JP6479688B2 - 塗料および塗料形成材料のハジキ検出方法 - Google Patents

塗料および塗料形成材料のハジキ検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗料の原材料中にまたは塗料中に不純物として存在する、塗膜形成後のハジキ等の原因となるシリコーンおよび/または油性成分の存在を検知する方法に関する。
自動車、産業用機械および家電製品等の塗装工程では、多種の液体塗料の塗膜を順に積層している。自動車塗装では、例えば、基材である金属製鋼板上に、電着塗料、中塗り塗料、ソリッド色またはメタリック色塗料、およびクリヤー塗料の各塗膜を順に形成する。
特に、ソリッド色塗料およびクリヤー塗料の塗膜は、製品の視覚外観の優劣を左右するため、平坦でかつハジキ等の欠陥のないことが必須である。本明細書で言う「ハジキ等」とは、一連の塗装・乾燥工程において生じる塗膜表面の表面欠陥(くぼみ・孔)を指す。これらの表面欠陥は、一般に、塗料組成物よりも低い表面張力を有する原因物質によって引き起こされる。ハジキ等には、原因物質を中心として、被塗物である基材の表面が露出するハジキと、基材表面の露出はしていないものの、塗膜表面に特異的な円形くぼみとして確認できるヘコミとがあり、どちらも肉眼で確認されることが一般的である。塗膜表面のハジキ等は、クリヤー塗料において特に避けなければならないが、中塗り塗膜または着色塗膜においても、できる限りそれらの欠点がないことが好ましい。
ハジキ等は、塗料中に不純物として存在するシリコーンまたは機械油・潤滑油などの油性成分などの、溶解性パラメーター(SP)値の小さい微量成分によって生ずる。これらの成分は、塗料の原材料、製造装置、容器などから、意図せずに塗料中に持ち込まれ、塗膜欠陥の原因となる。
こうした欠陥の原因物質を取り除くために、特開平11−21481号公報(特許文献1)に記載のようなポリプロピレン繊維シートなどを用いて塗料をろ過してハジキ等の原因となるシリコーンまたは油性成分などを吸着除去することなども行われている。しかしながら、原因物質を完全に除去することは困難である。
塗料製造業者はこうした欠陥を未然に防ぐために、塗料原材料または最終的に得られた塗料を塗装して検査する。しかしながら、塗料製造後に欠陥を認めた場合、その塗料は不良品となり出荷できずに無駄となるので、塗料製造前における原材料段階での検査が必要である。検査の対象となる原材料としては、クリヤー塗料の場合、樹脂、溶剤、添加剤などがあげられる。また必要によっては、樹脂の原料であるモノマー段階から検査が行われることもある。
原材料の検査は、少量のサンプルで塗料を製造し、得られた塗料を塗装して目視により欠陥の有無を検査することによって行われる。しかしながら、塗料の製造には多くの原材料が必要であるため、このような検査を行うことは非常に大きな労力を必要とする。さらにこの検査方法においては、どの原材料に、欠陥の原因物質が含まれるか特定することに対しても、非常に大きな労力が必要となる。加えて、目視判定では、熟練した検査員が必要であるとともに、検査員の個人差もあることから、検査の検知力が低く、不良品を完全に食い止めることはできなかった。
特開平11−21481号公報
従って、本発明の目的は、塗料の原材料中または塗料中に存在する、ハジキ等の原因物質の存在を簡便かつ高感度に検知することによって、塗料がハジキ等を発生する可能性(ハジキ性)を判断する方法を確立することである。
本発明者らは、ハジキ等の原因となる、シリコーンおよび/または油性成分などの不純物が、塗料用の樹脂ワニスまたは溶剤などに微量でも混在する場合は、そのラメラ長が、不純物を含まないときと比較して大きく低下することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の方法を提供する。
[1]
ラメラ長により材料のハジキ性を判断する方法であって、
ハジキを生じない材料を選定する工程1、
上記ハジキを生じない材料のラメラ長を測定して基準ラメラ長を決定する工程2、および
測定用材料のラメラ長を測定して、基準ラメラ長の所定%未満のものをハジキ可能性材料と認定する工程3、
を包含する、材料のハジキ性を判断する方法。
[2]
工程1および工程2で基準ラメラ長を決定し、および、工程3のみを何度も繰り返す、上記方法。
[3]
ラメラ長の測定が円環法で行われる、上記方法。
[4]
工程3の所定%が80%である、上記方法。
[5]
上記ハジキを生じない材料および測定用材料が、塗料を構成する樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマー、塗料自体およびそれらの組合せからなる群から選択される同一の材料である、上記方法。
