JP6474333B2 - 水中電動ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、水中電動ポンプに関するものである。
従来、ポンプ室の圧力水がモータ内へ侵入することのないように、ポンプ室とモータとの間にメカニカルシールが設けられたオイル室を備えた小型の水中電動ポンプが知られている。しかし、この水中電動ポンプでは、メカニカルシールの摺動部の摩耗や面荒れにより、摺動部からオイル室に入った圧力水やオイル等がモータ内へ流入することがあるという不都合がある。
そこで、圧力水やオイル等がモータ内へ流入するのを防止するため、オイル室内に浸水検出センサを設置して、オイル室内への浸水を検知することにより、モータへの通電を遮断する水中ポンプ(水中電動ポンプ)が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、ポンプ室の圧力水やオイル室内のオイルをモータ内へ浸入させないようにオイル室とモータとの間に浸水溜り室をさらに設けることによって、浸水溜り室内での浸水検知器による浸水の検知に基づいてモータへの通電を遮断するまでの時間を長く確保する構成を有する水中ポンプ(水中電動ポンプ)も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2002−310091号公報 特開2007−332825号公報
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプ(水中電動ポンプ)では、ポンプ室の圧力水がオイル室内に浸水したことを、浸水検知センサにより検知した場合に、圧力水やオイル等がモータ内へ流入するのを最小限に抑えるために、水中ポンプを強制的に停止させて水中から引き上げて、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行なった上で復旧させる必要がある。この場合、運転を継続するためには、予備の水中ポンプを保有して、予備の水中ポンプにより緊急対応をしなければならない。このため、維持管理に多くの労力が必要になるという問題点がある。
また、上記特許文献2の水中ポンプ(水中電動ポンプ)では、オイル室とモータとの間に浸水溜まり室を設けているため、モータへの通電を遮断するまでの時間を長く確保することができるものの、その分、構造が複雑化してしまうと同時に、ポンプの全高が高くなり大型化する。また、浸水検知器により浸水溜まり室への浸水を検知した場合には、上記特許文献1の水中ポンプと同様に、水中ポンプを強制的に停止させて水中から引き上げて、メンテナンス作業を行なった上で復旧させる必要がある。この場合、運転を継続するためには、予備の水中ポンプにより緊急対応をしなければならない。このため、維持管理に多くの労力が必要になるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、維持管理を容易に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することである。
この発明の第1の局面による水中電動ポンプは、モータと、モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、回転部材と固定部材とを含む摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、モータとポンプ室との間に配置されたオイル室と、メカニカルシールの摺動部と連通し、モータとオイル室との間に配置されたオイル貯留部とを備え、メカニカルシールの回転部材は、永久磁石を有し、永久磁石と対向する位置には、電磁石が固定的に設けられ、モータの停止時に、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がるように、電磁石が通電された作動されるように構成されている。
この発明の第1の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、モータの停止時に、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がるように、電磁石が作動されるように構成する。これにより、モータの停止時に電磁石により、メカニカルシールの封止方向とは逆方向へ力が加えられてメカニカルシールの回転部材と固定部材との当接が解除されるので、オイル貯留部へ流入したオイルをオイル室へ戻すことができる。その結果、オイル室からオイル貯留部に流入したオイルがそのまま溜まるのを抑制することができるので、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行う必要がない。また、オイル貯留部を設けることにより、オイル昇りが発生した場合でもモータの軸受けにオイルが流れ込んでモータの軸受けのグリスを流してしまうことを抑制することができる。また、運転を継続するために、予備の水中ポンプを保有する必要もない。その結果、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプの維持管理を容易に行うことができる。
上記第1の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、メカニカルシールは、回転部材を固定部材側に付勢する付勢部材をさらに含み、モータの停止時に、付勢部材の付勢力に抗して電磁石と永久磁石との間の磁力により摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広げられるように構成されている。このように構成すれば、モータの運転時に、回転部材と固定部材との間隔を小さくすることができるので、オイル室からオイル貯留部にオイルが流れ込むのを効果的に抑制することができる。また、モータの停止時に、回転部材と固定部材との間隔を大きくすることができるので、回転部材と固定部材との広げられた隙間を介してオイル貯留部に溜まったオイルを容易にオイル室に戻すことができる。
