JP6484339B2 - 船舶の舵配置構造 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶の舵配置構造に関するものである。
従来、図8に示すように、船舶の船体5の船尾部には、プロペラ軸2に取り付けられたプロペラ1、及びラダーホーン4に取り付けられた舵100が配置されており、舵100は回転軸Aを中心に回転するようになっている。ここで、舵の形状要素として船長方向の長さであるコード長があり、図8(a)に示す舵100aのコード長Lよりも、図8(b)に示す舵100bのコード長Lの方が短くなっている。そして、コード長が短い分だけ、図8(b)のプロペラ1の方が図8(a)のプロペラ1よりも後方に位置している。
一方、プロペラと舵の配置について、1つのプロペラと1つの舵を有する船舶においては、図9に示すように、プロペラ1後方の船体中心線C上(プロペラ軸2の延長線上)に、舵100が配置される。図9(a)は、プロペラと舵の配置を船体後方から見た図であり、図9(b)は、プロペラと舵の配置を船体上方から見た図である。また、符号3はプロペラ1が回転時に描くプロペラ面を示しており、プロペラ面3の周りの矢印はプロペラ1の回転方向を示している。また、符号Pは左舷方向を示しており、符号Sは右舷方向を示している。
また、プロペラと舵の配置について、1つのプロペラと2つの舵を有する船舶においては、図10に示すように、プロペラ1後方の船体中心線C(プロペラ軸2の延長線)から両舷側に向けて等距離(D101=D102)だけ離れた位置に、舵101,102が配置される。図10(a)は、プロペラと舵の配置を船体後方から見た図であり、図10(b)は、プロペラと舵の配置を船体上方から見た図である。また、符号3はプロペラ1が回転時に描くプロペラ面を示しており、プロペラ面3の周りの矢印はプロペラ1の回転方向を示している。また、符号Pは左舷方向を示しており、符号Sは右舷方向を示している。従って、舵101,102は、プロペラ1のプロペラ面3内に左右対称に配置された状態になっている。
さらに、プロペラと舵の配置について、特許文献1及び特許文献2には、プロペラ後方の船体中心線上に配置された1つの舵とは別に、船体の両舷側にそれぞれ舵を配置した発明が記載されている。
また、特許文献3には、左右の舵にひねりを設けて舵自体の形状を左右非対称にすることにより、舵に当たるプロペラ後流による抵抗を減少させて推進性能を向上させるようにした発明が記載されている。
実開平4−1098号公報 実開昭61−171691号公報 特開2010−95239号公報
ところで、港湾制限等により船舶の全長が制限されると、プロペラや舵の配置が難しく、また船型や主機の大型化による船尾肥大度が増大すると性能悪化に繋がり、性能の改善が難しいという問題がある。
これに対して、図8(b)に示すように、舵のコード長を短くすることができれば、船尾配置が容易になるとともに、船尾肥大度を減少させることができるが、反対に舵の効きが悪化するため操縦性能は低下してしまう。
一方、図10に示す舵101,102や、特許文献1及び特許文献2に示す船体両舷側に舵を追加したもののように、舵の数を増やすことにより操縦性能を向上させることが考えられるが、舵の数の増加は推進性能の悪化に繋がる。
また、特許文献3に記載された発明は、左右の舵自体の形状を左右非対称にすることによる推進性能の向上を目的としたものであって、操縦性能の向上を目的としたものではない。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、舵のコード長を短くして船尾配置を容易にしながら操縦性能と推進性能を両立させることの可能な、船舶の舵配置構造を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明の船舶の舵配置構造は、1つのプロペラと複数の舵を有する船舶の舵配置構造であって、前記複数の舵の回転軸を前記プロペラのプロペラ面内に左右非対称に設けて、前記複数の舵を前記プロペラのプロペラ面内に左右非対称に配置したことを特徴とする。
なお、「舵の回転軸をプロペラ面内に設ける」とは、舵の回転軸の左右方向の位置(船体幅方向の位置)を船体後方から見た場合に、プロペラが回転時に描くプロペラ面の左右方向の範囲内に含まれていることをいう。また、「舵の回転軸を左右非対称に設ける」とは、舵の回転軸の左右方向の位置(船体幅方向の位置)を船体後方から見た場合に、プロペラ面中央を基準としたときの左右の舵の回転軸の位置が対称となっていないことをいう。
同様に、「舵をプロペラ面内に配置する」とは、舵の左右方向の位置(船体幅方向の位置)を船体後方から見た場合に、プロペラが回転時に描くプロペラ面の左右方向の範囲内に含まれていることをいう。また、「舵を左右非対称に配置する」とは、舵の左右方向の位置(船体幅方向の位置)を船体後方から見た場合に、プロペラ面中央を基準としたときの左右の舵の位置が対称となっていないことをいう。
また好ましくは、前記複数の舵のうち1つの舵の回転軸を前記プロペラ面内の中央に設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記複数の舵のうち前記プロペラ面内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、前記プロペラ面内の左右いずれかの側に設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記複数の舵のうち前記プロペラ面内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、前記プロペラ面内の回転時にプロペラが降下する側に設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記複数の舵のうち1つの舵の回転軸を前記プロペラ面内の左右いずれかの側に中央から間隔を空けて設け、前記複数の舵のうち残りの舵の回転軸を前記プロペラ面内の反対側に中央からより大きな間隔を空けて設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記複数の舵が2つであることを特徴とする。