[6]
測定用材料のラメラ長を測定して、予め測定により決定したその材料の基準ラメラ長の所定%未満のものをハジキ可能性材料と認定することを特徴とする、材料のハジキ性を判断する方法。
[7]
ラメラ長の測定が円環法で行われる、上記方法。
[8]
上記所定%が80%である、上記方法。
[9]
上記材料が、塗料を構成する樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマー、塗料自体およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記方法。
本発明の判断方法を用いることによって、塗料の原材料中または塗料中に含まれるハジキ原因物質の存在を、容易かつ高感度に検知することができる。このため、塗料自体のハジキ等を発生する可能性(ハジキ性)を容易に判断することができ、塗料が原因であるハジキ等の発生を抑制することができ、またそれらの検査業務を大いに効率化することができる。
本発明では、塗料の原材料のラメラ長を測定するだけで、ハジキ性を判断することができるので、通常塗料を作成してから塗膜化して確認しなければわからない原材料のハジキ性を、塗料を作成することなく判断することができる。従って、ハジキ性の検査工程は大きく簡略化することでき、その経済的効果は計り知れない。
工程1
本発明のハジキ性を判断する方法の第1工程は、ハジキ等を生じない材料を選定する工程である。このハジキ等を生じない材料は、測定用材料に対する基準ラメラ長を設けるために必要である。そのため、このハジキ等を生じない材料は、測定用材料と同一の材料であって、かつ、ハジキ等を生じない材料を選定することが必要である。
材料においてハジキ等が生じないということは、前述のように、シリコーンおよび/または油性成分などのハジキ等の原因物質が材料中に含まれていないということである。しかしながら、実際には、材料においてハジキ等が生じるか否かは、多くの場合、塗料を調製しそして塗装してみないとわからない。従って、この工程1のハジキ等を生じない材料を選定する方法は、測定材料と同一の材料を用いてサンプル塗料を作成し、その塗料を用いて塗膜を作成して、得られた塗膜がハジキ等を生じないことを確認した材料を選定することを意味している。例えば、塗料を構成する樹脂の原料であるモノマーの場合は、そのモノマーを用いてポリマーを合成し、その他の成分と混合して塗料を作成し、その塗料を塗装してハジキ等がないことを確認したモノマーを、ハジキ等を生じないモノマーとして選定することを意味する。また、溶剤であるならば、その溶剤を用いて塗料を作成し、その塗料を塗装して塗膜にハジキ等がないことを確認し、こうして確認した溶剤を、ハジキ等を生じない溶剤として選定することを意味する。もちろん、塗料の作成に用いられる他の材料・成分も、ハジキ等を発生しないものでなければならない。なお本明細書において、ハジキを生じない材料および測定用材料が同一の材料である、とは、これらの材料の種類が同じであることを意味する。つまり、ハジキ等の発生を確認した測定用材料は、厳密な意味において、ハジキ等を発生しない材料とは同一ではなく、ハジキ等の原因物質が混入している点で異なっている。
工程2
本発明の工程2は、上記工程1で選定した材料のラメラ長を測定して基準ラメラ長を決定する工程である。ラメラ長は、粘性のある液体などの液体膜がどれだけ伸びるかということを示す指標であり、ラメラ長が長いほど、液膜・塗膜が切れにくいことになる。ラメラ長が、泡沫安定性または塗膜のピックアップ性と関係することは知られているが、不純物によって発生する塗膜のハジキ性の検査・評価に適用された例はない。ラメラ長の測定方法としてはデュ・ヌーイの白金リング法を代表とする円環法が好ましく用いられるが、この手法に限らない。
市販の表面張力計は、白金リング法によるラメラ長測定が可能になっているものが多く、これらの装置を用いてラメラ長を測定することができる。これらの装置の具体例としては、エー・アンド・ディー株式会社から市販されているDCA−100、協和界面科学株式会社から市販のDY−300、DY−500、DY700などが挙げられる。
円環法のうち、最も一般的な白金リング法での測定方法を説明する。所定直径の白金リングを材料に接触させ、それを所定のスピードで引き上げると、白金リングに材料が付随して上昇してくる。ラメラ長とは、白金リング法によって測定する際、応力のピークを示す位置から、液膜が破断するまでの距離で表される。
白金リングの直径は、限定的ではないが、通常10〜30mmが好適に用いられる。白金リングの直径が10mmより小さいと、液膜の引き上げ量が減るため荷重検出感度が落ちる。30mm以上に大きくしてもコストが上がり意味がない。
