以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[駅務システム100]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る駅務システム100は、自動改札機1、券売機2、駅サーバ3、及び、センタ装置4を含む。図1では、駅A、駅B及び駅Cを示しており、その他の駅については図示を省略している。各駅には、自動改札機1、券売機2、駅サーバ3、精算機(不図示)、及び、係員端末(不図示)等の駅務機器が設置されている。これら駅務機器は、LAN等のネットワークを介して駅サーバ3に接続されている。また、各駅の駅サーバ3は、専用回線、公衆回線等のネットワークを介して、鉄道会社のセンタ装置4に接続されている。なお、図1では、各駅に1台の自動改札機1と1台の券売機2とが設置された状態を示しているが、各駅に複数台の自動改札機1と複数台の券売機2とが設置されてもよい。
自動改札機1には、駅構内に入場する利用者に対して改札処理(入場改札処理)を行う入場用自動改札機1aと、駅構内から出場する利用者に対して改札処理(出場改札処理)を行う出場用自動改札機1bとがある。以下の説明では、用途を区別しない場合は、自動改札機1として説明し、用途を入場用と出場用とで区別する場合は、入場用自動改札機1a、出場用自動改札機1bとして説明する。入場用自動改札機1a、出場用自動改札機1bは、本発明の自動改札機の一例である。
券売機2は、駅の改札口付近に設置され、利用者に対して乗車券(切符)を発行する。例えば、券売機2は、後述する乗車券情報を記録した二次元コード(以下、QRコードという。)を券面に印刷した媒体(例えば、紙媒体)を乗車券(以下、QR乗車券という。)として発行する。また券売機2は、前記乗車券情報を磁気により記録した乗車券(磁気乗車券)を発行する。QRコードC1(図4参照)は、本発明の情報コードの一例である。QR乗車券5(図4参照)は、本発明の券媒体の一例である。なお、本発明の情報コードは、バーコードであってもよく、本発明の券媒体は、バーコード乗車券であってもよい。
以下、駅務システム100に含まれる自動改札機1、券売機2、駅サーバ3、及び、センタ装置4の具体的な構成について説明する。
[券売機2]
図2に示すように、券売機2は、制御部21と、操作表示部22と、通信部23と、購入部24と、発行部25と、を備えている。
制御部21は、券売機2本体各部の動作を制御する。また制御部21には、現在の日時を計時するタイマ(不図示)が設けられている。制御部21は、受付処理部211と、QRコード生成部212と、発行処理部213とを含んでいる。
通信部23は、券売機2を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介して駅サーバ3などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
操作表示部22は、利用者に対して操作案内画面を表示する表示部と、当該表示部の画面上に貼付されたタッチパネル(操作部)とを有し、利用者による入力操作を受け付ける。
購入部24は、利用者が投入する紙幣、硬貨、プリペイドカード、クレジットカード等の媒体を受け付ける。
制御部21の受付処理部211は、利用者が操作表示部22及び購入部24において操作した情報を取得し、当該情報に応じた処理を実行する。
制御部21のQRコード生成部212は、受付処理部211により取得される利用者の操作に応じた情報に基づいて、乗車券情報を記録したQRコードC1を生成する。
図3は、乗車券情報の一例を示す図である。乗車券情報には、駅名コード、券売機コード、発行日付、発行時刻、発行券種、金額、及び、発行番号などが含まれている。駅名コードは、QR乗車券5を発行する駅(すなわち、券売機2が設置されている駅)を示すコードである。券売機コードは、QR乗車券5を発行する券売機2を示すコードである。発行日付は、QR乗車券5の発行日を示し、発行時刻は、QR乗車券5の発行時刻を示す。発行券種は、QR乗車券5が大人用「1」であるか、子供用「0」であるかを示すコードである。金額は、QR乗車券5を発行する駅から利用者が指定した駅(降車駅)までの運賃を示す。発行番号は、発行するQR乗車券5を識別する識別番号である。
