく、
    隣接する2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、これらは結合して環を形成していてもよく、
    mは0〜4の整数であり、
    nはそれぞれ独立して0〜5の整数である。)
  10. jが単結合またはエーテル結合であり、
    kが、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数7〜12のアルキルアリールである、請求項に記載のインク組成物。
  11. rが1である、請求項9または10に記載のインク組成物。
  12. hがrの結合価を有するベンゼン環であり、
    kが、炭素数6〜12のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニルまたはトリメチルフェニルである、請求項9〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. 200℃〜300℃の沸点を有する化合物を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. アリールアミノ基が結合した縮合芳香族化合物、またはアリールアミノ基が結合したスチリル誘導体を含有する、請求項8〜13のいずれか一項に記載のインク組成物。
  15. 請求項8〜14のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて作製した有機層を含む有機電界発光素子。
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