この発明の第2の局面による水中電動ポンプは、モータと、モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、回転部材と固定部材とを含む摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、モータとポンプ室との間に配置されたオイル室と、メカニカルシールの摺動部と連通し、モータとオイル室との間に配置されたオイル貯留部とを備え、メカニカルシールの回転部材は、永久磁石を有し、永久磁石と対向する位置には、電磁石が固定的に設けられ、モータの停止時に、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がるように、電磁石が作動されるように構成されており、メカニカルシールは、回転部材を固定部材側に付勢する付勢部材を含み、モータの停止時に、付勢部材の付勢力に抗して電磁石と永久磁石との間の磁力により摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広げられるように構成されており、メカニカルシールは、付勢部材の中間位置において、付勢部材を支持する中間支持部材をさらに含む。これにより、モータの停止時に、電磁石により回転部材と固定部材との間隔が広げられた場合に、付勢部材を中間支持部材により支持することができるので、付勢部材に対して電磁石と反対側に配置されたメカニカルシールの部分に付勢部材を介して電磁石の力が作用するのを防止することができる。
上記第1または第2の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、モータの停止後に所定の時間、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がるように、電磁石が作動されるように構成されている。
上記第1または第2の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、モータの運転時に、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が狭まるように、電磁石が作動されるように構成されている。このように構成すれば、モータの運転時に、回転部材と固定部材との間隔を確実に小さくすることができるので、オイル室からオイル貯留部にオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
上記第1または第2の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、オイル貯留部のモータ側端に設けられ、オイル貯留部を封止するシールをさらに備える。このように構成すれば、オイル貯留部に流入したオイルがモータ側に流入するのを抑制することができるので、モータの軸受けにオイルが流れ込んでモータの軸受けのグリスを流してしまうことを効果的に抑制することができる。
上記第1または第2の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、モータの駆動を羽根車に伝達する回転軸のメカニカルシール近傍には溝部が設けられている。このように構成すれば、溝部が設けられた回転軸の回転により、オイル貯留部からオイル室に向けてオイルを押し戻す力を生じさせることができるので、オイル室からオイル貯留部にオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、維持管理を容易に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
本発明の第1実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。 本発明の第1実施形態による水中電動ポンプの運転時のメカニカルシール周辺を示した拡大図である。 本発明の第1実施形態による水中電動ポンプの停止時のメカニカルシール周辺を示した拡大図である。 本発明の第1実施形態による水中電動ポンプのオイルリタン制御処理を示したフローチャートである。 本発明の第3実施形態による水中電動ポンプのメカニカルシール周辺を示した拡大図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(水中電動ポンプの構成)
図1を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態による水中電動ポンプ100は、図1に示すように、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、環状体7と、オイル貯留部8とを備えている。また、水中電動ポンプ100には、制御部9が接続されている。また、水中電動ポンプ100は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
モータ1は、固定子11と、回転子12とを含んでいる。モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、羽根車3(回転軸2)を回転駆動させるように構成されている。
固定子11は、コイルを有する。また、固定子11は、モータ1の外周部に配置されている。また、ケーブル13より固定子11のコイルに電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、固定子11と対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、回転軸2に取り付けられている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸2は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達するように構成されている。また、回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。ベアリング21は、モータ1の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)に設けられている。ベアリング22は、モータ1の負荷側(ポンプ室4側)に設けられている。また、回転軸2は、モータ1からオイル室5を貫通してポンプ室4まで延びるように配置されている。また、回転軸2のポンプ室4側端部には、羽根車3が取り付けられている。