例えば、利用者が駅Aの券売機2で駅Cまでの乗車券を購入する操作を行った場合、QRコード生成部212は、駅Aを示す駅名コードと、QR乗車券5を発行する券売機2の券売機コードと、QR乗車券5の発行日付及び発行時刻と、QR乗車券5の発行券種と、駅Aから駅Cまでの運賃(金額)と、QR乗車券5の発行番号と、を含む乗車券情報を記録したQRコードC1を生成する。
発行処理部213は、QRコード生成部212により生成されるQRコードC1を券媒体の券面に印刷し、印刷した券媒体をQR乗車券5として発行部25から発行(発券)させる。
ここで、QR乗車券5の具体的な構成について説明する。図4は、券売機2で発行されるQR乗車券5を示す平面図である。図5は、図4のA−A断面図である。
図5に示すように、QR乗車券5は、回路基板50と、回路基板50の表面(券面)側に配置される変色部51aと、回路基板50の裏面側に配置される変色部51bと、回路基板50の表面を覆うカバー層53aと、回路基板50の裏面を覆うカバー層53bと、を備えている。
変色部51a、51bは、熱を感知することにより色が変化し、変化した色を保持する機能を有する。例えば、変色部51a、51bは、感熱紙、又は、感熱材料が塗布された紙媒体である。以下の説明では、変色部51a、51bの用途を区別しない場合は、変色部51として説明する。
カバー層53a、53bは、紙、保護フィルムなどの媒体である。カバー層53a、53bにおける変色部51a、51bに重なる部分は、開口部が形成されてもよいし、透明フィルムで構成されてもよい。すなわち、変色部51a、51bは、外部から視認可能に設けられている。なお、変色部51を構成する感熱紙は、回路基板50の表面側及び裏面側の全面に貼り付けられてもよい。
図6は、回路基板50の構成を示す平面図である。図6に示すように、回路基板50は、QR乗車券5の外周に沿うように配置されるコイル521と、コイル521に接続されるコンデンサ522とを含んでいる。コイル521とコンデンサ522とは、LC共振回路52を構成する。LC共振回路52は本発明の第2LC共振回路の一例であり、コイル521は本発明の第2コイルの一例であり、コンデンサ522は本発明の第2コンデンサの一例である。
図6に示すように、変色部51は、QR乗車券5を平面的に見て、コンデンサ522に重なるように配置されている。これにより、コンデンサ522が発熱すると、変色部51の色が変化する。
また図4に示すように、QR乗車券5の券面には、QRコードC1が印刷されるとともに、利用者等が確認できるように、乗車券情報の一部が文字で印刷される。QRコードC1は、QR乗車券5の略中央に印刷され、変色部51は、QRコードC1の近傍に配置される。発行部25には、回路基板50と変色部51とカバー層53a,53bとからなる媒体が収納されている。発行処理部213は、利用者の操作に応じて前記媒体にQRコードC1及び乗車券情報を印刷して、発行部25からQR乗車券5として発行させる。
また発行処理部213は、乗車券情報(図3参照)を券売機2の発行情報として、駅サーバ3に送信する。乗車券情報及び発行情報は、互いに関連付けられる。発行処理部213は、QR乗車券5を発行する度に、発行情報を駅サーバ3に送信する。なお、発行情報は、乗車券情報と同一内容であってもよいし、乗車券情報に他の情報が追加されてもよい。
[自動改札機1]
図2及び図7を用いて自動改札機1について説明する。図7は、自動改札機1の一例を示す外観図である。
自動改札機1は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、通信部14と、ゲート15と、ICカード読取部16と、QRコード読取部17と、変色検知部18と、交流信号発生部19と、電磁波発信部20と、を備えている。
制御部11は、自動改札機1本体各部の動作を制御する。また、制御部11には、現在の日時を計時するタイマ(不図示)が設けられている。
記憶部12は、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体を有し、駅サーバ3から送信される発行情報を必要に応じて記憶する。
