JP6484016B2 - スパイラル型膜エレメント - Google Patents

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Description

本発明は、スパイラル型膜エレメントに関する。かかるスパイラル型膜エレメントは、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いることができる。また、油田やシェールガス田などにおける排水処理に用いることができる。
従来のスパイラル型膜エレメント(以下、単に「膜エレメント」ともいう)としては、原液流路材を挟んで折り畳んだシート状分離膜および透過液流路材を一組の素材群とし、一組または複数組の素材群を重ね合わせて有孔中空管の外周面に巻回してなるものが知られている(特許文献1)。
図1は、従来の膜エレメントの一部切欠き斜視図である。膜エレメント1は、分離膜2、供給側流路材6及び透過側流路材3を含む分離膜ユニットが、中心管5の回りに巻きつけられた構造を有する。より具体的には、透過側流路材3の両面に分離膜2を重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜(袋状膜)を形成し、その封筒状膜の開口部を中心管5に取り付け、ネット状(網状)の供給側流路材6とともに中心管5の外周面にスパイラル状に巻回することにより構成される。エレメント本体Rの上流側には、シールキャリア等の上流側端部材10が設けられ、下流側にはテレスコープ防止材等の下流側端部材20が設けられる。
膜エレメント1を使用する際は、供給液7は膜エレメント1の一方の端面側から供給される。供給された供給液7は、供給側流路材6に沿って中心管5の軸芯方向に平行な方向に流れ、膜エレメント1の他方の端面側から濃縮液9として排出される。また、供給液7が供給側流路材6に沿って流れる過程で分離膜2を透過した透過液8は、図中破線矢印に示すように透過側流路材3に沿って開口5aから中心管5の内部に流れ込み、この中心管5の端部から排出される。
しかし、従来の膜エレメントを用いて高圧条件下で水処理を行うと、或いは高温水(例えば、50〜80℃の水)の水処理を行うと、次第に水処理効率が低下するという問題があった。
特開平10−137558号公報
本発明は、高圧条件下で水処理を行った場合、或いは高温水の水処理を長時間行った場合でも水処理効率が低下し難い膜エレメントを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す膜エレメントにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、分離膜、供給側流路材及び透過側流路材が、有孔の中心管に巻きつけられたエレメント本体と、エレメント本体の上流側に設けられる上流側端部材と、エレメント本体の下流側に設けられる下流側端部材とを有するスパイラル型膜エレメントにおいて、
前記エレメント本体の上流側端面と前記上流側端部材のリブとが接合されていることを特徴とするスパイラル型膜エレメント、に関する。
本発明者は、従来の膜エレメントを用いて高圧条件下で水処理を行うと、或いは高温水の水処理を行うと、次第に水処理効率が低下する原因を検討したところ、中心管の外周面にスパイラル状に巻きつけた封筒状膜(透過側流路材の両面に分離膜を重ね合わせて3辺を接着したもの)が、水処理時にかかる圧力又は熱によって次第に収縮し、エレメント本体の端面が陥没する(エレメント本体の端部における封筒状膜が内部方向に収縮して反る)ことが原因であることを見出した。また、エレメント本体の端面の陥没は、水処理運転初期に掛かる圧力がより大きい上流側端面でより大きくなることを見出した。そして、本発明者は、エレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとを接合することにより、エレメント本体の上流側端面が陥没することを防止できることを見出した。
本発明の膜エレメントは、さらに、前記エレメント本体の下流側端面と前記下流側端部材のリブとが接合されていることが好ましい。それにより、エレメント本体の下流側端面が陥没することを防止できる。
前記エレメント本体の上流側端面は、中心から外周方向に凹部を有しており、前記上流側端部材のリブは凸部を有しており、前記凹部と前記凸部が接合されていることが好ましい。また、前記エレメント本体の下流側端面は、中心から外周方向に凹部を有しており、前記下流側端部材のリブは凸部を有しており、前記凹部と前記凸部が接合されていることが好ましい。前記凹部と前記凸部を接合することにより接合を強化することができ、エレメント本体の端面の陥没を、より確実に防止することができる。
