JP6414443B2 - 天然物由来成分を基材とするナノ粒子 - Google Patents

天然物由来成分を基材とするナノ粒子 Download PDF

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Description

本発明は、タンニン酸とゼラチン、コラーゲンおよびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質からなるナノ粒子に関する。
天然物由来のゼラチンは、豚や牛、魚の軟骨成分より抽出したタンパク質であり、食品のゲル化剤、増粘剤、安定剤等としての利用のほかにカプセル等の基材として止血剤等の医療分野でも利用されている。また、臭化カリウムと硝酸銀を加えた乳化コロイドは感光物質の保護コロイドとして用いられている。また、ゼラチンが水溶性であるという性質を利用し、有機溶媒に滴下することでマイクロカプセルを作製する技術も知られている。
更に、近年ゼラチンをナノ粒子化することにより、医薬品成分を目的の臓器や組織に提供するためのドラッグデリバリーシステム(DDS)に利用する技術開発が進んでいる。ゼラチンのような食品由来の成分を用いたナノ粒子は安全性の観点から優位性が高いと考えられる。例として、キトサンと併用したナノ粒子の製造方法が挙げられる(特許文献1,2,3)。
様々な植物に含まれるタンニン酸は収れん作用、抗炎症作用、粘膜保護作用、抗酸化作用などの優れた機能を有しており、毛穴引き締め効果を目的として化粧品等に利用されている。しかし、タンニン酸は、その収れん作用から摂取すると強い苦味や渋味を発現する。したがって、タンニン酸を含有する食品を調整するに際し、苦味や渋味の制御は、当業者において大きな課題となっている。
これまでに、ポリフェノールのカプセル化技術に関する報告もある(非特許文献1)。しかし、この報告についてもほとんどがマイクロスケールであり、ナノ粒子とは異なる性質であると考えられる。
一方、本発明者らは、これまでに、ガレート型カテキンの苦味、渋味の改善に関する研究の結果、分子量4000以上の水溶性コラーゲンと水溶性大豆食物繊維によって、ガレート型カテキンの苦渋味や不快味が低減されることを見出し、報告している(特許文献4)。また、ガレート型カテキンとゼラチンやコラーゲンを用いることでナノ粒子が作製できることを報告している(特許文献5)。しかし、ガレート型カテキンとゼラチンを用いることで100nm以下のナノ粒子を作製できるものの、ガレート型カテキンは食品原料としては高価であり、ナノ粒子の製造において大きな障害となる。
また、タンニン酸を用いたナノ粒子としては特許文献3がこれまでに報告されているが、タンパク質との組み合わせによるナノ粒子についての報告はこれまでにない。
以上のことから、新たな組み合わせによるより簡便な方法で、実用性に富み、食品にも利用可能な平均粒子径100nm以下のナノ粒子を作製することが望まれていた。
特許第05564200号公報 特開2009−090160号公報 米国特許第8,642,088号明細書 特開2013−000073号公報 特願2014−160745号公報
Pharmaceutics 2011,3,793−829
したがって、本発明は、タンニン酸と動物性タンパク質という天然物を構成原料とするナノ粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、食品にも利用可能なナノ粒子について鋭意検討した結果、タンニン酸と動物性タンパク質を適切な条件下で混合するという非常に簡便な方法で、タンニン酸と動物性タンパク質とのコアセルベートを形成し、天然物由来の原料からなる平均粒子径100nm以下のナノ粒子を作製することに成功した。
本発明の要旨は、
〔1〕タンニン酸を固形分として0.1重量%以上、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、タンニン酸の固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/タンニン酸)が0.05〜8.0であり、且つ、平均粒子径が10〜100nmであることを特徴とするナノ粒子、
〔2〕前記タンニン酸と、前記動物性タンパク質とを混合して得られる混合液のpHを1.0〜8.0に調整することで作製される前記〔1〕に記載のナノ粒子、
〔3〕前記動物性タンパク質の平均分子量が39000以上である前記〔1〕または〔2〕記載のナノ粒子、