羽根車3は、ポンプ室4内に配置されている。また、羽根車3は、回転駆動することにより、水に速度エネルギーを与える。そして、ポンプ室4内にて水の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されることによって、水に圧力が作用されて送られるように構成されている。つまり、羽根車3の回転駆動により、ポンプ室4の吸水口41から水が吸い上げられて、吐出口42から吸い上げられた水が吐出される。
オイル室5は、モータ1およびポンプ室4の間に配置されており、オイル室5には、オイルが充填されている。オイル室5のモータ1側は、壁51が配置されている。また、オイル室5の回転軸2の周りには、オイルリフター52が設けられている。また、オイル室5内には、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6が設けられており、オイル室5に充填されたオイルによって摺動部6aおよび6bが潤滑されるとともに、摺動部6aおよび6bが焼きつかないよう冷却されるよう構成されている。また、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6bは、オイル室5のポンプ室4側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6bは、ポンプ室4の圧力水がオイル室5に入らないように設けられている。そして、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6aは、オイル室5のモータ1側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6aは、オイル室5のオイルを含む流体がモータ1側に入らないように設けられている。
オイルリフター52は、回転軸2の周りに筒状に設けられている。オイルリフター52は、回転軸2の回転に伴い移動するオイルを上方向に持ち上げるように構成されている。つまり、オイルリフター52は、摺動部6aにオイルを供給するように構成されている。図2に示すように、オイルリフター52の下部には、貫通孔521が設けられている。貫通孔521からオイルリフター52の内周側にオイルが導かれるように構成されている。
メカニカルシール6は、図2および図3に示すように、固定部材61と、回転部材62と、バネ63と、中間支持部材64とを含んでいる。固定部材61は、摺動面611を有している。回転部材62は、摺動面621を有している。また、回転部材62は、カシメ部材622を有している。固定部材61は、オイル室5のハウジングに固定されている。また、固定部材61は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。回転部材62は、回転軸2に取り付けられている。つまり、回転部材62は、回転軸2とともに回転するように構成されている。また、回転部材62は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。また、回転部材62は、バネ63により、固定部材61側に付勢されている。固定部材61および回転部材62は、回転軸2の軸方向に対向するように配置されている。摺動部6aおよび6bでは、固定部材61の摺動面611と、回転部材62の摺動面621とが、互いに摺動するように構成されている。また、摺動面611および621の間には、オイル室5内のオイルがわずかに入るように構成されている。これにより、摺動面611および621が潤滑されるとともに、摺動面611および621が焼きつかないようにオイルにより冷却され、摺動部6aおよび6b(オイル室5)がシールされるように構成されている。なお、バネ63は、特許請求の範囲の「付勢部材」の一例である。
ここで、第1実施形態では、メカニカルシール6の摺動部6aの回転部材62は、永久磁石622aを有している。具体的には、回転部材62を回転軸2に取り付けるためのカシメ部材622に永久磁石622aが設けられている。永久磁石622aは、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。また、永久磁石622aと対向する位置には、電磁石61aが固定的に設けられている。電磁石61aは、回転軸2を囲むように円環状に配置されている。電磁石61aは、通電することにより、磁界を発生させるように構成されている。永久磁石622aは、通電された際に、電磁石61aと対向する面に磁極(S極またはN極)を有するように配置されている。つまり、電磁石61aに通電することにより、磁界が発生して、電磁石61aと永久磁石622aとの間に斥力または引力が作用するように構成されている。
また、第1実施形態では、図3に示すように、モータ1の停止時に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広がるように、電磁石61aが作動されるように構成されている。具体的には、モータ1の停止時に、バネ63の付勢力に抗して電磁石61aと永久磁石622aとの間の磁力(斥力)により摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広げられるように構成されている。つまり、モータ1の停止時に、電磁石61aと永久磁石622aとの対向する磁極が、互いに同じになるように、電磁石61aが作動される。たとえば、永久磁石622aの電磁石61aに対向する面の磁極がS極(N極)である場合、電磁石61aの永久磁石622aに対向する側がS極(N極)となるように電磁石61aに通電される。また、摺動部6aの回転部材62および固定部材61は、間隔D(たとえば、数ミリメートル)だけ離間される。
図2に示すように、モータ1の運転時、あるいは運転状態から停止状態に移行してから所定の時間(たとえば、30秒)経過後は、電磁石の作動がなされず、バネ63が付勢する力により摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭まるように構成されている。つまり、モータ1の運転時、あるいは運転状態から停止状態に移行してから所定の時間(たとえば、30秒)経過後に、オイル室5からオイル貯留部8へオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
