JP6472180B2 - 建築物の軒先構造 - Google Patents
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Description
前記特許文献1に記載の唐草は、横葺屋根板の成形部等と係合する係合部と建築物の軒先に取り付けられる取付部と建築物の軒先を覆う垂下部を主構成としている。さらに詳細には、固定部は、躯体あるいは下地材にビス止めするフラット状やL字状、あるいは下地材に嵌める略コ字状等で構成され、垂下部は躯体の形状に沿う階段状に形成されている。
一方、前記特許文献2に記載の唐草では、水切りや幕板をビス等の固着具で固定したものが提案されている。さらに、化粧を目的として、壁から支持材を持ち出し、軒天井等を設けることも行われている。
一方、前記特許文献2に記載の唐草は、部品点数の増加が避けられず、施工に手間がかかるという問題があった。さらに壁から支持材等を持ち出すため、屋根工事とは別に行なわなければならないという問題もあった。
そして、かかる特許文献1、2に共通していえることとして、軒先における意匠性および汎用性の向上について未だ不十分であった。
このように本発明では、取付施工が容易であって、意匠性に富んだ、デザイン性に優れた軒先構造とすることができ、また該軒先にて形成される空間を有効に利用することもできる。
そのため、軒先における意匠性及びデザイン性が著しく向上し、また施工作業を迅速に容易に行うことができる。また、軒先端部に取り付けられる部品を共通化して汎用性を高めることが可能である。
上方へ延出する部分を有する構成とは、後述する図4に示す図示実施例に示すように、降雨の際に雨樋の役割を果たす箇所を容易に形成することができる。
また、軒側に起立部を有する構成とは、後述する図5に示す図示実施例に示すように、この起立部が降雨の際に雨水の落下を堰き止める役割を果たすことができる。
また、外装材を例えば前記下地や該下地へ取り付けるための構造等としては、木材製の躯体、鉄骨製の躯体、コンクリート製の躯体などの各種材料で構築される躯体、躯体上に配された垂木等の支持部材又は野地材等の下地材等でもよい。
例えば外装材が水上側から水下側に向かって一定勾配(角度)で傾斜している構造は一般的であって、広く知られているから、最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配する軒先外装材にて形成される軒先部分は、一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根となりやすい。更に、このような軒先部分により、所定領域の雨避けや日光避けの庇(ひさし)として有効利用する空間を形成することも可能である。
また、一般の外装材の傾斜勾配と敢えて相違するように例えば異なる傾斜面の面板部、或いは湾曲した面板部を有するように形成してもよく、この場合の軒先外装材は、軒端が跳ね上がったような印象を与える屋根とすることもできるし、逆に軒端が深く垂れ下がったような印象を与える屋根とすることもでき、意匠性を高くすることができる。
なお、上記の軒先下地構造において、各支持部材は、断面形状がハット型、角型、管状、Z状、L状、コ字状等の慣用的に用いられている棒材又はパイプ材でもよく、全てを同一形状で形成する必要はない。例えばコ字状(或いはハット状)棒材と角型パイプ材とを、コ字状棒材の内部に角型パイプ材が内包されるように組み付けることにより、締着時の作業性が容易となり、締着後に高い取付強度を得ることができる。また、これらの支持部材は、鋼製であってもアルミ等型材であっても木材であってもよく、所要の強度が得られるものであればその材質、形状を限定するものではない。
また、前述のようにこの下部支持部材に限らず、何れかの支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられていることが好ましいが、この下部支持部材に躯体に連絡する補助部材を設けて取り付けるようにしてもよい。
この補助部材としては、一端が下部支持部材と直接或いは別部材を介して連結され、他端が躯体(壁部)に取り付けられるものとなる。
この補助部材は、直線状であっても湾曲状であってもよい。
また、補助部材は、全ての下部支持部材に設けるものでも、一定間隔(例えば一本おき)で設けるものであってもよい。
なお、このような補助部材を設ける場合には、軒天部材は下部支持部材に取り付けるものでも、この補助部材に取り付けるものであってもよい。
この軒天部材は、前記軒先外装材の裏面と軒先裏面とのうち何れか一方又は両方を被覆する部材であり、前記軒先外装材と同様に特にその形状構成を限定するものではないが、裏面側の最も水下側の化粧材を指す。それに対し、前記軒先外装材は、表面側の最も水下側の化粧材(兼外装材)ということができる。また、前記軒先外装材と同様に締着具を取り付けるための構成(留付受部)を有する。
一般的に広義の軒天部材とは、軒先裏面を化粧する化粧材の全てを指すものである。即ち本発明における軒天部材は、単一部材であっても、複数部材によって構成されるものでもよく、最も先端(外側)の化粧材が、軒先外装材と一体的に取り付けられていればよいものである。
