JP6485058B2 - 低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼を取鍋に出鋼して処理する際の吸窒を防止し、低窒素鋼を経済的かつ安定して製造する低窒素鋼の溶製方法に関するものである。
近年、鋼材に要求される材質特性が高度化しており、鋼材の靭性をはじめとする特性値の向上が求められている。その際に、問題になる窒素を可能な限り低減することが必要である。窒素の悪影響を緩和するために、TiやNbを添加し窒素を窒化物として固定することも行われているが、合金コストの上昇や窒化物自体が欠陥となる問題もある。そのため、鋼中窒素濃度の低減は依然として大きな問題である。
高炉・転炉法では、高炉で製造された炭素濃度4−4.5%の溶銑を転炉で脱炭する。転炉では、大量の酸素を溶銑に吹き付けることによって、溶銑中の炭素を2C+O=2COの反応で除去する。この際に発生する大量のCOガスによって転炉吹錬終了時の窒素濃度は10ppm程度まで低下する。しかし、転炉から取鍋への出鋼時に大気に接触することにより鋼中窒素濃度は大幅に上昇する。
取鍋に収容された溶鋼は、多くの場合真空脱ガス装置で処理されるが、脱窒反応速度が遅いため脱窒量はわずかである。また、空気リークに起因する吸窒が同時に起こり、真空処理中にも関わらず窒素濃度が上昇する場合もある。真空脱ガス装置での脱窒反応促進の試みも多数行われているが、上述の出鋼時の吸窒量が多く、また、処理時間の制約もあり低窒素鋼を経済的にかつ安定的に製造するに至っていない。
このような問題点を解決すべく、出鋼時の吸窒を抑制する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、出鋼中の取鍋に炭酸マグネシウムを分割あるいは連続して投入・添加し、その分解反応(MgCO→MgO+CO)で生じたCOによって取鍋内雰囲気の窒素ガス濃度を低下させ、この分解反応で生成したCOが取鍋内から取鍋外へ流出する流量を規定することにより出鋼中の吸窒を抑制する方法が提案されている。また、特許文献2では、固体の分解で生じるCOを使う代わりに、純酸素ガスまたは窒素を含まず酸素を20体積%以上含むガスを供給し、そのガス流量を規定することにより出鋼中の吸窒を抑制する方法が提案されている。さらに、特許文献3では、取鍋の上面のほとんどを覆うシール蓋を用い、その蓋に設けた封入孔から不活性ガスを導入して取鍋内を不活性雰囲気とすることにより出鋼中の吸窒を抑制する方法が提案されている。一方、空気中の窒素と溶鋼流との接触を抑制するため、特許文献4では、出鋼前に取鍋内の窒素濃度を低下させた後に、蓋に円環状に配設されたノズルからアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする取鍋への空気巻き込み抑制方法が提案されている。
特開平8−41525号公報 特開2012−207272号公報 特開昭63−230266号公報 特開平2−285020号公報
しかしながら、上述の特許文献1の方法では問題がある。出鋼中の取鍋に炭酸マグネシウムを分割あるいは連続して投入・添加する必要があり、かつ、出鋼中の取鍋内空間のガスの連続分析をして適正なるCO発生速度に制御する必要がある。出鋼中の過酷な環境下で固体である炭酸マグネシウムの分解速度を制御しつつ出鋼時間の全域に渡って投入することは実際には困難である。
また、上述の特許文献2の方法では、単純に酸素含有ガスを供給しており、取鍋から上方空間へ向かうガスの強い上昇流に供給ガスが邪魔されて、有効に吸窒領域をシールすることができないという問題がある。また、特許文献2の図1には溶鋼の叩き込み部に供給ガスを供給することが記載されているものの、溶鋼の出鋼に伴って叩き込み部の高さは刻々と上昇する上に、転炉の傾動角度が変化するために叩き込み部の位置も移動するので、常に叩き込み部にガスを吹き込むことは難しい。
