JPH09141386A - 砂鋳型の積層造形方法及びこれを用いた鋳物製造方法 - Google Patents

砂鋳型の積層造形方法及びこれを用いた鋳物製造方法

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JPH09141386A
JPH09141386A JP29640595A JP29640595A JPH09141386A JP H09141386 A JPH09141386 A JP H09141386A JP 29640595 A JP29640595 A JP 29640595A JP 29640595 A JP29640595 A JP 29640595A JP H09141386 A JPH09141386 A JP H09141386A
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Hiromoto Sato
弘元 佐藤
Yukio Otsuka
幸男 大塚
Motoaki Ozaki
元亮 尾崎
Masuo Shimizu
益雄 清水
Yuji Okada
裕二 岡田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量の砂型を高速に作成する。 【解決手段】 砂層昇降機10に1層分の砂をセットし
た後、この上方にマスク14を位置させ、複数のノズル
16から液体または粉末のバインダを散布する。これに
よって、マスク14の下の砂12についての所定形状部
分にバインダが供給され、必要に応じて加熱することに
よって、この部分が硬化する。このような操作を所定数
の砂層に対し行い硬化部分を積層することによって、3
次元の砂型を直接造形する。特に、マスク14を介し、
バインダを散布することで、広範囲の砂を一度に硬化さ
せるため、砂型の量産が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、砂を薄く積層し、
これを1層ずつ所定形状に硬化させることを繰り返し、
砂の3次元造形物である砂鋳型を造形する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋳物は、溶融した金属を鋳型に流し込ん
で作るので、一般に鋳物を作るには、まずその反転型で
ある鋳型を作ることから始める。この鋳型としては、そ
の材質から主に金型と砂鋳型(以下砂型という)に分け
られる。金型は、耐久性があるが、高価であり、同一製
品を多数製造する(量産する)場合に多く用いられる。
一方、砂型は、試作品(プロトタイプ)など比較的少量
の生産や、複雑な形状や内部形状がある場合などに用い
られる。すなわち、砂型は安価であり、また鋳造の後、
砂型を壊して、製品を取り出すため、砂型から鋳物がそ
のまま抜ける必要がなく、複雑な形状の鋳物も作成でき
る。また、砂中子とよばれる内部形状作成用の型を併用
することによって、内部形状を持つ鋳物も作成できる。
【0003】従来、砂型を作成する場合には、まずその
反転型(主に、木、樹脂、金属)をNC(数値制御)加
工等により作成し、これに砂を流し込み、固化させるこ
とによって砂型を造形していた。しかし、この砂型の造
形方法では、砂型の反転型の設計の際に、抜き勾配を考
慮しなければならない。特に、砂型の反転型は、通常2
分割する必要があるため、その分割面(見切り面)をど
こにするかという見切りの設計や、2分割のそれぞれの
抜き方向に応じた抜き勾配の設計を行わなければならな
い。従って、型の構想、型の設計に多くの時間が必要と
なっていた。
【0004】ここで、プロトタイプの作成に際し、多大
の時間をかけるのは、得策ではない。そこで、3次元の
CAD(コンピュータ支援デザイン)データからプロト
タイプを直接造形するラピッドプロトタイピング方法が
提案されている。このラピッドプロトタイピングは、3
次元の物体を0.2mm程度の微細な板厚を持つ2次元
断面形状が積層されたものと考え、この断面形状を造形
し、これを積層していくことで、2次元物体を造形する
ものである。
【0005】例えば、USP4,247,508には、
ラピッドプロトタイピングの一手法であって、レーザ光
線を利用するものが示されている。すなわち、熱溶融す
るプラスチック粒子などを薄い層とし、この層の固めた
い部分にレーザビームを走査し、ビーム照射部分を溶融
凝固させ2次元構造を形成する。そして、この操作を繰
り返して3次元物体を造形する。この手法によれば、プ
ロトタイプを直接形成することができる。
【0006】また、この従来例には、反転型を直接作成
すること、プラスチックコート砂を利用して砂の造形物
を得ること等が記載されている。また、レーザビームの
