JP6470542B2 - 積層鋳型の造型方法 - Google Patents

積層鋳型の造型方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6470542B2
JP6470542B2 JP2014216014A JP2014216014A JP6470542B2 JP 6470542 B2 JP6470542 B2 JP 6470542B2 JP 2014216014 A JP2014216014 A JP 2014216014A JP 2014216014 A JP2014216014 A JP 2014216014A JP 6470542 B2 JP6470542 B2 JP 6470542B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
sand
water
laminated
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014216014A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016083664A (ja
Inventor
田中 雄一郎
雄一郎 田中
竹本 義明
義明 竹本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Original Assignee
1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION filed Critical 1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Priority to JP2014216014A priority Critical patent/JP6470542B2/ja
Publication of JP2016083664A publication Critical patent/JP2016083664A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6470542B2 publication Critical patent/JP6470542B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、積層鋳型の造型方法に係り、特に、薄い砂層を形成すると共に、これを1層ずつ所定形状に固化乃至硬化させることを繰り返し、砂層を積層一体化させて、目的とする形状の砂鋳型を造形する方法に関するものである。
近年、三次元プリント方式による積層成形技術が盛んに研究され、実用化されてきている。また、そのような積層成形技術を鋳型の造型に応用し、鋳型の試作や少量多品種生産用の鋳型の製造が、世界各地で検討されており、その中で、レーザー方式やインクジェット方式による積層鋳型の造型方法が提案されている。なお、それらレーザー方式とインクジェット方式の中で、インクジェット方式の製造装置の方が、レーザー方式のものに比べて、装置が安価となる利点を有している。
ところで、従来のインクジェット方式による鋳型の積層造型方法としては、特表2002−528375号公報(特許文献1)に示されるような三次元プリント方法が、知られている。この方法においては、石膏を含む粒状材料の第1層を準備し、この第1層の上に水性媒体を付与して、石膏と水性媒体の少なくとも一部を反応させることにより、固体の第1層を形成し、次いでその固体の第1層上に粒状材料の第2層を準備し、この第2層上に水性媒体を付与せしめ、そして第2層中の粒子が反応して、少なくとも部分的に固体の第1層を含む本質的に固体の製品を形成する程度に、第2層中に含まれる石膏と水性媒体の少なくとも一部を反応させる工程を含む製品の形成方法が採用されており、そこでは、粒状材料として石膏が用いられているのである。そして、このような方式を採用することによって、コンピューター制御により迅速で安価な三次元プリントを行うことができるとされている。
また、従来のレーザー方式による鋳型の積層造型方法としては、例えば、特開平9−168840号公報(特許文献2)に明らかにされているような積層法による砂鋳型の造型方法が、提案されている。この方法においては、樹脂被覆砂(レジンコーテッドサンド)を散布して薄い砂層を形成する砂層形成工程と、この薄く成層された砂層の所定の部分をレーザーの照射によって硬化させる硬化工程とを含み、これによって、砂鋳型の一つの層を形成すると共に、これらの工程を順次繰り返して、目的とする砂鋳型の各断面形状に対応した硬化砂層を順次積層し、砂の3次元造形物である砂鋳型を造形する方法が採用されている。また、そこでは、砂層形成工程における第1層目が予め形成された台座上に、更なる砂層が積層密着させて形成されるようになっており、これによって、従来のレーザービームを照射してシェル砂を硬化させた砂層は、通常、0.1mm〜0.5mm程度と非常に薄いために、砂粒子間のレジンの収縮によって反ってしまう場合が多かったのに対し、予め形成された台座上に第1層目を積層密着させることで、断面形状に対応した硬化砂層の形成の際の反りの発生を防止することが出来るようにするものであった。
特表2002−528375号公報 特開平9−168840号公報
しかしながら、先の特許文献1に提案されている如き三次元プリント方法は、三次元プリント材料として石膏が使いやすい粒状材料として用いられているのであるが、石膏を、そのまま鋳型材料としたときに、充分な強度の鋳型を得ることが出来ず、造型して得られた石膏鋳型を用いて鉄溶湯を鋳込んだ場合において、1300℃以上の鉄の溶湯により、石膏が熱分解して、水及びSO2 ガスが発生し、鋳型にガス欠陥が多発するという問題を惹起することとなる。また、このガス欠陥を防ぐために、石膏に砂を混ぜたものを造型材料として用いることが考えられ、これによってガス欠陥を減らすことが可能となるが、石膏の使用量が少なくなると、鋳型の強度が落ちるという問題がある。そのため、石膏を三次元プリント材料として用いて、三次元プリント手法にて得られる積層構造物を、そのまま鋳型として用いることは、極めて困難であったのである。
また、先の特許文献2に提案されている如きレーザー方式の積層法による砂鋳型の造型方法にあっては、レーザーの照射による加熱によってシェル砂を加熱硬化させるようにした構成であるために、レーザー照射による加熱の際に、有機物の臭気が発生するという問題が内在している。また、レーザー照射の有無により、砂層に温度差が生じることとなるところから、内部応力が発生し易くなり、長期保管すると、反りや歪みが発生する問題がある。更に、所定の部分をレーザー照射して加熱硬化するには、高出力で精密な制御が必要であり、また高価なレーザー照射の装置が必要となると共に、加熱のために非常に多くのエネルギーが必要になるという問題も内在している。
