JP6479380B2 - 醤油様調味料及び醤油の呈味改善剤 - Google Patents

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本発明は、呈味が向上した醤油様調味料及び醤油の呈味を改善することができる呈味改善剤に関する。
近年、食塩の摂取量を減らして生活習慣病を予防したいという消費者の要望がある。これに対し、食塩の含有量を減じた様々な減塩醤油が開発され、市販されている。しかし、そのような減塩醤油は、味のバランスが崩れるなど、呈味の点で不十分となる場合がある。
このような問題を解決するために、醤油の好ましい風味を付与することができる香味改善剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に係る香味改善剤は、デルタラクトンを有効成分とするものであり、醤油に添加することで発酵感や熟成感を付与し、醤油の香味を改善することができる。
しかしながら、上記香味改善剤では醤油の呈味の向上が十分ではなく、より一層、呈味を向上させることができる呈味改善剤、又は呈味が向上した減塩醤油が求められている。なお、減塩醤油に限らず、通常の醤油や、醤油を含む調味料である醤油様調味料についても同様に呈味の向上が求められている。
特開2014−083027号公報
本発明は、このような事情に鑑み、呈味が向上した醤油様調味料及び呈味を向上させることができる醤油の呈味改善剤を提供することを目的とする。
本発明者は、α−メチル−γ−ブチロラクトンを特定量含むことで醤油様調味料、特に減塩醤油の旨味、好ましいコクや厚みを増強させる作用を有することを見出し、本発明に至った。
上記目的を達成するための第1の態様は、α−メチル−γ−ブチロラクトンを1μg/mL以上100μg/mL以下含むことを特徴とする醤油様調味料にある。
かかる第1の態様では、旨味が増強し、好ましいコクや厚みが増し、醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みが改善した醤油様調味料を得ることができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する醤油様調味料において、γ−バレロラクトンを含むことを特徴とする醤油様調味料にある。
かかる第2の態様では、より一層、呈味が向上した醤油様調味料を得ることができる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載する醤油様調味料において、HDMF、マルトール及びカプロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする醤油様調味料にある。
かかる第3の態様では、より一層、呈味が向上した醤油様調味料を得ることができる。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか一つの態様に記載する醤油様調味料において、塩分濃度は、4%以上16%以下であることを特徴とする醤油様調味料にある。
かかる第4の態様では、旨味が増強し、好ましいコクや厚みが向上した醤油様調味料を得ることができる。
本発明の第5の態様は、第1〜第3の何れか一つの態様に記載する醤油様調味料において、塩分濃度は、4%以上8%以下であることを特徴とする醤油様調味料にある。
かかる第5の態様では、食塩の含有量が低減されながらも、旨味が増強し、好ましいコクや厚みが向上した醤油様調味料を得ることができる。
本発明の第6の態様は、α−メチル−γ−ブチロラクトンを有効成分として含むことを特徴とする醤油の呈味改善剤にある。
かかる第6の態様では、醤油の呈味を向上させることができる。
本発明によれば、呈味が向上した醤油様調味料及び呈味を向上させることができる醤油の呈味改善剤が提供される。
本発明は、α−メチル−γ−ブチロラクトンを1μg/mL以上100μg/mL以下含むことを特徴とする醤油様調味料である。本発明の醤油様調味料中のα−メチル−γ−ブチロラクトンは、通常の醤油様調味料中には十分な量が含まれていないため、醸造・発酵によって増やす、又は/及び、別に添加することで、上記範囲の含有量となっている。添加するα−メチル−γ−ブチロラクトンは、工業的には、食品添加物様の素材を使用できる。
醤油様調味料とは、日本農林規格に定める「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体の調味料をいう。また、醤油様調味料としては、いわゆる減塩醤油を含む。減塩醤油は、食塩の含有量が通常のしょうゆの濃度以下である醤油をいう。さらに、醤油様調味料には、果汁・野菜汁、エキス類、だし類、糖類、調味料、酒類、発酵調味料、酸味料、香料等の副原料が混合されていてもよい。
本発明の醤油様調味料は、食塩を1.0〜16.0質量%の範囲で含むが、食塩の過剰摂取を防ぐためには、2.0〜14.0質量%が好ましく、4.0〜12.0質量%がより好ましく、4.0〜8.0質量%が特に好ましい。
α−メチル−γ−ブチロラクトンは、3−メチルジヒドロ−2(3H)−フラノンとも呼ばれる化合物である。α−メチル−γ−ブチロラクトンは、醤油様調味料に特定量含まれることで、醤油様調味料の旨味、好ましいコクや厚みを増強させる作用を奏する。α−メチル−γ−ブチロラクトンの含有量については後述する。
