以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示しているように、混注装置1は、供給部200と本体部300とから成る。上記供給部200には、扉201および作業テーブル202等が設けられている。上記作業テーブル202上にはディスプレイ203やバーコードリーダ204などが配置される。また、上記供給部200は、空気清浄装置206等を有するクリーンベンチとなっている。上記作業テーブル202上に置かれた調整コンテナ101には、患者ごと又は施用ごとに注射器11、薬剤容器10、樹脂製薬液容器100、輸液バッグ12などが例えば人の作業によってセットされる。上記供給部200と上記本体部300は連通開口114によって連通されており、この連通開口114によって上記調整コンテナ101を上記本体部300内に入れることができる。なお、上記供給部200は自動的に上記調整コンテナ101を上記本体部300内に搬入するものでもよい。
本体部300の正面側外壁には、主扉301、注射器取出扉302、ゴミ収容室扉13、タッチパネルモニタ14、調整コンテナ取り出し扉15などが設けられている。
上記主扉301を開けることで混注処理室104内に利用者は手を入れることが可能になる。上記混注処理室104内には、図2および図3に示すように、アンプルカッター31、撹拌装置32、仮置き棚33、薬品バーコードリーダ34、秤量計35、針曲がり検知部36、混注連通口37、針挿入確認透明窓38、ゴミ蓋132aなどが設けられている。なお、上記仮置き棚33は、薬剤用仮置き台と注射器用仮置き台とに分かれていてもよい。上記薬剤用仮置き台には、生理食塩水等の薬液が入れられている樹脂製薬液容器100(図6参照)を仮置くようにしてもよい。また、上記薬剤用仮置き台の近傍に薬剤重量計351を設けておいてもよい。
また、上記混注処理室104の天井側には、図4にも示すように、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42、注射針着脱装置43、針挿入確認カメラ44、殺菌灯45などが設けられている。
また、上記混注処理室104には、多関節構造の第1ロボットアーム21および第2ロボットアーム22が上記天井側に基端部を固定して垂下状に設けられている。上記第1ロボットアーム21は上記第2ロボットアーム22に比べて上記供給部200に近い位置に配置されており、上記第2ロボットアーム22は上記第1ロボットアーム21に比べて上記混注連通口37に近い位置に配置されている。
また、図3および図4において上記混注処理室104の左側空間に位置するコンテナ搬送終端部110aの上方には、当該コンテナ搬送終端部110aへと搬送された上記輸液バッグ12を照明するドーム型ライト120が設けられている。このドーム型ライト120内の中心部には上記輸液バッグ12の表面に付されているバーコードを読み取るカメラ121が設けられている。なお、上記輸液バッグ12のどこにバーコードが存在するかについては、処方内容情報で指定されている輸液バッグの情報とマスターテーブル(薬品等データベース)のデータとを照合することで判断することができる。
図5に示すように、上記調整コンテナ101内には、例えば、上記薬剤容器10および注射器11が載置される薬剤用トレイ102(図8、図10参照)と、上記輸液バッグ12が保持される上記輸液バッグ保持部103とがセパレートされて各々可動に設けられている。なお、上記薬剤容器10がアンプルである場合、このアンプルは上記薬剤用トレイ102で寝かせずに指定位置で斜めに立てられた状態でセットされる。上記樹脂製薬液容器100も同様にセットしてもよい。このようにアンプルや樹脂製薬液容器100がセットされると、アンプルや樹脂製薬液容器の首部に薬剤が溜まるのが防止される。また、上記アンプルや樹脂製薬液容器100の他、注射針も指定位置に置かれる。もちろん、このような配置形態は例示であり、これに限定されるものではない。
また、各調整コンテナ101に貼付された電子ペーパータグ101aに患者名と施用などが文字表示される。また、各調整コンテナ101には、混注装置1のコントローラ500(図9参照)が各種情報を認識するためのICタグ(例えば、RFID:Radio Frequency Identification)が設けられる。上記コントローラ500は、上記ICタグの情報を図示しない読み取り部よって読み取り、これから開始する混注処理の内容を認識する。例えば、上記コントローラ500は、上記の読み取られたICタグの情報により特定される、患者情報、医師情報、混注動作プログラム、処方内容情報(混注処理に使用する薬剤、注射器、注射針の種類や本数等)、調整手順情報(溶解元/溶解先薬品、作業内容、容量/溶解量、抜取量)を図示しない記憶部から読み出す。上記混注動作プログラムは、上記薬剤容器10の種類によって異なる場合もあり(例えば、粉状薬剤入りバイアル瓶とアンプルのどちらを用いるか)、また、使用する薬剤容器10の本数により所定動作の繰り返し回数が決まることになる。
上記輸液バッグ保持部103には、上記輸液バッグ12の混注口(首部)を固定するチャック部140が設けられている。また、上記輸液バッグ保持部103には2個の係合部103aが上記調整コンテナ101の縁からはみ出して設けられている。
また、図6(A)に示すように、上記樹脂製薬液容器100は、柔軟な胴体部100aと、上記胴体部100aよりも硬い硬質首部(硬質部)100bと、この硬質首部100bの上部に形成された開口部100cと、上記開口部100cを塞ぎ当該開口部100cから離脱可能に形成された栓部100dと、上記栓部100dに形成された掴み片部100eと、上記胴体部100aの中心軸を通る一の面内で上記胴体部100aおよび上記硬質首部100bの外壁面に沿って2箇所に形成されたリブ部100fと、を有する。上記掴み片部100eも上記一の面内に形成される。以下、上記一の面をリブ形成面という。上記樹脂製薬液容器100は、例えば光を透過する透明な樹脂材料で作製される。
また、上記樹脂製薬液容器100の上記胴体部100aには、例えば光を透過しない素材からなるラベル100gが貼付されている。上記ラベル100gには、内容物、容量、使用期限の情報の他、これらの情報を含むバーコード100hが印刷されている。上記バーコード100hと上記リブ部100fの位置関係については、処方箋データで指定されている樹脂製薬液容器100の情報とマスターテーブル(薬品等データベース)のデータとを照合することで判断することができる。また、上記樹脂製薬液容器100における上記硬質首部100bおよび掴み片部100eの高さ位置等も、処方箋データで指定されている樹脂製薬液容器100の情報とマスターテーブル(薬品等データベース)のデータとを照合することで判断することができる。
図6(B)には他の形態の樹脂製薬液容器100が示されている。この図の樹脂製薬液容器100では、上記硬質首部100bの外壁面に形成される上記リブ部100fが、上記掴み片部100eと同じ幅で形成されている。このリブ部100fは上記掴み片部100eと分離状態に形成されている。
図7に示すように、複数の樹脂製薬液容器100は上記リブ部100fによって互いに連結された状態で利用者に提供され、利用者は樹脂製薬液容器100を分離して用いることができる。製造元で上記連結状態の各樹脂製薬液容器100にラベル100gを貼る場合には、上記ラベル100gを上記胴体部100aの中央側に上記リブ形成面に対して直交する方向から貼るため、上記ラベル100gの中央或いは縁と上記リブ部100fとの位置関係が略一定になる。
図8に示しているように、上記連通開口114を用いて上記調整コンテナ101を上記本体部300のコンテナ搬送部110に移動することができる。上記コンテナ搬送部110内は上記混注処理室104内よりも陽圧に設定されている。また、上記コンテナ搬送部110は、上記調整コンテナ101を上記混注処理室104の下方であって上記ゴミ蓋132aの下に位置するゴミ収容室13aの後方側を搬送するように設けられている。これにより、混注装置の正面側から上記ゴミ収容室13aにアクセスすることができる。図8では、上記コンテナ搬送部110の搬送経路を示すために、上記コンテナ搬送部110内を移動する上記調整コンテナ101を二点鎖線で示している。上記コンテナ搬送部110内に同時に複数の上記調整コンテナ101が存在するわけではない。なお、上記調整コンテナ101を本体部300の奥側で左側側壁まで搬送する一方、輸液バッグ昇降傾斜部113の下部側を上記調整コンテナ101が通過できるように構成するようにしてもよい。
上記コンテナ搬送部110は、上記調整コンテナ101を、上記第2ロボットアーム22よりも上記第1ロボットアーム21に近い位置から上記第1ロボットアーム21よりも上記第2ロボットアーム22に近い位置へと搬送する。上記調整コンテナ101が上記第1ロボットアーム21の近い位置にあるときに、上記第1ロボットアーム21によって上記薬剤容器10および注射器11等が掴み上げられて上記混注処理室104の上記仮置き棚33に仮置きされる。また、上記調整コンテナ101が上記第2ロボットアーム22の近い位置に搬送されたときに、上記調整コンテナ101の上記輸液バッグ保持部103で保持されている上記輸液バッグ12の混注口を上記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる動作が行われる。
