以下、本発明に係る小型油圧ショベルの実施の形態について、後方小旋回型の小型油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
図中、後方小旋回型の小型油圧ショベル1は、トラックに積載されて作業現場に搬送され、例えば市街地における道路脇の側溝掘り作業等の狭隘な作業現場で用いられるため、例えば総重量が0.7〜8トン程度に設定されている。
小型油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。下部走行体2の前側には排土板2Aが設けられ、上部旋回体4の前側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式のフロント装置5が設けられている。このフロント装置5は、後述する旋回フレーム6の前端に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト5Aと、スイングポスト5Aに俯仰動可能に取付けられたブーム5Bと、ブーム5Bの先端に回動可能に取付けられたアーム5Cと、アーム5Cの先端に回動可能に取付けられたバケット5Dとを含んで構成されている。
上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、カウンタウエイト7、エンジン8、運転席台座9、運転席10、左,右のコンソール装置16,32等を含んで構成されている。ここで、小型油圧ショベル1は、エンジン8の上側に運転席台座9を介して運転席10を配置することにより、上部旋回体4の小型化を実現している。これにより、小型油圧ショベル1は、上部旋回体4を旋回させたときに、カウンタウエイト7の後面7Aが下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)内に収まるようになっている。なお、後方小旋回の定義としては、作業上で問題にならない範囲で、カウンタウエイト7の一部が下部走行体2の車幅寸法から少しはみ出す程度も含むものである。
旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に設けられている。旋回フレーム6は支持構造体をなし、上部旋回体4のベースを構成している。旋回フレーム6の前部には、ポスト支持ブラケット6Aが設けられている。このポスト支持ブラケット6Aは、フロント装置5のスイングポスト5Aを左,右方向に回動可能(揺動可能)に支持するものである。
カウンタウエイト7は、旋回フレーム6の後端に設けられている。カウンタウエイト7は、フロント装置5との重量バランスをとるもので、左,右方向の中央部が後方に突出した円弧状の重量物として形成されている。これにより、カウンタウエイト7の後面7Aは、上部旋回体4が旋回したときに下部走行体2の車幅寸法内に収まり、上部旋回体4の旋回動作時における周囲の障害物との干渉を回避できるようになっている。
原動機としてのエンジン8は、図1中に破線で示すように、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6の後側に搭載されている。エンジン8は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延在する横置き状態で旋回フレーム6に搭載され、油圧ポンプ(図示せず)を駆動するものである。なお、原動機としては、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータとを組合せたハイブリッド式の原動機を用いることができる。
運転席台座9は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6に設けられている。運転席台座9は、エンジン8、油圧ポンプ、熱交換装置(いずれも図示せず)等の上側を覆って旋回フレーム6に設けられ、運転席10を支持するものである。この運転席台座9は、エンジン8の前側に配置され旋回フレーム6から上方に立上がる前面板9Aと、前面板9Aの上端から後方に延び、エンジン8等を上側から覆う座席取付板9Bとを有している。座席取付板9Bには、運転席10、左コンソール装置16、右コンソール装置32等が取付けられている。座席取付板9Bのうち左コンソール装置16の近傍部位には、前,後方向に延びる長孔状のホース挿通孔9Cが形成され、右コンソール装置32の近傍にも、これと同様なホース挿通孔(図示せず)が形成されている。
