JP6476697B2 - ゼラチンを含有するナノ粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、ガレート型カテキンとゼラチンおよび乳清タンパク質からなる2種の動物性タンパク質を用いて製造されるナノ粒子に関する。更に詳しくは、重量比の最適化およびpHの選択によって、簡便な混合作業で製造できる胃酸耐性を有するナノ粒子に関する。
天然物由来のゼラチンは、豚や牛、魚の軟骨成分より抽出したタンパク質であり、食品のゲル化剤、増粘剤、安定剤等としての利用のほかにカプセル等の基材としてや止血剤等の医療分野でも利用されている。又、臭化カリウムと硝酸銀を加えた乳化コロイドは感光物質の保護コロイドとして用いられている。又、ゼラチンが水溶性であるという性質を利用し、有機溶媒に滴下することでマイクロカプセルを作製する技術も知られている。
更に、近年ゼラチンをナノ粒子化することにより、医薬品成分を目的の臓器や組織に提供するためのドラッグデリバリーシステム(DDS)に利用する技術開発が進んでいる。ゼラチンのような食品由来の成分を用いたナノ粒子は安全性の観点から優位性が高いと考えられる。例として、キトサンを用いたナノ粒子の製造方法(特許文献1,2,3)が挙げられる。
本発明者らも、製造の簡便性および原料コストでの優位性を見出したゼラチンとガレート型カテキンを組み合わせたナノ粒子の製造方法(特許文献4)を報告してきた。本発明者らの方法はガレート型カテキンをゼラチンに対するコアセルベータとして働かせる方法である。これは生理活性のある物質をナノ粒子形成物質として用いた初めての方法である。即ち、機能性で最も幅広く研究されているのがエピガロカテキンガレートに代表されるガレート型カテキンは、抗肥満作用や循環器系疾患予防作用、抗癌作用等幅広い生理機能を有していることが知られている。また、ガレート型カテキンには脂肪分解酵素であるリパーゼを阻害する作用を有するため、植物性油脂の効率的な抽出に用いる技術が報告されている(特許文献5)。また、本発明者らはガレート型カテキンとゼラチンの複合体化によりリパーゼ阻害剤を報告しており(特許文献6)、ナノ粒子形成物質としてのガレート型カテキンの用途のみならず、タンパク質の組み合わせによる生理活性の向上という有意性も見出されている。
ゼラチン以外を用いたナノ粒子の製造方法として牛血清アルブミンとガレート型カテキンを用いたナノ粒子(非特許文献1)が報告されている。一方本発明者らは製造の簡便性および原料コストで有意性を見出したホエイタンパク質とガレート型カテキンを組み合わせたナノ粒子の製造方法(特許文献7)を報告してきた。
これらのナノ粒子はその生体利用性に対して一定の効果が見込めるものの、本発明内での検討の結果、ガレート型カテキンとゼラチンもしくはホエイタンパク質を用いた2成分のナノ粒子では胃酸によるナノ粒子の変性が認められた。胃酸はpH1〜2の塩酸溶液である。ナノ粒子の生体利用性をより向上させるためには胃酸による変性を最小限にとどめる必要がある。
以上のことから、さらなる生体利用性の向上を目的としたナノ粒子の開発が求められている。
特許第5564200号公報 特開2009−090160号公報 米国特許第8,642,088号明細書 特願2014−160745号 特開2014−062192号公報 特開2013−082673号公報 特願2014−160749号
J.Agric.Food Chem.,2010,58,p6728−6734 EXCLI Journal,2014,13,p331−346
したがって、本発明は、平均粒子径が10〜200nmであり、優れた胃酸耐性を有することで、ガレート型カテキン、ゼラチンおよび乳清タンパク質という天然由来成分を組み合わせた生体利用性をより向上させたナノ粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記のようにナノ粒子が胃酸で凝集されたり消化されたりすることで所定の粒径を保てない現象を見出したことから、これらの現象を防ぐことで機能性成分の生体利用性を向上させるナノ粒子について鋭意検討した結果、ガレート型カテキンとゼラチンおよび乳清タンパク質という特定の動物性タンパク質を適切な条件下で混合するという非常に簡便な方法で、前記機能性成分を包含させる平均粒子径が10〜200nmのナノ粒子を作製することに成功し、しかもこのナノ粒子が優れた胃酸耐性を有することも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、
