JP6483073B2 - 弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサ - Google Patents

弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサ Download PDF

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Description

本発明は、弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサに関し、例えば圧電基板上に形成されたグレーティング電極を有する弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサに関する。
携帯電話を代表とする高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために、高周波フィルタ等が用いられている。高周波フィルタ等には、弾性表面波(SAW:Surface acoustic wave)共振器等の弾性波共振器が用いられている。SAW共振器においては、タンタル酸リチウム(LiTaO)基板またはニオブ酸リチウム(LiNbO)基板等の圧電基板上に金属グレーティング電極を形成されている。
グレーティング電極は、弾性表面波の一種であるSH(Shear Horizontal)波、レーリー波または弾性境界波等を励起する。グレーティング電極が励振した弾性波の主たる伝搬方向の両側に反射器を設けることで、これらの弾性波をグレーティング電極付近に閉じ込める。弾性波共振器を用いラダー型フィルタや多重モードフェルタが実現できる。グレーティング電極において、弾性波の伝搬方向に垂直な方向の幅を重み付けした弾性波共振器が知られている(特許文献1および2)。
特開平9−270667号公報 特開2008−78883号公報
グレーティング電極を有する弾性波共振器においては、不要応答である横モードスプリアスが生じる。横モードスプリアスは、弾性波の伝搬方向に垂直な方向の成分を有する弾性波が、ある波長で強めあうことで生じる。特許文献1および2においては、弾性波の伝搬方向に対して交叉幅が変化しているため、横モードスプリアスが生じる周波数が伝搬方向に対し変化する。このため、横モードの弾性波が強めあう周波数が平均化され、横モードスプリアスが抑制される。しかしながら、横モードの弾性波の発生が抑制されているのではない。このため、グレーティング電極外に横モードの弾性波が漏れる。よって、損失が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、横モードスプリアスを抑制し、かつ低損失な弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサを提供することを目的とする。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、を具備し、前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さく、前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の反共振周波数における音速以下であり、前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ 、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ 、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβ としたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器である。
上記構成において、前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域における異方性係数をγg、前記交叉領域における異方性係数をγ0としたとき、γg/γ0は−0.35以上かつ+0.35以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域における異方性係数は、前記交叉領域側から前記バスバー側にかけて漸減する構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域内の前記圧電基板上に設けられた付加膜を具備する構成とすることができる。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、を具備し、前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域における異方性係数は、前記交叉領域における異方性係数と、一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数と、より小さく、前記ギャップ領域と前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域とを伝搬する弾性波の音速は、前記交叉領域を伝搬する弾性波の反共振周波数の音速以下であり、前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ 、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ 、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβ としたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器である。
上記構成において、前記ギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域および前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域における異方性係数は、前記交叉領域側から前記バスバー側にかけて漸減する構成とすることができる。
上記構成において、前記グレーティング電極側の辺に隣接する領域の前記バスバー上に設けられた付加膜を具備し、前記ギャップ領域内の前記圧電基板の上面に凹部が設けられている構成とすることができる。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、を具備し、前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さく、前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域のうちギャップ領域に隣接するエッジ領域以外の前記交叉領域である中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速より大きく、前記エッジ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速より小さく、前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速の1.13倍以下であり、前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβとしたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器である。
上記構成において、前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記バスバーを伝搬する弾性波の音速より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記エッジ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速の0.995以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記ギャップ領域内の前記圧電基板上に設けられた付加膜を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電基板は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である構成とすることができる。