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、比較的簡易な製造装置で形成することが出来ると共に、臭気の発生が効果的に抑制され得、且つ充分な鋳型強度を得ることが出来る、量産に適した鋳型の積層造型方法を提供することにある。
かかる状況下、本発明者らが積層造型方法について鋭意検討を重ねた結果、鋳物砂として、耐火骨材を水溶性のバインダーにて被覆してなるコーテッドサンドに対して石膏粉末を混合せしめてなるものを用いると共に、そのような混合物にて形成される砂層の固化乃至は硬化を、水性媒体の散布によって行うことにより、上述の如き課題が悉く解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
そして、本発明は、上記せる課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにて採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載及び図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1)鋳物砂組成物にて形成された鋳型層の複数にて一体的に積層形成されてなる積層鋳型を造型する方法にして、耐火骨材を水溶性のバインダーで被覆してなるコーテッドサンドに、石膏粉末を混合せしめたものを、前記鋳物砂組成物として用いて、それを薄く平面展開して、一定厚さの砂層を形成する第一工程と、該形成された砂層の前記鋳型層の一つを与える部分に、選択的散布手段を用いて水性媒体を選択的に散布して、固化乃至硬化せしめる第二工程とを含む鋳型層形成工程によって、前記鋳型層の一つを形成し、そして該鋳型層形成工程を所要回数繰り返して、順次形成される鋳型層の積層一体化を行うことにより、目的とする立体形状の積層鋳型を得ることを特徴とする積層鋳型の造型方法。
(2)前記選択的散布手段がインクジェット方式の散布装置であり、前記第二工程が、該散布装置から、インクジェット方式により、前記砂層の前記鋳型層の一つを与える部分上のみを選択して、前記水性媒体が噴射されることを特徴とする上記態様(1)に記載の積層鋳型の造型方法。
(3)前記立体形状の積層鋳型を得た後、かかる積層鋳型を、100℃〜250℃の温度で焼成することを特徴とする上記態様(1)又は上記態様(2)に記載の積層鋳型の製造方法。
(4)前記水溶性バインダーとして、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類及び無機高分子のうちの単独又は二つ以上が選択されて用られることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(3)の何れか1つに記載の積層鋳型の造型方法。
(5)前記石膏粉末が、前記耐火骨材の100質量部に対して、1〜20質量部の割合で配合されてなることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(4)の何れか1つに記載の積層鋳型の造型方法。
(6)前記水溶性バインダーが、前記耐火骨材の100質量部に対して、固形分換算で、0.1〜5質量部の割合で配合されてなることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(5)の何れか1つに記載の積層鋳型の造型方法。
このような本発明に従う積層鋳型の造型方法によれば、以下に列挙せる如き各種の効果が奏され得ることとなるのである。
(i)コーテッドサンドと石膏とを混合してなる鋳物砂組成物を用いていることにより、 石膏の量を少なくすることが出来、またコーテッドサンドの存在によって、得られ た積層鋳型の通気性が向上せしめられることにより、そのような積層鋳型を用いた 金属溶湯の鋳造操作において、得られる鋳造品におけるガス欠陥の発生を、効果的 に低減せしめることが出来る。
(ii)コーテッドサンドの水溶性バインダーに基づくところの固着作用と、石膏に基づく ところの固着作用とが、相互に作用することによって、得られる積層鋳型の強度が 有利に向上せしめられ得る。
(iii )砂層の固化乃至硬化のために、臭気を発生させるような高い熱エネルギーを加え る必要がないところから、臭気の発生を低減することが出来る。
(iv)レーザー照射による加熱を行う必要がないために、高価なレーザー照射装置が不要 となり、積層鋳型の製造コストの低減に寄与し得ることとなると共に、積層鋳型の 製造における省エネルギー化にも、大きく寄与することが出来る。
本発明に従う積層鋳型の造型方法の一実施形態における第一工程を示す概略説明図であって、(a)は鋳物砂組成物を散布している状態、(b)は散布された鋳物砂組成物を平面展開している状態を、それぞれ示している。 本発明に従う積層鋳型の造型方法の上記の実施形態における第二工程を示す概略説明図である。 本発明に従う積層鋳型の造型方法の上記の実施形態における1ターンの工程後の概略説明図である。 本発明に従う積層鋳型の造型方法の上記の実施形態における各工程を繰り返して鋳型層を積層形成した状態を示す概略説明図である。 図1〜図4に示される本発明に従う積層鋳型の造型方法の実施形態において得られた積層鋳型を示す概略説明図である。
以下、本発明の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、本発明において用いられる鋳物砂組成物を構成する一つの成分であるコーテッドサンドは、耐火骨材を水溶性のバインダーで被覆せしめることによって、得られたものである。そこで、耐火骨材として用いられるものとしては、従来から鋳型用に用いられている各種の耐火骨材が適宜に選択されて用いられることとなる。具体的には、ケイ砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナサンド、合成ムライト砂等を挙げることが出来る。中でも、バインダー使用量の低減の観点からして、真球状の人工砂が好適に用いられる。なお、これらの耐火骨材は、新砂の他、鋳物砂として鋳型の造形に一回或いは複数回使用されたものから再生又は回収された砂であっても良く、更にはそれらの混合砂であっても、何等差し支えない。これらの耐火骨材を用いて得られた積層鋳型用のコーテッドサンドは、得られる鋳型の通気性、砂撒き性、及び、それを用いて鋳型を造形する際の砂層の厚み等の関係から、その粒度指数が、JACT試験法S−1(鋳物砂の粒度試験法)に定められるAFS係数基準で、80〜150の範囲内となるように、好ましくは90〜130の範囲内となるように制御される。この粒度指数が80未満となると、充分な硬化強度が得られない恐れがあり、その一方、150を超えるようになると、得られる鋳型の通気性が悪化する恐れがあるからである。また、砂層(鋳型層)の厚さが薄くなる程、得られる鋳型を用いて鋳造された鋳物の鋳肌が良好になるところから、そのような薄い砂層の形成が容易となる細かい粒度の骨材を用いることが望ましい。また、耐火骨材の粒形係数は、1.2以下であることが望ましい。粒形係数は、一般に、粒子の外形形状を示す一つの尺度として用いられ、粒形指数とも称されるものであって、その値が1に近づくほど、球形(真球)に近づくことを意味しているものである。粒形係数が1.2以下であれば、少ない石膏の使用量で強度を発現することが出来、また得られる積層鋳型におけるガス欠陥の発生を抑制することが出来る。
