JP6456043B2 - 建築物の軒先下地構造 - Google Patents
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Description
前記特許文献1に記載の唐草は、横葺屋根板の成形部等と係合する係合部と建築物の軒先に取り付けられる取付部と建築物の軒先を覆う垂下部を主構成としている。さらに詳細には、固定部は、躯体あるいは下地材にビス止めするフラット状やL字状、あるいは下地材に嵌める略コ字状等で構成され、垂下部は躯体の形状に沿う階段状に形成されている。
一方、前記特許文献2に記載の唐草では、水切りや幕板をビス等の固着具で固定したものが提案されている。さらに、化粧を目的として、壁から支持材を持ち出し、軒天井等を設けることも行われている。
一方、前記特許文献2に記載の唐草は、部品点数の増加が避けられず、施工に手間がかかるという問題があった。さらに壁から支持材等を持ち出すため、屋根工事とは別に行なわなければならないという問題もあった。
そして、かかる特許文献1、2に共通していえることとして、軒先における意匠性および汎用性の向上について未だ不十分であった。
なお、軒先外装材とは、外装構造を構成する最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配設される外装材を指すものであって、「最も水下側に位置する外装材」とは、流れ方向に複数の外装材を配設する横葺きや瓦等をイメージし易いが、流れ方向に連続する縦葺き外装材でもよく、その場合には該縦葺き外装材の水下端よりも更に水下側に軒先外装材を配設することを意味している。
このように本発明では、取付施工が容易であって、意匠性に富んだ、デザイン性に優れた軒先構造とするための下地構造として有用である。
また、外装材を例えば前記下地や該下地へ取り付けるための構造等としては、木材製の躯体、鉄骨製の躯体、コンクリート製の躯体などの各種材料で構築される躯体、躯体上に配された垂木等の支持部材又は野地材等の下地材等でもよい。
例えば外装材が水上側から水下側に向かって一定勾配(角度)で傾斜している構造は一般的であって、広く知られているから、最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配する軒先外装材にて形成される軒先部分は、一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根となりやすい。更に、このような軒先部分により、所定領域の雨避けや日光避けの庇(ひさし)として有効利用する空間を形成することも可能である。
また、一般の外装材の傾斜勾配と敢えて相違するように例えば異なる傾斜面の面板部、或いは湾曲した面板部を有するように形成してもよく、この場合の軒先外装材は、軒端が跳ね上がったような印象を与える屋根とすることもできるし、逆に軒端が深く垂れ下がったような印象を与える屋根とすることもでき、意匠性を高くすることができる。
また、各支持部材は、断面形状がハット状、角型、管状、Z状、L状、コ字状等の慣用的に用いられている棒状材又はパイプ材でもよく、全てを同一形状で形成する必要はない。例えばコ字状(或いはハット状)棒状材と角型パイプ材とを、コ字状棒状材の内部に角型パイプ材が内包されるように組み付けることにより、締着時の作業性が容易となり、締着後に高い取付強度を得ることができる。
本発明における上部支持部材は、外装構造を支持する部材と水下側へ延出する部材とを組み付けて接続したものであって、そのうちの水下側へ延出する部材の上面に少なくとも軒先外装材を沿設することができ、後述する図示実施例のように、断面形状がハット状の棒状材である外装構造の支持部材に角型パイプ材であるこの上部支持部材を内包状に組み付けて締着して接続してもよい。
本発明における下部支持部材は、前記上部支持部材中の外装構造を支持する部材の裏面側に配するものであって、後述する図示実施例のように、軒天部材(軒先天井材)を支持する部材を兼ねる部材でもよい。この下部支持部材は、略水平状に配されるものでも、傾斜状に配されるものであってもよい。
また、前述のようにこの下部支持部材に限らず、何れかの支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられているが、この下部支持部材に躯体に連絡する補助部材を設けて取り付けるようにしてもよい。
この補助部材は、直線状であっても湾曲状であってもよい。
また、補助部材は、全ての下部支持部材に設けるものでも、一定間隔(例えば一本おき)で設けるものであってもよい。
なお、このような補助部材を設ける場合には、軒天部材は下部支持部材に取り付けるものでも、この補助部材に取り付けるものであってもよい。
本発明における連絡支持部材は、前記(A)上部支持部材と前記(B)下部支持部材とを接続(連絡)するものであって、略鉛直状に配されるものであっても、傾斜状に配されるものであってもよい。この連絡支持部材は、単一部材であってもよいし、例えば長さ調整を可能とする複数部材を組み合わせて連絡支持部材としてもよい。また、この連絡支持部材は、前記(A)上部支持部材と前記(B)下部支持部材との端部同士を連結するものに限定されず、何れか一方又は両方の長さの途中部分を連結するものであってもよい。そのため、この連絡支持部材は、複数設けてもよく、その場合、連結箇所が増加して一体化強度が向上する。