〔4〕前記動物性タンパク質が豚骨由来タンパク質および牛骨由来タンパク質以外の動物性タンパク質である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のナノ粒子、
〔5〕固形分値0.2〜1.0重量%に調整したナノ粒子含有液を、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)を用い、分析設定を水として得られるゼータ電位の絶対値が10mV以上である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のナノ粒子
に関する。
本発明のナノ粒子は、タンニン酸および動物性タンパク質という天然物由来の原料からなる。
図1は、実施例4で算出した動物性タンパク質の平均分子量(x)と、ナノ粒子の平均粒子径(y)の関係を示すグラフである。動物性タンパク質の平均分子量が大きいほど粒子径が小さくなることが分かる。
以下、本発明について詳細に説明する。
タンニン酸を固形分として0.1重量%以上、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、タンニン酸の固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/タンニン酸)が0.05〜8.0であり、且つ、平均粒子径が10〜100nmであることを特徴とする
本発明のナノ粒子の平均粒子径は、10〜100nmであり、体内への吸収性および、製造性が良好である観点から、好ましくは10〜90nmであり、より好ましくは20〜80nmであり、特に好ましくは、30〜70nmであり、さらに好ましくは、30〜60nmである。
前記ナノ粒子の平均粒子径は、後述の実施例に記載のように、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)にて測定することができる。
本発明でいう天然物由来成分とは、原料である、タンニン酸またはタンニン酸を含む組成物、および動物性タンパク質がともに天然物を由来とする成分であることを示す。なお、前記原料として試薬等を使用する際にも、その試薬が天然物由来であればよい。
本発明のナノ粒子は、タンニン酸と、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質を含有するものであり、タンニン酸と、前記動物性タンパク質とを混合した混合液中でナノ粒子を形成させることができる。
タンニン酸と、前記動物性タンパク質とは、いずれも粉体状態で混合した後に、溶媒を混合して混合液にしてもよいが、効率よくナノ粒子を形成させることができ、また、操作性に優れる観点から、タンニン酸含有溶液または分散液と、前記動物タンパク質含有溶液または膨潤液とを混合し、得られる混合液中でナノ粒子を形成させることが好ましい。以下に、製造方法の各工程について説明する。
(タンニン酸含有溶液または分散液作製工程)
本工程では、前記タンニン酸またはタンニン酸を含む組成物を、水または含水溶媒または有機溶媒に溶解または分散させて、タンニン酸含有溶液または分散液を作製する。
本発明で用いるタンニン酸としては、加水分解型タンニンが挙げられる。前記タンニン酸は、混合物でも、単独で使用してもよい。効率的な粒子形成の観点より加水分解型タンニンを90%以上含有することが好ましい。
また、本発明で用いるタンニン酸を含む組成物としては、例えば、前記タンニン酸を含む五倍子等が挙げられる。また、ナノ粒子作製の効率の面から、組成物中のタンニン酸量が20重量%以上のものが好ましく、さらに好ましくは、30重量%以上のもの、より好ましくは60重量%以上のものがよい。
前記溶媒として使用する有機溶媒としては水と混和するものであれば特に限定はされないが、得られたナノ粒子の使用用途に適した溶媒を選択することが好ましく、例えば、食品としてはグリセリン、プロピレングリコール、エタノール等が挙げられ、医薬品としては上記に加えてメタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、前記溶媒として使用する含水溶媒とは、前記有機溶媒と水との混合溶媒をいう。
前記溶解または分散させる手段としては、公知の手段であれば特に限定はない。例えば、タンニン酸またはタンニン酸を含む組成物を、前記溶媒に添加・混合することで、溶解または分散させることができる。また、前記溶解または分散させる際には、タンニン酸の溶解性の観点から、前記溶媒の温度を20〜90℃に調整しておくことが好ましいが溶解もしくは分散すれば特に限定はない。