本発明によれば、1つのプロペラと複数の舵を有する船舶の舵配置構造において、複数の舵の回転軸をプロペラのプロペラ面内に左右非対称に設けることにより、複数の舵をプロペラのプロペラ面内に左右非対称に配置することができるので、1方向に回転するプロペラによるプロペラ後流の整流効果を得ることができる。従って、船尾配置を容易にするために舵のコード長を短くした場合に、1つの舵よりも操縦性能が向上するとともに、複数の舵を左右対称に配置するよりも推進性能が低下しにくい。また、舵のコード長を短くして船尾配置を容易にし、抵抗の小さな細長い船型を設計することができるので、船体自体の推進性能を向上させることができる。
また、複数の舵のうち1つの舵の回転軸をプロペラ面内の中央に設けた場合には、複数の舵のうち1つの舵をプロペラ面内の中央に配置して、中央に配置した舵の性能をより引き出すことができる。
また、複数の舵のうちプロペラ面内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、プロペラ面内の左右いずれかの側に設けた場合には、複数の舵を容易に左右非対称に配置することができる。
また、複数の舵のうちプロペラ面内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、プロペラ面内の回転時にプロペラが降下する側に設けた場合には、1方向に回転するプロペラによるプロペラ後流の整流効果を高めることができ、操縦性能と推進性能を高いレベルで両立させることができる。
また、複数の舵のうち1つの舵の回転軸をプロペラ面内の左右いずれかの側に中央から間隔を空けて設け、複数の舵のうち残りの舵の回転軸をプロペラ面内の反対側に中央からより大きな間隔を空けて設けた場合には、中央に舵を配置しない場合であっても、複数の舵を容易に左右非対称に配置することができる。
また、複数の舵を2つとした場合には、舵の数が少ないため構造をあまり複雑化させることなく、左右非対称に配置することができる。
以上、本発明によれば、舵のコード長を短くして船尾配置を容易にしながら操縦性能と推進性能を両立させることの可能な、船舶の舵配置構造を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施形態2に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施形態3に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施形態4に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施形態5に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施形態6に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 実施例及び比較例における船舶の舵配置構造を示す図である。 船舶の船尾部分を示す側面図である。 従来例に係る船舶の舵配置構造を示す図である。 従来例に係る船舶の舵配置構造を示す図である。
次に、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る船舶の舵配置構造について説明する。まず、以下の実施形態1乃至実施形態6において共通する事項について説明する。
以下の実施形態は、図8に示す船舶の船体5の船尾部に配置されたプロペラ1と舵100との配置構造についてのものである。そして、図8(a)のようなコード長の長い舵100aに対して、図8(b)のようなコード長の短い舵100bを用いることにより、船尾配置を容易にしながら、かつその操縦性能と推進性能を両立させるものである。なお、図8では舵は1つしか記載されていないが、以下の実施形態は、1つのプロペラに対して複数の舵を配置するものである。
また、図1乃至図6の各々において、(a)は、プロペラと舵の配置を船体後方から見た図であり、(b)は、プロペラと舵の配置を船体上方から見た図である。また、符号3はプロペラ1が回転時に描くプロペラ面を示しており、プロペラ面3の周りの矢印はプロペラ1の回転方向を示している。また、符号Pは左舷方向を示しており、符号Sは右舷方向を示している。また、符号Aは各々の舵の回転軸を示している。そして、各々の舵の左右方向の位置(船体幅方向の位置)は、回転軸Aを左右方向のどこに設けるかによって決定される。
なお、各図面は舵を配置する位置を説明することを目的としており、簡素化のために舵の形状を四角形状としているが、実際に実施する場合には流線形等の形状とすることが可能であることはもちろんである。また、本実施形態では、複数の舵の形状、大きさは同一とし、連動して動くものとする。
図1は、実施形態1に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、2つの舵10,11が配置されている。舵10,11は、それぞれ回転軸A10,A11を中心に回転するように、ラダーホーン4,4に取り付けられている。2つの回転軸A10,A11はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。2つの回転軸A10,A11のうち、1つの回転軸A10はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に設けられている。そして、もう1つの回転軸A11は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、回転軸A10との間に間隔D11を空けて設けられている。2つの回転軸A10,A11は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。なお、プロペラ1の回転方向から明らかなように、回転軸A11が設けられた右舷S側は、プロペラ1の回転時にプロペラ1が降下する側である。