図9に示しているように、上記第1、第2ロボットアーム21、22はコントローラ(コンピュータ)500によって制御される。また、上記コントローラ500は、上記調整コンテナ101が上記連通開口114を通って上記コンテナ搬送部110内の所定位置に達したことを、例えばセンサの出力に基づいて判断すると、上記コンテナ搬送部110と上記混注処理室104とを連通および遮蔽させるシャッター111を水平方向にスライドさせる。上記シャッター111が開けられると、上記薬剤用トレイ102が上記混注処理室104内に露呈される。図8では、上記薬剤用トレイ102が上記混注処理室104内に露呈された状態を示している。上記トレイ確認カメラ41は上記薬剤用トレイ102上の注射器11等を撮像する。上記コントローラ500は上記トレイ確認カメラ41の撮像画像を用いて画像認識処理を実行し、処方内容で指定されている数の注射器11や薬剤容器10が上記薬剤用トレイ102上に存在しているかどうか等の判断を行う。また、上記コントローラ500は上記薬品バーコードリーダ34を制御する。
図10に示しているように、上記コンテナ搬送部110には、上記連通開口114を通って上記コンテナ搬送部110内に移動された上記調整コンテナ101における上記薬剤用トレイ102を昇降させるトレイ昇降部112が設けられている。このトレイ昇降部112は例えば4本の昇降可能に設けられたシャフト112aによって上記薬剤用トレイ102を下から持ち上げる。なお、上記調整コンテナ101の下面には上記4本のシャフト112aが通る貫通孔が形成されている。上記コントローラ500は、上記トレイ昇降部112によって上記薬剤用トレイ102を上昇させた後、上記トレイ確認カメラ41による撮像を行う。
上記コントローラ500は、上記第1ロボットアーム21および上記第2ロボットアーム22を制御し、上記混注処理室104内に露呈された上記薬剤用トレイ102上の注射器11等を上記第1ロボットアーム21で掴み、この注射器11を上記第2ロボットアーム22に渡す動作、上記混注処理室104内の仮置き棚33に一旦置く動作などを実行する。なお、上記コントローラ500は、バラ入れされた上記バイアル瓶と注射器の位置や向きを上記トレイ確認カメラ41の撮像画像に対する画像認識処理により把握し、上記第1ロボットアーム21を制御する。また、上記コントローラ500は、上記薬剤用トレイ102上の全ての物品が取り出されたかどうかを上記画像認識処理により行う。なお、先にも少し述べたが、上記コントローラ500は、処方内容情報に示される薬剤、注射器、注射針のそれぞれ本数又は合計本数だけ、薬剤、注射器、注射針が薬剤用トレイ102内に存在しているか否かを、トレイ確認カメラ41で撮像した画像に基づいて判断してもよい。存在していない場合、その旨をタッチパネルモニタ14に表示してもよい。また、第1ロボットアーム21で、薬剤用トレイ102内の注射器11等を取り出す前において、シャッター111が開くと、トレイ確認カメラ41で薬剤用トレイ102を撮影し、このような判断を行うことで、早期に、薬剤、注射器、注射針の不足を報知することができる。
上記コントローラ500は、上記薬剤用トレイ102から全ての薬剤容器10等を上記混注処理室104内に入れた後、上記トレイ昇降部112のシャフト112aを降下させる動作、上記シャッター111を閉める動作、上記調整コンテナ101を上記第2ロボットアーム22に近い位置へと搬送する動作を行う。ここで、この混注装置1では、上記第1ロボットアーム21が上記薬剤用トレイ102上の薬剤容器10等を掴んで上記混注処理室104内に入れるため、上記薬剤用トレイ102は上記調整コンテナ101内に残り、上記薬剤用トレイ102を繰り返し使用することができる。
上記コンテナ搬送部110内であって上記第2ロボットアーム22に近い位置にある上記コンテナ搬送終端部110aには、図10に示したように、輸液バッグ昇降傾斜部113が設けられている。なお、上記輸液バッグ昇降傾斜部113は1台であるが、図10では降下状態の輸液バッグ昇降傾斜部113と上昇状態の輸液バッグ昇降傾斜部113と示している。
上記コントローラ500は、上記調整コンテナ101を上記輸液バッグ昇降傾斜部113の前まで搬送させた後、上記輸液バッグ昇降傾斜部113のフック部113aを上記係合部103aに下から引っかけて、上記輸液バッグ保持部103を上昇させ、上記輸液バッグ12の混注口を上記混注連通口37に位置させる。上記混注連通口37は上記混注処理室104の側壁における外側に突出するドーム状箇所に形成されており且つ上記ドーム状箇所には上下方向に上記混注口を通すための切欠きが形成されているので、上記輸液バッグ保持部103を上昇させることで上記輸液バッグ12の混注口が上記混注処理室104内に位置する。なお、上記混注連通口37にシャッターを設けている場合には、このシャッターを開ける動作を行っておく。
上記輸液バッグ昇降傾斜部113には回動可能に設けられた扇形状部の円弧ギヤ部113bが形成されており、この円弧ギヤ部113bにはモーター113cにより駆動されるギヤが歯合している。上記モーター113cの駆動により、上記輸液バッグ昇降傾斜部113は、上記輸液バッグ保持部103を傾斜させて上記輸液バッグ12の混注口を上向きまたは下向きにすることができる。
ここで、上記コントローラ500は、上記輸液バッグ12の混注口から注射針を抜くときには、上記混注口を斜め上に向けるように上記輸液バッグ昇降傾斜部113を制御する。このように上記混注口を斜め上に向けると、注射針を抜いたときに上記輸液バッグ12の混注口から液漏れが生じるのを防止できる。また、上記コントローラ500は、上記輸液バッグ12の混注口から注射針を入れて薬液や生理食塩水等を輸液バッグ12に注入するときには、上記混注口を斜め下に向けるように上記輸液バッグ昇降傾斜部113を制御する。このように上記混注口を斜め下に向けると、注入時の泡立ちを防止し、混合も促進できる。
また、仮に、上記混注連通口37を上記混注処理室104の底面に設けた場合、上記注射針11cなどから飛び散った薬液が上記混注処理室104内に付きやすい。また、輸液バッグ12の混注口が上に向くと液層が下がり、液面高さが輸液バッグ毎に異なることから、大きな輸液バッグにおける液層内に注射針を入れるためには長い注射針11cを用いる必要等が生じる。これに対し、上記混注連通口37が上記混注処理室104の側壁に設けられているので、上記のような問題は生じない。なお、上記混注連通口37を上記混注処理室104の横の側壁ではなく、奥の側壁に設けてもよい。
図4等に示したように、第1ロボットアーム21は薬剤容器10を保持する容器保持部25を備えている。また、第2ロボットアーム22は、注射器11を保持し、当該注射器11による薬液の吸引および注入を行う注射器操作部26を備えている。
図11に示すように、上記容器保持部25は、一対の把持爪25a、モーター251、上記モーター251によって回転される2本のねじシャフト252、253、各ねじシャフト252、253に螺合されたナットブロック254、255を備える。上記一対の把持爪25aは上記ナットブロック254、255にそれぞれ固定されている。そして、上記ねじシャフト252、253の回転によって上記ナットブロック254、255が移動し、上記一対の把持爪25aが同一面(以下、爪動作面という。)内で相互に近接離間して上記薬剤容器10を把持する。以下、上記一対の把持爪25aの上記近接離間方向を把持移動方向という。
また、一対の把持爪25aはバイアル瓶の保持に適した凹部を有するとともに、先端側にはアンプルの保持に適した凹部を有する。なお、図11では、バイアル瓶とアンプルの両方が保持されている様子を示しているが、実際には、上記一対の把持爪25aは、いずれか1個の薬剤容器10を把持する。また、上記一対の把持爪25aは、その先端側の凹状の部分で、上記樹脂製薬液容器100の上記胴体部100aや硬質首部100bを把持することができる、上記先端側の把持面に小さな凹凸を形成しておくと、上記硬質首部100b等を把持したときに、滑りを生じ難くすることができる。
図12および図13に示すように、上記注射器操作部26は、注射器保持部261とプランジャ保持部262と移動部263とを備える。上記注射器保持部261は、注射器11のシリンダ部11aを保持する一対の把持爪261aを備えている。上記一対の把持爪261aは、上記容器保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、互いに近接離間して上記注射器11のシリンダ部11aを保持する。また、上記一対の把持爪261aにおいては、互いに対向する対向面に、把持爪上端面から上記対向面へ向けて下り傾斜する傾斜部261bが形成されている。
上記プランジャ保持部262は、注射器11のプランジャ11bの鍔部を保持する一対の把持爪262aを備えている。上記一対の把持爪262aは、上記容器保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、互いに近接離間して上記注射器11のプランジャ11bの鍔部を保持する。各把持爪262aの上面には別把持爪262bが固定されている。これにより、上記一対の把持爪262aを近接離間させることで上記一対の別把持爪(一対の爪)262bも近接離間し、薬品等の他の物品を把持することができる。