中間支持部材64は、バネ63の中間位置において、バネ63を支持するように構成されている。つまり、中間支持部材64は、バネ63の付勢力に抗して摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広げられた場合に、バネ63を下側から支持するように構成されている。また、中間支持部材64は、回転軸2に取り付けられている。また、中間支持部材64は、円環状に形成されている。
環状体7は、オイル室5の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の壁51からモータ1側に突出するように設けられている。また、環状体7は、回転軸2と所定の間隔を隔てて回転軸2を取り囲むように円環状に設けられている。また、環状体7のモータ1側端には、シール71が設けられている。シール71は、たとえば、オイルシールやシールリップまたは回転軸2と摺動するリップ部に傾斜リブや溝などの負荷側に推力発生する機構を有したシールが用いられる。また、シール71は、環状体7と回転軸2との間に配置されている。
オイル貯留部8は、環状体7に囲まれている。また、オイル貯留部8は、メカニカルシール6の摺動部6a(摺動面611および621)と連通している。また、オイル貯留部8は、回転軸2を取り囲むようにモータ1側に向かって延びるように形成されている。また、オイル貯留部8は、モータ1とオイル室5との間に配置されている。また、オイル貯留部8は、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6aから漏れるオイルを含む流体が流入するように構成されている。また、オイル貯留部8のモータ1側端は、シール71により封止されている。つまり、オイル貯留部8は、密閉空間であり、オイルの流入や、モータ1の駆動に起因する温度上昇により内部の気体の圧力が上昇するように構成されている。
制御部9は、ケーブル13を介して水中電動ポンプ100に接続されている。制御部9は、水中電動ポンプ100を駆動させるための制御盤に設けられている。また、制御部9は、モータ1の駆動を制御するように構成されている。また、制御部9は、電磁石61aの作動を制御するように構成されている。
(オイルリタン制御処理の説明)
次に、図4を参照して、第1実施形態の水中電動ポンプ100のオイルリタン制御処理について説明する。なお、オイルリタン制御処理は、制御部9により行われる。
水中電動ポンプ100の駆動中に、ステップS1において、水中電動ポンプ100(モータ1)の駆動が停止されたか否かが判断される。水中電動ポンプ100(モータ1)の駆動が停止されていなければ、停止されるまで、ステップS1の判断が繰り返される。水中電動ポンプ100(モータ1)の駆動が停止されれば、ステップS2において、電磁石61aが作動されて摺動部6a(回転部材62および固定部材61)の間隔が広げられる。
ステップS3において、電磁石61aが作動されてから所定の時間(たとえば、30秒)が経過したか否かが判断される。つまり、摺動部6a(回転部材62および固定部材61)の間隔が広げられてオイル貯留部8のオイルがオイル室5に戻されること(オイルリタン)が所定の時間行われたか否かが判断される。所定の時間が経過するまで、ステップS3の判断が繰り返される。
所定の時間が経過すると、ステップS4において、電磁石61aの作動が停止される。これにより、摺動部6a(回転部材62および固定部材61)の間隔が狭められて元に戻る。その後、オイルリタン制御処理が終了される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、モータ1の停止時に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広がるように、電磁石61aが作動されるように構成する。これにより、モータ1の停止時に電磁石61aにより、メカニカルシール6の封止方向とは逆方向へ力が加えられてメカニカルシール6の回転部材62と固定部材61との当接が解除されるので、オイル貯留部8へ流入したオイルをオイル室5へ戻すことができる。その結果、オイル室5からオイル貯留部8に流入したオイルがそのまま溜まるのを抑制することができるので、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行う必要がない。また、オイル貯留部8を設けることにより、オイル昇りが発生した場合でもモータ1のベアリング22にオイルが流れ込んでモータ1のベアリング22のグリスを流してしまうことを抑制することができる。また、運転を継続するために、予備の水中ポンプを保有する必要もない。その結果、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプ100の維持管理を容易に行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、モータ1の停止時に、バネ63の付勢力に抗して電磁石61aと永久磁石622aとの間の磁力により摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広げられるように構成する。これにより、モータ1の運転時に、回転部材62と固定部材61との間隔を小さくすることができるので、オイル室5からオイル貯留部8にオイルが流れ込むのを効果的に抑制することができる。また、モータ1の停止時に、回転部材62と固定部材61との間隔を大きくすることができるので、回転部材62と固定部材61との広げられた隙間を介してオイル貯留部8に溜まったオイルを容易にオイル室5に戻すことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、メカニカルシール6は、バネ63の中間位置において、バネ63を支持する中間支持部材64を備える。これにより、モータ1の停止時に、電磁石61aにより回転部材62と固定部材61との間隔が広げられた場合に、バネ63を中間支持部材64により支持することができるので、バネ63に対して電磁石61aと反対側に配置された摺動部6bにバネ63を介して電磁石61aの力が作用するのを防止することができる。