本発明は、上記弾性波共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むデュプレクサである。
本発明によれば、横モードスプリアスを抑制し、かつ低損失な弾性波共振器、フィルタおよびデュプレクサを提供することができる。
図1(a)は、比較例および実施例に係る弾性波共振器の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2(a)は、X方向およびY方向における波数の平面図、図2(b)は、β/βに対するβ/βを示す図である。 図3(a)は、比較例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図であり、図3(b)は、比較例1に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。 図4(a)は、比較例2に係る弾性波共振器の平面図であり、図4(b)は、比較例2に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。 図5は、実施例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。 図6(a)から図6(d)は、実施例1に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図(その1)である。 図7(a)から図7(c)は、実施例1に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図(その2)である。 図8(a)は、比較例3に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図であり、図8(b)は、比較例3に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。 図9は、実施例2に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。 図10(a)および図10(b)は、実施例3および実施例3の変形例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。 図11(a)は、実施例4に係る弾性波共振器の平面図、図11(b)は、図11(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。 図12は、実施例4における交叉領域の分散曲線を示す図である。 図13(a)および図13(b)は、ギャップ領域の分散曲線を示す図である。 図14(a)は、実施例5に係る弾性波共振器の平面図、図14(b)は、図14(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図、図14(c)は、図14(a)のB−B断面図であり領域24の断面図である。 図15(a)および図15(b)は、ギャップ領域の分散曲線を示す図である。 図16(a)および図16(b)は、バスバーの分散曲線を示す図である。 図17(a)から図17(d)は、実施例4および5の交叉領域の断面図である。 図18(a)は、実施例6に係るフィルタの回路図であリ、図18(b)は、実施例6の変形例に係るデュプレクサの回路図である。 図19は、実施例7に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。 図20(a)および図20(b)は、実施例7に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。 図21は、実施例7に係る弾性波共振器において横モードスプリアスが比較例1の基底レベル以下となる範囲を示す図である。 図22(a)から図22(d)は、実施例7に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。 図23は、実施例7に係る弾性波共振器において横モードスプリアスが比較例1の基底レベル以下となる範囲を示す図である。 図24(a)は、実施例8に係る弾性波共振器の平面図、図24(b)は、図24(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。 図25(a)および図25(b)は、実施例8における交叉領域のうち中央領域およびエッジ領域の分散曲線を示す図である。 図26は、実施例8におけるギャップ領域の分散曲線を示す図である。 図27(a)および図27(b)は、比較例1および実施例8における周波数に対するコンダクタンスおよびアドミッタンスの測定結果を示す図である。 図28(a)から図28(c)は、実施例8の変形例1に係る弾性波共振器の平面図である。 図29(a)から図29(f)は、図28(a)および図28(b)のA−A断面図である。 図30(a)から図30(f)は、図28(c)のA−A断面図である。 図31(a)は、実施例8の変形例2に係る弾性波共振器の平面図、図31(b)は、図31(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。 図32(a)から図32(c)は、実施例8の変形例2のギャップ領域の断面図である。
本発明の比較例および実施例に係る弾性波共振器の構造について説明する。図1(a)は、比較例および実施例に係る弾性波共振器の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、圧電基板10上にIDT21および反射器22が形成されている。IDT21および反射器22は、圧電基板10に形成された金属膜12により形成される。IDT21は、対向する一対の櫛型電極20を備える。櫛型電極20は、複数の電極指14と、複数の電極指14が接続されたバスバー18を備える。複数の電極指14は、グレーティング電極16を形成する。一対の櫛型電極20は、電極指14がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。
一対の櫛型電極20のグレーティング電極16が交叉する領域が交叉領域15である。交叉領域15においてグレーティング電極16が励振する弾性波は、主に電極指14の配列方向に伝搬する。グレーティング電極16の周期がほぼ弾性波の波長λとなる。一方の櫛型電極20のグレーティング電極16の先端と他方の櫛型電極20のバスバー18との間の領域がギャップ領域17である。ダミー電極指が設けられている場合、ギャップ領域は電極指の先端とダミー電極指の先端の間の領域である。弾性波の伝搬方向をX方向、伝搬方向に直交する方向をY方向とする。X方向およびY方向は、圧電基板10の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電基板10は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。金属膜12は、例えばアルミニウム膜または銅膜である。
次に、異方性係数について説明する。図2(a)は、X方向およびY方向における波数の平面図、図2(b)は、β/βに対するβ/βを示す図である。図2(a)に示すように、弾性波のX方向の波数をβ、弾性波のY方向の波数をβとする。X方向からY方向に角度θの方向の弾性波の波数βは角度θに対して放物線近似できるとすると、波数βは異方性係数γ用い、β +γ・β =β で表される。
図2(b)において、β/βは弾性波のX方向の位相速度の逆速度(slowness)に相当し、β/βは弾性波のY方向の位相速度の逆速度に対応する。異方性係数γが正のときの逆速度面60は、原点からみて凸型となる。このため、γ>0のときを凸型ともいう。異方性係数γが負のとき逆速度面62は原点からみて凹型となる。このため、γ<0のときを凹型ともいう。