そして、上述の如き耐火骨材を被覆するバインダーは、粘結剤とも呼ばれるものであって、本発明においては、水溶性のバインダーが用いられることとなる。この水溶性バインダーとしては、水溶性である限りにおいて、熱硬化性樹脂、糖類、合成高分子、塩類、タンパク質、及び無機高分子の何れをも用いることが出来る。これらは、単独で用いられても良く、また二つ以上を選択して用いられても良い。
ここで、かかる水溶性バインダーとして用いられる熱硬化性樹脂としては、レゾール型のフェノール樹脂、フラン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性不飽和ポリエステル樹脂、水溶性アルキッド樹脂等を挙げることが出来る。また、この熱硬化性樹脂に対して、酸やエステル類等の硬化剤を配合して、その熱硬化特性を向上せしめることも、有利に採用されるところである。なお、それら熱硬化性樹脂の中でも、レゾール型のフェノール樹脂の使用が好ましく、そのようなフェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類とを反応触媒の存在下で反応させることによって、調製することが出来る。
なお、フェノール樹脂の原料となるフェノール類は、フェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノール等の3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタン等の4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノール等の2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることが出来、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノール等も用いることが出来る。また、これらのフェノール類は、単独で用いられても、その複数を混合して用いられても、何等差し支えない。
また、ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることが出来、更に、ホルムアルデヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも出来る。このうち、ホルムアルデヒド類は、水溶液の形態で用いることが最適であり、ホルマリンが好適なものとして挙げられる。
目的とするフェノール樹脂を得るための上記のフェノール類とホルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が1:0.6〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましく、1:1.5〜1:2.5の範囲になるように設定するのが、より好ましい。
熱硬化性樹脂の製造に用いられる反応触媒としては、例えばノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、或いはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸、更に酢酸亜鉛等を用いることが好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることが出来、更にジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミド等の脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン;N,N−ジメチルベンジルアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン;アニリン、1,5−ナフタレンジアミン等の芳香族アミン;アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等や、その他、二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物等が、好適に用いられることとなる。なお、このフェノール樹脂からなる水溶性バインダーを希釈して使用する場合に、希釈用の溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコール等が適宜に用いられることとなる。
本発明においては、かかるフェノール樹脂として、水溶性のアルカリレゾール樹脂が好適なものとして挙げられる。この水溶性アルカリレゾール樹脂とは、フェノール類を、大量のアルカリ性物質の存在下において、例えばフェノール類に対するアルカリ性物質のモル数が0.1〜3.0倍モル程度、好ましくは0.3〜2.0倍モル程度となる割合において、アルデヒド類と反応させることによって得られるアルカリ性のレゾール型フェノール樹脂である。なお、そこで用いられるアルカリ性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられ、これらが、単独で或いは2種以上を混合して用いられるのである。このようなアルカリレゾール樹脂を用いると、鋳鉄・鋳鋼等の幅広い分野で用いられ得る鋳型を提供することが出来る。
また、水溶性バインダーの一つである糖類としては、単糖類、少糖類、多糖類等を用いることが出来、各種の単糖類、少糖類、多糖類の中から、1種を選んで単独で用いても、また複数種を併用して用いても、何等差し支えない。それらの内、単糖類としては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース等を挙げることが出来、少糖類としては、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオース等の二糖類を挙げることが出来る。そして、多糖類としては、でんぷん糖、デキストリン、ザンサンガム、カードラン、プルラン、シクロアミロース、キチン、セルロース、でんぷん等を挙げることが出来る。この他にも、アラビアガム等の植物粘質物のガム類を用いても良く、更に糖類、特に多糖類の硬化剤として、カルボン酸を用いることも出来る。
さらに、水溶性バインダーとして用いられる合成高分子としては、ポリエチレンオキシド、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、アクリル酸系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系、ノニオン系ポリアクリルアミド、アニオン系ポリアクリルアミド、カチオン系ポリアクリルアミド、ポリアミノアルキルメタクリレート、アクリルアミド/アクリル酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化マレイン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、またはこれらの変性物等を挙げることが出来る。そして、これらは単独で用いられたり、複数を選択して用いられたりされることとなる。