走査の際にマスクを利用することを示唆する記載もあ
る。
【0007】この手法によれば、直接造形物が得られる
ため、上述の見切り、抜き勾配などは考える必要がな
い。そこで、造形物のCADデータから比較的容易に各
種形状の砂型を形成できる。
【0008】さらに、USP5,204,055には、
砂に液状バインダを吹き付け、吹き付けた部分を固化さ
せ、1層分の断面形状の形成を行うものが示されてい
る。この液状バインダの吹き付けは、0.2mm程度の
ノズル径を持つインクジェットを適宜噴射させながら2
次元移動させ、所望の断面形状を塗りつぶしていくこと
によって行っている。
【0009】このような液体バインダによる固化を用い
れば、単にバインダを砂に供給するだけで、砂を所望の
形状に固化できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例は、基本的にプロトタイプを形成するためのもので
あり、量産することについては、何等考慮されていな
い。すなわち、一枚の2次元構造物を作成する際に、レ
ーザビームやインクジェットを固めたい部分全部に走査
させるため、かなりの時間を必要とする。従って、この
従来技術を用いて、量産用の砂型を多数製造しようとす
るのは、現実的でない。
【0011】一方、ラピッドプロトタイピングで、砂型
を形成すると、砂型作成時に見切り、抜き勾配などを考
えなくてよい。このため、砂型に無駄な部分がなくな
り、作成された鋳物における不要な鋳バリをなくすこと
ができる。従って、鋳物についての後処理も効率化で
き、砂型が効率的に作成できれば、これを利用して、効
率的な鋳物の量産を図ることができると考えられる。
【0012】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、量産に適した砂鋳型の積層造形方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る砂鋳型の積
層造形方法は、砂を薄く積層する積層工程と、予め作成
された所定形状のマスクを積層された砂上方に配置する
マスク配置工程と、砂同士を結合させる液状のバインダ
をマスク上から薄く積層された砂に散布する散布工程
と、を含み、これによって砂鋳型の1層を形成すると共
に、これら工程を順次繰り返して、砂の3次元造形物で
ある砂鋳型を造形することを特徴とする。
【0014】砂鋳型の3次元形状データから、断面形状
データを得、これに応じたマスクを予め用意する。次
に、このマスクを介し、砂層に液体バインダを供給し、
砂層の所定の部分を硬化させることで、断面形状が形成
される。そして、この断面形状の形成を繰り返すことに
よって、砂鋳型が造形される。
【0015】従って、液体バインダの散布は、単に均一
に散布するだけでよく、細かい散布の制御は必要ない。
そこで、高速の処理が行え、砂鋳型の量産を効率的に行
うことができる。また、液体バインダの散布に利用され
るノズル等として、比較的口径の大きなものを採用する
ことができ、ここにおけるつまりの発生を少なくでき
る。
【0016】また、他の発明は、砂を薄く積層する積層
工程と、予め作成された所定形状のマスクを積層された
砂上方に配置するマスク配置工程と、砂同士を結合させ
る粉末状のバインダをマスク上から薄く積層された砂に
散布する散布工程と、散布された粉末状のバインダを加
熱して、硬化させる加熱工程と、を含み、これによって
砂鋳型の1層を形成すると共に、これら工程を順次繰り
返して、砂の3次元造形物である砂鋳型を造形すること
を特徴とする。
【0017】このように、粉末バインダを採用した場合
にあっても、上述の場合と同様に、高速の砂鋳型の造形
が達成できる。また、粉末バインダは、加熱により、硬
化させるため、マスク上に堆積したバインダを除去する
のが容易である。さらに、粉末バインダを利用すれば、
ノズルなどのつまりのおそれは、ほとんどなくなる。
【0018】さらに、他の発明は、上記散布工程では、
マスク上に設けられた複数の散布手段から同時にバイン
ダを散布することを特徴とする。
【0019】複数の散布手段から、液体バインダまたは
粉末バインダを同時に散布することで、より高速の処理
が達成できる。
【0020】さらに、他の発明は、上記複数の散布手段
は、独立してオンオフが可能であり、散布不要な領域に
ついては、当該散布手段からのバインダの散布を禁止す
ることを特徴とする。
【0021】これによって、不要なバインダの散布を防
止でき、より効率的な処理を行うことができる。
【0022】さらに、本発明に係る鋳物の製造方法は、
上述のいずれか1つに記載された砂鋳型の積層造形方法
によって作成された砂鋳型を用いて、鋳物を製造するこ
とを特徴とする。