軒天部材は、前記軒先外装材の裏面と軒先裏面とのうち何れか一方又は両方を被覆する部材であり、前記軒先外装材と同様に特にその形状構成を限定するものではないが、裏面側の最も水下側の化粧材を指す。それに対し、前記軒先外装材は、表面側の最も水下側の化粧材(兼外装材)ということができる。また、前記軒先外装材と同様に前記取付補助材へ取り付けるための構成(係合受部)を有する。
一般的に広義の軒天部材とは、軒先裏面を化粧する化粧材の全てを指すものである。即ち本発明における軒天部材は、単一部材であっても、複数部材によって構成されるものでもよく、最も先端(外側)の化粧材が、軒先外装材と一体的に取り付けられていればよいものである。
このように前記軒先外装材も前記軒天部材も、軒先外装材以外の外装材が構築する外装構造に少なくともその一部が取付されていることが望ましいが、この場合の取付とは、他の部材を介しての取付でもよく、それ自体は一体的である必要はなく、例えば係止や重合などをも含むものである。軒先外装材と軒天部材を直接的に取付することにより、両部材が高い強度の連結状態を得ることができる。
そして、この取付補助材は、軒先外装材の係合部と軒天部材の係合受部との重合部分に介在すればよく、重合部分のみに介在するものであっても、躯体側から持ち出した部材に固定されるものであってもよい。
この外装材9Aを下地材6fに取り付けるための保持部材9bは、左右に起立部を有してその内側にビス9cを打ち込んで下地材6fを貫通して躯体6eに固定する固定部が設けられ、略中央に外装材9Aの各成形部92,92'の裏面を支持する支持部分が形成された左右対称の部材であって、長さ方向に間隔を隔てて長さが異なるピース状の保持部材9b'も併用している。
なお、これらの外装材9Aや保持部材9bから構成される外装構造の水下端には、図中に符号9dで示される端部納め材が配設されている。
この上部支持部材1Aと支持材6gとの接続は、前述のように支持材6gが断面略ハット状に成形しているので、例えば上部支持部材1Aを角型パイプ材とすれば、前記支持材6gに上部支持部材1Aを内包状に組み付けることができ、締着して強固に接続(連結)することができる。
また、この上部支持部材1Aは、図1(c)に示すように水上側の端部を躯体6iに取り付けられている。
また、この下部支持部材1Bは、図1(a)に示すように建築物側の端部を縦母屋6aにL字材である補助部材6jを介して支持されている。
また、前記軒先外装材4の水下端には取付補助材1fが固定されているが、この取付補助材1fは、前記重合部分に介在して両者の取付安定性を向上する作用を施す。
このように本発明では、取付施工が容易であって、意匠性に富んだ、デザイン性に優れた軒先構造とするための下地構造として有用である。
この第2参考例では、前述のように上部支持部材1A2と下部支持部材1B2として共通する部材(断面略ハット状の長尺材)を併用することができるという利点がある。
軒先外装材4IIは、略平坦状の面板部41の水上端42が最も水下側の外装材9IIZの裏面側の水下端付近に固定され、前記面板部41の水下部分が前記取付補助材1f2の上面に沿い、その水下端43が折り下げられ、その下端に折り返し係合部を形成している。
軒天部材3IIは、前記下部支持部材1B2の裏面及び軒先裏面を被覆する略平坦状の化粧面部31,32を有し、前記下部支持部材1B2の裏面側に吊設状に固定され、軒先側の端部33は前記軒先外装材4IIの水下端と重合すると共に係合部に係合している。なお、この軒天部材3IIの化粧面部31,32は、下部支持部材1B2の裏面側に沿う部分を化粧面部31とし、上部支持部材1A2の裏面側に沿う部分を化粧面部32とした。
また、図2(a)における9biiは横葺き外装材である外装材9IIを保持する保持部材(吊子)であり、9ciiは外装材9IIの裏面側に添装された裏貼り材であり、9diiはバックアップ材である。
この例における軒天部材3IVは、図3(b)に拡大して示すように軒先端側に配設される第1部材3IVaと、その建築物側に連続的に複数が配設される第2部材3IVbとからなる。
前記第1部材3IVaは、取付補助材1f2等への取付形状を有する構成である。
また、前記第2部材3IVbは、その裏面側に部分的に薄肉部分を備える断熱材3IVcがそれぞれに配設され、一方の側端に下面側が開放する略溝状の収容部39と、他方の側端を側方から挿入状に係合可能な係合溝38とを有する構成であり、ボルト等の固定具3IVdにて前記下部支持部材1B2の裏面側に、前記第1部材3IVaや複数の第2部材3IVbや断熱材3IVcを一体的に固定することができる。なお、前記収容部39には前記固定具3IVdの頭部が収容され、該頭部を含めて収容部39の開放部分は、前記係合溝38に他方の側端を係合したことで覆われ、裏面側から見上げても露出することがない。
そして、前記第1参考例及び前記第2参考例と同様に合計3つの締着部材1dにて一体的に連結されている。なお、前記連絡支持部材1C3は、軒先躯体6nに一体的に固定された躯体に取り付けられている。