運転席10は、運転席台座9を構成する座席取付板9Bの中央部に設けられている。運転席10は、小型油圧ショベル1を操縦するオペレータが着席するものである。運転席10を挟んで左,右両側には、旋回装置3およびフロント装置5を操作するための左,右のコンソール装置16,32が配設されている。
運転席台座9の前側には、旋回フレーム6上を左,右方向に延びる足乗せ部材11が設けられている。足乗せ部材11は、運転席10に着席したオペレータの足場を形成している。ここで、足乗せ部材11の左,右方向の一方側(左側)は、オペレータが運転席10に乗降するための乗降口12となっている。足乗せ部材11のうち運転席10の前側に位置する部位には、左,右の走行用レバー・ペダル13が設けられている。運転席10に着席したオペレータは、左,右の走行用レバー・ペダル13を操作することにより、小型油圧ショベル1の走行方向を制御することができる。
キャノピ14は、運転席10を上側から覆って配置されている。キャノピ14は、例えば左,右方向に間隔をもって配置された2本の支柱14A(左側のみ図示)を有する2柱式キャノピとして形成されている。キャノピ14の各支柱14Aの下端は、運転席台座9の後部に取付けられている。
外装カバー15は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6の周囲に設けられている。外装カバー15は、カウンタウエイト7の上側に配置されエンジン8等を後方から覆うエンジンカバー15Aと、エンジンカバー15Aの左端から前方に延び、エンジン8等を左側方から覆う左側面カバー15Bと、エンジンカバー15Aの右端から足乗せ部材11の右端にかけて前方に延び、作動油タンク、燃料タンク等(いずれも図示せず)を覆う右側面カバー15Cと、左側面カバー15Bの前側に位置して旋回フレーム6と足乗せ部材11との間に設けられた左スカートカバー15Dと、右側面カバー15Cの前側に位置して旋回フレーム6と足乗せ部材11との間に設けられた右スカートカバー15Eとを含んで構成されている。
次に、本実施の形態に用いられる左コンソール装置16および右コンソール装置32について、図3ないし図16を参照しつつ説明する。
左コンソール装置16および右コンソール装置32は、運転席10を左,右方向から挟んだ状態で運転席台座9の座席取付板9B上に配置されている。左,右のコンソール装置16,32のうち乗降口12側に配置された左コンソール装置16は、図4に示す如くオペレータによって操作されるときの操作位置と、図5に示す如くオペレータが運転席10に乗降するときの跳上げ位置との間で回動変位する構成となっている。乗降口12とは反対側に配置された右コンソール装置32は、左コンソール装置16の位置(姿勢)に関わらず、図5に示す操作位置を保持する構成となっている。
乗降口12側に配置された一方のコンソール装置となる左コンソール装置16は、後述する取付ベース17と、回転軸19と、回動フレーム20と、レバーブラケット22と、パイロットバルブ26と、操作レバー26Aと、コンソールカバー28とを含んで構成されている。
取付ベース17は、運転席10の左側に位置して運転席台座9の座席取付板9B上に固定され、前,後方向に延びている。取付ベース17は、座席取付板9Bに3個のボルト18を用いて取付けられた底板17Aと、底板17Aの右端側から上方に向けて立上る立上り板17Bと、立上り板17Bと左,右方向で一定の間隔をもって対面し底板17Aに溶接等の手段を用いて固定されたL字状の軸支持板17Cとを含んで構成されている。底板17Aのうち運転席台座9のホース挿通孔9Cに対応する部位には切欠部17Dが形成され、この切欠部17Dによって、取付ベース17の左側に隣接してホース挿通孔9Cが開口する構成となっている。
