JP6480653B2 - 導電性高分子溶液 - Google Patents

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本発明は、導電性高分子を含む導電性高分子溶液に関する。
従来、導電性高分子を用いて固体電解コンデンサの固体電解質を形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、弁金属の多孔質体からなる陽極と、該陽極の表面が酸化されて形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成され、固体電解質層を具備する陰極とを有するコンデンサが挙げられている。そして、固体電解質層は、π共役系導電性高分子とポリアニオンと溶媒とを含み、25℃におけるpHが3〜13に調整された導電性高分子溶液が塗布されて形成されている。
特開2006−287182号公報
従来の導電性高分子溶液は、酸や界面活性剤、アルカリによる物性変化に対して対策されていないため、容易にpHや粘度の変化、凝集が起こる場合があった。
また、従来の導電性高分子溶液においては、該導電性高分子溶液に酸や界面活性剤が溶け込むことにより、凝集や粘度上昇が起こり、溶液がゲル化する場合があった。特に、固体電解コンデンサの製造においては、一般に、弁作用金属は多孔体であり、多孔体の細孔内部から多孔体の外表面まで形成される誘電体層を完全に導電性高分子で被覆し、固体電解質層を形成する。この固体電解質層の形成においては、(1)導電性高分子溶液へ浸漬させた後に乾燥させる工程が複数回繰り返される。また、(2)化学酸化重合もしくは電解重合で第一の固体電解質層を形成した後、第一の固体電解質層が形成された素子を導電性高分子溶液に浸漬させ、第二の固体電解質層を形成する。(1)の場合、導電性高分子溶液に含まれる固体電解質からドーパントとして用いられている酸や界面活性剤が溶け出す場合がある。また、(2)の場合、第一の固体電解質層から導電性高分子溶液に酸や界面活性剤などが溶け出す場合がある。導電性高分子溶液に酸や界面活性剤が溶け出すと、導電性高分子溶液の粘度の上昇や、導電性高分子溶液中で導電性高分子の凝集が発生し、均一な膜が形成されない場合がある。その結果、コンデンサの性能が低下する場合があった。
そこで、本実施形態は、上記課題の少なくとも1つを解消することを目的とする。
本実施形態の一は、ドーパント分子でドープされた導電性高分子と、溶媒と、pH緩衝剤と、を含み、金属量が5000mg/kg以下であり、前記pH緩衝剤が、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリシン、若しくはグリシン、又はそれらの誘導体であることを特徴とする導電性高分子溶液である。
本実施形態の一は、固体電解コンデンサの固体電解層の形成に用いられる上記導電性高分子溶液である。
本実施形態の構成により、pHや粘度の変化、凝集が抑制された導電性高分子溶液を提供することができる。
本発明に係る固体電解コンデンサの構成例を示す模式的断面図である。 本発明に係る固体電解コンデンサの構成例を示す模式的断面図である。
本実施形態の導電性高分子溶液は、ドーパント分子でドープされた導電性高分子と、溶媒と、特定のpH緩衝剤と、を含む。また、本実施形態の導電性高分子溶液中の金属量は5000mg/kg以下である。
導電性高分子溶液に含まれる金属量が5000mg/kgを超えると、金属の影響で、得られるコンデンサのESRや信頼性が低下する。金属量は、可能であれば、0に近い値が望ましい。金属量の同定にはイオンクロマトグラフ法や原子吸光分析法を用いることができる。導電性高分子溶液中の金属量は1000mg/kg以下であることが好ましく、500mg/kg以下であることがより好ましく、300mg/kg以下であることがさらに好ましく、290mg/kg以下であることが特に好ましい。導電性高分子溶液中の金属量が多くなると、該導電性高分子溶液をコンデンサの形成に用いた場合に、誘電体が損傷を受け、結果として、ESRの上昇や漏れ電流の増加等を引き起こす場合がある。
導電性高分子溶液のpHは、特に制限されないが、導電性高分子からの脱ドープを抑制する観点から、1〜10であることが好ましい。pHが10以下である場合、脱ドープによる導電率の低下を抑制することができる。また、導電性高分子のpHは2〜9であることがより好ましい。pHが2〜9の場合、誘電体層としての酸化皮膜の溶解を抑えることができる。
pH緩衝剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、弱酸と強アルカリとの組み合わせ、強酸と弱アルカリとの組み合わせ等が挙げられる。また、pH緩衝剤としては、例えば、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、若しくはグリシン、又は、それらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、金属を用いなくても緩衝能力を持たせられる点から、強酸と弱アルカリとの組み合わせ、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、若しくはグリシン、又はそれらの誘導体が好ましい。これらの中でも、酸を含まずに緩衝能力を奏することができる事から、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、グリシン、又はそれらの誘導体がより好ましい。
また、pH緩衝剤を添加することにより、導電性高分子溶液の粘度の上昇も抑えることが出来る。
酸としては、特に限定されるものではないが、具体例としては、酢酸、クエン酸、フタル酸、コハク酸等のカルボン酸類、りん酸、ホウ酸、硫酸、硝酸、塩酸、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸などの低分子有機酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸もしくはこれらの誘導体等が挙げられる。
アルカリは、特に限定されるものではないが、具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属類、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン又はその誘導体、アニリン、ベンジルアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン等の芳香族アミン又はその誘導体、あるいは金属アルコキシド等がげられる。特に導電率を上昇させられることから、アルカリとしては、イミダゾール、ピリジンのような窒素含有芳香族環式化合物が好ましい。
アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、グリシン、トリス、トリシンもしくはその誘導体としては、例えば、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)、Bis−Tris(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、ADA(N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸)、PlPES(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸))、ACES(N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPSO(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、DlPSO(3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、HEPPSO(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸))、HEPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸)、EPPS(3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、Tricine(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)、Bicine(N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)、CHES(2−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、CAPS(3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸)等が挙げられる。これらは単体でも緩衝能力を発揮することができる。これらの中でも、水への溶解性の観点から、MES、Bis−Tris、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DlPSO、TAPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPSが好ましい。また、酸化皮膜の腐食を抑制する観点からは、腐食を促進する可能性があるスルホン基を有しない、Bis−Tris、ADA、トリス、グリシン、Tricine、Bicineが好ましい。少量の添加でpHを高く調整できるという観点からは、Bis−Tris、トリシン、HEPESが好ましい。
pH緩衝剤の添加方法は、特に制限されるものではない。
pH緩衝剤を添加する場合としては、先にアルカリを加えた後に酸を加える方法、酸を加えた後にアルカリを加える方法、アルカリと酸とを混合してpH緩衝剤を含むpH緩衝剤溶液を調製してから加える方法などが挙げられる。
アルカリを酸よりも先に加える方法では脱ドープが起こり、導電率が低下する可能性が有る。また、酸をアルカリよりも先に加える方法では溶液の粘度が上昇する可能性がある。そのため、アルカリと酸を少量ずつ交互に加えるか、アルカリと酸を先に混合してpH緩衝剤溶液を予め調製してから溶液に加えることが好ましい。
なお、本明細書における凝集は、導電性高分子の粒径の増大、導電性高分子の沈殿等を含む概念である。また、導電性高分子の粒径の増大、導電性高分子の沈殿が生じると、ゲル化や溶媒の分離が起こる場合もある。
(導電性高分子)
<導電性高分子モノマー>
導電性高分子のモノマーは、導電性高分子を与えるモノマーであれば特に制限されるものではなく、具体例としては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。ピロールの誘導体の具体例としては、3−ヘキシルピロール等の3−アルキルピロール、3,4−ジヘキシルピロール等の3,4−ジアルキルピロール、3−メトキシピロール等の3−アルコキシピロール、3,4−ジメトキシピロール等の3,4−ジメトキシピロールが挙げられる。チオフェンの誘導体の具体例としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体、3−ヘキシルチオフェン等の3−アルキルチオフェン、3−メトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェンが挙げられる。アニリンの誘導体の具体例としては、2−メチルアニリン等の2−アルキルアニリン、2−メトキシアニリン等の2−アルコキシアニリンが挙げられる。導電性高分子モノマーの中でも、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体が好ましい。3,4−エチレンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシチオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェンが挙げられる。モノマーは、1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。モノマー溶液中のモノマーの濃度は、特に制限されるものではないが、高い導電率を有する導電性高分子を収率良く得るという観点から、0.5〜70質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
<モノマー溶液の調製方法>
導電性高分子の合成方法は、特に制限されるものではない。例えば、ドーパントまたはその塩(ポリスチレンスルホン酸、その他ポリ酸、低分子有機酸またはその塩等)の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体の酸化重合を行う方法が挙げられる。また、例えば、低分子有機酸またはその塩の存在下でチオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体を酸化重合してそれらをポリマー中に取り込ませ、その後にポリスチレンスルホン酸、その他ポリ酸またはその塩の存在下でチオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体を更に酸化重合してそれらをポリマー中に取り込ませてもよい。また、複数のポリマーを混合することによって、導電性高分子を得てもよい。いずれの方法においても、重合液をそのまま使用することが可能なため、水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で導電性高分子の合成を行うことが好ましい。
