JP6471871B2 - 内燃機関 - Google Patents
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Description
この種の内燃機関は、シリンダブロック、シリンダヘッド、シリンダヘッドカバー、オイルパン及びチェーンカバーを備えている。
オイルパンはシリンダブロックの下部に接続されている。シリンダブロックの下部空間及びオイルパンの内部空間であるクランクシャフト収納空間とシリンダボアとは互いに連通している。さらにクランクシャフト収納空間には、ピストンの動作に連動して回転するクランクシャフトが収納されている。
カムシャフト収納空間には、直線的に延び且つ自身の軸線まわりに回転可能なカムシャフトが設けられている。シリンダヘッドの外周壁の一部を構成するチェーンカバー隣接壁には貫通孔が形成されている。カムシャフトの一端はこの貫通孔を通ってシリンダヘッドの外側に突出している。この貫通孔の内周面とカムシャフトの外周面との間にはオイルシールが設けられており、このオイルシールが貫通孔の内周面とカムシャフトの外周面とに対して気密且つ液密状態で接触している。
周知のようにカムシャフトと吸気バルブ及び排気バルブとは互いに連係している。即ち、カムシャフトが回転すると、吸気バルブ及び排気バルブが吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉するように動作する。
チェーンカバーの内部にはチェーン収納空間が形成されている。このチェーン収納空間は、オイルパンのクランクシャフト収納空間と連通している。その一方で、チェーン収納空間はカムシャフト収納空間とは互いに連通しない。即ち、シリンダヘッドのチェーンカバー隣接壁が、カムシャフト収納空間とチェーン収納空間とを気密且つ液密状態で区画している。
さらにクランクシャフト収納空間には、第一潤滑油をクランクシャフト収納空間、シリンダブロックの内部空間及びチェーン収納空間において循環させるための第一オイルポンプが設けられている。即ち、クランクシャフト収納空間、シリンダブロックの内部空間、及びチェーン収納空間には、これらの空間に跨る第一潤滑油循環経路が形成されている。
さらにカムシャフト収納空間には、第二潤滑油をサブオイルパンとカムシャフト収納空間との間で循環させるための第二オイルポンプが設けられている。即ち、サブオイルパン及びカムシャフト収納空間には、両者に跨る第二潤滑油循環経路が形成されている。
第一潤滑油循環経路を循環する第一潤滑油の働きによってピストン、クランクシャフト、及びタイミングチェーンが円滑に動作する。さらに第二潤滑油循環経路を循環する第二潤滑油の働きによって、カムシャフト、吸気バルブ及び排気バルブが円滑に動作する。
そのため第一潤滑油循環経路と第二潤滑油循環経路とは互いに独立している。換言すると、第一潤滑油が第二潤滑油循環経路に流れ込んだり、第二潤滑油が第一潤滑油循環経路に流れ込んだりするおそれはない。
さらにチェーンカバー隣接壁がカムシャフト収納空間とチェーン収納空間とを気密且つ液密状態で区画しているので、ブローバイガスがチェーン収納空間側からカムシャフト収納空間に流れ込んで第二潤滑油に接触するおそれもない。
そのため、第二潤滑油は第一潤滑油よりも劣化し難い。従って、第二潤滑油の新しい潤滑油との交換頻度は第一潤滑油より低い。
最もチェーンカバー隣接壁側に位置するカムキャップは、チェーンカバー隣接壁の内面(カムシャフト収納空間側の面)と近接するようにカムシャフト収納空間に配設されている。
そのため、チェーンカバー隣接壁及び全てのカムキャップが上記軸線方向に並んでいる上記構造の内燃機関は、シリンダヘッド及び内燃機関全体の上記軸線方向寸法を小さくするのが難しかった。
ピストン(23)が摺動可能に支持されたシリンダボア(21)を有するシリンダブロック(20)と、