また、第1実施形態では、モータ1の運転状態から停止状態に移行してから所定の時間(たとえば、30秒)経過するまでの間に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広がるように、電磁石61aが作動されるように構成する。これにより、モータ1の運転状態から停止状態に移行してから所定の時間(たとえば、30秒)が経過するまでの間に、オイル貯留部8へ流入したオイルの返送を行わせることができるとともに、モータ1の運転状態から停止状態に移行してから所定の時間(たとえば、30秒)経過後は、バネ63の付勢力によって回転部材62と固定部材61との間隔を確実に小さくすることができるので、停止状態の水中電動ポンプ100を移動させたり設置向きを変えたとしてもオイル室5からオイル貯留部8にオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、オイル貯留部8のモータ1側端に設けられ、オイル貯留部8を封止するシール71を設ける。これにより、オイル貯留部8に流入したオイルがモータ1側に流入するのを抑制することができるので、モータ1のベアリング22にオイルが流れ込んでモータ1のベアリング22のグリスを流してしまうことを効果的に抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えてモータ1の運転時に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭まるように電磁石61aが作動する構成の例について説明する。
ここで、第2実施形態では、図2に示すように、モータ1の運転時は、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭まるように、電磁石61aが作動されるように構成されている。つまり、モータ1の運転時に、電磁石61aと永久磁石622aとの対向する磁極が、互いに異なるように、電磁石61aが作動される。たとえば、永久磁石622aの電磁石61aに対向する面の磁極がS極(N極)である場合、電磁石61aの永久磁石622aに対向する側がN極(S極)となるように電磁石61aに通電される。これにより、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭められるので、オイル室5からオイル貯留部8へオイルが昇ることが抑制されるように構成されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、図2に示すように、モータ1の運転時は、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭まるように、電磁石61aと永久磁石622aとの対向する磁極が、互いに異なるように、電磁石61aが作動されるように構成する。これにより、モータ1の運転時は、バネ63が付勢する力に加えて電磁石61aと永久磁石622aとに生じる磁力により、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が狭まるので、特にモータ1の運転時におけるオイル室5からオイル貯留部8へオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1実施形態の構成に対して回転軸2に溝部2aをさらに設けた構成の例について説明する。
ここで、第3実施形態では、図5に示すように、モータ1の駆動を羽根車3(図1参照)に伝達する回転軸2のメカニカルシール6近傍に、溝部2aが設けられている。具体的には、溝部2aは、回転軸2の軸方向に対して斜めに延びるように形成されている。また、溝部2aは、複数設けられている。また、溝部2aは、回転軸2がA方向に回転することにより、下方向(オイル貯留部8からオイル室5に向かう方向)に流れを生じさせるように構成されている。つまり、モータ1(水中電動ポンプ200)の駆動時に、オイル室5からオイル貯留部8にオイルが流入することが抑制される。
また、第3実施形態では、上記第1実施形態、第2実施形態と同様にモータ1の停止時に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広がるように、電磁石61aが作動されるように構成されている。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態、あるいは第2実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記第1実施形態、第2実施形態と同様に、モータ1の停止時に、摺動部6aの回転部材62と固定部材61との間隔が広がるように、電磁石61aが作動されるように構成する。これにより、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプ200の維持管理を容易に行うことができる。
また、第3実施形態では、上記のように、モータ1の駆動を羽根車3に伝達する回転軸2のメカニカルシール6近傍に、溝部2aを設けている。これにより、溝部2aの回転により、オイル貯留部8からオイル室5に向けてオイルを押し戻す力を生じさせることができるので、オイル室5からオイル貯留部8にオイルが流れ込むのをより効果的に抑制することができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態、あるいは第2実施形態と同様である。