JP6482291B2 - 血流非依存性末梢体温回復剤、及びその製造方法 - Google Patents

血流非依存性末梢体温回復剤、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を回復させる血流非依存性末梢体温回復剤、及び当該血流非依存性末梢体温回復剤の製造方法に関する。
冷え性は、これまで女性に多いとされてきたが、近年、運動不足や食習慣の変化により男性にも増加している。冷え性とは、特に手や足等の末梢部位が温まらず、体が冷たく感じる状態のことをいう。これは、手や足等の末梢部位に血液が行き渡らず、末梢部位の体温が低下することにより起こるとされている。そのため、末梢部位の血流の改善効果を有する体温回復剤が多く開発されている。
例えば、特許文献1には、海苔、ワカメ、コンブ、クロレラ、スピルリナから選ばれる海藻由来のタンパク質を加水分解して得られるペプチドを有効成分とする血管拡張性医薬組成物が記載されている。特許文献2には、スイカズラ科ガマズミ属ガマズミの粉砕物、粉末、抽出物又は該抽出物の粗精製物もしくは精製物を含む経口用血流促進剤が記載されている。特許文献3には、黒生姜の抽出物を有効成分とする末梢血行障害改善剤が記載されている。
特開2004−244359号公報 特開2013−194019号公報 特開2013−237629号公報
特許文献1〜3には、血流改善により末梢体温を回復させることができる有効成分が記載されている。しかし、血流改善により末梢体温を回復させる場合、先ず、末梢部位の血流が改善した後、徐々に体温が上昇していくため、特許文献1〜3に記載の有効成分では、末梢部位における即効性の体温の回復効果を得ることは難しかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、血流の改善に依存することなく、速やかに末梢部位の体温を回復させる血流非依存性末梢体温回復剤を提供することを目的とする。また、当該血流非依存性末梢体温回復剤の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
液化仕込みで製造された酒粕を含有する血流非依存性末梢体温回復剤。
[発明2]
前記酒粕は、バチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼを反応させてなる発明1に記載の血流非依存性末梢体温回復剤。
[発明3]
前記酒粕は、セルラーゼ及びアミラーゼを反応させてなる発明1又は2に記載の血流非依存性末梢体温回復剤。
[発明4]
液化仕込みで製造された酒粕にセルラーゼ及びアミラーゼを反応させる糖質分解工程と、
糖質分解工程により得られた処理物にバチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼを反応させるプロテアーゼ処理工程と、
を包含する血流非依存性末梢体温回復剤の製造方法。
本発明の血流非依存性末梢体温回復剤は、液化仕込みで製造された酒粕を含有することにより、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を速やかに上昇させることができる。
図1は、液化仕込みで製造された酒粕を摂取したヒトの末梢部位における血流量の相対値及び体温回復率を示したグラフである。 図2は、液化仕込みで製造された酒粕のプロテアーゼ処理物を摂取したヒトの末梢部位における血流量の相対値及び体温回復率を示したグラフである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、液化仕込みで製造された酒粕及び当該酒粕のプロテアーゼ処理物に、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を速やかに上昇させる機能が存在することを見出した。ここで、本明細書中でいう「末梢部位」とは、人の腕の末端である手や、ヒトの脚の末端である足等のヒトの体の末端部分のことをいい、「血流非依存性末梢体温回復剤」とは、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を回復させることができる有効成分を含有する混合物のことをいう。血流非依存性末梢体温回復剤は、血流の改善による末梢部位の体温の上昇よりも速やかに末梢部位の体温を回復させることができる。
