JP6473574B2 - 細胞の生存促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞の生存促進剤に関する。
カスパーゼ等の細胞死関連酵素を阻害するペプチド性阻害剤は、広く報告されている(例えば、非特許文献1参照)。これらペプチド性阻害剤のいくつかについて、臨床試験が行われている。カスパーゼの活性を阻害するペプチド性阻害剤は、可逆的に働くか不可逆的に働くかによって分類される。又は、特定のカスパーゼに作用するか、カスパーゼの特定のグループに作用するか、カスパーゼ全体に作用するかといった選択性で分類される。
現存するペプチド阻害剤の多くは、カスパーゼによって切断されるコンセンサス配列と同一又は類似の配列を含み、切断反応を阻害する。
カスパーゼによって切断されるコンセンサス配列を含み、カスパーゼによって完全に切断されるペプチド性阻害剤は、細胞に多量に投与されることによって、カスパーゼの基質に対して競合的に働く。ペプチド性阻害剤の作用機序は、コンピューターモデリングによって予測されている。そして、係る予測は、細胞ベースの実験によって確かめられている。
しかしながら、ほとんどのペプチドが細胞内に受動輸送されないため、細胞内で機能させるためには、標的ペプチドを細胞内に導入しなければならない。TAT、MPG、Pep、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22等の多くのペプチド配列が細胞内移行性を示すことが知られており、これらのペプチド配列と標的ペプチドを融合させることにより、標的ペプチドの細胞内移行性を促進することができる。
幹細胞を含む移植細胞は、生存率が低く、この生存率の低さは、細胞ベース療法の主要な限定要因の一つとなっている。移植された細胞の多くは、移植後数日で死ぬ。この細胞死は、酸素フリーラジカル種、炎症性サイトカイン、低酸素症、細胞外基質からの脱離等の様々な要因によって引き起こされるアポトーシスである。
Yaoita H,et.al.,Circulation.,(1998),97(3),pp.276−281.
同一の細胞内経路が、細胞増殖と細胞死に対する抵抗性に寄与していることから、移植後の細胞の生存期間の短さを、将来的な悪性腫瘍化のリスクなく改善させることは、難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細胞の長期的な生存に影響を及ぼさずに、早期細胞死の問題を克服する細胞の生存促進剤を提供することを目的とする。
本発明の一実施態様は、下記(1)〜(4)を提供するものである。
(1)本発明の細胞の生存促進剤は、下記式(1)で表されるペプチド、又は、下記式(1)で表されるペプチド中の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、細胞膜透過性及びカスパーゼ酵素阻害活性を有するペプチド、を少なくとも1種含有することを特徴とする。
M−CS−M’(1)
[式(1)中、Mは、N末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、
CSは、カスパーゼの基質由来のアミノ酸配列を示し、
M’は、C末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、
M及びM’のうち、少なくとも一方は、細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示す。]
(2)本発明の細胞の生存促進剤において、Mは、N末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
(3)本発明の細胞の生存促進剤において、CSは、イニシエーターカスパーゼ若しくはエフェクターカスパーゼの基質由来の天然アミノ酸配列又は修飾アミノ酸配列、又はこれらのRetro−Inverso型、又はこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
(4)本発明の細胞の生存促進剤において、M’は、C末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
(5)本発明の細胞の生存促進剤において、前記ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、又はこれらの組み合わせからなることが好ましい。
(6)本発明の細胞の生存促進剤において、前記ペプチドは、分子カーゴと共有結合的又は非共有結合的に結合してなることが好ましい。
(7)本発明の細胞の生存促進剤において、前記分子カーゴは、MRIトレーサー、オリゴヌクレオチド、前記ペプチドとは異なるペプチド、タンパク質、薬剤、及びナノ粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(8)本発明の細胞の生存促進剤は、自家移植を含む、実験的移植又は治療学的移植に用いられることが好ましい。
本発明によれば、実験的移植又は治療学的移植における細胞ベースの移植率を向上できる。