異方性係数γは圧電基板10の材料、グレーティング電極16の材料、膜厚およびピッチにより定まる。例えば、圧電基板10として回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板を用いると異方性係数γは正となる。圧電基板10として回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いると異方性係数γは負となる。回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用い、グレーティング電極16を重い材料とし、かつ膜厚を大きくすると異方性係数γが正となることもある。
[比較例1]
次に、比較例1のシミュレーションについて説明する。比較例1に係る弾性波共振器の断面図および平面図は図1(a)および図1(b)と同じである。図3(a)は、比較例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。
比較例1のシミュレーションに用いた構造は以下である。
圧電基板:回転42°YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板
金属膜12の膜厚:0.1λ
ピッチλ:4.4μm
デュティ比:50%
交叉幅:20λ
対数:100対
ギャップ幅:0.5λ
反射器電極指数:10本
ピッチλは、グレーティング電極16のピッチであり、グレーティング電極16が励振する弾性波の波長に相当する。デュティ比は、グレーティング電極16のピッチに対する幅の比を示す。交叉幅は、交叉領域15のY方向の幅(電極指14が交叉する幅)を示す。対数は、グレーティング電極16における電極指14の対数である。ギャップ幅は、ギャップ領域17のY方向の幅を示す。反射器電極指数は、反射器22の電極指の数を示す。
図3(a)に示すように、バスバー18における音速Vbを3900m/s、ギャップ領域17における音速Vgを3700m/s、交叉領域15の音速V0を3170m/sとした。交叉領域15の音速V0は共振周波数における音速Vfrに相当する。音速Vfrの1.05倍が反共振周波数における音速Vfaに相当し、3300m/sである。バスバー18における異方性係数γbを+0.1、ギャップ領域17における異方性係数γgを−0.3、交叉領域15の異方性係数γ0を+1.4とした。
図3(b)は、比較例1に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。図3(b)において、実線は弾性波共振器のコンダクタンスRe|Y|のシミュレーション結果、一点鎖線はアドミッタンス、破線はコンダクタンスの基底レベル52(すなわち、横モードスプリアスがない場合のコンダクタンス)を示す。基底レベルが大きいと弾性波のエネルギーが交叉領域からバスバー18方向に漏洩していることを示している。コンダクタンスが最も大きい周波数が共振周波数である。共振周波数の高周波側に複数の横モードスプリアス50が生じる。
比較例1では、図3(a)のように、ギャップ領域17における音速Vgが交叉領域15における音速V0より大きい。このため、交叉領域15により励振された弾性波のうち伝搬方向としてY方向の成分を有する弾性波は、交叉領域15とギャップ領域17との境界で反射する。これにより、弾性波のエネルギーは交叉領域15内に閉じ込められる。しかしながら、Y方向の成分を有して伝搬する弾性波に起因して、不要な横モードスプリアス50となる。
[比較例2]
次に、比較例2のシミュレーションについて説明する。図4(a)は、比較例2に係る弾性波共振器の平面図である。断面図は図1(b)と同じである。図4(a)に示すように、一方の櫛型電極20の電極指14と他方の櫛型電極20のダミー電極指14aとの間にギャップ領域17が形成されている。X方向に対しギャップ領域17の位置が変調されている。これにより、X方向に対し交叉幅が変調される。比較例2では、最大の交叉幅を30λとし、交叉幅がX方向に対しarccos(X)で変化するようにした。その他のシミュレーション条件は比較例1と同じである。
図4(b)は、比較例2に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。図4(b)において、横モードスプリアスはほとんど観察されない。破線は、比較例1の基底レベル52である。コンダクタンスは、比較例1の基底レベル52より大きい。比較例2では、X方向に対して交叉幅が変化しているため、横モードスプリアスが生じる周波数がX方向に対し変化する。このため、Y方向に伝搬する弾性波が強めあう周波数が平均化され、横モードスプリアス50が抑制される。しかしながら、Y方向に伝搬する弾性波の発生が抑制されているのではない。このため、交叉領域15外にY方向に伝搬する弾性波が漏れる。よって、コンダクタンスが比較例1の基底レベル52より大きくなってしまう。このため損失が大きくなる。
異方性係数γが0のとき、原理的にY方向の成分を有して伝搬する横モードの弾性波は存在できなくなる。そこで、ギャップ領域17の異方性係数γを0に近づけることを考えた。異方性係数γが0近傍の領域においては、Y方向に伝搬する弾性波の一部または全部は存在条件を満たさず消失する。そこで、ギャップ領域17の異方性係数γを0に近づける。これにより、横モードスプリアスが抑制できる。さらに、弾性波のエネルギーがバスバー方向に漏洩することを抑制できる。このため、損失が抑制でき、Q値が高くなる。
実施例1に係る弾性波共振器の平面図および断面図は図1(a)および図1(b)と同じであり説明を省略する。シミュレーションに用いた構造は比較例1と同じである。図5は、実施例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。図5に示すように、ギャップ領域17における音速Vgを交叉領域15における反共振周波数における音速Vfaより小さくしている。ギャップ領域17における異方性係数γgを交叉領域15における異方性係数γ0より小さくしている。その他は比較例1の図3(a)と同じである。
図6(a)から図7(c)は、実施例1に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。ギャップ領域17の異方性係数γgを+1.2、+1.0、+0.5、+0.2、+0.0、−0.2および−0.5とした。ギャップ領域17の音速は、交叉領域15の反共振周波数における音速Vfaと共振周波数における音速Vfrとの間の範囲で調整している。ギャップ領域17のY方向の幅Wgを調整している。
図6(a)から図6(d)に示すように、ギャップ領域17の異方性係数γgが0に近づくほど、横モードスプリアス50の発生が抑制されている範囲54が大きくなる。コンダクタンスの基底レベルは、比較例1の基底レベル52とほぼ同じである。
図7(a)に示すように、ギャップ領域17の異方性係数γgが0となると、横モードスプリアス50の発生が抑制されている範囲54はさらに大きくなり、発生している横モードスプリアス50も小さい。また、コンダクタンスの基底レベルは、比較例1の基底レベル52と同等またはそれ以下である。図7(b)および図7(c)のように、ギャップ領域17の異方性係数γgが負となると、横モードスプリアス50の発生が抑制されている範囲54は少し小さくなり、発生している横モードスプリアス50も大きくなる。このように、ギャップ領域17の異方性係数γgを0に近づけると、ギャップ領域17においてY方向に伝搬する横モードの弾性波が存在できなくなる。よって、Y方向に伝搬する弾性波が交叉領域15からギャップ領域17を通過し、ギャップ領域17とバスバー18との境界で反射し、ギャップ領域17を通過し交叉領域15に戻るときに、ギャップ領域17においてY方向に伝搬する弾性波は減衰する。これにより、横モードスプリアスを抑制できる。また、Y方向に伝搬する弾性波が減衰するため、コンダクタンスの基底レベルが小さく、エネルギー損失を抑制できる。
