JP6473001B2 - アスペルギルス属糸状菌の大規模欠失変異体 - Google Patents

アスペルギルス属糸状菌の大規模欠失変異体 Download PDF

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Description

本発明は、アスペルギルス・オリゼの2番染色体と相同な染色体のテロメア末端近傍に大規模な欠失領域を保持するアスペルギルス属糸状菌変異体等に関する。
アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)等の麹菌は、醤油、酒、味噌などの伝統的な食品醸造、酵素生産、及びバイオマス利用等のために工業的に広く用いられている。
日本の伝統食品である醤油の製造では、麹菌を原料である大豆と小麦に生育させて麹を作製し、麹に食塩水を加えて諸味とする。麹や諸味中では麹菌の破精込みによる物理的な作用と、麹菌が分泌する様々な加水分解酵素による酵素的な作用によって、原料の大豆や小麦のタンパク質、糖質、脂質が分解されて呈味成分であるアミノ酸、糖、及びグリセロール等を遊離する。この過程での原料分解が向上すると、原料利用率や圧搾性が上がり、生産性を向上させることができる。
上記のように、原料利用率や圧搾性が向上する麹菌の育種は、産業上極めて重要であり、これを目的とした育種が現在までに精力的に行われている。
本発明は、発酵諸味の粘度が低下し、圧搾性が向上する麹菌を得ることを目的とする。
本発明者らは、驚くべきことに、アスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端を大規模に欠失させることにより、加水分解酵素活性が増大し、延いては発酵諸味の粘度が低下し且つ圧搾性が向上するアスペルギルス属糸状菌の変異体を取得できることを発見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の各態様に係る。
[態様1]
アスペルギルス属に属する菌株の変異体であって、当該菌株におけるアスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端から250kbまでの領域の少なくとも一部の塩基配列が欠失しており、且つ当該塩基配列を欠失していない菌株と比較して加水分解酵素活性が増大している、変異体。
[態様2]
前記テロメア末端から250kbまでの領域において、以下のi)〜v)の領域:
i)前記テロメア末端から50kbまでの領域;
ii)前記テロメア末端から50〜100kbまでの領域;
iii)前記テロメア末端から100〜150kbまでの領域;
iv)前記テロメア末端から150〜200kbまでの領域;
v)前記テロメア末端から200〜250kbまでの領域、
のいずれか1つ以上の領域の塩基配列が欠失している、態様1に記載の変異体。
[態様3]
前記ii)及び/又はv)の領域の塩基配列が欠失している、態様2に記載の変異体。
[態様4]
前記テロメア末端から250kbまでの領域の全部の塩基配列が欠失している、態様2又は3に記載の変異体。
[態様5]
tmpB(Trans membrane protein B)遺伝子の機能が低下又は欠損している、態様1に記載の変異体。
[態様6]
tmpB遺伝子の一部又は全部が欠失している、態様5に記載の変異体。
[態様7]
前記菌株がアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)に属する、態様1〜6のいずれかに記載の変異体。
[態様8]
態様1〜7のいずれかに記載の変異体の培養物、又は培養物からの抽出物。
[態様9]
態様1〜7のいずれかに記載の変異体の製造方法であって、アスペルギルス属に属する菌株における2番染色体右腕のテロメア末端から250kbまでの領域の少なくとも一部の塩基配列を欠失させる工程を含む、方法。
[態様10]
態様8に記載の培養物、又は培養物からの抽出物の製造方法であって、態様1〜7のいずれかに記載の変異体と植物性及び/又は動物性原料とを接触させる工程を含む、方法。
[態様11]
前記原料が大豆及び小麦を含む、態様10に記載の製造方法。
[態様12]
前記培養物、又は培養物からの抽出物が麹又は諸味である、態様10又は11に記載の製造方法。
[態様13]
有機性材料の加水分解産物の製造方法であって、態様1〜7のいずれかに記載の変異体又は態様8に記載の培養物、又は培養物からの抽出物と有機性材料とを接触させる工程を含む、製造方法。
[態様14]
前記有機性材料がタンパク質、多糖又は脂質を含む、態様13に記載の製造方法。