前記ピストンの動作に連動して回転するクランクシャフト(25)を収納するクランクシャフト収納空間(32)を内部に備え且つ前記シリンダブロックに接続されたオイルパン(30)と、
前記シリンダボアと連通し且つ前記ピストンの動作に連動して往復移動するバルブ(44、45)によって開閉されるポート(42、43)、サブオイルパン(40a)、並びに前記オイルパンの内部、前記クランクシャフト収納空間及び前記シリンダボアとは連通しないカムシャフト収納空間(47a)を内部に備えるシリンダヘッド(35)と、
前記カムシャフト収納空間に配設され且つ自身の軸線方向の複数箇所に形成された被支持部(66、71)の下部が前記シリンダヘッドに回転可能に支持され、自身の軸線まわりに回転することにより前記バルブを往復移動させるカムシャフト(65、70)と、
前記カムシャフトの前記各被支持部の上部をそれぞれ回転可能に支持し且つ前記シリンダヘッドに固定される複数のカムキャップ(75、80)と、
前記クランクシャフトと前記カムシャフトとを連係する環状連係部材(86)を収納し且つ前記クランクシャフト収納空間と連通する一方で前記カムシャフト収納空間とは連通しない連係部材収納空間(89)を内部に備える、前記オイルパン及び前記シリンダヘッドに接続されたカバー部材(88)と、
前記オイルパンの内部に充填され、且つ、前記オイルパンの内部、前記クランクシャフト収納空間、前記シリンダボア及び前記連係部材収納空間を循環する第一潤滑油(91)と、
前記サブオイルパンの内部に充填され、且つ、前記サブオイルパンの内部及び前記カムシャフト収納空間を循環する第二潤滑油(101)と、
前記シリンダヘッドの一部を構成し且つ前記連係部材収納空間と前記カムシャフト収納空間とを仕切るカバー隣接壁(48)と、
を備え、
前記連係部材収納空間の気圧が前記カムシャフト収納空間の気圧より低い状態に維持され、
前記カバー隣接壁の上端面に、前記カバー隣接壁を前記カムシャフトの前記軸線方向に貫通するカムキャップ用凹部(51)が形成され、
前記複数のカムキャップの中で最も前記カバー部材側に位置する前記カムキャップが、前記カムキャップ用凹部内に配設される端部カムキャップ(80)であり、
前記端部カムキャップの前記軸線方向に対して直交する方向に離間する一対の側面が、前記カムキャップ用凹部の一対の側面(51b)との間に、前記軸線方向の両端部が共に開放され且つ前記軸線方向の少なくとも中間部から前記連係部材収納空間側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなる断面積徐変隙間(S)をそれぞれ形成し、
前記カムキャップ用凹部の前記側面を含む内面と前記端部カムキャップの前記側面を含む外面との間に充填されたガスケット(G)を備える。
そのため、従来の内燃機関と比べてシリンダヘッド及び内燃機関全体のカムシャフト軸線方向寸法を小さくすることが可能である。
しかし、カムキャップの外面とカムキャップ用凹部の内面との間に、半固化した状態のガスケットが充填されている。
そのため、第二潤滑油がカムキャップ用凹部と端部カムキャップとの間を通って連係部材収納空間側へ漏れて、第一潤滑油と混ざり合うおそれはない。
従って、第二潤滑油が減少しない。
本発明では、端部カムキャップの両側面とカムキャップ用凹部の両側面との間に、カムシャフトの軸線方向の両端部が共に開放され且つこの軸線方向の少なくとも中間部から連係部材収納空間側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなる断面積徐変隙間が形成されている。
しかし断面積徐変隙間の連係部材収納空間側の端部の断面積が断面積徐変隙間の中間部の断面積より小さい。そのため、この断面積徐変隙間の連係部材収納空間側の端部は、ガスケットが連係部材収納空間側へ移動するのを阻止するための大きな抵抗力を発揮する。
そのため、ガスケットが断面積徐変隙間を介して連係部材収納空間側へ排出されるおそれは殆どない。