実施例1では、ギャップ領域17の音速Vgを交叉領域15の反共振周波数の音速Vfa以下としている。比較例3として、ギャップ領域17の音速Vgが比較例1と同じ場合についてシミュレーションした。
図8(a)は、比較例3に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。図8(a)に示すように、ギャップ領域17の音速Vgは比較例1と同じ3700m/sである。ギャップ領域17の異方性係数γgは、実施例1の図7(a)と同様に+0である。その他の構成は実施例1と同じである。
図8(b)は、比較例3に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。図8(b)に示すように、横モードスプリアス50が発生している。このように、横モードスプリアスを抑制するためには、ギャップ領域17の音速Vgを反共振周波数の音速Vfa以下とすることが好ましい。これは、音速Vgが大きいと、交叉領域15とギャップ領域17の界面でY方向に伝搬する弾性波が反射してしまい、交叉領域15からギャップ領域17内にY方向に伝搬する弾性波が漏れ難くなってしまうためである。このため、ギャップ領域17の異方性係数γgを0に近づけても、ギャップ領域17内にY方向に伝搬する弾性波が存在せず、横モードスプリアスを抑制できない。
実施例1によれば、交叉領域15の異方性係数γ0が正のとき、ギャップ領域17における異方性係数γgを交叉領域15における異方性係数γ0より小さくする。さらに、ギャップ領域17を伝搬する弾性波の音速Vgを交叉領域15を伝搬する弾性波の反共振周波数における音速Vfa以下とする。これにより、横モードスプリアスを抑制できる。また、損失を抑制できる。横モードスプリアスが抑制できる範囲で、ギャップ領域17の一部領域における異方性係数γgが交叉領域15における異方性係数γ0より小さければよい。また、横モードスプリアスが抑制できる範囲で、ギャップ領域17の一部領域における音速Vgが音速Vfa以下であればよい。
ギャップ領域17の音速Vgは、交叉領域15とギャップ領域17との境界でY方向の成分を有して伝搬する弾性波が反射されない範囲とすることが好ましい。ギャップ領域17を伝搬する弾性波の音速Vgが交叉領域15を伝搬する弾性波の共振周波数における音速Vfrより小さくても、交叉領域15とギャップ領域17との境界におけるY方向の成分を有して伝搬する弾性波の反射は抑制される。しかし、弾性波の反射をより抑制する観点から、ギャップ領域17を伝搬する弾性波の音速Vgは交叉領域15を伝搬する弾性波の共振周波数における音速Vfrより大きいことが好ましい。
図6(a)から図7(c)のように、横モードスプリアス50が抑制できる範囲54は、γg=+0.5から−0.5の範囲で特に広くなっている。さらにγg=+0.2から−0.2においてより広くなる。
よって、ギャップ領域17における異方性係数γgは−0.5以上かつ+0.5以下が好ましく、−0.2以上かつ+0.2以下がより好ましい。交叉領域15における異方性係数γ0で規格化すると、γg/γ0は−0.35以上かつ+0.35以下が好ましく、−0.15以上かつ+0.15以下がより好ましい。
実施例2に係る弾性波共振器の平面図および断面図は図1(a)および図1(b)と同じであり説明を省略する。図9は、実施例2に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。図9に示すように、バスバー18内の交叉領域15側の辺に隣接する領域24が設けられている。ギャップ領域17および領域24における音速VgおよびVcは、交叉領域15における反共振周波数の音速Vfa以下である。バスバー18のうち領域24以外の領域の音速Vbは実施例1と同じである。領域24の異方性係数γcは交叉領域15の異方性係数γ0より小さい。バスバー18のうち領域24以外の領域の異方性係数γbは実施例1と同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例2によれば、ギャップ領域17および領域24を伝搬する弾性波の音速VgおよびVcは、交叉領域15を伝搬する弾性波の反共振周波数の音速Vfa以下である。これにより、交叉領域15とギャップ領域17との境界、およびギャップ領域17と領域24との境界でのY方向の成分を有して伝搬する弾性波の反射が抑制される。よって、横モードの弾性波は交叉領域15から漏れ領域24に至る。横モードスプリアスが抑制できる範囲で、ギャップ領域17および領域24の一部領域における音速VgおよびVcが音速Vfa以下であればよい。
領域24における異方性係数γcは、交叉領域15における異方性係数γ0とギャップ領域17における異方性係数γgより小さい。このように、領域24の異方性係数γcを0に近づけると、領域24においてY方向の成分を有して伝搬する横モードの弾性波が存在できなくなる。よって、Y方向の成分を有して伝搬する弾性波が交叉領域15からギャップ領域17および領域24を通過し、領域24とバスバー18の他の領域との境界で反射し、領域24およびギャップ領域17を通過し交叉領域15に戻るときに、領域24においてY方向の成分を有して伝搬する弾性波は減衰する。これにより、横モードスプリアスを抑制できる。また、Y方向の成分を有して伝搬する弾性波が減衰するため、コンダクタンスの基底レベルが小さく、エネルギー損失を抑制できる。
実施例2では、領域24においてY方向の成分を有して伝搬する弾性波を減衰させる。よって、ギャップ領域17における異方性係数γgは交叉領域15における異方性係数γ0より大きくてもよい。しかし、ギャップ領域17における異方性係数γgは交叉領域15における異方性係数γ0以下であることが好ましい。これにより、ギャップ領域17においてもY方向の成分を有して伝搬する弾性波を減衰できる。
ギャップ領域17および領域24を伝搬する弾性波の音速VgおよびVcは交叉領域15を伝搬する弾性波の共振周波数における音速Vfr以上であることが好ましい。これにより、交叉領域15とギャップ領域17との境界、およびギャップ領域17と領域24との境界でのY方向の成分を有して伝搬する弾性波の反射がより抑制される。
図6(a)から図7(c)と同様に考えると、領域24における異方性係数γcは−0.5以上かつ+0.5以下が好ましく、−0.2以上かつ+0.2以下がより好ましい。交叉領域15における異方性係数γ0で規格化すると、γc/γ0は−0.35以上かつ+0.35以下が好ましく、−0.15以上かつ+0.15以下がより好ましい。
実施例3に係る弾性波共振器の平面図および断面図は図1(a)および図1(b)と同じであり説明を省略する。図10(a)および図10(b)は、実施例3および実施例3の変形例1に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。図10(a)に示すように、ギャップ領域17における音速Vgが、交叉領域15側からバスバー18側にかけて漸減している。ギャップ領域17における異方性係数γgが、交叉領域15側からバスバー18側にかけて漸減している。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
図10(b)に示すように、ギャップ領域17における音速Vgが、交叉領域15側からバスバー18側にかけて漸減している。ギャップ領域17における異方性係数γgが、交叉領域15側からバスバー18側にかけて漸減している。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
実施例3およびその変形例によれば、ギャップ領域17内の異方性係数γgを交叉領域15からバスバー18にかけて漸減させる。これにより、ギャップ領域17内の物性変化が緩やかになる。よって、ギャップ領域17におけるY方向に伝搬する弾性波の反射をより抑制できる。よって、横モードスプリアスおよび損失をより抑制できる。