以下、本発明に係る血流非依存性末梢体温回復剤、及び当該血流非依存性末梢体温回復剤の製造方法に関する実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
(酒粕)
本発明の液化仕込みで製造された酒粕(以後、液化仕込みで製造された酒粕を、単に酒粕という)とは、原料米を液化した融米を用いてアルコール発酵を行い、アルコール発酵後、圧搾して得られる固体画分をいう。酒粕が得られる具体的な酒類については、特に限定されないが、清酒の製造で得られる酒粕であることが好ましい。本発明の酒粕は、原料米を液化した融米を使用する。融米は、例えば、原料米を水に浸漬した状態で粉砕し、この粉砕物に仕込み水及び耐熱性α−アミラーゼ等の糖質分解酵素を添加して、60〜110℃で反応させることにより得られる。得られた融米を常法にしたがって、アルコール発酵させて清酒を醸造し、得られた清酒を圧搾することにより酒粕を固体画分として得る。当該固体画分をそのまま血流非依存性末梢体温回復剤として食品や、医薬品の有効成分として利用することもできるが、上記酒粕を、乾燥させて粉末化することも可能である。これにより、酒粕を血流非依存性末梢体温回復剤として長期間保存することができる。酒粕は、血流非依存性末梢体温回復剤として利用可能であるが、当該酒粕をタンパク質分解酵素であるプロテアーゼで処理することにより、血流に依存しない、末梢部位の体温回復効果を増強させることができる。以下、酒粕のプロテアーゼ処理について説明する。
(酒粕のプロテアーゼ処理)
プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、酒粕中に含まれるタンパク質やペプチドを分解して低分子化する。プロテアーゼとしては、中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼであれば特に制限されず、任意のものを使用することができる。プロテアーゼには、例えば、ペプシンやエステラーゼ等の動物消化器由来のプロテアーゼ;バチルス(Bacillus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属等の微生物由来のプロテアーゼ;パパイン、ブロメライン、フィシン、アクチニジン等の植物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。この中でも、微生物由来のプロテアーゼが好ましく、バチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼがより好ましい。これらプロテアーゼは、1種単独で使用しても良いし、2種以上のプロテアーゼを組み合わせて使用しても良い。
プロテアーゼの使用量は、圧搾により得られた酒粕(湿重量)に対して約0.1〜1.0質量%が好ましく、約0.1〜0.8質量%がより好ましく、約0.3〜0.6質量%がさらに好ましい。上記範囲の使用量でプロテアーゼを作用させることにより、酒粕の血流非依存性末梢体温回復剤としての機能を向上させることが可能となる。
プロテアーゼの反応温度及び反応時間は、プロテアーゼの種類によって異なるが、中性プロテアーゼの場合、反応温度は約40〜60℃が好ましく、反応時間は約5〜20時間が好ましい。酸性プロテアーゼの場合、反応温度は約50〜60℃が好ましく、反応時間は約5〜24時間が好ましく、約16〜20時間がより好ましい。プロテアーゼは、例えば、約80〜100℃で約10〜30分処理することで失活し、反応が停止する。プロテアーゼの反応を停止させることにより、酒粕の血流非依存性末梢体温回復剤としての機能が最適な状態に維持される。