表示部13は、制御部11からの指示に従って、改札通路を通行する利用者に対してメッセージを表示する。表示部13は、例えば、液晶パネルを有している。表示部13は、入場用自動改札機1a及び出場用自動改札機1bのそれぞれに設けられており、改札通路の中心付近に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部13には、利用者に通行可能であることを示すメッセージが表示される。また、利用者の通行が許可されない場合、表示部13には、利用者に通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。なお、出場用自動改札機1bに設けられる表示部13には、例えば、運賃が不足していることを示すメッセージが表示されてもよい。
通信部14は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介して駅サーバ3などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
ゲート15は、自動改札機1の出入口に設置される。ゲート15は、例えば開閉可能な扉である。ゲート15が開放されると、利用者は自動改札機1の改札通路を通過することが可能となり、ゲート15が閉鎖されると、利用者は自動改札機1の改札通路を通過することが不可能となる。なお、ゲート15は、物理的な扉であってもよいし、光を用いた電子的な扉であってもよい。さらに、ゲート15は、音声により利用者の通過を許可又は禁止する音声ゲートであってもよい。
ICカード読取部16は、ICカード形式の乗車券(以下、IC乗車券という。)の情報を読み取る。ICカード読取部16により読み取られた情報は制御部11に送信され、制御部11は当該情報に基づいて改札処理を実行する。IC乗車券を利用する利用者は、ICカード読取部16にIC乗車券を翳して、改札通路を通行する。
QRコード読取部17は、QR乗車券5の券面に印刷されているQRコードC1(図4参照)の画像を撮像してデジタル画像データ(以下、画像データという。)として出力するデジタルカメラである。QRコード読取部17により撮像された画像データは制御部11に送信される。制御部11は、当該画像データに基づいて乗車券情報を取得して改札処理を実行する。QR乗車券5を利用する利用者は、QRコード読取部17にQRコードC1を翳して、改札通路を通行する。
変色検知部18は、QR乗車券5の変色部51の色を検知する。例えば、変色検知部18は、色識別センサ(カラーセンサ)により構成される。例えば、変色検知部18は、QRコード読取部17がQRコードC1を読み取ったタイミングで変色部51の色を検知し、検知結果を制御部11に送信する。なお、制御部11が、QRコード読取部17を構成するデジタルカメラにより撮像された画像データに基づいて変色部51の色を検知してもよい。
交流信号発生部19は、制御部11からの指示に基づいて所定の交流信号S1を発生させ、当該交流信号S1を電磁波発信部20に供給する。
電磁波発信部20は、交流信号発生部19から供給された交流信号S1に基づいて、QR乗車券5に向けて、所定の電界強度及び所定の周波数の電磁波を発信する。電磁波発信部20の構成については後述する。
制御部11は、読取処理部111と、判定処理部112と、ゲート処理部113と、通知処理部114とを含む。
読取処理部111は、ICカード読取部16により読み取られたIC乗車券の情報を取得して、当該情報を更新する。例えば、出場用自動改札機1bにおいて、読取処理部111は、IC乗車券にチャージされている金額から所定の金額(運賃)を減額し、減額された残りの金額をIC乗車券の情報に書き込む。また、読取処理部111は、IC乗車券の入場記録及び出場記録を更新等する。なお、IC乗車券を利用した改札処理は、周知の技術を適用することができるため、以下では説明を省略する。
読取処理部111は、さらに、QRコード読取部17により撮像された画像データを取得し、当該画像データからQRコードC1を光学的に読み取る。また読取処理部111は、読み取ったQRコードC1に記録された乗車券情報を取得する。
判定処理部112は、読取処理部111により取得された乗車券情報と、記憶部12に記憶された発行情報とに基づいて、利用者に対する改札通路の通行可否を判定する。判定処理部112は、本発明の券判定処理部の一例である。
判定処理部112により改札通路における利用者の通行を許可すると判定された場合、制御部11は、制御信号を交流信号発生部19に送信する。交流信号発生部19は、前記制御信号を受信すると、所定の交流信号S1を発生させて電磁波発信部20に供給する。
