以下、本発明の実施の形態に係る小型の建設機械の代表例として、キャノピ仕様の小型の油圧ショベル、所謂ミニショベルを例に挙げ、図1ないし図13に従って詳細に説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、キャノピ仕様の小型の油圧ショベル(ミニショベル)として構成されている。この小型の油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、前記下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。上部旋回体4の前側には、左,右方向に平行移動可能なオフセット式のフロント装置5が設けられ、このフロント装置5を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。旋回装置3は、回転式のアクチュエータである旋回モータ3A(図13中に記号で図示)を備えている。ここで、小型の油圧ショベル1は、建物の内部の解体作業、街路地等の狭い場所での掘削作業に用いられるため、例えば機械重量(総重量)が0.7〜8トン程度までに抑えられている。
フロント装置5は、基端側のフート部が後述する旋回フレーム6に俯仰動可能に取付けられたロアブーム5Aと、前記ロアブーム5Aの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム5Bと、前記アッパブーム5Bの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアーム支持部材5Cと、前記アーム支持部材5Cの先端側に回動可能に取付けられたアーム5Dと、前記アーム5Dの先端側に回動可能に取付けられたバケット5Eと、前記ロアブーム5Aとアーム支持部材5Cとの間を連結するリンク5Fと、これらを動作させるためのアクチュエータとなるブームシリンダ5G、オフセットシリンダ5H、アームシリンダ5J、バケットシリンダ5Kとにより構成されている。フロント装置5は、ロアブーム5Aを最大位置まで仰動し、かつアーム5Dを折畳んだ状態では、上部旋回体4が旋回動作したときの旋回半径の仮想円に収まるように構成されている。
各シリンダ5G〜5Kは、それぞれが後述する制御弁群25に接続されている。これにより、各シリンダ5G〜5Kは、制御弁群25から適宜に供給される圧油によって伸長、縮小動作される。そして、フロント装置5は、オフセットシリンダ5Hを伸長、縮小させることによりアーム5Dをロアブーム5Aに対して左,右方向に平行移動させ、この状態でロアブーム5Aを俯仰動させつつアーム5D、バケット5Eを回動させることにより、側溝等の掘削作業を行うものである。
上部旋回体4は、旋回装置3の旋回モータ3Aを駆動することにより、下部走行体2上で旋回動作するものである。また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ9、パイロットポンプ10、運転席台座11、足置き部材19、運転席21、操作レバー装置22,24、ゲートロックレバー23、制御弁群25、パターン切換弁29、切換弁ブラケット30、手摺り部材34、パイロット圧切換弁37を含んで構成されている。
ここで、上部旋回体4は、旋回中心を中心として旋回動作したときに、カウンタウエイト7の外面7Aが下部走行体2の車幅内に収まる構成となっている。この場合、下部走行体2の車幅内に収まる範囲とは、カウンタウエイト7の後面7Aが下部走行体2の車幅内に完全に収まる範囲だけではなく、カウンタウエイト7の後面7Aが車幅よりも僅かに突出した範囲も含むものである。
旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体として形成されている。この旋回フレーム6は、下部走行体2上に旋回装置3を介して取付けられている。また、旋回フレーム6の前側には、フロント装置5が俯仰動可能に取付けられ、後側には後述のカウンタウエイト7が取付けられている。
カウンタウエイト7は、フロント装置5との重量バランスをとるために旋回フレーム6の後側に取付けられている。このカウンタウエイト7は、左,右方向に延びつつ、左,右方向の中央が後方に突出した円弧状の重量物として形成されている。これにより、カウンタウエイト7の後面7Aは、前述した旋回半径の仮想円内にほぼ収まる円弧面として形成されている。
エンジン8は、原動機を構成するもので、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6上に搭載されている。具体的には、エンジン8は、旋回フレーム6上に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。そして、エンジン8は、例えば左,右方向の左側に取付けられた動力用の圧油を吐出する油圧ポンプ9と制御用の圧油(パイロット圧)を吐出するパイロットポンプ10(図13中に記号で図示)を駆動するものである。