さらに、上述の特許文献3の方法では、取鍋上面のほとんどをシール蓋で覆う必要がある。しかし、出鋼中に転炉の傾動角度は刻々と変化し、転炉出鋼孔位置および出鋼孔から流出する出鋼流位置も同様に刻々と変化する。そのため、出鋼中に出鋼流位置の変化に応じて取鍋を移動させている。したがって、取鍋上面をほとんどシール蓋で覆ってしまうと、出鋼流の全てを取鍋に受けることが困難となる。また、出鋼中にはシュートから合金が投入されるため、取鍋上面のほとんどをシール蓋で覆ってしまうと合金投入が阻害されてしまう。
上述の特許文献4の方法では、出鋼中に取鍋の上部に設置した円環状のノズルからアルゴンガスを出鋼流に向けて水平方向または上方へ吹き付けたとしても、取鍋開口部からは出鋼流に熱せられた取鍋内の雰囲気ガスの上昇流が出てくるため、取鍋への出鋼流による空気巻き込みを有効に抑制することが困難である。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、出鋼時の大気からの窒素吸収を抑制する低窒素鋼の溶製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、転炉から取鍋への出鋼中の吸窒挙動を検討した結果、取鍋内空間の雰囲気中窒素ガスと出鋼流とのガスメタル界面、特に出鋼流が取鍋内の溶鋼に入る叩き込み部で吸窒反応が生じていることがわかった。また、この時、出鋼流に引っ張られる形で取鍋内の叩き込み部上部の雰囲気ガスが叩き込み部に巻き込まれることが分かった。このため、叩き込み部上部の雰囲気中窒素ガス濃度を低減することで吸窒を抑制できる。
大気中には約78%の窒素が含まれているため、単純に取鍋に出鋼した場合、叩き込み部上部の雰囲気中窒素ガス濃度は約78%となる。局所的に叩き込み部上部の窒素濃度を低減するには、雰囲気中窒素濃度を低減することに加え、蓋等によって外部、すなわち大気からの窒素供給を抑制することが重要である。ただし、出鋼中も蓋を設置するには蓋上部に開口部を設ける必要があるため、蓋を設置した場合であっても完全密封することはできず、出鋼流が通過する開口部から大気が取鍋内に流入する。また、出鋼流近傍では熱せられた雰囲気ガスが上昇流を形成するため、相対的に大気の取鍋内流入が加速されることになる。この時、取鍋上部に、出鋼流が通過する開口部を有し、取鍋内へのシールガス導入設備を備えた蓋を設置した上で、蓋の下部に設置した配管から取鍋内にシールガスを導入することで、熱せられた雰囲気ガスが蓋上部の開口部から排出されることに伴って相対的に取鍋内に流入する大気の量を低減でき、吸窒を抑制できることが判明した。すなわち、蓋とシールガス導入により、取鍋内の雰囲気ガス流れを制御し、取鍋内に進入する大気の量を減少させ、吸窒が生じる溶鋼表面近傍の窒素濃度を低位に安定させることが可能である。この時の取鍋内に流入する大気の量を直接測定することは非常に困難であるが、本発明者らが鋭意検討した結果、シールガス導入に伴う、見かけ上の取鍋開口部面積でのガス流速を管理することで、取鍋内に流入する大気の量も制御できることが判明した。
これらの対策を施した結果、ガスメタル界面での吸窒反応を抑制することが可能となり、低窒素鋼を経済的にかつ安定して溶製することができる。
このように、蓋の開口部の面積とシールガスの流量とには適正な範囲があると考え、これらの関係を明らかにした。その結果、本発明の要旨を次のように纏めることができる。
(1)精錬炉で脱炭した後、該精錬炉の出鋼孔または炉口から取鍋へ出鋼する低窒素鋼の溶製方法であって、出鋼前に前記取鍋開口部の周縁部に(1)式を満たすとともに前記取鍋内にシールガスを導入するシールガス導入設備を有する蓋を設置し、少なくとも出鋼中に前記蓋の下部から前記シールガスを(2)式を満たす流量で前記取鍋内に吹き込むことを特徴とする低窒素鋼の溶製方法。