また、上記一対の別把持爪262bを用いて、上記樹脂製薬液容器100の掴み片部100eを掴むことができる。なお、上記一対の把持爪262aの対向側の上面には上記プランジャの鍔部が入り込むための凹部が形成されている。また、上記一対の別把持爪262bの先端は上記一対の把持爪262aよりも前方に突き出ていることで物品把持が行いやすくなっている。上記別把持爪262bは上記把持爪261aに設けられもよい。
上記移動部263は上記プランジャ保持部262を上記注射器11のプランジャ11bの移動方向に移動させる。この移動には、例えば、モーター、上記モーターによって回転されるねじシャフト、上記ねじシャフトに螺合されたナットブロック、ガイド等を備える。上記プランジャ保持部262は、上記ナットブロックに固定されており、このナットブロックの移動によって移動する。
この実施形態では、上記第2ロボットアーム22によって、上記注射器11の注射針11cを上記第1ロボットアーム21の上記容器保持部25により保持されている上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100の開口部に差し込む動作および上記注射器11の注射針11cを上記輸液バッグ12の混注口に差し込む動作が実行される。
また、上記第1ロボットアーム21は、上記容器保持部25によって把持している上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100を立てて上記露呈された開口部を上方に向けることができる。また、上記第2ロボットアーム22は、上記注射器操作部26によって把持している上記注射器11を立ててその注射針11cを下方に向けることができる。そして、このようにした状態で薬剤容器10と注射器11を互いに近づけ、注射器11の注射針11cを薬剤容器10または樹脂製薬液容器100の上記開口部に差し込む。なお、上記薬剤容器10がゴムキャップ付きのバイアル瓶である場合には、上記ゴムキャップに対して注射針11cを真っ直ぐに差し込むようにする。
上記第1ロボットアーム21および上記第2ロボットアーム22は、上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100内の薬液を注射器11内に吸い取るときに、上記薬剤容器10および注射器11の姿勢を斜めにする。なお、上記薬剤容器10としてアンプルを用いる場合、および樹脂製薬液容器100を用いる場合においては、上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100からある程度の液薬を吸い上げ、その後に上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100を垂直方向を基準に100度程度傾斜させて上記開口部の側(首部または肩部)に薬液を移動させた状態を形成することにより、注射器11の注射針11cの先端を上記薬剤容器10または樹脂製薬液容器100の底に着けないで薬液を極力残さずに吸い上げることが可能になる。
上記薬剤容器10であるバイアル瓶の姿勢を斜めにして注射器11内の薬液が上記バイアル瓶の内壁に垂れるようにすると、薬液の泡立ちを防止できる。泡立ちが許可される薬液であれば、上記バイアル瓶を立てて注射器11内の薬液が上記バイアル瓶の底に滴下させてもよい。また、口を下向きにしたバイアル瓶内の薬液内に針先を位置させて空気を注入すると、泡立ちが起こるので、針先は薬液よりも上に位置させるのがよい。泡立ちが許可される薬液であれば、上記薬液内に針先を位置させて空気を注入してもよい。泡立ちが許可される薬液かどうかについては、処方内容情報とマスターテーブルの情報とを照合して判断することができる。
また、バイアル瓶から薬液を注射器11に吸引する場合、薬液の吸引と、バイアル瓶への空気の注入とを繰り返す。注射針11c内に薬液があると、バイアル瓶への空気の注入の際に、注射針11c内の薬液が空気と共にバイアル瓶内に飛び出す。これを防止するために、注射針11c内の容積分だけ空気中でプランジャ11bを引いて、注射針11c内の薬液をシリンダ部11a内に入れる。これにより、注射針内に薬液が無くなり、薬液がバイアル瓶内に飛び出すのを防止できる。
シリンダ部11a毎に基本速度(プランジャ引き速度)を割り当てるようにしてもよい。例えば、18種類の注射器にその内径に応じた18種類の基本速度を設定しておく。そして、上記移動部263による実際のプランジャ引き速度は、使用する注射器の基本速度に、使用する注射針に基づく速度倍率を乗算して求めるようにする。使用する注射針の速度倍率は、針内径などの相違により、例えば、1.0と0.8の2種類が用意される。速度倍率は、注射針の内径が大きいほど大きい。内径が大きければ、注射針から注射器に流入する薬の量が多く、ピストンを速く引っ張っても、引っ張った体積分のみ薬が流入し真空(負圧)が生じないためである。真空(負圧)が生じると、注射器、注射針との隙間、ピストンと注射器の内壁との間から空気が流入し、流入した空気の体積分だけ、薬の流入する量が減って、規定量の薬が入らないという問題が起こる。上記のように針内径の相違で速度倍率を設定しておくと、使用する注射器11に対してプランジャ引き速度が過剰速度となる場合に生じる上記真空問題を防止することができる。
また、上記移動部263の移動速度を、その駆動モーターに生じるトルクが所定の閾値以内である場合には継続し、上記トルクが上記閾値を越えたときに例えば移動速度を半分またはゼロにし、上記トルクが上記閾値を下回ったときに元の速度に戻るようにしてもよい。これによれば、基本速度と速度倍率に基づいて移動速度を制御しなくてすむ。また、注射針の径が同じであっても、用いる薬液の粘性が高いと、注射器内に流入する薬液の速度は低くなる。基本速度と速度倍率に基づいて移動速度を制御する場合、粘性が高いときには、真空(負圧)が発生するが、上記トルクに基づく方法であれば、粘性が高い薬液でも真空(負圧)が発生せず、薬液ごとの粘性データを持たなくても真空(負圧)が発生しない。
図14(A)に示すように、バイアル瓶のゴムキャップ10aの針挿通箇所が倒立状態で下側に凹をなし且つ下側となる面が曲面窪み形状ある場合、バイアル瓶内の液体が上記曲面窪み内に溜まりやすいので、液体の全てを注射針11cで吸い取ることが可能である。一方、図14(B)に示すように、バイアル瓶のゴムキャップ10bの針挿通箇所が倒立状態で下側に凹をなし且つ下側となる面がフラット面である場合、バイアル瓶内の液体が上記フラット面の隅に溜まりやすいので、液体の全てを注射針11cで吸い取ることが困難となる。
上記ゴムキャップ10bを有するバイアル瓶から液体を吸い取るときには、単位時間当たりの吸い取り量を、上記ゴムキャップ10aの場合よりも少なくする。例えば、上記ゴムキャップ10aを有するバイアル瓶に対する注射器11の速度(プランジャ引き速度)を1.0とするのであれば、上記ゴムキャップ10bを有するバイアル瓶に対する注射器11の速度を0.5倍に下げる。バイアル瓶内の液体がゆっくりと吸い取られる場合には、液体の表面張力による液溜まりが途切れ難くなり、液溜まりの全体を注射針11cで吸い取ることができる。上記ゴムキャップ10aを有するバイアル瓶であるか、上記ゴムキャップ10bを有するバイアル瓶であるかは、処方箋データで指定されている薬剤容器10の情報とマスターテーブル(薬品等データベース)のデータとを照合することで判断することができる。
図15および図16に示したように、上記ゴミ収容室扉13を開けると、ゴミ収容室13aに手を入れることができる。上記ゴミ収容室13a内にはゴミ箱131を置くことができる。また、上記ゴミ収容室13aの天井部には、上記混注処理室104内と上記ゴミ収容室13aとを連通するゴミ用連通筒132が設けられている。上記ゴミ箱131内にゴミ袋135をセットし、このゴミ袋135の口を上記ゴミ用連通筒132の下部に例えば面ファスナーを用いて接続固定することができる。上記ゴミ用連通筒132の上部は、蝶番で開閉する密閉ゴミ蓋132aが設けられている。
上記密閉ゴミ蓋132aは、閉状態を保持するロック機構を解除する電磁ソレノイドなどのアクチュエータを備える。上記ロック機構が解除されると、図示しないバネによって密閉ゴミ蓋132aが開く。上記コントローラ500は、上記ロボットアーム21、22を制御して、注射器11などの廃棄物を上記ゴミ用連通筒132の上端開口から上記ゴミ箱131内に落下させることができる。
上記本体部300には、上記混注処理室104内の空気を当該混注処理室104の側壁の下部に形成されたスリット104bから吸引し、図17に示すダクト150、151、152、153およびフィルター付き排気ファン154から排出する排気システムが設けられている。また、外気を清浄にして上記混注処理室104等に導く給気システムも設けられている。この給気システムの供給口は上記混注処理室104の天井部に形成されている。
上記ゴミ収容室13aの奥壁には、排気経路134が接続されている。この排気経路134は、上記ダクト152に接続されている。このため、上記ゴミ収容室13a内の使用済みアンプルなどから発生したガスが外部に出るのを防止することができる。