実施例4は、実施例1の具体例である。図11(a)は、実施例4に係る弾性波共振器の平面図、図11(b)は、図11(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。図11(a)および図11(b)に示すように、実施例4では、ギャップ領域17において、圧電基板10上に電極指14を覆うように誘電体の付加膜30が設けられている。バスバー18に接続する入力端子40および出力端子42が設けられている。その他の構成は図1(a)および図1(b)と同じであり、説明を省略する。
実施例4における横モードSH波の分散曲線をシミュレーションした。シミュレーションにおいて、付加膜30は、膜厚が0.1λの酸化タンタル(Ta)膜とした。シミュレーションで用いたその他の構成は実施例1と同じである。
図12は、実施例4における交叉領域の分散曲線を示す図である。図12において、横軸はY方向の規格化波数を示す。規格化波数は、Y方向の波数を交叉領域15の共振周波数におけるX方向の波数で規格化した波数である。縦軸は、共振周波数で規格化した周波数である。分散曲線においてY方向の波数が0となる周波数が交叉領域15における共振周波数frであり、規格化周波数では1.0となる。分散曲線はSH波のうち弾性波共振器に主に用いるモードを示している。交叉領域15の反共振周波数は、共振周波数の約1.05倍である。規格化周波数では1.05が反共振周波数faである。分散曲線の曲率より異方性係数γが算出できる。交叉領域15では異方性係数γgは約1.4である。
図13(a)および図13(b)は、ギャップ領域の分散曲線を示す図である。図13(a)は、ギャップ領域17に付加膜を設けていない例であり、図13(b)は、ギャップ領域17に付加膜30を設けた実施例4である。図13(a)に示すように、ギャップ領域17に付加膜30を設けない場合、分散曲線上のY方向の波数が0のとき(このとき交叉領域15と同じモードの弾性波が伝搬し得る)の規格化周波数は約1.18である。音速は規格化周波数に比例するため、ギャップ領域17の音速は交叉領域15の1.18倍となる。これでは、ギャップ領域17の音速が交叉領域15の反共振周波数faにおける音速Vfaより大きくなる。このため、弾性波は交叉領域15とギャップ領域17の境界で反射されてしまう。よって、ギャップ領域17の異方性係数γgが−0.3と0近傍であっても横モードスプリアスが発生する。
図13(b)に示すように、ギャップ領域17に付加膜30を設けた場合、分散曲線上のY方向の波数が0のときの規格化周波数は反共振周波数fa以下かつ共振周波数fr以上となる。また、異方性係数γは+0.7となる。これにより、弾性波は交叉領域15とギャップ領域17の境界で反射されず、ギャップ領域17を通過するときに減衰する。よって、横モードスプリアスを抑制できる。
実施例4によれば、ギャップ領域17内の圧電基板10上に付加膜30を設ける。これにより、ギャップ領域17における音速Vgを交叉領域15の反共振周波数における音速Vfa以下とし、かつギャップ領域17における異方性係数γgを交叉領域15における異方性係数γ0より小さくできる。付加膜30の材料および膜厚は、音速Vgおよび異方性係数γgが上記範囲となるように適宜選択できる。例えば、付加膜30は誘電体でもよいが誘電体以外でもよい。また、実施例1は、実施例4以外の方法で実現してもよい。
実施例5は、実施例2の具体例である。図14(a)は、実施例5に係る弾性波共振器の平面図、図14(b)は、図14(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図、図14(c)は、図14(a)のB−B断面図であり領域24の断面図である。図14(a)から図14(c)に示すように、実施例5では、ギャップ領域17において、電極指14間の圧電基板10の上面に凹部32が形成されている。領域24において、金属膜12上に付加膜34が形成されている。バスバー18に接続する入力端子40および出力端子42が設けられている。その他の構成は図1(a)および図1(b)と同じであり、説明を省略する。
実施例5における横モードSH波の分散曲線をシミュレーションした。シミュレーションにおいて、凹部32の深さは0.05λとした。付加膜34は、基板10側から膜厚が0.05λのTi膜および膜厚が0.04λのAu膜とした。シミュレーションで用いたその他の構成は実施例1と同じである。
図15(a)および図15(b)は、ギャップ領域の分散曲線を示す図である。図15(a)は、ギャップ領域17に凹部を設けていない例であり、図15(b)は、ギャップ領域17に凹部32を設けた実施例5の場合である。図15(a)に示すように、ギャップ領域17に凹部32を設けない分散曲線は、図13(a)と同じである。
図15(b)に示すように、ギャップ領域17に凹部32を設けた場合、分散曲線上のY方向の波数が0のときの規格化周波数は反共振周波数fa以下かつ共振周波数fr以上となる。また、異方性係数γは+1.3となる。これにより、弾性波は交叉領域15とギャップ領域17の境界で反射されず、ギャップ領域17を通過する。
図16(a)および図16(b)は、バスバーの分散曲線を示す図である。図16(a)は、バスバー18に付加膜34を設けていない例であり、図16(b)は、バスバー18に付加膜34を設けた実施例5の場合である。図16(a)に示すように、バスバー18に付加膜34を設けない場合、Y方向の波数が0のときの規格化周波数は共振周波数frの1.24倍である。よって、バスバー18の音速は交叉領域15の1.25倍となる。よって、弾性波は、ギャップ領域17とバスバー18との境界で反射されてしまう。
図16(b)に示すように、バスバー18に付加膜34を設けた場合、分散曲線上のY方向の波数が0のときの規格化周波数は反共振周波数fa以下かつ共振周波数fr以上となる。また、異方性係数γは+0.2となる。これにより、弾性波はギャップ領域17と領域24の境界で反射されず、領域24を通過するときに減衰する。よって、横モードスプリアスを抑制できる。
実施例5によれば、付加膜34がバスバー18の辺のうちグレーティング電極16側の辺に隣接する領域24のバスバー18上に設けられている。ギャップ領域17内の圧電基板10の上面に凹部32が設けられている。これにより、ギャップ領域17および領域24における音速Vgを交叉領域15の反共振周波数における音速Vfa以下とし、かつ領域24における異方性係数γcを交叉領域15における異方性係数γ0およびギャップ領域17における異方性係数γbより小さくできる。凹部32の深さおよび形成する領域、付加膜34の材料および膜厚は、音速Vg、Vcおよび異方性係数γg、γcが上記範囲となるように適宜選択できる。例えば、付加膜30は金属膜でもよいし絶縁膜でもよい。また、実施例2は、実施例5以外の方法で実現してもよい。
図17(a)から図17(d)は、実施例4および5の交叉領域の断面図である。図17(a)に示すように、グレーティング電極16を覆う膜は設けられておらず、金属膜12は、1層の膜でもよい。図17(b)に示すように、圧電基板10上にグレーティング電極16を覆うように絶縁膜36が設けられていてもよい。絶縁膜36は、例えば周波数調整のための膜、または周波数の温度特性を補償するための膜である。図17(c)に示すように、金属膜12と圧電基板10との間に、TiまたはCr等の密着膜38が形成されていてもよい。図17(d)のように、金属膜12は複数の異なる金属膜12aおよび12bが積層されていてもよい。
実施例1および4のように、ギャップ領域17の音速Vgを交叉領域15の反共振周波数における音速Vfa以下としようとすると、ギャップ領域17における異方性係数γgを0に近づけることが難しくなる。一方、実施例2および5のように、バスバー18の一部の領域24において、音速Vgを交叉領域15の反共振周波数における音速Vfa以下とし、かつギャップ領域17における異方性係数γgを0に近づけることが比較的容易となる。