一方、立上り板17Bの後部下側には、軸挿通孔17Eが左,右方向に貫通して設けられ(図10参照)ている。この軸挿通孔17Eには、後述する回転軸19の右端19Bが挿通されている。立上り板17Bの後部下側には、回転軸19の上側に位置して左,右方向に延びる上限ストッパ軸17Fが固定されている。上限ストッパ軸17Fは、立上り板17Bから左方向に突出し、後述のガイド溝孔22Bに挿通されるものである。
立上り板17Bの前,後方向(長さ方向)の中間部には、左,右方向に延びる下限ストッパ軸17Gが固定されている。下限ストッパ軸17Gは、立上り板17Bから左方向に突出し、後述のフック22Cが係合するものである。また、立上り板17Bの前端側には、後述のゲートロックスイッチ25が取付けられている。
一方、軸支持板17Cのうち立上り板17Bと対面する面には、左,右方向に貫通する軸挿通孔17Hが形成されている。軸挿通孔17Hは、立上り板17Bの軸挿通孔17Eと同心上に配置され、回転軸19の左端19Aが挿通されている。また、軸支持板17Cのうち立上り板17Bと直交する面には、上,下方向の中間に位置して左,右方向に延びる係合溝17Jが形成されている(図9参照)。この係合溝17Jは、後述する戻しばね21の一端21Aが掛止めされるものである。
回転軸19は、取付ベース17の立上り板17Bと軸支持板17Cとの間に左,右方向に延びて取付けられている。回転軸19の左,右方向(軸方向)の一端となる左端19Aは、軸支持板17Cの軸挿通孔17Hに挿通されている。回転軸19の左,右方向の他端となる右端19Bは、立上り板17Bの軸挿通孔17Eに挿通され、回転軸19の左,右方向の中間部は、後述する回動フレーム20の軸挿通孔に挿通されている。ここで、回転軸19は、後述するコンソールカバー28の右側面28Dに片寄せて配置され、回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間には、後述のホース収容空間30が形成される。
図10に示すように、立上り板17Bから運転席10側に突出した回転軸19の右端19Bには、抜止め板19Cが係合し、この抜止め板19Cは、ボルト19Dを用いて立上り板17Bに固定されている。これにより、回転軸19は、取付ベース17の立上り板17Bと軸支持板17Cとに対し抜止めされると共に廻止めされている。また、回転軸19の外周側には、回転軸19よりも大径な円筒状のカラー19Eが挿嵌され、このカラー19Eの外周側には戻しばね21が配置されている。
回動フレーム20は、回転軸19を支点として上,下方向に回動可能に設けられている。回動フレーム20は、取付ベース17の立上り板17Bと左,右方向で対面しつつ前,後方向に延在する基板20Aと、後述のバルブブラケット20Eとを含んで構成されている。
図9、図13等に示すように、基板20Aは、前,後方向の前側が上方に向けて延びるL字状の板体からなり、取付ベース17の立上り板17Bと軸支持板17Cとの間に配置されている。基板20Aの上端20Bにはバルブブラケット20Eが取付けられている。基板20Aの後側には、取付ベース17を構成する立上り板17Bおよび軸支持板17Cの軸挿通孔17E,17Hと同心上に軸挿通孔(図示せず)が穿設され、この軸挿通孔には回転軸19が挿通されている。これにより、回動フレーム20は、取付ベース17に対し回転軸19を支点として、図13および図14に示す操作位置と、図15および図16に示す跳上げ位置との間で上,下方向に回動する。
基板20Aのうち取付ベース17の軸支持板17Cと対面する面には、回転軸19の上側に位置して軸支持板17C側に突出する掛止めピン20Cが固定されている。この掛止めピン20Cには、戻しばね21の他端21Bが掛止めされている。基板20Aの前側には、上,下方向の中間に位置して支持軸20Dが設けられている。支持軸20Dは、基板20Aから取付ベース17の立上り板17B側へと左,右方向に突出し、後述するレバーブラケット22を上,下方向に回動可能に支持する。
バルブブラケット20Eは、J字状に屈曲した板体からなり、基板20Aの上端20Bに溶接によって固定されている。バルブブラケット20Eには、矩形の平板からなるバルブ支持板20Fが溶接等の手段を用いて固定されている。このバルブ支持板20Fは、バルブブラケット20Eから前方に突出し、後述のパイロットバルブ26が支持されるものである。バルブブラケット20Eのうち基板20Aの上端20Bの近傍部位には、補強板20Gが固定されている。補強板20Gには、左,右方向に延びる係止ピン20Hが設けられ、この係止ピン20Hには、後述する連結ばね24の一端24Aが掛止めされている。