【0023】上述のようにして、作成された砂型は、直
接造形されているため、抜き勾配、見切りなどがない。
従って、製品形状のCADデータから容易に砂型設計が
行える。さらに、このようにして得られた砂型を利用し
て、駄肉のない鋳物が得られ、後加工が容易であり、ま
た材料の有効利用も図れる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に好適な実施の形態
について、図面に基づいて説明する。砂層昇降機10
は、四角形の容器状で、その底板10aが上下動可能に
なっている。そして、この底板10aの上部に砂12を
収容する。また、この砂12の上部には、所定形状の穴
14aが形成されたマスク14が配置され、その上方に
複数のノズル16が配置される。ここで、マスク14
は、複数の領域に分割されており(この例では、4×5
=20個)、ノズル16はそれぞれの領域に対応して設
けられている(この例では20個)。
【0025】そして、ノズル16から液体バインダを散
布することによって、マスク14の穴14aから液体バ
インダが砂層の所定の領域に散布される。液体バインダ
は、所定時間の経過により、その部分の砂と共に固化
し、液体バインダが散布された部分が固化する。
【0026】ここで、砂型を作成する場合には、まず製
品形状についてのCADデータから、砂型の形状データ
を得、これを0.2mm毎の断面形状データにする。そ
して、この断面形状データの基づき、マスク14を作成
する。このマスク14は、その1枚1枚が各断面形状に
対応している。
【0027】次に、このマスク14を利用して、砂型を
造形する。そして、得られた砂型を利用して、鋳物製品
を作成する。
【0028】そして、砂型の造形において、砂層の1層
毎に順番に1枚のマスク14を用いて、砂の固化を行
う。このため、図2に示すように、最初に砂層昇降機1
0の底板10aを頂面から0.2mm下げた位置にセッ
トする。また、この部分に砂12を供給し、0.2mm
の砂層を形成する。次に、予め作成されたマスク14の
砂型の一番下に対応するマスク14を砂層の上部に配置
し、上方のノズル16から液体バインダを散布する。
【0029】ここで、ノズル16は、複数あり、それぞ
れに液体バインダが供給される。さらに、ノズル16
は、1つ1つ独立してオンオフできるようになってい
る。これは、独立した弁を設け、液体バインダのオンオ
フを制御してもよいし、また、液体バインダへの各ノズ
ル16への供給を独立したダイヤフラムなどで行い、こ
のダイヤフラムの駆動を独立して行ってもよい。
【0030】このように、ノズル16からの液体バイン
ダの散布は独立して制御できるので、散布が不要なノズ
ル16からの液体バインダの散布は行わない。すなわ
ち、図1に示すように、マスク14の分割領域に対し、
穴14aの存在しない領域が存在した場合には、その領
域に対応するノズル16からの液体バインダの散布は停
止する。
【0031】このように、必要な領域に対応するノズル
16から液体バインダを散布すると、この液体バインダ
は、穴14aを介し、その下方の砂に散布される。そし
て、その部分の砂が固化する。
【0032】1つのマスク14を利用した1回の液体バ
インダの散布により、1層の砂層についての造形処理が
完了する。このように、液体バインダの散布が終了した
場合には、図2に示すように、マスク14を砂層上か
ら、所定交換位置まで移動させる。この移動は、砂散布
装置の移動によって行う。そして、交換位置のマスク1
4を回収側に移動させると共に、次のマスク14を交換
位置にセットする。
【0033】このとき、砂層昇降機10の底板10aを
所定距離(例えば、0.2mm)降下させておく。次
に、砂供給装置を移動させ、砂層昇降機10に砂12を
供給して、砂層を形成すると共に、新しいマスク14を
砂層の上に配置する。そして、液体バインダを供給する
ことによって、次の層の造形が行われる。このような操
作を繰り返すことによって、砂層の積層物として、3次
元の砂型の造形が達成される。なお、図3に、マスク1
4の移動について模式的に示した。
【0034】ここで、図3に示すように、複数のノズル
16は、ノズル取り付け体18に一体的に結合されてお
り、このノズル取り付け体18の内部で、液体バインダ
の分配、各ノズル毎にオンオフが制御される。
【0035】「液体バインダ及びその供給」液体バイン
ダとしては、自硬性レジン、熱硬化性レジン、熱可塑性
レジンなど各種のものが使用できる。なお熱硬化性レジ
ン、熱可塑性レジンは、砂に散布した後に、上方から熱
を与えて、散布した断面形状だけ硬化させる必要があ
る。そこで、砂層の上方にヒータを位置させる必要があ
る。液体バインダの供給が終わった時に、液体バインダ