実施例1から5の弾性波共振器において、グレーティング電極16の周期と反射器22内の電極周期とは、数%程度異なっていてもよい。グレーティング電極16内の周期は、数%変調されていてもよい。圧電基板10は、例えばニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板を用いることができる。圧電基板10は、サファイア基板等の支持基板上に形成されていてもよい。
実施例6は、実施例1から5の弾性共振器を用いたファルタおよびデュプレクサの例である。図18(a)は、実施例6に係るフィルタの回路図である。図18(a)に示すように、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の並列共振器P1からP3が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP3の少なくともひとつに実施例1から5の弾性波共振器を用いることができる。実施例1から5の弾性波共振器を含むフィルタは、ラダー型フィルタ以外に多重モードフィルタとすることもできる。
図18(b)は、実施例6の変形例に係るデュプレクサの回路図である。図18(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ44が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ46が接続されている。送信フィルタ44は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ46は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ44および受信フィルタ46の少なくとも一方を実施例6のフィルタとすることができる。
実施例7に係る弾性波共振器の平面図および断面図は図1(a)および図1(b)と同じであり説明を省略する。図19は、実施例7に係る弾性波共振器におけるY方向に対する音速および異方性係数を示す図である。図19に示すように、交叉領域15に中央領域15aおよびエッジ領域15bが設けられている。エッジ領域15bは交叉領域15のうちギャップ領域17に隣接する領域であり、中央領域15aはエッジ領域15b以外の交叉領域15である。エッジ領域15bの音速Veは中央領域15aの音速V0より小さい。ギャップ領域17の音速は、中央領域15aの音速より大きく、バスバー18の音速より小さい。中央領域15aとエッジ領域15bの異方性係数γ0およびγeは同じである。ギャップ領域17の異方性係数γgは交叉領域15の異方性係数γ0およびγeより小さい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1では、図7(a)のように、ギャップ領域17の異方性係数γgを0としても小さい横モードスプリアス50が現れる。実施例7では、実施例1より横モードスプリアス50を抑制することができる。その原理について説明する。実施例1と同様にギャップ領域17の異方性係数γgを交叉領域15の異方性係数γ0およびγeより0に近くする。これにより、ギャップ領域17においてY方向に伝搬する弾性波の一部または全部が存在条件を満たさず消失する。これにより、実施例1と同様に横モードスプリアスが抑制できる。
異方性係数γが正の場合、音速が小さい領域から音速が大きい領域に弾性波が伝搬しようとすると弾性波が反射され、弾性波は減衰する。一方、音速の大きい領域から音速の小さい領域への弾性波の伝搬は容易である。実施例1では、ギャップ領域17の音速Vgより交叉領域15の音速V0が小さい。このため、交叉領域15からギャップ領域17内に漏れたY方向成分を有して伝搬する弾性波が消失する前に交叉領域15に戻ってしまう。これにより、図7(a)のように、実施例1では横モードスプリアス50が残存してしまう。
実施例7によれば、ギャップ領域17を伝搬する弾性波の音速Vgを中央領域15aを伝搬する弾性波の音速V0より大きくする。これにより、弾性波が交叉領域15内に閉じ込められる。さらに、エッジ領域15bを伝搬する弾性波の音速Veを中央領域15aを伝搬する弾性波の音速V0より小さくする。これにより、交叉領域15からギャップ領域17内に漏れた弾性波は、エッジ領域15bから中央領域15aに伝搬しにくくなる。よって、交叉領域15からギャップ領域17内に漏れたY方向成分を有して伝搬する弾性波はギャップ領域17で消失しやすくなる。よって、横モードスプリアスを抑制できる。
比較例3のようにギャップ領域17を伝搬する弾性波の音速Vgを交叉領域15の反共振周波数における音速Vfaより大きくすると、交叉領域15からギャップ領域17に弾性波が漏れにくくなり横モードスプリアスが大きくなる。そこで、実施例1では、ギャップ領域17における弾性波が伝搬する音速を交叉領域15の反共振周波数における音速Vfa以下とする。しかし、ギャップ領域17の音速を小さくする方法は限られており難しい。
実施例7では、ギャップ領域17の音速Vgは交叉領域15の反共振周波数における音速Vfaより大きくてもよい。交叉領域15からギャップ領域17に漏れた横方向の弾性波がエッジ領域15bから中央領域15aに戻らなければ、いずれギャップ領域17において消失するためである。
実施例7において、エッジ領域15bの音速の減少率dVe=(Ve−V0)/V0×100%が−0.5%の弾性波共振器についてシミュレーションを行った。シミュレーションは弾性表面波の特性を求めるために用いられるCOM(Coupling-Of-Modes)方程式を2次元に拡張した2次元COM方程式を用いて行っている。ここまでの実施例1から5におけるシミュレーションも同様である。
図20(a)および図20(b)は、実施例7に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。図20(a)および図20(b)におけるシミュレーション条件は以下である。
エッジ領域15bの長さ:0.75λ
図20(a)
ギャップ領域17の異方性係数γg:0.0
ギャップ領域17の音速:1.06×Vfr
図20(b)
ギャップ領域17の異方性係数γg:−0.1
ギャップ領域17の音速:1.13×Vfr
図20(a)では横モードスプリアスはほとんど観測されない。図20(b)では、横モードスプリアス50が少し観測されるものの、横モードスプリアス50のピークにおいてもコンダクタンスRe|Y|は比較例1の基底レベル52と同等レベルであり、実用上問題がない。
ギャップ領域17の異方性係数γgおよび音速Vgを変えて、横モードスプリアスのピークのコンダクタンスRe|Y|が比較例1の基底レベル52と同等レベル以下となる範囲をシミュレーションした。ギャップ領域17の音速Vgは、中央領域15aの共振周波数における音速Vfrで除してVg/Vfrで示す。dVe=−0.5%とした。
図21は、実施例7に係る弾性波共振器において横モードスプリアスが比較例1の基底レベル以下となる範囲を示す図である。図21におけるクロス領域58は、横モードスプリアス50のピークのコンダクタンスが比較例1の基底レベル52以下となる領域である。黒丸AおよびBは図20(a)および図21(b)に相当する。図21に示すように、ギャップ領域17の異方性係数γgは0でなくともよい。また、ギャップ領域17における音速Vgが交叉領域15の反共振周波数のVfa(Vg/Vfr=1.05に相当する)より大きくても横モードスプリアスが実用上問題ない領域が存在する。
エッジ領域15bの音速の減少率dVeが−2.25%の弾性波共振器についてシミュレーションを行った。図22(a)から図22(d)は、実施例7に係る弾性波共振器についてシミュレーションした周波数に対するコンダクタンスを示す図である。図22(a)から図22(d)におけるシミュレーション条件は以下である。
エッジ領域15bの長さ:0.75λ
図22(a)
ギャップ領域17の異方性係数γg:+0.2
ギャップ領域17の音速:1.11×Vfr
図22(b)
ギャップ領域17の異方性係数γg:+0.5
ギャップ領域17の音速:1.06×Vfr
図22(c)
ギャップ領域17の異方性係数γg:+0.7
ギャップ領域17の音速:1.04×Vfr
図22(d)