また、判定処理部112は、変色検知部18から検知結果を取得し、QR乗車券5の変色部51の色が変化しているか否かを判定する。判定処理部112は、本発明の色判定処理部の一例である。
ゲート処理部113は、乗車券情報に基づく判定処理部112の判定結果に基づいて、ゲート15の動作(開閉など)を制御する。例えば、改札通路における利用者の通行を許可された場合、ゲート処理部113は、ゲート15を開放する。一方、改札通路における利用者の通行を禁止された場合、ゲート処理部113は、ゲート15を閉鎖する。
また、ゲート処理部113は、QR乗車券5の変色部51の色が変化したか否かを示す判定処理部112の判定結果に基づいて、ゲート15の動作(開閉など)を制御する。この処理の詳細については後述する。
通知処理部114は、判定処理部112の判定結果に基づいて、改札通路を通行する利用者に対する前記各メッセージを表示部13に表示させる。
[駅サーバ3及びセンタ装置4]
図2に示すように、駅サーバ3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えている。制御部31は、駅サーバ3本体の動作を制御する。記憶部32は、制御部31における駅サーバ3本体の動作制御に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部32は、券売機2から送信される上述の発行情報を記憶する。通信部33は、駅務機器及びセンタ装置4とのデータ通信を制御する。
例えば、駅サーバ3は、前記発行情報を、当該駅サーバ3が設置されている駅の入場用自動改札機1a及びセンタ装置4に送信する。
図2に示すように、センタ装置4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えている。制御部41は、センタ装置4本体の動作を制御する。記憶部42は、制御部41におけるセンタ装置4本体の動作制御に必要な情報を記憶する。通信部43は、各駅の駅サーバ3とのデータ通信を制御する。
入場用自動改札機1aは、駅サーバ3から送信される発行情報を記憶部12に記憶する。すなわち、入場用自動改札機1aは、当該入場用自動改札機1aが設置されている駅の券売機2で発行されたQR乗車券5毎に発行情報を記憶する。また、センタ装置4は、駅サーバ3から送信される発行情報を、記憶部42に記憶する。すなわち、センタ装置4は、各駅の券売機2で発行されたQR乗車券5毎に発行情報を記憶する。
[入場改札処理]
以下、図8を参照しつつ、自動改札機1(入場用自動改札機1a)において実行される入場時の改札処理について説明する。ここでは、利用者が、駅Aで乗車し、駅Cで降車する場合を例に挙げる。
先ず、利用者は、駅Aの任意の券売機2で駅CまでのQR乗車券5を購入した後、QR乗車券5のQRコードC1を、任意の入場用自動改札機1aのQRコード読取部17に翳す。QRコードC1には、駅Aを示す駅名コードと、QR乗車券5を発行した券売機2の券売機コードと、QR乗車券5の発行日付及び発行時刻と、QR乗車券5の発行券種と、駅Aから駅Cまでの運賃(金額)と、QR乗車券5の発行番号と、を含む乗車券情報が記録される。
図9には、入場用自動改札機1aのQRコード読取部17を含む部分の拡大図を示している。QRコード読取部17の近傍に、電磁波発信部20が設けられている。具体的には、電磁波発信部20は、QRコード読取部17の読取面の周囲を囲むように配置されるコイル201と、コイル201に接続されるコンデンサ202とで構成されるLC共振回路を備えている。なお、電磁波発信部20は、自動改札機1を構成する筐体10の内部に設けられている。電磁波発信部20を構成するLC共振回路は本発明の第1LC共振回路の一例であり、コイル201は本発明の第1コイルの一例であり、コンデンサ202は本発明の第1コンデンサの一例である。
また、QRコード読取部17の読取面の近傍(図9では上部)に、変色検知部18が設けられている。なお、変色検知部18は、QRコード読取部17の読取面の領域内に配置されてもよい。また、制御部11が、QRコード読取部17(デジタルカメラ)により撮像された画像データに基づいて変色部51の色を検知する構成の場合、変色検知部18は省略されてもよい。
利用者がQR乗車券5のQRコードC1をQRコード読取部17に翳すことにより、入場改札処理が開始される。