〔1〕ガレート型カテキンを固形分として0.1重量%以上、ゼラチンおよび乳清タンパク質からなる動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、ガレート型カテキンの固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が0.07〜8.0であり、且つ、2種の動物性タンパク質の重量比率が0.1:9.9〜2:8(ゼラチン:乳清タンパク質)であり、且つ、平均粒子径が10〜200nmであることを特徴とするナノ粒子、
〔2〕ガレート型カテキンと、動物性タンパク質とを混合して得られる混合液のpHを1.0〜8.0に調整することで作製される前記〔1〕に記載のナノ粒子、
〔3〕前記〔1〕または〔2〕記載のナノ粒子であり、胃酸耐性を有することを特徴とするナノ粒子
に関する。
本発明で得られるナノ粒子は、平均粒子径10〜200nmであり、体内への吸収性に優れた粒子径となっており、また、ガレート型カテキンならびにゼラチンおよび乳清タンパク質という2種の動物性タンパク質と包含することから、優れた機能性成分を含有したものであり、しかも前記の2種の動物性タンパク質を用いることにより胃酸耐性が顕著に向上されていることから、前記の機能性成分の生体利用性がより向上したナノ粒子である。
図1は、実施例1における本発明のナノ粒子の製造工程の概略説明図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のナノ粒子は、ガレート型カテキンを固形分として0.1重量%以上、ゼラチンおよび乳清タンパク質からなる動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、ガレート型カテキンの固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が0.07〜8.0であり、且つ、2種の動物性タンパク質の比率が0.1:9.9〜2:8(ゼラチン:乳清タンパク質)であり、且つ、平均粒子径が10〜200nmであることを特徴とする。
前記のような特徴を有することで、体内への吸収性に優れ、ガレート型カテキンおよび動物性タンパク質という機能性成分を含有し、しかも胃酸耐性が向上されていることから、優れた生体利用性を有するナノ粒子となっている。
なお、本発明でいう「胃酸耐性」とは、ナノ粒子が胃酸に晒されたときに、その平均粒子径が、凝集したり、溶解したりしないことをいい、具体的には後述の実施例に記載の試験にナノ粒子を供した場合に、ナノ粒子の平均粒子径が10〜200nmを超える範囲にならないことをいう。
また、本発明でいう「生体利用性」とは、ナノ粒子を経口で摂取したり、皮膚、粘膜等に塗布したりしたときにナノ粒子を構成するガレート型カテキンおよび動物性タンパク質等の機能性成分が体内に入る吸収性のことをいう。
本発明のナノ粒子の平均粒子径は、10〜200nmであり、機能性成分の分散安定性の観点から、好ましくは10〜100nmであり、より好ましくは20〜60nmである。
前記ナノ粒子の平均粒子径は、後述の実施例に記載のように、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)にて測定することができる。
本発明のナノ粒子は、ガレート型カテキンと、ゼラチンおよび乳清タンパク質からなる動物性タンパク質とを含有するものであり、ガレート型カテキンと、前記動物性タンパク質とを混合した混合液中でナノ粒子を形成させることで作製することができる。
ガレート型カテキンと、前記動物性タンパク質とは、いずれも粉体状態で混合した後に、溶媒を混合して混合液にしてもよいが、効率よくナノ粒子を形成させることができ、また、操作性に優れる観点から、ガレート型カテキン含有溶液または分散液と、前記動物タンパク質含有溶液または膨潤液とを混合し、得られる混合液中でナノ粒子を形成させることが好ましい。
(ガレート型カテキン含有溶液または分散液作製工程)
本発明のナノ粒子はその作製段階において、前記のガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物を、水または含水溶媒または有機溶媒に溶解または分散させて、ガレート型カテキン含有溶液または分散液を作製する。
本発明で用いるガレート型カテキンとしては、EGCg、ECg、GCg、Cgが挙げられる。前記ガレート型カテキンは、非重合体でも重合体でもよく、それらを混合しても、単独で使用してもよい。効率的な粒子形成の観点よりEGCgおよび/またはECgを含有することが好ましい。また、ガレート型カテキンを含む組成物も使用することができ、例えば、前記ガレート型カテキンを含む茶抽出物やコーヒー抽出物等が挙げられる。また、ナノ粒子の作製を効率よく行う面から、ガレート型カテキンを含む組成物中のガレート型カテキン量が20重量%以上のものが好ましく、30重量%以上のものがより好ましく、60重量%以上のものがさらに好ましい。
