JP6477315B2 - ホスフォレン膜の形成方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホスフォレン膜の形成方法及び半導体装置の製造方法に関する。
グラファイト等の層状物質は、基本の構成単位となる単位層(グラファイトの場合にはグラフェン)が層法線方向に規則的に積層した構造をとっている。層状物質の単位層が層状物質のバルクとは異なる物性を呈することがある。例えば、層状物質である黒燐の単位層は黒燐よりも大きなバンドギャップを有する。黒燐の単位層はホスフォレンとよばれる。複数のホスフォレンを積層した場合、その積層体に含まれるホスフォレンの数に応じて積層体のバンドギャップが変化する。ホスフォレンは直接遷移型の性質を示す。このため、トランジスタ、センサ、光デバイス、太陽電池等へのホスフォレンの応用が期待されている。
しかしながら、量産に適したホスフォレンを得ることは極めて困難である。例えば、黒燐のバルクの表層を機械的に剥離することでホスフォレンを得ることは可能であるが、大きさにばらつきが生じたり、剥離に起因する欠陥が生じたりしやすい。また、この方法では、1又は2以上のホスフォレンの単位層からなるホスフォレン膜を得ることができない。
特開昭63−190207号公報 特開2009−184861号公報 特開平10−335691号公報
ACS Nano, 8 (2014) 4033 J. Am. Chem. Soc., 36 (1914) 1344 Jpn. J. Appl. Phys. 28 (1989) 1019
本発明の目的は、安定性を向上することができるホスフォレン膜の形成方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
ホスフォレン膜の形成方法の一態様では、基板上方に燐がビスマスに固溶した固溶体膜を形成し、ビスマスの融点より高い温度で前記固溶体膜を加熱することにより、前記固溶体膜からホスフォレン膜を析出させる。ホスフォレン膜とは、1又は2以上のホスフォレンの単位層からなる膜をいう。
半導体装置の製造方法の一態様では、上記の方法によりホスフォレン膜を形成し、前記ホスフォレン膜を含む素子を形成する。
上記のホスフォレン膜の形成方法等によれば、ホスフォレン膜が析出により形成されるため、安定性を向上することができる。
第1の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第2の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第3の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第4の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第5の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第6の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第7の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第8の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 ホスフォレン膜の析出箇所の例を示す断面図である。 第9の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、ホスフォレン膜の形成方法の一例である。図1は、第1の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第1の実施形態では、先ず、図1(a)に示すように、基板11上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜13を形成する。次いで、図1(b)に示すように、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜13を加熱することにより、固溶体膜13からホスフォレン膜14を析出させる。
このようにしてホスフォレン膜14を形成することができる。
第1の実施形態は、触媒として機能するビスマスの融点が燐の融点よりも低いという性質を利用している。すなわち、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜13を加熱することにより、固溶体膜13からビスマスが脱離し、黒燐が膜状に析出し、結果的にホスフォレン膜14が析出する。そして、析出により得られるホスフォレン膜14の平面的な大きさは固溶体膜13の平面的な大きさにほぼ一致する。つまり、ホスフォレン膜14の平面的な大きさは安定している。また、ホスフォレン膜14に剥離に起因する欠陥が生じることはない。更に、固溶体膜13中の燐の濃度や加熱の時間により、ホスフォレン膜14に含まれるホスフォレンの層数を調整することができる。
このようにして形成したホスフォレン膜14は、そのまま基板11上方で用いてもよく、例えば転写部材を用いて他の基板上に移動させてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第2の実施形態では、先ず、図2(a)に示すように、基板21上方にビスマス膜22を形成する。基板21としては、絶縁性基板、金属基板、有機フィルム等の種々のものを用いることができる。例えば、SiO2膜が表面に形成されたSi基板、石英基板、アルミナ基板、サファイア基板、MgO基板、マイカ基板、ジルコニア基板、ダイヤモンド基板、SiC基板、SiN基板、GaN基板、AlN基板、CaO基板及びY23基板が挙げられる。Cu基板、Fe基板、Ni基板、Co基板、Au基板、Ag基板、Pt基板、Nb基板、Mo基板及びW基板も挙げられる。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム及びポリスチレン(PS)フィルムも挙げられる。これら絶縁性基板、金属基板又は有機フィルム上に他の膜が形成されたものを用いてもよい。ビスマス膜22は、例えば、蒸着法、化学気相成長(CVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法又はめっき法等の種々の方法により形成することができる。ビスマス膜22の厚さは特に限定されないが、1nm〜1mm程度とすることが望ましい。