このように、2つの回転軸A10,A11をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵10,11がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
図2は、実施形態2に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、2つの舵20,21が配置されている。舵20,21は、それぞれ回転軸A20,A21を中心に回転するように、ラダーホーン4,4に取り付けられている。2つの回転軸A20,A21はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。2つの回転軸A20,A21のうち、1つの回転軸A20はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に設けられている。そして、もう1つの回転軸A21は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、回転軸A20との間に間隔D21を空けて設けられている。2つの回転軸A20,A21は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。なお、プロペラ1の回転方向から明らかなように、回転軸A21が設けられた右舷S側は、プロペラ1の回転時にプロペラ1が降下する側である。また、実施形態2における回転軸A21は、実施形態1における回転軸A11よりも右舷S側に寄って配置されている(D11<D21)。
このように、2つの回転軸A20,A21をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵20,21がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
図3は、実施形態3に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、3つの舵30,31,32が配置されている。舵30,31,32は、それぞれ回転軸A30,A31,A32を中心に回転するように、ラダーホーン4,4,4に取り付けられている。3つの回転軸A30,A31,A32はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。3つの回転軸A30,A31,A32のうち、1つの回転軸A30はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に設けられている。そして、残りのうち1つの回転軸A31は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、回転軸A30との間に間隔D31を空けて設けられている。またもう1つの回転軸A32は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、回転軸A30との間に間隔D32を空けて設けられている。3つの回転軸A30,A31,A32は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。なお、プロペラ1の回転方向から明らかなように、回転軸A31,A32が設けられた右舷S側は、プロペラ1の回転時にプロペラ1が降下する側である。
このように、3つの回転軸A30,A31,A32をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵30,31,32がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
図4は、実施形態4に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、3つの舵40,41,42が配置されている。舵40,41,42は、それぞれ回転軸A40,A41,A42を中心に回転するように、ラダーホーン4,4,4に取り付けられている。3つの回転軸A40,A41,A42はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。3つの舵のうち、1つの回転軸A40はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に設けられている。そして、残りのうち1つの回転軸A41は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、回転軸A40との間に間隔D41を空けて設けられている。またもう1つの回転軸A42は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、回転軸A40との間に間隔D42を空けて設けられている。間隔D41>間隔D42であり、3つの回転軸A40,A41,A42は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。
このように、3つの回転軸A40,A41,A42をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵40,41,42がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