前記タンニン酸含有溶液または分散液中のタンニン酸またはタンニン酸を含む組成物の固形分値は平均粒子径100nm以下のナノ粒子を効率的に作製する観点から、0.1〜24重量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜20重量%であることが好ましいが、所望のナノ粒子が作製できれば、特に限定されることはない。
(動物性タンパク質含有溶液または膨潤液作製工程)
本工程では、前記動物性タンパク質を、水または含水溶媒または有機溶媒に溶解または膨潤させて、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液を作製する。
本発明で用いる動物性タンパク質は、タンニン酸とコアセルベートを形成可能なゼラチン、コラーゲンペプチド、およびこれらの分解物などであればよい。動物性タンパク質の由来は、牛、豚、魚、ニワトリ等、および遺伝子組み換え体のいずれかを用いることができ、これらの由来のタンパク質は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、牛骨または豚骨由来の動物性タンパク質は、100nm以下の粒子が一部形成されるものの、その平均粒子径が100nmを超える大きさになるため、本発明では使用することが難しい。
ただし、牛骨または豚骨由来のタンパク質が含まれている動物性タンパク質であっても、平均粒子径100nm以下のナノ粒子が作製できれば、特に限定はなく使用することができる。
前記動物性タンパク質は、例えばゼラチンを用いて作製したときに得られる粒子径のグラフから、得られるナノ粒子の平均粒子径が100nmとなるよう、平均分子量39000以上が好ましく、より好ましくは50000以上、さらに好ましくは100000以上である。また、動物性タンパク質の平均分子量の上限については、市販される動物性タンパク質の平均分子量の範囲であればよく、特に限定はない。
前記溶媒として使用する前記含水溶媒とは、水と混和する有機溶媒をいう。また、有機溶媒としては水と混和するものであれば特に限定はされないが、得られたナノ粒子の使用用途に適した溶媒を選択することが好ましく、例えば、食品としてはグリセリン、プロピレングリコール、エタノール等が上げられ、医薬品としては上記に加えてメタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
前記溶解または膨潤させる手段としては、公知の手段であれば特に限定はない。例えば、前記動物性タンパク質を、前記溶媒に添加・混合することで、溶解または膨潤させることができる。
なお、膨潤とは、動物性タンパク質に水、含水溶媒もしくは有機溶媒を添加してゲル状にすることをいう。
また、前記溶解または膨潤させる際には、効率的に溶解または膨潤させる観点から、前記溶媒の温度を20〜90℃に調整しておくことが好ましい。
前記動物性タンパク質含有溶液または膨潤液中の動物性タンパク質の固形分値は、平均粒子径100nm以下のナノ粒子を効率的に作製する観点から、0.1〜19重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜10重量%であるが、所望のナノ粒子が作製できれば、特に限定されることはない。
なお、ゼラチンを使用する場合、前記固形分値が20重量%以上であれば液の粘度の上昇により扱いにくくなる。
(ナノ粒子含有液作製工程)
本工程では、前記タンニン酸含有溶液又は分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液とを、前記タンニン酸の固形分と前記動物性タンパク質の固形分との重量比(動物性タンパク質/タンニン酸)が、0.05〜8.0となるように混合し、pH1.0〜8.0に調整した混合液中でナノ粒子を形成させてナノ粒子含有液を作製する。
本工程における前記タンニン酸含有溶液又は分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液との混合方法としては、均一に混合可能であればよく、静置している前記タンニン酸含有溶液又は分散液に前記動物性タンパク質含有液または膨潤液を添加する方法、その逆の添加方法、攪拌しながら添加する方法、ホモジナイズしながら添加する方法、予め水をそれぞれの液に混合する方法、等が使用可能であるが、特に限定はない。