そのため、シリンダヘッドのカムシャフト収納空間に設けられた第二潤滑油が、断面積徐変隙間を介して連係部材収納空間側に漏れ出すおそれは、カムキャップ用凹部の側面及び端部カムキャップの側面が互いに平行な平面によって構成されている場合と比べてはるかに小さい。
そのため、断面積徐変隙間の連係部材収納空間側端部が、カバー隣接壁の連係部材収納空間側面と同じ位置にある場合と比べて、ガスケットが断面積徐変隙間を介して連係部材収納空間側に排出されるおそれがより小さくなる。即ち、第二潤滑油が断面積徐変隙間を介して連係部材収納空間側に漏れ出すおそれがより小さくなる。
しかし、本発明をこのように構成した場合は、カムキャップ用凹部の底面による端部カムキャップの支持状態を安定させることが可能になる。
従って、本発明をこのように構成すれば、内燃機関の生産性を高くすることが可能になる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1及び図2は多気筒(例えば、4気筒)内燃機関10の概略構成を示している。なお、図2は、ある気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。この内燃機関10は、図示を省略した車両の駆動源としてその車両に搭載されている。
シリンダボア21には、ピストン23がシリンダボア21の軸線方向に摺動可能に設けられている。
ピストン23にはコネクティングロッド24の上部が回転可能に接続されている。
シリンダブロック20の下部に設けられたクランクシャフト軸受(図示略)には、軸線が前後方向に延びるクランクシャフト25が回転可能に支持されている。さらにコネクティングロッド24の下端部が、クランクシャフト25に形成されたコネクティングロッド軸受(図示略)に回転可能に接続されている。クランクシャフト25の前部にはスプロケット(図示略)が固定されている。
オイルパン30の内部空間は第一潤滑油貯蔵室31を構成している。さらにシリンダブロック20の下部空間22及びオイルパン30の第一潤滑油貯蔵室31が、シリンダボア21と連通するクランクシャフト収納空間32を構成している。
さらにシリンダヘッド本体40には、燃焼室41と連通する吸気ポート42及び排気ポート43が形成されている。さらにシリンダヘッド本体40には共に筒状をなす吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aが固定されている。吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aの下端部は、それぞれ吸気ポート42と排気ポート43に接続されている。さらに吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aの上部には、筒状をなすシール部材(図示略)がそれぞれ固定されている。吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aには、吸気バルブ44と排気バルブ45とがそれぞれ吸気バルブガイド42aと排気バルブガイド43aの軸線方向に移動可能に挿入されている。そして、吸気バルブガイド42aによって吸気バルブ44のステム部がスライド可能に支持され、且つ、排気バルブガイド43aによって排気バルブ45のステム部がスライド可能に支持されている。周知のように、吸気バルブ44及び排気バルブ45は吸気バルブガイド42aと排気バルブガイド43aの軸線方向に往復移動することにより吸気ポート42と排気ポート43をそれぞれ開閉する。
図3及び図4に示すように、カムシャフトハウジング47は、平面視略矩形且つ上下両面が開放された枠体である。カムシャフトハウジング47の上面及び下面は平面によって構成されている。シリンダヘッド本体40の上面とカムシャフトハウジング47の下面とは気密且つ液密状態で接触している。さらにシリンダヘッド本体40とカムシャフトハウジング47とはボルトにより互いに固定されている。