このように前記軒先外装材も前記軒天部材も、軒先外装材以外の外装材が構築する外装構造に少なくともその一部が取付されていることが望ましいが、この場合の取付とは、他の部材を介しての取付でもよく、それ自体は一体的である必要はなく、例えば係止や重合などをも含むものである。軒先外装材と軒天部材を直接的に締着することにより、両部材が高い強度の連結状態を得ることができる。
この第1実施例における軒先外装材1は、異なる複数勾配を有するものであって、軒先外装材1自体に屋根下地面に沿う部分111とそれと異なる傾斜角度に配される部分11とを備える態様に相当し、図1(b)に拡大して示すように面板部11の水上付近111が異なる角度に折れ曲がった形状に成形されている。即ち屋根下地面とほぼ同様の傾斜角度に配設される水上付近111と面板部11とは、異なる勾配に配設される。また、この軒先外装材1の水上端12には折り上げ係合部が形成され、その水下端13には折り返し係合部が形成されている。
前記上部支持部材2Aは、複数の横葺き外装材9Aより形成される横葺き外装構造の支持部材をも兼ねる構成であり、流れ方向に長尺な断面略ハット状の長尺材であって、最も水下側の外装材9Zの水下側にて異なる傾斜角度(17°から8°へ)にコシ折れしている。
また、前記下部支持部材2Bは、前記横葺き外装構造9の裏面側に略水平状に配設される構成である。
さらに、連結支持部材2Cは、それら(2A,2B)を連結する短尺状の板状材であり合計3つの締着部材2dにて一体的に連結されている。
なお、前記上部支持部材2Aは躯体6eや駆体6g等に裏面を支持される状態で一体的に固定され、前記連結支持部材2Cは躯体6gにビス止めされて一体的に固定されているため、これらの支持部材2A,2B,2Cからなる軒先下地構造は、前記軒先外装材1の裏面側に容易に且つ強固に一体化された構造である。
また、この上部支持部材2Aと前記下部支持部材1Bは、前述のように締着部材2dにて連結されるが、前記上部支持部材2Aの軒端が前記下部支持部材2Bの先端から突出するように組み付けられて連結されている。
さらに、前記連結支持材2Cは、前述のように両支持部材2A,2Bを接続(連絡)するものであって、詳しくは両支持部材2A,2Bの長さの途中部分を締着部材2d,2dにて連結するものであり、傾斜状に配されるように組み付けられている。
この第1実施例の軒天部材3は、前記取付補助材2fへの取付部を有する第1部材3aと、その建築物側に4枚が連続的に配設される第2部材3bと、更にその建築物側に3枚が連続的に配設される第3部材3cとからなる。
なお、第2部材3bと第3部材3cとは、何れも中央面板部31,31'に厚肉の断熱材3d,3d'を載置する構成であって、第2部材3bの面板部31方が第3部材3cの面板部31'よりも僅かに長い。断熱材3d,3d'は、その裏面側に部分的に薄肉部分を備えている。また、これらの部材3b,3cは、図1(c)に拡大して示す(図示したのは部材3dのみ)ように、面板部31,31'の一方の側端32に下面側が開放する略溝状の収容部321と、他方の側端33を側方から挿入状に係合可能な係合溝322と,前記収容部321の端縁を外方へ沿在させた323とを有する構成であり、ボルト等の固定具3eにて左右方向に隣り合う第2部材3b,3b同士や第3部材3c,3c同士、或いは隣り合う第2部材3bと第3部材3cとを接続可能である。なお、前記収容部321には前記固定具3eの頭部が収容され、該頭部を含めて収容部321の開放部分は、前記係合溝322に他方の側端33を係合したことで覆われ、裏面側から見上げても露出することがない。
この第1参考例における軒先外装材12は、図(b)に拡大して示すように略平坦状の面板部11'が設けられる点のみが相違するだけであり、その水上端12に折り上げ係合部が形成され、その水下端13に折り返し係合部が形成される構成は前記第1実施例と全く同様である。
前記上部支持部材2AIIは、複数の横葺き外装材9Dより形成される横葺き外装構造9IIの屋根下地(支持部材9G)とは異勾配になるように連結される断面略ハット型の定尺材である。また、下部支持部材2BIIは、前記横葺き外装構造9IIの裏面側に配設される略水平状の軒天支持部材2Gの軒先端に連結される断面略ハット型の定尺材である。さらに、連絡支持部材2CIIは、それらを連結する短尺状の板状材であって、躯体6gに固定され、その先端は前記支持部材9Gとも連結されている。そして、これらの支持部材2AII,2BII,2CIIは、前記第1実施例と同様に合計3つの締着部材2dにて一体的に連結され、駆体6gにも固定されているので、振動や正荷重等に高い耐性を有する。
また、例えば前記上部支持部材2AIIと支持部材9Gとは、連絡支持部材2CIIを介しれ接続されているが、共に断面略ハット型(上部支持部材2AIIは定尺材、支持部材9Gは長尺材)であるから、固定具等を用いて容易に直接的に連結するようにしてもよい。
なお、この第1参考例における軒天部材3IIは、前記下部支持部材2BIIや軒天支持部材2Gの裏面側に配設されるものであるが、詳細な記載については省略した。
また、この第1参考例でも前記上部支持部材2AIIの軒端に取付補助材2fを取り付ける構成は同様であり、該取付補助材2fに設けた係合部に、前記軒先外装材12の折り返し係合部13や前記軒天部材3IIを一体的に固定する。