上記ゴミ用連通筒132の側面には、排気経路133が接続されている。この排気経路133は、上記ダクト151に接続されている。このため、上記ゴミ袋135内の使用済みアンプルなどから発生したガスが外部に出るのを防止することができる。
また、上記密閉ゴミ蓋132aを開けて使用済みアンプルなどを捨てる際、或いは捨てる少し前、或いは混注処理中において常時、上記排気経路133で空気吸引を行い、上記ゴミ用連通筒132にセットした上記ゴミ袋135を萎ませるようにしてもよい。このように、上記ゴミ袋135を萎ませると、上記密閉ゴミ蓋132aから落下された使用済みバイアル瓶などは上記ゴミ袋135によって落下を止められ、直接的に上記ゴミ箱131の底に落ちることが避けられる。或いは、使用済みバイアル瓶などは上記ゴミ袋135によって落下速度が緩められ、上記ゴミ箱131の底にゆっくり落ちる。このため、捨てられた薬剤容器10同士が当たって割れるといった事態を抑制することができる。バイアル瓶が割れると、抗癌剤が漏れ出て被曝するおそれがある。なお、上記ゴミ袋135を交換するときに、図示しない交換時用換気ボタンを押すことで、上記ゴミ袋135内の空気が極力少量となるようにしてもよい。
上記排気経路133と排気経路134の両方を設けるのが望ましいが、一方のみ設けてもよい。
上記ゴミ収容室扉13を図示しない電磁ソレノイドなどのアクチュエータによって機械動作でロックさせるとともに、上記アクチュエータを動作させてロック解除する操作ボタンを設けてもよい。また、上記排気経路133、134に強制排気ファンを設けておいてもよい。また、上記操作ボタンが操作されてから上記強制排気ファンを一定時間動作させた後にロックを解除するようにしてもよい。また、ロック解除をランプ点灯等で知らせるようにしてもよい。また、上記ゴミ収容室13aに強制排気スイッチ13bを設けておき、この強制排気スイッチ13bが操作されたときに上記排気経路134の強制排気ファンを動作させてもよい。また、上記排気経路133、134に設けた強制排気ファンの両方または一方を常に或いは混注処理中に動作させるようにしてもよい。また、上記ゴミ袋135の有無を検知するセンサを上記ゴミ収容室13aに設けておき、上記ゴミ袋135が無い状態で上記ゴミ収容室扉13が閉じられたときにエラー通知を行うようにしてもよい。
図18に示すように、上記アンプルカッター31は、薬剤容器10であるアンプルの首にノッチ加工をするためのヤスリ部31aを有する。上記第1ロボットアーム21は、例えば、仮置き棚33からアンプルを掴んで取り出すときに、上記首から一定距離下の胴部を把持する。アンプルの各部の寸法情報はマスターテーブルから取得できる。上記第1ロボットアーム21はアンプルの首を上記ヤスリ部31aに当てて擦る。このノッチ加工に際して出る削り屑は屑トレイ31bで受け止められる。
上記第1ロボットアーム21は、ノッチ加工済みのアンプルを頭部差し込み部31cの孔31dに下から差し込み、首部より上の頭部を上方に突き出させる。上記頭部差し込み部31cには、プッシャー31eが上記頭部の側方に位置するように設けられている。そして、駆動ボックス31f内には上記プッシャー31eの後端に作用するカムが設けられている。上記カムが1回転すると、このカムの動作により上記プッシャー31eが1往復動作する。上記カムは上記駆動ボックス31f内に設けられている図示しないモーターによって回転される。
上記コントローラ500は、上記第1ロボットアーム21にて上記孔31dから上記アンプルの頭部を上方に突き出させた後、上記頭部を押す方向に上記プッシャー31eを移動させる。この移動するプッシャー31eにより、上記頭部が押されて折れ、折れた頭部は屑ボックス31g内に落ちる。上記コントローラ500は、例えば1回の混注処理の終了後の都度、上記第1ロボットアーム21に上記屑ボックス31gを把持させ、上記頭部を上記ゴミ袋135に捨てる動作を実行させることができる。上記屑トレイ31bについても、上記第1ロボットアーム21の動作で屑を捨てることもできる。なお、上記アンプルカッター31には、把手31hが設けられており、レール31i(図3参照)上を人の動作で移動させて、人が上記屑トレイ31bや屑ボックス31g内の屑処理を行えるようになっている。
図19に示すように、上記秤量計35上には、注射器置き台35aが載せられている。上記秤量計35の計測結果は上記コントローラ500に通知される。上記秤量計35によって上記注射器11での計量を行うことで、実際に抜き取った薬液量(薬液入注射器11の重量−既知である空注射器11の重量)の計測等が行える。上記注射器置き台35aは注射器11を斜め上向きに保持するようになっており、秤量時に液漏れが生じ難くいようにしている。また、上記秤量計35の本体部の上面にはカバー35bが設けられており、上記本体部が上記混注処理室104内の空気に触れ難いようになっている。
図20に示すように、上記針曲がり検知部36は、互いの光線が非平行となるように配置された第1光センサ361と第2光センサ362とを備える。各光センサは発光部と受光部とからなる。また、上記針曲がり検知部36には、注射針11cが挿入移動される長穴36aが形成されている。上記第2ロボットアーム22は注射器11に装着されている注射針11cを上記輸液バッグ12の混注口に差し込む前に上記長穴36aに挿入し移動させる。この移動により、上記光線が上記注射針11cによって遮られると、上記第1光センサ361と第2光センサ362はオフする。上記光線を遮るときの注射針11cの位置情報を用いることで上記注射針11cの曲がりを検知することができる。
図30は針曲がり検知の説明図である。上記のように、初期動作として、上記第2ロボットアーム22は、基準針N,Mを上記針曲がり検知部36の予め決められたスタート点に位置させ、タイマースタートと同時に一定速度でY方向(第1光センサ361の光線、及び、第2光センサ362の光線の何れに対しても非平行である方向)に基準部材363を移動させる。この移動の速度と上記センサ361、362のオン・オフ時点のタイマー値とによって、a1地点とa2地点並びにb1地点とb2地点の位置データ(距離データ)を取得することができる。上記a1地点からa2地点の距離をA、上記b1地点からb2地点の距離をCとする。また、基準針N,Mの間隔はEであり、基準針Nが通る位置をX方向の基準点位置とすると、基準針MはX方向の基準点位置から距離Eの箇所を通る。
次に、実際の混注処理で用いる注射器11を上記第2ロボットアーム22が把持し、注射針11cを上記針曲がり検知部36の予め決められたスタート点に位置させる。このスタート点はX方向の原点位置から距離Xcの位置(本来経路上)とする。また、注射針11cの針先側で上記センサ361、362の光線を遮るようにしておく。そして、上記第2ロボットアーム22はタイマースタートと同時に一定速度でY方向に注射針11cを移動させる。この移動の速度と上記センサ361、362のオン・オフ時点のタイマー値とによって、針先が注射針検知経路上のa3地点とb3地点にさしかかったときの本来経路上での位置データ(距離データ)を取得することができる。上記a3地点からa2地点の距離をB、上記b1地点からb3地点の距離をDとする。なお、注射針11cに曲がりがなければ注射針検知経路は本来経路に一致する(Xp=Xc)。
図25では、プランジャ11b側から見て注射針11cの中心に対して針先側に曲がりがある場合を想定している。この場合、針先側が本来経路から外れた注射針検知経路上を通ることになる。この注射針検知経路がX方向の基準点位置から距離Xpにある場合、注射針のX方向の曲がり成分は、Xc―Xpで表される。また、注射針11cのY方向の曲がり成分は、αで表される。
上記A,B,E,Xpに着目すると、針曲がりが無いとして、Xp=E−E×B/Aの式が得られる。また、上記C,D,E,Xpに着目すると、Xp=E−E×D/Cの式が得られる。さらに、両式から、B/A=D/Cが得られる。
しかし、上記注射針検知経路上の値である上記距離Bや距離Dをそのまま用いることはできない。具体的には、注射針11cのY方向の曲がり成分αが存在していると、上記センサ361、362は上記タイマースタートから上記成分αの距離だけa3点より遅れて応答することになるため、距離BをB+αに補正する。したがって、Xp=E−E×(B+α)/Aとなる。同様に、上記センサ361、362は上記タイマースタートから上記成分αの距離だけb3点より遅れて応答することになるため、距離DをD−αに補正する。したがって、Xp=E−E×(D−α)/Cとなる。
また、(B+α)/A=(D−α)/Cから、α=(A×D−B×C)/(A+C)となり、注射針11cのY方向の曲がり量が求まる。そして、ここで求めたαを上記Xp=E−E×(B+α)/Aに代入すると、Xpが求まる。さらに、Xc―Xpの演算を行うと、注射針11cのX方向の曲がり量が求まる。
上記コントローラ500は、上記の求めた針曲がり量に基づいて、上記輸液バッグ12の混注口を穿刺する際の針先位置が補正されるように第2ロボットアーム22を動作させる。これにより、狙った位置に注射針を刺すことができる。なお、上記針曲がりの検査は、新品の注射針11cについて1回行うこととしてもよいし、注射針11cを上記輸液バッグ12の混注口に差し込む回数が複数であるときには複数回行うようにしてもよい。また、上記針曲がり検知において、上記光線を通過するのに要した時間(センサオフの時間間隔)から注射針11cの太さも判断し、注射針11cの誤使用なども判断することができる。