本発明によれば、α−メチル−γ−ブチロラクトンを含むことで、旨味、好ましいコクや厚みを増強され、呈味が向上した醤油様調味料を得ることができる。特に、醤油様調味料として、食塩の含有量が通常の醤油よりも少ない減塩醤油を用いた場合であっても、α−メチル−γ−ブチロラクトンにより、食塩の含有量を低減しながらも、味のバランスに優れ、十分な呈味を有する醤油様調味料(減塩醤油)を得ることができる。
また、本発明の醤油様調味料は、γ−バレロラクトンを含んでいてもよい。γ−バレロラクトンは、5−メチルジヒドロ−2(3H)−フラノンとも呼ばれ、香料などに用いられる公知の化合物であり、醤油調味料の呈味を向上させる作用を有する。α−メチル−γ−ブチロラクトンと合わせてγ−バレロラクトンが用いられることで、醤油様調味料の呈味をより一層向上させることができる。
さらに、本発明の醤油様調味料は、HDMF、マルトール及びカプロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。HDMFは、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(H)−フラノンの略称であり、フラネオールとも呼ばれる。マルトールは、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−ワンとも呼ばれる。カプロン酸は、ヘキサン酸とも呼ばれる。
本発明の醤油様調味料は、上述したα−メチル−γ−ブチロラクトン又は/及びγ−バレロラクトンを含み、これとともにHDMF、マルトール及びカプロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことで、醤油様調味料の呈味がより一層向上する。特に、好ましくない酸味、渋み、えぐみが抑えられ、味のバランスが向上した醤油様調味料を得ることができる。
また、本発明は、α−メチル−γ−ブチロラクトンを有効成分とする醤油の呈味改善剤である。ここでいう醤油は、日本農林規格に定める「しょうゆ」及び減塩醤油をいう。本発明の醤油の呈味改善剤によれば、α−メチル−γ−ブチロラクトンの作用により、醤油の旨味、好ましいコクや厚みを増強し、呈味を向上することができる。特に、食塩の含有量を低減した減塩醤油を、味のバランスに優れ、十分な呈味を有するものとすることができる。
ここで、α−メチル−γ−ブチロラクトンの含有量は、1μg/mL以上100μg/mL以下であることが好ましい。このような含有量とすることで、醤油様調味料の旨味を増強し、好ましいコクや厚みを増強し、不快なえぐみ、酸味、渋みを改善して、呈味が改善した醤油様調味料を得ることができる。
さらに、α―メチル−γ―ブチロラクトンの含有量は、10μg/mL以上20μg/mL以下であることが、より一層好ましい。このような含有量とすることで、醤油様調味料の旨味を増強し、好ましいコクや厚みを増強し、不快なえぐみ、酸味、渋みを改善して、呈味が改善した醤油様調味料を得ることができ、かつ、異味を感得させないことができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
[実施例1〜5]
市販のα−メチル−γ−ブチロラクトンを測り取り、1mg/mLになるように醤油様調味料の一例である減塩醤油(キッコーマン社製)で調整した。これを元液Aとする。元液Aに含まれるα−メチル−γ−ブチロラクトンの濃度が1μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるように減塩醤油で希釈して、実施例1〜実施例5を作製した。
[実施例6〜10]
γ―バレロラクトン(東京化成工業株式会社製)を測り取り、1mg/mLになるように減塩醤油で調整した。これを元液Bとする。元液Bに含まれるγ―バレロラクトンの濃度が3μg/mL、4μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるように減塩醤油で希釈して、実施例6〜実施例10を作製した。
[比較例11〜12]
γ―ブチロラクトン(東京化成工業株式会社製)を測り取り、1mg/mLになるように減塩醤油で調整した。これを元液Cとする。元液Cに含まれるγ―ブチロラクトンの濃度が10μg/mL、100μg/mLとなるように減塩醤油で希釈して、比較例11〜比較例12を作製した。
[実施例13〜17]
元液A、元液Bを用いて、α−メチル−γ−ブチロラクトンの濃度が、1μg/mL、 2μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLかつγ―バレロラクトンの濃度が3μg/mL、4μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるように実施例13〜実施例17を作製した。
[試験例1]
実施例1〜10、13〜17及び比較例11〜12について、官能評価を実施した。官能評価では、しょうゆの旨味が強くなったかを示す「旨味増強」、旨味だけでは表現できない好ましいコクや厚みを示す「好ましいコクや厚み」、添加成分による不快な違和感の程度を示す「異味」、特に減塩醤油で課題である醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みが改善されたかを示す「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」、全体的に味が調和して良好なしょうゆになっているかを示す「味のバランス」を評価した。