更にまた、塩類としては、水を加えた後、乾燥させることによって、固まるものが用いられ、例えば硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウム等の硫酸塩、臭化ナトリウムや臭化カリウム等の臭化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の炭酸塩、塩化バリウムや塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物等を挙げることが出来る。加えて、タンパク質としては、ゼラチン、膠等を挙げることが出来る。
本発明においては、水溶性バインダーとして、無機高分子も、好適に用いられることとなる。そのような無機高分子としては、水ガラス、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、ベントナイト、セメント等を挙げることが出来る。それらの中で、水ガラスとしては、可溶性のケイ酸化合物である、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム、コロイダルシリカ、アルキルシリケート等があるが、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが望ましく用いられる。なお、ケイ酸化合物には、モル比により、各種の種類が有り、例えばケイ酸ナトリウムは1号乃至5号、またケイ酸カリウムは1号と2号がある。この中でも、鋳物分野においては、水ガラスが好適なものとして挙げられ、ケイ酸ナトリウムが特に望ましく、鋳鉄・鋳鋼等の幅広い分野に適用される鋳型を得ることが出来る。
ところで、本発明に用いられるコーテッドサンドの製造に際して、耐火骨材と水溶性バインダーとの配合量は、耐火骨材100質量部に対して、水溶性バインダーが、固形分換算で、一般に0.1〜5質量部程度となる割合が採用され、好ましくは0.3〜3質量部の割合が、有利に採用されることとなる。そして、コーテッドサンドの製造に際しては、それら耐火骨材と水溶性バインダーとを混練乃至は混合せしめて、耐火性骨材の表面を水溶性バインダーにて被覆するようにすると共に、そのような水溶性バインダーの水溶液の水分を蒸散せしめることによって、常温下において流動性を有する、水分率が0.5%以下、より好ましくは0.3%以下の乾態の粉末状水溶性バインダー被覆耐火骨材が得られるようにするものであるが、そのような水溶性バインダー水溶液の水分の蒸散は、水溶性バインダーの硬化が進行する前に迅速に行われる必要があり、一般に5分以内、好ましくは2分以内に含有水分を飛ばして、乾態の粉末状水溶性バインダー被覆耐火骨材とされることとなる。
また、コーテッドサンドの製造においては、耐火骨材や水溶性バインダーと共に、添加剤として、カップリング剤や滑剤や離型剤等を用いることが出来る。それらの中で、カップリング剤は、骨材とバインダーの結合を強化するものであり、そのようなカップリング剤として、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することが出来る。また、滑剤は、流動性を向上させるものであって、例えば流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等を挙げることが出来る。更に、離型剤としては、パラフィンワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、黒鉛微粒子、雲母、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等を使用することが出来る。
さらに、かかるコーテッドサンドと共に、本発明に従う鋳物砂を構成する他の成分である石膏粉末は、水性媒体の付与によって硬化乃至は固化し得る硫酸カルシウムの鉱物からなるものであって、一般に、化学組成がCaSO4・1/2H2Oにて示される、半水石膏(焼き石膏)を主成分とする粉末であり、水性媒体にて硬化又は再水和された後においては、化学組成がCaSO4・2H2Oにて示される、二水石膏に変化するものである。そして、そのような石膏粉末は、コーテッドサンドよりも小さな粒径とされた公知の各種のものを用いることが出来、特に限定されるものではなく、商業的に入手可能なものが適宜に選択して、用いられることとなる。また、そのような石膏粉末には、シリカ、石灰石粉末、澱粉、白土及び石灰のような他の成分が含有せしめられていても何等差し支えなく、更に必要な性能に応じて、促進剤、接着剤、流動度増進剤、保湿剤、染料、繊維、充填剤のような他の物質を配合せしめることも可能である。
そして、本発明にあっては、かくの如き石膏粉末を前記したコーテッドサンドに混合せしめることによって、積層鋳型の造型に用いられる鋳物砂組成物が形成されることとなるのであるが、それらコーテッドサンドと石膏との混合は、一般に、公知の各種の機械的な混合撹拌装置を用いて、容易に実施され得るものであり、それによって、コーテッドサンドと石膏粉末との均一な混合物が調製されることとなる。なお、それらコーテッドサンドと石膏粉末の混合に際して、石膏粉末は、一般に、コーテッドサンドを構成する耐火骨材の100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部の割合において混合せしめられることが好ましい。この石膏粉末の配合割合が20質量部よりも多くなると、積層鋳型を用いて得られる鋳物にガス欠陥が発生する問題があり、また1質量部よりも少なくなると、積層鋳型を造型直後に取り出す際に、充分な強度が得られ難く、積層鋳型の欠損や崩壊等の問題が惹起され易くなる。また、コーテッドサンドにおける水溶性バインダーの使用量が、耐火骨材の100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部が一般に用いられることとなるところから、石膏粉末と水溶性バインダーとの使用割合は、質量基準で、200:1〜1:5の範囲内とされることとなる。
ところで、本発明に従う積層鋳型の造型方法は、上述せる如きコーテッドサンドと石膏粉末とを均一に混合せしめて得られる鋳物砂組成物を用いて、例えば、図1乃至図5に示される如くして実施されることとなるのである。即ち、先ず、図1に示されるように、本発明において用いられる鋳型の造型装置には、枠1に設けられた平面形態が四角形を呈する成形孔1a内において、上下方向に垂直スライド可能な矩形のテーブル2が、配置されている。また、かかる造型装置は、図1や図2に示される如く、枠1の上方にそれぞれ位置せしめられた、コーテッドサンドと石膏粉末とを混合してなる鋳物砂組成物3を供給する貯留タンク4と、テーブル2の上面に供給された鋳物砂組成物3を一定厚さに薄く平面展開させて、薄層の砂層7を形成する伸展部材6と、選択的散布手段として、インクジェット方式で水性媒体からなる液体を散布するインクジェット散布装置8とを備え、それらが、各製造工程に応じて選択的に切り替えられて、配置されるようになっている。