ステップS101において、入場用自動改札機1aのQRコード読取部17は、QR乗車券5に印刷されているQRコードC1を撮像する。
ステップS102において、入場用自動改札機1aの読取処理部111は、QRコード読取部17により撮像されたQRコードC1の画像データからQRコードC1を読み取り、乗車券情報を取得する。
ステップS103において、入場用自動改札機1aの判定処理部112は、前記乗車券情報に含まれる駅名コードが正しいか否かを判定する。ここでは、利用者がQRコード読取部17に翳したQR乗車券5が、駅Aの券売機2で発行されたものであるか否かを判定する。
QR乗車券5が駅Aの券売機2で発行されたものでないと判定された場合(S103:NO)、入場用自動改札機1aのゲート処理部113は、改札通路の出口側(駅構内側)に設けられているゲート15(図7参照)を閉鎖して、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する(ステップS104)。
QR乗車券5が駅Aの券売機2で発行されたものであると判定された場合(S103:YES)、入場用自動改札機1aの判定処理部112は、さらに、前記乗車券情報に基づいて、発行時刻からの経過時間が予め定められている時間(例えば30分)以内であるか否かを判定する(ステップS105)。
発行時刻からの経過時間が予め定められている時間(例えば30分)以内でないと判定された場合(S105:NO)、コピー等によって作成された偽造乗車券である可能性があると判断し、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する(ステップS104)。
発行時刻からの経過時間が予め定められた時間以内であると判定された場合(S105:YES)、入場用自動改札機1aの判定処理部112は、さらに、QR乗車券5の変色部51の色が変化しているか否かを判定する(ステップS106)。例えば、判定処理部112は、入場用自動改札機1aの変色検知部18が検知した変色部51の色と、予め登録された変色部51の色(初期設定色)とを比較して、変色部51の色が変色しているか否かを判定する。
QR乗車券5の変色部51が変色していないと判定された場合(S106:NO)、入場用自動改札機1aの制御部11は、制御信号を交流信号発生部19に送信する(ステップS107)。
次に、交流信号発生部19は、前記制御信号を受信すると、所定の交流信号S1を電磁波発信部20に供給する(ステップS108)。
図10は、自動改札機1の電磁波発信部20と、QR乗車券5との構成を示す図である。交流信号発生部19は、例えば自動改札機1の外部電源から供給される電力を用いて、所定の交流信号S1(高周波電力)を発生する回路である。交流信号発生部19は、判定処理部112の判定結果に応じて制御部11から送信される制御信号を受信すると、所定の交流信号S1を発生する。交流信号S1は、電磁波発信部20を構成するLC共振回路に供給される。交流信号発生部19は、例えば、スイッチングアンプを含んで構成される。
電磁波発信部20は、交流信号発生部19から交流信号S1を受信すると、コイル201及びコンデンサ202を利用して、QRコード読取部17に翳されたQR乗車券5に向けて、所定の電界強度及び所定の周波数の電磁波(磁束)を発信する。例えば、電磁波発信部20は、QR乗車券5のLC共振回路52が共振する周波数を包含する周波数帯の発振周波数を発信し、当該発振周波数に応じた電磁波を発信する。なお、前記発振周波数は、例えば、産業、科学、医療において高周波エネルギー源として利用するために割り当てられたISM(Industry Science Medical)バンドが有効である。例えば、前記発振周波数は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz等である。
自動改札機1から発信される電磁波の周波数がLC共振回路52の共振周波数と略同一である場合に、自動改札機1の電磁波発信部20を構成するLC共振回路と、QR乗車券5のLC共振回路52とが磁気結合して電磁誘導により共振動作が起こる。これにより、LC共振回路52のコイル521に起電力(誘導起電力)が生じ、コンデンサ522にエネルギーが蓄えられる。