低分子有機酸またはその塩の具体例としては、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸およびそれらの誘導体、ならびにそれらの鉄(III)塩が挙げられる。低分子有機酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ベンゼンスルホン酸の誘導体の具体例としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体の具体例としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸が挙げられる。アントキノンスルホン酸の誘導体の具体例としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸が挙げられる。これらの中でも、1−ナフレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはこれらの鉄(III)塩が好ましい。重合物の高結晶化への影響が大きいことから、カンファースルホン酸がさらに好ましい。カンファースルホン酸は、光学活性体でもよい。
また、酸化剤の機能を兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)も好ましい。ドーパントは、1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。ドーパントの使用量は、特に制限されるものではないが、高い導電率を有する導電性高分子を得るためには、モノマー1質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましい。
<重合時の酸化剤>
酸化剤は、特に制限されるものではないが、その具体例としては、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=1,6)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素;p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩等が挙げられる。これらの中でも、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、または過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムまたはp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましい。酸化剤は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化剤の使用量は、特に制限されるものではないが、より穏やかな酸化雰囲気で反応させて高導電率の重合体を得るという観点から、モノマー1質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜40質量部であることがより好ましい。
<重合時の溶媒>
重合時に用いる溶媒は、特に制限されるものではなく、例えば、水系溶媒である。水系溶媒としては、水が好ましく、水と水溶性の有機溶媒の混和溶媒であってもよい。水溶液の有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸等のプロトン性極性溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらの中でも、ジメチルスルホキシドが好ましい。
<バインダ樹脂>
本実施形態の導電性高分子溶液は、結着剤としての機能を有するバインダ樹脂を含有してもよい。バインダ樹脂は、特に制限されるものではないが、その具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。バインダ樹脂の添加量は、導電性を低下させないという観点から、導電性高分子溶液中の固形分1質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましい。
<重合方法>
導電性高分子を合成する際の酸化重合は、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用することができる。
<重合条件>
酸化重合時の温度は、特に制限されるものではないが、0〜100℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましい。また、重合時間は、1時間〜72時間が好ましく、6時間〜48時間がより好ましい。
(コンデンサ)
本実施形態の導電性高分子溶液は、導電性高分子が、水または有機溶剤等の溶媒に溶解または分散されている。
本実施形態の導電性高分子溶液は、電界コンデンサの電解液として用いることができる。また、本実施形態の導電性高分子溶液から溶媒を除去して得られた導電性高分子組成物は、固体電解コンデンサの固体電解質層として用いることができる。導電性高分子溶液に含まれる導電性高分子や、導電性高分子溶液から溶媒を除去することで得られる導電性高分子組成物の導電性が高いことから、低いESRを有するコンデンサを得ることが可能となる。
(陽極、誘電体)
陽極導体は、弁作用金属の板、箔または線;弁作用金属の微粒子からなる焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成されることができる。弁作用金属の具体例としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル又はニオブが好ましい。誘電体は陽極導体を電解酸化して形成することができる。
(固体電解質層)
固体電解質層は、本実施形態の導電性高分子溶液から溶媒を除去して得られる導電性高分子組成物からなる。つまり、本実施形態の固体電解質層は、導電性高分子溶液を乾燥して得られる導電性高分子組成物から構成される。固体電解質層の形成方法としては、誘電体層上に、本実施形態の導電性高分子溶液を塗布または含浸させ、その後、導電性高分子溶液から溶媒を除去する方法が挙げられる。塗布または含浸の方法としては、特に制限はされないが、十分に多孔質細孔内部へ導電性高分子溶液を充填させるために、塗布または含浸後に1〜60分放置することが好ましい。また、浸漬を繰り返してもよい。また、減圧方式または加圧方式を用いることが好ましい。導電性高分子溶液からの溶媒の除去は、導電性高分子溶液を乾燥することで行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に制限されるものではないが、熱による素子劣化防止の観点から、上限温度は300℃以下であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜最適化することができるが、導電性が損なわれない範囲であれば特に制限されない。また、固体電解質層は、第一の固体電解質層と第二の固体電解質層の2層構造とすることもできる。例えば、まず、誘電体層上で、導電性高分子を与えるモノマーを化学酸化重合または電解重合することにより、導電性高分子を含む第一の固体電解質層を形成する。その後、その第一の固体電解質層上に、本実施形態の導電性高分子溶液を塗布し、その導電性高分子溶液から溶媒を除去して、第二の固体電解質層を形成しても良い。また、その逆の手順で固体電解質層を形成しても良い。