一方、エンジン8の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等(いずれも図示せず)が配設されている。エンジン8の前側は、後述する運転席台座11の前面板12で覆われている。また、エンジン8の上側は、座席取付板13等で覆われている。なお、原動機としては、エンジンに電動モータを設けたハイブリッド式としてもよく、また、電動モータを用いる構成としてもよい。
運転席台座11は、エンジン8の上側を覆うように旋回フレーム6上に設けられている。図2に示すように、運転席台座11は、左,右方向の中央に運転席21が取付けられると共に、左,右両側に操作レバー装置22,24が取付けられる。また、運転席台座11には、後述する足置き部材19の乗降口20側となる左,右方向の左側に位置して切換弁収容室18が設けられている。
ここで、運転席台座11は、複数枚の金属板に曲げ加工を施したり、複数枚の金属板を溶接することにより立体的に組立てられている。この場合、運転席台座11を形成する金属板は、後述する理由によって強度を高めることにより、その板厚寸法を薄くして、軽量化、小型化を可能にしている。
図3に示すように、運転席台座11は、エンジン8の前側から旋回フレーム6に立設された前面板12と、前記前面板12の上部から後側に延び前記エンジン8の上側を覆うと共に運転席21が取付けられた座席取付板13とを含んで構成されている。前面板12は、運転席21の下側となる左,右方向の中央に配置された中央板部12Aと、左操作レバー装置22の下側となる左,右方向の左側に配置された左板部12Bと、右操作レバー装置24の下側となる右側に配置された右板部12Cとにより構成されている。
図4に示すように、前面板12の左板部12Bには、上側寄りに位置して切換用開口12Dが設けられている。この切換用開口12Dは、後述するパターン切換弁29の切換レバー29Cを操作するための開口となっている。左板部12Bには、切換用開口12Dを開放可能に閉塞するためのカバー部材12Eが設けられている。カバー部材12Eは、その下側部分が切換用開口12Dの下側部分に回動可能に取付けられている。カバー部材12Eには、切換レバー29Cの切換位置を目視で確認するための覗き窓12Fが取付けられている。
さらに、運転席台座11の前面板12には、乗降口20側の端縁、即ち、左板部12Bの左縁から後向きに延びて折曲げ板部12Gが設けられている。この折曲げ板部12Gは、上,下方向に長尺な長方形状の板体として形成され、その上側寄り位置には、上,下方向に間隔をもって3個のボルト挿通孔12G1,12G2,12G3が上から順に設けられている。
そして、折曲げ板部12Gには、エンジン8側の内側面12G4に後述する切換弁ブラケット30の取付部位30Bが当接され、外側面12G5に後述する手摺り部材34の一端部位34Bが当接される。これにより、折曲げ板部12Gは、切換弁ブラケット30の取付部位30Bと手摺り部材34の一端部位34Bとによって挟まれた状態で、後述の各ボルト35を用いて一体的に締着されるものである。
3個のボルト挿通孔12G1,12G2,12G3のうち、下部に位置するボルト挿通孔12G3は、切換弁ブラケット30の取付部位30Bを折曲げ板部12Gに仮止めするときに、ボルト35が挿通されるものである。一方、ボルト挿通孔12G3よりも上側に位置する2個のボルト挿通孔12G1,12G2は、切換弁ブラケット30の取付部位30Bと手摺り部材34の一端部位34Bを折曲げ板部12Gに一体的に締着するときに、ボルト35が挿通されるものである。
ここで、折曲げ板部12Gを含む運転席台座11は、運転席21に着座したオペレータを安定的に支持することができる強度を確保しつつ、軽量化を図るために、例えば、薄い金属板を立体的に組立てることにより形成されている。このように設計された運転席台座11を構成する金属板の板厚寸法では、重量物であるパターン切換弁29を安定的に支持することが困難となっている。しかし、折曲げ板部12Gを切換弁ブラケット30の取付部位30Bと手摺り部材34の一端部位34Bで挟み、これら3部材を一体化することにより、パターン切換弁29を安定的に支持するのに十分な強度を得ることができる。また、手摺り部材34を運転席台座11に対して取付ける場合の取付強度も高めることができる。
