JP2021088970A - マグネットポンプ - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2記載の技術では、マグネットポンプの圧力容器内部をポンプ室とマグネット室とに分離し、マグネット室内の液体を強制循環させてマグネット室内のベアリング部を強制潤滑する構造を採用するものの、強制潤滑構造が高価であるという問題があり、重スラリに対応するノンリークポンプを構成する上で、解決すべき課題が残される。
なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
ケーシング30は、フロントケーシング31と、リアケーシング32と、後部カバー33と、を有して構成される。フロントケーシング31の正面中心部には、吸込口35が設けられ、フロントケーシング31およびリアケーシング32との合わせ面を中心(CL2)とする側面(この例では駆動軸8の軸線CL1よりも上部)には吐出口36が設けられている。
特に、本実施形態の後部ライナ41bは、端面前側のライナ先端41sが、インペラ34のボス部34jに対向して張り出しており、ライナ先端41sが、後述する液室軸封部80のゴムスプリング83に当接されている。
このケーシング30に対し、送液室40とは反対の後部側から、不図示の締めねじによって、水中軸受部20を有するオイル室ケーシング50と、マグネットカップリング部10を有する駆動部ハウジング60と、がこの順に連結されている。オイル室ケーシング50には、上下の対向する位置に、給排油口51,52が設けられており、オイル室ケーシング50内が、二次流体としてのオイルが満たされるオイル室になっている。
駆動側マグネット部5の内周面には、周方向に沿って複数のアウタマグネット5aが配置される一方、従動側マグネット7の外周面には、周方向に沿って複数のインナマグネット7aがアウタマグネット5aに対向配置されている。
また、水中軸受部20には、駆動軸8のインペラ34側の段部8dの端面に、スラスト軸受25が装着されており、上記送液室40のインペラ34から受けるスラスト荷重をスラスト軸受25で支持している。本実施形態のマグネットポンプ1では、上述したマグネットカップリング部10および水中軸受部20により、駆動部(シャフトアッセンブリ)が構成されている。
本実施形態の送液室軸封部80は、後部カバー33の前面と、インペラ34のボス部34bとの間に装備される。また、後部カバー33の背面とスラスト軸受25の前面との間に、オイル室軸封部90が設けられている。
液室メカニカルシール80は、図2に拡大図示するように、インペラ34の背面側のボス部34jに配置される円環状の回転環81と、液室40内に配置されて回転環81の摺接面81sに対して軸方向に対向する摺接面82sを有する円環状の静止環82と、液室40内に配置されて静止環82を回転環81の方向に押圧付勢する略円環状のゴムスプリング83と、を備える。
本実施形態の送液室軸封部80は、後部カバー33のボディ部33aの軸方向前側の内周部の位置に、駆動軸8と同軸に形成されたインペラ34のボス部34bが配置され、このボス部34bの外周面に沿って円筒状の静止環82が同軸に円環状凹部33dに固定される。静止環82は、基部後側が、支持ピン84を介して円環状凹部33dに連結される。
後部カバー33のボディ部33aには、ボディ部33aの内面の軸方向略中央に、ゴムスプリング83を装着するための円環状の装着段部33nが形成されている。ゴムスプリング83は、装着段部33nに嵌め込まれる基部83aと、基部83aから斜め前方に張り出す腕部83bと、腕部83bの先端から後方に向けて軸線に沿って円環状に延びる保持リップ部83cと、を有する。
インペラ34のボス部34bには、回転環81よりも軸方向前側の位置に、サポートシール85が設けられている。サポートシール85は、円筒状段部85dの内周面が、基部34kの外側面に嵌め合わされるとともに、サポートシール85の後端面85rが、回転環81の前面81mに当接する状態で装着される。回転環81は、回転環81の前側に装着されたサポートシール85により弾性的に支持される。サポートシール85は、インペラ34と一体で回転するとともに回転環82を保持する。