図1に示すように、本実施形態の固体電解コンデンサは、例えば、陽極側電極としての弁作用金属(陽極導体)1と、この弁作用金属1と繋がる弁作用金属リード8、弁作用金属1の表面を陽極酸化して得た誘電体酸化皮膜層2と、固体電解質として導電性高分子層3と、グラファイト層4と銀層5からなる陰極層、弁作用金属リード8および銀層5と外部電極7を繋げる導電接着剤6、これらを覆う外装樹脂9から構成されている。図2は、固体電解質層が2層(第一の導電性高分子層3A、第二の導電性高分子層3B)で構成されている形態を示す図である。
(陰極導体)
固体電解質層の上には陰極導体を形成しても良い。陰極導体としては、導体であれば特に限定されるものではないが、例えば、グラファイト等のカーボン、又は銀などの金属が挙げられる。陰極導体は、グラファイトなどのカーボン層と、銀導電性樹脂とからなる2層構造を有するように形成することもできる。
[実施例・比較例]
下記実施例1〜6、及び8は、参考例である。
「比較例1」
市販品であるCleviosTM PH 500 (Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、300mg/kgであった。
その後、上記溶液にp−トルエンスルホン酸(p−TSA)を10g加え1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、凝集が観察された。この時の粘度は30.2mPa・sであり、pHは1.53であった。p−TSAを入れたときの溶液の様子と粘度について表1に示す。
「比較例2」(リン酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、リン酸(85%水溶液)を24.448g、水酸化ナトリウムを8.48g混ぜ合わせ、「リン酸+ナトリウム水溶液」を調製した。この「リン酸+ナトリウム水溶液」を上記溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、得られた溶液の外観は溶液状態であり、粘度は18.2mPa・sであり、pHは2.84であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、5010mg/kgであった。
「リン酸+ナトリウム水溶液」を添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。得られた溶液の粘度は19.3mPa・sであり、pHは2.79であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例1」(リン酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、リン酸(85%水溶液)を24.387g、水酸化ナトリウムを8.461g混ぜ合わせ、「リン酸+ナトリウム水溶液」を調製した。この「リン酸+ナトリウム水溶液」を上記溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、得られた溶液の外観は溶液状態であり、粘度は16.8mPa・sであり、pHは2.83であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、5000mg/kgであった。
「リン酸+ナトリウム水溶液」を添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。得られた溶液の粘度は19.4mPa・sであり、pHは2.78であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例2」(リン酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、リン酸(85%水溶液)を8.642g、水酸化ナトリウムを2.998g混ぜ合わせ、「リン酸+ナトリウム水溶液」を調製した。この「リン酸+ナトリウム水溶液」を上記導電性高分子溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、得られた溶液の外観は溶液状態であり、凝集も見られていない。粘度は15.9mPa・sであり、pHは2.79であった。
「リン酸+ナトリウム水溶液」を添加・攪拌後、p−トルエンスルホン酸を10g加え1時間スターラーで十分に攪拌した。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、2000mg/kgであった。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり凝集は見られていない。この時の粘度は19.5mPa・sであり、pHは2.51であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例3」(リン酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、リン酸(85%水溶液)を3.534g、水酸化ナトリウムを1.226g混ぜ合わせ、「リン酸+ナトリウム水溶液」を調製した。この「リン酸+ナトリウム水溶液」を上記導電性高分子溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、得られた溶液の外観は溶液状態であり、粘度は15.9mPa・sであり、pHは2.51であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、1000mg/kgであった。
リン酸+ナトリウム水溶液を添加・攪拌後、p−トルエンスルホン酸を10g加え1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所溶液状態であり凝集なども見られていない。この時の粘度は19.6mPa・sであり、pHは2.31であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例4」(酢酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、酢酸を4.491g、水酸化ナトリウムを2.983g混ぜ合わせ、「酢酸+ナトリウム水溶液」を調製した。この「酢酸+ナトリウム水溶液」を上記溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は15.6mPa・sであり、pHは4.51であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、2000mg/kgであった。