また、本発明は、プログラム細胞死を限られた期間だけ遅延させたい場合、特に、急性の熱ストレス、毒性物質の投与、再灌流傷害といった刺激によって引き起こされる大量の急性細胞死を遅延させたい場合に有用である。
初代繊維芽細胞抽出液の低分子量(1〜3kDa)プロファイルを示す。 ラットの脊髄から抽出した初代ラット繊維芽細胞へのペプチドの導入効率を調べた結果である。 2060細胞へのペプチドの導入効率を調べた結果である。 N1E細胞において、スタウロスポリン処置後のアポトーシスをペプチドが抑制した結果を示す。 ウエスタンブロットにより、活性化カスパーゼ3を評価した結果である。 N1E細胞において、血清を急激に取り除くことにより誘発されるアポトーシスをペプチドが抑制した結果を示す。 N1E細胞において、過酸化水素により誘発されるアポトーシスをペプチドが抑制した結果を示す。 移植2週間後の細胞塊を示す。
本発明の細胞の生存促進剤は、下記式(1)で表されるペプチド、又は、下記式(1)で表されるペプチド中の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、細胞膜透過性及びカスパーゼ酵素阻害活性を有するペプチド、を少なくとも1種含有する。
M−CS−M’(1)
[式(1)中、Mは、N末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、
CSは、カスパーゼの基質由来のアミノ酸配列を示し、
M’は、C末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、
M及びM’のうち、少なくとも一方は、細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示す。]
損傷を受けた神経を再生し、再接続させることは、依然として困難な課題である。従来、幹細胞の移植、及び/又は、機能的回復を自然な方法で付与できる補助的細胞の移植は、移植後の細胞の生存率が低いために成功率が低かった。
移植後の最初の数日は、細胞が生存するために重要な時間である。それは、移植細胞は細胞外基質への接着が確立しておらず、損傷部位は、炎症性サイトカインを生産する免疫細胞に浸潤され、血管新生の生じない部分は、局所的に低酸素濃度となるからである。これらの状況下にある多くの細胞は、アポトーシス、アノイキス、又はネクローシスによって死ぬ。
アポトーシスによる細胞死は、カスパーゼと呼ばれる特定の種類のプロテアーゼの活性化を介して生じる。カスパーゼは、細胞の中の広範囲にわたるタンパク質基質を分解し、周囲の環境に炎症反応を生じさせることなく、細胞が死ぬ準備を行う。
カスパーゼは、不活性型の酵素前駆体として細胞に存在する。そして、上流の他のカスパーゼに切断されることによって活性化する。
ここで、細胞にカスパーゼの基質を過剰に供給すると、細胞内の天然の基質の分解とカスパーゼカスケードの更なる活性化は遅延する。この遅延により、移植細胞が移植部位で、環境に適合するために必要な時間を稼ぐことができる。
前記式(1)で表されるペプチドは、生存期間の短い細胞で分解可能な分子である。このペプチドは、(i)カスパーゼの基質又は切断部位の実際の構造を模擬するために用いられ、(ii)既知の機能的な配列を融合させることによって細胞への透過性が促進する。
前記式(1)で表されるペプチドをデザインするための理論的根拠を以下に示す。
(i)細胞に酵素の競合的基質を多量に導入することにより、実際の酵素の活性化を遅延させることができる。導入された基質が消費された後は、カスパーゼの活性化は依然として存在し、アポトーシスによる細胞死は自然に誘導される。
(ii)移植後の重要な期間に、移植細胞が生存できる一方、細胞死シグナルを持続的にブロックするおそれ、及び、移植細胞の癌化のおそれがない。
(iii)ペプチドの洗練された構造は、工業的化学合成に適している。
(iv)ペプチドを修飾することにより、ペプチドの迅速な細胞内移行を可能とする。
ペプチドを細胞内に導入させることは、技術的に難しい。そこで、本発明において、細胞内に必要な濃度のペプチドを導入するため、本発明者は、カスパーゼの切断配列に細胞内移行促進配列を融合させた。
前記式(1)で表されるペプチドにおいて、M及びM’のうち、少なくとも一方は、細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示す。
前記式(1)で表されるペプチドにおいて、Mは、N末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
また、前記式(1)で表されるペプチドにおいて、M’は、C末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
前記式(1)で表されるペプチドにおいて、CSは、カスパーゼの基質由来のアミノ酸配列を示す。
カスパーゼの基質を一時的に投与することにより、異なるアポトーシス刺激によって誘導されるカスパーゼの酵素活性が臨界閾に達するのを抑制することができる。この抑制により、下流のカスパーゼカスケードの活性化によるアポトーシスの実行を遅延させる。アポトーシス刺激が続く場合、細胞死は遅延するが依然として起きる。細胞を取り囲む環境がより生存促進的となる場合、生存経路が優先的に働く。