0.3<B/A<0.8 ・・・(1)
Q/(A−B)>0.35 ・・・(2)
(1)式および(2)式中、Bは前記蓋が前記取鍋開口部を覆う面積(m)であり、Aは前記取鍋開口部の面積(m)であり、Qは前記シールガス流量(Nm/min)である。
(2)出鋼前に、前記蓋を設置した後に前記取鍋内に前記シールガスを導入して、前記取鍋内の窒素分圧を0.1atm未満にした後に出鋼することを特徴とする、上記(1)に記載の低窒素鋼の溶製方法。
本発明によれば、転炉から出鋼中の溶鋼の吸窒反応が抑制できるため、低窒素鋼を経済的かつ安定して製造することが可能となる。
図1は従来の製造方法での出鋼操作を示す図である。 図2(a)は本発明の製造方法での出鋼操作を示す図であり、図2(b)は本発明で使用する蓋の平面図である。 図3は吸窒量とQ/(A−B)の関係を示す図である。
以下、本実施の形態について図1および図2を参照しながら詳細に説明する。図1、図2中の矢印はガスの流れを示す。
1.精錬炉で脱炭した後、該精錬炉の出鋼孔または炉口から取鍋へ出鋼する
低窒素鋼を溶製する際には、高炉あるいは電気炉などから搬送された炭素濃度の高い溶鉄を転炉、電炉あるいはAODなどの精錬炉1に装入し、酸素吹錬を行い所定の炭素濃度まで脱炭(2C+O=2CO)して溶鋼にする。酸素吹錬中に多量のCOガスが発生し、炉内雰囲気ガス中の窒素濃度は著しく低下するため吹錬中に脱窒反応が生じて、溶鋼中窒素濃度は10ppm程度まで低下する。酸素吹錬終了後、溶鋼は精錬炉1から取鍋2へ出鋼され、二次精錬等での成分・温度調整等を経て、鋳造プロセスに供される。その後、加熱、圧延、熱処理、表面処理などの工程を経て製品として出荷される。
出鋼時には、精錬炉1を傾動し、炉体側面に有する出鋼孔1a、あるいは炉口1bから溶鋼を出鋼する。出鋼中には、炉体の傾動角度は刻々と変化し、出鋼孔1a/炉口1bの位置および出鋼流3の位置も同様に刻々と変化するため、取鍋2の位置も時々刻々と変化する。また、出鋼中には成分調整に必要な合金の一部/全部がシュートから投入される。
2.出鋼前に取鍋開口部の周縁部に(1)式を満たすとともに取鍋内にシールガスを導入するシールガス導入設備を有する蓋を設置する
2.1.蓋の設置およびシールガスの導入
ここで、出鋼前に取鍋開口部2a縁をカバーするように、出鋼流3が通過する開口部4aを有する蓋4を載せ、出鋼中に蓋からシールガス5を吹き込む。出鋼前に取鍋2内の大気をシールガス5で置換しても良い。出鋼前のシールガス5としてCOもしくはArを用いた場合、空気よりも重いため一時的に取鍋2内に留まる。
2.2.シールガス導入設備
本発明で使用するシールガス導入設備は蓋4に設けられており、前述の成分のシールガスを外部から導入する配管とガス流量計、圧力計および制御装置を備える。制御装置は、ガス流量計から受信したガス流量のデータに基づいて、予め定められたガス流速となるようにシールガスの流量を制御する。配管端部にはシールガスの出口が設けられている。
シールガス5を取鍋2内に導入するための出口位置は、蓋4の下部であれば特に制限は無く、蓋4の周縁部に適当な間隔を空けて配置するか、もしくはスリット羽口として連続的に配置しても良い。
また、シールガス導入設備の出口向きは、上昇流7による大気6の侵入を防ぐことができるのであれば特に限定されることがなく、取鍋底の方向、すなわち下向きであればよい。
2.3.本発明の低窒素鋼の溶製方法を用いた場合のガスの流れ