「酢酸+ナトリウム水溶液」を添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は17.7mPa・sであり、pHは2.9であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例5」(クエン酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、クエン酸14.574g、水酸化ナトリウム3.019gをそれぞれ準備し、交互に少量ずつ上記溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は15.9mPa・sであり、pHは3.54であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、2000mg/kgであった。
クエン酸と水酸化ナトリウムを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は19.1mPa・sであり、pHは3.11であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例6」(ホウ酸+水酸化ナトリウム)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
別途、ホウ酸4.636g、水酸化ナトリウム2.984gをそれぞれ準備し交互に少量ずつ導電性高分子溶液に加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり粘度は15.6mPa・sであり、pHは8.91であった。溶液をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により金属量を測定した結果、2000mg/kgであった。
ホウ酸と水酸化ナトリウムを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は17.1mPa・sであり、pHは3.21であった。外観、粘度の変化について表1に示す。
「実施例7」(MES)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、MESを49g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は16.5mPa・sであり、pHは2.21であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、286mg/kgであった。
MESを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は16.7mPa・sであり、pHは2.01であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例8」(Bis−Tris)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、Bis−Trisを52.5g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は13.8mPa・sであり、pHは7.93であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、285mg/kgであった。
Bis−Trisを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は16.8mPa・sであり、pHは7.24であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例9」(MOPSO)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、MOPSOを56.5g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は17.6mPa・sであり、pHは2.19であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、284mg/kgであった。
MOPSOを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は17.8mPa・sであり、pHは2.01であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例10」(MOPS)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、MOPSを52.5g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は17.6mPa・sであり、pHは2.19であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により金属量を測定した結果、285mg/kgであった。
MOPSを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は16.3mPa・sであり、pHは2.01であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例11」(TES)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり、凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、TESを57.5g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は17.8mPa・sであり、pHは2.31であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、284mg/kgであった。
TESを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は17.0mPa・sであり、pHは2.02であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例12」(トリシン)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、トリシンを45g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり、粘度は16.7mPa・sであり、pHは3.70であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、287mg/kgであった。
トリシンを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は17.4mPa・sであり、pHは3.06であった。外観、粘度について表1に示す。