中性プロテアーゼを反応させる際のpHは、約6〜9が好ましく、酸性プロテアーゼを反応させる際のpHは、約3〜5が好ましい。酒粕を上記範囲のpHに調整すれば、各プロテアーゼが効率よく酒粕に作用する。中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼは、それぞれ単独で使用してもよいが、併用することが好ましい。中性プロテアーゼと酸性プロテアーゼとを併用する場合は、其々の至適pHに酒粕を調整しながら、中性プロテアーゼを反応させた後、酸性プロテアーゼを反応させることが好ましいが、中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼの至適pHの範囲が重複する場合は、重複するpHの範囲内で同時に反応させることも可能である。
プロテアーゼ処理で得られた酒粕のプロテアーゼ処理物は、血流の改善に依存することなくヒトの末梢部位の体温を回復させる有効成分を一定以上の濃度で含んでいるため、血流非依存性末梢体温回復剤として、そのまま食品や、医薬品に利用することができる。プロテアーゼ処理物を圧搾し、液体画分であるプロテアーゼ処理液として得ることも可能である。上記酒粕のプロテアーゼ処理液を濃縮したり、凍結乾燥させて粉末化することにより、血流非依存性末梢体温回復剤として長期間保存することが可能になる。
(酒粕の糖質分解処理)
得られた酒粕の圧搾物を、プロテアーゼ処理を行う前に、糖質分解酵素であるセルラーゼ及びアミラーゼを作用させることが好ましい。これにより、酒粕中に含まれる糖質が除去されるため、酒粕にプロテアーゼを効率的に反応させることが可能になる。
セルラーゼは、セルロースのβ−1,4−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素であり、酒粕中に含まれるセルロースを分解、可溶化させる。セルラーゼとしては、セルロースを分解する活性を有するものであれば特に制限されず、任意のものを使用することができる。セルラーゼには、セルロースの分子内部からランダムに切断するエンドグルカナーゼと、セルロースの還元末端及び非還元末端のいずれかから分解して、セロビオースを遊離させるエキソグルカナーゼ(セロビオヒドロラーゼ)が存在する。何れのセルラーゼを使用しても良いが、両者を併用することが好ましい。これにより、セルロースを効率よく分解、可溶化させることができる。また、セルラーゼの由来は特に限定されないが、酒粕に作用し易いトリコデルマ(Trichoderma)属由来及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来のセルラーゼが好ましい。
セルラーゼの使用量は、圧搾により得られた酒粕(湿重量)に対して約0.005〜0.2質量%が好ましく、約0.01〜0.1質量%がより好ましい。上記範囲の使用量でセルラーゼを作用させることにより、酒粕中に含まれているセルロースが効率よく分解し、可溶化する。
セルラーゼの反応温度及び反応時間は、セルラーゼの種類によって異なるが、反応温度は約40〜60℃が好ましく、反応時間は約2〜20時間が好ましい。また、セルラーゼを反応させる際のpHは、約3.5〜6が好ましい。上記範囲の反応条件でセルラーゼを作用させることにより、セルラーゼを酒粕に効率よく反応させることができる。
アミラーゼは、デンプンのグリコシド結合を加水分解する酵素であり、酒粕中に含まれるデンプンを分解し、可溶化させる。アミラーゼとしては、デンプンを分解する活性を有するものであれば特に制限されず、任意のものを使用することができる。アミラーゼには、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼが挙げられる。何れのアミラーゼを使用しても良いが、酒粕に作用し易いβ−アミラーゼが好ましく、麦由来のβ−アミラーゼがより好ましい。
アミラーゼの使用量は、圧搾により得られた酒粕(湿重量)に対して約0.005〜0.2質量%が好ましく、約0.01〜0.1質量%がより好ましい。上記範囲の使用量でアミラーゼを作用させることにより、酒粕中に含まれるデンプンが効率よく分解し、可溶化する。
アミラーゼの反応温度及び反応時間は、アミラーゼの種類によって異なるが、反応温度は約40〜60℃が好ましく、反応時間は約5〜20時間が好ましい。また、アミラーゼを反応させる際のpHは、約3.5〜6が好ましい。上記範囲の反応条件でアミラーゼを作用させることにより、アミラーゼを酒粕に効率よく反応させることができる。