カムシャフトハウジング47は、カムシャフトハウジング47の前面を構成するチェーンカバー隣接壁48と、左右両面をそれぞれ構成する一対の側壁49と、後面を構成する後部壁50(図1参照)と、を備えている。
カムシャフトハウジング47の内部には、上面が開放されたカムシャフト収納空間47aが形成されている。
カムキャップ用凹部51の底面51aは水平な平面によって構成されている。またカムキャップ用凹部51の左右の側面51bは、互いに平行をなし且つ左右方向に対して直交する平面によって構成されている。
底面51aには左右一対の軸受用凹部52a、52bが形成されている。左側の軸受用凹部52aと右側の軸受用凹部52bの断面形状は同一の半円形である。さらにカムキャップ用凹部51の底面51aには、軸受用凹部52a、52bを避けるようにして4つの雌ねじ孔53が形成されている。
各ジャーナル軸受56の上面には、左右一対の断面半円形をなす軸受用凹部57aと軸受用凹部57bとが形成されている。さらに各軸受用凹部57aは軸受用凹部52aと同軸であり、且つ、各軸受用凹部57bは軸受用凹部52bと同軸である。各ジャーナル軸受56の上面には、軸受用凹部57a、57bを避けるようにして4つの雌ねじ孔58が形成されている。
さらにエキゾーストカムシャフト65及びインテークカムシャフト70の前端部にはVVT(可変バルブタイミング機構)74がそれぞれ設けられている(図7参照。エキゾーストカムシャフト65側のVVT74は図示略)。これらのVVT74は、VVT用アクチュエータの動力によって作動する。
カムキャップ75は正面視略矩形の板材であり、その左右寸法はカムシャフトハウジング47の左右の側壁49の内面間の左右寸法より短い。さらにカムキャップ75の下面には、左右一対の軸受用凹部76a、76bが形成されている。軸受用凹部76a、76bの断面形状は、軸受用凹部57a、57bと上下対称の半円形である。さらにカムキャップ75には、軸受用凹部57a、57bとは位置を異ならせて4つの貫通孔77が形成されている。各貫通孔77はカムキャップ75を上下方向に貫通している。
各カムキャップ75の軸受用凹部76aは、エキゾーストカムシャフト65の各被支持部66の上半部をそれぞれ回転可能に支持している。同様に、各カムキャップ75の軸受用凹部76bは、インテークカムシャフト70の各被支持部71の上半部をそれぞれ回転可能に支持している。
端部カムキャップ80の前後寸法及び上下寸法はカムキャップ用凹部51とそれぞれ同一である。但し、端部カムキャップ80は、少なくとも左右両端部の上下寸法がカムキャップ用凹部51の高さと同一であれば、前後寸法がカムキャップ用凹部51と同一である必要はない。一方、端部カムキャップ80の左右寸法はカムキャップ用凹部51の左右寸法より僅かに小さい。
端部カムキャップ80の下面には、左右一対の軸受用凹部81a、81bが形成されている。軸受用凹部81a、81bの断面形状は、軸受用凹部52a、52bと上下対称の半円形である。さらに端部カムキャップ80には、軸受用凹部81a、81bとは位置を異ならせて4つの貫通孔82が形成されている。各貫通孔82は端部カムキャップ80を上下方向に貫通している。
同様に、図示は省略してあるが、端部カムキャップ80の左側面は、この隙間形成面83と左右対称をなす隙間形成面83によって構成されている。換言すると、端部カムキャップ80の左側部は、この隙間形成面83が形成されるように切り欠かれている。
さらに端部カムキャップ80の各貫通孔82には上方からボルト(図示略)が挿入され、各ボルトの下端部がカムキャップ用凹部51に形成された各雌ねじ孔53に螺合される。
端部カムキャップ80はこのようにしてカムキャップ用凹部51に固定される。その結果、端部カムキャップ80の(少なくとも左右両端部の)上面はカムシャフトハウジング47の上面と同一平面上に位置する。
