以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態による発券機の構成例を示すブロック図である。実施形態に係る発券機100は、チケットの券紙200Aにチケット情報を含む二次元コードを印刷したチケット200Bを発券する。発券機100は、電車のような乗物に乗るところやレジャー施設やイベント施設等の入口ゲート又は同チケットの取扱い店等に設置される。一方、二次元コードを読み取る読取装置は、前記施設の入口ゲート及び出口ゲートに設置され、発券機100により発券されたチケット200Bから読み取った情報に基づき、所定の処理を実行する。例えば、読取装置は、チケットに含まれた券紙の識別情報が有効か否かを判定する。券紙の識別情報が有効であると判定した場合、読取装置は、チケットの発券情報に従ってゲートを開閉する。
発券機100は、入口ゲート又は出口ゲートの付近に設置され、チケット200Bを利用する利用者や、施設内の係員等により操作される。
実施形態において、発券機100は、料金処理装置X00と通信可能に接続されている。料金処理装置X00は、投入された貨幣の金額を計算し、購入が指示されたチケット200Bの料金を投入された貨幣で支払う支払処理を実行する。料金処理装置X00は、支払処理が完了した場合、支払処理が完了したことを示す完了通知を発券機100に送信するとともに、釣り銭の出力や領収書の発行等を行う。
発券機100は、操作部1と、表示部2と、通信部3と、チケット券紙収容部4と、チケット搬送機構5と、印刷部6と、チケット排出部7と、センサー8と、メモリ9と、CPU(Central Processing Unit)10とを備える。
操作部1は、利用者や係員等の発券者からの操作を受け付け、受け付けた操作内容を示す情報を出力する。
表示部2は、発券機100による処理結果や発券者への操作案内を表示する。
通信部3は、例えばチケット200Bの支払処理を実行する料金処理装置X00等の外部装置と接続されている。
チケット券紙収容部4は、シート状媒体であって、少なくとも一方の面の一部に着色部(隠ぺい層)を備えるチケットの券紙200Aを、多数収容する。券紙200Aの隠ぺい層上には、予め券紙の真偽を判別するための二次元コードの識別情報が印刷されている。実施形態によっては、券紙200Aは、一方の面に複数の隠ぺい層を持つ。
実施形態において、チケット券紙収容部4は、券紙200Aが連続した用紙がロール状に巻き付けられたチケット用紙を保持し、操作部1から入力される発券枚数指示(デフォルトでは1枚に設定)に基づき、指示された枚数のチケット券紙200Aを切り離してチケット搬送機構5に排出する。
チケット搬送機構5は、例えば、搬送ベルト等を備え、搬送ベルトを移動させることで、搬送ベルトに載置された券紙200Aを搬送する構成である。チケット搬送機構5は、チケット券紙収容部4からの券紙200Aを印刷部6による印刷位置まで搬送し、印刷部6により二次元コード及び記録データが印刷されたチケット200Bをチケット排出部7まで搬送する。なお、印刷部6による印刷位置は予め決められており、チケット搬送機構5は、チケット券紙収容部4から排出された位置から所定距離だけ券紙200Aを搬送することで、券紙200Aを印刷位置まで搬送する。
印刷部6は、チケット搬送機構5により印刷位置まで搬送された券紙200Aに対して、隠ぺい層又は隠ぺい層ではない部分(露出部分)に二次元コードを印刷する。実施形態において、印刷部6が券紙200Aに対して二次元コードを印刷する位置は、券紙200Aが備える隠ぺい層との位置関係に応じて予め決められている。例えば、印刷部6により印刷される二次元コードは、露出部分の真中になるように予め決められている。又は、印刷部6により印刷される二次元コードは二つであり、一つ目は露出部分に、二つ目は隠ぺい層に印刷されるように予め決められている。
チケット排出部7は、印刷部6により二次元コードが印刷されたチケット200Bを排出する。
センサー8は、印刷位置に位置された券紙200Aの位置、又は、券紙200Aに形成された隠ぺい層201の位置を検出する検出部である。なお、隠ぺい層201に模様が形成されている場合、センサー8は、模様内の特徴点を示す情報を検出するものでもよい。