前記溶媒として使用する有機溶媒としては水と混和するものであればよく、特に限定はない。また、得られたナノ粒子の使用用途に適した溶媒を選択することが好ましく、例えば、食品用途に適した溶媒としては、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール等が挙げられ、医薬品用途に適した溶媒としては、上記に加えてメタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、前記溶媒として使用する含水溶媒とは、前記有機溶媒と水との混合溶媒をいう。
前記溶媒にガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物を溶解または分散させる手段としては、公知の手段であれば特に限定はない。例えば、ガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物を、前記溶媒に添加・混合することで、溶解または分散させることができる。また、前記溶解または分散させる際には、ガレート型カテキンの溶解性の観点から、前記溶媒の温度を20〜90℃に調整しておくことが好ましいが溶解もしくは分散すれば特に限定はない。
前記ガレート型カテキン含有溶液または分散液中のガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物の固形分値は平均粒子径10〜200nmのナノ粒子を効率的に作製する観点から、0.1〜24重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましいが、所望のナノ粒子が作製できれば、特に限定されることはない。
(動物性タンパク質含有溶液または膨潤液作製工程)
また、本発明のナノ粒子はその作製段階において、ゼラチンおよび乳清タンパク質という2種の動物性タンパク質を、水または含水溶媒または有機溶媒に溶解、分散または膨潤させて、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液を作製する。
本発明で用いる動物性タンパク質は、ガレート型カテキンとコアセルベートを形成可能なゼラチン、乳清タンパク質およびこれらの分解物等であればよい。
ゼラチンの由来は、豚、魚、ニワトリ等、および遺伝子組み換え体のいずれかを用いることができる。なお、牛骨または豚骨由来の動物性タンパク質は、500nm以下の粒子が一部形成されるものの、凝集および沈殿が起こりやすいため、本発明では使用することが難しい。ただし、牛骨または豚骨由来のタンパク質が含まれている動物性タンパク質であっても、平均粒子径10〜200nmのナノ粒子が作製できれば、特に限定はなく使用することができる。乳清タンパク質は乳が凝固した際に得られる可溶性タンパク質であり、好ましくは、ホエイプロテインアイソレート(WPI)もしくは加水分解ホエイペプチド(WPH)であり、より好ましくは乳より精製されたアルブミンおよびカゼインである。これらの動物性タンパク質は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。またタンパク質は乳化されていてもよい。
前記溶媒として使用する前記含水溶媒とは、水と混和する有機溶媒をいう。また、有機溶媒としては水と混和するものであれば特に限定はされないが、得られたナノ粒子の使用用途に適した溶媒を選択することが好ましく、例えば、食品用途に適した溶媒としてはグリセリン、プロピレングリコール、エタノール等が上げられ、医薬品用途に適した溶媒としては上記に加えてメタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
前記溶媒に前記動物性タンパク質を溶解、分散または膨潤させる手段としては、公知の手段であれば特に限定はない。例えば、前記動物性タンパク質を、前記溶媒に添加・混合することで、溶解、分散または膨潤させることができる。なお、膨潤とは、動物性タンパク質に水、含水溶媒もしくは有機溶媒を添加してゲル状にすることをいう。また、前記溶解、分散または膨潤させる際には、効率的に溶解または膨潤させる観点から、前記溶媒の温度を20〜90℃に調整しておくことが好ましい。
前記動物性タンパク質含有溶液または膨潤液中の動物性タンパク質の固形分値は、平均粒子径10〜200nmのナノ粒子を効率的に作製する観点から、0.1〜19重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましいが、所望のナノ粒子が作製できれば、特に限定されることはない。
なお、ゼラチンを使用する場合、前記固形分値が20重量%以上であれば液の粘度の上昇により扱いにくくなる。
2種の動物性タンパク質は個別に溶解、分散もしくは膨潤させてから混合してもよく、2種のタンパク質を粉末で混合してから溶解、分散、もしくは膨潤させてもよい。
(ナノ粒子作製工程)