次いで、図2(b)に示すように、ビスマス膜22に燐をイオン注入する。イオン注入する燐の量は、例えば、形成しようとするホスフォレン膜に含まれる燐の総量と同程度とする。燐のイオン注入は、燐イオンの濃度がビスマス膜22の面内で一様に分布するような条件下で行うことが望ましい。燐のイオン注入により、図2(c)に示すように、基板21上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜23が形成される。
その後、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、図2(d)に示すように、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。加熱の間にビスマスを触媒として固溶体膜中の燐原子同士が新たな結合を作ることでホスフォレンが形成され、ホスフォレン膜24が析出する。固溶体膜23の加熱を継続すると、固溶体膜23中のビスマスが消失し、図2(e)に示すように、ホスフォレン膜24が基板21に残存する。これは、ビスマスの融点がホスフォレンの融点よりも低く、ビスマスの蒸発が進行するからである。加熱時間は雰囲気に応じて調節することが望ましく、例えば1分間程度〜48時間程度とする。加熱の温度プロファイルは特に限定しない。例えば、加熱温度での1分間程度〜48時間程度の保持の後に急速に冷却してもよく、加熱温度から1分間程度〜48時間程度の時間を掛けて連続的又は段階的に温度を下げてもよい。ホスフォレン膜24の析出温度は特に限定せず、加熱中にホスフォレン膜24を析出させてもよく、冷却中にホスフォレン膜24を析出させてもよい。ホスフォレンの形成温度は、例えば、固溶体膜23中の燐原子の濃度及び外部圧力により調整することができる。
第2の実施形態においては、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは固溶体膜23の平面的な大きさにほぼ一致する。つまり、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは安定している。また、ホスフォレン膜24に剥離に起因する欠陥が生じることはない。更に、イオン注入した燐の量に応じた層数のホスフォレンからなるホスフォレン膜24が得られる。
このようにして形成したホスフォレン膜24は、そのまま基板21上方で用いてもよく、例えば転写部材を用いて他の基板上に移動させてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図3は、第3の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第3の実施形態では、先ず、図3(a)に示すように、第2の実施形態と同様にして、基板21上方にビスマス膜22を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、ビスマス膜22に燐をイオン注入する。イオン注入する燐の量は、例えば、形成しようとするホスフォレン膜に含まれる燐の総量よりも多くする。燐のイオン注入により、図3(c)に示すように、基板21上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜23が形成される。
その後、図3(d)に示すように、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。第3の実施形態では、ホスフォレン膜24に含まれるホスフォレンの層数が予定していたものになったところで固溶体膜23の加熱を停止する。
続いて、固溶体膜23を除去することにより、図3(e)に示すように、ホスフォレン膜24を基板21から分離する。
第3の実施形態においても、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは固溶体膜23の平面的な大きさにほぼ一致する。つまり、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは安定している。また、ホスフォレン膜24に剥離に起因する欠陥が生じることはない。更に、析出のための加熱の時間に応じた層数のホスフォレンからなるホスフォレン膜24が得られる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図4は、第4の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第4の実施形態では、先ず、図4(a)に示すように、基板21上方に燐膜25を形成する。燐膜25は、例えば、スパッタリング法又は蒸着法等の種々の方法により形成することができる。燐には、白燐、黄燐、赤燐、紫燐等の複数の同素体があるが、燐膜25に含まれる燐はいずれであってもよい。ビスマスへの固溶しやすさを考慮すると、白燐が用いられることが望ましい。白燐の燐膜25は、例えば、赤燐の加熱及び昇華により形成することができる。燐膜25の厚さは、例えば、それに含まれる燐の総量が、形成しようとするホスフォレン膜に含まれる燐の総量と同程度になる厚さとする。