前記式(1)で表されるペプチドにおいて、CSは、イニシエーターカスパーゼ若しくはエフェクターカスパーゼの基質由来の天然アミノ酸配列又は修飾アミノ酸配列、又はこれらのRetro−Inverso型、又はこれらの組み合わせを示すことが好ましい。
イニシエーターカスパーゼとしては、カスパーゼ2、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ12等が挙げられる。カスパーゼ8の基質由来の天然アミノ酸配列としては、IETD(該アミノ酸配列は一文字表記である。)が挙げられる。カスパーゼ9の基質由来の天然アミノ酸配列としては、LEHDが挙げられる。
エフェクターカスパーゼとしては、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7等が挙げられる。カスパーゼ3の基質由来の天然アミノ酸配列としては、DEVDが挙げられる。
本発明に用いられるペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、又はこれらの組み合わせからなるものであってもよい。L−アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり、D−アミノ酸は、L−アミノ酸残基のキラリティーが反転しているものである。
Retro−Inverso型とは、対応するネイティブL−アミノ酸配列についての逆転したアミノ酸配列(D−アミノ酸を含むアミノ酸配列)を合成することによって構築されたものである。
式(1)で表されるペプチドとしては、以下のものが挙げられる。
Gly−Arg−Lys−Lys−Arg−Arg−Gln−Arg−Arg−Arg−Gly−Ile−Glu−Thr−Asp−Ser−Gly−Thr(配列番号1)
この配列は、Caspase−3を活性化するための切断配列とTATタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
dThr−Gly−dSer−dAsp−dThr−dGlu−dIle−Gly−Arg−Lys−Lys−Arg−Arg−Gln−Arg−Arg−Arg−Gly(配列番号2)
この配列は、Caspase−3を活性化するための切断配列のRetro−Inverso型とTATタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。配列中、dXaaは、D−アミノ酸を示す。
Ser−Ser−Val−Glu−Thr−Asp−Gly−Lys−Glu−Thr−−Trp−Trp−Glu−Thr−Trp−Trp−Thr−Glu−Trp−Ser−Gln−Pro−Lys−Lys−Lys−Arg−Lys−Val(配列番号3)
この配列は、Caspase−8の切断配列とPep−1タンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
Gly−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Lys−Ile−Asn−Leu−Lys−Ala−Leu−Ala−Ala−Leu−Ala−Lys−Lys−Ile−Leu−Ser−Glu−Val−Asp−Ser(配列番号4)
この配列は、Caspase−9の切断配列とTransportanタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
また、本発明に用いられるペプチドは、分子カーゴと共有結合的又は非共有結合的に結合してなるものであってもよい。本発明において、分子カーゴとは、細胞膜透過性を有する本発明に用いられるペプチドに結合して、細胞内に移行させたい分子をいう。
分子カーゴとしては、MRIトレーサー、オリゴヌクレオチド、本発明に用いられるペプチド(例えば、前記式(1)で表されるペプチド)とは異なるペプチド、タンパク質、薬剤、ナノ粒子等が挙げられる。これらの内、少なくとも一種を分子カーゴとして用いることが好ましい。
本発明の細胞の生存促進剤は、自家移植を含む、実験的移植又は治療学的移植に好適に用いられる。移植に用いられる細胞としては、幹細胞、循環血球、シュワン細胞、膵臓β細胞、細胞株等が挙げられる。
移植後の最初の数日は、移植細胞は細胞死を起こしやすい。移植細胞は細胞外基質への接着が確立しておらず、損傷部位は、炎症性サイトカインを生産する免疫細胞に浸潤され、血管新生の生じない部分は、局所的に低酸素濃度となるからである。
本発明の細胞の生存促進剤によれば、カスパーゼカスケードの更なる活性化は遅延させ、移植細胞が移植部位で、環境に適合するために必要な時間を稼ぐことができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ペプチドの作製]
以下に、示すペプチドを作製した。
(1)LL18[GRKKRRQRRRGIETDSGT(配列番号1)]は、Caspase−3を活性化するための切断配列とTATタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
(2)DL18[tGsdteiGRKKRRQRRRG(配列番号2)]は、Caspase−3を活性化するための切断配列のRetro−Inverso型とTATタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