酒粕を糖質分解酵素で処理する場合、糖質分解酵素による酒粕の処理物を固液分離して液体画分を除去し、固体画分を得る。これにより、酒粕の処理物に溶解している糖質等の水溶性成分が除去される。固液分離の方法としては、圧搾、遠心分離、ろ過等を挙げることができる。得られた固体画分をプロテアーゼ処理に供する。
(食品)
本発明の血流非依存性末梢体温回復剤を食品として使用する場合の形態としては、特に制限されず、例えば、焼菓子、揚菓子、チョコレート、ガム、飴、スナック、ゼリー、ケーキ等の菓子類;甘酒、カクテル等の酒類;米飯、粥等の米飯類;バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品;マーガリン、ピーナッツバター、ショートニング、ドレッシング、マヨネーズ、食用油等の油脂製品類;味噌汁、吸い物、スープ、カレー、シチュー等の汁物;スポーツ飲料、果汁飲料、炭酸飲料、お茶等の飲料等各種食品を挙げることができる。
本発明の血流非依存性末梢体温回復剤に、食品に用いることが可能な賦形剤や添加剤を配合して、食品組成物の剤形(サプリメント)とすることも可能である。食品組成物の剤形としては、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、カプセル製剤、シロップ剤等に調製することができる。
食品中の本発明の血流非依存性末梢体温回復剤の含有量は、固形又はゲル状食品の場合、酒粕の乾燥重量に換算して、全組成の0.01〜80質量%程度が好ましく、0.05〜50質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。液体状又は流動状の食品の場合、酒粕の乾燥重量に換算して、全組成の0.1〜20質量/容量%(W/V%)程度が好ましく、2.5〜10W/V%がより好ましい。
(医薬品)
本発明の血流非依存性末梢体温回復剤を医薬品として使用する場合の形態としては、特に制限されず、例えば、薬学的に許容可能な賦形剤や添加剤を配合した形態で、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、カプセル製剤、シロップ剤等の経口剤が挙げられる。
医薬品中の本発明の血流非依存性末梢体温回復剤の含有量は、固形又はゲル状の医薬品の場合、酒粕の乾燥重量に換算して、全組成の0.01〜80質量%程度が好ましく、0.05〜50質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。液体状又は流動状の医薬品の場合、酒粕の乾燥重量に換算して、全組成の0.1〜20質量/容量%(W/V%)程度が好ましく、2.5〜10W/V%がより好ましい。
(酒粕の製造)
掛け米及び麹米は、精米した日本晴を使用した。掛米の液化は、白米に対して150%の水を攪拌しながら投入し、白米1kg当たり0.2gの耐熱性α−アミラーゼ(天野エンザイム株式会社製)を添加して常温で40分間保持し、吸水を進めた。次いで、攪拌速度を上げて米を砕きながら75℃まで昇温して15分間保持し、更に90℃まで昇温して15分間保持して米を液化させた融米を調製した。得られた融米を常法にしたがって、アルコール発酵させて清酒を醸造し、得られた清酒を圧搾することにより酒粕を得た。酵母は、きょうかい酵母901号を使用し、麹菌は、清酒用種麹の液化仕込み用(株式会社樋口松之助商店)を使用した。
(酒粕のプロテアーゼ処理物の製造)
上記酒粕60kg(湿重量、固形分58.4重量%)に水120Lを添加し十分に攪拌し、50℃に保温した状態で、セルラーゼ(セルロシンT2;エイチビィアイ株式会社製)30g及びβ−アミラーゼ(ビオザイムM;天野エンザイム株式会社製)30gを添加して、50℃で16時間、糖質の分解処理を行った。分解処理後、90℃で10分間加熱処理してセルラーゼ及びβ−アミラーゼの反応を停止させた。処理物を、圧搾機(ONS自動圧濾圧搾機500型;NSKエンジニアリング株式会社製)により5kg/cmで3時間圧搾し、酒粕の糖質分解処理物41.9kg(湿重量、固形分56.8重量%)を得た。