出鋼が開始されると、溶鋼に熱せられた取鍋2内の気体が取鍋2上部の開口部2aから放出されるのに伴い、相対的に取鍋2内に大気6が進入する。この時、出鋼温度域では窒素濃度が78vol%である場合、溶鋼と平衡する窒素濃度は400ppmを超えるため、急激に吸窒が進むことになる。このため、取鍋2内、特に出鋼流3が取鍋2内の溶鋼に入る叩き込み部3a周辺の窒素濃度を低下させることが必要であり、蓋4に設置したシールガス導入設備からシールガス5を導入することで取鍋2内への大気6の進入を抑制する。図1に示すように、蓋4が無く、シールガス5を導入しない場合、熱せられた雰囲気ガスが上昇流7を形成し、相対的に取鍋開口部2aの周縁から大気6が進入する。一方、図2に示すように、蓋4を設置した上で、シールガス5を導入すると、取鍋2内からの上昇流7に伴って取鍋2内から放出されるガス量が同じであっても、取鍋2内へ進入する大気6の量が抑制される。このため、吸窒が生じる叩き込み部3aでの窒素濃度が低減され、吸窒が抑制される。
2.4.(1)式の説明
図2(b)に示すように、取鍋開口部2aの面積Aと取鍋開口部2aの周縁部に設けられた蓋4が取鍋開口部2aを覆う面積Bの比B/Aは、調査範囲を下限として、0.3より大きいことが必要である。すなわち、(1)式を満たす必要がある。
0.3<B/A<0.8 ・・・(1)
(1)式中、Bは蓋4が取鍋開口部2aを覆う面積(m)であり、Aは取鍋開口部2aの面積(m)である。
B/Aが0.3よりも小さい場合、蓋の開口部4aの面積が大きくなり、多量のシールガス5が必要となるため、吸窒抑制の効果を安価に得ることが困難となる。B/Aは操業を阻害しない範囲で大きいほど吸窒抑制効果を得やすい。一方、B/Aが大きいと、開口部4aの面積は小さくなる。出鋼流3の位置は時間によって刻々と変化することに加え、出鋼時は合金添加等の処理が行われる。このため、開口部4aが狭すぎると、出鋼流3が蓋4の内周縁4bに接触して飛散してしまい、出鋼歩留りが低下してしまう。このような操業阻害を起こさないためにも、B/Aは0.8よりも小さいことが必要である。なお、開口部4aの形状は円形に限定されることはなく、楕円もしくは矩形といった形状でも良い。また、開口部4aの位置も特に限定されることがなく、平面視で蓋4の中央部に配置されていてもよく、蓋4の外周縁側に偏って配置されていてもよい。開口部4aがいずれの位置であっても、(1)式および(2)式を満たせば、十分な流量の上昇流7により大気6の侵入を防ぐことが可能となる。
3.少なくとも出鋼中に蓋の下部からシールガスを(2)式を満たす流量で取鍋内に吹き込む
3.1.(2)式の説明
シールガス5としてはCO、Arの単独、もしくは両者の混合したガスを用いることができる。また、左記のガスにOを加えた混合ガスを用いても良い。シールガス5は蓋4の下部から取鍋2内に導入される。
この時、吸窒効果を得るには、取鍋2に蓋4を設置すると共に、蓋4の下部から導入するシールガス5の流量Qを、蓋4の開口部4aの面積(取鍋開口部2aの空間の面積A−蓋4が取鍋開口部2aを覆う面積B)で除したQ/(A−B)、すなわちシールガス5の導入に伴う、見かけ上の蓋4の開口部4aでの排出ガス(上昇流7)の流速が0.35m/minよりも大きいことが必要である。すなわち下記(2)式を満たす必要がある。
Q/(A−B)>0.35 ・・・(2)
(2)式中、Qはシールガス5の流量(Nm/min)である。
Q/(A−B)が0.35m/min以下である場合、相対的に取鍋2内への大気6の進入速度が大きくなり、窒素濃度の高い大気6が叩き込み部3aまで到達することになるため、吸窒を抑制することができない。Q/(A−B)が0.35m/minよりも大きい場合、取鍋2内への大気6の進入速度が遅くなるため、例え大気6が取鍋2内に進入しても熱せられたガスによる上昇流7と共に排出され、吸窒が生じている叩き込み部3aまで大気6は到達しない。すなわち、叩き込み部3aの周囲は、蓋4の下部より導入したシールガス5で窒素濃度が希釈されたガスに覆われることになる。出鋼前後での窒素量の差であるΔ[N]を10ppm以下に低減する場合には、Q/(A−B)が1.0m/min以上とすることが望ましい。