バルブブラケット20Eの後側には、後方に向けて延びる後カバーブラケット20Jが設けられている。バルブ支持板20Fの前側には、前方に向けて突出する前カバーブラケット20Kが設けられている。図4に示すように、これら後カバーブラケット20J、前カバーブラケット20Kにはコンソールカバー28が取付けられる。なお、図9ないし図11では、後カバーブラケット20Jが省略されている。バルブブラケット20Eの上端側はアームレスト取付部20Lとなり、このアームレスト取付部20Lには、後述のアームレスト29が取付けられる。
戻しばね21は、取付ベース17の軸支持板17Cと回動フレーム20の基板20Aとの間に設けられている。戻しばね21は、ねじりコイルばねにより構成され、回転軸19のカラー19Eの外周側に左,右方向に延びて配置されている。戻しばね21の一端21Aは、軸支持板17Cの係合溝17Jに掛止めされ、戻しばね21の他端21Bは、回動フレーム20の基板20Aに設けられた掛止めピン20Cに掛止めされている。これにより、戻しばね21は、回転軸19を中心として跳上げ位置に回動した回動フレーム20を、回転軸19を中心として操作位置に戻る方向に付勢している。
レバーブラケット22は、後述のゲートロックレバー23が取付けられるもので、回動フレーム20に対し、支持軸20Dを支点として上,下方向に回動可能に取付けられている。レバーブラケット22は、前,後方向に延びる平板により形成され、取付ベース17の立上り板17Bと回動フレーム20の基板20Aとの間に配置されている。レバーブラケット22の前,後方向の中間部には軸挿通孔22Aが設けられ、この軸挿通孔22Aは、回動フレーム20の支持軸20Dに回動可能に挿通されている(図10参照)。レバーブラケット22は、ゲートロックレバー23と一体に、図13に示す遮断位置と図16に示す開通位置との間で上,下方向に回動操作される。
レバーブラケット22の後側には、上向きに湾曲しつつ前,後方向に延びるガイド溝孔22Bが形成されている。ガイド溝孔22Bは、回転軸19の軸中心を中心とした円弧状の孔として形成され、取付ベース17の立上り板17Bに設けられた上限ストッパ軸17Fが常に係合している。ガイド溝孔22Bの後端には下向きに切欠かれた後側凹部22B1が形成され、ゲートロックレバー23が遮断位置(図13の位置)にあるときには、後側凹部22B1に上限ストッパ軸17Fが係合する。一方、ガイド溝孔22Bの前端には上向きに切欠かれた前側凹部22B2が形成され、ゲートロックレバー23が開通位置(図16の位置)にあるときには、前側凹部22B2に上限ストッパ軸17Fが係合する。
レバーブラケット22の前側下部には、略J字状のフック22Cが設けられている。フック22Cは、ゲートロックレバー23をレバーブラケット22と共に遮断位置に移動させたときに、取付ベース17の立上り板17Bに設けられた下限ストッパ軸17Gに係合する。これにより、ゲートロックレバー23が遮断位置を保持する構成となっている。図10に示すように、レバーブラケット22の前側上部には、取付ベース17の立上り板17B側に突出する係止ピン22Dが設けられている。この係止ピン22Dには、後述する連結ばね24の他端24Bが掛止めされている。
ゲートロックレバー23は、レバーブラケット22の前側に設けられている。ゲートロックレバー23は、全体としてJ字状に屈曲した棒状体からなっている。ゲートロックレバー23の後端23A側は、溶接等の手段を用いてレバーブラケット22の前側上部に固定され、ゲートロックレバー23の前側は、レバーブラケット22から前方に延びている。ゲートロックレバー23は、運転席10に着席したオペレータにより、図4に示す如く乗降口12を遮断する遮断位置と、図5に示す如く乗降口12を開通させる開通位置との間で回動操作される。左コンソール装置16は、ゲートロックレバー23を遮断位置としたときには操作位置に回動変位し、ゲートロックレバー23を開通位置としたときには跳上げ位置に回動変位する。また、ゲートロックレバー23の後端23Aの近傍には、L字状に屈曲した板状の押圧片23Bが固定されている。