上記のタイマースタートによる針位置計測に限らず、ロボットアームの座標位置から注射針11cの位置を判断することができる。また、上記第1光センサ361を平面内で例えば45°程度回転する回転板を設け、上記長穴36aを遮蔽しないように上記回転板を回転させると、上記第1光センサ361を第2光センサ362の代わりとして用いることが可能になる。この場合、複数回に分けて基準針や注射針11cを移動させることになる。
上記の例では、2つの光センサ361、362を用いて、X方向、Y方向の注射針の曲がりを検知したが、1つの光センサでX方向、Y方向の注射針の曲がりを検知してもよい。X方向の曲がりは、図25のa1〜a2の距離と、a3〜a2の距離との比からXpが求まるので、1つのセンサ(この場合は、光センサ361)によって検知ができる。Y方向の曲がりは、第2のロボットアーム22等によって、注射器11の向きを注射器11の軸周りに90度回転させて、再度、注射器11を図25のように、本来経路に沿って移動させる。この場合も1つの光センサでX方向の曲がりが検知できるが、注射器11が90度回転しているため、検知された曲がりは、Y方向の曲がりとなる。
なお、注射針11cをカメラで撮像し、この撮像した画像に対する画像認識で針曲がりを検知してもよい。
図22に示すように、上記薬品バーコードリーダ34は、離間して互いに同方向に回転する2本のローラー34aを備えている。駆動側のローラー34aはモーターなどにより回転駆動される。
上記第1ロボットアーム21が上記薬剤用トレイ102から上記樹脂製薬液容器100を取り出したとき、上記一対の把持爪25aで樹脂製薬液容器100の胴体部100aを把持する。そして、上記第1ロボットアーム21は上記樹脂製薬液容器100を上記薬品バーコードリーダ34における上記2本ローラー34aの間に置く。上記2本ローラー34aの間に上記樹脂製薬液容器100が置かれた後、上記ローラー34aを回転させると、上記樹脂製薬液容器100が回転してラベル100gをリーダ部34bに向けることができる。上記薬剤容器10に対しても同様の操作が行われる。
上記コントローラ500は、図23に示すように、上記第1ロボットアーム21が、上記薬品バーコードリーダ34における2本ローラー34aの間に上記樹脂製薬液容器100を置くとき、並びに、上記2本ローラー34aの間に位置する上記樹脂製薬液容器100を把持するときには、上記一対の把持爪25aにおける上記爪動作面が、上記ローラー34aの中心軸に対して垂直になるように、上記容器保持部25の姿勢を制御する。これにより、上記一対の把持爪25aにおける上記爪動作面は、上記樹脂製薬液容器100の中心軸に対して垂直になる。また、上記コントローラ500は、上記一対の把持爪25aにおける上記把持移動方向が、上記2本のローラー34aの中心軸を含む面と平行となるように、上記容器保持部25の姿勢を制御する。
上記コントローラ500は、例えば、上記ラベル100gのバーコード100hを上記薬品バーコードリーダ34が認識してから設定時間後に上記2本ローラー34aを停止させることよって、上記2本のローラー34aの中心軸を含む面に対して上記リブ形成面を直交させる。すなわち、上記コントローラ500は、上記バーコード100hが読み取られる位置と上記リブ部100fとの既知の位置関係に基づき、上記2本のローラー34aの中心軸を含む面に対して上記リブ形成面が直交するように、上記設定時間を計算する。例えば、上記バーコード100hと上記リブ部100fとの位置関係が上記樹脂製薬液容器100の中心軸に対し上記薬品バーコードリーダ34の回転方向側にマイナス30度となっているのであれば、上記2本のローラー34aが上記設定時間回転することで、上記回転方向側にプラス30度回転し、上記2本のローラー34aの中心軸を含む面に対して上記リブ形成面が直交する。
これにより、上記のように姿勢制御された上記容器保持部25の上記一対の把持爪25aで上記2本ローラー34aの間に位置する上記樹脂製薬液容器100を把持するときには、上記樹脂製薬液容器100の上記リブ形成面に垂直となる方向に沿って上記一対の把持爪25aが近づくことになる。
上記第1ロボットアーム21は、上記2本ローラー34aの間の上記樹脂製薬液容器100の胴体部100aを上記一対の把持爪25aで把持し、この把持した上記樹脂製薬液容器100を仮置き台上に置き、一旦、上記樹脂製薬液容器100から上記一対の把持爪25aを離す。仮置き台上では上記樹脂製薬液容器100の上側が奥側を向くように斜め置きされる。次に、上記第1ロボットアーム21は、上記容器保持部25を、上記樹脂製薬液容器100を仮置き台上に置いたときと同様の姿勢に制御し、今度は、上記一対の把持爪25aで上記樹脂製薬液容器100の硬質首部100bを把持する。このとき、上記一対の把持爪25aは、上記硬質首部100b上のリブ部100fを避けて、当該硬質首部100bをしっかりと把持することができる。
上記の例では、上記バーコード100hをリードする薬品バーコードリーダ34を利用したが、これに限らない。
例えば、回転台(上記薬品バーコードリーダ34の一対のローラー34aでもよい。)上に上記樹脂製薬液容器100を置いて回転させながら、カメラやスキャナなどの画像取得部により得られた画像データから、上記ラベル100gの中央或いは縁を判断してもよい。この場合、上記ラベル100gの中央或いは縁が検出された位置と上記リブ部100fとの位置関係を上記樹脂製薬液容器100の種類ごとに上記マスターテーブルに記憶しておく。そして、上記回転台上に上記樹脂製薬液容器100を置いて回転させながら上記情報取得部で得られた画像データと上記マスターテーブルの情報とに基づいて、上記回転台の回転を停止し、上記リブ部100fを所定の方向に向けることができる。先にも述べたが、上記ラベル100gは上記胴体部100aの中央側に上記リブ形成面に対して直交する方向から貼られるため、上記ラベル100gの中央或いは縁と上記リブ部100fとの位置関係は略一定である。
或いは、回転台(上記薬品バーコードリーダ34の一対のローラー34aでもよい。)上に上記樹脂製薬液容器100を置いて回転させながら、カメラやスキャナなどの画像取得部により得られた画像データから、上記リブ部100fの位置を直接判断してもよい。そして、上記リブ部100fが所定の方向に向いたときに上記回転台の回転を停止する。上記リブ部100fは、上記胴体部100aの中心軸を通る一の面内で上記胴体部100aおよび上記硬質首部100bの外壁面に沿って2箇所に直線的に形成されており、上記胴体部100aよりも透明ではなく、また、上記ラベル100gの縦線よりも長いので、これらの情報と上記画像データとから上記リブ部100fの位置を直接判断することが可能である。
上記第1ロボットアーム21は、上記樹脂製薬液容器100の硬質首部100bを把持した後、光(例えば、赤外線)を出射するラベル検知部401に上記ラベル100gが向くように上記樹脂製薬液容器100を移動させる。上記ラベル検知部401は、出射した赤外線の戻りを検知できず、上記ラベル100gの存在を肯定できない場合、上記樹脂製薬液容器100の把持エラーが発生したとして、エラー処理を実行する。上記第1ロボットアーム21は、把持エラーが発生していなければ、上記樹脂製薬液容器100を上記薬剤重量計351上に置いて重量計測を行った後、再び上記樹脂製薬液容器100の硬質首部100bを把持し、上記ラベル検知部401の位置に上記樹脂製薬液容器100を再度移動させる。この場合にも把持エラーが発生しなければ、上記第1ロボットアーム21は、上記樹脂製薬液容器100を第2ロボットアーム22の近くに移動させる。
図24に示すように、第2ロボットアーム22は上記一対の別把持爪262bで上記樹脂製薬液容器100の掴み片部100eを掴む。このとき、上記一対の把持爪25aの爪動作面および上記一対の別把持爪262bの爪動作面は共に水平である。そして、上記第1ロボットアーム21は、上記一対の把持爪25aを、当該一対の把持爪25aの先端凹部を合せた円形状部における中心、すなわち、上記樹脂製薬液容器100の中心軸を中心にして、水平面内で往復回動させる。この往復回数は、上記栓部100dが上記開口部100cから確実に捩じり切られる回数とする。なお、上記の例では、上記一対の別把持爪262bを固定して上記一対の把持爪25aだけを回動させたが、両者が互いに反対方向に回動するようにして、開栓に要する時間を短縮するようにしてもよい。
規定数の往復回動の終了後、上記第1ロボットアーム21は、上記一対の把持爪25aを少し下方に移動させる。そして、上記第1ロボットアーム21は、上記栓部100dが取られた状態の上記樹脂製薬液容器100を上記薬剤重量計351上に置いて重量計測を行った後、再び上記樹脂製薬液容器100の硬質首部100bを把持し、この樹脂製薬液容器100を上記仮置き台上に置く。一方、第2ロボットアーム22は上記栓部100dを上記ゴミ袋135内に捨てる動作を実行する。その後、上記第1ロボットアーム21は、注射器11を把持し、この注射器11を第2ロボットアーム22の注射器保持部261にセットする。このセット後、上記第1ロボットアーム21は、上記仮置き台上の上記樹脂製薬液容器100の硬質首部100bを把持し、重量計測やラベル検知等を行う。なお、重量計測を省略し、樹脂製薬液容器100を上記第1ロボットアーム21から離さずに薬液の吸引動作に遷移してもよい。