メモリ9は、発券機100の動作に必要な種々の情報を記憶する。例えば、メモリ9は、発券機100により発券されるチケット200Bに関する情報として、入口ゲートに関する情報、出口ゲートに関する情報、利用料金に関する情報等を記憶する。メモリ9は、券紙に印刷された真偽識別情報が記憶することができる。実施形態によっては、メモリ9は、発券情報を暗号化する暗号化キーを記憶する。また、メモリ9は、CPU10による情報処理に利用される情報を一時的に記憶する。
CPU10は、発券機100の動作を統括的に制御する制御部である。発券機100は、CPU10がプログラムを実行することにより機能する機能部として、発券制御部101と、搬送制御部102と、印刷制御部103と、を備える。また、これら機能部の一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア機能部であってもよい。
発券制御部101は、例えば、操作部1を介して発券処理の実行が指示された場合、通信部3を介して支払完了の通知を受け付けた後、チケット200Bを発行する発券制御を実行する。発券制御部101は、発券制御において、搬送制御部102と印刷制御部103とを制御する。具体的に説明すると、発券制御部101は、操作部1を介して指示された指示内容に応じた枚数の券紙200Aを搬送させるよう搬送制御部102を制御する。発券制御部101は、メモリ9を参照して操作部1を介して指示された指示内容に応じたチケット200Bの発券情報を作成し、印刷位置に到達した券紙200Aに対して、発券情報を含む二次元コード及び記録データを印刷するよう印刷制御部103を制御する。発券情報には、施設への入場又は出場に関する情報が含まれており、例えば、入口ゲートに関する情報、出口ゲートに関する情報、利用料金に関する情報、発券日時に関する情報、利用者の属性(大人、子人、性別、年齢等)に関する情報等が含まれる。
搬送制御部102は、発券制御部101から指示された枚数の券紙200Aをチケット券紙収容部4から取り出し、所定の間隔をあけて印刷位置まで搬送させ、印刷部6により印刷されたチケット200Bをチケット排出部7から排出させるよう、チケット券紙収容部4とチケット搬送機構5を制御する。実施形態において、搬送制御部102は、印刷位置まで券紙200Aを搬送した場合、搬送を停止させ、印刷が終了した後、再びチケット200Bを搬送するようチケット搬送機構5を制御する。
印刷制御部103は、発券制御部101から指示された枚数の券紙200Aに対して、発券制御部101により作成された発券情報の二次元コード及び記録データ、発券情報の二次元コードの暗号化に用いる暗号化キーを印刷するよう印刷部6を制御する。実施形態において、印刷制御部103は、チケット搬送機構5により搬送される券紙200Aの印刷位置に対して予め決められている二次元コードの位置に、二次元コードを印刷するよう印刷部6を制御する。同様に、予め決められている位置に暗号化キーを印刷する。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態によるチケットを示す図である。200Aは券紙であり、200Bは券紙200Aに基づいて発券機100により発券されたチケットである。
チケットの券紙200Aには、予め隠ぺい層201が設けられている。隠ぺい層201は、チケットの複製を防止するための真偽識別情報の二次元コード202を含む。チケット200Bの露出部分203(隠ぺい層201ではない部分)には発券情報を含む二次元コード204及び記録データが発券機100により印刷されている。真偽識別情報は、特定管理者により所定間隔(日単位、週単位、月単位など)で変更することが好ましい。
券紙200Aは、長方形に形成されたシート状の紙であって、長辺(横方向)と短辺(縦方向)とを備える。隠ぺい層201は、券紙200Aの長辺方向の一端に設けられ、短辺の方向に長い帯状の領域である。隠ぺい層201は、例えば、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外非吸収インクを塗布して作られる。真偽識別情報の二次元コード202は、例えば、赤外発色により、隠ぺい層201上に印刷されている。
図示していない読取装置は、例えば、隠ぺい層201が吸収しない特定波長域の赤外光をチケット200Bに照射し、二次元コード202からの反射光に基づき、真偽識別情報を読み取ることができる。そして、この読み取った真偽識別情報に基づき、券紙が有効であるか否かの判別が行われる。