コンデンサ522にエネルギーが蓄えられると、コンデンサ522が発熱する。QR乗車券5には、コンデンサ522の近傍に感熱材料から成る変色部51が設けられているため(図5及び図6参照)、コンデンサ522の発熱により変色部51が変色する。なお、自動改札機1及びQR乗車券5は、本発明の改札システムの一例である。
このように、QRコード読取部17に翳されたQR乗車券5の変色部51が変色していない場合(S106:NO)、電磁波発信部20は、交流信号S1に基づいて、QR乗車券5に向けて電磁波を発信する(ステップS109)。これにより、QR乗車券5の変色部51が変色する。なお、図10において、制御部11が、QRコード読取部17(デジタルカメラ)により撮像された画像データに基づいて変色部51の色を検知する構成の場合、変色検知部18は省略されてもよい。
その後、入場用自動改札機1aのゲート処理部113は、ゲート15を開放し、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を許可する(ステップS110)。
以上のように、適切に改札処理が行われた場合、改札通路を通行(駅構内への入場)した利用者のQR乗車券5の変色部51は、変色した状態となる。すなわち、変色部51が変色しているQR乗車券5は、既に改札処理が行われたもの(使用済み)であることを表している。
ここで例えば、利用者が、使用済みのQR乗車券5を用いて不正に駅構内に入場しようとした場合、以下の処理が実行される。例えば、使用済みのQR乗車券5が駅Aの券売機2で発行されたものであると判定された場合(S103:YES)であって、かつ、発行時刻からの経過時間が予め定められた時間以内であると判定された場合(S105:YES)、ステップS106に移行する。
ここでは、ステップS106において、判定処理部112は、変色部51が変色していると判定し(S106:YES)、処理はステップS104に移行する。これにより、入場用自動改札機1aのゲート処理部113は、ゲート15を閉鎖して、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する(ステップS104)。
以上の処理によれば、券売機2が発行したQR乗車券5が、発行駅で複数回使用(使い回し)されるといった不正使用を防止することができる。
なお、例えば、利用者が、駅Bで購入したQR乗車券5を、不注意により駅Aの入場用自動改札機1aで利用して通行(駅構内への入場)を禁止された場合(S103:NO)であっても、当該QR乗車券5には変色処理(S106〜S109)が行われないため、利用者は、当該QR乗車券5を駅Bの入場用自動改札機1aで適切に利用することができる。
入場用自動改札機1aの判定処理部112は、さらに、ステップS106の判定処理の前に、その他の乗車券情報(発行券種、発行番号など)に基づいて、利用者に対する改札通路の通行可否を判定してもよい。
[出場改札処理]
続いて、図11を参照しつつ、自動改札機1(出場用自動改札機1b)において実行される出場時の改札処理について説明する。ここでも、上述の例に従って説明する。
駅Aから乗車した利用者は、目的地の駅Cで降車し、QR乗車券5のQRコードC1を駅Cに設置されている任意の出場用自動改札機1bのQRコード読取部17に翳す。利用者が、QR乗車券5のQRコードC1をQRコード読取部17に翳すことにより、出場改札処理が開始される。
ステップS201において、出場用自動改札機1bのQRコード読取部17は、QR乗車券5に印刷されているQRコードC1を撮像する。
ステップS202において、出場用自動改札機1bの読取処理部111は、QRコード読取部17により撮像されたQRコードC1の画像データからQRコードC1を読み取り、乗車券情報を取得する。
ステップS203において、出場用自動改札機1bの判定処理部112は、前記乗車券情報に含まれる金額と、QR乗車券5の発行駅(駅A)から当該出場用自動改札機1bが設置された駅(駅C)までの金額とを比較して、運賃が足りるか否かを判定する。
運賃が足りないと判定された場合(S203:NO)、出場用自動改札機1bのゲート処理部113は、改札通路の出口側(駅構外側)に設けられているゲート15(図7参照)を閉鎖して、改札通路における利用者の通行(駅構外への出場)を禁止する(ステップS204)。この場合、通知処理部114は、利用者に不足金額を清算するように促すメッセージを表示部13に表示させる。