上記第1ロボットアーム21は、上記樹脂製薬液容器100を上記第2ロボットアーム22の近くに移動させる。上記第2ロボットアーム22は上記注射器11で上記樹脂製薬液容器100内の薬液を吸い取り、この薬液をバイアル瓶(他の薬剤容器)に入れて粉薬剤(他の薬液容器に収容された薬品)を混合溶解し、当該バイアル瓶から溶解液を吸い取り、上記輸液バッグ12内に注入する処理を行う。なお、上記開口部100cに近い位置に存在する上記硬質首部100bを上記一対の把持爪25aで把持するので、以下に示す利点が得られる。例えば、上記樹脂製薬液容器100が少し斜めに把持されたとしても、上記開口部100cは上記硬質首部100bに近い位置にあるので、上記把持爪25aの把持位置を基準とする上記開口部100cの位置関係にずれは生じ難い。すなわち、上記第2ロボットアーム22が上記注射器11で上記樹脂製薬液容器100内の薬液を吸い取るために、上記注射器11の注射針を上記樹脂製薬液容器100の上記開口部100cに入れる操作において失敗が生じ難くなる。
上記コントローラ500は、上記輸液バッグ12の混注口を上記注射針11cで穿刺した際に、上記針挿入確認カメラ44によって上記針挿入確認透明窓38の方向を撮像する。上記針挿入確認カメラ44は、上記混注処理室104外に位置する輸液バッグ12と、上記混注処理室104内の注射器11(注射針11c)を1つの画像内に収まるように撮像する。この画像により、注射針11cの先端側が輸液バッグ12内に位置しているかどうかを確認することができる。この画像は、例えば、上記タッチパネルモニタ14に表示することができる。また、上記画像は最終監査のために記憶部に保存される。
例えば、上記画像が表示されている上記タッチパネルモニタ14でOKボタンが操作されて適切に混注処理が終了した輸液バッグ12は、上記輸液バッグ昇降傾斜部113によって降下される。そして、上記コントローラ500は、上記のようにOKボタンが操作された場合、さらには最終監査OKボタンが操作された場合に、上記調整コンテナ取り出し扉15の開閉ロックを解除する。換言すれば、監査で人によるOKがなされないと、上記調整コンテナ取り出し扉15を開けることができないようにしている。もちろん、エラー処理のために上記調整コンテナ取り出し扉15を開けることは可能である。また、このように、混注処理が終了した輸液バッグ12が混注装置1の本体部300に入れられた上記調整コンテナ101と同じ調整コンテナ101に戻されるので、患者情報や薬品情報を書き換える処理が不要になる。また、排出専用のトレイを別途用意する必要がない。
上記殺菌灯45、45は、例えば混注処理開始の3時間くらい前から点灯される。上記殺菌灯45、45のうち1つは上記第1、第2ロボットアーム21、22間の位置に設けられているので、上記第1、第2ロボットアーム21、22に遮られる殺菌光の量は少なくなり、上記混注処理室104内を満遍なく殺菌することができる。
また、遮光保存が必要とされる薬剤が用いられる場合、混注処理の後には人の手によって遮光袋内に混注済みの輸液バッグが入れられる。本混注処理においても、上記輸液バッグ12を遮光袋に入れた状態で上記調整コンテナ101にセットすることが可能である。
また、遮光保存が必要とされる薬剤が用いられる場合に上記混注処理室104内の照明を消灯して混注処理を実行するようにしてもよい。ただし、監査用撮影時には上記混注処理室104内を一時的に照明するようにしてもよい。用いられる薬剤が遮光を必要とするか否かは、マスターテーブルに薬剤ごとの遮光要否フラグを設定しておき、遮光要否フラグがオンであるときに、上記消灯処理を実行すればよい。
ここで、上記第1ロボットアーム21が上記撹拌装置32で撹拌した後のバイアル瓶を把持して当該混注装置の前側に移動させ、撹拌状態を利用者に確認してもらうことがある。このときに照明が消灯されていると、利用者は確認が行いにくい。そこで、このような確認が実行されるときには、上記コントローラ500は、照明を点灯する。
また、この実施形態では、上記混注処理室104内に2台のロボットアーム21、22を設けたが、上記混注処理室104内に3台以上のロボットアームを設けてもよい。
また、上記樹脂製薬液容器100の栓部100dを第2ロボットアーム22によって捩じり切ったが、上記第1ロボットアーム21で把持している上記樹脂製薬液容器100の上記掴み片部100eを、当該形状に合った回転可能な専用の把持部等に差し込み、上記掴み片部100eを回転させることにより短時間で上記栓部100dを捩じり切ってもよい。上記把持部は単なる凹部であってもよい。また、上記把持部等を上記密閉ゴミ蓋132aの上方に設けておき、上記密閉ゴミ蓋132aを開けた状態で上記捩じり切るようにしてもよい。これによれば、ねじ切られた上記栓部100dが落下することで、上記ゴミ袋135内にダイレクトに捨てられることになる。
図25に示すように、上記第1、第2ロボットアーム21、22を回転可能なディスク28に設けてもよい。上記ディスク28を回すことで、上記混注処理室104に対する上記第1、第2ロボットアーム21、22の位置を、当該第1、第2ロボットアーム21、22の位置関係を保ったまま変化させることができ、細かな作業を上記第1、第2ロボットアーム21、22を用いて行うことが容易になる。
上記注射針着脱装置43は、図26に示すように、上記注射針11cが収容された針キャップ11dをチャック部437によりチャックする動作、およびチャックした針キャップ11dおよび注射針11cを回転させて、図31に示すように、上記シリンダ部11aの先端螺子部11a―1に上記注射針11cの螺子部11c―1を螺着させる動作を実行する。また、上記ロボットアームは、例えば、上記把持爪25aによって、上記注射針11cが収容された針キャップ11dを上記注射針着脱装置43のチャック部437に差し入れる動作、チャック状態の針キャップ11d内の上記注射針11cの螺子部11c―1に、注射針が未装着のシリンダ部11aの先端螺子部11a―1を押し当てる押当動作、上記注射器11に装着されている注射針11cを、チャック状態の針キャップ11dに嵌め入れる針キャップ嵌入動作、および上記注射針11cが装着された注射器11を、チャック状態の針キャップ11dから引き抜く動作を行う。上記押当動作で必要とされる押圧力は、上記針キャップ嵌入動作で必要とされる押圧力よりも小さい。これは、図31に示すように、上記針キャップ嵌入動作では、例えば、針キャップ11d内に形成されている突起11d―1を、注射針11cに形成されている突起11c―2が乗り越えることが必要であるため、大きな押圧力が必要になるためである。
上記注射針着脱装置43は略円柱状の支持シャフト432を備えている。なお、図26において、上記支持シャフト432の長手方向と一致する方向を鉛直方向となる第1方向および第2方向とし、この例では、上記第1方向を上方向とし、第2方向を下方向としている。上記第1方向は、チャック状態の針キャップ11d内の上記注射針11cの螺子部11c―1に、注射針が未装着のシリンダ部11aの先端螺子部11a―1を押し当てる押当動作の押圧方向であり、また、上記注射器11に装着されている注射針11cを、チャック状態の針キャップ11dに嵌め入れる針キャップ嵌入動作の押圧方向でもある。上記第2方向は、注射針11c付きの注射器11を、チャック状態の針キャップ11dから引き抜く方向である。
上記支持シャフト432は、上記混注処理室104の天井部に固定されている支持部材431によって上下移動可能に設けられている。また、上記支持シャフト432の上端部にはストッパ部432aが取り付けられており、このストッパ部432aが上記支持部材431の上面に当たることで、上記支持シャフト432の下方移動が制限される。
また、上記支持部材431の下方側には、バネ受け433が上記支持シャフト432の外側に嵌められて固定されており、上記支持シャフト432と同体で上下方向に移動する。上記固定は、上記バネ受け433に螺合し、先端が上記支持シャフト432の周面に圧接する螺子433aによって行われている。また、上記バネ受け433は、略溝形をなして上面が開口しており、内側部分が上記支持部材431の下部側に形成されている角柱状部の外面部に係合することで、上記支持シャフト432の回転を阻止している。
また、上記角柱状部の下面側と上記バネ受け433の内側底部との間には、弾性部材4300が、上記支持シャフト432の外側に嵌められて圧縮可能に設けられている。この弾性部材4300は、第1弾性部材4301と第2弾性部材4302とが連結部材4303により直列に連結されたものである。上記第2弾性部材4302のフックの法則における比例定数(以下、バネ定数という。)は、上記第1弾性部材4301のバネ定数よりも大きくされている。例えば、上記第1弾性部材4301と上記第2弾性部材4302は、同素材で同径に形成されたコイルバネからなり、第1弾性部材4301の線材の直径を第2弾性部材4302の線材の直径よりも細くしている。