チケット200Bの露出部分203は、発券情報の二次元コード204及び記録データを含む。二次元コード204は、例えば、印刷部6が赤外発色により露出部分203に印刷する。記録データは、例えば、チケット200Bの料金や、有効期限、行き先等を含む。この記録データは、例えば、印刷部6が二次元コード204を印刷するときに、印刷される。発券情報の二次元コード204は、読取装置によって読み取られ、有効な券紙であれば発券情報に基づきゲートの開閉制御が行われる。
実施形態によると、券紙の真偽識別情報の二次元コード202は隠ぺい層201に含まれており、券紙の真偽識別情報の二次元コード202を複製することが難しいから複製防止に有用である。一方、発券情報の二次元コード204は露出しているので、印刷有無、位置確認が容易である。実施形態において、隠ぺい層201は、チケット200Bが光学系の複写機により複写された場合に、隠ぺい層201内に含まれている二次元コード202の識別力を低下させる特性をさらに備えてもよい。この場合、複製されたチケットの判定処理で、真偽識別情報が有効ではないと判断されるので、複製チケットの使用を防止することができる。
図3は、第1実施形態による発券機100のチケットの発券方法のフローチャートである。発券制御部101は、操作部1を介して、発券が指示されたか否かを判定する(ステップST110)。発券制御部101は、発券が指示されるまで、ステップST110の処理を繰り返し、待機している。
操作部1を介して発券が指示された場合(ステップST110:YES)、発券制御部101は、指示されたチケット200Bの支払処理の実行を、料金処理装置X00に対して指示する(ステップST120)。例えば、操作部1を介して、発券機100が設置される現在地から「ソメイヨシノ」までの切符を2枚発券することが指示された場合、発券制御部101は、メモリ9に格納する料金表を参照して、2枚分の「ソメイヨシノ」までの切符の料金を算出する。実施形態において、「ソメイヨシノ」までの切符は200円であって、発券制御部101は、合計金額400円の支払処理の実行を料金処理装置X00に対して指示する。
発券制御部101は、料金処理装置X00から、支払完了の通知を入力したか否かを判定する(ステップST130)。料金処理装置X00は、ステップST120において生成された発券機100からの指示に従い、投入された金額が合計金額400円以上である場合、支払完了の通知を発券機100に送信する。
支払完了の通知を入力した場合(ステップST130:YES)、発券制御部101は、発券が指示されたチケット200Bの発券情報及び記録データを生成し、発券情報を二次元コード204に変換し、二次元コード204及び記録データデータを印刷制御部103に出力する(ステップST140)。また、発券制御部101は、支払処理された枚数の券紙200Aを所定の印刷位置まで搬送するよう搬送制御部102を制御する。
搬送制御部102は、2枚の券紙200Aをチケット券紙収容部4から取り出し、所定の間隔をあけて所定の印刷位置まで搬送する(ステップST150)。そして、印刷制御部103は、入力した二次元コード204及び記録データに基づき、二次元コード204及び記録データを印刷するよう印刷部6に指示する。
印刷部6は、印刷位置に停止している券紙200Aの露出部分203に、発券情報の二次元コード204及び記録データを印刷する(ステップST160)。
発券制御部101は、チケット券紙収容部4から取り出された全ての券紙200Aに対する二次元コード204及び記録データの印刷が終了したかどうかを判定する(ステップST170)。実施形態において、印刷の終了はセンサー8の検出によって、又は目視確認によって、又はセンサー8の検出と目視確認の組み合わせによって行うことができる。実施形態によると、二次元コード204が露出して印刷されるので印刷有無、位置を目視確認することができ、印刷の便利を図る。
全ての券紙200Aに対する印刷が終了していない場合、発券制御部101は、ステップST150に戻って処理を繰り返す。これにより、印刷部6は、残りの券紙200Aに発券情報の二次元コード204及び記録データを印刷する。