座席取付板13は、左,右方向の中央に位置して運転席21が取付けられる中央上板13Aと、中央上板13Aの左側に位置して左操作レバー装置22が取付けられる左上板13Bと、中央上板13Aの右側に位置して右操作レバー装置24が取付けられる右上板13Cとにより構成されている。図5、図7に示すように、左上板13Bには、左後側に位置して2個の手摺り用めねじ孔13Dが前,後方向に間隔をもって設けられている。また、左上板13Bには、手摺り用めねじ孔13Dよりも前側の中央寄りに位置して2個のブラケット用ボルト挿通孔13Eが左,右方向に間隔をもって設けられている。
各手摺り用めねじ孔13Dは、手摺り部材34の他端部位34Cを左上板13Bに締着するときに、ボルト35が螺合するものである。各手摺り用めねじ孔13Dは、例えば、貫通孔の下面にナットを溶接した溶接ナットとして形成されている。一方、各ブラケット用ボルト挿通孔13Eは、後述するリヤブラケット32の取付板32Cを左上板13Bに締着するときに、ボルト33が挿通されるものである。
さらに、運転席台座11には、座席取付板13の後部から立上った背板部14と、前記背板部14の上部からカウンタウエイト7の上部に向けて後側に延びた取付板部15と、座席取付板13の中央上板13Aと左上板13Bとの境界部から下向きに延びた隔壁16と、前面板12の左板部12Bと座席取付板13の左上板13Bに間隔をもって対面するように隔壁16の周縁から左側に延びた枠板17とが設けられている。
枠板17は、対面する左板部12B、左上板13Bと、底面をなす隔壁16と共に、左側に開口したボックス体を形成している。この前面板12の左板部12B、座席取付板13の左上板13B、隔壁16および枠板17からなるボックス体の内部は、パターン切換弁29(パターン切換弁組立体41)を収容する切換弁収容室18となっている。
図2に示すように、足置き部材19は、運転席台座11の前側に位置して旋回フレーム6に設けられている。足置き部材19は、左,右方向の少なくとも一方、具体的には、左,右方向の左側がオペレータが乗り降りするための乗降口20となっている。
運転席21は、運転席台座11を構成する座席取付板13の中央上板13Aに設けられている。この運転席21は、油圧ショベル1を操縦するオペレータが着座するものである。また、運転席21の左,右両側には、旋回装置3とフロント装置5を操作する後述の操作レバー装置22,24が配設されている。
左操作レバー装置22は、運転席21の左側の近傍に設けられている。左操作レバー装置22は、運転席台座11を構成する座席取付板13の左上板13B上に設けられたコンソール22Aと、コンソール22A内に収容された減圧弁型の油圧パイロット弁からなる油圧パイロット部22B(図13参照)と、油圧パイロット部22Bを手動操作するためのレバー22Cとによって構成されている。
油圧パイロット部22Bは、パターン切換弁29を介して後述する制御弁群25の各制御弁25A〜25Dに選択的に接続されている。即ち、左操作レバー装置22は、レバー22Cを前,後方向、左,右方向に傾転操作することにより、油圧パイロット部22Bから制御弁群25にパイロット圧を供給し、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5G,5J,5Kのうち、いずれか2つを操作するものである。
ここで、コンソール22Aは、前,後方向の後側が回動支点となっており、前側を上,下方向に回動させることができる。これにより、左操作レバー装置22は、後述のゲートロックレバー23と一緒に、乗降を許可する開通位置と乗降を禁止する遮断位置とに回動操作される。
ゲートロックレバー23は、運転席台座11の乗降口20側に位置する左操作レバー装置22に設けられている。このゲートロックレバー23は、左操作レバー装置22のコンソール22Aから前側に向けて延びている。図13に示すように、ゲートロックレバー23は、後述のパイロット圧切換弁37を手動操作によって切換えるものである。即ち、ゲートロックレバー23は、図1、図2に示すように、乗降口20を遮って乗降を規制する遮断位置と、上側に持ち上げて乗降を許可する開通位置との間で、左操作レバー装置22と一緒に上,下方向に回動される。
そして、ゲートロックレバー23の遮断位置では、パイロットポンプ10からのパイロット圧が左操作レバー装置22の油圧パイロット部22Bと後述する右操作レバー装置24の油圧パイロット部24Bに供給されるようにし、各操作レバー装置22,24の操作を有効にする。一方、ゲートロックレバー23の開通位置では、パイロットポンプ10からのパイロット圧を遮断することにより、各操作レバー装置22,24の操作を無効にする。これにより、運転席21に乗り降りするときに誤まって各操作レバー装置22,24等に接触した場合でも、フロント装置5等が誤作動するのを防止することができる。