前記凹部と前記凸部は、接着剤により接合されていてもよく、フック構造又はオスメス構造により接合されていてもよい。それにより、エレメント本体の端面の陥没をより確実に防止することができる。
本発明の膜エレメントは、エレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとが接合されているため、高圧条件下で水処理を行った場合、或いは高温水の水処理を長時間行った場合でもエレメント本体の上流側端面が陥没することがなく、水処理効率が低下し難いものである。また、エレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとを接合することにより、中心管への封筒状膜の巻きずれを防止することができ、それにより水処理効率の低下をさらに防止することができる。
従来の膜エレメントの一例を示す斜視図である。 上流側端部材の一例を示す正面図である。 エレメント本体の一例を示す斜視図である。 エレメント本体の他の一例を示す斜視図である。 リブに付属部品を有する上流側端部材の一例を示す正面図である。 エレメント本体と上流側端部材の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の膜エレメントは、分離膜、供給側流路材及び透過側流路材が、有孔の中心管に巻きつけられたエレメント本体と、エレメント本体の上流側に設けられる上流側端部材と、エレメント本体の下流側に設けられる下流側端部材とを有する。
エレメント本体は、公知の分離膜、供給側流路材、透過側流路材、及び中心管などを用いて、公知の方法で作製することができる。
本発明の膜エレメントは、エレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとが接合されている。接合の方法は特に制限されないが、例えば、接着剤を用いてエレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとを接合する方法が挙げられる。詳しくは、以下の方法でエレメント本体の上流側端面と上流側端部材のリブとを接合することができる。
図2は、上流側端部材(シールキャリア)の一例を示す正面図である。上流側端部材10は、外側環状部11と内側環状部12とをリブ13で連結した構造を有する。リブ13の数は特に制限されない。また、リブ13の形状も特に制限されず、直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
図3は、エレメント本体の一例を示す斜視図である。上流側端部材10は、内側環状部12をエレメント本体Rの上流側の中心管5に挿入し、外側環状部11をエレメント本体Rの外周面に固定することにより装着される。その際、リブ13の表面に接着剤を設けておき、接着剤を設けたリブ13の表面とエレメント本体Rの上流側端面14とを接着させることにより、エレメント本体Rの上流側端面14と上流側端部材10のリブ13とを接合することができる。上流側端面14と少なくとも1本のリブ13とを接合することにより、エレメント本体の上流側端面が陥没することを防止できるが、陥没をより確実に防止するために、直径方向に設けられた2本のリブ13と上流側端面14とを接合することが好ましく、全てのリブ13と上流側端面14とを接合することがより好ましい。また、上流側端面14とリブ13とは、できるかぎり内側から外側まで接合されていることが好ましい。使用する接着剤は特に制限されず、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、及びポリエステル系接着剤などが挙げられる。