次いで、図4(b)に示すように、燐膜25上にビスマス膜22を形成する。ビスマス膜22は、例えば、蒸着法、CVD法、MBE法、スパッタリング法又はめっき法等の種々の方法により形成することができる。ビスマス膜22の厚さは特に限定されないが、1nm程度〜1mm程度とすることが望ましい。
その後、燐膜25及びビスマス膜22を加熱して、図4(c)に示すように、燐膜25中の燐がビスマス膜22中のビスマスに固溶した固溶体膜23を形成する。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。燐原子が均一に固溶した固溶体膜23を形成するために、ビスマス原子の流動性を高めることが望ましく、そのために、加熱温度はビスマスの融点(約271℃)よりも高いことが望ましい。加熱時間は、例えば1分間程度〜48時間程度とする。この加熱は、燐がビスマス中に完全に固溶するまで継続して行うことが望ましい。
続いて、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、図4(d)に示すように、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。固溶体膜23の加熱を継続すると、固溶体膜23中のビスマスが消失し、図4(e)に示すように、ホスフォレン膜24が基板21に残存する。加熱時間は雰囲気に応じて調節することが望ましく、例えば1分間程度〜48時間程度とする。
第4の実施形態においても、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは固溶体膜23の平面的な大きさにほぼ一致する。つまり、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは安定している。また、ホスフォレン膜24に剥離に起因する欠陥が生じることはない。更に、燐膜25の厚さに応じた層数のホスフォレンからなるホスフォレン膜24が得られる。
このようにして形成したホスフォレン膜24は、そのまま基板21上方で用いてもよく、例えば転写部材を用いて他の基板上に移動させてもよい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図5は、第5の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第5の実施形態では、先ず、図5(a)に示すように、基板21上方に燐膜25を形成する。燐膜25の厚さは、例えば、それに含まれる燐の総量が、形成しようとするホスフォレン膜に含まれる燐の総量より多くなる厚さとする。燐膜25の厚さは、例えば、0.1nm程度〜1μm程度とする。
次いで、図5(b)に示すように、第4の実施形態と同様に、燐膜25上にビスマス膜22を形成する。
その後、燐膜25及びビスマス膜22を加熱して、図5(c)に示すように、燐膜25中の燐がビスマス膜22中のビスマスに固溶した固溶体膜23を形成する。
続いて、図5(d)に示すように、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。第5の実施形態では、ホスフォレン膜24に含まれるホスフォレンの層数が予定していたものになったところで固溶体膜23の加熱を停止する。
次いで、固溶体膜23を除去することにより、図5(e)に示すように、ホスフォレン膜24を基板21から分離する。
第5の実施形態においても、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは固溶体膜23の平面的な大きさにほぼ一致する。つまり、ホスフォレン膜24の平面的な大きさは安定している。また、ホスフォレン膜24に剥離に起因する欠陥が生じることはない。更に、析出のための加熱の時間に応じた層数のホスフォレンからなるホスフォレン膜24が得られる。
ホスフォレンは黒燐から構成され、黒燐は燐膜25の原料に好適な白燐とは同素体であり、これらの間の結晶構造が相違する。黒燐は、燐の同素体の中では最も物理的にも化学的にも安定しており、その融点は約610℃と高い。固溶温度及び析出温度は物質の化学的安定性に依存するため、一旦ビスマスの触媒作用でホスフォレンが形成されると、燐がビスマスに固溶する温度であっても、ホスフォレンの形成が継続され、ホスフォレン膜24が析出するようになる。従って、第4の実施形態、第5の実施形態において、燐膜25中の燐のビスマス膜22中のビスマスへの固溶とホスフォレン膜24の析出とが並行して生じてもよい。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、ホスフォレン膜の形成方法の一例である。図6は、第6の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第6の実施形態では、先ず、図6(a)に示すように、基板11上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜13を形成し、固溶体膜13上にキャップ層16を形成する。次いで、図6(b)に示すように、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜13を加熱することにより、固溶体膜13からホスフォレン膜14を析出させる。
このようにしてホスフォレン膜14を形成することができる。