の供給機構であるノズル16を退却させ、代わりにヒー
タを砂層上方に位置させるとよい。また、ヒータは、複
数の電熱ヒータを利用し、この電熱ヒータも分割領域に
対応して設け、液体バインダを散布した領域に対応する
もののみオンするとよい。
【0036】また、液体バインダは、図4に示すよう
に、マスク14の所定距離上方から、液体バインダが均
一になるように、散布する。このとき、ノズル16がマ
スク14に余り近いと、均一な散布が行われにくくなる
と共に、砂12が飛散するおそれがある。そこで、ある
程度の距離は必要である。
【0037】「マスク」次に、マスク14は、液体バイ
ンダが透過しないと共に、堆積した場合に、除去が容易
なものがよい。例えば、金属や、セラミックで、液体バ
インダが硬化した際に、容易にこの膜を剥離できるよう
な表面加工を施したものが好適である。また、セラミッ
クの場合、加熱によって、液体バインダを焼却除去する
ことできる。また、薬品によって、液体バインダのみを
溶解したり、洗浄除去することも好適である。
【0038】ここで、このマスク14は、形状によって
は、切り抜かれ形状が周囲から離れて抜けてしまう場合
がある。例えば、図5(A)に示すような升のような砂
型を作成する場合、底部のマスク14は図5(B)のよ
うな枠状の周辺部14aのみとなる。この場合は問題は
ないが、それより上方は中央部に四角形の島14bを必
要とする。この場合、この島14bをサポート14cに
よって、周辺部14aに連結する必要がある。
【0039】本実施形態では、図5(C)(D)に示す
ように、隣接する断面のマスク14同士のサポート14
cの位置を異ならせる。これによって、サポート14c
の下方の硬化しない部分は、縦方向に連続しないことに
なる。この未硬化層は、薄くて幅も狭い(例えば、0.
2mm×5mm程度)。このため、砂型にこの未硬化層
に対応する空間が生じても、鋳造時に金属溶湯はこの空
間に進入することがない。さらに、この空間は鋳造の際
に、発生ガス抜き穴として作用するという利点も得られ
る。
【0040】「砂」また、本実施形態において使用する
砂には、従来使用されていたものをそのまま使用するこ
とはできない。鋳鉄やアルミニウムの鋳物を作るときに
用いられているいわゆるシェルモールド用レジン被覆砂
は、通常加熱した金型内に吹き込まれ焼成して固化され
る。このような用途では、鋳造時の発生ガスを排出する
ために、比較的粗い(例えば15〜30nm)ものが採
用される。しかし、本発明では、0.2mm程度の薄い
層を形成しなければならず、5〜10nm程度の微細
で、粒子形状の丸いものが採用される。なお、本実施形
態においては、上述のようにして、ガス抜き穴が形成さ
れる。
【0041】砂の材質としては、通常の砂材が採用され
るが、用途によって、金属粉、セラミック微粒子などで
も使用可能である。
【0042】「砂散布装置」図6に砂散布装置24など
の砂供給の構成を示す。砂散布装置24は、ホッパ状の
容器24aと、その底部開口に配置された回転羽根24
bからなっている。そして、回転羽根24bを回転させ
ることにより、容器24a内に収容されている砂が下方
に落下散布される。従って、回転羽根24bの回転制御
によって、散布のオンオフ及び散布量の制御が行える。
この砂散布装置24の進行方向の後ろ側には、スクレー
パ28が設けられている。このスクレーパ28は、砂散
布装置24と砂ならしローラ26の間にあって、連結材
(図示せず)に取り付けられている。そして、砂散布装
置24が、図6における右側に移動しながら散布した砂
の表面を平滑化する。さらに、このスクレーパ28の後
ろ側に設けられた砂ならしローラ26は、スクレーパ2
8で平滑化された砂の表面を押し、砂を圧縮して、1層
分(0.2mm)の砂を砂層昇降機10の表面部に形成
する。
【0043】このように、本実施形態では、砂の散布な
らしを1回の移動で効率的に行え、高速の砂層形成が行
える。さらに、砂散布装置24の移動の際に、マスク1
4を把持し一緒に移動するように構成すれば、この砂層
形成のための移動の際に、マスク14の砂層上へのセッ
トも行える。例えば、図3の砂層昇降機10の手前側
に、マスク14を位置させ、図における奥に位置した砂
散布装置24を手前側に移動させ、マスクを把持し、そ
の状態で、砂を散布しながら後退して、マスクを砂層上
にセットすることができる。
【0044】「本実施形態の効果」このように、本実施
形態によれば、マスクを利用すると共に、液体バインダ
を散布するだけでよい。従って、1層分の処理が早くな
り、全体としての砂型造形までの時間を短縮することが
できる。そして、一旦形成したマスクを何度も利用し
て、砂鋳型を容易に量産することができるため、鋳物の