図4は、第1実施形態による読取装置のチケットの判定方法のフローチャートである。チケットの読取装置は、チケット200Bの隠ぺい層201上の真偽識別情報の二次元コード202と露出部分203上の発券情報の二次元コード204を読み取る(ステップST210)。読取装置は、例えば、特定波長域の赤外光を照射することにより、二つの二次元コード202,204を同時に読み取る。実施形態によっては、二つのコード202,204を一つずつ読み取っても良い。
読取装置は、読み取った真偽識別情報の二次元コード202から券紙が有効かどうかを判定する(ステップST220)。実施形態において、読取装置は、予め券紙の識別情報をメモリに記憶して置き、読み取った二次元コード202から得られる識別情報と比較することにより、券紙が有効か否かを判定することができる。
比較判定の結果、二次元コード202の識別情報が有効な場合(ステップST220:YES)、二次元コード204から得られる発券情報に基づいてゲートを開閉する(ステップST230)。しかしながら、比較判定の結果、二次元コード202の識別情報が有効ではない場合、エラーを通知し(ステップST240)、ゲートの開閉を行わない。
第1実施形態によると、チケット200Bの隠ぺい層201上の識別情報を読み取ることにより、チケットの真偽を判定することができる。そこで、チケットの複製による不法的な使用を防ぐことができる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態によるチケットを示す図である。300Aは券紙であり、300Bは券紙300Aに基づいて発券機100により発券されたチケットである。
券紙300Aには、予め隠ぺい層301が設けられている。隠ぺい層301は、第1実施形態と同様に、券紙の識別情報の二次元コード302を含む。チケット300Bの露出部分303(隠ぺい層301ではない部分)には、暗号化された発券情報を含む二次元コード304及び記録データが発券機100により印刷されている。また、チケット300Bの隠ぺい層301には、暗号化された発券情報の二次元コード304を復号化するため、暗号化に用いた暗号化キー又は復合化キーの二次元コード305が発券機100により印刷されている。
実施形態において、発券情報は発券制御部101がDES(Data Encryption Standard)、3DES(triple DES),AES(Advanced Encryption Standard)などの対称キー暗号化アルゴリズムにより暗号化される。ここで、発券情報を暗号化(復号化)するための暗号化キーを二次元コード305に変換してチケット300Bの隠ぺい層301に印刷する。メモリ9には、暗号化キーが記憶されている。暗号化キーは、特定管理者により所定間隔(日単位、週単位、月単位など)で変更することが好ましい。実施形態によっては、この暗号化キーをまたRSA(Rivest Shamir Adleman)などの非対称キー暗号化アルゴリズムの公開キーを利用して暗号化しても良い。この場合、読取装置はこの公開キーに対応する個人キーを持って、この個人キーによりRSA暗号化された暗号化キーを復号化することができる。
実施形態において、暗号化された発券情報の二次元コード304は、例えば、印刷部6が、チケット300Bの露出部分303に印刷する。暗号化キーの二次元コード305は、印刷部6が、赤外光発色により隠ぺい層301上に印刷する。隠ぺい層301上の印刷は、露出部分303上の印刷と同時に行ってもよい、その前又は後に行っても良い。
他に、券紙300A、隠ぺい層301、及び、識別情報の二次元コード302は図2の券紙200A、隠ぺい層201、及び、識別情報の二次元コード202にそれぞれ対応するので、詳しい説明は省略する。
第2実施形態によると、露出部分303に印刷されている二次元コード304の発券情報が暗号化されているので、違法的な発券情報の変更を防ぐことができる。一方、発券情報の二次元コード304は露出しているので、印刷有無と位置の確認が容易である。実施形態において、隠ぺい層301は、チケット300Bが光学系の複写機により複写された場合に隠ぺい層301内に含まれている二次元コード302及び暗号化キーの二次元コード305の識別力を低下させる特性をさらに備えてもよい。この場合、複製されたチケットの判定処理で、真偽識別情報が有効ではないと判断したり、又は暗号化キーが不正確で発券情報の復号化が不能になるので、複製チケットの使用を防止することができる。