第6の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、加熱により固溶体膜13からビスマスが脱離する。但し、固溶体膜13上にキャップ層16が形成されているため、ビスマスは固溶体膜13の上面からは脱離せず、固溶体膜13の側面から脱離する。従って、固溶体膜13の組成の時間に対する変化が緩やかになる。一方、固溶体膜13の組成が急速に変化すると、十分にホスフォレン膜14が形成される前に触媒であるビスマスが枯渇したり、ホスフォレンの結晶核が生成しやすくなってホスフォレン膜14の結晶性が低下したりする。このため、本実施形態によれば、固溶体膜13の組成の時間変化を緩やかにして、より良質なホスフォレン膜14を形成することが可能となる。また、キャップ層16をホスフォレン膜14の保護膜又は転写部材として用いることもできる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、ホスフォレン膜の形成方法の一例である。図7は、第7の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第7の実施形態では、先ず、図7(a)に示すように、第2又は第4の実施形態と同様にして、基板21上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜23を形成する。次いで、固溶体膜23上にキャップ層26を形成する。キャップ層26としては、例えば、ホスフォレン膜を析出させる加熱の際にビスマス又はホスフォレンとの化学反応又は合金化が生じず、この加熱で変性しないものを用いることが望ましい。このような材料としては、SiO2、Al23、HfO2、MgO、ジルコニア、カーボン、SiC、SiN、GaN、AlN、CaO及びY23等の絶縁体が挙げられる。Au、Pt、Ag、Mo、W、Pd、Fe、Ni及びCo等の金属も挙げられる。キャップ層26は、例えば、蒸着法、CVD法、MBE法又はスパッタリング法等の種々の方法により形成することができる。キャップ層26の厚さは特に限定されないが、1nm程度〜1mm程度とすることが望ましい。
その後、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、図7(b)に示すように、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。固溶体膜23の加熱を継続すると、固溶体膜23中のビスマスが消失し、図7(c)に示すように、ホスフォレン膜24が基板21に残存する。加熱時間は雰囲気に応じて調節することが望ましく、例えば1分間程度〜48時間程度とする。
第7の実施形態によれば、第2又は第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第6の実施形態と同様に、固溶体膜23の組成の時間変化を緩やかにして、より良質なホスフォレン膜24を形成することが可能となる。また、キャップ層26をホスフォレン膜24の保護膜又は転写部材として用いることもできる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。第8の実施形態は、ホスフォレン膜の形成方法の一例である。図8は、第8の実施形態に係るホスフォレン膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第8の実施形態では、先ず、図8(a)に示すように、第3又は第5の実施形態と同様にして、基板21上方に、燐がビスマスに固溶した固溶体膜23を形成する。次いで、第7の実施形態と同様にして、固溶体膜23上にキャップ層26を形成する。
その後、ビスマスの融点より高い温度で固溶体膜23を加熱することにより、図8(b)に示すように、固溶体膜23からホスフォレン膜24を析出させる。加熱温度は、例えば300℃程度〜600℃程度とする。この加熱は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。第7の実施形態では、ホスフォレン膜24に含まれるホスフォレンの層数が予定していたものになったところで固溶体膜23の加熱を停止する。
続いて、固溶体膜23を除去することにより、図8(c)に示すように、ホスフォレン膜24を基板21から分離する。
第8の実施形態によれば、第3又は第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第6の実施形態と同様に、固溶体膜23の組成の時間変化を緩やかにして、より良質なホスフォレン膜24を形成することが可能となる。また、キャップ層26をホスフォレン膜24の保護膜又は転写部材として用いることもできる。
なお、ホスフォレン膜が析出し始める箇所は固溶体膜の上面に限らない。例えば、図9(a)に示すように、ホスフォレン膜24が基板21と固溶体膜23との間に析出してもよく、図9(b)に示すように、固溶体膜23の上面及び基板21と固溶体膜23との間の両方に析出してもよい。
ビスマスは容易に酸素と反応して酸化物を形成する。このため、ビスマス膜は、真空中又は不活性ガス中等の酸素を含まない雰囲気で形成することが望ましい。また、固溶体膜の形成からホスフォレン膜の析出までの処理も、酸素を含まない雰囲気で行うことが望ましい。ビスマス膜の表面が酸化した場合は、塩酸、硝酸及び酢酸等のエッチング溶液を用いて、表面に形成された酸化膜を除去することが望ましい。
白燐は大気中で自然発火し消失する虞がある。このため、燐膜を用いる場合は、燐膜の形成からビスマス膜の形成までの処理も、真空中又は不活性ガス中等の酸素を含まない雰囲気で形成することが望ましい。ビスマス膜を燐膜より先に形成してもよい。ビスマス膜を燐膜より先に形成する場合、ビスマス膜の形成からホスフォレン膜の析出までの処理も、酸素を含まない雰囲気で行うことが望ましい。