3.2.シールガスの導入時期および出鋼前にシールガスを導入する場合における取鍋内の窒素分圧
シールガスは少なくとも出鋼中に導入される必要がある。溶鋼の叩き込み部からの吸窒を抑制するためである。
また、吸窒抑制効果をより効果的に得るためには、出鋼中に加え、出鋼前に取鍋2内にシールガス5を導入し、取鍋2内の窒素分圧を0.1atm未満にしておくことが望ましい。蓋4が無く、シールガス5を流さない通常の出鋼の場合、出鋼が始まると取鍋2内の雰囲気ガスの多くは上昇流7に乗って大気に散逸するが、本発明では蓋4を設置していることに加え、シールガス5を流すことで開口部4aからの取鍋2内への大気6の進入が抑制されることで、蓋4やシールガス5が無い場合の出鋼の場合と比較して、取鍋2内の窒素濃度を低位に維持できる。
出鋼前の取鍋2内の窒素分圧を測定するのは困難であるが、取鍋2内をCOで置換し、取鍋2内で採取したガスのCO濃度を測定した上で、空気中の窒素濃度である78vol%を乗ずることで、窒素分圧を算出できる。シールガス5としてArを用いる場合、COで置換する場合と同じ時間Arを導入することで、窒素分圧を0.1atm未満に制御できる。
開口部4aがあるため、取鍋2内を完全にシールガス5で置換することは困難であるが、取鍋2内の窒素分圧を0.1atm未満とした直後に出鋼を開始することで、吸窒効果を効果的に得られる。出鋼前に取鍋2内にシールガス5を導入する場合、出鋼中も継続してシールガス5を導入することが望ましい。
上記のように本発明を用いることで、出鋼時に窒素濃度の上昇量を抑制することができるので、低窒素鋼を経済的にかつ安定的に溶製することができる。
このような溶製方法は、炭素鋼に非常に有効であるが、炭素鋼以外のステンレス鋼・合金鋼の溶製にも有効である。
以下に示す溶鋼の実施例および比較例の条件で出鋼時の吸窒挙動評価試験を行った。
まず、高炉から供給された溶銑(炭素含有量4.5質量%)を転炉へ装入し酸素吹錬を行った。転炉吹錬後の成分は、[C]=0.05〜0.15質量%、[Si]=0.02質量%以下、[Mn]=0.1〜0.4質量%、[P]=0.01〜0.03質量%、[N]=8〜12ppmである。処理量は290〜300tonであり、出鋼時間は5分であり、取鍋開口部の面積Aは12.7mであった。蓋に設置したシールガスを導入する配管は8本であり、開口部を囲むように同じ間隔で配置し、シールガス導入設備の配管の出口は鉛直下向きとした。
出鋼後の取鍋内溶鋼をサンプリングし、出鋼前後の窒素濃度の変化量Δ[N](ppm)を吸窒量として評価した。出鋼条件および吸窒量を表1に示す。出鋼の際、出鋼を開始して2分後に出鋼流に巻き込ませる形でAlを含む合金を投入した。シールガスとしてはCOもしくはArガスを使用した。表1に記載したCおよびAl濃度は、出鋼後の取鍋内溶鋼の成分である。試験結果を以下に示す。以下、Δ[N]が15ppm以下であった場合、発明の効果があったと判断した。
試験No.1(比較例)は、通常通りに、転炉から、蓋の無い取鍋へ出鋼した結果、Δ[N]=22ppmであった。
試験No.2からNo.4まで(比較例)は取鍋上端の縁部に蓋(B/A=0.15)を載せて蓋の下部からArガスを3.2から12Nm/min流したが、Δ[N]は20から16ppmであり、(1)式を満たさなかったために発明の効果は認められなかった。
試験No.5からNo.7(比較例)は蓋(B/A=0.31もしくは0.46)を載せ、試験No.5は出鋼中のシールガスを導入無しとし、試験No.6、No.7はシールガス流量を2Nm/minとしたが、Δ[N]は20から21ppmであり、(2)式を満たさなかったために発明の効果は認められなかった。
試験No.8からNo.21(発明例)は蓋(B/A=0.31から0.79)を載せ、出鋼中にシールガスを2から12Nm/min導入した。これらの条件では出鋼前後のΔ[N]が6から13ppmであり、発明の効果が見られた。