本発明のナノ粒子は、前記ガレート型カテキン含有溶液または分散液と、前記動物性タンパク質含有溶液または膨潤液とを混合し、得られる混合液中で形成させる。
本工程における前記ガレート型カテキン含有溶液または分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液の混合方法は、均一に混合可能であればよく、静置している前記ガレート型カテキン含有溶液または分散液に前記動物性タンパク質含有液または膨潤液を添加する方法、静置している前記動物性タンパク質含有液または膨潤液に前記ガレート型カテキン含有溶液または分散液を添加する方法、前記混合方法として攪拌しながら添加する方法、ホモジナイズしながら添加する方法等が使用可能であるが、特に限定はない。
また、必要に応じて、混合液を作製する際に、水等の溶媒を添加してもよい。
また、前記ガレート型カテキン、前記動物性タンパク質を粉体混合した場合には、この粉体混合物に前記溶媒を混合することで混合液を作製し、この混合液中でナノ粒子を形成させてもよい。
本工程において、混合する際の温度等の条件については、成分の大幅な変化等が生じず、均一に混合可能な条件であればよく、使用する成分に適した温度であればよい。例えば、ゼラチンであれば低温であると溶液の粘度が上昇し、濃度が数%以上等と高い場合、均一に混合することが困難となることから、50℃以上であることが好ましい。さらに、高温の場合、成分の変化が起こりやすくなるため、50〜100℃がより好ましく、さらに好ましくは、50〜90℃がよい。
本工程では、前記混合液中のガレート型カテキンの固形分と2種の動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が0.07〜8.0であり、且つ、2種の動物性タンパク質であるゼラチンと乳清タンパク質の比率(ゼラチン:乳清タンパク質)が0.1:9.9〜2:8となるように調整する。前記の範囲に比率を調整することで、平均粒子径10〜200nmのナノ粒子を効率よく得ることができるのに加えて、ナノ粒子の胃酸耐性を向上させることができる。
ガレート型カテキンと動物性タンパク質の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が8.0を超え、且つ、2種の動物性タンパク質の混合比率(ゼラチン:乳清タンパク質)が2:8を超える場合、200nm以下のナノ粒子が一部生成されるが、平均粒子径としては200nmを超える。また、前記ガレート型カテキンと動物性タンパク質の重量比が0.07未満である。
また、前記混合液のpHは、1.0〜8.0に調整することが好ましい。pHが1.0より低すぎるとナノ粒子が溶解してしまったり、粒子径が大きくなったりする。このように低いpHでナノ粒子の粒子径を調整した報告はほとんどない。一方、pHが8.0より高いと、一時的に粒子を形成するが、凝集、沈殿が生じやすい。また、pH8を超えるとガレート型カテキンの安定性が減少するため効率的なナノ粒子を形成させることができない。前記混合液のpHは1.5〜6.0がより好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
前記pHの調整には、ナノ粒子の使用用途に応じて、使用可能な酸を選択すればよい。例えば、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸、トリフルオロ酢酸のような有機酸、塩酸、過塩素酸、炭酸のような無機酸、または緩衝液等で調整することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、前記混合液のpHを調整するには、例えば、ガレート型カテキン含有溶液または分散液と、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液のpHを予め調整してもよい。このように予めpHを調整することで、ガレート型カテキン含有溶液または分散液と、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液を混合するだけでも、混合液のpHを1.0〜8.0の範囲に調整することができる。また、ガレート型カテキン、動物性タンパク質を粉体混合する場合、この粉体混合物中に前記pH調整用の酸等を混合し、その後に溶媒を混合してもよい。
前記のようにpHを1.0〜8.0の範囲に調整した混合液中において、ガレート型カテキンと動物性タンパク質とがコアセルベートを形成し、このコアセルベート中に平均粒子径10〜200nmのナノ粒子が生じる。