(3)CPEP[SSVETDGKETWWETWWTEWSQPKKKRKV(Pep−1)(配列番号3)]は、Caspase−8の切断配列とPep−1タンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
(4)LL31[GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKILSEVDS(配列番号4)]は、Caspase−9の切断配列とTransportanタンパク質由来の配列を融合させた配列を示す。
(5)LL−T[FITC−RRGIETDSGT]は、LL18からTATタンパク質由来の配列を欠損させた配列を示す。
(6)3196[Ac−IETD−CHO]は、カスパーゼ−8/6やグランザイムBといったプロカスパーゼ−3を切断する酵素の細胞非透過性阻害剤で商業的に入手可能なものを示す。
[ペプチドの細胞内透過性の確認]
<トリクロロ酢酸処理細胞可溶化物を用いたMALDI TOF定性分析>
約10個の細胞(N1E細胞(N1E−115(ATCC(登録商標)CRL226(商標)と初代ラット線維芽細胞)を、500nMLL18ペプチドを含有する通常の培養液(胎児の子牛血清10%を含有し、DMEM/RPMI1640を1/1の体積比で混合したもの)に37℃30分間さらした。
次いで、細胞をPBSで、二度洗い、1% Tritone X−100含有蒸留水で溶解し、等量の40%トリクロロ酢酸を用いて、タンパク質を沈澱させた。遠心分離(9000g、20分)後、20μLの上澄みを2,5−ジヒドロキシ安息香酸溶液と混合し、MALDIプレート上に滴下し、MALDI−TOFに供した。結果を図1に示す。
図1は、初代繊維芽細胞抽出液の低分子量(1〜3kDa)プロファイルを示す。導入したペプチドの標的分子量2158Daが検出された。
<FITCラベル化ペプチドの直接的なFACS分析>
約10個の細胞(N1E細胞、2060(PFSK1(ATCC(登録商標)CRL2060(商標)と初代ラット線維芽細胞)を、末端にFITCを付加した100nMの各ペプチドを含有する通常の培養液(胎児の子牛血清10%を含有し、DMEM/RPMI1640を1/1の体積比で混合したもの)に37℃10分間さらした。
次いで、細胞をPBSで、二度洗い、Trypsin−5.3mmol/lのEDTA溶解液で細胞を剥がし、4%のパラホルムアルデヒドで室温下30分固定した。固定された細胞をFACS分析(LSR、BectonDickenson)に供した。結果を図2及び図3に示す。
図2は、ラットの脊髄から抽出した初代ラット繊維芽細胞へのペプチドの導入効率を調べた結果である。細胞膜透過性ペプチドを融合されたペプチドは、細胞膜透過性ペプチドを欠くLL−Tと比較して効率よく細胞内透過性を示した。
図3は、2060細胞へのペプチドの導入効率を調べた結果である。細胞膜透過性ペプチドを融合されたペプチドは、細胞膜透過性ペプチドを欠くLL−Tと比較して効率よく細胞内透過性を示した。
[ペプチドのアポトーシス抑制効果]
<スタウロスポリンによって誘発されるアポトーシス>
スタウロスポリンは、酵素PKCの阻害剤であり、生存シグナルの阻害剤である。N1E細胞は、この薬に非常に感受性を示す。100nMスタウロスポリンを終夜暴露することにより、これらの細胞に細胞死を誘導することができる。
N1E細胞をポリリジンでコートした6ウェルプレートで、80%コンフルエントになるまで培養した。スタウロスポリンで処理する1時間前に、ペプチド(500nM)を細胞に添加した。スタウロスポリン処理18時間後、細胞をPBSで洗浄し、calceinAとethidium homodimer1(LIVE/DEAD(登録商標)Viability/Cytotoxicity Kit,LifeTechnologies)で同時に室温下30分間染色した。染色後の細胞像を図4に示す。
図4は、N1E細胞において、スタウロスポリン処置後のアポトーシスをペプチドが抑制した結果を示す。すべてのペプチドは、検討された濃度で、N1E細胞において、スタウロスポリン処置後のアポトーシスを抑制した。
また、上述した条件で2種類のペプチドの存在下で、100nMのスタウロスポリンで処理したN1E細胞からの抽出液を用いて、ウエスタンブロットにより、活性化カスパーゼ3を評価した。具体的には、500nMのペプチドの存在下、非存在下に、100nMのスタウロスポリンで処理したN1E細胞をLaemmliサンプルに溶解し、100℃で5分加熱し、4−20%グラジエントポリアクリルアミドゲル(Criterion, BioRad)で分離した。このゲルをPVDF膜に転写した後、5%の脱脂ミルク含有PBSでブロッキングした。次いで、活性化カスパーゼ3一次抗体で、4℃終夜処理し、0.5%Triton−X含有PBSで2度洗浄後、HRP結合二次抗体で処理し、再度0.5%Triton−X含有PBSで2度洗浄後、ECL化学発光試薬でシグナルを可視化した。
結果を図5に示す。
<血清を急激に取り除くことにより誘発されるアポトーシス>