次いで、得られた酒粕の糖質分解処理物41.9kgに水180Lを加え、KOHでpH6.8に調整し、十分に攪拌した。50℃に保温した状態で、中性プロテアーゼ(プロテアーゼNアマノG(バチルス属細菌由来);天野エンザイム株式会社製)210gを添加し、50℃で16時間プロテアーゼ処理を行った。さらに、HClでpH4.2に調整し、十分に攪拌した後、酸性プロテアーゼ(スミチームAP(アスペルギルス属菌由来);新日本化学工業株式会社製)250gを添加して60℃で20時間プロテアーゼ処理を行った。プロテアーゼ処理後、90℃で10分間加熱処理してプロテアーゼの反応を停止させた。得られたプロテアーゼ処理物を、圧搾機(ONS自動圧濾圧搾機500型;NSKエンジニアリング株式会社製)を用いて5kg/cmで3時間圧搾し、酒粕のプロテアーゼ処理液200Lを得た。
得られた酒粕のプロテアーゼ処理液を減圧濃縮法で濃縮し、さらに凍結乾燥法で粉末化した。減圧濃縮は、ロータリーエバポレーター(RE121 Rotavapor;日本ビュッヒ株式会社製(湯浴温度50℃、100rpm))とアスピレーター(Neocool Aspirator BP−51;ヤマト科学株式会社製(冷却温度5℃))を用いて行なった。凍結乾燥は、凍結乾燥機(FDU−2100;EYELA 東京理化器械株式会社製)を用いてマイナス80℃、真空度0.4Paで粉末になるまで行った。
(酒粕の末梢体温回復試験)
安静状態の被験者にプラセボ飲料(偽飲料)及び酒粕飲料を摂取させた。酒粕飲料には、酒粕の乾燥物(アルコールを含まない)10gを100mlの水に混合したものを用い、プラセボ飲料には、米粉末10gを100mlの水に混合したものを用いた。飲料を摂取した後、40分間安静後、15℃に調整した水槽に、被験者の左手を浸し、1分間冷却した。1分後、左手を引き上げて水滴を拭き取った時点を冷却負荷直後(0分)とし、冷却負荷直後から5分経過毎(5分、10分、15分、20分、25分)における左手の体温及び血流量を測定した。体温は、赤外線サーモグラフィ(FLIR E−6;フリアーシステムズジャパン株式会社製)を使用して、5本の指の第一関節から指先までの表面体温を測定した。得られた5本の指の表面体温の平均値を、指先の体温とした。血流量は、レーザー血流計(レーザー血流計CDF−2000;CyberMed社製)を使用して、人差し指の指先の血流量を測定した。測定した血流量は、飲料摂取前の血流量を100%とし、飲料摂取前の血流量に対する測定時の血流量の相対値(%)で評価した。体温は、体温回復率で評価し、飲料摂取前の体温を基準にして、各経過時間における体温回復率を求めた。体温回復率は、以下の計算式により算出した。
T分後の体温回復率(%) = (T分後の体温−冷却負荷直後(0分)の体温)/(飲料摂取前の体温−冷却負荷直後(0分)の体温) × 100
被験者は、健康な男女5人(男性4名、女性1名)を選抜した。図1のグラフの値は5人の平均値を表している。健康な被験者(生活習慣病等の疾病に罹患する前の人又は境界線上の人)としては、冷却負荷後、速やかに体温が回復する(冷却負荷後30分以内に体温回復率が100%以上になる)ヒトを選抜した。
図1(a)は、液化仕込みで製造された酒粕を摂取したヒトの末梢部位の血流量の相対値(%)を示したグラフであり、図1(b)は、液化仕込みで製造された酒粕を摂取したヒトの末梢部位の体温回復率(%)を示したグラフである。液化仕込みで製造された酒粕は、図1(a)に示すように、プラセボ飲料である米粉末と比較して、飲料摂取前の血流量に対する測定時の血流量の相対値は略同じ値となり、血液量の増加は認められなかった。しかし、体温回復率は、図1(b)に示すように、プラセボ飲料と比較して、冷却負荷直後から5分という短い期間で、指先の体温が60%近くまで回復しており、酒粕の末梢体温の回復効果が、血流に依存することなく速やかに発揮することが示された。上記結果から、液化仕込みで製造された酒粕は、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を速やかに上昇させることができる血流非依存性末梢体温回復剤として有効であることが示された。
(酒粕のプロテアーゼ処理物の末梢体温回復試験)