前記混合液中においては、効率的にナノ粒子を作製する観点から、ガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物由来の固形分を0.1重量%以上、ゼラチン、乳清タンパク質およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも2種の動物性タンパク質由来の固形分を0.1重量%以上含有する。また、前記ガレート型カテキンまたはガレート型カテキンを含む組成物由来の固形分および動物性タンパク質由来の固形分の合計量は、0.28重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましく、1.8重量%以上が最も好ましい。
前記のようにして得られるナノ粒子の含有液は、ナノ粒子を濃縮したり、精製したりするために、限外濾過、透析等を施してもよい。透析をすれば、粒子化していない成分を分離しやすい。限外濾過膜としては例えばペンシル型UF膜(旭化成社製)、透析膜としてはSnakeSkin(ピアス社製)が挙げられる。これ以外にもナノ粒子を失わずに限外ろ過および透析ができれば特に限定はない。
以上のようにして得られる本発明のナノ粒子は、食品に利用可能な条件(具体的には、食品に利用可能な溶媒等を用いた場合)で作製した場合は、飲食品に配合してもよい。飲食品としては特に限定されず、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子、機能性食品、健康食品、健康志向食品等が挙げられる。保存性、携帯性、摂取の容易さ等を考慮すると、菓子類が好ましく、菓子類の中でも、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット、チューイングガム等が好ましい。
前記ナノ粒子を飲食品に配合する場合、ナノ粒子の飲食品における含有量は、その生理活性効果が期待できる量であればよい。通常1日あたり10〜10000mg、より好ましくは100〜3000mg摂取できるように配合量を決定することが好ましい。例えば、固形状食品の場合には5〜50重量%、飲料等の液状食品の場合には0.01〜10重量%が好ましい。
また、本発明のナノ粒子は、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤または飼料に配合してもよい。飼料としては、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフードが挙げられる。
本発明のナノ粒子は医薬品に配合してもよい。前記医薬品としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、ゲル剤等が挙げられる。錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりすることもできる。または胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
本発明のナノ粒子を医薬用途で使用する場合、例えば、その摂取量は、所望の改善、治療または予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
本発明のナノ粒子は医薬部外品に配合してもよい。前記医薬部外品としては、口腔に用いられる医薬部外品、例えば、歯磨き、マウスウオッシュ、マウスリンスや、感染症予防等を目的とした滋養強壮系ドリンク剤等が挙げられる。
本発明のナノ粒子を医薬部外品に添加する場合には、該医薬部外品中に、通常0.001〜30重量%添加するのが好ましい。
本発明のナノ粒子は化粧品に配合してもよい。前記化粧品としては、ローション、乳液、クリーム、パック剤、仕上げ化粧品、頭髪用化粧品、洗顔剤、浴剤、制汗剤等が挙げられる。これらの化粧品では、抗酸化効果から美容効果が期待され、抗菌効果から防菌の目的で利用することができる。
また、本発明のナノ粒子を化粧品として使用する場合には、化粧品中に0.1ppm〜2000ppmの濃度となるようにするのが好ましい。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)ゼラチンを含有するナノ粒子作製
図1に示す手順で、ナノ粒子を作製した。まず、ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製、商品名:G微粉、豚皮由来)1gをに水9gを加え、55℃で加熱してゼラチン水溶液を作製した。次いで、乳清タンパク質(日本新薬機能食品カンパニー製、商品名:エンラクトSAT)9gに水860gを加え、さらに前記ゼラチン水溶液を全量添加して55℃で加熱しながら撹拌して動物性タンパク質溶液879gを作製した。
緑茶抽出物(ガレート型カテキン(以下Gカテキンと記載)含量67重量%)18gと水82gを混合し、55℃で加熱しながら溶解させてガレート型カテキン含有水溶液100gを作製した。