右操作レバー装置24は、運転席21の右側の近傍に固定的に設けられている。この右操作レバー装置24は、運転席台座11を構成する座席取付板13の右上板13C上に設けられ、コンソール24A、油圧パイロット部24B、レバー24Cにより構成されている。油圧パイロット部24Bは、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5G,5J,5Kのうち、残りの2つを操作するものである。
制御弁群25は、旋回フレーム6上に設けられ、左,右の操作レバー装置22,24の操作に応じてフロント装置5および旋回装置3に圧油を給排するものである。この制御弁群25は、左,右の操作レバー装置22,24等の操作に応じて駆動する油圧パイロット部を備えた複数個の油圧パイロット式スプール弁により形成されている。
ここで、図13に示す如く、制御弁群25は、旋回装置3の旋回モータ3Aを制御する旋回制御弁25Aと、フロント装置5のアームシリンダ5Jを制御するアーム制御弁25Bと、ブームシリンダ5Gを制御するブーム制御弁25Cと、バケットシリンダ5Kを制御するバケット制御弁25Dとを含んで構成されている。そして、制御弁群25は、主管路26を介して油圧ポンプ9に接続され、それぞれの油圧パイロット部は、左,右の操作レバー装置22,24の油圧パイロット部22B,24Bにパイロット用管路27A〜27D,28A〜28Dを介して接続されている。
パターン切換弁29は、足置き部材19の乗降口20側となる運転席台座11の左側部位、即ち、切換弁収容室18内に設けられている。このパターン切換弁29は、左,右の操作レバー装置22,24の操作パターンと制御弁群25の各制御弁25A〜25Dとの組合せパターンを切換えるものである。パターン切換弁29は、オペレータが操作し易い操作パターンに選択的に切換えられるように、複数の操作パターンの組合せを有している。
パターン切換弁29は、左操作レバー装置22のレバー22Cと右操作レバー装置24のレバー24Cの操作方向に応じ、フロント装置5のブームシリンダ5G、アームシリンダ5J、バケットシリンダ5K、旋回装置3の旋回モータ3Aからなる各アクチュエータの操作パターンの組合せを切換えるものである。そして、パターン切換弁29は、運転席台座11の前側で、かつ足置き部材19の乗降口20側から組合せパターンの切換操作が可能な位置に配置されている。
図11、図12に示すように、パターン切換弁29は、方向切換弁(図示せず)を内蔵した略円柱状の弁ケーシング29Aと、この弁ケーシング29Aの軸中心位置に回動可能に設けられ、一端が弁ケーシング29Aから突出した回動軸29Bと、前記回動軸29Bの突出端に径方向に延びて設けられた切換レバー29Cとにより構成されている。弁ケーシング29Aの外周面には、各操作レバー装置22,24に接続された各パイロット用管路27A〜27D,28A〜28Dが接続される複数個の接続ポート29Dが設けられている。また、弁ケーシング29Aの一端面29A1には、後述する切換弁ブラケット30を取付けるためのめねじ穴29Eが複数個、例えば2個設けられている。一方、弁ケーシング29Aの他端面29A2には、後述するリヤブラケット32を取付けるためのめねじ穴29Fが複数個、例えば2個設けられている。
ここで、パターン切換弁29は、弁ケーシング29A、回動軸29B等が金属材料によって形成されているから、金属材料の塊となっている。このために、パターン切換弁29は、大きな重量を有しているため、パターン切換弁29を安定的に支持するためには、強固な支持構造が必要になる。
この場合、本実施の形態では、前述した前面板12の折曲げ板部12G、後述する切換弁ブラケット30の取付部位30Bおよび手摺り部材34の一端部位34Bからなる3部材を、各ボルト35を用いて一体的に締着する構成としている。これにより、運転席台座11が板厚の薄い金属板を用いて形成された場合でも、重量物からなるパターン切換弁29を支持するのに十分な強度を得ることができる。
切換弁ブラケット30は、パターン切換弁29を運転席台座11の前面板12に取付けるものである。具体的には、切換弁ブラケット30は、乗降口20側に位置する切換弁収容室18に前,後方向に延びて配設されたパターン切換弁29の前側部分を、運転席台座11の前面板12を構成する折曲げ板部12Gの内側面12G4に取付けるものである。
次に、本発明の特徴部分となる切換弁ブラケット30、手摺り部材34等の構成およびこれらの取付構造について説明する。
図11、図12に示すように、切換弁ブラケット30は、前面板12の板厚寸法よりも大きな板厚寸法とすることで十分な強度をもった金属板をL字状に折曲げることにより、平面部位30Aと取付部位30Bを有している。平面部位30Aは、パターン切換弁29の弁ケーシング29Aの一端面29A1と対面するもので、その先端部には、回動軸29Bを避ける凹円弧状の切欠き30A1が形成されている。平面部位30Aには、弁ケーシング29Aの一端面29A1に設けられた2個のめねじ穴29Eに対応して2個のボルト挿通孔30A2が設けられている。