また、図1に示される貯留タンク4には、その下部に、テーブル2の上面に鋳物砂組成物3を供給するための吐出口5が設けられており、更に鋳物砂組成物3を予備加熱するための予熱器(図示せず)が、タンク内に設けられている。この予熱器は、管を螺旋状に形成してなる構造を有し、その管内に水蒸気等の熱媒体を流して、貯留タンク4内に収容された鋳物砂組成物3を所定温度に予備加熱するようにしたものであって、予め、一般に40℃以上、好ましくは40℃〜200℃程度の温度に加熱するようになっている。なお、この予熱器としては、貯留タンク4内に設けられたヒーターにて加熱する方式の他、外部から加熱空気を送り込む方式のもの等、鋳物砂組成物3を所望温度に予備加熱することが出来るものであれば、その構成が特に限定されるものではない。このように、鋳物砂組成物3を所定温度に予熱しておくことにより、本発明の特徴が更により良く発揮され得ることとなる。
さらに、本実施形態では、図2に示されるインクジェット方式の散布装置8が、選択的散布手段として用いられており、このインクジェット方式の散布装置8によって、砂層7の予め設定された部位に対して、水性媒体からなる液体が散布されるようになっているのである。ここで、そのようなインクジェット方式の散布装置8は、図示しない記憶装置及び制御装置と共に、砂層7の上面に沿って移動可能なノズル9を有しており、そして記憶装置には、各層の予め定められた平面形状が画像信号として保管され、制御装置でノズル9の動作を画像信号に応じて制御しながら、各層に対して液体を予め定められた平面形状に噴出させるようにした装置である。このように、インクジェット方式の散布装置8にて構成される本発明に従う選択的散布手段は、水性媒体からなる液体を砂層7上の予め決められた位置に選択的に散布せしめ得るようにした装置であって、有利には、例示の如きインクジェット方式の散布装置が用いられることとなるが、その他、マスクを用いて、砂層7の必要部位のみに、水性媒体を散布せしめるようにしたマスク方式の散布装置等も、適宜に採用可能である。
次に、かかる本発明の実施形態における鋳型層10の製造手順、更にはその鋳型層10の積層一体化による造形体11(目的とする鋳型)の形成について、説明する。
<第一工程>
先ず、製造前の段階においては、造型装置の枠1の上面とテーブル2の上面が同一平面上に位置せしめられている。そして、造型工程が始まると、テーブル2が砂層7の一層の高さ分、下方へスライドさせられる。次いで、貯留タンク4に蓄えられた鋳物砂組成物3が、吐出口5からの供給量をコントロールされながら、テーブル2上にほぼ均一な厚さで満遍なく撒かれるように、供給される(図1(a)の状態)。このとき、砂層7の一層あたりの高さは、テーブル2が下方へスライドした距離に対応した段差、例えば0.5mmの段差として形成される。なお、この段差は、積層される層ごとに、常に均一な高さとなるように形成され、一般に、0.1mm〜3mm程度の段差とされることが望ましい。
そして、かかるテーブル2上への鋳物砂組成物3の供給が終わると、枠1の上面に沿って伸展部材6を水平方向に移動させて、余分な鋳物砂組成物3が掻き取られる。これにより、テーブル2上に薄く平面展開された砂層7が、所定厚さにおいて形成されることとなるのである(図1(b)の状態)。
<第二工程>
次いで、図2に示されるように、砂層7に向かって、インクジェット散布装置8のノズル9から、液滴、液状または霧状の水性媒体12が、予め定められた平面形状において微小領域ごとに噴霧される。ここで、かかる定められた平面形状とは、製造される鋳型の形状を砂層の肉厚分ほどの等間隔で複数の領域に水平方向に分割したものであって、製造される鋳型に応じて、砂層ごとに、下の方から順番に、各層の平面形状に基づいて、水性媒体12が噴霧されるのである。これは、例えば、製品形状のCADデータから砂型の形状データを得て、これを砂層の肉厚毎の断面形状データにすることで、各層の予め定められた平面形状を設定することが出来る。なお、このインクジェット散布装置8において、水性媒体12を噴射するノズル9のノズル径は、例えば20〜100μm程度と、極めて小径とされているが、噴出せしめられる液体は水性媒体であるところから、ノズル詰まり等の問題が惹起されるようなこともないのである。
このようにして、砂層7の特定領域に噴霧された水性媒体12によって、鋳物砂組成物3を湿らせることで、鋳物砂組成物3中の石膏(半水石膏の状態)の粉末が、水と反応して、二水石膏となることにより、硬化して、砂粒(耐火骨材)が結合せしめられるのである。更に、コーテッドサンドにおける被覆層の水溶性バインダーが、水性媒体12に溶け出した状態で耐火骨材を覆い、かかる水溶性バインダーが砂粒間に凝集するようになる。また、その水溶性バインダーが砂粒間に凝集することで、石膏が砂粒間に付着しやすくなり、水溶性バインダーが耐火骨材の表面と石膏との橋渡しをする役割を担うようになるのである。これによって、水性媒体12の散布領域に位置する鋳物砂組成物3を構成するコーテッドサンドと石膏とが、相互に付着乃至は粘着した状態となる。また、半水石膏に水が供給されることにより、かかる半水石膏は水和した二水石膏となるが、インクジェット方式にて供給される少ない水分でも、水溶性バインダーが存在することにより、耐火骨材付近に存在する石膏粉末(半水石膏)に潤いを与え、それを水和して、二水石膏として硬化せしめられ易くするのである。
また、噴霧された水性媒体12は、砂層7上に噴霧されると、水性媒体12中に含まれる水のうち、石膏粉末の水和による硬化に必要な水分以外は、鋳物砂組成物3の予熱や半水石膏の水和熱等の作用によって直ぐに蒸発して、拡散消失するようになる。このため、図3に示される鋳型層10が形成されるまでの1ターンの工程が終わるまでには、余分な水分は蒸発されているのである。そして、石膏の硬化により、鋳物砂組成物3の特定領域を固化乃至硬化させることが出来ることとなる。
なお、本発明において用いられる水性媒体12は、鋳物砂組成物3中に含まれる石膏粉末(半水石膏)を硬化させるのに充分な水を含有する流体を意味し、半水石膏と反応する充分な量の水を保持しながら、水性媒体中に種々の加工助剤が含有せしめられていることが望ましい。そのような加工助剤としては、例えば、水溶性バインダーの硬化に寄与する酸、エステル等の硬化剤や硬化促進剤、界面活性剤等があり、それらを少量添加含有させたものが用いられる。また、石膏の硬化を早める促進剤や接着剤等も少量含有させることが出来る。なお、かかる水性媒体12中に含まれる水の量は、一般に、水性媒体12の質量の20%〜100%、好ましくは50%〜99%の割合とされることとなる。