量産に非常に好適である。
【0045】そして、本実施形態により、高速に砂鋳型
を生産できるようになり、これを用いて鋳物を量産する
ことができる。ここで、本実施形態の製造法によれば、
鋳物の設計及び生産準備上も以下のような利点がある。
【0046】従来の鋳造法では、図7の左側に示すよう
に、製品機能上必要な製品形状(S1)に対して、見切
り・抜き勾配(S2)、加工代(S3)、伸び尺・ソリ
変形の考慮(S4)を行い、型設計・製作(S5)がな
される。そして、製作された砂鋳型を利用して、鋳造が
行われる。
【0047】従って、S2に示すように、見切り・抜き
勾配のためにS2の横に示した図のように、不要な部分
(斜線で示す)が生じる。また、2つの型だけでは製品
を形成できないため、中木も必要となる。そして、この
ような砂型を利用して得た鋳物は、製品形状にそのまま
対応するものではなく駄肉のついたものである。そこ
で、これを製品形状にまで、加工し直さなければならな
い。また、見切りに起因して製品に鋳バリも生じるた
め、これについての加工も必要となる。さらに、加工の
際に加工代が必要であり、製品はそれだけ大きな駄肉の
ついたものになってしまう。
【0048】ところが、本実施形態によれば、図7の右
側に示すように、まずCAD装置により、製品形状のコ
ンピュータモデルを作成する(S11)。次に、これに
基づいて、伸び尺・ソリ変形のFEM(有限要素)解析
を行い、この結果の砂型を造形するため、砂型の形状が
断面毎に決定される(S12)。そして、この断面形状
に基づいて1層毎の造形が行われ砂型が得られ(S1
3)、この砂型を利用して、鋳造が行われる。
【0049】特に、砂型の設計の際には、製品形状のコ
ンピュータモデルからその断面形状を積層していけばよ
いため、見切り・抜き勾配の考慮などは全く必要がな
い。従って、この断面毎のマスクを作成し、このマスク
を利用して上述のように砂型を造形することで、できあ
がった砂型は製品形状にそのまま対応したものであり、
できあがった鋳物にも従来例のような駄肉が生じず、き
わめて製品形状に近い鋳物製品が得られる。従って、高
精度の鋳物を迅速に大量生産することができる。
【0050】なお、鋳造時の伸び、ソリ等は、本実施形
態においても生じる。しかし、有限要素法等により、注
湯から冷却までの変形量を熱弾塑性解析することによ
り、最終的に必要な製品を得るための砂型形状を逆算で
きる。特に、抜き勾配などのための形状の変更がないた
め、この計算もより簡単になる。
【0051】「マルチステーション」上述のように、本
実施形態により、効率的な砂型の製造が可能であるが、
これを複数のステーションで、併行して行うとさらに効
率的である。図8に、このマルチステーションの構成例
が示されている。このように、ノズル取り付け体18、
砂層昇降機10等は、ステーションの数だけ設けられて
いる(この例では6つ)。また、液体バインダ貯留部3
0からの液体バインダは、6つのノズル取り付け体18
に分配される。
【0052】そして、マスク14は、マスク積載機32
に積載されており、このマスク積載機32の下方には、
マスク搬送機構34が設けられている。マスク積載機3
2は、マスク14を1枚ずつ下方に落下させ、マスク搬
送装置34に供給する。
【0053】マスク搬送機構34は、すべてのステーシ
ョンを横切って配置され、各ステーションで、搬送して
いるマスク14をノズル16と砂層昇降機10の砂12
の間に位置させる。このために、各ステーションは、等
間隔に配置されており、その間隔分の距離(1ステッ
プ)だけマスク14を移動することによって、マスク1
4は、各ステーションに順次位置することになる。ま
た、第6ステーションを通過したマスク14は、マスク
積載機32の最上部に返送される。なお、この返送の途
中にマスク洗浄ステーションを設け、ここで、マスク1
4を洗浄するとよい。
【0054】このような装置における動作について、説
明する。まず、第1層目のマスク14を第1ステーショ
ンステーションに位置させる。このとき、第1ステーシ
ョンの各砂層昇降機10に1層分の砂を準備しておく。
次に、第1ステーションの複数のノズル16によって、
第1ステーションの砂12に液体バインダを散布する。
【0055】次に、マスク搬送機構34により、1ステ
ップ分移動し、第1のマスク14を第2ステーションに
位置させ、第1ステーションには、第2のマスク14を
位置させる。そして、第1、2ステーションにおいて、
液体バインダを散布する。これを繰り返し、第6ステー
ションに第1マスク、・・・、第1ステーションに第6
マスク14が位置することになり、この状態では、第1
〜第6ステーションにおいて、液体バインダの散布を行