「実施例13」(HEPES)
市販品であるCleviosTM PH 500(Heraeus社)1000gをビーカーに分取し、1時間スターラーで攪拌した。この時、外観は溶液状態であり凝集は見られていない。この溶液をビスコメイト粘度計 VM−10A(CBC株式会社)にて測定した。粘度は15.5mPa・sであり、pHメーターD−52(株式会社堀場製作所)にて測定したpHは2.29であった。測定温度は20℃であった。
その後、HEPESを59.5g加え、1時間スターラーで攪拌した。その時、外観は溶液状態であり粘度は17.4mPa・sであり、pHは4.48であった。溶液の金属量をイオンクロマトグラフ法と原子吸光分析法により測定した結果、283mg/kgであった。
HEPESを添加及び攪拌した後、p−トルエンスルホン酸を10g加え、1時間スターラーで十分に攪拌した。攪拌後、外観を確認した所、溶液状態であり、凝集は見られていない。この時の粘度は18.9mPa・sであり、pHは4.06であった。外観、粘度について表1に示す。
「比較例3」(アルミニウムコンデンサ製造)
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりアルミニウムの表面に誘電体層として酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体を、比較例1で製造した溶液(p−トルエンスルホン酸を加えた後)に浸漬し、引き上げた。その後、125℃で乾燥・固化させることで、固体電解質層を形成した。固体電解質層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成して、固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、LCRメーターを用いて100kHzの周波数で測定した。ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm2)に規格化して求めた。また、85℃85%RHの恒温恒湿槽に250時間放置後のESRも同様にして測定した。結果を表2に示す。
「比較例4」
使用した溶液を比較例2に変更した以外は比較例3と同様にして固体電解コンデンサを作製し、ESRの値を測定した。また、85℃85%RHの恒温恒湿槽に250時間放置後のESRの値も同様に測定した。結果を表2に示す。
「実施例14〜23」
使用した溶液を実施例1〜3と7〜13の導電性高分子溶液にそれぞれ変更した以外は比較例3と同様に固体電解コンデンサを作製し、比較例3と同様にESRの値を測定した。また、85℃85%RHの恒温恒湿槽に250時間放置後のESRも同様にして測定した。結果を表2に示す。
「実施例24」(アルミニウムコンデンサ製造)化学重合+導電性高分子溶液
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりアルミニウムの表面に誘電体層として酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体を、モノマー液と、酸化剤液とに順番に浸漬・引き上げを10回繰り返し行い、化学酸化重合を行うことで、第一の固体電解質層を形成した。モノマー液は、モノマー(M2)としてのピロール10gを純水200mlに溶解させて調製した。酸化剤液は、ドーパントとしてのp−トルエンスルホン酸20gおよび酸化剤としての過硫酸アンモニウム10gを純水200ml溶解させて調製した。次に、第一の固体電解質層上に、実施例8で製造した導電性高分子溶液を滴下し、125℃で乾燥・固化させることで、第二の固体電解質層を形成した。そして、第二の固体電解質層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成して、固体電解コンデンサを得た。得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、比較例3と同様の方法で測定した。また、85℃85%RHの恒温恒湿槽に250時間放置後のESRも同様に測定した。結果を表2に示す。
「実施例25」(タンタルコンデンサ製造)
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のタンタルを用いた以外は、実施例24と同様に実施して、固体電解コンデンサを製造し、その固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を比較例3と同様の方法で測定した。また、85℃85%RHの恒温恒湿槽に250時間放置後のESRも同様に測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006480653
Figure 0006480653
1:陽極導体(弁作用金属)
2:誘電体酸化皮膜
3:導電性高分子層
3A:第一の導電性高分子
3B:第二の導電性高分子
4:グラファイト層
5:銀層
6:導電性接着剤
7:電極
8:弁作用金属リー
9:外装樹脂

Claims (7)

  1. ドーパント分子でドープされた導電性高分子と、溶媒と、pH緩衝剤と、を含み、金属量が5000mg/kg以下であり、
    前記pH緩衝剤が、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリシン、若しくはグリシン、又はそれらの誘導体であることを特徴とする導電性高分子溶液。
  2. 前記金属量が500mg/kg以下である請求項に記載の導電性高分子溶液。
  3. pHが1〜10の範囲に調整されている請求項1または2に記載の導電性高分子溶液。
  4. 前記導電性高分子はモノマーの重合体であり、前記モノマーがピロール、チオフェン、アニリン又はそれらの誘導体である請求項1乃至のいずれかに記載の導電性高分子溶液。
  5. 前記ドーパント分子でドープされた導電性高分子が、ポリスチレンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸、および、それらの誘導体、並びに、それらの塩から選ばれる1種以上の存在下でのモノマーの酸化重合物である請求項1乃至のいずれかに記載の導電性高分子溶液。
  6. 前記ドーパント分子でドープされた導電性高分子が、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、および、カンファースルホン酸、並びに、これらの鉄(III)塩から選ばれる1種以上の存在下でのモノマーの酸化重合物である請求項に記載の導電性高分子溶液。
  7. 固体電解コンデンサの固体電解質層の形成に用いられる請求項1〜のいずれかに記載の導電性高分子溶液。
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