図6は、第2実施形態による発券機100のチケットの発券方法のフローチャートである。ステップST110からステップST130までの工程は、図3の第1実施形態と同じであるので、重複した説明は省略する。
支払完了の通知を入力した場合(ステップST130:YES)、発券制御部101は、発券が指示されたチケット300Bの発券情報及び記録データを生成し、そのうち発券情報を所定の暗号化アルゴリズムにより暗号化して二次元コード304に変換し、また、暗号化アルゴリズムを二次元コード305に変換する。そして、露出部分303に印刷される二次元コード304と記録データ、及び隠ぺい層301に印刷される二次元コード305を印刷制御部103に出力する(ステップST340)。
実施形態において、暗号化アルゴリズムは発券情報を暗号化(復号化)するために必要な暗号化キーを含む。暗号化キーは、例えば、DESに使われる56ビットのキー、またはAESに使われる128,192,256ビットのキーなどを含む。実施形態によって、暗号化アルゴリズムは暗号化キーを生成するためのシードデータを含むことができる。
発券制御部101は、支払処理された枚数の券紙300Aを所定の印刷位置まで搬送するよう搬送制御部102を制御する。搬送制御部102は、券紙300Aをチケット券紙収容部4から取り出し、所定の印刷位置まで搬送する(ステップST350)。そして、印刷制御部103は、入力した二次元コード304,305及び記録データに基づき、印刷するよう印刷部6に指示する。
印刷部6は、券紙300Aの露出部分303に、発券情報の二次元コード304及び記録データを印刷し、券紙300Aの隠ぺい層301に、暗号化キーの二次元コード305を印刷する(ステップST360)。
発券制御部101は、券紙300Aに対する二次元コード304,305及び記録データの印刷が終了したかどうかを判定する(ステップST370)。実施形態において、印刷の終了はセンサー8の検出によって、又は目視確認によって、又はセンサー8の検出と目視確認の組み合わせによって行うことができる。例えば、露出部分303に印刷された二次元コード304とセンサー8によって検出される隠ぺい層301の位置関係の組み合わせにより、印刷の終了の判定ができる。実施形態によると、二次元コード304が露出して印刷されるので印刷の有無と位置を目視確認することができ、印刷の終了の確認において、便利を図る。
全ての券紙200Aに対する印刷が終了していない場合、発券制御部101は、ステップST350に戻って処理を繰り返す。これにより、印刷部6は、残りの券紙300Aに二次元コード304,305及び記録データを印刷する。
図7は、第2実施形態による読取装置のチケットの判定方法のフローチャートである。チケットの読取装置は、チケット300Bの隠ぺい層301上の識別情報の二次元コード302、暗号化キーの二次元コード305と露出部分303上の暗号化された発券情報の二次元コード304を読み取る(ステップST410)。読取装置は、例えば、特定波長域の赤外光を照射することにより、三つの二次元コード302,304,305を同時に読み取る。実施形態によっては、隠ぺい層301上の二次元コード302、305を読み取り、次に露出部分303の二次元コード304を読み取ったり、逆の順番で読み取ったり、又は三つの二次元コード302,304,305を予め決められた順番で一つずつ読み取っても良い。
読取装置は、読み取った二次元コード305の暗号化キーを用いて所定のアルゴリズムにより、二次元コード304の暗号化された発券情報を復号化する(ステップST420)。
読取装置は、二次元コード302の識別情報が有効かどうかを判定する(ステップST
430)。実施形態において、読取装置は、予め券紙の識別情報をメモリに記憶して置き、読み取った二次元コード302から得られる識別情報と比較することにより、券紙が有効か否かを判定することができる。
比較判定の結果、二次元コード302の識別情報が有効な場合(ステップST430:YES)、復号化された発券情報に基づいてゲートを開閉する(ステップST440)。しかしながら、比較判定の結果、二次元コード302の識別情報が有効ではない場合、エラーを通知し(ステップST450)、ゲートの開閉を行わない。