安静状態の被験者に、酒粕のプロテアーゼ処理飲料及びプラセボ飲料を摂取させた。酒粕のプロテアーゼ処理飲料には、プロテアーゼ処理物の乾燥物10gを100mlの水に混合したものを用い、プラセボ飲料には、米粉末10gを100mlの水に混合したものを用いた。飲料を摂取した後、40分間安静後、15℃に調整した水槽に、被験者の左手を浸し、1分間冷却した。1分後、左手を引き上げて水滴を拭き取った時点を冷却負荷直後(0分)とし、冷却負荷直後から5分経過毎(5分、10分、15分、20分、25分)における左手の体温及び血流量を測定した。体温は、赤外線サーモグラフィFLIR E−6を使用して、5本の指の第一関節から指先までの表面体温及び5本の指の付け根部分(親指では第二関節部分、他の指では第三関節部分)の表面体温を測定した。得られた5本の指の指先の表面体温の平均値及び5本の指の付け根の表面体温の平均値を、指先の体温及び指の付け根の体温とした。血流量は、レーザー血流計CDF−2000を使用して、人差し指の指先の血流量を測定した。測定した血流量は、飲料摂取前の血流量を100%とし、飲料摂取前の血流量に対する測定時の血流量の相対値(%)で評価した。体温は、体温回復率で評価し、飲料摂取前の体温を基準にして、各経過時間における体温回復率を求めた。
被験者は、冷え性で悩む男女各4人を選抜した。図2のグラフの値は8人の平均値を表している。冷え性で悩む被験者(生活習慣病等の疾病に罹患する前の人又は境界線上の人)としては、冷却負荷後、体温が回復し難い(冷却負荷後30分以上経過しても体温回復率が100%まで回復しない)ヒトを選抜した。
図2(a)は、酒粕のプロテアーゼ処理物を摂取したヒトの人差し指の指先の血流量の相対値(%)を示したグラフであり、図2(b)は、酒粕のプロテアーゼ処理飲料を摂取したヒトの指先の体温回復率を示したグラフであり、図2(c)は、酒粕のプロテアーゼ処理飲料を摂取したヒトの指の付け根の体温回復率を示したグラフである。酒粕のプロテアーゼ処理飲料は、図2(a)に示すように、冷却負荷直後から15分後まで(初期段階)の飲料摂取前の血流量に対する測定時の血流量の相対値が、プラセボ飲料と略同じ値となり、初期段階における血液量の増加は認められなかった。しかし、酒粕のプロテアーゼ処理飲料は、図2(b)及び(c)に示すように、プラセボ飲料と比較して、冷却負荷直後から10分という短い期間で指先及び指の付け根の体温が回復しており、酒粕のプロテアーゼ処理物の末梢体温の回復効果が、血流に依存することなく速やかに発揮することが示された。特に、指先では、冷却直後から5分までに体温が回復し始めることから、末梢部位であるほど体温の回復効果が高いことが認められた。上記結果から、酒粕のプロテアーゼ処理物は、冷え性で悩む被験者においても、血流の改善に依存することなく、ヒトの末梢部位の体温を速やかに上昇させることができる血流非依存性末梢体温回復剤として有効であることが示された。
本発明に係る血流非依存性末梢体温回復剤は、特に手や足先の末梢部位の冷え性に有効であり、食品、飲料、医薬品等に利用することができる。

Claims (5)

  1. 液化仕込みで製造された酒粕(アルコールを含まない)を含有する血流非依存性末梢体温回復剤であって、
    健康な人が摂取するための血流非依存性末梢体温回復剤。
  2. 液化仕込みで製造された酒粕のプロテアーゼ処理物を含有する血流非依存性末梢体温回復剤であって、
    前記プロテアーゼ処理物は、酒粕処理物とバチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼを反応させてなる血流非依存性末梢体温回復剤。
  3. 前記酒粕処理物は、前記酒粕とセルラーゼ及びアミラーゼを反応させてなる請求項2に記載の血流非依存性末梢体温回復剤。
  4. 冷え性の人が摂取するための請求項2又は3に記載の血流非依存性末梢体温回復剤。
  5. 液化仕込みで製造された酒粕にセルラーゼ及びアミラーゼを反応させる糖質分解工程と、
    糖質分解工程により得られた処理物にバチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ及びアスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼを反応させるプロテアーゼ処理工程と、
    を包含する血流非依存性末梢体温回復剤の製造方法。
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