評価方法は、なにも添加しなかった減塩醤油をコントロールとして、「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「異味」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」を
×:コントロールと比べて弱いまたは変わらない。
△:コントロールと比べてやや強い。
○:コントロールと比べて強い。
◎:コントロールと比べて非常に強い。
という採点で、評価者4人で官能評価を行った。
また、「味のバランス」は
×:コントロールと比べて悪いまたは変わらない。
△:コントロールと比べてやや良い。
○:コントロールと比べて良い。
◎:コントロールと比べて非常に良い。
という採点で、評価者4人で官能評価を行った。
各実施例、比較例の官能評価の結果を表1に示す。
Figure 0006479380
表1の実施例1〜実施例5に示したように、α―メチル−γ―ブチロラクトンを添加した減塩醤油は、「旨味」や「好ましいコクや厚み」が強くなり、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」がされた。また、味のバランスもコンロトールに比較して良くなった。特に、実施例4に示すように、20μg/mLの濃度がすべての項目について最も評価は良かった。しかし、実施例5に示すように、100μg/mLと高濃度の場合、「旨味」や「好ましいコクや厚み」はコントロールに比較して高くなったが、「異味」が感じられてしまった。
同様に、実施例6〜実施例10に示すように、γ―バレロラクトンも同じように各評価項目についてコントロールに比較してより良い評価であった。特に、実施例9に示すように、20μg/mLの濃度がすべての項目について最も評価は良かった。ただし、実施例10に示すように、100μg/mLと高濃度の場合、「異味」を除いた評価項目はコントロールに比較して高くなったが、「異味」が感じられてしまった。
一方、比較例11〜比較例12に示すように、呈味改善として知られているγ―ブチロラクトンでは、評価項目を向上するような効果は確認できなかった。
実施例13〜実施例17に示すように、α―メチル−γ―ブチロラクトンとγ―バレロラクトンを組み合わせた場合も、同様に評価項目それぞれ良い結果となった。特に、実施例16に示すように、20μg/mLの濃度がすべての項目について最も評価は良かった。ただし、実施例17に示すように、各100μg/mLの高濃度の添加では、異味が感じられた。
以上の試験例1(実施例1〜実施例5)によれば、減塩醤油(醤油様調味料)にα―メチル−γ―ブチロラクトンを添加した醤油様調味料は、コントロールに比較して「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」に関して向上することが分かった。また、γ−ブチロラクトンを添加した比較例11〜12では、呈味改善効果が認められないことから、α―メチル−γ―ブチロラクトンが呈味を改善させる有効な成分であることが確認された。このように、食塩の濃度を低減した減塩醤油から、呈味が向上した醤油様調味料を得ることができる。
ここで、α―メチル−γ―ブチロラクトンの含有量は、1μg/mL以上100μg/mL以下であることが好ましい(実施例1〜実施例5)。このような含有量とすることで、評価項目「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」に関して向上させることができる。
また、α―メチル−γ―ブチロラクトンの含有量は、10μg/mL以上20μg/mL以下であることが、より一層好ましい(実施例3〜実施例4)。このような含有量とすることで、評価項目「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」に関してコントロールと比べて強く、又は非常に強く向上させることができ、かつ、「異味」をコントロールと比べて弱い、又は変わらない程度とすることができる。
さらに、α―メチル−γ―ブチロラクトンとγ―バレロラクトンを組み合わせた場合については、α―メチル−γ―ブチロラクトンの含有量は、1μg/mL以上100μg/mL以下であり、かつ、γ−バレロラクトンの含有量は、3μg/mL以上100μg/mL以下であることが好ましい(実施例13〜実施例17)。このような含有量とすることで、評価項目「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」に関して向上させることができる。
また、α―メチル−γ―ブチロラクトンの含有量は、10μg/mL以上20μg/mL以下であり、かつ、γ−バレロラクトンの含有量は、10μg/mL以上20μg/mL以下であることが好ましい(実施例15〜実施例16)。このような含有量とすることで、このような含有量とすることで、評価項目「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」に関してコントロールと比べて強く、又は非常に強く向上させることができ、かつ、「異味」をコントロールと比べて弱い、又は変わらない程度とすることができる。
[実施例18〜20、比較例21、実施例22]