なお、上述した実施形態では、暗号化キーの情報として、暗号化キーの二次元コード305を印刷するとしたが、暗号化キーに代えて、暗号化キー生成アルゴリズムを用いても良い。暗号化キー生成アルゴリズムの二次元コードを隠ぺい層301に印刷した場合は、読み取った暗号化キー生成アルゴリズムから暗号化キーを生成し、その暗号化キーを用いて発券情報の二次元コード304を復号化が行われる。
第2実施形態によると、チケット300Bの隠ぺい層301上の識別情報の二次元コード302を読み取ることにより、チケットの真偽を判定することができる。そこで、チケットの複製による不法的な使用を防ぐことができる。また、露出部分303には暗号化された発券情報の二次元コード304を印刷することにより、開閉にかかわる情報の露出を減らすことができる。発券情報の二次元コード304を復号化するためには、隠ぺい層301上の暗号化キーの情報を読み取る必要がある。チケットを複製した場合、隠ぺい層301上の暗号化キーの情報の読み取りが不正確になり、発券情報の復号化が不能になる。これにより、違法なチケットの使用が防止できる。なお、隠ぺい層301には暗号化キーに代えて復号化キーを記録してもよい。
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態によるチケットを示す図である。400Aは券紙であり、400Bは券紙400Aに基づいて発券機100により発券されたチケットである。
券紙400Aには、予め第1隠ぺい層401と第2隠ぺい層406が設けられている。第1隠ぺい層401は、チケットの複製を防止するための真偽識別情報の二次元コード402を含む。図8には、第1隠ぺい層401と第2隠ぺい層406が隣にあるように示しているが、実施形態はこれに限らない。例えば、第2隠ぺい層406は、第1隠ぺい層401と所定の間隔を置いて配置しても良いし、第1隠ぺい層401と第2隠ぺい層406の間に発券情報の二次元コード404が印刷される露出部分403を挟んで配置しても良い。
チケット400Bの露出部分403には暗号化された発券情報を含む二次元コード404及び記録データが発券機100により印刷されている。また、第2隠ぺい層406には、暗号化された発券情報を復号化するための暗号化キーの二次元コード405が発券機100により印刷されている。第3実施形態によるチケット400Bは、暗号化キーの二次元コード405が第2隠ぺい層406に含まれていること以外には、第2実施形態によるチケット300Bと同じであるので、重複した説明は書略する。
図9は、第3実施形態による発券機100のチケットの発券方法のフローチャートである。ステップST110からステップST540までの工程は、図6の第2実施形態のステップST110からステップ340までの工程に対応するので、重複した説明は省略する。
発券制御部101は、支払処理された枚数の券紙400Aを所定の印刷位置まで搬送するよう搬送制御部102を制御する。搬送制御部102は、券紙400Aをチケット券紙収容部4から取り出し、所定の印刷位置まで搬送する(ステップST550)。そして、印刷制御部103は、入力した二次元コード404,405及び記録データに基づき、印刷するよう印刷部6に指示する。
印刷部6は、券紙400Aの露出部分403に、発券情報の二次元コード404及び記録データを印刷し、券紙400Aの第2隠ぺい層406に、暗号化キーの二次元コード405を印刷する(ステップST560)。
発券制御部101は、券紙400Aに対する二次元コード404,405及び記録データの印刷が終了したかどうかを判定する(ステップST570)。実施形態において、印刷の終了はセンサー8の検出によって、又は目視確認によって、又はセンサー8の検出と目視確認の組み合わせによって行うことができる。例えば、露出部分403に印刷された二次元コード404とセンサー8によって検出される第1隠ぺい層401及び/又は第2隠ぺい層406の位置関係の組み合わせにより、印刷の終了の判定ができる。実施形態によると、二次元コード404が露出して印刷されるので印刷の有無と位置を目視確認することができ、印刷の終了の確認において、便利を図る。