本発明によれば、アスペルギルス・オリゼの2番染色体と相同な染色体のテロメア末端を大規模に欠失させることにより、アスペルギルス属糸状菌の加水分解酵素活性を顕著に向上させることができる。このような加水分解酵素活性の向上は、原料の加水分解工程が必要とされる醸造・発酵産業における生産性や効率性の増大に資する。例えば、かかる大規模欠失の結果得られる変異体を諸味等の原料の分解工程に用いると、諸味からの自然だれによる液汁回収量が増加し、また、粕重量も減少するため有効である。特に、醸造においては、諸味粘度が高いと圧搾性が低下し歩留まりが低下するが、本変異体を用いることにより、諸味粘度を低下させ、圧搾性が向上した醸造法を提供することができる。しかしながら、本発明の変異体又はその培養物、又は培養物からの抽出物は、広く有機性材料の加水分解産物の製造方法に使用することができるため、その用途は食品分野に限定されない。
アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株での染色体250kb欠失株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株での染色体250kb欠失株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株での染色体250kb欠失株の麹短期間分解試験における諸味粘度と残渣量 アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株での染色体250kb欠失株の醤油醸造における残渣量と圧搾後の粕重量 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株での染色体250kb欠失株の麹短期間分解試験における諸味粘度 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株での染色体250kb欠失株の醤油醸造における圧搾後の粕重量 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_I株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_I株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_II株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_II株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_III株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_III株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_IV株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ50k_IV株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ100k株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株Δ100k株のサザンハイブリダイゼーションによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株における部分欠失株での麹短期間分解試験による諸味粘度 アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株におけるtmpB欠失株の作製方法 アスペルギルス・ソーヤ ΔtmpB株のサザンハイブリダイゼーション及びPCRによる相同組換えの確認 アスペルギルス・ソーヤ ΔtmpB株での麹短期間分解試験による諸味粘度 アスペルギルス・オリゼRIB40での2番染色体250kb欠失株の作製方法 アスペルギルス・オリゼRIB40での2番染色体250kb欠失株のサザンハイブリダイゼーション及びPCRによる相同組換えの確認 アスペルギルス・オリゼRIB40での2番染色体250kb欠失株の麹短期間分解試験による残渣量 アスペルギルス・ソーヤ Scaffold00063と各種欠失領域及びtmpB遺伝子の模式図 アスペルギルス・ソーヤ tmpB遺伝子と糸状菌におけるオーソログの系統樹
1.アスペルギルス属に属する菌株の変異体及びその製法
本発明は、アスペルギルス属に属する菌株の変異体であって、当該菌株におけるアスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端から250kbまでの領域の少なくとも一部の塩基配列が欠失しており、且つ当該塩基配列を欠失していない菌株と比較して加水分解酵素活性が増大している、変異体を提供する。アスペルギルス属に属する菌株としては、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・リュウキュウエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等の任意の菌株が挙げられるが、そのうちアスペルギルス・ソーヤ及びアスペルギルス・オリゼに属する菌株や、これらの菌株のアスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端から250kbまでに存在する遺伝子群、特にtmpB遺伝子又はそのオーソログを有する菌株が好ましい。