<繰り返し工程>
そして、上記した第一工程及び第二工程からなる一連の鋳型層10形成工程を1つのターン(サイクル)として、引き続き、テーブル2を更に砂層1層分の高さ分、下方へスライドさせた後(図3の状態)、かかる鋳型層10の形成工程のターンが繰り返されることにより、既に形成されている一つの鋳型層10の上に、新たな鋳型層10が一体的に形成されて、積層構造が実現されるのである。更に、このような鋳型層10の形成を何度か繰り返すことで、鋳型層10が順次積層一体化せしめられ(図4の状態)、以て適数層の鋳型層10にて構成される、所望の形状の鋳型を与える造形物11が製造されるのである。その後、造型装置(枠1)から固化乃至硬化せしめられていない砂を取り除くことにより、目的とする鋳型(11)が取り出されることとなる(図5の状態)。
なお、上記した第一工程と第二工程を含む鋳型層形成工程においては、各工程における機材の切り替えが自動で行われるようになっているが、勿論、手動や半自動方式にて、その切り替えを行うようにしても、何等差し支えない。
このようにして立体形状の積層鋳型を与える造形物11を得た後、かかる造形物11には、望ましくは、オーブン等を用いて、焼成(加熱)処理が施されることとなる。このような焼成処理の実施によって、二水石膏を無水石膏の状態にして、鋳造時のガス欠陥や湯回り不良を防止することに加えて、コーテッドサンドの水溶性バインダーを硬化せしめることにより、鋳型として用いられるに充分な強度と性能を有する鋳型が、有利に得られるのである。また、立体構造物の造形時では、石膏が、コーテッドサンドの水溶性バインダーと共に、鋳物砂を強く固着させることで、造形物11の造形を行い、焼成後においてはコーテッドサンドの水溶性バインダーが硬化することで、コーテッドサンドの水溶性バインダーと石膏に基づくところの各々の固着の相互作用により、鋳型の強度を向上せしめることが出来ることとなるのである。なお、かかる焼成時の焼成温度としては、100℃〜250℃の範囲内の温度が好適に採用され、特に、150℃〜220℃の温度が有利に採用されることとなる。また、加熱時間としては、一般に、1時間〜4時間程度とされ、好ましくは、1.5時間〜3.5時間が、より好ましく採用されることとなる。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例における抗折強度の測定試験は、以下のようにして行った。
−抗折強度(N/cm2 )の測定−
それぞれの実施例や比較例で得られた積層鋳型(11)から、幅30mm×高さ10mm×長さ85mmの大きさの試験片を作製して、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて、測定する。そして、この測定により得られた破壊荷重を用いて、抗折強度を、下記の式により、算出する。
抗折強度=1.5×LW/ab2
[但し、L:支点間距離(cm)、W:破壊荷重(kgf)、a:試験片の幅(cm) 、b:試験片の厚み(cm)]
本実施例においては、抗折強度が200N/cm2 以上であることを合格とする。
−鋳物砂の製造例1−
耐火骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるエスパール#120(商品名:山川産業株式会社製、100メッシュより粗い砂が取り除かれている)を準備すると共に、水溶性バインダーとして、アルカリレゾール樹脂水溶液の市販品:HPR830(商品名:旭有機材工業株式会社製)を準備した。
そして、上記のエスパール砂を140℃に予熱して、品川式万能攪拌機:5DM−r型(株式会社ダルトン製)に投入せしめ、次いで、前記アルカリレゾール樹脂水溶液を、かかるエスパール砂の100質量部に対して、固形分換算で0.15質量部の割合で添加して、10分間の混練を行ない、水分を蒸発させる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に、市販の焼き石膏粉末を、エスパール砂の100質量部に対して、6質量部の割合で添加して、撹拌混合し、これを取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の鋳物砂組成物1を得た。
−鋳物砂の製造例2−
耐火骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるエスパール#120(商品名:山川産業株式会社製、100メッシュより粗い砂が取り除かれたもの)を準備した。
そして、かかるエスパール砂を、品川式万能攪拌機:5DM−r型(株式会社ダルトン製)に投入した後、市販の焼き石膏粉末を、エスパール砂100質量部に対して、6質量部の割合において添加し、撹拌混合せしめ、そしてこれを取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の鋳物砂組成物2(耐火骨材に水溶性バインダーの被覆なし)を得た。
−実施例1−
積層鋳型製造装置:Z Printer 310 Plus(商品名:株式会社Zコーポレーション製)を用いて、先に準備した鋳物砂組成物1から、図1〜図5に示される実施形態に従って、所定の積層鋳型の造型を行った。即ち、先ず、第一工程でテーブル(2)を0.5mm下方へスライドさせた後、かかるテーブル(2)上に薄く平面展開した砂層(7)を形成し、次いで第二工程において、203mm×254mmの予め定められた平面形状において、微小領域ごとに、霧状の水性媒体(12)を、インクジェット方式にて噴霧することにより、そのような水性媒体(12)の噴霧された所定の平面形状部位の硬化乃至は固化を行い、かかる部位に対応した形状の鋳型層(10)を得た。なお、そこで用いた水性媒体(12)は、保湿剤としてグリセロール、流動度増進剤としてPVP及びエチルブチレート、促進剤として硫酸カリウム、及び溶解度増進剤としてイソプロピルアルコールを含む、水含有量が約86質量%である市販品:zb56(商品名:Zコーポレーション製)であり、25℃の温度で用いられた。
そして、以上の第一工程及び第二工程からなる一連の工程を1つのターンとして、積層形成された鋳型(造形物11)の肉厚(高さ)が10mmになるまで、鋳型層(10)の積層造型操作を繰り返し行なった。その後、かかる積層鋳型製造装置から、固化乃至硬化していない鋳物砂組成物1を取り除いて、造形物(11)を取り出し、150℃の温度で1.5時間の焼成を施すことにより、目的とする積層鋳型(11)を製造した。この得られた積層鋳型の抗折強度を測定し、その結果を、下記表1に示した。
−実施例2−
鋳物砂組成物1を用いて、実施例1と同様に鋳型の積層造形を行い、その得られた造形物を、150℃の温度で3時間の焼成処理に付すことにより、目的とする積層鋳型(11)を製造した。そして、その得られた積層鋳型(11)の抗折強度を測定し、その結果を、下記表1に示した。
−実施例3〜4−