取付部位30Bには、折曲げ板部12Gに設けられた3個のボルト挿通孔12G1,12G2,12G3に対応して3個のめねじ孔30B1,30B2,30B3が設けられている。各めねじ孔30B1,30B2,30B3は、例えば、貫通孔の右面にナットを溶接した溶接ナットとして形成されている。このめねじ孔30B1〜30B3は、共締め時にボルトとナットを用いる場合には、ボルトが挿通される貫通孔として形成することができる。
切換弁ブラケット30は、平面部位30Aを弁ケーシング29Aの一端面29A1に当接させる。この状態で、各ボルト挿通孔30A2に挿通したボルト31を、弁ケーシング29Aのめねじ穴29Eに螺合することにより、切換弁ブラケット30を弁ケーシング29Aの前側部分に取付けることができる。このように、パターン切換弁29に取付けられた切換弁ブラケット30は、後述する手摺り部材34の一端部位34Bと一緒に折曲げ板部12Gの内側面12G4に取付けられる。
切換弁ブラケット30に取付けられた切換弁ブラケット30は、取付部位30Bを折曲げ板部12Gの内側面12G4に当接される。このときには、下側に位置するボルト挿通孔12G3に挿通したボルト35を取付部位30Bのめねじ孔30B3に螺合することにより、折曲げ板部12Gに対して切換弁ブラケット30を所定の位置に仮止めすることができる。この仮止めによって座席取付板13に対するリヤブラケット32の取付作業を容易にすることができる。そして、切換弁ブラケット30は、折曲げ板部12Gを挟んで手摺り部材34の一端部位34Bと対面した状態で、ボルト35を用いて折曲げ板部12Gに一体的に締着される。
リヤブラケット32は、パターン切換弁29の後側部分を運転席台座11の座席取付板13を構成する左上板13Bに取付けるものである。リヤブラケット32は、弁ケーシング29Aの他端面29A2と対面する平面板32Aと、平面板32Aの後面に上,下方向に延びて溶接され、その上部がほぼ直角に屈曲した支持部32Bと、この支持部32Bの上部に溶接されて水平方向に延びた取付板32Cとにより構成されている。
平面板32Aには、弁ケーシング29Aの他端面29A2に設けられた2個のめねじ穴29Fに対応して2個のボルト挿通孔32A1が設けられている。また、取付板32Cには、左上板13Bのブラケット用ボルト挿通孔13Eに対応して2個のめねじ孔32C1が設けられている。このめねじ孔32C1は、例えば溶接ナットとして形成されている。
リヤブラケット32は、平面板32Aを弁ケーシング29Aの他端面29A2に当接させる。この状態で、各ボルト挿通孔32A1に挿通したボルト31を、弁ケーシング29Aのめねじ穴29Fに螺合することにより、リヤブラケット32を弁ケーシング29Aの後側部分に取付けることができる。図7、図8に示すように、パターン切換弁29に取付けられたリヤブラケット32は、取付板32Cを座席取付板13の左上板13Bの下面に当接させる。この状態で、左上板13Bの各ブラケット用ボルト挿通孔13Eに挿通されたボルト33を取付板32Cのめねじ孔32C1に螺合することにより、リヤブラケット32を左上板13Bに一体的に取付けることができる。このリヤブラケット32の取付作業時には、後述するように、パターン切換弁29の前側部分を前面板12側に仮止めすることにより、容易に取付けることができる。
さらに、リヤブラケット32は、パターン切換弁29の後側部分を支持することにより、切換弁ブラケット30と協働してパターン切換弁29を両持ち状態で支持することができる。これにより、切換弁ブラケット30および切換弁ブラケット30の取付部分に作用する負荷を軽減することができる。
手摺り部材34は、運転席台座11のうち乗降口20側に設けられている。この手摺り部材34は、オペレータが乗降口20を通って足置き部材19に乗り降りするときに掴むものである。手摺り部材34は、手摺り本体34A、一端部位34Bおよび他端部位34Cによって構成されている。
手摺り本体34Aは、1本のパイプ材料を折曲げることにより、前面板12の折曲げ板部12Gの上側位置から前方に延びた下横パイプ34A1と、下横パイプ34A1の前端から屈曲して上側に延びた前縦パイプ34A2と、前縦パイプ34A2の上端から屈曲して後側に延びつつ下側に傾斜した上横パイプ34A3と、上横パイプ34A3の後端から屈曲して左上板13Bの左後側に向けて下向きに延びた後縦パイプ34A4とにより構成されている。下横パイプ34A1の後端が手摺り本体34Aの一端となり、この一端に一端部位34Bが取付けられている。また、後縦パイプ34A4の下端が手摺り本体34Aの他端となり、この他端に他端部位34Cが取付けられている。