さらに具体的な菌株として、アスペルギルス・ソーヤについてはアスペルギルス・ソーヤNBRC4239株(寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部、寄託番号ID:NBRC4239)が挙げられる。
本発明の変異体は、アスペルギルス属に属する菌株のアスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端を大規模に欠失させることにより調製することができる。それにより、欠失していない親の菌株と比較して、加水分解酵素活性が増大する。欠失部位はテロメア末端から250kbまでの領域の少なくとも一部の塩基配列であればよい。例えば、以下のi)〜v)の領域:
i)前記テロメア末端から50kbまでの領域(Δ50k_Iの塩基配列に相当);
ii)前記テロメア末端から50〜100kbまでの領域(Δ50k_IIの塩基配
列に相当);
iii)前記テロメア末端から100〜150kbまでの領域(Δ50k_IIIの塩基配列に相当);
iv)前記テロメア末端から150〜200kbまでの領域(Δ100kの領域の5’末端から50kbまでの塩基配列に相当);
v)前記テロメア末端から200〜250kbまでの領域(Δ50k_IVの塩基配列に相当)、
のいずれか1つ以上の領域の塩基配列が少なくとも一部欠失していることが想定される。少なくとも「一部」の塩基配列の欠失とは、例え一塩基の欠失であっても親株と比較して加水分解酵素活性を増大させるような欠失である。
加水分解酵素活性をより増大させる観点からは、ii)及び/又はv)の領域の塩基配列が欠失していることが好ましい。前記領域の塩基配列全部、すなわち、アスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端から数えて250kbの領域全てが欠失していることがより好ましい。
本発明の変異体は、欠失させたい任意の領域の両端をつなぎ合わせたベクターを用いて遺伝子組換えを行うことで任意の領域を欠失させることにより調製できる。
ベクターには、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。
マーカー遺伝子としては、例えば、adeApyrGargBtrpCniaDsC、のような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子や、ピリチアミンやオーレオバシジンなどの薬剤に対する抵抗遺伝子などが挙げられる。
対象転写制御因子の強制発現に用いるプロモーターとしては、例えば、アルカリプロテアーゼプロモーター(alpプロモーター)、トランスレーションエロンゲーションファクタープロモーター(tef1プロモーター)、α―アミラーゼプロモーター等が挙げられる。
本発明の変異体は、宿主を組換えベクターで形質転換することにより得られる。宿主としては、糸状菌類で有れば特に限定はされず、例えば、麹菌アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・オリゼ等が挙げられる。
形質転換は、宿主に応じて公知の方法で行うことができる。糸状菌を用いる場合は、例えば、プロトプラスト化した後ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムを用いるMol.Gen.Genet.,218:99−104,1989に記載の方法が利用できる。
上記の欠失による形質転換に代えて、tmpB(Trans membrane protein B)遺伝子又はそのオーソログの機能を低下乃至欠損させることによっても加水分解酵素活性が増大した変異体を得ることができる。本発明者らは、tmpB遺伝子が種々のアスペルギルス属菌にオーソログとして存在していること(図25)、そして、アスペルギルス・ソーヤのtmpBが、Soid-Raggi G, et al. Molecular Microbiology (2006) 59(3)に記載されている、アスペルギルス・ニジュランスのtmpA遺伝子のパラログに相当することを確認している。ここで、tmpAは、NAD(P)、FAD、ヘム結合ドメインを有する膜貫通タンパク質であり、tmpAの遺伝子を破壊すると分生子形成が抑制され、強制発現させると液体培養での分生子形成が促進されることが知られている。このように、tmpA遺伝子の機能は加水分解酵素活性とは無関係である。