また、試験No.22(比較例)では開口部の少ない蓋(B/A=0.85)を用いたところ、Δ[N]は5ppmと良好であったが、出鋼流が蓋と接触する操業トラブルが生じ、出鋼歩留りが0.5%低下した。
上記した結果から、取鍋に蓋を載せてシールガスを吹き込むことで出鋼前後の吸窒が抑制できることが分かる。シールガスとしてCOとArを用いた両方で吸窒抑制効果が見られたことから、CO、Arともにシールガスに利用できることが分かる。また、B/Aが0.15である蓋を使った場合、シールガス流量を増量した条件であっても十分な吸窒抑制効果が得られておらず、発明の効果を得るには蓋のB/Aが0.30より大きい条件とする必要があることが分かる。一方、吸窒抑制にはB/Aを大きくしたほうが良いが、開口部を狭くしてB/Aが0.8を超える蓋を用いた場合、操業トラブルが生じる頻度が増加することから、本発明において発明の効果を得る蓋のB/Aは0.8未満である。
図3に吸窒量とQ/(A−B)の関係を示す。図3において、▲印はB/A、もしくはQ/(A−B)が本発明要件を満たしていない条件での値、○印はB/Aが本発明要件を満たす条件での値である。B/Aが0.3から0.8の範囲で、かつ、Q/(A−B)が0.35より大きい条件で、操業トラブルを生じることなく出鋼前後の吸窒抑制効果が得られていることが分かる。
図3において、△、◎印は出鋼前に取鍋内をCOで置換した試験No.13、14、18の値であるが、△印(No.13)は出鋼前の取鍋内の窒素分圧が0.31atm、◎印(No.14、18)は取鍋内の窒素分圧が0.1atm未満であった条件での値である。No.12とNo.13の比較から、出鋼前に取鍋内にシールガスを導入した条件であっても、窒素分圧が0.31では、吸窒抑制効果が更に改善される効果は見られていない。一方、No.12とNo.14、および、No.17、No.18との比較から、出鋼前に取鍋内にシールガスを導入し、窒素分圧を0.1atm未満とした条件では、出鋼前にシールガスを導入しない条件と比較して、更に吸窒が抑制されていることが分かる。
以上から、経済的に(すなわち、歩留を維持しつつ)低窒素鋼を溶製するには、本発明条件を満たす必要があることがわかる。
溶鉄の出鋼時の吸窒を防止できるため、低窒素鋼の溶製方法において有益である。
1 精錬炉、1a 出鋼孔、1b 炉口、2 取鍋、2a (取鍋)開口部、3 出鋼流、3a 叩き込み部、4 蓋、4a (蓋の)開口部、5 シールガス、6 大気、7 上昇流

Claims (2)

  1. 精錬炉で脱炭した後、該精錬炉の出鋼孔または炉口から取鍋へ出鋼する低窒素鋼の溶製方法であって、出鋼前に前記取鍋開口部の周縁部に(1)式を満たすとともに前記取鍋内にシールガスを導入するシールガス導入設備を有する蓋を設置した上で
    前記蓋の下部に設置した配管から前記取鍋内にシールガスを導入することで、熱せられた雰囲気ガスが前記蓋の開口部から排出されることに伴って相対的に前記取鍋内に流入する大気の量を低減するように、少なくとも出鋼中に前記蓋の下部から前記シールガスを(2)式を満たす流量で前記取鍋内に吹き込むことを特徴とする低窒素鋼の溶製方法。
    0.3<B/A<0.8 ・・・(1)
    Q/(A−B)>0.35 ・・・(2)
    (1)式および(2)式中、Bは前記蓋が前記取鍋開口部を覆う面積(m)であり、Aは前記取鍋開口部の面積(m)であり、Qは前記シールガス流量(Nm/min)である。
  2. 出鋼前に、前記蓋を設置した後に前記取鍋内に前記シールガスを導入して、前記取鍋内の窒素分圧を0.1atm未満にした後に出鋼することを特徴とする、請求項1に記載の低窒素鋼の溶製方法。
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