ギャップ領域17の異方性係数γg:+1.0
ギャップ領域17の音速:1.04×Vfr
図22(a)では横モードスプリアスはほとんど観測されない。図22(b)では、横モードスプリアス50が少し観測されるものの、横モードスプリアス50のピークのコンダクタンスRe|Y|は比較例1の基底レベル52より小さい。図22(c)および図22(d)では、横モードスプリアス50のピークのコンダクタンスRe|Y|は比較例1の基底レベル52と同程度である。このように、図22(a)から図22(d)の横モードスプリアスは実用上問題のない程度である。
dVe=−2.25%において、ギャップ領域17の異方性係数γgおよび音速Vgを変えて、横モードスプリアスのピークのコンダクタンスRe|Y|が比較例1の基底レベル52と同等レベル以下となる範囲をシミュレーションした。
図23は、実施例7に係る弾性波共振器において横モードスプリアスが比較例1の基底レベル以下となる範囲を示す図である。黒丸AからCは図22(a)から図22(c)に相当する。図23に示すように、ギャップ領域17の異方性係数γgは0より大きくてもよい。また、ギャップ領域17における音速Vgが交叉領域15の反共振周波数における音速Vfaより大きくても横モードスプリアスが実用上問題ない領域が存在する。
図21および図23のように、実施例7では、ギャップ領域17における異方性係数γgおよび音速Vgの設計自由度が大きくなり、設計がしやすくなる。
ギャップ領域17における音速Vgは、中央領域15aの共振周波数における音速Vfrより大きければよいが、Vg/Vfrは1.02以上が好ましく、1.04以上がより好ましい。Vg/Vfrは、1.13以下が好ましい。ギャップ領域17における音速Vgは、バスバー18における音速Vbより小さいことが好ましい。これにより、ギャップ領域17の弾性波がバスバー18に漏れることを抑制できる。
ギャップ領域17における異方性係数γgは+1.0以下が好ましく、+0.5以下がより好ましい。
図22のように、エッジ領域15bにおける音速Veの縮小率dVeは、−0.5%以下が好ましく、−2.25%以下がより好ましい。すなわち、エッジ領域15bを伝搬する弾性波の音速Veは中央領域15aを伝搬する弾性波の音速V0の0.995以下であることが好ましく、0.9775以下であることがより好ましい。
実施例8は、実施例7の具体例である。図24(a)は、実施例8に係る弾性波共振器の平面図、図24(b)は、図24(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。図24(a)および図24(b)に示すように、実施例8では、ギャップ領域17において、電極指14間の圧電基板10上に付加膜35が設けられている。その他の構成は実施例4と同じであり、説明を省略する。
実施例8における横モードSH波の分散曲線を有限要素法の固有値解析を用いてシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。
付加膜35:膜厚が0.44λのAu膜
中央領域15aのデュティ比:50%
エッジ領域15bのデュティ比:54%
その他のシミュレーションで用いた構成は実施例1と同じである。
ここで、異方性係数γはY方向の規格化波数が0近傍の分散曲線の曲率より算出できる。以下の式を用いて曲率をフィッティングして導出する。
=(V/λ)√(1+γ・β −μ)
は規格化周波数、βは規格化波数、Vは自由表面下の弾性波音速、μは反射係数である。なおVはベタ金属膜下の弾性波音速を用いてもよい、この場合、補正係数たるμの値が適当に変わるだけで、γには影響しない。
図25(a)および図25(b)は、実施例8における交叉領域のうち中央領域およびエッジ領域の分散曲線を示す図である。図25(a)に示すように、中央領域15aにおける分散曲線は実施例4の図12と同じであり、γ0は1.4である。規格化波数が0となる規格化周波数は中央領域15aの共振周波数frである。すなわち、規格化周波数は1.0となる。図25(b)に示すように、エッジ領域15bにおける異方性係数γgは約1.4と中央領域15aと変わらず、規格化波数が0となる規格化周波数は、共振周波数より約0.5%小さい。
図26は、実施例8におけるギャップ領域の分散曲線を示す図である。図26に示すように、ギャップ領域17における異方性係数γgは約0.05であり、規格化周波数は約1.05(すなわちVg/Vfr=1.05)である。
以上のように、実施例8では、dVe=−0.5%、γg=+0.05およびVg/Vf=1.05となる。これは、図21の黒丸Cに相当し、横モードスプリアスは比較例1の基底レベル程度に抑制されるはずである。そこで、実施例8の弾性波共振器を作製した。比較例1に係る弾性波共振器も作製した。
図27(a)および図27(b)は、比較例1および実施例8における周波数に対するコンダクタンスRe|Y|およびアドミッタンスYの測定結果を示す図である。図27(a)に示すように、比較例1では大きな横モードスプリアス50が観測される。図27(b)に示すように、実施例8では、横モードスプリアス50は、比較例1の基底レベル程度に抑制されている。
[実施例8の変形例1]
実施例8の変形例1は、付加膜35が金属膜の例である。付加膜35が高密度の場合、付加膜35の膜厚が小さくても所望の音速にすることができる。また、付加膜35を電極指14を形成した後に形成する。このため、付加膜35をスパッタリング法または蒸着法およびリフトオフ法を用い形成することが好ましい。これらの観点から、付加膜35の材料としては、Au、Pt(白金)、Mo(モリブデン)、Ru(ルテニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)またはRh(ロジウム)等が好ましい。付加膜35は、これらの金属膜、密着膜および/またはバリア膜等の多層膜、またはこれらの金属の合金膜でもよい。また、付加膜35の材料は電極指14と同じ金属材料でもよい。
図28(a)から図28(c)は、実施例8の変形例1に係る弾性波共振器の平面図である。図28(a)に示すように、付加膜35は、電極指14およびバスバー18から離間していてもよい。図28(b)に示すように、付加膜35は、バスバー18と接触し、電極指14と離間していてもよい。図28(c)に示すように、付加膜35は、バスバー18と電極指14と接触していても対向する櫛型電極20の電極指14と接触していなければよい。
図29(a)から図29(f)は、図28(a)および図28(b)のA−A断面図である。付加膜35と電極指14とは距離D離間している。図30(a)から図30(f)は、図28(c)のA−A断面図である。付加膜35と電極指14とは接触している。図29(a)および図30(a)のように、付加膜35と圧電基板10との間に絶縁膜37aが設けられていてもよい。図29(b)および図30(b)のように、付加膜35の周囲には絶縁膜37aから37cが設けられていなくてもよい。図29(c)および図30(c)のように、付加膜35と圧電基板10との間に絶縁膜37aが設けられ、付加膜35上に絶縁膜37bが設けられていてもよい。
図29(d)および図30(d)のように、付加膜35上に絶縁膜37bが設けられていてもよい。図29(e)および図30(e)のように、付加膜35と圧電基板10との間に絶縁膜37aが設けられ、電極指14上に絶縁膜37cが設けられていてもよい。図29(f)および図30(f)のように、付加膜35上に絶縁膜37bが設けられ、電極指14上に絶縁膜37cが設けられていてもよい。
図29(a)および図29(b)のように、付加膜35と電極指14の間に絶縁膜が埋め込まれていなくてもよいし、図29(c)から図29(f)のように、付加膜35と電極指14の間に絶縁膜37bまたは37cが埋め込まれていてもよい。絶縁膜37aから37cとしては例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化アルミニウム膜等を用いることができる。
[実施例8の変形例2]