そして、端部カムキャップ80の両側面及び底面とカムキャップ用凹部51の内面との間の空間が、固化したガスケットGによって埋められる。即ち、半固化したガスケットGが、端部カムキャップ80の左右の隙間形成面83及び底面並びにカムキャップ用凹部51の内面に対して気密且つ液密状態で接触する。さらに、端部カムキャップ80の底面とカムキャップ用凹部51の底面51aとの間で半固化したガスケットGと、端部カムキャップ80の左右の隙間形成面83とカムキャップ用凹部51の左右の側面51bとの間で半固化したガスケットGと、が互いに連続する。
従って、カムシャフトハウジング47のカムシャフト収納空間47a及びシリンダヘッドカバー87の内部空間は互いに連通している。これらの空間は、シリンダヘッド本体40、カムシャフトハウジング47、及びシリンダヘッドカバー87の外部空間に対しては完全に遮断されている。そのため、カムシャフトハウジング47のカムシャフト収納空間47a、及びシリンダヘッドカバー87の内部空間の気圧は常に大気圧となる。
カバー部材88は、その後面及び下面のみが開口している。
カバー部材88の内部にはチェーン収納空間89が形成されている(図7参照)。
カバー部材88の下端はオイルパン30の前部の上面に接続されている。即ち、チェーン収納空間89の下端は、第一潤滑油貯蔵室31(クランクシャフト収納空間32)の前端部と互いに連通している。
シリンダブロック20の内部にはメインギャラリ92が形成されている。メインギャラリ92は第一潤滑油91の流路である。
サブオイルストレーナ102、サブオイルポンプ103及びサブオイルフィルタ105は、シリンダヘッド本体40の内部に形成された潤滑油用通路107により互いに接続されている。サブオイルストレーナ102は、サブオイルパン40a内の第二潤滑油101と接触している。
新気導入管108の一端はカバー部材88に接続されており、新気導入管108の他端は吸気系統60のスロットル弁60dより上流側の部位に接続されている。
ブローバイガス還流管109の一端はシリンダブロック20に接続されており、ブローバイガス還流管109の他端は吸気系統60のスロットル弁60dより下流側の部位に接続されている。ブローバイガス還流管109の内部にはバルブ(図示略)が設けられている。
クランクポジションセンサCSは、クランクシャフト25が所定角度だけ回転する毎に信号を出力する。この信号は、クランクシャフト25の1分当たりの回転数を表す内燃機関10の回転速度NEを取得するために使用される。
車輪速センサは、車両の各車輪の回転速度を表す信号を出力する。各車輪の回転速度の平均値に基いて車速SPDが取得される。
アクセル開度センサAPSは、運転者によって操作されるアクセルペダルAPの操作量を検出し、この操作量を表す信号を出力する。
ブレーキセンサBPSは、運転者によって操作されるブレーキペダルBPの操作量を検出し、この操作量を表す信号を出力する。
キーの操作によってイグニッションスイッチが操作されると、内燃機関10が回転を開始する。すると、CPU111はイグナイタ46b、インジェクタ46c、スロットル弁アクチュエータ60e及びVVT用アクチュエータに駆動信号(指示信号)を送出する。
さらに第一潤滑油91の一部は、メインギャラリ92からピストンジェット97へ供給される。するとピストンジェット97が第一潤滑油91をシリンダボア21及びピストン23に向けて噴射する。シリンダボア21及びピストン23へ供給された第一潤滑油91は重力によってオイルパン30へ戻る。
HLAギャラリ106へ供給された第二潤滑油101は、HLAギャラリ106を通りHLA85へ供給される。さらにHLA85へ供給された第二潤滑油101の一部は重力によってサブオイルパン40aへ戻る。また、HLAギャラリ106へ供給された第二潤滑油101は、HLAギャラリ106を通って軸受ジャーナル56の軸受用凹部57a、57bの内面へ供給される。
ジャーナル軸受56へ供給された第二潤滑油101の一部は重力によってサブオイルパン40aへ戻り、第二潤滑油101の残りはロッカーアーム84へ供給される。さらにロッカーアーム84へ供給された第二潤滑油101は重力によってサブオイルパン40aへ戻る。