tmpB遺伝子の機能の低下乃至欠損は、同遺伝子を破壊すること、例えば、同遺伝子の一部又は全部を欠失させたり、同遺伝子の途中に薬剤耐性遺伝子等、別の遺伝子を挿入するなどして正常に機能しないように遺伝子を修飾すること等により行うことができる。
2.変異体の用途
本発明は更に、上記変異体を用いて得られる培養物を提供する。本発明の変異体を含む培養物は、タンパク質を多く含む原料、例えば、植物性タンパク質を含む穀物類、野菜類など(例えば、大豆、小麦など)、そして動物性タンパク質を含む肉類、魚類などの加水分解工程で使用することができる。本明細書で使用する場合、「培養物」はアスペルギルス属菌を添加した麹や、更にはアスペルギルス属菌を利用して得られる諸味等の発酵物を意味する。
本発明の培養物は、上記変異体とタンパク質性の原料とを接触させる工程を含む方法により製造することができる変異体を添加するタイミングは特に限定されない。本発明の効果、例えば向上した加水分解酵素活性を損なわない限り、培養物の調製の途中又はその前後の工程でアスペルギルス属菌以外の菌を添加して培養物を処理してもよい。その他の工程については、所望とする用途に応じて当業者が適宜決定することができる。
本発明の変異体又はその培養物は、向上した加水分解酵素活性により処理されることが必要な種々の分野、特に醸造・発酵産業での使用が想定される。例えば、アスペルギルス属菌を利用して製造される種々の発酵食品、例えば醤油、味噌等の製造に本発明の変異体等を使用した場合、原料利用率や圧搾性の向上、延いては最終製品の生産性の向上に資する。食品分野に限らず、本発明の変異体又はその培養物は、広く有機性材料の加水分解産物の製造方法に使用することができる。本明細書で使用する場合、「有機性材料」とは、天然・非天然の由来を問わず、広く炭素を主要元素として、酸素、水素、窒素原子などで構成される物質であって、糸状菌によって分解可能な物質を意味する。例えば、本発明の変異体又はその培養物によれば、糸状菌によって分解されるタンパク質、多糖、脂質等を含む食物残渣やバイオマスを効率的にその構成単位であるペプチドや単糖にまで分解することができる。
以下、実施例に即して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの記載によって、なんら制限されるものではない。
麹菌アスペルギルス・ソーヤNBRC4239系統株におけるScaffold00063テロメア末端250kb欠失株の作製。
麹菌アスペルギスル・ソーヤNBRC4239株については、そのドラフトゲノム解析の結果が2011年に公開されており(DNA Research;18, 165−176、2011)、本麹菌のスッキャフォールドの塩基配列は、DDBJ/ENA/Genebankアクセッション番号DF093557からDF093585として登録・公開されている。
麹菌アスペルギスル・ソーヤNBRC4239株のゲノム配列におけるScaffold00063;7550−259170の塩基配列を欠失させた場合に、植物原料の分解効率を向上させる効果があることを検証した。
使用菌株
麹菌アスペルギルス・ソーヤ KP−del株(ΔpyrGΔku70)(アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株誘導体。)。アスペルギルス・ソーヤKP−del株(ΔpyrG、Δku70)は、次の手順を経て得られた株である。
アスペルギルス・ソーヤNBRC4239株を、過塩素酸を含む培地上で培養することにより、niaD遺伝子に自然変異が導入され不活性化された株(アスペルギルス・ソーヤΔniaD株)を取得した。このΔniaD株のpyrG遺伝子座に、変異の導入されていないniaD遺伝子を導入することにより、アスペルギルス・ソーヤΔpyrGniaD+株を作製した。
このΔpyrGniaD+株のku70遺伝子を、pyrG遺伝子により破壊したのち、pyrG遺伝子の除去を行い、Δku70、ΔpyrG株であるアスペルギルス・ソーヤP6−1−12株を得た。
次に、このP6−1−12株のpyrG遺伝子座に導入されているniaD遺伝子を実施することにより除去しΔku70、ΔpyrG、ΔniaD株であるND−del株を取得した。ND−del株に存在する変異型niaD遺伝子を、変異が導入されていないniaD遺伝子に置き換え、niaD遺伝子が野生型に復帰した状態の株であるアスペルギルス・ソーヤKP−del株(Δku70、ΔpyrG株)を得た。
使用培地
PD培地(ポリペプトン 1%、デキストリン 2%、リン酸水素二カリウム 0.5%、硝酸ナトリウム 0.1%、硫酸マグネシウム 0.05%、カザミノ酸 0.1%、pH 6.0)、Czapek−Dox最少培地(グルコース 3.0%、塩化カリウム 0.05%、硝酸ナトリウム 0.2%、リン酸水素二カリウム 0.1%、硫酸マグネシウム 0.05%、硫酸第二鉄 0.001%、pH 6.0)、マルツ寒天培地(麦芽エキス 8%、寒天1.5%、pH6.0)