本工程において、混合する際の温度などの条件については、成分の大幅な変化などが生じず、均一に混合可能な条件であればよく、使用する成分に適した温度であればよい。例えば、ゼラチンの場合、低温であると溶液の粘度が上昇し、濃度が数%以上などと高い場合、均一に混合することが困難となることから、50℃以上であることが好ましい。さらに、高温の場合、成分の変化が起こりやすくなるため、50〜80℃がより好ましく、さらに好ましくは、50〜70℃がよい。
また、本工程では、前記タンニン酸含有溶液又は分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液との量として、前記タンニン酸の固形分と前記動物性タンパク質の固形分との重量比(動物性タンパク質/タンニン酸)が8.0を超える場合、100nm以下の粒子が一部生成されるが、平均粒子径としては100nmを超える。また、前記重量比が0.05未満であっても同様である。前記重量比については、上限値が7.0以下であることが好ましい。
また、前記タンニン酸含有溶液又は分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液との混合液のpHは、1.0〜8.0であり、2.0〜6.0が好ましく、2.5〜4.0がさらに好ましい。前記混合液のpHが1.0より低すぎるとナノ粒子が溶解してしまったり、粒子径が大きくなったりする。このように低いpHでナノ粒子の粒子径を調整した報告はほとんどない。一方、前記混合液のpHが8.0より高いと、一時的にナノ粒子を形成するが、凝集、沈殿が生じやすい。また、pH8.0以上ではタンニン酸の安定性が減少するため効率的なナノ粒子を形成させることができない。
前記混合液のpHの調整には、ナノ粒子の使用用途に応じて、使用可能な酸であれば特に制限はない。例えば、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸、トリフルオロ酢酸のような有機酸、塩酸、過塩素酸、炭酸のような無機酸、又は緩衝液、などで調整することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。得られたナノ粒子を医薬品、化粧品、食品等に利用する場合は、それぞれの使用用途に適した酸を選択することが好ましい。
なお、前記混合液のpHを調整するには、タンニン酸含有溶液または分散液と、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液のpHを予め調整してもよい。このように予めpHを調整することで、タンニン酸含有溶液または分散液と、動物性タンパク質含有溶液または膨潤液を混合するだけでも、混合液のpHを1.0〜8.0の範囲に調整することができる。
前記のようにpHを1.0〜8.0の範囲に調整した混合液中において、タンニン酸と動物性タンパク質とがコアセルベートを形成し、このコアセルベート中に平均粒子径10〜100nmのナノ粒子が生じる。
前記混合液中においては、効率的にナノ粒子を作製する観点から、タンニン酸またはタンニン酸を含む組成物由来の固形分を0.1重量%以上、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質由来の固形分を0.1重量%以上含有するように調整する。また、前記タンニン酸またはタンニン酸を含む組成物由来の固形分および動物性タンパク質由来の固形分の合計量は、0.28重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましく、1.8重量%以上が最も好ましい。
なお、前記タンニン酸含有溶液又は分散液と、前記動物性タンパク質含有液または膨潤液との混合時に所望の濃度となるよう調整してもよく、ナノ粒子を作製した後に濃縮してもよい。
前記のようにして作製されるナノ粒子は、前記ナノ粒子含有液の状態で使用することができる。また、前記ナノ粒子含有液に限外濾過、透析等を施してもよい。透析をすれば、粒子化していない成分を分離してより精製されたナノ粒子とすることができる。限外濾過膜としては例えばペンシル型UF膜(旭化成社製)、透析膜としてはSnakeSkin(ピアス社製)が挙げられる。これ以外にもナノ粒子を失わずに限外ろ過および透析ができれば特に限定はない。
本発明のナノ粒子は、安定性に優れたものである。例えば、ナノ粒子の安定性を示す指標にナノ粒子表面のゼータ電位を測定する方法が知られており、このゼータ電位の絶対値が大きいほど安定性に優れるといえる。例えば、本発明のナノ粒子としては、固形分値0.2〜1.0重量%に調整したナノ粒子含有液を、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)を用い、分析設定を水として得られるゼータ電位の絶対値が10mV以上であるものが好ましい。