そのため、ブローバイガスはオイルパン30の第一潤滑油貯蔵室31内の第一潤滑油91と接触する。その結果、第一潤滑油91にブローバイガスが混入するので、第一潤滑油91が劣化する。
従って、シリンダブロック20及びオイルパン30の内部に滞留しているブローバイガスが、上記凹部(燃焼室41)、吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aを介してカムシャフトハウジング47側へ流れることはない。即ち、ブローバイガスが、上燃焼室41、吸気バルブガイド42a及び排気バルブガイド43aを介して、カムシャフトハウジング47及び及びシリンダヘッドカバー87の内部に設けられた第二潤滑油101に接触することはない。
その一方で、吸気ダクト60c内を上流側から下流側へ流れる新気(即ち、排気ガス及び燃料を含まない空気)が新気導入管108を介して常にチェーン収納空間89及びクランクシャフト収納空間32へ供給される。
そのため、チェーン収納空間89の気圧は、カムシャフトハウジング47のカムシャフト収納空間47a、及びシリンダヘッドカバー87の内部空間の気圧(即ち、大気圧)より常に低くなる。
従って、カムシャフトハウジング47のカムシャフト収納空間47aとチェーン収納空間89との間には気圧差があるので、カムシャフト収納空間47aとチェーン収納空間89との間に両者を連通する隙間があれば、第二潤滑油101には常にチェーン収納空間89側へ向かう吸引力が及ぶ。
そのため、カムシャフト収納空間47a内にある第二潤滑油101が、端部カムキャップ80とカムキャップ用凹部51との間を通り抜けてチェーン収納空間89側へ漏れて、第一潤滑油91と混ざり合うことはない。
従って、カムシャフト収納空間47a内の第二潤滑油101は減少しない。
そのため、仮に端部カムキャップ80とカムキャップ用凹部51とを上記ボルト及び各雌ねじ孔53を利用して強固に固定しない場合は、チェーン収納空間89側の負圧が端部カムキャップ80の底面とカムキャップ用凹部51の底面51aとの間に位置するガスケットGに及んだときに、端部カムキャップ80の底面の前端部及びカムキャップ用凹部51の底面51aの前端部は、ガスケットGがチェーン収納空間89側へ移動するのを阻止するための抵抗力を殆ど発揮しない。そのためこの場合は、端部カムキャップ80の底面の前端部と底面51aの前端部との間から、ガスケットGがチェーン収納空間89側へ排出されるおそれが僅かながら発生する。
しかし本実施形態では、上記ボルト及び各雌ねじ孔53を利用して、端部カムキャップ80の底面とカムキャップ用凹部51の底面51aとの間でガスケットGを強い力で挟み込んでいる。そのため、端部カムキャップ80の底面の前端部と底面51aの前端部との間から、ガスケットGがチェーン収納空間89側へ排出されるおそれはない。
しかし、断面積徐変隙間Sの断面積が後方から前方に向かうにつれて徐々に小さくなっている。
そのため、端部カムキャップ80の側面の前端部及びカムキャップ用凹部51の側面51bの前端部は、ガスケットGがチェーン収納空間89側へ移動するのを阻止するための大きな抵抗力を発揮する。
そのため、ガスケットGが断面積徐変隙間Sの前端部を通り抜けてチェーン収納空間89側へ排出されるおそれはない。
しかしこの場合は、端部カムキャップ80の底面及びカムキャップ用凹部51の底面51aに関する(上記ボルトを各雌ねじ孔53に螺合しない場合に発生する)上記問題と同様の問題が発生する。即ち、端部カムキャップ80の左右の側面とカムキャップ用凹部51の左右の側面51bとの間から、半固化したガスケットGがチェーン収納空間89側へ排出されるおそれが、端部カムキャップ80とカムキャップ用凹部51との間に断面積徐変隙間Sを形成した場合よりも大きくなる。