なお、図3(b)は比較のために示した前記第1参考例の軒先のみを拡大したものである。
この第2参考例では、複数部材にて構成される上部支持部材2AIII,2AIII'が、異なる傾斜勾配を有するように組み合わされた例である。水上側に配される上部支持部材2AIII'は、横葺き外装構造9IIの屋根下地となる支持部材に他ならず、断面略ハット型の長尺材である。水下側に配される上部支持部材2AIIIは、上面に前記軒先外装材13が沿設されるものであって、断面略ハット型の定尺材である。そして、これらの上部支持部材2AIII,2AIII'は、二箇所の固定具2eにて異勾配となるように連結されている。
なお、下部支持部材2BIIIも連絡支持部材2CIIIも、前記第1参考例における各部材とほぼ同様である。
この第3参考例における軒先外装材14は、図4(b)に拡大して示すように、面板部が水上側から順に下り傾斜部分11a、上り傾斜部分11b、略平坦状部分11cの3つの異なる勾配を有するものである。また、その軒先端には起立部14が設けられているため、図示するように降雨の際に雨樋の役割を果たす箇所を容易に形成することができる。
前記上部支持部材2AIVは、複数の横葺き外装材9Dより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ねるので、図示する躯体6pやそれ以外の躯体等に固定され、屋根勾配に略平行状に水下側へ延出している。
また、前記下部支持部材2BIVは、大きく反り返るように湾曲している部材であり、その先端には取付補助材2f'が取り付けられている。
さらに、前記連絡支持部材2CIVは、略鉛直状に配設されている。
そして、前記連絡支持部材2CIVは、前記上部支持部材2AIV及び前記下部支持部材2BIVのそれぞれの長さの中程を締着部材2dにて連結しており、前記上部支持部材2AIVと前記下部支持部材2BIVとは、前者(2AIV)の先端と後者(2BIV)の軒先付近とを締着部材2dにて連結し、後者、即ち下部支持部材2BIVの軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
この雨水Wのように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
この第4参考例における軒先外装材15は、図5(b)に拡大して示すように、面板部が水上側から順に下り傾斜部分11d、平坦状部分11eの2つの異なる勾配を有するものである。その軒先端には起立部15が設けられているため、降雨の際に雨樋の役割を果たす箇所を容易に形成することができる。
そして、前述のように前記上部支持部材2AVは横葺き外装構造の支持部材を兼ねているので、図示する躯体6qやそれ以外の躯体等に固定され、前記二つの連絡支持部材2CV,2CV'も躯体6qに固定されている。
また、前記連絡支持部材2CV,2CV'は、前記上部支持部材2AV及び前記下部支持部材2BVのそれぞれの長さの中程を締着部材2dにて連結しており、前記上部支持部材2AVと前記下部支持部材2BVとは、前記上部支持部材2AVの先端と前記下部支持部材2BVの軒先付近とを締着部材2dにて連結し、前記下部支持部材2BVの軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
この第4参考例における軒天部材3VIは、前記第1実施例に用いた軒天部材3(3b,3c)とほぼ同様の化粧面を形成する複数の第1部材3Vaと、その軒先側に配設される第2部材3Vbとからなる。
この雨水のように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
2A,2AII,2AIII,2AIV,2AV 上部支持部材
2B,2BII,2BIII,2BIV,2BV 下部支持部材
2C,2CII,2CIII,2CIV,2CV 連絡支持部材
2d 締着部材
2f,2f',2f" 取付補助材
3,3II,3III,3IV,3V,3V 軒天部材
9A,9D 外装材
9Z,9ZII,9DZ 最も水下側に位置する外装材
Claims (2)
- 傾斜勾配を有する外装構造の水下端の更に水下側に延設されると共に、前記外装構造を支持する部材を兼ねて水下側へ長く延出した上部支持部材がコシ折れ状に配設され、該上部支持部材に沿うように異なる複数勾配を有する軒先外装材を配設することにより、異なる複数勾配の外装面を形成したことを特徴とする建築物の軒先構造。
- 外装構造の水下端の更に水下側に延設され、上部支持部材と下部支持部材とこれらの両支持部材を連結する連絡支持部材とからなる軒先下地構造を構築し、前記上部支持部材と前記下部支持部材と前記連絡支持部材とが一体的に連結されることで軒先下地を構築すると共に、前記上部支持部材、前記下部支持部材、前記連絡支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられ、この軒先下地構造の前記上部支持部材の上面に軒先外装材を沿設してなることを特徴とする請求項1に記載の建築物の軒先構造。
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