運賃が足りると判定された場合(S203:YES)、出場用自動改札機1bの判定処理部112は、さらに、QR乗車券5の変色部51が変色しているか否かを判定する(ステップS205)。例えば、判定処理部112は、出場用自動改札機1bの変色検知部18が検知した変色部51の色と、予め登録された変色部51の色(初期設定色)とを比較して、変色部51の色が変色しているか否かを判定する。
QR乗車券5の変色部51が変色していると判定された場合(S205:YES)、出場用自動改札機1bのゲート処理部113は、ゲート15を開放し、改札通路における利用者の通行(駅構外への出場)を許可する(ステップS206)。すなわち、駅Aの入場用自動改札機1aにおいて適切に入場改札処理が行われた場合は、QR乗車券5の変色部51が変色しているため、出場用自動改札機1bは、当該変色を確認した場合に、改札通路における利用者の通行(駅構外への出場)を許可する。
ここで、駅Aの券売機2で正規に購入されたQR乗車券5であって、駅Aの入場用自動改札機1aにおいて改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を許可されたにもかかわらず、QR乗車券5の変色部51が変色していない場合、すなわちQR乗車券5の変色処理が適切に行われない場合(変色エラー)が考えられる。例えば、利用者が、QR乗車券5をQRコード読取部17に急いでタッチした場合、又は、QR乗車券5がQRコード読取部17の読取面から位置ずれした状態でQRコードC1が読み取られた場合などに、前記変色エラーが生じる可能性がある。このような事態が生じると、利用者が出場する駅Cにおいて、QR乗車券5が正しく入場改札処理が行われていないと判定されて、利用者は、改札通路の通行(駅構外への出場)を禁止されてしまう。このような不具合を防ぐために、ステップS205において、出場用自動改札機1bは、QR乗車券5の変色部51が変色していないと判定した場合(S205:NO)、以下の処理を実行する。
ステップS207において、出場用自動改札機1bの制御部11は、制御信号を交流信号発生部19に送信する。
次に、交流信号発生部19は、前記制御信号を受信すると、所定の交流信号S1を電磁波発信部20に供給する(ステップS208)。
次に、電磁波発信部20は、交流信号S1を受信すると、QR乗車券5に向けて電磁波を発信する(ステップS209)。その後、処理は、ステップS205に戻る。
これによりQR乗車券5の変色部51が適切に変色している場合(S205:YES)、ステップS206に移行して、出場用自動改札機1bのゲート処理部113は、ゲート15を開放し、改札通路における利用者の通行(駅構外への出場)を許可する。
以上の処理によれば、入場時に適切に改札処理が行われずQR乗車券5の変色エラーが生じた場合であっても、出場時に適切に改札処理を行って、利用者を通行させることができる。また、出場時に変色処理を行うことができるため、QR乗車券5の使い回しなどの不正使用を防止することもできる。
本発明の駅務システム100は、上述の実施形態に限定されず、以下に示す形態であってもよい。
他の実施形態として、入場用自動改札機1aにおいて実行される入場改札処理は、図12に示す処理であってもよい。なお、図12に示す入場改札処理では、図8に示す入場改札処理と同一の処理については、同一のステップ番号を示している。
図12に示すように、QR乗車券5のQRコードC1が読み取られて乗車券情報が取得された場合(S101、S102)、ステップS106に移行し、入場用自動改札機1aの判定処理部112は、QR乗車券5の変色部51が変色しているか否かを判定する。
QR乗車券5の変色部51が変色していない場合(S106:NO)、入場用自動改札機1aの制御部11は、ステップS107〜S109の処理を実行して、電磁波をQR乗車券5に向けて発信する。これにより、QR乗車券5の変色部51が変色する。
一方、QR乗車券5の変色部51が変色している場合(S106:YES)、入場用自動改札機1aの制御部11は、ゲート15を閉鎖して、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を禁止する(ステップS104)。
ステップS109の処理が実行されてQR乗車券5の変色部51が変色した後、ステップS103、S105の処理が実行される。ステップS105において、発行時刻からの経過時間が予め定められた時間以内であると判定された場合(S105:YES)、入場用自動改札機1aの制御部11は、ゲート15を開放して、改札通路における利用者の通行(駅構内への入場)を許可する(ステップS110)。