上記バネ受け433の下方側には、ボス部材434が上記支持シャフト432の外側に嵌められて摺動自在に設けられている。上記ボス部材434の上部側は、略溝形に形成され、両サイドに立上部434aが形成されている。この立上部434aは、上記バネ受け433の下部側の外周に形成されたストッパ凹部433bに嵌められている。このため、上記ボス部材434は、上記支持シャフト432の軸方向に移動できる一方で、上記支持シャフト432回りの回動が制限される。上記ボス部材434の下部には、円筒部が形成されており、この円筒部の外側にベアリング4311が嵌め込まれている。
上記ボス部材434の下方側には、第1回転部材435が上記支持シャフト432の外側に嵌め込まれて回転可能に設けられている。この第1回転部材435は、上側の大径円筒部と下側の小径円筒部とを備える。そして、上記大径円筒部の中央上側に形成された凹箇所に、上記ベアリング4311が嵌合しており、上記第1回転部材435は、上記ボス部材434と同体で上下動する一方、上記ボス部材434における上記円筒部を中心に回転することができる。
上記第1回転部材435における大径円筒部の外周面には、ギヤ部435aが形成されている。また、上記第1回転部材435の小径円筒部の内周部には雌螺子部435bが形成されており、この雌螺子部435bが上記支持シャフト432の外周部に形成されている雄螺子部に螺合している。このため、上記第1回転部材435が上記支持シャフト432を中心に回転すると、この支持シャフト432に対して、上記第1回転部材435が上方または下方に移動する。また、上記第1回転部材435における上記小径円筒部の外周部には、上下2箇所にベアリング4312、4313が嵌め込まれている。
上記ベアリング4312、4313の外周部には、第2回転部材436の上部側が嵌め込まれている。この第2回転部材436は、上部側の外周面にギヤ部436aを有し、略円筒形状をなす下部側に収容部436bを有する。上記第2回転部材436は、上記ギヤ部436aの中央側に形成されている中空部において上記ベアリング4312、4313に嵌め込まれており、上記第1回転部材435と同体で上下動し、また、上記第1回転部材435に対して独立して回転できるようになっている。
上記第2回転部材436の上記収容部436bには、チャック部437が設けられている。このチャック部437は、上記第2回転部材436が回転すると上記支持シャフト432を中心に回転するが、上記第2回転部材436が昇降しても、昇降しない。また、上記チャック部437は、支持シャフト432と一体的に昇降可能であり、かつ、支持シャフト432に対してベアリング4371を介して回転自在に連結されている。上記チャック部437は、図27にも示すように、例えば、4個の爪部437aを備えている。上記4個の爪部437aは上記支持シャフト432の軸芯を中心として円形に90度間隔で配置されている。各爪部437aは、板バネ437bを介して揺動部437cに連結されている。
上記揺動部437cは、軸437dによって、上記支持シャフト432の軸芯に近づく方向と遠ざかる方向に揺動することができる。また、上記揺動部437cは、降下する上記第2回転部材436の下端側437eによって下方に押され、上記爪部437aを上記軸芯に近づける(チャック時)。一方、上記第2回転部材436の下部に取り付けられている係合部材4361が、上記揺動部437cの傾斜部に係合している。このため、上記第2回転部材436が上昇すると、上記傾斜部が上記係合部材4361に押されて上記揺動部437cを回動させ、上記爪部437aを上記軸芯から遠ざける(非チャック時)。
上記第1回転部材435の上記ギヤ部435aには、モーター4316の回転軸に取り付けられたギヤ4315が歯合しており、上記モーター4316が回転すると、上記ボス部材434、上記第1回転部材435、および上記第2回転部材436が昇降し、上記第2回転部材436の昇降によって、上記チャック動作が行われる。また、上記第2回転部材436の上記ギヤ部436aには、モーター4318の回転軸に取り付けられたギヤ4317が歯合しており、上記モーター4318が回転すると、上記チャック部437の回転、すなわち、注射針11cの螺着が行われる。
上記のごとく、上記注射針着脱装置43は、チャックした針キャップ11dおよび注射針11cを回転させて、上記シリンダ部11aの先端螺子部11a―1に上記注射針11cの螺子部11c―1を螺着させる螺着動作を実行する。また、上記注射針11cの螺着のために、例えば、第2ロボットアーム22が上記注射器操作部26によって、上記注射針11cが未装着のシリンダ部11aを、例えば、シリンダ部11aの先端螺子部11a―1が注射針11cの螺子部11c―1に接触した位置から上方向に上記先端螺子部11a―1の長さ分上げる動作を実行し、上記シリンダ部11aの先端螺子部11a―1を上記注射針11cの螺子部11c―1に押し当てる状態を形成する。この状態が形成されるときには、上記先端螺子部11a―1の長さ分の上昇動作により、上記バネ受け433の上面が上記支持部材431の鍔状部の下面に近づき、この近づいた分、上記弾性部材4300が縮むことになる。なお、上記注射針着脱装置43によって上記注射針11cが回転されるときには、上記ロボットアームは上記シリンダ部11aが動かないように把持する。上記シリンダ部11aが動かなくても、上記注射針11cが上記弾性部材4300によって第2方向(上記シリンダ部11a側)に付勢されているので、螺着が行われる。
ここで、上記弾性部材4300が、仮に単一のバネ定数を有するとし、このバネ定数が或る値を越える場合には、弾性力が強すぎて上記螺着が適切に実行されないことになる。すなわち、バネ定数が大きい場合、弾性部材に対する押込量が少しでも大きいと、弾性力が大きくなり過ぎて、上記シリンダ部11aの先端螺子部11a―1と上記注射針11cの螺子部11c―1との摩擦力が大きくなり、螺着ができない。
上記押込量は、上記シリンダ部11aや上記注射針11cの寸法バラつき、上記ロボットアームが上記シリンダ部11aを掴む位置のバラつきに影響を受ける。このため、上記ロボットアームの移動量を一定に制御できたとしても、上記押込量を一定にすることは困難である。また、上記弾性部材のバネ定数が大き過ぎる場合においては、上記先端螺子部11a―1の長さ分バネを縮めただけでも弾性力が大きくなり、上記先端螺子部11a―1と上記注射針11cの螺子部11c―1との摩擦力が大きくなって螺着ができない。
一方、注射器11に装着されている注射針11cを、チャック状態の針キャップ11dに嵌め入れるときには、上記バネ定数が或る値よりも小さいと、弾性力が弱すぎて適切な針キャップ嵌入が実行できない。また、小さいバネ定数の弾性部材で上記嵌め込みに必要な力を得るためには長いバネが必要になる。
上記弾性部材4300は、上記のごとく、第1弾性部材4301と第2弾性部材4302とからなり、第2弾性部材4302の弾性力は、上記第1弾性部材4301よりも大きくされる。このため、上記螺着が実行されるとき、上記第1弾性部材4301が主に縮み、この第1弾性部材4301の弾性力が付与された状態で、上記チャック部437の回転により、上記螺着が実行される。すなわち、上記第1弾性部材4301のバネ定数については、上記螺着において適切な値に設定できる。
ここで、図28(A)に示すように、シリンダ部11aの先端螺子部11a―1の長さをGとする。また、この図において、基準位置Sは、例えば、一対の把持爪261aの位置であり、上記注射針着脱装置43から下方側に十分離れた位置に設定されており、上記一対の把持爪261aが最も大きな注射器を掴んだ場合でも、当該注射器は上記注射針着脱装置43に接触しないものとする。また、突出量Lは、上記一対の把持爪261aから突出しているシリンダ部11aの部分の長さとする。また、上記一対の把持爪261aが上記基準位置Sから上方に距離H移動すると、当該一対の把持爪261aが上記注射針着脱装置43に接触するものとする。
したがって、上記一対の把持爪261aが上記基準位置Sから上方に、上記距離Hから上記突出量Lを差し引いた距離移動すると、シリンダ部11aの先端螺子部11a―1が上記注射針着脱装置43に接触することになる。この時点では、上記弾性部材4300(第1弾性部材4301および第2弾性部材4302)は縮む直前の自然長状態である。上記一対の把持爪261aがさらに先端螺子部11a―1の長さGに相当する距離上方にさらに移動すると、上記シリンダ部11aに押されて上記チャック部437も上方に移動し、上記螺着が実行可能となる。この螺着が実行可能となる範囲は、上記弾性部材4300が上記長さG以上縮み、距離J以上は縮まない範囲とする。上記距離Jは、上記弾性部材4300の自然長状態から、上記第1弾性部材4301が縮みきった時点の距離とする。
注射針11cが未装着である注射器(シリンダ部11a)は、一定の箇所が上記調整コンテナ101上で上記一対の把持爪25aにより把持されて、上記一対の把持爪261aに渡されるため、上記突出量Lを一定にすることができる。また、使用する注射器の種類により、シリンダ部11aの長さが異なる場合でも、その情報は上記マスターテーブルから得られるので、使用する注射器における上記突出量Lを知ることができる。なお、シリンダ部11aの先端螺子部11a―1の長さGについても上記マスターテーブルから得ることが可能である。