次いで、55℃に加温している水50g中に前記動物性タンパク質水溶液879gを添加混合し、加温を続けながら、さらに前記ガレート型カテキン含有水溶液100gを添加した。次いで、これにクエン酸50gを添加して90℃に昇温して20分加熱しながら撹拌・混合して混合液中でナノ粒子を形成させた(混合液のpHは2.4であった。)。
その後、室温まで冷却し、透析膜(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、商品名「SnakeSkin」)で透析を行った。得られた透析内液を限外ろ過にて濃縮し、ナノ粒子含有液を作製した。得られたナノ粒子含有液のpHは6.3であり、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、商品名「DelsaMax PRO」)にて測定した平均粒子径は120nmであった。
(実施例2)ナノ粒子の胃酸耐性試験
ナノ粒子の胃酸耐性評価のために人工胃酸を用いた胃酸耐性試験を行った。
具体的には、ゼラチンと乳清タンパク質比率(ゼラチン:乳清タンパク質)の0.1:9.9〜2:8となるように4段階で調整した以外は実施例1と同様にして作製したナノ粒子、エンラクトSAT(ホエイタンパク質)とガレート型カテキンを用いた以外は実施例1と同様にして作製したナノ粒子(比較品1)、ゼラチンとガレート型カテキンを用いた以外は実施例1と同様にして作製したナノ粒子(比較品2)、ゼラチンと乳清タンパク質の比を3:7に調整した以外は実施例1と同様にして作製したナノ粒子(比較品3)の含有液をそれぞれ得た。
次いで、得られた各ナノ粒子含有液100μLを人工胃酸(和光純薬社製)1mLに添加し、室温で10分静置した。静置後にゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、商品名「DelsaMax PRO」)にて粒子径を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006476697
表1に示すように、ゼラチンと乳清タンパク質という2種の動物性タンパク質を用い、これらの比率(ゼラチン:乳清タンパク質)の0.1:9.9〜2:8となるように調整して得られたナノ粒子(本発明品)は、いずれも作製時の平均粒子径が10〜200nmの範囲内になり、しかも胃酸暴露後も10〜200nmの範囲内に平均粒子径が維持されており、胃酸耐性が優れていることが分かる。
これに対して、ゼラチンを含まない比較品1はナノ粒子の形成はできるものの、胃酸暴露後には凝集してしまい、ナノ粒子ではなくなっている。
乳清タンパク質を含まない比較品2もナノ粒子の形成はできるものの、胃酸暴露後には消化されてナノ粒子が消滅している。
ゼラチン:乳清タンパク質の比率を3:7に調整した比較品3では凝集してしまいナノ粒子とはならない。
以上のことから、ガレート型カテキンを固形分として0.1重量%以上、ゼラチンおよび乳清タンパク質からなる動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、ガレート型カテキンの固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が0.07〜8.0であり、且つ、2種の動物性タンパク質の比率が0.1:9.9〜2:8(ゼラチン:乳清タンパク質)であり、且つ、平均粒子径が10〜200nmであるナノ粒子は、優れた胃酸耐性を有しており、腸内においても平均粒子径が10〜200nmの範囲内に維持されているナノ粒子として存在しているために体内への吸収性がよいと予想される。そして、前記のように胃酸耐性が顕著に向上されていることから、ガレート型カテキン、ゼラチンおよび乳清タンパク質という機能性成分の生体利用性がより向上したナノ粒子であるといえる。

Claims (3)

  1. ガレート型カテキンを固形分として0.1重量%以上、ゼラチンおよび乳清タンパク質からなる動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、ガレート型カテキンの固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/ガレート型カテキン)が0.07〜8.0であり、且つ、2種の動物性タンパク質の重量比率が0.1:9.9〜2:8(ゼラチン:乳清タンパク質)であり、且つ、平均粒子径が10〜200nmであることを特徴とするナノ粒子。
  2. ガレート型カテキンと、動物性タンパク質とを混合して得られる混合液のpHを1.0〜8.0に調整することで作製される請求項1に記載のナノ粒子。
  3. 請求項1または2記載のナノ粒子であり、胃酸耐性を有することを特徴とするナノ粒子。


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