白金リングを引き上げるスピードは、特に限定的でなく、一般的には1〜500mm/分、好ましくは10〜200mm/分である。一般的に円環法を代表する白金リング法でのラメラ長の測定は、比較的低い速度で行われる。1mm/分より遅いと、ハジキ等を引き起こす成分が引き上げ時の液膜内を移動する時間的余裕が生じてしまい、液切れが起こりにくくなり検出感度が落ちる。一方で、引き上げるスピードが速すぎると、リング上昇時に全ての液が追従しにくくなるため、差異が見えにくくなる。
ラメラ長の測定は1検体ごとに1回の測定でも良いが、5〜20回繰り返し測定して、その平均値で求めるのがさらに好ましい。多くの表面張力計では、検体をセットすれば、一連の繰り返し測定はすべて自動で行われるので手間はかからない。
本発明は、塗料を構成する原材料の検査において、特に好適に用いられる。原材料としては、樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマー、それらの組合せおよび塗料自体からなる群から選択される材料に適用することができる。これらの原材料は、液状であるか、または溶剤などに溶解して液状にすることができるものであれば、特に限定されない。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など塗料用の合成樹脂があげられる。樹脂は一般に高粘度であるので、溶剤に希釈して適当な粘度に調整してラメラ長を測定することが好ましい。
溶剤として使用できるものは、塗料またはインキ工業の分野において通常用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エッソスタンダード社製「ソルベッソ100」、「ソルベッソ150」などの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチ−3−エトキシプロピオネート等のエーテル系溶剤;n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;などが挙げられる。またこれらの組み合わせで製造される塗料用シンナーがあげられる。溶剤のラメラ長は溶剤そのものを測定することもできるが、ハジキ等を生じないことがわかっている所定の樹脂を溶剤に添加して粘度を上げて測定すると検出感度が向上するのでより好ましい。
粘度としては、10mPa・s以上が好ましく、10〜5,000mPa・sがより好ましく、10〜3,000mPa・sがさらに好ましい。希釈しすぎるとハジキ物質の濃度が薄くなるので、検出感度が低下する。粘度が高すぎると白金リングが液に浸漬できずリングに液が付着しにくくなるので測定が困難になる。希釈溶剤は測定対象の樹脂を溶解するものであれば特に限定されない。なお本明細書において、原材料などの粘度の測定は、単一円筒型回転式粘度計による60rpmにおいて、温度20℃で測定を行う。単一円筒型回転式粘度計としては、例えば、東機産業社製形式TVB10などのB型粘度計と呼ばれる測定機器を挙げることができる。
モノマーとしては、代表的には、アクリル樹脂の原料であるアクリレートまたはメタアクリレート系の、エチレン性不飽和結合を有するモノマーがあげられる。エチレン性不飽和結合を有するモノマーとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド化合物、スチレンなどの重合性芳香族化合物、(メタ)アクリル酸(ポリ)オキシエチレンなどの重合性アルキレンオキシド化合物、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの重合性アミン化合物、酢酸ビニルなどのビニルエステルなど、が挙げられる。またこれらのエチレン性不飽和結合を有するモノマーの以外にも、例えばポリエステル樹脂の原料モノマーである、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、フタル酸およびアジピン酸などの多塩基酸など塗料用の合成樹脂の原料を包含する。
モノマーについてはそのままラメラ長を測ってもよいし、樹脂と同様に溶剤で希釈する、あるいは樹脂を添加して粘度を上げた状態で測定することもできる。粘度は、樹脂で記載した粘度範囲が好適に用いられる。
添加剤については樹脂と同様にそのまま、または溶剤に希釈して測定することができる。添加剤としては、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤などがあげられるが、これらに限定されない。
工程3