なお、測定時におけるナノ粒子含有液の溶媒は、水、含水溶媒、有機溶媒のいずれでもよいが、測定誤差などが生じにくい観点から、水または含水溶媒であることが好ましい。
本発明のナノ粒子は、食品に利用可能な条件で作製した場合は、飲食品に配合してもよい。飲食品としては特に限定されず、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子、機能性食品、健康食品、健康志向食品等が挙げられる。保存性、携帯性、摂取の容易さ等を考慮すると、菓子類が好ましく、菓子類の中でも、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット、チューイングガム等が好ましい。
前記ナノ粒子を飲食品に配合する場合、ナノ粒子の飲食品における含有量は、その生理活性効果が期待できる量であればよい。通常1日あたり10〜10000mg、より好ましくは100〜3000mg摂取できるように配合量を決定することが好ましい。例えば、固形状食品の場合には5〜50重量%、飲料等の液状食品の場合には0.01〜10重量%が好ましい。
また、本発明のナノ粒子は、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤又は飼料に配合してもよい。飼料としては、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフードが挙げられる。
本発明のナノ粒子は、医薬品に配合してもよい。前記医薬品としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、ゲル剤等が挙げられる。錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりすることもできる。又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
本発明のナノ粒子を医薬用途で使用する場合、例えば、その摂取量は、所望の改善、治療又は予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
本発明のナノ粒子は、医薬部外品に配合してもよい。前記医薬部外品としては、口腔に用いられる医薬部外品、例えば、歯磨き、マウスウオッシュ、マウスリンスや、感染症予防等を目的とした滋養強壮系ドリンク剤等が挙げられる。
本発明のナノ粒子を医薬部外品に添加する場合には、該医薬部外品中に、通常0.001〜30重量%添加するのが好ましい。
本発明のナノ粒子は、化粧品に配合してもよい。前記化粧品としては、ローション、乳液、クリーム、パック剤、仕上げ化粧品、頭髪用化粧品、洗顔剤、浴剤、制汗剤等が挙げられる。これらの化粧品では、抗酸化効果から美容効果が期待され、抗菌効果から防菌の目的で利用することができる。
また、本発明のナノ粒子を化粧品として使用する場合には、化粧品中に0.1ppm〜2000ppmの濃度となるようにするのが好ましい。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)タンニン酸と動物性タンパク質によるナノ粒子作製の検討
G微粉(豚皮由来)、APH−250(豚皮由来)、FGL−250(魚由来)、GBL−250(豚骨由来)、A330(牛骨由来)、#250(牛骨由来)(いずれも新田ゼラチン株式会社製)、ニワトリゼラチン(鶏由来、日本ハム社製)などの平均分子量39000以上の動物性タンパク質0.1gを、50℃の水に溶かした7種類の動物性タンパク質含有水溶液をそれぞれ90gずつ作製した。
一方、タンニン酸(商品名:タンニン酸AL、富士化学工業社製)0.18gを50℃の水に溶かしたタンニン酸含有水溶液10gを7つ作製した。
次いで、7種類の前記動物性タンパク質含有水溶液90gに対して、それぞれタンニン酸含有水溶液10gを加え、混合したところ、いずれも凝集・沈殿のないコロイド状薄白色液体100g(pH3.2)となった。得られた液体の粒子の平均粒子径とゼータ電位を、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)にて測定した。結果を表1に示す。なお、ゼータ電位および平均粒子径は、分析設定を水として測定した。