栄養要求性株を培養する場合には、ウリジン要求性株では終濃度10mMのウリジンを培地添加し、変異体の再生には培地に1.2Mのソルビトールを添加した。
Scaffold00063テロメア末端250kb欠失カセットの作製
図1に麹菌アスペルギルス・ソーヤのScaffold00063の250kb欠失ベクター及び形質転換による相同組換えの概要を示す。表1に示すプライマーAs250RF_pyrとAs250RR、AsAs250LFとAs250LR_pyr、AsPyrFとAsPyrRを用いてアスペルギルス・ソーヤNBRC4239株のゲノムDNAよりPCRによって相同組換えにおけるアーム領域とマーカー遺伝子をクローニングした。
PCRには、KOD plus Neo(TOYOBO社製)を用いた。クローニングしたDNA断片はGel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。3つのDNA断片を用いてFusion PCRを行った。
最後に、Fusion PCR産物を鋳型として、As250F_nestedとAs250R_nestedを用いてNested PCRを行い、250kb欠失用のベクターを構築した。
形質転換
500mL三角フラスコ中の10mMのウリジンを含むPD培地100mLに形質転換宿主株の分生子懸濁液を接種し、30℃で16時間振とう培養を行った後、菌体を回収した。回収した菌体を0.7Mの塩化カリウム緩衝液で洗浄し、1.5% Lysing Enzyme(シグマ社製)及び0.3% Yatalase(大関社製)を含む0.7M塩化カリウム緩衝液で30℃、3時間緩やかに振とうし、プロトプラストを調整した。得られたプロトプラストは1.2Mソルビトール緩衝液で洗浄した後、プロトプラストPEG法により形質転換を行った。
相同組換えの確認
得られた変異体については、サザンハイブリダイゼーション法にて相同組換えの確認を行った。サザンハイブリダイゼーションに用いたプローブは表1に示すAs250RF_pyrとAs250R_nestedを用いて、また、通常のdNTPの代わりにDIG DNA Labeling Mix(Roche社製)を使用してPCRすることによって作製した。
形質転換株のゲノムDNAを抽出後、PstI(Takara社製)によって消化した。アガロースゲル電気泳動によって分離した後にNylon Membranes, positively charged(Roche社製)に転写し、メンブレンとプローブを一晩ハイブリダイゼーションさせた後に洗浄、ブロッキングを行い、CDP−Star, ready−to−use(Roche社製)を用いて発光させ、LAS3000(富士フィルム社製)によって検出した。
この結果、目的の変異体が取得されていることが確認できた(図2)。この250kb欠失株をアスペルギルス・ソーヤΔ250k株とした。
Δ250k株を用いた醤油原料短期間分解試験
本菌を用いた醤油原料の短期間分解試験を行い、本菌株が醤油醸造における原料の分解促進に有効であるか検討を行った。
Δ250k株による醤油原料短期間分解試験における諸味粘度への影響
脱脂大豆、小麦及び水を1:1:1.3の割合で混合したのち、15g秤量し、150mL容の三角フラスコにいれ、綿栓をしてオートクレーブにより滅菌した。これに、2.7x107個のΔ250k株又はNBRC4239 Δku70株(ネガティブコントロール)の分生子をそれぞれ接種し、よくまぜた(盛込み)。これを30℃で培養し盛込みから46時間を経過したところで出麹とした。なお、それぞれの実験は3反復で行った。
出麹サンプルを滅菌した薬匙を用いてよくほぐしたのち、オートクレーブにより滅菌処理を行った28%食塩水を15mL加えよく混ぜて諸味としたものにゴム栓で蓋をした。これを25℃、180rpmにて振盪しながら90時間分解を行った。
分解反応終了後、サンプルを25mL容のポリプロピレンチューブに移し、回転粘度計(TOKIMEC社製 Viscometer BLII)により諸味粘度を測定した。また、この分解物の残渣量を測定するため、一定量を目開き約1.0mmのメッシュ(サンプラテックPP24)に分取し、水で洗浄した後にメッシュ上に残存した固形物の乾燥重量を測定した。
それらの結果を図3に示した。
Δ250k株では諸味粘度がコントロールと比較して約25%低下していた。また、1.0mm以上の残渣の量もコントロールと比較して約50%減少していた。このことから、Δ250k株を用いた場合、醤油原料の分解が促進され、諸味の粘度や残渣の量を低下させることが可能であると考えられる。
Δ250k株を用いた醤油小仕込試験
実施例2で示したとおり、アスペルギルス・ソーヤNBRC4239におけるScaffold00063のテロメア末端250kbの欠失は醤油原料の分解を促進することが確認された。そこで、実際に小規模での試醸を実施し、圧搾性が向上するか検討を行った。