本発明の工程3は、測定用材料のラメラ長を測定して、測定されたラメラ長が、基準ラメラ長に対して所定%未満のものを、ハジキ等発生の可能性材料と認定する工程である。測定用材料は、実際にハジキ等の有無を測定しようとする材料であって、上述の塗料を構成する原材料である。原材料としては樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマーおよびそれらの組合せなどに適用できるが、液状または溶剤などに溶解して液状にすることができるものであれば特に対象とするものは限定されない。
測定用材料について工程2と同様の方法によりラメラ長を測定する。具体的には、工程2で行った希釈、樹脂の添加、などの操作をそのまま行い、そのようにして得られた測定値が、工程2で得られた基準ラメラ長と比べてどうかでハジキ性の有無を判断する。通用は、実際のラメラ長の測定値が、基準ラメラ長の80%未満であると、ハジキ性が高いと考えられる。
本発明では、測定用材料のラメラ長を測定し基準ラメラ長と比較するだけでハジキ性の有無を判断することができ、非常に有用である。本発明では、基準ラメラ長があれば、測定する材料のラメラ長を測定し比較するだけでよく、基準ラメラ長を予め測定しているとすれば、この工程3のみを行うだけで、ハジキ性の有無が認定できる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例中、部、比および%はいずれも、質量部、質量比および質量%を表す。
合成例1:アクリルポリカルボン酸の合成
温度計、撹拌機、冷却管、窒素導入管および滴下漏斗を装備した3L反応槽に、キシレン200部、ソルベッソ100 100部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を仕込み、125℃に昇温した。この反応槽に、滴下漏斗を用い、スチレン200部、アクリル酸シクロヘキシル580部、無水マレイン酸220部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400部から成るモノマー溶液、並びに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト100部およびキシレン100部から成る開始剤溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間125℃に保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト10部およびキシレン50部から成る開始剤溶液を30分間で滴下した。この滴下終了後、さらに1時間の間125℃に保持して反応を継続させ、数平均分子量3800のアクリルポリ酸無水物を含む樹脂ワニス(不揮発分50%)を得た。
得られたワニス2060部に、メタノール86部を加え、70℃で23時間反応させ、酸価126mgKOH/gのハーフエステル化されたアクリルポリカルボン酸ワニスAを得た。なお、このアクリルポリカルボン酸について、赤外線吸収スペクトルを測定し、酸無水物の吸収(1785cm−1)が消失していることを確認した。
合成例2:ポリエポキシドの合成
温度計、撹拌機、冷却管、窒素導入管および滴下漏斗を装備した3L反応槽に、キシレン300部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、125℃に昇温した。この反応槽に、滴下漏斗を用い、メタクリル酸グリシジル320部、スチレン167部、アクリル酸−2−エチルヘキシル100部、プラクセルFM−1(ダイセル社製) 413部から成るモノマー溶液、並びにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト120部およびキシレン150部から成る開始剤溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間125℃に保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト10部およびキシレン200部から成る開始剤溶液を30分間で滴下した。この滴下終了後、さらに1時間の間、125℃に保持して反応を継続させ、数平均分子量3500、エポキシ当量450、水酸基価95mgKOH/gのポリエポキシドワニスB(不揮発分60%)を得た。
調製例1
上記で得られたアクリルポリカルボン酸ワニスAおよびポリエポキシドワニスBに、ハジキの原因となる汚染物質のモデルとして、シリコーンオイル(KF−96−100cs;信越化学工業社製)をそれぞれ1ppm、2ppmおよび3ppm添加してディスパーで混合し、汚染させたワニスを調製した。また同様に潤滑油(KURE 5−56 クレハ化学社製)をそれぞれ2ppm、4ppmおよび8ppm添加して汚染させたワニスを調製した。