Figure 0006414443
表1の結果より、豚皮、魚、鶏などに由来する動物性タンパク質とタンニン酸とを混合することで100nm以下のナノ粒子が作製できることが分かる。また、豚皮、魚、鶏などに由来する動物性タンパク質を用いると、ゼータ電位の絶対値が19〜46mVと大きくなっており、安定性に優れることがわかった。
一方、豚骨および牛骨由来の動物性タンパク質を用いた場合には、理由は不明であるが粒子の平均粒子径は100nmを超えるものとなった。
(実施例2)動物性タンパク質とタンニン酸比率の検討
ナノ粒子作製においての動物性タンパク質とタンニン酸比率検討のために、混合するゼラチンとタンニン酸の比率のみを変更して実施例1に準じた方法で平均粒子径を測定した。ゼラチンとしてはG微粉を用いた。結果は表2に示す。なお、表中の「G微粉」、「タンニン酸」の数値の単位はいずれも重量%である。
Figure 0006414443
表2の結果より、動物性タンパク質の固形分(b)とタンニン酸の固形分(a)との比率((b)/(a))が0.05〜8.0の範囲内において100nm以下のナノ粒子が形成されていることが分かる。
(実施例3)pHの検討
ナノ粒子作製においてのpH検討のために、実施例1に準じた方法にてナノ粒子を作製し、その後、クエン酸、アンモニア水で混合液のpHを調整して平均粒子径を測定した。ゼラチンとしてはG微粉を用い、動物性タンパク質の固形分とタンニン酸の固形分の混合する重量比率は0.56とした。結果を表3に示す。
Figure 0006414443
表3の結果より、混合液のpHを1.9〜8.0に調整することで、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子が得られることがわかる。
(実施例4)分子量の検討
ナノ粒子作製におけるタンパク質の分子量検討のために、動物性タンパク質として3種類のコラーゲンペプチド(1)商品名:HBC―P20、新田ゼラチン株式会社製、分子量20000、(2)商品名:SCP―5200、新田ゼラチン株式会社製、分子量5000、(3)商品名:SCP―2000、新田ゼラチン株式会社製、分子量2000およびG微分(平均分子量100000)を用い、実施例1に準じた方法にて3種類のナノ粒子を作製した。動物性タンパク質の固形分とタンニン酸の固形分の混合する重量比率は0.55とした。結果を図1に示す。
図1に示す結果より、動物性タンパク質の平均分子量と、ナノ粒子の平均粒子径との間には、逆相間(相関係数0.938)の関係にあることが分かり、以下の公式が見出された。
公式:平均粒子径=(130331×平均分子量)−0.7246
そして、100nm以下の粒子を形成する平均分子量を算出するために、前記公式にナノ粒子の平均粒子径100nmを代入したところ、動物性タンパク質の平均分子量が39000と算出されたことから、平均分子量が39000以上のタンパク質を使用することで100nm以下のナノ粒子が形成できることが分かる。

Claims (5)

  1. タンニン酸を固形分として0.1重量%以上、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの分解物から選ばれる少なくとも1種の動物性タンパク質を固形分として0.1重量%以上含有し、且つ、タンニン酸の固形分と前記動物性タンパク質の固形分の重量比(動物性タンパク質/タンニン酸)が0.05〜8.0であり、且つ、平均粒子径が10〜100nmであることを特徴とするナノ粒子。
  2. 前記タンニン酸と、前記動物性タンパク質とを混合して得られる混合液のpHを1.0〜8.0に調整することで作製される請求項1に記載のナノ粒子。
  3. 前記動物性タンパク質の平均分子量が39000以上である請求項1または2記載のナノ粒子。
  4. 前記動物性タンパク質が豚骨由来タンパク質および牛骨由来タンパク質以外の動物性タンパク質である請求項1〜3のいずれかに記載のナノ粒子。
  5. 固形分値0.2〜1.0重量%に調整したナノ粒子含有液を、ゼータ電位・ナノ粒子径測定システム(ベックマン・コールター株式会社製、「DelsaMax PRO」)を用い、分析設定を水として得られるゼータ電位の絶対値が10mV以上である請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子。
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