一方、注射器11に装着されている注射針11cを、チャック状態の針キャップ11dに嵌め入れるときには、例えば、第2ロボットアーム22は、上記注射器操作部26によって、上記注射針11cが装着されているシリンダ部11aを上方向に所定距離上げる動作を実行する。この上方向の所定距離は、上記第1弾性部材4301が縮みきる距離よりも長く、第1弾性部材4301と第2弾性部材4302の両方が縮みきる距離よりも短い距離とする。
具体的には、上記所定距離は、図28(B)に示すように、上記の針キャップ嵌入を実行するときの上記基準位置Sからの上記一対の把持爪261a(上記シリンダ部11a)の上昇高さであり、この上昇高さは、上記距離Hに上記距離Jを足した距離から突出量L(La)を差し引いた距離よりも高く、上記距離Hに距離Kを足した距離から距離L(La)を差し引いた距離よりも低い。すなわち、針キャップ嵌入が実行可能となる範囲は、上記弾性部材4300が上記距離Jよりも縮み、距離K以上は縮まない範囲となる。上記距離Kは、上記弾性部材4300の自然長状態から、上記第1弾性部材4301および第2弾性部材4302が両方とも縮みきった状態の距離とする。
なお、突出量Laは上記基準位置Sから注射針11cに形成されている突起11c―2の形成位置までの長さとする。上記所定距離の算出においては上記突出量Laが上記突出量Lに等しいとして算出したが、上記突出量Laの正確な値を用いて上記一対の把持爪261aの上昇高さを設置することもできる。使用する注射器の種類により、上記突起の位置が異なる場合でも、その情報は上記マスターテーブルから得られるので、使用する注射器により、上記突出量Laを知ることができる。
上記シリンダ部11aが上方向に上記所定距離移動すると、上記第1弾性部材4301が縮みきった後も、上記第2弾性部材4302が縮み続け、上記第2弾性部材4302の弾性力で上記針キャップ11dが下方に押される状態になる。すなわち、上記第2弾性部材4302のバネ定数を、針キャップ11dの装着に適切となる値に設定できる。なお、上記所定距離を上記距離H足す距離Kに極力近くなる距離に設定しておくと、上記第2弾性部材4302から極力大きな弾性力を得て確実に上記針キャップ11dを注射針11cに嵌め入れることができる。
「第1弾性部材4301が縮みきる」には、上記第1弾性部材4301の線材同士が接触する状態の他、線材同士が接触しなくても、例えば、上記連結部材4303が上記支持部材431の下面に当たる等して、第1弾性部材4301がそれ以上縮まない状態も含む。第2弾性部材4302についても同様である。また、上記第1弾性部材4301と上記第2弾性部材4302の配置関係を逆にすることもできる。また、第1弾性部材4301と第2弾性部材4302とを同一材料で制作しコイルの巻き数を異ならせてもよい。また、上記第1方向を斜め上方向とし、上記第2方向を斜め下方向としてもよい。また、混注や樹脂製薬液容器100をねじ切る上記ロボットアーム21、22とは別に設けられたロボットアームによって、上記注射器における上記螺着や上記針キャップ嵌入等を行うようにしてもよい。また、上記注射針着脱装置43によって上記注射針11cが装着された針キャップ11dを回転させて上記螺着を行ったが、これに限らず、上記ロボットアーム21、22或いはこれとは別に設けられたロボットアームによって上記注射針11cが装着された針キャップ11dを回転させるようにしてもよい。
ところで、上記ロボットアームによって、図29に示すように、上記輸液バッグ12の栓12aに注射針11cを差し込んで、輸液を上記シリンダ部11a内に取り込む場合に、上記輸液バッグ12の首部の凹箇所等に溜まっている気泡Bが上記シリンダ部11a内に取り込まれる場合がある。このような気泡Bの取込がなされると、決められた量の輸液を採取することができない。
そこで、上記ロボットアームは、上記注射器操作部26によって、一旦、採取した輸液を上記輸液バッグ12内に戻す動作を実行する。この戻し動作により、上記シリンダ部11a内に取り込まれた気泡Bが、上記輸液バッグ12内に移動する。この移動がある程度の勢いで実行されると、上記気泡Bは上記輸液バッグ12の首部の凹部を越えて移動できる。その後、上記ロボットアームが、輸液を上記シリンダ部11a内に取り込むと、決められた量の輸液の採取が実行されたことになる。
また、上記混注装置1は、使用する注射針11cの外径(太さ)を薬品によって変えることが可能に構成されており、正しい外径の注射針11cが注射器11に取り付けられているかどうかを、上記針曲がり検知部36で検知している。注射針11cの外径計測は、上記光センサ361、362から出射された光束を注射針11cが横切る時間で判断できる。外径計測の際の注射器11の移動速度が一定である場合、上記光束を横切る時間が長いほど太い針となる。
ところが、上記光束を横切る部分に液滴が付着していると、実際よりも外径が太いと誤判定するおそれがある。このような誤判定が増えると、ユーザーが注射針11cを検査する回数が増えることになり、ユーザーに多大の負担をかけてしまうことになる。
そこで、上記注射針11cの異なる2箇所(例えば、先端部と根元部)の外径を計測する。そして、計測された注射針の外径が、2回とも、使用している注射針11cの外径(処方データ上の注射針の外径)に一致しない場合には、正しくない外径の注射針が用いられていると判断する。上記注射針11cの異なる2箇所とも液滴が付着することは稀であり、このような2回の計測を行うことで、実際の注射針11cの外径をほぼ確実に検知できる。
なお、1回目の計測で判断された注射針11cの外径が、使用する注射針11cの外径に一致しないと判断された場合にだけ、2回目の計測を実行してもよい。すなわち、1回目の計測で判断された注射針11cの外径が使用注射針11cの外径と一致する場合には、正しい注射針が使用されていると判断し、2回目の計測を実行しないとする処理を採用してもよい。また、上記注射針11cの先端側についての針曲がり検知を行う際に、この先端部の外径を同時に判断することとしてもよい。
上記注射器11に採取した輸液をバイアル瓶内に注入する場合、このバイアル瓶内の空気を抜く必要があり、例えば、上記第2ロボットアームは、上記注射器操作部26を用いて、上記注射器11のプランジャ11bを引く動作を行う。したがって、上記プランジャ11bが引けるだけの余裕を確保する必要があり、上記注射器11のシリンダ部11a内に、輸液を100%未満の量、採取する。例えば、上記シリンダ部11aに本目盛りと補助目盛りが切られていても、上記本目盛りの容量分しか採取しない。このような100%未満での採取による注入は、等圧注入といわれている。ここで、上記ロボットアームが、上記注射器11内に液体を採取する場合に、一律に等圧注入を実行するとすれば、上記ロボットアームの制御が簡易になる利点がある。
しかしながら、例えば、バイアル瓶内の薬液を上記注射器11内に採取し、この薬液を輸液バッグ12内に入れる場合、この輸液バッグはフレキシブルであるため、上記等圧注入を行う必要はない。すなわち、上記プランジャ11bが引けるだけの余裕を確保する必要のない所謂押し切り注入を採用することができる。換言すれば、制御の簡単化のために、上記押し切り注入が使える場面でも一律に等圧注入を実行すると、上記注射器11による採取回数が増加してしまい、混注時間が長くなる欠点がある。
そこで、上記押し切り注入が使える場合、例えば、上記輸液バッグ12に注入する薬液をバイアル瓶等から上記注射器11に採取するときには、上記ロボットアームに、上記注射器11のシリンダ部11a内に薬液を採取可能な量の範囲で採取する動作を実行させる。例えば、上記シリンダ部11aに本目盛りと補助目盛りが切られている場合、上記補助目盛り分を利用して液体を採取する。
また、上記ロボットアームによる混注動作中に何らかのエラーが発生したとき、混注動作を中断するようにしてもよい。この場合、ユーザーが上記主扉301を開けて、混注処理室104内に手を伸ばし、上記仮置き棚33に仮置きしている薬剤等を取り出すようにしてもよい。
しかしながら、上記薬剤等をユーザーが取り出すのでは、ユーザーに負担がかかる。また、ユーザーに薬剤が付くおそれもある。
そこで、例えば、上記ロボットアーム21は、上記仮置き棚33に仮置きされている薬剤等を把持して上記主扉301の近くに移動させるようにしてもよい。ユーザーは、上記主扉301を開けて、上記混注処理室104内に手を伸ばすことなく、上記ロボットアーム21から楽に薬剤等を受け取ることができる。なお、受け取ったときに、受け取り完了を示すボタン操作等をユーザーがすることで、受け取り完了を混注装置1に認識させるようにしてもよい。仮置きされている薬剤等が残っているかどうかは、混注装置1において把握できるので、仮置きされている薬剤等が無くなるまで、同様の動作を上記ロボットアームに実行させることができる。
なお、上記エラーが発生したときに、ユーザーが上記主扉301を開けて混注処理室104内の所定の位置に所定の回収籠を置き、上記主扉301を閉めて、回収指示を混注装置1に与えるようにしてもよい。回収指示を受けた混注装置1は、上記ロボットアームに、上記仮置き棚33に仮置きされている薬剤等を把持して上記回収籠に移動させる処理を実行させる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。