鋳物砂組成物1を用いて、実施例1と同様にして鋳型の積層造形を行い、その得られた造形物(11)を、200℃の温度で1.5時間の焼成処理(実施例3)又は3時間の焼成処理(実施例4)を施し、目的とする積層鋳型(11)を製造した。そして、その得られた積層鋳型(11)の抗折強度をそれぞれ測定し、その結果を、下記表1に示した。
−実施例5〜6−
鋳物砂組成物1を用いて、実施例1と同様にして鋳型の積層造形を行い、その得られた造形物(11)を、220℃の温度で1.5時間の焼成処理(実施例5)又は3時間の焼成処理(実施例6)を実施して、目的とする積層鋳型(11)を製造した。そして、その得られた積層鋳型(11)の抗折強度をそれぞれ測定し、その結果を、下記表1に示した。
−比較例1〜6−
実施例1〜6において用いた鋳物砂組成物1を、前述の如く準備された鋳物砂組成物2に変更すること以外は、それら実施例と同様の手順に従って、それぞれ、積層鋳型(11)を製造した。そして、その得られた各種の積層鋳型(11)について、それらの抗折強度を測定し、その結果を、下記表2に示した。
Figure 0006470542
Figure 0006470542
かかる表1及び表2の結果より明らかな如く、耐火骨材を水溶性のバインダーで被覆してなるコーテッドサンドと石膏粉末とを混合して得られた鋳物砂組成物1を用いた実施例1〜6においては、水溶性バインダーの被覆を行っていない耐火骨材に石膏粉末を混合しただけの鋳物砂組成物を用いた比較例1〜6に比べて、高い抗折強度を有する積層鋳型が得られていることが認められる。また、積層鋳型(11)の焼成時の加熱温度としては、200℃の場合において最も抗折力が向上し、また加熱時間も、3.0時間とした方が、抗折力を向上させることが出来ると考えられる。
−鋳物砂の製造例3−
耐火骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるエスパール#120(商品名:山川産業株式会社製、100メッシュよりも粗い砂が取り除かれてなるもの)を準備すると共に、水溶性バインダーとして、アルカリレゾール樹脂水溶液の市販品:HPR830(商品名:旭有機材工業株式会社製)を準備した。
次いで、上記のエスパール砂を140℃に予熱して、品川式万能攪拌機:5DM−r型(株式会社ダルトン製)に投入した後、更に、前記アルカリレゾール樹脂水溶液を、エスパール砂の100質量部に対して、固形分換算で0.15質量部の割合で添加して、10分間の混練を行ない、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめ、次いで、それを取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の鋳物砂組成物3(石膏なし)を得た。
−比較例7−
鋳物砂組成物1を上記の鋳物砂組成物3に変えたこと以外は、実施例1と同様な手順に従って、積層鋳型の製造を行った。その結果、積層鋳型製造装置の製造条件では、鋳物砂組成物3が固化乃至硬化せず、良好な積層鋳型を取り出すことが出来なかった。
かかる比較例7の結果より、石膏がない状態では、水性媒体が噴霧されても、鋳型の形状を維持するほどの固化乃至硬化は実現され得ず、通常の積層鋳型製造装置での鋳型製造を行うことは非常に困難であることが明らかとなった。なお、このように、石膏粉末が存在しない場合にあっては、積層造形時にレーザー等の何等かの加熱手段による高温加熱が必要となることも明らかとなった。
1 枠 2 テーブル
3 鋳物砂組成物 4 貯留タンク
5 吐出口 6 伸展部材
7 砂層 8 インクジェット散布装置
9 ノズル 10 鋳型層
11 造形体 12 水性媒体

Claims (6)

  1. 鋳物砂組成物にて形成された鋳型層の複数にて一体的に積層形成されてなる積層鋳型を造型する方法にして、
    耐火骨材を水溶性のバインダーで被覆してなるコーテッドサンドに、石膏粉末を混合せしめたものを、前記鋳物砂組成物として用いて、それを薄く平面展開して、一定厚さの砂層を形成する第一工程と、該形成された砂層の前記鋳型層の一つを与える部分に、選択的散布手段を用いて水性媒体を選択的に散布して、固化乃至硬化せしめる第二工程とを含む鋳型層形成工程によって、前記鋳型層の一つを形成し、そして該鋳型層形成工程を所要回数繰り返して、順次形成される鋳型層の積層一体化を行うことにより、目的とする立体形状の積層鋳型を得ることを特徴とする積層鋳型の造型方法。
  2. 前記選択的散布手段がインクジェット方式の散布装置であり、前記第二工程が、該散布装置から、インクジェット方式により、前記砂層の前記鋳型層の一つを与える部分上のみを選択して、前記水性媒体が噴射されることを特徴とする請求項1に記載の積層鋳型の造型方法。
  3. 前記立体形状の積層鋳型を得た後、かかる積層鋳型を、100℃〜250℃の温度で焼成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層鋳型の製造方法。
  4. 前記水溶性バインダーとして、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類及び無機高分子のうちの単独又は二つ以上が選択されて用られることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の積層鋳型の造型方法。
  5. 前記石膏粉末が、前記耐火骨材の100質量部に対して、1〜20質量部の割合で配合されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の積層鋳型の造型方法。
  6. 前記水溶性バインダーが、前記耐火骨材の100質量部に対し、固形分換算で、0.1〜5質量部の割合で配合されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の積層鋳型の造型方法。
JP2014216014A 2014-10-23 2014-10-23 積層鋳型の造型方法 Active JP6470542B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014216014A JP6470542B2 (ja) 2014-10-23 2014-10-23 積層鋳型の造型方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014216014A JP6470542B2 (ja) 2014-10-23 2014-10-23 積層鋳型の造型方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016083664A JP2016083664A (ja) 2016-05-19
JP6470542B2 true JP6470542B2 (ja) 2019-02-13

Family

ID=55971658