表1および表2に、調製したワニスの内容を示す。
Figure 0006479688
Figure 0006479688
調製例2
調製例1で調製したワニスを表3に示す組み合わせで用いて、クリヤー塗料1〜13を調製した。調製は以下のように行った。
ハーフエステル化されたアクリルポリカルボン酸を含むワニスA50部、ポリエポキシドを含むワニスB50部、テトラブチルアンモニウムブロマイド(硬化触媒)0.5部、チヌビン900(チバガイギー社製、紫外線吸収剤)2.0部、サノールLS292(三共社製、光安定剤)1.0部、モダフロー(モンサント社製、アクリル系表面調整剤)0.1部およびディスパロン230(楠本化成社製、アクリル系表面調整剤)0.1部を混合して、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料溶液を調製した。
Figure 0006479688
実施例1
表1および表2に示す各ワニスのラメラ長を評価した。結果を表4に示す
測定は以下のように行った。
測定サンプルの調製
表および表記載の各ワニスを、容量50ml製サンプル管(アズワン社製)に10g採取し、希釈溶剤としてキシレンおよびUCAR Ester EEP(Dow Chemical社製)の1:1混合溶液で2倍に希釈した。サンプル管に蓋をし、上下逆さまにしながらタッチミキサーで十分に撹拌溶解し測定サンプルとした。
ラメラ長の測定<デュ・ヌーイ白金リング法>
測定サンプルの温度を25±1℃に調整した。
ラメラ長の測定はエー・アンド・ディー社製の表面張力計「DCA−100」を用い、起動して20分間装置の安定化をさせてから測定を行った。デュ・ヌーイ白金リング法の測定モードで 寸法:φ14.57mmの白金リングを用いて、ラメラ長を測定した。
上記で作成した測定サンプルについて各5回ラメラ長を測定し、その平均値を平均ラメラ長とした。測定が終わったら白金リングは直ちに洗浄溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)で超音波洗浄を行った。
検定方法
ハジキ等を生じさせない基準のワニスであらかじめ求めておいた基準ラメラ長とサンプルの5回測定平均ラメラ長を比較した。サンプルの平均ラメラ長が基準ラメラ長の80%以上であれば合格(ハジキ等発生の原因とならない)とし、80%未満であれば不合格(ハジキ等発生の原因となる)と判断した。表4に測定結果を示す。
Figure 0006479688
塗膜形成
調製例2で調製した酸エポキシ硬化型クリヤー塗料溶液を、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート/ソルベッソ150(エッソ製、芳香族系溶剤)=1/1混合溶剤によりNo.4フォードカップ(以下、FCと略す。)を用いて、20℃で22秒に希釈し使用粘度(塗装粘度)とした。
得られた各希釈塗料について、以下の撹拌処理を行った。500mLガラスビーカーに上記希釈した塗料約400mLと回転子を入れ、加熱型スターラー上に設置した。加熱型スターラーを約30℃に加熱し、撹拌が止まらない程度(約200rpm)に回転子を回転させながら、24時間撹拌した。24時間後、塗料の上澄み部分のみ100mLを採取した。この撹拌処理は各希釈塗料について2個ずつ行ない、以下の塗装試験に供した。
採取した塗料それぞれを、脱脂した30cm×40cmのブリキ板12枚の上に、ワイダー71アネスト岩田社製手吹きスプレーガン)を使用して、エアー圧4kg/cm で均一に塗装した。7分間セッティングの後、140℃で30分間焼き付けた。焼き付け後、室温まで冷却した。塗料ごとに得られた塗膜表面に発生したハジキ・ヘコミの個数を目視観察で求め12枚の合計を算出した。得られた結果を表5に示す。ハジキ0個およびヘコミ2個以下を合格とした。
Figure 0006479688
表4においてラメラ長が基準ラメラ長より80%未満の樹脂を用いて製造した塗料は、表5からあきらかなように、ハジキ等が存在することが分かった。表4に示されるように、使用する樹脂ワニスによって生ずる塗膜欠陥について、塗料を調製する前から事前に検知できていたことが分かる。
また、基準ラメラ長の80%を以上の材料(即ち、ワニスA−0、ワニスA−M1およびワニスB−0)を用いて調製した塗料(即ち、クリヤー塗料1およびクリヤー塗料5)は、表5に示される通りハジキが無く、ヘコミが2個以下で合格であった。これらのクリヤー塗料についても、塗膜欠陥が生じないことについて、塗料を調製する前から事前に検知できていたことが分かる。
実施例2
測定サンプルの調製