これに対して本実施形態では端部カムキャップ80の左右の隙間形成面83とカムキャップ用凹部51の左右の側面51bとの間に断面積徐変隙間Sを形成しているので、このような不具合は発生しない。
従って、カムシャフトハウジング47のカムシャフト収納空間47a及びシリンダヘッドカバー87の内部空間の第二潤滑油101の量が減少することはない。
そのため、吸気バルブ44、排気バルブ45、エキゾーストカムシャフト65、インテークカムシャフト70、ロッカーアーム84、及びHLA85を常に円滑に動作させることが可能である。
しかし、この場合はカムキャップ用凹部51の底面51aによる端部カムキャップ80の支持状態が不安定になる。
これに対して本実施形態では端部カムキャップ80の水平な平面からなる底面が、カムキャップ用凹部51の水平な平面からなる底面51aによって支持されるので、このような不具合は発生しない。
そのため、従来と比べてカムシャフトハウジング47及び内燃機関10全体の前後方向寸法を小さくすることが可能である。
さらに、前後方向に対して直交する平面で切断したときの第一の変形例の断面積徐変隙間S1の断面積は、後方から前方(即ち、端部カムキャップ80の前面)に向かうにつれて徐々に小さくなる。また、前後方向に対して直交する平面で切断したときの第二の変形例の断面積徐変隙間S2の断面積は、平面121aの前端から前方に向かうにつれて徐々に小さくなる。さらに、前後方向に対して直交する平面で切断したときの第三の変形例の断面積徐変隙間S3の断面積は、平面122bの前端から前方に向かうにつれて徐々に小さくなる。
従って、これら各変形例も上記実施形態と同様の作用効果を発揮可能である。
この変形例では、隙間形成面123と側面51bとの間に形成される断面積徐変隙間S4にガスケットGが充填されている。さらに、端部カムキャップ80の底面とカムキャップ用凹部51の底面51aとの間に、ガスケットGがそれぞれ充填されている。この変形例においても、端部カムキャップ80の左右両側面とカムキャップ用凹部51の左右の側面51bとの間のガスケットG、及び、各端部カムキャップ80の底面とカムキャップ用凹部51の底面51aとの間のガスケットGは互いに連続している。
しかし本変形例では、端部カムキャップ80の左右両側面の前部と対応する側面51bの前部とが、互いに微小隙間を形成し且つ平行をなしながら対向している。端部カムキャップ80の左右両側面の前部と対応する側面51bの前部との間にはガスケットGは充填されていない。
そのため、断面積徐変隙間S4の前部に充填されたガスケットGは、端部カムキャップ80の左右両側面の前部と対応する側面51bの前部との間へ移動し難い。即ち、ガスケットGが、端部カムキャップ80の左右両側面の前部と対応する側面51bの前部との間を通り抜けてチェーン収納空間89側へ排出されるおそれは極めて小さい。そのため、断面積徐変隙間S4の前端部が端部カムキャップ80の前面と同じ位置に位置する場合と比べて、カムシャフト収納空間47a及びシリンダヘッドカバー87の内部空間の第二潤滑油101が、端部カムキャップ80の側面とカムキャップ用凹部51の側面51bとの間を通ってチェーン収納空間89側に漏れ出すおそれがより小さい。
図12の内燃機関10のカバー部材88は後面のみが開口しており、且つ、オイルパン30の前面は開口している。そして、カバー部材88の後面の下部がオイルパン30の前面に固定されており、カバー部材88の後面の下部の開口部がオイルパン30の前面の開口部と接続している。
図13の内燃機関10のカバー部材88は後面及び上面のみが開口している。そして、シリンダヘッドカバー87の開口した下面の前部に対してカバー部材88の上面が固定されている。図13に示したようにシリンダヘッドカバー87の内部には仕切り壁87aが設けられている。そして、端部カムキャップ80の上面と仕切り壁87aの下面との間にはゴムガスケット(図示略)が設けられている。そのため、カバー部材88の上部空間及びシリンダヘッドカバー87の仕切り壁87aより前方の空間と、シリンダヘッドカバー87の仕切り壁87aより後方の空間と、の間をブローバイガス、第一潤滑油91及び第二潤滑油101が流れることはない。