Δ250k株での醤油小仕込試験における諸味粘度への影響
麹蓋で製麹した麹に25%食塩水を添加し、よく混合し諸味とした。これに、純粋培養した醤油乳酸菌テトラジェノコッカス・ハロフィルス及び醤油酵母ジゴサッカロミセス・ルキシーを添加し、15℃から30℃にて90日間発酵させた。得られた醤油諸味については、目開き約1.0mmのメッシュ(サンプラテックPP24)で水洗後の残渣重量の測定と、薮田式圧搾機による圧搾後の残存粕重量の測定を行った。
なお、小仕込試験は、3反復で行ったが、圧搾試験には3つの諸味を混合して1連で行った。
それらの結果を図4に示した。
短期間諸味分解試験同様に水洗後の粕の重量は、Δ250k株にて約半分に低下していた。また、薮田式圧搾機を用いた圧搾後の粕重量は、約5%低下していた。
以上のことから、Δ250k株を用いた場合、醤油醸造においても醤油原料の分解が促進され、残渣量を低下させることが可能であることが確認された。
麹菌アスペルギルス・ソーヤNBRC4241系統株でのScaffold00063テロメア末端250kb欠失株の諸味粘度及び原料分解効率に与える効果の検証
実施例1から3までに示したデータは、いずれもアスペルギルス・ソーヤNBRC4239株の誘導体にて取得したデータであるが、NBRC4239株とは異なる系統である、アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株の系統を宿主とした場合でもScaffold00063テロメア末端250kb欠失の効果があるか検証を行った。
麹菌アスペルギルス・ソーヤKuU1株(Δku70、ΔpyrG株;アスペルギルス・ソーヤNBRC4241株を親株とする変異株)を宿主とし、Scaffold00063のテロメア末端側250kbを欠失させた株を作製した。アスペルギルス・ソーヤ内では遺伝子配列がほとんど変わらないことから、実施例1で用いた形質転換カセットをそのまま使用した。形質転換においても実施例1に記載した方法と同じ手順にて行った。
上記変異体が醤油原料の分解に有効であるか、短期間分解試験を実施し評価した。短期間分解試験は、分解条件以外は実施例2に記載した方法と同じ手順にて行った。分解条件は、15gの麹に15mLの28%食塩水を添加してよく混合した後、20℃で42時間分解を行った。分解終了後、諸味粘度を測定した。
その結果を図5に示した。
NBRC4241株を用いたΔ250k株では、諸味粘度がコントロールと比較して約50%低下していた。このことから、NBRC4241株を用いた場合でもScaffold00063のテロメア末端250kbを欠失させることで、醤油原料の分解が促進されることが可能であると考えられる。
さらに、醤油小仕込試験においても同様の効果が得られるかを検証した。実施例3と同様の手順にて醤油小仕込試験を実施し、得られた諸味を用いて薮田式圧搾機による圧搾後の粕重量を測定した。
その結果を図6に示した。
NBRC4241株を用いたΔ250k株では、圧搾後の粕重量がコントロールと比較して約4%低下していた。このことから、小仕込試験においてもNBRC4239株と同様にNBRC4241株を用いた場合でもScaffold00063のテロメア末端250kbを欠失させることで、醤油原料の分解が促進されることが確認された。
醤油麹菌アスペルギルス・ソーヤNBRC4241系統株でのScaffold00063テロメア末端250kb領域の部分欠失株が諸味粘度に与える効果の検証
実施例1から4までの結果より、アスペルギルス・ソーヤでは種を問わずScaffold00063のテロメア末端側250kbを欠失させることにより醤油原料の分解効率が促進することが明らかになった。
そこで、この250kbの領域の中でも諸味粘度に影響を与える領域を絞り込むために、約50kb〜100kbずつに分割して欠失させた株で諸味粘度に与える影響を検討した。
Scaffold00063テロメア末端250kbの部分欠失カセットの作製
部分欠失カセットの概要を図7、図9、図11、図13、図15に示した。それぞれテロメア末端側よりΔ50k_I〜Δ50k_IV、Δ100kとしてカセットを作製した。
Δ50k_I〜Δ50k_IV、Δ100kの位置関係を図24に示す。用いたプライマー
は、表2〜6に示した。
なお、Δ50k_IのRight ArmはΔ250kのRight Arm(As2
50RF_pyrとAs250RRの増幅産物)と同一のものを、Δ50k_IV及びΔ100kのLeft ArmはΔ250kのLeft Arm(As250LFとAs250LR_pyrの増幅産物)と同一のものを使用した。
また、pyrGマーカーもΔ250kと同様のプライマーを用いて増幅させた断片を使用した。それぞれLeft Arm(プライマーLFとLR_pyrの増幅産物)とRight Arm(プライマーRF_pyrとRRの増幅産物)をゲル抽出によって精製後、pyrGマーカー遺伝子断片と合わせて3つのDNA断片でFusion PCRを行った。