なお、前記上部支持部材としては、符号1A4を付した部材に加え、横葺き外装構造の支持部材9eも併せて上部支持部材と見なすことができる。そのため、前記連絡支持部材1C4については、図面の左側に位置する部材のみならず、右側に配置されている部材も連絡支持部材とした。
そして、前記第1参考例及び前記第2参考例と同様に合計3つの締着部材1dにて一体的に連結されている。なお、前記上部支持部材1A5は躯体6e等に一体的に固定され、前記連絡支持部材1C5は躯体6oに一体的に固定されているため、これらの支持部材1A5,1B5,1C5からなる軒先下地構造は、外装構造の水下側に容易に且つ強固に一体化させた構造である。
また、軒先外装材4IIIとしては、面板部41'の水上付近が異なる角度に折れ曲がった以外は前記第2参考例の軒先外装材4IIと同様である。
さらに、軒天部材3IIIとしては、軒先端側に配設される、前記第2参考例における軒天部材3IIにおける取付補助材1f2等への取付部を有する第1部材3IIIaと、その建築物側に4枚が連続的に配設される第2部材3IIIbと、更にその建築物側に3枚が連続的に配設される第3部材3IIIcとからなる。なお、第2部材3IIIbと第3部材3IIIcとは、何れも中央面板部に厚肉の断熱材3IIIdを載置する構成であって、第2部材3IIIbの方が第3部材3IIIcよりも僅かに面板部が長い。また、各第2部材3IIIb及び各第3部材3IIIcは、図中に一点鎖線にて示す位置に前記図3に示した第2参考例における固定具3IVdと同様の固定具を打ち込んで前記断熱材3IIIdも含めて一体的に前記下側支持部材1B5の裏面側に固定されている。
そして、前述のように前記上部支持部材1A6は横葺き外装構造の支持部材を兼ねているので、図示する躯体6pやそれ以外の躯体等に固定されている。
また、前記連絡支持部材1C6は、前記上部支持部材1A6及び前記下部支持部材1B6のそれぞれの長さの中程を締着部材1dにて連結しており、前記上部支持部材1A6と前記下部支持部材1B6とは、前記上部支持部材1A6の先端と前記下部支持部材1B6の軒先付近とをと締着部材1dにて連結し、前記下部支持部材1B6の軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
この第5参考例における軒天部材3Vは、前記図3の第2参考例に用いた軒天部材3IVを大きく反り返るように湾曲させた化粧面を形成する複数の第2部材3Vb、その軒先側に配設される第1部材3Vaと、それらを連絡する第3部材3Vcとからなり、図中、3Vd及び3Veはそれらを連結する連絡具である。
この雨水Wのように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
そして、前述のように前記上部支持部材1A7は横葺き外装構造の支持部材を兼ねているので、図示する躯体6qやそれ以外の躯体等に固定され、前記二つの連絡支持部材1C7,1C7'も躯体6qに固定されている。
また、前記連絡支持部材1C7,1C7'は、前記上部支持部材1A7及び前記下部支持部材1B7のそれぞれの長さの中程を締着部材1dにて連結しており、前記上部支持部材1A7と前記下部支持部材1B7とは、前記上部支持部材1A7の先端と前記下部支持部材1B7の軒先付近とをと締着部材1dにて連結し、前記下部支持部材1B7の軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
この第6参考例における軒天部材3VIは、前記図3の第2参考例に用いた軒天部材3IVとほぼ同様の化粧面を形成する複数の第2部材3VIbと、その軒先側に配設される第1部材3VIaとからなる。
この雨水のように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
1B,1B2,1B3,1B4,1B5,1B6,1B7 下部支持部材
1C,1C2,1C3,1C4,1C5,1C6,1C7 連絡支持部材
1d 締着部材
1f,1f2,1f3,1f4 取付補助材
1e 補助部材
3,3II,3III,3IV,3V,3VI 軒天部材
4,4II,4III,4IV,4V 軒先外装材
9,9II,9III 外装材
9IIZ 最も水下側に位置する外装材
Claims (2)
- 外装構造の水下端の更に水下側に延設され、上部支持部材と下部支持部材とこれらの両支持部材を連結する連絡支持部材とからなる建築物の軒先下地構造であって、
前記上部支持部材は、外装構造を支持する部材と水下側へ延出する部材とを組み付けて接続したものであって、そのうちの水下側へ延出する部材の上面に少なくとも軒先外装材を沿設することができ、
前記上部支持部材中の外装構造を支持する部材と前記下部支持部材とが、前記連絡支持部材を介して一体的に連結されることで軒先下地を構築すると共に、前記上部支持部材中の外装構造を支持する部材、前記下部支持部材、前記連絡支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられていることを特徴とする建築物の軒先下地構造。 - 下部支持部材は、躯体に連結する補助部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の軒先下地構造。
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