α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ―バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ10μg/mLに調整した減塩醤油に、HDMF、マルトール、カプロン酸(東京化成工業株式会社製)がそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mLの添加濃度になるように実施例18〜実施例20を作製した。また、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ−バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ10μg/mLに調整した減塩醤油にHEMF(4−ヒドロキシ−2−エチル−5−メチル−3(H)−フラノン)を30μg/mL添加した比較例21を作製した。さらに、HDMF、マルトール、カプロン酸をそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mLの濃度ですべて添加した実施例22を作製した。
[実施例23〜25、比較例26、実施例27、比較例28〜31]
同様に、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ―バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ100μg/mLに調整した減塩醤油に、HDMF、マルトール、カプロン酸(東京化成工業株式会社製)がそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mLの添加濃度になるように実施例23〜実施例25を作製した。また、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ−バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ100μg/mLに調整した減塩醤油にHEMFを30μg/mL添加した比較例26を作製した。さらに、HDMF、マルトール、カプロン酸をそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mLの濃度ですべて添加した実施例27を作製した。さらに比較のために、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ−バレロラクトンを添加しないで、HDMF、マルトール、カプロン酸をそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mLの濃度でそれぞれ、またはすべて添加した比較例28〜31を作製した。
[試験例2]
試験例1と同様に、実施例18〜20、比較例21、実施例22および、実施例23〜25、比較例26、実施例27、比較例28〜31について官能評価を実施した。なにも添加しなかった減塩醤油をコントロールとして、「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「異味」、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」、「味のバランス」を◎、○、△、×で評価した。これらの評価は試験例1と同様である。各実施例、比較例の官能評価の結果を表2に示す。
Figure 0006479380
表2の実施例18〜実施例20に示すように、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ―バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ10μg/mLに調整した減塩醤油に、HDMF、マルトール、カプロン酸をそれぞれ30μg/mL、100μg/mL、10μg/mL添加すると、添加していない実施例15に比べて、「旨味増強」や「好ましいコクや厚み」がより良くなるという結果が得られた。
さらに、実施例22に示すように、HDMF、マルトール、カプロン酸3種類すべて添加すると、「異味」以外すべて◎となり、最もよくなった。
一方、比較例21は、HEMFが添加されているが、さらなる呈味の改善効果は確認できず、実施例15と比較例21で違いはなかった。
同様に、実施例23〜実施例25に示すように、減塩醤油に、α−メチル−γ−ブチロラクトンとγ―バレロラクトンの添加濃度をそれぞれ100μg/mLに添加した醤油様調味料は、「異味」が強くなっている。しかし、HDMF、マルトール、カプロン酸がそれぞれ添加されることで、「異味」を抑制できることが分かった。すなわち、実施例17では「異味」は「○」であるのに対し、実施例23〜実施例25は「異味」は「△」であった。
また、実施例27に示すように、HDMF等の3種類を添加すると、「異味」は何も添加していないコントロールと比較して同等となり、感じられなかった。さらに、3種類の添加では、「旨味増強」「好ましいコクや厚み」が良くなり、「醤油特有の不快なえぐみ、酸味、渋みの改善」がより改善できた。また「味のバランス」もよくなった。
一方、比較例28から比較例31に示すようにα−メチル−γ―ブチロラクトン又は/及びγ―バレロラクトンを加えない場合、HDMF、マルトール及びカプロン酸を加えても、α−メチル−γ―ブチロラクトン又は/及びγ―バレロラクトンを加えた実施例27に対して効果はなく、「異味」が「△」であった。