以上のように、自動改札機1は、QRコードC1を読み取った後にQR乗車券5の変色部51の変色を判定する処理(S106)を実行し、その後にQRコードC1の乗車券情報による判定処理(S103、S105)を実行してもよい。これにより、QR乗車券5を一旦、入場用自動改札機1aのQRコード読取部17に翳してQRコードC1が読み取られると、当該QR乗車券5は使用済みとなる。これにより、QR乗車券5の使い回しを防止することができる。
また、他の実施形態として、電磁波発信部20は、QR乗車券5の変色部51が変色していない場合に、乗車券情報による判定処理の判定結果に基づいて、異なる電界強度の電磁波をQR乗車券5に向けて発信してもよい。例えば制御部11は、交流信号発生部19から発生する交流信号S1を制御することにより電界強度を所望の値に変化させる。
例えば、読取処理部111によりQRコードC1が読み取られたときに変色部51が変色していない場合であって、かつ、乗車券情報による判定処理において利用者が改札通路を通行することを許可された場合に、電磁波発信部20は、QR乗車券5に向けて第1電界強度の電磁波を発信する。利用者が適切にQR乗車券5を利用した場合は上述の処理が実行される。
一方、読取処理部111によりQRコードC1が読み取られたときに変色部51が変色していない場合であって、かつ、乗車券情報による判定処理において利用者が改札通路を通行することを禁止された場合に、電磁波発信部20は、QR乗車券5に向けて第1電界強度とは異なる第2電界強度の電磁波を発信する。例えば、利用者が駅Aで購入したQR乗車券5を駅Bの入場用自動改札機1aに利用した場合に上述の処理が実行される。
これにより、例えば、QR乗車券5の変色部51は、第1電界強度の電磁波に基づいてLC共振回路52から発せられる熱を感知した場合に第1色に変色し、第2電界強度の電磁波に基づいてLC共振回路52から発せられる熱を感知した場合に第1色とは異なる第2色に変色する。
この場合、例えば駅Aの入場用自動改札機1aは、QR乗車券5の変色部51の色が第2色の場合、使い回しの乗車券ではないと判断し、利用者が改札通路を通行することを許可する。なお、この場合、入場用自動改札機1aは、QR乗車券5に向けて電磁波を発信し、変色部51の色を第1色に変色させる。上述の構成によれば、例えば、変色部51が変色している場合でも、直ちに使い回しの乗車券であると判断せず、正規の乗車券であると判断することができる。また例えば、QR乗車券5の変色部51の色が第2色である場合、当該QR乗車券5は一度入場用自動改札機1aで読み取られたが正規の乗車券であると判断(認識)することができ、利用者は、当該QR乗車券5を再度利用することができる。このように、自動改札機1は、QR乗車券5の変色部51の色に応じて異なる処理を実行してもよい。
また、他の実施形態として、ICカード読取部16とQRコード読取部17と電磁波発信部20とは、同一の領域に配置されてもよい。例えば、図13に示すように、ICカード読取部16の読み取りが可能な領域内に、QRコード読取部17及び電磁波発信部20が配置されてもよい。これにより、自動改札機1の上面の領域を縮小することができる。また、利用者は、IC乗車券を利用する場合とQR乗車券を利用する場合とで、乗車券を翳す位置を変える必要がないため、利便性を向上させることができ、また乗車券の読み取りエラーを防ぐことできる。
なお、自動改札機1の制御部11は、CPU、メモリ、その他の電子回路によって構成される。CPUは、本実施形態に係る改札処理(入場改札処理(図8及び図12参照)、出場改札処理(図11参照))に応じた改札処理プログラムを実行したときに、読取処理部111、判定処理部112、ゲート処理部113、及び通知処理部114として動作する。また、メモリは、前記改札処理プログラムを展開する領域、及び、前記改札処理プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御部11は、CPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、CPUは、前記改札処理に応じた改札処理方法を実行するコンピュータであってもよい。