図5は、実施形態5に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、2つの舵51,52が配置されている。舵51,52は、それぞれ回転軸A51,A52を中心に回転するように、ラダーホーン4,4に取り付けられている。2つの回転軸A51,A52はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。実施形態5においては、プロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に回転軸は設けられていない。そして2つの回転軸A51,A52のうち、1つの回転軸A51は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D51を空けて設けられている。またもう1つの回転軸A52は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D52を空けて設けられている。間隔D51>間隔D52であり、2つの回転軸A51,A52は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。すなわち、回転軸A51は、プロペラ面3内の回転軸A52とは反対側に、中央からより大きな間隔を空けて設けられている。なお、左右の間隔を逆にして、間隔D51<間隔D52となるように設けることもできる。
このように、2つの回転軸A51,A52をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵51,52がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
図6は、実施形態6に係る船舶の舵配置構造を示す図である。プロペラ1の後方には、2つの舵60,61が配置されている。舵60,61は、それぞれ回転軸A60,A61を中心に回転するように、ラダーホーン4,4に取り付けられている。2つの回転軸A60,A61はいずれも、左右方向(左舷P方向及び右舷S方向)において、プロペラ1のプロペラ面3内に設けられている。2つの回転軸A60,A61のうち、1つの回転軸A60はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に設けられている。そして、もう1つの回転軸A61は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、回転軸A60との間に間隔D61を空けて設けられている。2つの回転軸A60,A61は、プロペラ面3内において左右非対称に設けられている。なお、プロペラ1の回転方向から明らかなように、回転軸A61が設けられた左舷P側は、プロペラ1の回転時にプロペラ1が上昇する側である。
このように、2つの回転軸A60,A61をプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、舵60,61がプロペラ面3内に左右非対称に配置されている。
次に、上記実施形態における作用効果について説明する。実施形態1乃至実施形態6は、いずれも1つのプロペラ1と複数の舵を有する船舶の舵配置構造において、複数の舵の回転軸をプロペラ1のプロペラ面3内に左右非対称に設けることにより、複数の舵をプロペラ1のプロペラ面3内に左右非対称に配置したものである。プロペラ1の回転方向は1方向であるため、プロペラ1によるプロペラ後流に対して整流効果を得るためには、従来のような左右対称の舵配置構造ではなく、本実施形態のような左右非対称の舵配置構造が適している。
実施形態1乃至6に係る船舶の舵配置構造によれば、1方向に回転するプロペラ1によるプロペラ後流の整流効果を得ることができる。従って、船尾配置を容易にするために舵のコード長を短くした場合に、1つの舵よりも操縦性能が向上するとともに、複数の舵を左右対称に配置するよりも推進性能が低下しにくい。また、舵のコード長を短くして船尾配置を容易にし、抵抗の小さな細長い船型を設計することができるので、船体自体の推進性能を向上させることができる。
また、実施形態1,2,3,4,6に係る船舶の舵配置構造によれば、複数の舵のうち1つの舵の回転軸をプロペラ面3内の中央に設けることにより、複数の舵のうち1つの舵をプロペラ3面内の中央に配置して、中央に配置した舵の性能をより引き出すことができる。
また、実施形態1,2,3,6に係る船舶の舵配置構造によれば、複数の舵のうちプロペラ面3内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、プロペラ面3内の左右いずれかの側に設けることにより、複数の舵を容易に左右非対称に配置することができる。
また、実施形態1,2,3に係る船舶の舵配置構造によれば、複数の舵のうちプロペラ面3内の中央に回転軸を設けた舵以外の舵の回転軸を、プロペラ面3内の回転時にプロペラ1が降下する側に設けることにより、1方向に回転するプロペラ1によるプロペラ後流の整流効果を高めることができ、操縦性能と推進性能を高いレベルで両立させることができる。
また、実施形態5に係る船舶の舵配置構造によれば、複数の舵のうち1つの舵の回転軸をプロペラ3面内の左右いずれかの側に中央から間隔を空けて設け、複数の舵のうち残りの舵の回転軸をプロペラ面内の反対側に中央からより大きな間隔を空けて設けることにより、中央に舵を配置しない場合であっても、複数の舵を容易に左右非対称に配置することができる。
また、実施形態1,2,6に係る船舶の舵配置構造によれば、複数の舵を2つとすることにより、舵の数が少ないため構造をあまり複雑化させることなく、左右非対称に配置することができる。
以上、本実施形態に係る船舶の舵配置構造によれば、舵のコード長を短くして船尾配置を容易にしながら操縦性能と推進性能を両立させることの可能な、船舶の舵配置構造を提供することができる。