一端部位34Bは、手摺り本体34Aの前側部分を前面板12に取付けるためのブラケットを形成している。一端部位34Bは、前面板12の板厚寸法よりも大きな板厚寸法とすることで十分な強度をもった金属板からなり、この金属板をL字状に折曲げることにより、取付部34B1と折曲げ部34B2を有している。取付部34B1には、折曲げ板部12Gに設けられた3個のボルト挿通孔12G1,12G2,12G3のうち、上側の2個のボルト挿通孔12G1,12G2に対応してボルト挿通孔34B3,34B4が設けられている。
一端部位34Bは、折曲げ板部12Gの上側の2個のボルト挿通孔12G1,12G2に、ボルト挿通孔34B3,34B4を合せるように対面して配置し、この状態で、図7、図8中に矢示Eで示すように、ボルト挿通孔34B3,34B4,12G1,12G2にボルト35を挿通し、この2本のボルト35を切換弁ブラケット30の上側に位置する2個のめねじ孔30B1,30B2に螺合する。これにより、手摺り部材34の一端部位34Bは、切換弁ブラケット30の取付部位30Bとの間に運転席台座11の前面板12の折曲げ板部12Gを挟んだ状態で、ボルト35を用いて一体的に締着することができる。
ここで、手摺り部材34の一端部位34Bは、切換弁ブラケット30の取付部位30Bとの間に前面板12の折曲げ板部12Gを挟むことにより、ボルト35の頭部だけではなく、一端部位34Bの取付部34B1、取付部位30Bの全面で負荷を受承させることができる。
他端部位34Cは、手摺り本体34Aの後側部分を座席取付板13に取付けるためのブラケットを形成している。他端部位34Cは、長方形状の金属板からなり、その長さ方向の中間位置に手摺り本体34Aの後縦パイプ34A4が固着されている。他端部位34Cの長さ方向の両側位置には、座席取付板13の手摺り用めねじ孔13Dに対応して2個のボルト挿通孔34C1が設けられている。
他端部位34Cは、座席取付板13の手摺り用めねじ孔13Dに、ボルト挿通孔34C1を合せるように対面して配置し、この状態で、図7、図8中に矢示Fで示すように、ボルト挿通孔34C1にボルト35を挿通し、この2本のボルト35を手摺り用めねじ孔13Dに螺合することにより、手摺り部材34の他端部位34Cを座席取付板13に締着することができる。
次に、図13を参照しつつゲートロックレバー23の操作に応じて左,右の操作レバー装置22,24のレバー22C,24Cの操作を有効、無効にするためのゲートロック回路の構成について説明する。
供給側の油圧管路36Aは、パイロットポンプ10から各操作レバー装置22,24の油圧パイロット部22B,24Bにパイロット用の圧油を供給するための流路である。また、戻り側の油圧管路36Bは、各操作レバー装置22,24の油圧パイロット部22B,24Bから後述の作動油タンク38に圧油を戻すための流路である。
パイロット圧切換弁37は、各操作レバー装置22,24の油圧パイロット部22B,24Bとパイロットポンプ10との間に位置して供給側の油圧管路36Aの途中に設けられている。パイロット圧切換弁37は、ゲートロックレバー23の操作に応じてパイロットポンプ10からの圧油を流通または遮断するものである。即ち、パイロット圧切換弁37は、ゲートロックレバー23が遮断位置に回動操作されたときに油圧管路36Aで圧油を流通させる。一方、ゲートロックレバー23が開通位置に回動操作されたときには、油圧管路36Aを遮断して圧油の供給を断つものである。
なお、作動油タンク38(図13中に記号で図示)は、例えば旋回フレーム6の右側に設けられている。また、図1、図2に示すように、走行レバー・ペダル39は、足置き部材19の前側に設けられている。この走行レバー・ペダル39は、下部走行体2を走行操作するものである。さらに、キャノピ40は、運転席21の右側および上側を覆うように設けられている。
次に、運転席台座11に対してパターン切換弁29を取付ける場合の作業手順の一例について説明する。
まず、パターン切換弁29に対して切換弁ブラケット30とリヤブラケット32を取付ける。この場合には、図11に示すように、弁ケーシング29Aの一端面29A1に切換弁ブラケット30の平面部位30Aをボルト31を用いて締着する。また、図12に示すように、弁ケーシング29Aの他端面29A2にリヤブラケット32の平面板32Aをボルト31を用いて締着する。これにより、パターン切換弁29と切換弁ブラケット30とリヤブラケット32とを組立てたパターン切換弁組立体41を形成することができる。