連結ばね24は、回動フレーム20とレバーブラケット22との間に設けられ、両者間を連結している。連結ばね24は、ねじりコイルばねにより構成され、連結ばね24の一端24Aは、回動フレーム20の補強板20Gに設けられた係止ピン20Hに掛止めされ、連結ばね24の他端24Bは、レバーブラケット22に設けられた係止ピン22Dに掛止めされている。これにより、レバーブラケット22は、連結ばね24を介して回動フレーム20に弾性的に連結され、ゲートロックレバー23に対する操作力は、連結ばね24を介して回動フレーム20に伝達される。
ゲートロックスイッチ25は、取付ベース17を構成する立上り板17Bの前端側にボルト25Aを用いて取付けられている。ゲートロックスイッチ25は、ゲートロックレバー23が遮断位置にあるときに、ゲートロックレバー23の押圧片23Bによって押圧されることにより、ゲートロックレバー23が遮断位置にあることを検出するものである。
パイロットバルブ26は、回動フレーム20のバルブ支持板20Fにボルト等を用いて取付けられ、左コンソール装置16が操作位置にある状態で、斜め上向きに傾斜して配置されている。パイロットバルブ26の上部には、前,後方向と左,右方向との4方向に傾動可能な操作レバー26Aが設けられている。また、パイロットバルブ26には、複数(例えば5本)のパイロットホース27が接続されている。各パイロットホース27は、パイロットバルブ26と後述する制御弁装置33との間を接続し、操作レバー26Aの操作に応じたパイロット圧を制御弁装置33に供給する。
コンソールカバー28は、パイロットバルブ26と共に回動フレーム20に取付けられている。ここで、コンソールカバー28は、前面28A、後面28B、左側面28C、右側面28Dおよび上面28Eによって囲まれ、下端側が開口した有蓋の枠体により形成されている。図4および図6に示すように、コンソールカバー28は、回動フレーム20の後カバーブラケット20J、前カバーブラケット20K等にボルト28Fを用いて取付けられ、回動フレーム20とパイロットバルブ26とを、左,右方向の両側および上側から覆っている。コンソールカバー28の上方には、操作レバー26Aを操作するオペレータが腕を乗せるアームレスト29が配置されている。このアームレスト29は、回動フレーム20のアームレスト取付部20Lに、ボルト29Aを用いて取付けられている。
ホース収容空間30は、回転軸19の左,右方向の一端となる左端19Aと、枠体からなるコンソールカバー28の左,右方向の一方の側面となる左側面28Cとの間に形成されている(図7、図8参照)。ホース収容空間30は、パイロットバルブ26に接続された各パイロットホース27を収容するためにコンソールカバー28内に形成された空間であり、左コンソール装置16が図4に示す操作位置にある状態で、パイロットバルブ26の後側に位置して、回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間に形成されている。これにより、ホース収容空間30は、運転席台座9に形成されたホース挿通孔9Cの上方に配置されている。
各パイロットホース27は、ホース収容空間30を通り、運転席台座9のホース挿通孔9Cを通じて運転席台座9内に挿入される。運転席台座9の座席取付板9Bの裏面には、ホース挿通孔9Cの近傍に位置してホースクランプ31が設けられ、運転席台座9内に挿入された各パイロットホース27は、ホースクランプ31によって結束された後、制御弁装置33へと延びている。
このように、本実施の形態による左コンソール装置16は、回転軸19が、枠体からなるコンソールカバー28の他方の側面である右側面28Dに片寄せて配置され、回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間には、ホース収容空間30が形成されている。これにより、回転軸19の外周側を取囲むように各パイロットホース27を大きく湾曲させて配置する必要がなく、各パイロットホース27を、回転軸19の左端19Aの左側を通過させて直線的に配置することができる。