N1E細胞は、段階的な血清除去下でも比較的生きられる。しかし、血清を急激に取り除くことにより、多くの細胞がアポトーシスを誘発される。細胞移植後の数日は、成長因子の枯渇条件下にある。本発明で用いたペプチドは、短期間で効率的であることを示した。結果を図6に示す。
N1E細胞を播種した24時間後、血清除去した培地に交換した。同時に所定の濃度のペプチドを添加した。20日後の細胞を<スタウロスポリンによって誘発されるアポトーシス>と同様の方法にて細胞を染色した。
<過酸化水素により誘発されるアポトーシス>
過酸化水素による細胞の処理は、移植後の細胞が遊離した活性酸素に曝されることを模している。過酸化水素によるアポトーシス誘導のメカニズムは分かっていないが、カスパーゼの関与が報告されている。N1E細胞にペプチド添加1時間後、過酸化水素水を加えた。処理24時間後の細胞を<スタウロスポリンによって誘発されるアポトーシス>と同様の方法にて細胞を染色した。結果を図7に示す。本発明において、ペプチドが過酸化水素によるアポトーシス誘導を抑制できることが示された。
<シンジェニックな細胞移植後、細胞塊に対するペプチド前処理の効果>
R3細胞にGFP発現ベクターを組み込み、ラベルした。トリプシン処理と遠心分離により10個の蛍光細胞を集め2等分した。2等分したもののうち、一方に10μMDL18ペプチドを添加し、5分混合した。
キトサン/PSTP足場に細胞を入れ込んだものを、2匹のウィスター・ラットの皮下に注入した。 2週間後、足場材料を取り、蛍光顕微鏡観察により分析した。結果を図8に示す。
図8は、移植2週間後の細胞塊を示す。DL18(10μM)で処理した細胞は、移植されたマトリックス中でより生存していたことが蛍光強度から確認された。
本発明において用いられたペプチドは、効率よく細胞内に移行し、in vitro細胞モデルにおける増殖/生存シグナル遮断(スタウロスポリン及び血清除去)及び酸化ストレスによって誘導される細胞死を有意に抑制した。動物に移植前の細胞のペプチド処理も移植後の細胞の生存効率を増加させた。
本発明によれば、これらのペプチドが実験上及び医療上の細胞ベースの移植応用により良い結果をもたすことが期待される。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるペプチド、又は、
    下記式(1)で表されるペプチド中の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、細胞膜透過性及びカスパーゼ酵素阻害活性を有するペプチド、
    を少なくとも1種含有し、自家移植を含む、実験的移植又は治療学的移植に生体外で用いるための細胞の生存促進剤。
    M−CS−M’(1)
    [式(1)中、Mは、N末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、CSは、カスパーゼの基質由来のアミノ酸配列を示し、
    M’は、C末端又は細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示し、M及びM’のうち、少なくとも一方は、細胞膜透過性ペプチド由来のアミノ酸配列を示す。]
  2. Mは、N末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示す請求項1に記載の細胞の生存促進剤。
  3. CSは、イニシエーターカスパーゼ若しくはエフェクターカスパーゼの基質由来の天然アミノ酸配列又は修飾アミノ酸配列、又はこれらのRetro−Inverso型、又はこれらの組み合わせを示す請求項1又は2に記載の細胞の生存促進剤。
  4. M’は、C末端、又は、TAT、MPG、HA−2、Penetratin、Transportan、VP−22、若しくはこれらのRetro−Inverso型、若しくはこれらの組み合わせを示す請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞の生存促進剤。
  5. 前記ペプチドが、配列番号1〜4のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドである請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞の生存促進剤。
  6. 前記ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、又はこれらの組み合わせからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞の生存促進剤。
  7. 前記ペプチドは、分子カーゴと共有結合的又は非共有結合的に結合してなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞の生存促進剤。
  8. 前記分子カーゴは、MRIトレーサー、オリゴヌクレオチド、前記ペプチドとは異なるペプチド、タンパク質、薬剤、及びナノ粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞の生存促進剤。
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