った後、砂層昇降機10を1層分下げ、マスク14を移
動し、砂散布を行うという動作を順次繰り返していく。
【0056】このようにして、1組のマスクによってス
テーションの数(この例では6つ)だけの砂型を併行し
て造形できる。従って、マルチステーション化すること
によって、生産性を大幅に向上することができる。
【0057】[第2実施形態]第2実施形態は、上述の
液体バインダに代えて粉末バインダを使用することを特
徴とする。従って、ノズル16の配置など、主要な構成
はほとんど同一である。そして、粉末バインダとして
は、粉末状の熱硬化性レジンや、熱可塑性レジンが用い
られる。また、これら粉末バインダを硬化させるために
は、加熱することが必要である。そこで、図9に示すよ
うに、各分割領域に対応した複数のヒータ50を設け、
これを粉末バインダの散布に対応して、オンオフする。
これによって、粉末バインダが散布された領域のみがヒ
ータ50によって加熱され、この領域の硬化処理がなさ
れる。
【0058】このように、液体バインダに代えて、粉末
バインダを採用すると、マスク14に対しては、加熱処
理がなされないため、マスク14上に堆積した粉末バイ
ンダは、容易に除去できる。そこで、液体バインダの除
去に比べ、マスク14の掃除が容易であるというメリッ
トが得られる。また、ノズル16がつまりにくく、管理
が容易となる。
【0059】そして、この第2実施形態においても、マ
スク14を利用するため、粉末バインダの供給の機構が
非常に簡単であり、高速の散布が行え、高速の砂型の造
形が達成される。さらに、ノズル16を複数設け、分割
領域毎にオンオフするため、不要なバインダの散布を防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】 同実施形態の処理動作を示すタイミングチャ
ートである。
【図3】 第1実施形態のマスク入れ替えを示す図であ
る。
【図4】 ノズルからのバインダの散布状態を示す図で
ある。
【図5】 マスクの構成例を示す図である。
【図6】 砂散布装置の構成を示す図である。
【図7】 同実施形態の処理工程を従来と比較して示す
図である。
【図8】 マルチステーションの構成を示す図である。
【図9】 ヒータの配置を示す図である。
【符号の説明】
10 砂層昇降機、12 砂、14 マスク、16 ノ
ズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 益雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岡田 裕二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砂を薄く積層する積層工程と、 予め作成された所定形状のマスクを積層された砂上方に
    配置するマスク配置工程と、 砂同士を結合させる液状のバインダをマスク上から薄く
    積層された砂に散布する散布工程と、 を含み、 これによって砂鋳型の1層を形成すると共に、これら工
    程を順次繰り返して、砂の3次元造形物である砂鋳型を
    造形することを特徴とする砂鋳型の積層造形方法。
  2. 【請求項2】 砂を薄く積層する積層工程と、 予め作成された所定形状のマスクを積層された砂上方に
    配置するマスク配置工程と、 砂同士を結合させる粉末状のバインダをマスク上から薄
    く積層された砂に散布する散布工程と、 散布された粉末状のバインダを加熱して、硬化させる加
    熱工程と、 を含み、 これによって砂鋳型の1層を形成すると共に、これら工
    程を順次繰り返して、砂の3次元造形物である砂鋳型を
    造形することを特徴とする砂鋳型の積層造形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、 上記散布工程では、マスク上に設けられた複数の散布手
    段から同時にバインダを散布することを特徴とする砂鋳
    型の積層造形方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、 上記複数の散布手段は、独立して散布のオンオフが可能
    であり、散布不要な領域については、当該散布手段から
    のバインダの散布を禁止することを特徴とする砂鋳型の
    積層造形方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つに記載され
    た砂鋳型の積層造形方法によって作成された砂鋳型を用
    いて、鋳物を製造することを特徴とする鋳物製造方法。
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