パターン切換弁組立体41を形成したら、図5中に矢示Aで示すように、パターン切換弁組立体41を運転席台座11の切換弁収容室18内に配置する。このときに、切換弁ブラケット30の取付部位30Bを、折曲げ板部12Gの内側面12G4に当接させ、折曲げ板部12Gの下側のボルト挿通孔12G3に挿通したボルト35を取付部位30Bのめねじ孔30B3に螺合する。これにより、切換弁ブラケット30、即ち、パターン切換弁組立体41の前側部分を折曲げ板部12Gに対して所定の位置に仮止めすることができる。
パターン切換弁組立体41の前側部分を折曲げ板部12Gに仮止めしたら、リヤブラケット32の取付板32Cを、座席取付板13の左上板13Bの下面に当接させる。この状態で、左上板13Bの各ブラケット用ボルト挿通孔13Eにボルト33を挿通し、このボルト33を取付板32Cのめねじ孔32C1に螺合する。これにより、リヤブラケット32を左上板13Bに一体的に取付けることができる。このリヤブラケット32の取付作業では、パターン切換弁組立体41の前側部分を前面板12側に仮止めしたことにより、パターン切換弁組立体41を下側から軽く支えるだけで、リヤブラケット32を容易に取付けることができる。
リヤブラケット32を左上板13Bに取付けたら、図5中に矢示Dで示すように、手摺り部材34を運転席台座11の所定位置に配置する。具体的には、手摺り部材34の一端部位34Bを、折曲げ板部12Gの外側面12G5に当接させ、そのボルト挿通孔34B3,34B4を折曲げ板部12Gのボルト挿通孔12G1,12G2に位置合せする。
このときに、折曲げ板部12Gの内側面12G4には、切換弁ブラケット30が所定の位置に仮止めされている。従って、手摺り部材34の一端部位34Bのボルト挿通孔34B3,34B4と前面板12の折曲げ板部12Gのボルト挿通孔12G1,12G2と切換弁ブラケット30の取付部位30Bのめねじ孔30B1,30B2とは、簡単に位置合せすることができる。
この状態で、図7中に矢示Eで示すように、前記ボルト挿通孔34B3,34B4,12G1,12G2にボルト35を挿通し、このボルト35を前記めねじ孔30B1,30B2に螺合する。これにより、図6に示すように、手摺り部材34の一端部位34Bと切換弁ブラケット30の取付部位30Bを、運転席台座11の前面板12の折曲げ板部12Gに対して一体的に取付けることができる。
図9に示すように、この取付構造では、強度をもった手摺り部材34の一端部位34Bと、同じく強度をもった切換弁ブラケット30の取付部位30Bとの間に、運転席台座11の前面板12の折曲げ板部12Gを挟んだ状態で、この3部材をボルト35を用いて一体的に締着することができる。
さらに、図7、図8中に矢示Fで示すように、他端部位34Cの各ボルト挿通孔34C1にボルト35を挿通し、このボルト35を座席取付板13の手摺り用めねじ孔13Dに螺合することにより、手摺り部材34の他端部位34Cを座席取付板13に締着することができる。
本実施の形態による小型の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、手摺り部材34を掴んで乗降口20から足置き部材19上に乗込む。このときに、乗降口20の近傍に配置された運転席台座11の前面板12の覗き窓12Fを通して切換弁収容室18内の覗き込むことにより、パターン切換弁29の切換レバー29Cの位置を目視することにより、左,右の操作レバー装置22,24の操作パターンが自分の好みに合っているか否かを確認することができる。
操作レバー装置22,24の操作パターンが自分の好みに合っていない場合には、カバー部材12Eを開いてパターン切換弁29の切換レバー29Cを回動操作することにより、操作パターンを自分の好みのものに合わせることができる。
そして、運転席21に着座したオペレータは、ゲートロックレバー23を押し下げて遮断位置に配置し、左操作レバー装置22をほぼ水平となる操作が可能な位置に固定する。この状態で、オペレータは、走行レバー・ペダル39を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。また、左,右の操作レバー装置22,24のレバー22C,24Cを操作することにより、旋回装置3によって上部旋回体4を旋回動作させたり、フロント装置5によって土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、パターン切換弁29は、金属材料の塊として形成されているから、大きな重量を有している。このために、パターン切換弁29を安定的に支持するためには、強固な支持構造が必要になる。一方で、小型の油圧ショベル1は、強度を得るために運転席台座11の構成を複雑にしたり、運転席台座11を形成する金属板の板厚寸法を大きくした場合、上部旋回体4の小型化、軽量化の妨げになってしまう。