全ての券紙400Aに対する印刷が終了していない場合、発券制御部101は、ステップST550に戻って処理を繰り返す。これにより、印刷部6は、残りの券紙400Aに二次元コード404,405及び記録データを印刷する。
図10は、第3実施形態による読取装置のチケットの判定方法のフローチャートである。チケットの読取装置は、チケット400Bの第1隠ぺい層401上の券紙の識別情報の二次元コード402と、第2隠ぺい層406上の暗号化キーの二次元コード405と、露出部分403上の暗号化された発券情報の二次元コード404とを読み取る(ステップST610)。
読取装置は、例えば、特定波長域の赤外光を照射することにより、三つの二次元コード402,404,405を同時に読み取る。実施形態によっては、隠ぺい層401,406上の二次元コード402、405を読み取り、次に露出部分403の二次元コード404を読み取ったり、逆の順番で読み取ったり、又は三つの二次元コード402,404,405を予め決められた順番で一つずつ読み取っても良い。
次のステップST620からステップST650までの工程は、図7のステップST420からステップST450までの工程に対応するので、重複した説明は省略する。
なお、上述した実施形態では、暗号化キーの情報として、暗号化キーの二次元コード405が印刷されているとしたが、暗号化キーに代えて、暗号化キー生成アルゴリズムを用いても良い。暗号化キー生成アルゴリズムの二次元コードが第2隠ぺい層406に印刷されている場合は、読み取った暗号化キー生成アルゴリズムから暗号化キーを生成し、その暗号化キーを用いて発券情報の二次元コード404を復号化が行われる。
第3実施形態によると、チケット400Bの第1隠ぺい層401上の識別情報を読み取ることにより、チケットの真偽を判定することができる。そこで、チケットの複製による不法的な使用を防ぐことができる。また、露出部分403には暗号化された発券情報を印刷することにより、ゲート開閉に係わる情報の露出を減らすことができる。発券情報の復号化するためには、第2隠ぺい層406上の暗号化キーの情報を読み取る必要がある。チケットを複製した場合、第2隠ぺい層406上の暗号化キーの情報の読み取りが不正確になり、発券情報の復号化が不能になる。これにより、違法なチケットの使用を防止できる。
なお、隠ぺい層401には暗号化キーに代えて復号化キーを記録してもよい。
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態によるチケットを示す図である。500Aは券紙であり、500Bは券紙500Aに基づいて発券機100により発券されたチケットである。
券紙500Aには、予め第1隠ぺい層501と第2隠ぺい層506が設けられている。第1隠ぺい層501は、チケットの複製を防止するための真偽識別情報の二次元コード502を含む。図11には、第1隠ぺい層501と第2隠ぺい層506が第1隠ぺい層501と第2隠ぺい層506との間に、発券情報の二次元コード504が印刷される露出部分503を配置するように示しているが、実施形態はこれに限らない。例えば、第2隠ぺい層506は、第1隠ぺい層501と所定の間隔を置いて配置しても良いし、隣に配置しても良い。
チケット500Bの露出部分503には、発券情報を含む二次元コード504及び記録データが発券機100により印刷されている。また、第2隠ぺい層506には、二次元コード504と同じ二次元コード505が発券機100により印刷されている。第4実施形態によるチケット500Bは、二次元コード504と同じ二次元コード505が第2隠ぺい層506に含まれていること以外には、第1実施形態によるチケット200Bと同じであるので、重複した説明は書略する。また、実施形態によっては、図5に示したチケット300Bのように、券紙は一つの隠ぺい層を持って、その隠ぺい層上に券紙の識別情報の二次元コード501と2個目の発券情報の二次元コード505を含んでいても良い。
図12は、第4実施形態による発券機100のチケットの発券方法のフローチャートである。ステップST110からステップST740までの工程は、図3の第1実施形態の発券処理のステップST110からステップ140までの工程に対応するので、重複した説明は省略する。