また、図4に示すように、エレメント本体Rの上流側端面14に、中心から外周方向に凹部15を設け、凸部形状のリブ13を有する上流側端部材10を用い、当該凹部15内に凸部形状のリブ13を嵌め込むことにより、エレメント本体Rの上流側端面14と上流側端部材10のリブ13とを接合してもよい。凹部15は、例えば、超音波カッターを用いて形成することができる。凹部15の断面形状は特に制限されず、例えば、円弧状、三角形、四角形、及び多角形などが挙げられる。リブ13の凸部の断面形状は凹部15の断面形状に合わせればよい。凹部15の深さは特に制限されないが、通常、封筒状膜の接着部の横幅の25〜75%程度である。凹部15は、できるかぎり中心から外周端まで設けられていることが好ましい。リブ13の凸部の長さは凹部15の長さに合わせればよい。凹部15の数は特に制限されず、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、凸部形状のリブ13の数に合わせればよい。エレメント本体Rの上流側端面14が陥没することをより確実に防止するために、凹部15は上流側端面14の直径上に2つ設けることが好ましい。また、全てのリブ13が凸部形状である上流側端部材10を用い、当該全てのリブ13を上流側端面14に設けた凹部15内に嵌め込むことがより好ましい。なお、凹部15内に凸部形状のリブ13を嵌め込む際に、接着剤を用いて凹部15と凸部形状のリブ13とを接着してもよい。使用する接着剤は特に制限されず、例えば、前記接着剤が挙げられる。
また、上流側端部材10のリブ13を凸部形状にする代わりに、図5に示すように、リブ13に凸部形状の付属部品16を設けてもよい。
また、図6に示すように、エレメント本体Rの上流側端面14と上流側端部材10のリブ13は、フック受け形状の凹部15とフック形状のリブ13を用いて、フック構造により接合されていてもよい。フック受け形状の凹部15を上流側端面14の直径上に2つ設ける場合には、2つのフック受けの向きを逆方向にすることが好ましい。それにより、2つのフック形状のリブ13を、2つのフック受け形状の凹部15に嵌め込みやすくなる。また、凹部15と凸部形状のリブ13は、オスメス構造により接合されていてもよい。さらに、凹部15と凸部形状のリブ13とをフック構造又はオスメス構造により接合させる際に、接着剤を用いて凹部15と凸部形状のリブ13とを接着してもよい。
本発明の膜エレメントは、さらに、エレメント本体の下流側端面と下流側端部材(テレスコープ防止材)のリブとが接合されていることが好ましい。接合の方法は特に制限されず、上記と同様の接合方法が挙げられる。
本発明のスパイラル型膜エレメントは、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いることができる。また、油田やシェールガス田などにおける排水処理に用いることができる。
1:スパイラル型膜エレメント
2:分離膜
3:透過側流路材
5:中心管
5a:開孔
6:供給側流路材
7:供給液
8:透過液
9:濃縮液
10:上流側端部材
11:外側環状部
12:内側環状部
13:リブ
14:上流側端面
15:凹部
16:付属部品
20:下流側端部材
21:封止部
R:エレメント本体
A1:軸芯方向

Claims (8)

  1. 分離膜、供給側流路材及び透過側流路材が、有孔の中心管に巻きつけられたエレメント本体と、エレメント本体の上流側に設けられる上流側端部材と、エレメント本体の下流側に設けられる下流側端部材とを有するスパイラル型膜エレメントにおいて、
    前記エレメント本体の上流側端面と前記上流側端部材のリブとが接合されていることを特徴とするスパイラル型膜エレメント。
  2. 前記エレメント本体の上流側端面と前記上流側端部材のリブは、接着剤により接合されている請求項1記載のスパイラル型膜エレメント。
  3. さらに、前記エレメント本体の下流側端面と前記下流側端部材のリブとが接合されている請求項1又は2記載のスパイラル型膜エレメント。
  4. 前記エレメント本体の下流側端面と前記下流側端部材のリブは、接着剤により接合されている請求項3記載のスパイラル型膜エレメント。
  5. 前記エレメント本体の上流側端面は、中心から外周方向に凹部を有しており、前記上流側端部材のリブは凸部を有しており、前記凹部と前記凸部が接合されている請求項1又は記載のスパイラル型膜エレメント。
  6. 前記エレメント本体の下流側端面は、中心から外周方向に凹部を有しており、前記下流側端部材のリブは凸部を有しており、前記凹部と前記凸部が接合されている請求項又は記載のスパイラル型膜エレメント。
  7. 前記凹部と前記凸部は、接着剤により接合されている請求項又は記載のスパイラル型膜エレメント。
  8. 前記凹部と前記凸部は、フック構造又はオスメス構造により接合されている請求項のいずれかに記載のスパイラル型膜エレメント。
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