プロペラ後方の舵配置による影響を調べるため、回流水槽における抵抗・自航試験を実施し、推進性能を評価した。図7は、実施例及び比較例における船舶の舵配置構造を示す図である。
(実施例1)
図7(a)に示すように、プロペラ後方のプロペラ面3内に、2つの舵10,11を配置した。2つの舵のうち、1つの舵10(回転軸A10)はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に配置し、もう1つの舵11(回転軸A11)は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、舵10(回転軸A10)との間に間隔D11を空けて配置した。
11=プロペラ面3の直径×0.211
(実施例2)
図7(b)に示すように、プロペラ後方のプロペラ面3内に、2つの舵60,61を配置した。2つの舵のうち、1つの舵60(回転軸A60)はプロペラ面3内の左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)に配置し、もう1つの舵61(回転軸A60)は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、舵60(回転軸A10)との間に間隔D61を空けて配置した。
61=プロペラ面3の直径×0.211
(比較例1)
図7(c)に示すように、プロペラ後方のプロペラ面3内に、2つの舵101,102を配置した。2つの舵のうち、1つの舵101(回転軸A101)は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D101を空けて配置した。またもう1つの舵102(回転軸A102)は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D102を空けて配置した。間隔D101=間隔D102である。
101=D102=プロペラ面3の直径×0.211
(比較例2)
図7(d)に示すように、プロペラ後方のプロペラ面3内に、2つの舵201,202を配置した。2つの舵のうち、1つの舵201(回転軸A201)は、プロペラ面3内の右側(右舷S側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D201を空けて配置した。またもう1つの舵202(回転軸A202)は、プロペラ面3内の左側(左舷P側)に、左右方向の中央(プロペラ1後方の船体中心線C上)との間に間隔D202を空けて配置した。間隔D201=間隔D202である。
201=D202=プロペラ面3の直径×0.141
以上4つの舵配置について、比較例1を基準として、BHP(馬力)ベースの推進性能改善効果を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006484339
基準とした比較例1に対して、実施例1において約5.2%の改善効果が確認された。また、実施例2においても約3.6%の改善効果が確認された。これは、左右非対称の舵配置により推力減少率・伴流係数の自航要素が改善されたものである。また、右回転プロペラに対しては、1つの舵を右舷S側に配置した方が推進性能に優れていることが確認された。
なお、基準とした比較例1に対して、2つの舵を中央部に寄せた比較例2において約4.5%の改善効果が確認された。このように、2つの舵を左右対称に配置する場合には2つの舵を中央に寄せることで伴流効果が改善する傾向がある。従って、プロペラ面内に2つの舵を非対称に配置する場合においても、2つの舵の間隔を近づける方が、より推進性能を向上させることができるものと考えられる。
以上、本発明の実施形態に係る船舶の舵配置構造について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、複数の舵の大きさ、形状を同一としたが、異なる大きさやや形状としてもよい。
また、複数の舵を連動して動くようにしたが、独立して動くようにしてもよい。
また、プロペラの回転方向を船体後方から見て右回りとしたが、左回りであってもよい。
また、複数の舵の数は4つ以上であってもよい。
また、プロペラ面の外側あるいはプロペラの前方に別の舵が追加配置されてもよい。
なお、本発明における「左右非対称」とは、舵の回転軸を基準とした舵の配置が左右非対称であることを意味するものであって、左右の舵自体の形状が左右非対称であることを意味するものではない。ただし、舵の回転軸を基準にした舵の配置が左右非対称でさえあれば、左右の舵自体の形状が左右非対称であっても差し支えない。
1 プロペラ
2 プロペラ軸
3 プロペラ面
4 ラダーホーン
5 船体
10 舵
11 舵
20 舵
21 舵
30 舵
31 舵
32 舵
40 舵
41 舵
42 舵
51 舵
52 舵
60 舵
61 舵
100 舵
101 舵
102 舵
201 舵
202 舵
A 回転軸

Claims (3)

  1. 1つのプロペラと複数の舵を有する船舶の舵配置構造であって、前記複数の舵の回転軸を前記プロペラのプロペラ面内に左右非対称に設けて、前記複数の舵を前記プロペラのプロペラ面内に左右非対称に配置したことを特徴とする船舶の舵配置構造。
  2. 前記複数の舵のうち1つの舵の回転軸を前記プロペラ面内の左右いずれかの側に中央から間隔を空けて設け、前記複数の舵のうち残りの舵の回転軸を前記プロペラ面内の反対側に中央からより大きな間隔を空けて設けたことを特徴とする請求項1に記載の船舶の舵配置構造。
  3. 前記複数の舵が2つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の船舶の舵配置構造。
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