以上の試験例2によれば、α−メチル−γ―ブチロラクトン又は/及びγ―バレロラクトンに加えて、HDMF、マルトール及びカプロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことで、より一層、呈味が向上した醤油様調味料を得られることが分かった。
[実施例32〜実施例46]
α−メチル−γ−ブチロラクトンを測り取り、1mg/mLになるように、醤油様調味料の一例である、こいくち醤油(キッコーマン社製)で調整した。これを元液Dとする。元液Dに含まれるα−メチル−γ―ブチロラクトンの濃度が1μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるようにこいくち醤油で希釈して、実施例32〜36を作製した。
γ―バレロラクトンを測り取り、1mg/mLになるようにこいくち醤油で調整した。これを元液Eとする。元液Eに含まれるγ―バレロラクトンの濃度が3μg/mL、4μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるようにこいくち醤油で希釈して、実施例37〜41を作製した。
さらに、元液D及び元液Eを用いて、α−メチル−γ−ブチロラクトンの濃度が、1μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLかつγ―バレロラクトンの濃度が3μg/mL、4μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、100μg/mLとなるように実施例42〜実施例46を作製した。
[試験例3]
実施例32〜実施例46について、官能評価を実施した。官能評価は、評価項目が「旨味増強」、「好ましいコクや厚み」、「異味」の3つであり、コントロールとして何も添加していないこいくち醤油としたこと以外は、試験例1と同様である。
Figure 0006479380
表3に示すように、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトンそれぞれ、または両方の添加において、減塩醤油の時と同様、各項目が良好であると確認された。また、100μg/mLと高濃度で添加すると「異味」が感じられてしまう。α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトンどちらの成分ともに20μg/mLの添加が最もよかった。
以上の試験例3によれば、醤油様調味料として、減塩醤油を用いた場合のみならず、通常のこいくち醤油を用いた場合であっても、α−メチル−γ−ブチロラクトン又は/及びγ―バレロラクトンを用いることで呈味が改善された醤油様調味料が得られることが分かった。
[α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、カプロン酸、HDMF、マルトールの分析方法]
常法により製造した醤油1mLに、0.3gのNaClを加えて、さらに100μLの酢酸エチルを加えて抽出した。回収した酢酸エチル、GC−MSに供した。α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、カプロン酸、HDMF、マルトールの定量値は、各々の標準物質を蒸留水に適当な濃度添加して、しょうゆと同様の抽出方法で前処理し、GC−MSに供して検量線を作成し、定量した。
[GC−MS条件]
GC/MS:島津製作所社製 GC−MS QP2010 Ultra
カラム:ジーエルサイエンス社製 InertCap Pure WAX
(30m×0.25mm 内径0.25μm)
温度条件:35℃で2分間保持、8℃/分で250℃まで昇温後15分一定
キャリアガス:ヘリウム
表4に、定量結果を示す。常法により製造した醤油においては、α−メチル−γ−ブチロラクトンは0.5μg/mL含まれており、多くても約0.8μg/mLであることが分かった。
Figure 0006479380

Claims (5)

  1. α−メチル−γ−ブチロラクトンを10μg/mL以上100μg/mL以下含むことを特徴とする醤油様調味料。
  2. 請求項1に記載する醤油様調味料において、
    γ−バレロラクトンを10μg/mL以上100μg/mL以下含む
    ことを特徴とする醤油様調味料。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する醤油様調味料において、
    HDMF、マルトール及びカプロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする醤油様調味料。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する醤油様調味料において、
    塩分濃度は、4%以上16%以下である
    ことを特徴とする醤油様調味料。
  5. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する醤油様調味料において、
    塩分濃度は、4%以上8%以下である
    ことを特徴とする醤油様調味料。
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