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014216014A Active JP6470542B2 (ja) 2014-10-23 2014-10-23 積層鋳型の造型方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6470542B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111730028A (zh) * 2020-05-06 2020-10-02 铜车马动力科技(宁波)有限公司 用于新能源汽车动力总成的砂型3d打印机
KR102660208B1 (ko) 2019-12-04 2024-04-25 한국재료연구원 강도 및 통기성이 우수한 사형 주조용 주형의 제조방법

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6762663B2 (ja) * 2016-07-19 2020-09-30 太平洋セメント株式会社 付加製造装置用組成物および鋳型の製造方法
CN106513577A (zh) * 2016-10-28 2017-03-22 宁夏共享模具有限公司 3d打印装置
JP7061925B2 (ja) * 2017-05-16 2022-05-02 株式会社木村鋳造所 鋳造用砂型の製造方法
JP7222676B2 (ja) * 2018-11-22 2023-02-15 群栄化学工業株式会社 被覆砂およびその製造方法と、鋳型の製造方法
CN110076289B (zh) * 2019-05-08 2020-01-31 同济大学 一种砂型制造的3d打印工艺
EP3747634B1 (de) * 2019-06-07 2022-05-04 ExOne GmbH Verfahren zum herstellen mindestens eines bauteils im 3d-druck und 3d-drucker
WO2024058224A1 (ja) * 2022-09-14 2024-03-21 株式会社Sun Metalon 金属固体の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09141386A (ja) * 1995-11-15 1997-06-03 Toyota Motor Corp 砂鋳型の積層造形方法及びこれを用いた鋳物製造方法
JP4907766B2 (ja) * 1998-10-29 2012-04-04 ズィー・コーポレーション 三次元プリント材料系及び方法
DE10327272A1 (de) * 2003-06-17 2005-03-03 Generis Gmbh Verfahren zum schichtweisen Aufbau von Modellen
WO2007077731A1 (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Tomita Pharmaceutical Co., Ltd. 型の製造方法
JP2011051010A (ja) * 2009-11-20 2011-03-17 Hokkaido Research Organization インクジェット式粉末積層鋳型成形用高耐熱粉末
US20110139309A1 (en) * 2009-12-16 2011-06-16 Showman Ralph E Foundry mixes contaiing carbonate salts and their uses
JP5249447B1 (ja) * 2012-05-17 2013-07-31 株式会社木村鋳造所 三次元積層造型用の鋳物砂

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102660208B1 (ko) 2019-12-04 2024-04-25 한국재료연구원 강도 및 통기성이 우수한 사형 주조용 주형의 제조방법
CN111730028A (zh) * 2020-05-06 2020-10-02 铜车马动力科技(宁波)有限公司 用于新能源汽车动力总成的砂型3d打印机

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016083664A (ja) 2016-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6470542B2 (ja) 積層鋳型の造型方法
JP6576244B2 (ja) 積層鋳型の造型方法
US9358701B2 (en) Method for the layerwise construction of models
JP6594336B2 (ja) 耐火性鋳型基材とレゾールとを含む物体の層ごとの構築方法、及び該方法によって製造される鋳型又はコア
JP6027263B1 (ja) 有機バインダ、粒状材料、3次元積層造形鋳型の製造装置および3次元積層造形鋳型の製造方法
KR101590234B1 (ko) 조형용 재료, 기능제, 조형 제품 및 제품
JP6289648B1 (ja) 粒状材料、粒状材料の製造方法および3次元積層造形鋳型の製造方法
JP7229177B2 (ja) 3次元的に積層造形体を製造するための方法
JP7122977B2 (ja) 鋳型材料組成物及びこれを用いた鋳型の製造方法
WO2018159616A1 (ja) 鋳物砂の製造方法および鋳物砂
WO2018043412A1 (ja) 鋳型の製造方法
JP2015193035A (ja) 三次元積層造形物の製造方法
JP7222676B2 (ja) 被覆砂およびその製造方法と、鋳型の製造方法
WO2020196068A1 (ja) 砂組成物およびその製造方法と、鋳型の製造方法
JP6595327B2 (ja) 鋳型の積層造型方法
JP6868333B2 (ja) 砂型の製造方法および砂型
Nagai et al. Molding and mold properties of spherical artificial sand coated with inorganic binder
TWI774165B (zh) 一種黏結材及積層製造的方法
JP5350065B2 (ja) かき型造型用組成物
JP2020022981A (ja) 鋳型の製造方法
JP7046752B2 (ja) 砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法
JP2018153821A (ja) 積層鋳型の製造法
JP2022152231A (ja) 鋳型の製造方法
JP2004188491A (ja) コーテッドサンド
CN114669718A (zh) 黏结材积层制造的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170911

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6470542

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250