これにより、左コンソール装置16は、回転軸の外周側を取囲むようにパイロットホースを配置する従来技術の構成に比較して、パイロットバルブ26、各パイロットホース27等を覆うコンソールカバー28の高さ寸法、前,後方向の長さ寸法を小さく抑え、コンソールカバー28を小型化することができる構成となっている。
次に、図3および図5に示すように、右コンソール装置32は、運転席10の右側に位置して運転席台座9の座席取付板9B上に固定的に取付けられている。即ち、右コンソール装置32は、左コンソール装置16のようなゲートロックレバーを含む跳上げ機構を備えていない。そして、右コンソール装置32は、パイロットバルブ(図示せず)、操作レバー32A、コンソールカバー32B、アームレスト32Cを含んで構成されている。
制御弁装置33は、足乗せ部材11の下側に位置して旋回フレーム6に搭載されている(図1参照)。図4に示すように、制御弁装置33には、複数のパイロットホース27が接続されると共に複数のメインホース34が接続され、各メインホース34は小型油圧ショベル1に設けられた各種の油圧アクチュエータに接続されている。そして、制御弁装置33は、操作レバー26A,32Aに対する操作に応じてパイロットホース27からパイロット圧が供給されることにより、ポンプ(図示せず)から吐出した圧油をメインホース34を通じて所望の油圧アクチュエータに供給するものである。
次に、ゲートロックレバー23を遮断位置から開通位置に回動させると共に、左コンソール装置16を操作位置から跳上げ位置に回動させるときの動作について、図13ないし図16を参照しつつ説明する。なお、図13ないし図16では、回動フレーム20、レバーブラケット22等の動作を明瞭にするため、取付ベース17の軸支持板17Cを省略し、上限ストッパ軸17Fおよび下限ストッパ軸17Gの端面を破断面にして示している。
図13に示すように、ゲートロックレバー23が遮断位置にあるときには、レバーブラケット22に設けられたガイド溝孔22Bの後側凹部22B1が、取付ベース17の上限ストッパ軸17Fに係合している。また、レバーブラケット22のフック22Cが、取付ベース17の下限ストッパ軸17Gに係合している。さらに、ゲートロックスイッチ25は、ゲートロックレバー23の押圧片23Bによって押圧され、ゲートロックレバー23が遮断位置にあることを検出している。また、回動フレーム20は操作位置を保持している。
次に、図14に示すように、ゲートロックレバー23を、回動フレーム20の支持軸20Dを支点として矢示A方向に回動させる。これにより、ガイド溝孔22Bの後側凹部22B1が、取付ベース17の上限ストッパ軸17Fから離脱すると共に、フック22Cが、取付ベース17の下限ストッパ軸17Gから離脱する。また、ゲートロックレバー23の押圧片23Bが、ゲートロックスイッチ25から離脱する。この状態では、回動フレーム20は操作位置を保持している。
ゲートロックレバー23を、さらに矢示A方向に回動させると、ガイド溝孔22Bの後側凹部22B1から離脱した上限ストッパ軸17Fが、ガイド溝孔22Bの後端側の周縁部に当接する。これにより、支持軸20Dを支点とするレバーブラケット22の回動動作が規制され、レバーブラケット22は、回動フレーム20と一体となって回転軸19を支点とする回動動作に移行する。
即ち、図15に示すように、ゲートロックレバー23を、回転軸19を支点として矢示B方向に回動させることにより、このゲートロックレバー23に対する操作力は、レバーブラケット22から連結ばね24を介して回動フレーム20に伝達される。これにより、レバーブラケット22と回動フレーム20とは、回転軸19を支点として一緒に上向きに回動する。そして、ガイド溝孔22Bの前端が上限ストッパ軸17Fに当接した状態で、回転軸19を支点とする回動フレーム20の回動動作が規制され、回動フレーム20は跳上げ位置に移行する。
回動フレーム20が跳上げ位置に移行した状態では、回転軸19を支点とする回動フレーム20の回動動作が規制されるので、レバーブラケット22は、回動フレーム20に対し支持軸20Dを支点とする回動動作に移行する。