そして、回転環81と静止環82とは、対向配置された相互の径方向に沿った摺動面81s,82s同士が、互いに摺動されるシール摺動部を形成する。シール摺動部は、マグネットポンプ1の送液室40内(液室軸封部80の軸方向前方の接液部側)から外部(液室軸封部80の軸方向後方のオイル室51側)または外部から内部へのスラリの漏れを防止するように構成される。
これにより、回転環81と静止環82との摺動面81s,82s同士が、互いに所定の押圧力で摺接されるメカニカルシール機構のシール摺動部を形成し、マグネットポンプ1の送液室40内からオイル室への流体の漏れを防止可能になっている。
また、本実施形態の空気室70は、3次シール機構として、後部カバー33の内周面に、それぞれ円環状をなす3列の円環溝72,73,74が、軸方向に所定の離隔距離を隔てて形成されている。この例では、各円環溝72,73,74は、横断面形状が、径方向外側に向かうにつれて狭幅する台形形状になっている。
電極部76cは、送液室40から空気室70への送液の漏水の有無を感知するための検出子である。本体部76aの後端からは、オイル室ケーシング50のオイル室51内の適所から機外まで延出するようにリード線76dが配線されている。漏水感知センサ76は、電極部76cが送液で浸水することによって通電してリード線76dに出力信号が出力されるようになっている。
このように、本実施形態のマグネットポンプ1では、二次流体としてのオイルが送液中に漏れないように、多段の円環溝72,73,74の後方に、オイル室軸封部90を送液室軸封部80とは別途に配置している。つまり、オイル室ケーシング50内に、4次シール機構として、オイル室軸封部90として油室メカニカルシールを設けていることになる。
後部カバー33は、ボディ部33aのオイル室51側に、ボディ部33aの後端に凸設されたボス状のシール装着部33eを有し、このシール装着部33eにオイル室軸封部90の静止環92が装着されている。静止環92は、静止環92とシール装着部33eの内面33fとの間に介装された保持器95によって保持される。
駆動軸8の外周には、コイルバネ支持部材94で水平姿勢が支持された円筒コイルバネ93が駆動軸8の外周を囲繞するように取り付けられ、この円筒コイルバネ93が回転環91を静止環92の方向に押圧付勢している。これにより、オイル室軸封部90は、静止環92と回転環91との間の摺接面によって、後部カバー33側からのスラリがオイル室ハウジング50内に漏れ出すことを防止している。
本実施形態のマグネットポンプ1では、マグネットポンプ1の運転時には、モータ3が駆動されると出力軸4とともに駆動側マグネット部5が一体で回転し、駆動側マグネット部5のアウタマグネット5aから従動側マグネット7のインナマグネット7aに伝達された回転力によって従動側マグネット部7が回転駆動される。
これにより、水中軸受部20により回転自在に支持された駆動軸8が従動側マグネット部7とともに一体で回転すると、この駆動軸8に直接接続されたインペラ34がケーシング30の送液室40で回転する。ケーシング30内でインペラ34がその回転軸線CL1を中心として回転すると、送液室40では、インペラ34の動きに伴って、被送流体であるスラリを昇圧して、吸込口35から吐出口36に向けてスラリを圧送することができる。
すなわち、本実施形態のマグネットポンプ1によれば、水中軸受部20やマグネットカップリング部10を含むシャフトアッセンブリを送液で満たすのではなく、(清浄な)オイルで満たすように、オイル室ハウジング50のオイル室内に配置している。
そして、本実施形態のマグネットポンプ1は、液室側に、上述したメカニカルシール構造を有する送液室軸封部80を備えるので、ケーシング30内でインペラ34によって昇圧されたスラリが駆動軸8の周囲からオイル室51に漏れるのを防止できる。
本実施形態のマグネットポンプ1のシール機構において、高濃度スラリによるダメージを最初に受けるのは、インペラ34の背面に位置するように送液室40に配された送液室軸封部80であり、送液室軸封部80から高濃度スラリのリークが始まっても、空気室70からオイル室軸封部90を順に介してオイル室51内に高濃度スラリが浸入することになる。そのため、シャフトアッセンブリのダメージが早期に進行することが防止または抑制される。