燐をビスマス膜にイオン注入する場合、ビスマス膜中での燐イオン濃度の空間分布が加速電圧の影響するため、加速電圧はビスマス膜の厚さ及び基板の種類に応じて適宜調整することが望ましい。本願発明者によるシミュレーションによれば、サファイア基板上の厚さが200nmのビスマス膜中に1.0原子%の燐をイオン注入する場合、トータル注入量を1.0×1016cm-2、加速電圧を120keVとすると、ビスマス膜の厚さ方向の中心近傍で燐の濃度が最大となる結果が得られた。1.0原子%の燐は3層〜4層のホスフォレンに相当し、これに相当する燐イオンの量は5.6×1015cm-2である。トータル注入量を、5.6×1015cm-2より大きな1.0×1016cm-2としたときに厚さ方向の中心近傍で濃度が最大となったのは、ビスマス膜の表面で反射されるイオン及びサファイア基板の内部に侵入するイオンも存在するからであると考えられる。
固溶体膜が残存した状態でホスフォレン膜を析出させる加熱を停止する場合、予め加熱時間とホスフォレン膜を構成するホスフォレンの層数との関係を取得しておき、加熱開始からの経過時間に基づいて加熱を停止してもよい。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について説明する。第9の実施形態は、ホスフォレン膜を含む素子として電界効果トランジスタを備えた半導体装置の製造方法の一例である。図10は、第9の実施形態に係る半導体装置の製造方法を断面図である。
第9の実施形態では、先ず、表面が絶縁性の基板31上にホスフォレン膜34を形成する。ホスフォレン膜34としては、第1〜第8の実施形態のいずれかにより形成したものを用いる。例えば、ホスフォレン膜34は転写法により基板31上に形成することができる。次いで、ホスフォレン膜34上にゲート電極37、ソース電極38及びドレイン電極39を形成する。
このようにして、電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造することができる。この電界効果トランジスタでは、ホスフォレン膜34がチャネルとして機能する。
ホスフォレン膜を含む素子は電界効果トランジスタに限定されない。ホスフォレン膜を含む素子は、例えばセンサ、光デバイス、太陽電池等に用いることができる。特に、ホスフォレン膜が有する高い光透過性及び柔軟性を発揮し得る透明導電膜、フレキシブルデバイス等の用途に好適である。そして、用途に応じてホスフォレン膜に含まれるホスフォレンの層数を選択することが望ましい。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
基板上方に燐がビスマスに固溶した固溶体膜を形成する工程と、
ビスマスの融点より高い温度で前記固溶体膜を加熱することにより、前記固溶体膜からホスフォレン膜を析出させる工程と、
を有することを特徴とするホスフォレン膜の形成方法。
(付記2)
前記固溶体膜を形成する工程は、
前記基板上方にビスマス膜を形成する工程と、
前記ビスマス膜に燐を導入する工程と、
を有することを特徴とする付記1に記載のホスフォレン膜の形成方法。
(付記3)
前記固溶体膜を形成する工程は、
前記基板上方に燐膜及びビスマス膜を形成する工程と、
加熱により前記燐膜中の燐を前記ビスマス膜中のビスマスに固溶させる工程と、
を有することを特徴とする付記1に記載のホスフォレン膜の形成方法。
(付記4)
前記燐膜として白燐の膜を形成することを特徴とする付記3に記載のホスフォレン膜の形成方法。
(付記5)
前記固溶体膜を加熱する工程の前に、前記固溶体膜の上面を覆うキャップ層を形成する工程を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のホスフォレン膜の形成方法。
(付記6)
前記固溶体膜を加熱する温度を300℃〜600℃とすることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載のホスフォレン膜の形成方法。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の方法によりホスフォレン膜を形成する工程と、
前記ホスフォレン膜を含む素子を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
11、21、31:基板
13、23:固溶体膜
14、24、34:ホスフォレン膜
16、26:キャップ層
22:ビスマス膜
25:燐膜

Claims (5)

  1. 基板上方に燐がビスマスに固溶した固溶体膜を形成する工程と、
    ビスマスの融点より高い温度で前記固溶体膜を加熱することにより、前記固溶体膜からホスフォレン膜を析出させる工程と、
    を有することを特徴とするホスフォレン膜の形成方法。
  2. 前記固溶体膜を形成する工程は、
    前記基板上方にビスマス膜を形成する工程と、
    前記ビスマス膜に燐を導入する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のホスフォレン膜の形成方法。
  3. 前記固溶体膜を形成する工程は、
    前記基板上方に燐膜及びビスマス膜を形成する工程と、
    加熱により前記燐膜中の燐を前記ビスマス膜中のビスマスに固溶させる工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のホスフォレン膜の形成方法。
  4. 前記固溶体膜を加熱する工程の前に、前記固溶体膜の上面を覆うキャップ層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホスフォレン膜の形成方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法によりホスフォレン膜を形成する工程と、
    前記ホスフォレン膜を含む素子を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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