最後に、Fusion PCR産物を鋳型として、それぞれのnested PCR用のプライマーを用いてPCRを行い、Δ50k_I〜Δ50k_IV用とΔ100k用のベ
クターを構築した。
形質転換及び相同組換えの確認
実施例1に記載した方法と同様に形質転換を実施した。得られた変異体はサザンハイブリダイゼーションにて相同組換えの確認を行った。
サザンハイブリダイゼーションに用いたプローブの領域及び用いた制限酵素、及び予想される断片長は図7、図9、図11、図13、図15に示した。
Δ50k_Iで用いたプローブは、配列番号1と配列番号2のプライマーを用いて増幅
した断片を、Δ50k_II及びΔ50k_IIIで用いたプローブは配列番号5と配列番号6のプライマーによって増幅されるPyrGマーカー全長の断片を、Δ50k_IV及びΔ100kで用いたプローブは実施例1で用いたものと同様に配列番号3と配列番号4のプライマーを用いて増幅される断片を用いた。
それらのサザンハイブリダイゼーションの結果を図8、図10、図12、図14、図16に示した。いずれの変異体も予想通りのシグナルが検出され、目的の株が取得されていることが確認された。
部分欠失株による諸味短期間分解物の粘度測定
上記変異体が醤油原料の分解に有効であるか、短期間分解試験を実施し評価した。短期間分解試験は、分解条件以外は実施例4に記載した方法と同じ手順にて行った。分解終了後、諸味粘度を測定した。
その結果を図17に示した。
250kb領域中の部分欠失株ではΔ50k_II及びΔ50k_IV、Δ100kにおいて短期間分解諸味での粘度が低下した。
Δ50k_IVの欠失領域は、Δ100kに含まれており、両菌株の諸味粘度はほぼ同等に低下していることから、Δ50k_IVの領域に諸味粘度の低下において重要な領域が含まれていることが考えられた。
また、各部分欠失だけでは250kb全体を欠失させた株の諸味粘度には及ばなかった。このことから、Scaffold00063のテロメア末端側250kbの欠失における諸味粘度の低下には、Δ50k_IIとΔ50k_IVの欠失領域に含まれる諸味粘度低下を阻害する因子の欠失が大きく関与していることが示唆された。
醤油麹菌アスペルギルス・ソーヤNBRC4241系統株でのtmpB遺伝子欠失が諸味粘度に与える効果の検証
さらにΔ50k_II領域中に含まれる領域を段階的に絞り込んだ結果、Trans membrane proteinであるtmpB遺伝子(配列番号47、48)の効果が期待されたため、tmpB遺伝子の破壊株を作製し、その効果を検証した。
tmpB遺伝子欠失カセットの作製
tmpB遺伝子欠失カセットの概要を図18に示した。用いたプライマーは、表7に示した。
これまで同様にLeft ArmとRight Arm及びPyrGマーカーをPCRで増幅後、Fusion PCRにて各断片を連結させ、最後にNested PCRを行って目的のtmpB欠失用ベクターを構築した。
形質転換及び相同組換えの確認
実施例1に記載した方法と同様に形質転換を実施した。得られた変異体は、サザンハイブリダイゼーションにて相同組換えの確認を行った。サザンハイブリダイゼーションにはPyrGマーカー領域のプローブを用い、BglIIにてゲノム断片を消化した。予想される断片は、目的の組換え産物による7.4kbの断片と、内在の不活化したpyrG遺伝子による3.0kbの二本検出される。サザンハイブリダイゼーションの結果、ΔtmpB_1とΔtmpB_2共に予想されるバンドが検出されたが、ΔtmpB_1では4.5kb付近にもシグナルが検出されたため、以降の実験にはΔtmpB_2を使用した(図19)。
ΔtmpB株による諸味短期間分解物の粘度測定
上記変異体が醤油原料の分解に有効であるか評価するため、短期間分解試験を実施した。短期間分解試験は、分解条件以外は実施例4に記載した方法と同じ手順にて行った。分解終了後、諸味粘度を測定した。その結果を図20に示した。
tmpB遺伝子を破壊すると諸味粘度が約30%低下した。このことから、tmpB遺伝子の欠失が醤油原料の分解効率の向上に寄与していることが示唆された。
しかしながら、250kbを欠失させた株では約60%諸味粘度が低下していることから、250kb領域中にはtmpB遺伝子以外にも原料分解に寄与する因子が含まれていることが考えられた。
麹菌アスペルギルス・オリゼRIB40系統株でのScaffold00063テロメア末端250kbと相同領域欠失株が諸味粘度及び原料分解効率に与える効果の検証
実施例1から5までに示したデータは、いずれもアスペルギルス・ソーヤにて取得したデータであるが、アスペルギルス・オリゼのゲノム解読株である、アスペルギルス・オリゼRIB40株の系統を宿主とした場合でもScaffold00063テロメア末端250kbと相同な領域を欠失させることで同様の効果が得られるか検証を行った。