また、本実施形態のマグネットポンプ1では、空気室70に、二次のシール機構としてラビリンス形状部71を有するので、オイル室51のシール摺動部に到達する固形粒子の量を抑制できる。よって、オイル室軸封部90のシール機能の長寿命化を図ることができる。
このように、本実施形態のマグネットポンプ1では、万一、送液室軸封部80から送液漏れが発生した場合であっても、予備シールとして、空気室70に、非接触式のラビリンス形状部71および多段の円環溝72,73,74を設けることによる、複合3段階シール構造になっているので、送液が高濃度スラリであっても、オイル室軸封部90への送液の漏れ出しを、より確実にシールできる。
例えば、上記実施形態のマグネットポンプ1において、多段のシール機構として、空気室70に、ラビリンス形状部71および多段の円環溝72,73,74を設けた例を示したが、これに限らず、ラビリンス形状部および/または円環溝を有しない構成としてもよい。ただし、空気室70に、ラビリンス形状部および/または円環溝が配置されていることは好ましい。
また、上記実施形態では、送液の漏水検出手段として、電気式の漏水感知センサ76を空気室70に装着した例を示したが、これに限定されず、送液室40から空気室70への送液の漏水の有無を感知可能であれば、種々の態様の検出手段を空気室70に設けることができる。
2 モータブラケット
3 モータ
4 出力軸
5 駆動側マグネット部
6 キャン(隔壁部材)
7 従動側マグネット部
8 駆動軸
10 マグネットカップリング部
20 水中軸受部
30 ケーシング
31 フロントケーシング
32 リアケーシング
33 後部カバー
34 インペラ
34j ボス部
34r 裏羽根
35 吸込口
36 吐出口
40 送液室
41 ライナ
41a 主ライナ
41b 後部ライナ
50 オイル室ケーシング(二次流体室ケーシング)
51 オイル室(二次流体室)
60 駆動部ハウジング
70 空気室
71 ラビリンス形状部
72 円環溝
73 円環溝
74 円環溝
76 漏水感知センサ(漏水検出手段)
80 送液室軸封部
81 回転環
82 静止環
83 ゴムスプリング
84 支持ピン
85 サポートシール
90 オイル室軸封部(二次流体室軸封部)
91 回転環
92 静止環
93 円筒コイルバネ
94 コイルバネ支持部材
95 保持器
Claims (6)
- インペラが収容された送液室と、前記インペラを回転駆動させる駆動部が収容されて内部が二次流体で満たされる二次流体室と、前記送液室と前記二次流体室との間に設けられて内部が空気で満たされる空気室と、を備え、
前記送液室には、前記インペラの背面側の基端部に、前記空気室との間を軸封する送液室軸封部が設けられ、
前記二次流体室には、前記空気室との間を軸封する二次流体室軸封部が設けられていることを特徴とするマグネットポンプ。 - 前記空気室には、ラビリンス形状部および/または円環溝が配置されている請求項1に記載のマグネットポンプ。
- 前記空気室には、前記送液室から前記空気室への送液の漏水の有無を感知する漏水検出手段が設けられている請求項1または2に記載のマグネットポンプ。
- 前記漏水検出手段として、前記空気室内の空間への漏水を検出可能な漏水感知センサが設けられている請求項3に記載のマグネットポンプ。
- 前記漏水検出手段として、機外から前記空気室内の空間に連通するドレンが設けられている請求項3に記載のマグネットポンプ。
- 前記二次流体室軸封部の後方に水中軸受部およびマグネットカップリング部をこの順に備え、
前記マグネットカップリング部は、前記インペラの駆動軸の基端側に連結された従動側マグネット部と、該従動側マグネット部とは隔壁部材によって仕切られるとともにモータの出力軸と一体で回転されて前記従動側マグネットを、磁力を介して回転駆動させる駆動側マグネット部と、を有し、
前記駆動部として、前記水中軸受部および前記マグネットカップリング部のうち前記隔壁部材の内側の前記従動側マグネットが収容された領域が前記二次流体室の二次流体で満たされる請求項1から5のいずれか一項に記載のマグネットポンプ。
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