然るに、本実施の形態によれば、運転席台座11の乗降口20側、即ち、前面板12の折曲げ板部12Gには、エンジン8側となる内側面12G4に位置してパターン切換弁29を取付けるための切換弁ブラケット30を設けている。また、切換弁ブラケット30は、運転席台座11側の取付部位30Bを前面板12の折曲げ板部12Gの内側面12G4に当接させている。さらに、乗降時にオペレータが掴む手摺り部材34の一端部位34Bは、切換弁ブラケット30の取付部位30Bと対面して折曲げ板部12Gの外側面12G5に当接させている。この上で、切換弁ブラケット30の取付部位30Bと手摺り部材34の一端部位34Bとは、前記運転席台座11の前面板12の折曲げ板部12Gを挟んだ状態でボルト35を用いて一体的に締着することができる。
従って、乗降時にオペレータが掴むために設けられている既存の手摺り部材34の一端部位34Bを利用し、前面板12の折曲げ板部12Gを、切換弁ブラケット30の取付部位30Bと手摺り部材34の一端部位34Bで挟むことにより、3部材を重ねて1枚の厚板として形成することができる。
これにより、運転席台座11の構成を複雑にしたり、運転席台座11を形成する金属板の板厚寸法を大きくすることなく、パターン切換弁29の取付部の構造を強化することができる。または、十分な強度を確保した状態で、運転席台座11を形成する金属板の板厚寸法を薄くしたり、組立構造を簡略化したりすることができる。
この結果、運転席台座11は、既存のままの薄い板材を用いた簡単な形状とすることができるから、パターン切換弁29を安定的に支持しつつ、上部旋回体4の小型化、軽量化を図ることができる。また、運転席台座11に対する手摺り部材34の取付強度も高めることができる。
パターン切換弁29は、運転席台座11の前側で、かつ足置き部材19の乗降口20側から組合せパターンの切換操作が可能な位置に配置している。これにより、オペレータが足置き部材19に乗り込むときに、パターン切換弁29の切換レバー29Cの位置(選択されている組合せパターン)の確認を容易に行うことができる。しかも、パターン切換弁29の切換レバー29Cの切換作業も簡単に行うことができる。
運転席台座11の乗降口20側には、乗降を許可する開通位置と乗降を禁止する遮断位置とに操作されるゲートロックレバー23を設けている。また、フロント装置5を駆動する各シリンダ5G,5J,5Kおよび旋回装置3の旋回モータ3Aは、油圧パイロット式方向制御弁25A〜25Dを介して油圧ポンプ9と接続している。そして、各油圧パイロット式方向制御弁25A〜25Dと左,右の操作レバー装置22,24を構成する油圧パイロット部22B,24Bとの間にパターン切換弁29を設ける構成としている。この上で、各操作レバー装置22,24の油圧パイロット部22B,24Bとパイロットポンプ10との間には、ゲートロックレバー23の操作に応じて前記パイロットポンプ10からの圧油を流通または遮断するパイロット圧切換弁37を設けている。これにより、パイロット圧切換弁37によってパイロット圧を制御することにより、パターン切換弁29によって組合せパターンの切換え作業を行うことができる。
上部旋回体4は、旋回中心を中心として旋回動作したときに、少なくともカウンタウエイト7の後面7Aが下部走行体2の車幅内に収まる構成としている。これにより、小型の油圧ショベル1は、建物の内部の解体作業、街路地等の狭い場所での掘削作業等に用いることができる。
なお、実施の形態では、足置き部材19の乗降口20を左,右方向の左側に配置し、この運転席台座11の左側にパターン切換弁29を配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、さらに小型な油圧ショベルのように左,右両側に乗降口が存在する場合には、左,右のいずれか一方にパターン切換弁を配置する構成とすればよい。
また、実施の形態では、小型の油圧ショベル1として、ロアブーム5A、アッパブーム5B、アーム支持部材5C、アーム5D、バケット5E等からなるオフセット式のフロント装置5を備えた機種を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、左,右方向に揺動可能(スイング可能)なフロント装置を備えた小型の油圧ショベルに適用してもよい。また、オフセット機能もスイング機能も備えないモノブーム式のフロント装置を備えた小型の油圧ショベルに適用してもよい。
さらに、実施の形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた小型の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた小型の油圧ショベルに適用してもよい。