発券制御部101は、支払処理された枚数の券紙500Aを所定の印刷位置まで搬送するよう搬送制御部102を制御する。搬送制御部102は、券紙500Aをチケット券紙収容部4から取り出し、所定の印刷位置まで搬送する(ステップST750)。そして、印刷制御部103は、入力した二次元コード504,505及び記録データに基づき、印刷するよう印刷部6に指示する。
印刷部6は、券紙500Aの露出部分503に、二次元コード504及び記録データを印刷し、券紙500Aの第2隠ぺい層506に、二次元コード504と同じ内容の二次元コード505を印刷する(ステップST760)。
発券制御部101は、券紙500Aに対する二次元コード504,505及び記録データの印刷が終了したかどうかを判定する(ステップST770)。実施形態において、印刷の終了はセンサー8の検出によって、又は目視確認によって、又はセンサー8の検出と目視確認の組み合わせによって行うことができる。例えば、露出部分503に印刷された二次元コード504とセンサー8によって検出される第1隠ぺい層501及び/又は第2隠ぺい層506の位置関係の組み合わせにより、印刷の終了の判定ができる。実施形態によると、二次元コード504が露出して印刷されるので印刷の有無と位置を目視確認することができ、印刷の終了の確認において、便利を図る。
全ての券紙500Aに対する印刷が終了していない場合、発券制御部101は、ステップST750に戻って処理を繰り返す。これにより、印刷部6は、残りの券紙500Aに同じ二次元コード504,505及び記録データを印刷する。
図13は、第4実施形態による読取装置のチケットの判定方法のフローチャートである。チケットの読取装置は、チケット500Bの第1隠ぺい層501上の券紙の識別情報の二次元コード502と、第2隠ぺい層506上の二次元コード505と、露出部分503上の二次元コード504とを読み取る(ステップST910)。
読取装置は、例えば、特定波長域の赤外光を照射することにより、三つの二次元コード502,504,505を同時に読み取る。実施形態によっては、隠ぺい層501,506上の二次元コード502、505を読み取り、次に露出部分503の二次元コード504を読み取ったり、逆の順番に読み取ったり、又は三つの二次元コード502,504,505を予め決められた順番で一つずつ読み取っても良い。
ステップST920の工程は、図4のステップST220の工程に対応するので、重複した説明は省略する。比較判定の結果、二次元コード502の識別情報が有効な場合(ステップST920:YES)、露出部分503の二次元コード504から得られる発券情報と第2隠ぺい層506の二次元コード505から得られる発券情報が一致するかどうかを比較判定する(ステップST930)。一方、ステップST920の結果、二次元コード502の識別情報が有効ではない場合、エラーを通知し(ステップST950)、開閉を行わない。
ステップST930での比較判定の結果、二つの発券情報が同じである場合(ステップST930:YES)、その同じ発券情報に基づいてゲートを開閉する(ステップST940)。一方、二つの発券情報が同じではない場合、エラーを通知し(ステップST950)、ゲートの開閉を行わない。
第4実施形態によると、チケット500Bの隠ぺい層501上の識別情報の二次元コード502を読み取ることにより、チケットの真偽を判定することができる。そこで、チケットの複製による不法的な使用を防ぐことができる。また、チケット500Bの第2隠ぺい層506からも発券情報の二次元コード506を読み取って、露出部分503の発券情報の二次元コード504と比較し、二つの発券情報が一致するかをさらに判定する。これにより、露出部分503の発券情報を違法に変更した場合、チケットの利用を不能にすることができる。つまり、不法の使用を防止する安全なチケットを提供することができる。
上記各実施形態の発券機100は、装置内部に本実施形態を実施するための機能(プログラム)が予め設定されている場合について説明したが、これに限らず同様の機能(プログラム)をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能(プログラム)を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、光ディスク、USBメモリ等のプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。