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、オイル室にオイルを持ち上げるためのオイルリフターを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、オイル室にオイルリフターを設けていなくてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、モータの停止時に、電磁石と永久磁石との斥力により、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、モータの停止時に、電磁石と永久磁石との引力により、摺動部の回転部材と固定部材との間隔が広がる構成でもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、オイル室に2つの摺動部を有するメカニカルシールが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、オイル室に1つの摺動部のメカニカルシールが設けられていてもよいし、摺動部が3つ以上のメカニカルシールが設けられていてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、回転軸が垂直方向に延びるように配置された縦型の水中電動ポンプに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。回転軸が水平方向に延びるように配置された横型の水中電動ポンプに本発明を適用してもよい。
また、上記第3実施形態では、回転軸に直接溝部を設けた構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、溝部を設けた円筒状の部材を回転軸に取り付けてもよい。
また、上記第3実施形態では、回転軸に複数の溝部を設けた構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、回転軸に1つの溝部を設けてもよい。
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限らない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
1 モータ
2 回転軸
2a 溝部
3 羽根車
4 ポンプ室
5 オイル室
6 メカニカルシール
6a、6b 摺動部
8 オイル貯留部
61 固定部材
61a 電磁石
62 回転部材
63 バネ(付勢部材)
64 中間支持部材
71 シール
100、200 水中電動ポンプ
622a 永久磁石

Claims (7)

  1. モータと、
    前記モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、
    回転部材と固定部材とを含む摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、前記モータと前記ポンプ室との間に配置されたオイル室と、
    前記メカニカルシールの前記摺動部と連通し、前記モータと前記オイル室との間に配置されたオイル貯留部とを備え、
    前記メカニカルシールの前記回転部材は、永久磁石を有し、
    前記永久磁石と対向する位置には、電磁石が固定的に設けられ、
    前記モータの停止時に、前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が広がるように、前記電磁石が通電されて作動されるように構成されている、水中電動ポンプ。
  2. 前記メカニカルシールは、前記回転部材を前記固定部材側に付勢する付勢部材をさらに含み、
    前記モータの停止時に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記電磁石と前記永久磁石との間の磁力により前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が広げられるように構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプ。
  3. モータと、
    前記モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、
    回転部材と固定部材とを含む摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、前記モータと前記ポンプ室との間に配置されたオイル室と、
    前記メカニカルシールの前記摺動部と連通し、前記モータと前記オイル室との間に配置されたオイル貯留部とを備え、
    前記メカニカルシールの前記回転部材は、永久磁石を有し、
    前記永久磁石と対向する位置には、電磁石が固定的に設けられ、
    前記モータの停止時に、前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が広がるように、前記電磁石が作動されるように構成されており、
    前記メカニカルシールは、前記回転部材を前記固定部材側に付勢する付勢部材を含み、
    前記モータの停止時に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記電磁石と前記永久磁石との間の磁力により前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が広げられるように構成されており、
    前記メカニカルシールは、前記付勢部材の中間位置において、前記付勢部材を支持する中間支持部材を含む、水中電動ポンプ。
  4. 前記モータの停止後に所定の時間、前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が広がるように、前記電磁石が作動されるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
  5. 前記モータの運転時に、前記摺動部の前記回転部材と前記固定部材との間隔が狭まるように、前記電磁石が作動されるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
  6. 前記オイル貯留部の前記モータ側端に設けられ、前記オイル貯留部を封止するシールをさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
  7. 前記モータの駆動を前記羽根車に伝達する回転軸の前記メカニカルシール近傍には溝部が設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
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