即ち、図16に示すように、ゲートロックレバー23を、支持軸20Dを支点として矢示C方向に回動させることにより、上限ストッパ軸17Fが、ガイド溝孔22Bの前端から前側凹部22B2に係合するまでの間、レバーブラケット22が回動フレーム20に対して回動する。そして、ガイド溝孔22Bの前側凹部22B2が、上限ストッパ軸17Fに係合することにより、レバーブラケット22の回動動作が規制され、ゲートロックレバー23は開通位置で停止する。
この状態で、戻しばね21は、回動フレーム20を跳上げ位置から操作位置に戻る方向に付勢している。しかし、ガイド溝孔22Bの前側凹部22B2が、上限ストッパ軸17Fに係合することにより、回転軸19を中心としたレバーブラケット22の回動が規制されている。この結果、連結ばね24を介してレバーブラケット22に連結された回動フレーム20の回動動作も規制され、回動フレーム20は跳上げ位置を保持することができる。
次に、ゲートロックレバー23を開通位置から遮断位置に回動させるときの動作について説明する。
まず、開通位置にあるゲートロックレバー23を、支持軸20Dを支点として図16中の矢示C方向とは逆方向に回動させる。これにより、図15に示すように、レバーブラケット22に設けられたガイド溝孔22Bの前側凹部22B2が、上限ストッパ軸17Fから離脱し、ガイド溝孔22Bの前端側の内周縁が、上限ストッパ軸17Fに当接する。
これにより、回動フレーム20は、戻しばね21のばね力により、回転軸19を支点として図15中の矢示B方向とは反対方向に回動し、図14に示すように、ガイド溝孔22Bの後端側の内周縁が上限ストッパ軸17Fに当接した位置で停止する。この状態で、ゲートロックレバー23を、支持軸20Dを支点として図14中の矢示A方向とは反対側に回動させる。これにより、図13に示すように、ガイド溝孔22Bの後側凹部22B1が上限ストッパ軸17Fに係合すると共に、フック22Cが下限ストッパ軸17Gに係合する。これにより、ゲートロックレバー23は遮断位置を保持し、押圧片23Bがゲートロックスイッチ25を押圧することにより、ゲートロックレバー23が遮断位置にあることが検出される。
本実施の形態による小型油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その動作について説明する。
小型油圧ショベル1に乗車する場合には、オペレータは、乗降口12を通って足乗せ部材11に乗込む。このとき、ゲートロックレバー23は、前回降車するために開通位置にあり、左コンソール装置16は跳上げ位置にある(図5参照)。従って、乗降口12が大きく開放されるので、オペレータは乗降口12を通って容易に足乗せ部材11に乗込むことができる。
運転席10に着席したオペレータは、ゲートロックレバー23を把持し、開通位置から遮断位置へと押し下げる。これにより、ゲートロックレバー23によって乗降口12を遮断することができると共に、左コンソール装置16を操作位置に保持することができる。ゲートロックレバー23を遮断位置に保持した状態で、オペレータは、エンジン8を始動して油圧ポンプを駆動する。
この状態で、オペレータは、左コンソール装置16の操作レバー26A、右コンソール装置32の操作レバー32Aを操作する。これにより、左コンソール装置16の操作レバー26Aに対する操作に応じて、パイロットバルブ26からのパイロット圧が、各パイロットホース27を通じて制御弁装置33に供給される。これと同様に、右コンソール装置32の操作レバー26Aに対する操作に応じて、制御弁装置33にパイロット圧が供給される。この結果、旋回装置3とフロント装置5のアクチュエータに対し、作動用の圧油が給排され、小型油圧ショベル1は、上部旋回体4を旋回させつつ、フロント装置5を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
ここで、本実施の形態による小型油圧ショベル1は、乗降口12側に配置された左コンソール装置16が、運転席台座9に固定された取付ベース17と、取付ベース17に左,右方向に延びて設けられた回転軸19と、回転軸19を支点として上,下方向に回動可能に設けられた回動フレーム20と、回動フレーム20に取付けられたパイロットバルブ26と、回動フレーム20とパイロットバルブ26を左,右方向の両側および上側から覆い回動フレーム20と一体的に回動するコンソールカバー28とを含んで構成されている。