塗料で使用する添加剤または溶剤に、ハジキの原因となる汚染物質のモデルとして、シリコーンオイル(KF−96−100cs;信越化学工業社製)をそれぞれ0.5ppm添加してディスパーで混合し、汚染させた添加剤を調製した。表6に示した添加剤AはフローレンAC−300(共栄社化学社製、消泡剤)、添加剤BはTINUVIN928(BASF社製、UVA)、溶剤AはUCAR Ester EEP(Dow Chemical社製)である。添加剤Bは粉末であるため、容量50ml製サンプル管(アズワン社製)に添加剤B 0.5gを採取し、キシレン 9gに溶解したものを用いた。
Figure 0006479688
測定サンプルの調製
添加剤Aの場合
サンプルを容量50ml製サンプル管(アズワン社製)に10g採取し、UCAR Ester EEPで2倍に希釈した。サンプル管に蓋をし、上下逆さまにしながらタッチミキサーで十分に撹拌溶解し測定サンプルとした。
添加剤Bの場合
添加剤Bのキシレン溶液にポリプロピレングリコールを10g添加した。サンプル管に蓋をし、上下逆さまにしながらタッチミキサーで十分に撹拌溶解し測定サンプルとした。
溶剤Aの場合
サンプルを容量50ml製サンプル管(アズワン社製)に10g採取し、ポリプロピレングリコールを10g添加した。サンプル管に蓋をし、上下逆さまにしながらタッチミキサーで十分に撹拌溶解し測定サンプルとした。
得られた測定サンプルを用いて、以下の測定および検定を行った。
ラメラ長の測定<デュ・ヌーイ白金リング法>
ラメラ長の測定方法は、実施例1と同様に行った。
検定方法
ハジキ等を生じさせない基準のサンプルであらかじめ求めておいた基準ラメラ長とサンプルの20回測定平均ラメラ長を比較した。後者のラメラ長が前者のラメラ長の80%以上であれば合格(ハジキ等発生の原因とならない)とし、80%未満であれば不合格(ハジキ等発生の原因となる)と判断した。表7から表9に測定結果を示す。
Figure 0006479688
Figure 0006479688
Figure 0006479688
表7から表9の結果より、汚染物質のモデルとしてシリコーンオイルが混入したサンプルのラメラ長は基準ラメラ長の80%未満となり、実施例1と同様に塗料に添加せずともハジキ等による塗膜欠陥の発生を予見できることが示された。
表3の添加剤又は溶剤を調製例1のクリヤー塗料に対し、塗料100部あたりにそれぞれ添加剤Aを1.5部、添加剤Bを1.5部、溶剤Aについては塗料100部に対し20部を加えた試験クリヤー塗料14〜19をそれぞれ調製して実施例1と同様に塗装して、ハジキ等を評価した。結果を表10に示す。
Figure 0006479688
ハジキ等の発生状況はラメラ長による判定結果と相関しており、塗料原材料を塗料に添加せずともハジキ等による塗膜欠陥の発生を予見できることが示された。
本発明によれば、これまで塗料を調製し塗装しなければわからなかった、塗料原材料がハジキまたはヘコミを引き起こす可能性を、実際に塗料を調製したり、その調製した塗料を実際に塗装することなく、塗料原材料それぞれについてラメラ長を測定するだけで判断することができ、時間および工程を大きく短縮することができ、ひいては省資源につながる技術である。

Claims (7)

  1. ラメラ長により材料のハジキ性を判断する方法であって、
    ハジキを生じない材料を選定する工程1、
    上記ハジキを生じない材料のラメラ長を測定して基準ラメラ長を決定する工程2、および
    測定用材料のラメラ長を測定して、基準ラメラ長の80%未満のものをハジキ可能性材料と認定する工程3、
    を包含する、材料のハジキ性を判断する方法。
  2. 工程1および工程2で基準ラメラ長を決定し、および、工程3のみを何度も繰り返す、請求項1記載の方法。
  3. ラメラ長の測定が円環法で行われる、請求項1記載の方法。
  4. 前記ハジキを生じない材料および測定用材料が、塗料を構成する樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマー、塗料自体およびそれらの組合せからなる群から選択される同一の材料である、請求項1記載の方法。
  5. 測定用材料のラメラ長を測定して、予め測定により決定したその材料の基準ラメラ長の80%未満のものをハジキ可能性材料と認定することを特徴とする、材料のハジキ性を判断する方法。
  6. ラメラ長の測定が円環法で行われる、請求項記載の方法。
  7. 前記材料が、塗料を構成する樹脂、有機溶剤、添加剤、樹脂の原料であるモノマー、塗料自体およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項記載の方法。
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