Claims (4)
- ピストンが摺動可能に支持されたシリンダボアを有するシリンダブロックと、
前記ピストンの動作に連動して回転するクランクシャフトを収納するクランクシャフト収納空間を内部に備え且つ前記シリンダブロックに接続されたオイルパンと、
前記シリンダボアと連通し且つ前記ピストンの動作に連動して往復移動するバルブによって開閉されるポート、サブオイルパン、並びに前記オイルパンの内部、前記クランクシャフト収納空間及び前記シリンダボアとは連通しないカムシャフト収納空間を内部に備えるシリンダヘッドと、
前記カムシャフト収納空間に配設され且つ自身の軸線方向の複数箇所に形成された被支持部の下部が前記シリンダヘッドに回転可能に支持され、自身の軸線まわりに回転することにより前記バルブを往復移動させるカムシャフトと、
前記カムシャフトの前記各被支持部の上部をそれぞれ回転可能に支持し且つ前記シリンダヘッドに固定される複数のカムキャップと、
前記クランクシャフトと前記カムシャフトとを連係する環状連係部材を収納し且つ前記クランクシャフト収納空間と連通する一方で前記カムシャフト収納空間とは連通しない連係部材収納空間を内部に備える、前記オイルパン及び前記シリンダヘッドに接続されたカバー部材と、
前記オイルパンの内部に充填され、且つ、前記オイルパンの内部、前記クランクシャフト収納空間、前記シリンダボア及び前記連係部材収納空間を循環する第一潤滑油と、
前記サブオイルパンの内部に充填され、且つ、前記サブオイルパンの内部及び前記カムシャフト収納空間を循環する第二潤滑油と、
前記シリンダヘッドの一部を構成し且つ前記連係部材収納空間と前記カムシャフト収納空間とを仕切るカバー隣接壁と、
を備え、
前記連係部材収納空間の気圧が前記カムシャフト収納空間の気圧より低い状態に維持され、
前記カバー隣接壁の上端面に、前記カバー隣接壁を前記カムシャフトの前記軸線方向に貫通するカムキャップ用凹部が形成され、
前記複数のカムキャップの中で最も前記カバー部材側に位置する前記カムキャップが、前記カムキャップ用凹部内に配設される端部カムキャップであり、
前記端部カムキャップの前記軸線方向に対して直交する方向に離間する一対の側面が、前記カムキャップ用凹部の一対の側面との間に、前記軸線方向の両端部が共に開放され且つ前記軸線方向の少なくとも中間部から前記連係部材収納空間側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなる断面積徐変隙間をそれぞれ形成し、
前記カムキャップ用凹部の前記側面を含む内面と前記端部カムキャップの前記側面を含む外面との間に充填されたガスケットを備える、
内燃機関。 - 請求項1に記載の内燃機関において、
前記断面積徐変隙間の前記連係部材収納空間側端部が、前記カバー隣接壁の前記連係部材収納空間側面よりも前記カムシャフト収納空間側に位置し、且つ、前記断面積徐変隙間と前記連係部材収納空間との間において前記端部カムキャップの平面からなる前記側面と前記カムキャップ用凹部の平面からなる前記側面とが、互いに微小隙間を形成し且つ互いに平行をなしながら対向する、
内燃機関。 - 請求項1又は2に記載の内燃機関において、
前記カムキャップ用凹部の底面及び前記端部カムキャップの底面が、水平な平面によって構成された、
内燃機関。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関において、
前記端部カムキャップの前記側面に、前記端部カムキャップが前記カムキャップ用凹部に配設されたときに、前記カムキャップ用凹部の前記側面との間で前記断面積徐変隙間を形成する切欠部が形成された、
内燃機関。
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