この場合、回転軸19は、コンソールカバー28の他方の側面である右側面28Dに片寄せて配置されているので、回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間には、運転席台座9のホース挿通孔9Cの上方に位置してホース収容空間30が形成されている。これにより、パイロットバルブ26と制御弁装置33との間を接続する各パイロットホース27を、回転軸19の左端19Aの左側を通過させ、運転席台座9のホース挿通孔9Cに向けて直線的に配置することができる。
従って、回転軸19の外周側を取囲むように各パイロットホース27を大きく湾曲させて配置する必要がないので、パイロットバルブ26、各パイロットホース27等を覆うコンソールカバー28の高さ寸法、前,後方向の長さ寸法を小さく抑えることができる。この結果、コンソールカバー28全体を小型化することができ、左コンソール装置16の周囲に形成される機器類の設置スペースを大きく確保することができる。
しかも、各パイロットホース27は、回転軸19の左端19Aの左側を通って運転席台座9のホース挿通孔9Cへと直線的に配置されるので、左コンソール装置16を操作位置と跳上げ位置との間で回動させるときに、この回動動作に伴って各パイロットホース27が大きく湾曲するのを抑えることができる。この結果、左コンソール装置16の回動動作に伴って各パイロットホース27が互いに擦れるのを抑え、各パイロットホース27の寿命を延ばすことができる。さらに、操作位置と跳上げ位置との間で回動する左コンソール装置16に対し、各パイロットホース27の湾曲による負荷が作用するのを抑えることができ、左コンソール装置16を跳上げ操作するときの操作性を高めることができる。
また、本実施の形態による左コンソール装置16は、ホース収容空間30が、パイロットバルブ26の後側に位置して回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間に形成されている。これにより、パイロットバルブ26に接続された各パイロットホース27は、パイロットバルブ26から後方に向けて直線的に延びるので、各パイロットホース27を、運転席台座9のホース挿通孔9Cを通じて容易に制御弁装置33へと配策することができ、各パイロットホース27を配策するときの作業性を高めることができる。
さらに、回転軸19は、コンソールカバー28の右側面28Dに片寄せて配置され、回転軸19の左端19Aとコンソールカバー28の左側面28Cとの間にはホース収容空間30が形成されている。従って、回転軸19をコンソールカバー28の右側面28Dに片寄せた分、大きなホース収容空間30を形成することができ、各パイロットホース27を余裕をもって収容することができる。
なお、実施の形態では、左,右方向の左側のみが乗降口12となった小型油圧ショベル1において、乗降口12側に配置された左コンソール装置16のみを上,下方向に回動可能とすると共に、左コンソール装置16のみにゲートロックレバー23を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば左,右方向の右側のみに乗降口が設けられた小型油圧ショベルに適用してもよい。この場合には、左,右方向の右側(乗降口側)に配置された右コンソール装置のみを上,下方向に回動可能に構成すると共に、右コンソール装置のみにゲートロックレバーを設ける構成とすることができる。
また、例えば左,右方向の両側に乗降口が設けられた小型油圧ショベルに適用してもよい。この場合には、左,右方向の両側に配置された左,右のコンソール装置を、それぞれ上,下方向に回動可能に構成すると共に、左,右のコンソール装置にそれぞれゲートロックレバーを設ける構成とすることができる。
さらに、実施の形態では、クローラ式の下部走行体2を備えたキャノピ仕様の小型油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた小型油圧ショベルに適用してもよく、運転席の周囲と上部を覆うキャブを備えた小型油圧ショベルに適用してもよい。