はじめに、アスペルギルス・ソーヤNBRC4239におけるScaffold00063のテロメア末端領域とアスペルギルス・オリゼRIB40のゲノムでの相同性解析を行った。
アスペルギルス・ソーヤNBRC4239におけるScaffold00063のテロメア末端領域450kbをクエリに用いて、BLASTプログラムを利用して検索を行った。
その結果、アスペルギルス・オリゼでは何箇所か欠失があり、450kbで見ると100kbほど短くなっているものの、全体的には約2番染色体右腕のSC003の末端側と相同性を有していることが確認できた。
そこで、SC003の末端側アスペルギルス・ソーヤNBRC4239におけるScaffold00063のテロメア末端領域250kbと相同性を示すSC003の領域を欠失させるためのカセットを作製した。
カセットの概要は、図21に示した。
表7に示すプライマーAo250RF_pyrとAo250RR、Ao250LFとAo250LR_pyr、AoPyrFとAoPyrRを用いてアスペルギルス・オリゼRIB40株のゲノムDNAよりPCRによって相同組換えにおけるアーム領域とマーカー遺伝子をクローニングした。
PCRには、KOD plus Neo(TOYOBO社製)を用いた。クローニングしたDNA断片は、Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。3つのDNA断片を用いてFusion PCRを行った。
最後にFusion PCR産物を鋳型としてAo250F_nestedとAo250R_nestedを用いてNested PCRを行い、アスペルギルス・オリゼRIB40のSC003テロメア末端250k欠失用のベクターを構築した。
相同組換えによる250kb欠失株の作製
構築したベクターを用いて、アスペルギルス・オリゼRIB40を親株とする形質転換効率を向上させた栄養要求宿主であるRKuN16prt1(Δku70、ΔpyrG)株に対して形質転換を行った。なお、コントロール株の作製には、欠失したpyrG遺伝子を復帰させる相同組換えを行った。
得られた変異体での相同組換えの確認をサザンハイブリダシゼーションにより行った結果、図22に示すとおり、目的の部位にベクターが組み込まれていることが確認された。しかしながら、親株と同じバンドも検出されたため、得られた変異体はヘテロカリオンであることが示唆された。そのため、Czapek−Dox最少培地にて経代培養を繰り返して核の純化を行った。純化の確認をAoLF_t及びAoLR_tのプライマーを用いて、PCRにて行った。
その結果、図22に示すとおり、親株由来のPCR産物が変異体では消失したことから、ホモカリオンの250kb欠失株の取得が確認された。
250kb欠失株による麹短期間分解
上記欠失株を用いて小スケールで醤油麹を作製し、短期間分解を実施した。30℃で42時間分解を行った後、分解物の残渣量を測定した。
その結果、図23に示す通り、アスペルギルス・オリゼにおいてもアスペルギルス・ソーヤと同様に分解物の残渣量がコントロール株と比較して約半分に低下していることが確認された。

Claims (9)

  1. アスペルギルス属に属する菌株の変異体であって、tmpB(Trans membrane protein B)遺伝子が破壊されており、且つ当該遺伝子が破壊されていない菌株と比較して加水分解酵素活性が増大している、変異体。
  2. 前記破壊が、前記菌株におけるアスペルギルス・オリゼの2番染色体右腕と相同な染色体のテロメア末端から250kbまでの領域の全部の塩基配列の欠失である、請求項に記載の変異体。
  3. tmpB遺伝子の一部又は全部が欠失している、請求項に記載の変異体。
  4. 前記菌株がアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)に属する、請求項1〜のいずれか1項に記載の変異体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の変異体の培養物、又は培養物からの抽出物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の変異体の製造方法であって、アスペルギルス属に属する菌株におけるtmpB遺伝子を破壊する工程を含む、方法。
  7. 請求項に記載の培養物、又は培養物からの抽出物の製造方法であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の変異体と植物性及び/又は動物性原料とを接触させる工程を含む、方法。
  8. 前記原料が大豆及び小麦を含む、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記培養物、培養物からの抽出物が麹又は諸味である、請求項又はに記載の製造方法。
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