実施例8の変形例2は、付加膜35が絶縁膜の例である。付加膜35を高密度とするため、付加膜35の材料としては、Ta酸化物、Nb酸化物、W酸化物またはMo酸化物等が好ましい。付加膜35は、これらの絶縁膜の多層膜、またはこれらの酸化物の混合膜でもよい。
図31(a)は、実施例8の変形例2に係る弾性波共振器の平面図、図31(b)は、図31(a)のA−A断面図でありギャップ領域の断面図である。図31(a)および図31(b)に示すように、実施例8の変形例2では、ギャップ領域17の電極指14間および電極指14上に付加膜35が設けられている。その他の構成は実施例8と同じであり、説明を省略する。
図32(a)から図32(c)は、実施例8の変形例2のギャップ領域の断面図である。図32(a)に示すように、電極指14上に付加膜35は設けられていなくてもよい。図32(b)に示すように、電極指14間に付加膜35が設けられ、電極指14上には別の絶縁膜37cが設けられていてもよい。図32(c)に示すように、電極指14と付加膜35とは離間していてもよい。
実施例6のフィルタおよびデュプレクサに実施例7および8並びにその変形例の弾性波デバイスを用いてもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 圧電基板
12 金属膜
14 電極指
15 交叉領域
16 グレーティング電極
17 ギャップ領域
18 バスバー
20 櫛型電極
21 IDT
22 反射器
30、34、35 付加膜
32 凹部
44 送信フィルタ
46 受信フィルタ

Claims (17)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、
    を具備し、
    前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、
    一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さく、
    前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の反共振周波数における音速以下であり、
    前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβとしたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器。
  2. 前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速以上である請求項1記載の弾性波共振器。
  3. 前記ギャップ領域における異方性係数をγg、前記交叉領域における異方性係数をγ0としたとき、γg/γ0は−0.35以上かつ+0.35以下である請求項1または2記載の弾性波共振器。
  4. 前記ギャップ領域における異方性係数は、前記交叉領域側から前記バスバー側にかけて漸減する請求項1から3のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  5. 前記ギャップ領域内の前記圧電基板上に設けられた付加膜を具備する請求項1から4のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  6. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、
    を具備し、
    前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、
    前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域における異方性係数は、前記交叉領域における異方性係数と、一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数と、より小さく、
    前記ギャップ領域と前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域とを伝搬する弾性波の音速は、前記交叉領域を伝搬する弾性波の反共振周波数の音速以下であり、
    前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβとしたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器。
  7. 前記ギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さい請求項6記載の弾性波共振器。
  8. 前記ギャップ領域および前記バスバー内の前記交叉領域側の辺に隣接する領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速以上である請求項6または7記載の弾性波共振器。
  9. 前記ギャップ領域における異方性係数は、前記交叉領域側から前記バスバー側にかけて漸減する請求項6から8のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  10. 前記グレーティング電極側の辺に隣接する領域の前記バスバー上に設けられた付加膜を具備し、
    前記ギャップ領域内の前記圧電基板の上面に凹部が設けられている請求項6から9のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  11. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、弾性波を励振するグレーティング電極と前記グレーティング電極を接続するバスバーとを有する一対の櫛型電極が対向するIDTと、
    を具備し、
    前記一対の櫛型電極の前記グレーティング電極が交叉する交叉領域における異方性係数は正であり、
    一方の櫛型電極の前記グレーティング電極の先端と他方の櫛型電極のバスバーとの間に位置するギャップ領域における異方性係数は前記交叉領域における異方性係数より小さく、
    前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記交叉領域のうちギャップ領域に隣接するエッジ領域以外の前記交叉領域である中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速より大きく、
    前記エッジ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速より小さく、
    前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速の1.13倍以下であり、
    前記グレーティング電極の配列方向の前記弾性波の波数をβ、前記グレーティング電極の延伸方向の前記弾性波の波数をβ、および前記配列方向から前記延伸方向に傾いた方向の前記弾性波の波数をβとしたとき、β +γ・β =β で表されるγを前記異方性係数とする弾性波共振器。
  12. 前記ギャップ領域を伝搬する弾性波の音速は前記バスバーを伝搬する弾性波の音速より小さい請求項11記載の弾性波共振器。
  13. 前記エッジ領域を伝搬する弾性波の音速は前記中央領域を伝搬する弾性波の共振周波数における音速の0.995以下である請求項11または12記載の弾性波共振器。
  14. 前記ギャップ領域内の前記圧電基板上に設けられた付加膜を具備する請求項11から13のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  15. 前記圧電基板は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である請求項1から14のいずれか一項記載の弾性波共振器。
  16. 請求項1から15のいずれか一項記載の弾性波共振器を含むフィルタ。
  17. 請求項16記載のフィルタを含むデュプレクサ。
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